ペンデレツキ Penderecki の 交響曲全集 Complete Symphonies を聴く


ポーランドの現代音楽ビッグネームのクシシュトフ・ペンデレツキ(Krzysztof Penderecki, 1933/11/23 - ) は、個人的にどうも馴染めない部分がありますね。

特殊奏法、クラスター、引用、と言った技法をベースに無調作品を作るのですが 時代とともに前衛から離れて行きます。そこからの新しい世界は観られません。

個人的に中途半端に重厚刺激的な音楽と言う印象を持ち続けていますね。

先日、本人指揮の交響曲全集(5CDset)を手にしたので一気に聴いてみましょう。年代を追っての変化が感じられるのではないかと思います。


交響曲第一番 (1973年)
 四楽章形式(Arche I, Dynamis I, Dynamis II, Arche II)です。特殊奏法とクラスター、そして反復を基本にしていますね。弦楽器主体の特殊奏法パート、もしくは微分音? トリル?はノイズ、それをクラスター的に演奏したりもします。打楽器と管楽器主体のクラスターも現れます。無調ですが、全体としてはリズムや大きな流れはあるので聴き易いです。この辺りは前衛の衰退時期として普通ですね。どこかで聴いた様な…みたいな。
試しにYouTubeで聴いてみる?

交響曲第二番 クリスマス・イヴ (1980年)
 一楽章形式で引用を用いた交響曲です。終始暗く重厚な楽曲で、前衛から一転して機能和声の展開です。新ロマン主義といっても良いのではないかという作風ですね。どこがクリスマスなのか、引用なのかよくわかりません。それに長く感じます。^^ゞ
一部ストラヴィンスキー風も感じたりして楽曲としてはけっこう好きかもしれませんが、どうしてこう変わるの?! といった気分になりますよね。

交響曲第三番 (1988-95年)
 五楽章で I.Andante - II.Allegro - III.Adagio - IV.Allegro moderato - V.Scherzo Vivace と構成は古典回帰です。全体的な暗さは第二番の路線ですが、メリハリがあり一層の調性回帰。アダージョでは暗く冷たい音が流れますが、四楽章では重厚さも出現します。第五楽章もスケルツォらしいリズムが明確でロマン的な香りよりも古典、新古典主義気配です。
悪くはありませんが、個人的には20世紀後半に聴きたいとは…

交響曲第四番 アダージョ (1989年)
 第三番とほぼ同時期に作られた五楽章構成の標題音楽です。'80年代で前衛から新ロマン的路線に変更された楽風は、'90年代前後から明確は調性回帰路線になっています。
当然ながら第三番とほぼ似た構成で、陰鬱とメリハリの効いた重厚さの組合せです。フランス政府から委嘱曲になります。フランス革命200周年なので、切れ味の良さはそこを見越してでしょうか。

交響曲第五番 Korean (1992年)
 一楽章形式です。楽風は変わらずに重厚陰的展開です。第二番で調性回帰してからは同傾向の作風になっています。対位法、フーガ、反復、クラスターといった技法で出し入れの強い作品です。この第五番では勇壮さが増し、トリルを使ってちょっと前衛時代を彷彿させるパートもありますね。

■ ここまで聴いて再確認出来たのは、調性回帰してからは新ロマン主義の作風で続いていると言う事ですね。その方向性が好きな方にとっては19世紀のクラシック本流回帰であり、そこに若干の不協和音や陰的重厚といった現代的スパイス加味がされているのでしょう。前衛時代を聴いているから不思議さが強いだけ。
もっとも それだったらアラン・ペッテション(Allan Pettersson, 1911/9 /19 - 1980/6/20 )とかアレクサンドル・ロクシーン(Alexander Lazarevich Lokshin, 1920/9/19 – 1987/6/11) を聴くでしょうが…

交響曲第七番 エルサレムの7つの門 (1996年)
 オラトリオとして書かれたものでエルサレム建都3000年でイスラエルの委託曲で、7つの門に対応する7楽章形式です。宗教曲の多いカトリック教徒ペンデレツキにとって当然のオラトリオでしょう、宗教色を荘厳さで彩った訳で交響曲とは思えない作品です。重厚な宗教曲なのですが、それまでの交響曲よりも色彩が豊ですね。あえて宗教を鑒みずに言えば悪くありません。
試しにYouTubeで聴いてみる?

交響曲第八番 はかなさの歌 (2005-07年)
 第七番に続き歌曲の交響曲で、2007年に三楽章分が追加されて15楽章形式になります。歌詞はヘッセやリルケと言った詩人の作品を用いて、交響曲の一部に歌が入るのではなく全体として歌曲です。合唱パートは宗教曲風に感じますが、ソロパートは今の時代の歌曲で悪くありません。
陰湿重厚さから ここへ来て俄然興味深い音楽になっている気がします。間違いなくこの曲が一番面白いですね。
2001年には合唱曲でグラミー賞を受賞していますから、得意分野を広げていると言う事でしょう。

■ 歌曲が入ると新ロマン主義が一層の迫力を増しますね。宗教合唱曲での実力が一番の聴き処でしょうが、それ以外でも作風からいって近年の作品は面白いかもしれませんね。現在はオペラと交響曲第九番を作成している様なので楽しみです。

尚、第六番は欠番になります。
指揮はペンデレツキ本人、演奏は ポーランド青年交響楽団 (The Polish Sinfonia Iuventus Orchestra) です。


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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