ショスタコーヴィチの交響曲15番 聴き比べ / コンドラシン、ゲルギエフ、ダーリントン

11/22(日)のJ.ノット/東響のコンサートを前に、当日のメインディシュ:ドミートリイ・ショスタコーヴィチ(Dmitrii Dmitrievich Shostakovich, 1906/9/25/ - 1975/8/9) の交響曲 第15番を聴き比べておきましょう。

ショスタコーヴィチは年代的には近現代音楽家ですが、だれも現代音楽家とは言わないでしょうね。と言う事でショスタコーヴィチについては割愛ですw

ほどほどの興味しかないのですが、交響曲第15番 イ長調 Op.141(1971年) は4CD所有。ショスタコーヴィチの中ではお気に入りの楽曲です。強烈な引用と独自十二音技法の四楽章構成交響曲ですね。
初演は息子であるマクシム・ショスタコーヴィチ/モスクワ放送響により1972年に行われました。本来ムラヴィンスキーこそがショスタコーヴィチ初演を多々こなした同世代の指揮者。所有CDならコンドラシン、ショスタコの交響曲13番の初演(本来はムラヴィンスキーの予定)、初の交響曲全集があります。で、まずはそこから。



コンドラシン(Kirill Kondrashin) / モスクワ・フィル(Moscow PO) rec.1974年

張りつめた切れ味の中に見せる不協和音とウィリアム・テル序曲引用の第一楽章はテンションが高いです。
そして一転、葬送の色合いを陰鬱に重苦しく奏でる第二楽章は、単音で奏でる楽器の十二音技法的なテクもそれにピッタリですね。
不気味なスケルツォの第三楽章も各楽器の切れ味が光ります。
最終楽章は暗く響くワーグナーの「運命の動機(ニーベルングの指環)」の引用、でも曲構成は微妙な調性とショスタコ節の組合せ。揺れる様な、そして個別の楽器群の明確な演奏はこの曲の神髄でしょうね。

 読み込まれた楽譜からの切れ味とコントラストを感じる演奏ですね。個々のパートの演奏技量を元に主張の明確なこの演奏が、やっぱり基準でしょう。


ゲルギエフ(Valery Gergiev) / マリンスキー(Mariinsky O) rec.2008年

ロシア繋がりでゲルギエフとマリインスキー劇場管ですね。ウィリアム・テルの引用は柔らかく、それと対比する様に流れの中では時に激しく。第一楽章には柔らかさと激しさがあります。
葬送ながら音列的な音の並べよりも流れる様な組み立ての第二楽章。それにより柔らかな美しさを感じますが、中盤の山場は強烈です。
スケルツォの第三楽章は音列配置が飛び跳ねる様に効果的に演奏されています。
コンドラシンとは対照的に、微妙な間を使った引用「運命の動機」から緩やかな流れで独特の調性感を幽玄な美しさで聴かせてくれる最終楽章。もちろん ここでも中間部のクライマックスは激情的です。

 繊細な美しさの中の柔と剛、そして静と激。その流れを掴む、まさにゲルギエフのパターンですね。


ウィグレスワース(Mark Wigglesworth) / オランダ放送フィルハーモニー管(Netherlands Radio PO) rec.2006年

51才になった英国人指揮者マーク・ウィッグルスワースが昨年リリースしたアルバムです。
第一楽章は押さえ気味のウィリアム・テルと不安定さのメリハリを強調する演奏です。出し入れが強いですね。
第二楽章は葬送感と言うよりも幽玄な響きにしています。音列配置感は薄くスローで澄んだ美しい演奏です。
第三楽章、トゲトゲしさを控えた演奏は第二楽章からのアタッカの繋がりがナチュラルです。
柔らかな「運命の動機」から入る最終楽章は細く緩やかな流れが主体で進みます。
全体として静音が支配する演奏です。

 穏やかさが流れる新ロマン主義的な解釈を感じる演奏ですが、やや締まりに欠ける第15番でしょうか。


ダーリントン(Jonathan Darlington) / デュースブルク管(Duisburg PO) rec.2006年

ご贔屓の指揮者ジョナサン・ダーリントンです。以前紹介済みですが、ここで比較に入れました。第一楽章は入りから速めの表情豊かな流れにウィリアム・テルが自然に絡みます。躍動感の中に不安定な調性が生きていますね。第二楽章は緩いアゴーギクで表情を付けて、葬送感の中に透明感のある広がりが際立ちます。それを切り裂く中盤のクライマックスは煌びやかな迫力で、その後の陰鬱さがバランス良いですね。第三楽章はリズムをスケルツォ的に跳ねさせます。基本は重厚です。重さの中に流れのあるリズムを取り込んだ最終楽章は第二楽章と同じ透明感のある広がりと展開です。楽器個別の響きも美しく、中盤の山場は情感強くと表情豊かです。ラストでは第一楽章の導入部の動機がチェレスタで現れてリズムを残しながら収束します。

 各楽章に流れる不安定感をアゴーギクとディナーミクでうまく表現した彫りの深い演奏です。やっぱりダーリントンとデュースブルク管は侮れません。

さて次の日曜日、J.ノット/東響 はどんな演奏を聴かせてくれるのでしょうか楽しみですね。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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