オスモ・ヴァンスカ と オッコ・カム のシベリウスの交響曲 第五・六・七番を ラハティ響で聴き比べ +α

ジャン・シベリウス生誕150周年の本年、フィンランドからオッコ・カム(Okko Kamu, 1946/5/7 - )・ラハティ交響楽団(Lahati SO)、そしてオスモ・ヴァンスカ(Osmo Vänskä, 1953/2/28 - ) が来日しますね。両者のコンサートへ行く予定です。(ヴァンスカは読響を指揮します)
せっかくですからコンサートで聴くシベリウス(Jean Sibelius, 1865/12/8 - 1957/9/20) 交響曲第五・六・七番をラハティ響で聴き比べておきましょう。
二人ともシベリウス交響曲全集をラハティ響でスウェーデンのBISレーベルから出していますね。

  [オッコ・カム]     [オスモ・ヴァンスカ]
 

他にも一人、近年のフィンランド人指揮者 ヨン・ストルゴールズ(John Storgårds, 1963/10/20 - ) も参考に入れましょう。 昨年2014年にBBC管とシベリウス交響曲全集を出しています。Storgardsの読み方は面倒、ストルゴーズの方が良い?!



三人の比較で言うなら ◆重厚さを表に出したヴァンスカ ◆細かな表情に光を当てたカム ◇音の良さと曲の表現力のストルゴールズ さてそれぞれは…


《交響曲 第5番 変ホ長調 op.82 (1991年Final ver.) 》
 ヴァンスカは四楽章形式の1951年Original ver.も演奏していますが、ここでは三楽章形式になるFinal versionでの聴き比べです。

◆ヴァンスカ
 第一楽章は雄大な中にもやや緊張感と迫力をもった入りから第一主題が緊張感を残しながら流れます。第二主題は不安感を誘う様な弦のトレモロを背景に展開しながら、展開部では明朗さもみせています。後半スケルツォパートでも緊張感、そこからの解放の様なクライマックスですね。
第二楽章では弦のピチカートで主題が穏やかに提示されて、楽器を変えながら変奏されて行きます。ディナーミクとアゴーギクが重厚な優美さを感じますね。
第三楽章は弦のトレモロの速く薄いテンポで入りながら第二主題へと引き継ぎ、主題の再現と回帰では重厚です。間を充分に取ったラストは唐突的に終了しますね。

 北欧らしい冷たい荒涼感というよりも緊張感と荘厳さです。それが一般的には北欧らしさ、ヴァンスカらしさかもしれませんが。


◆カム
 第一楽章は緩やかながら適度なアゴーギクの第一主題は弦のトレモロを抑えて管楽器の対話が効いています。第二主題は冷たい荒涼とした気配を漂わせます。スケルツォでは明確に表情(押さえたディナーミク、変化するアゴーギク)を変えて冷たさの中に明るさを感じますね。ラストはクレシェンドしながらペースも上げて高揚感をうまく盛上げて締めます。
第二楽章は主題が明瞭に楽器毎に移りながら変奏されて行くのがわかりますね。緩やかであり、北欧の空気が伝わる穏やかで優美な緩徐楽章です。
第三楽章は薄く適度なペースの弦と歯切れの良い管楽器の流れの第一主題は清涼感があり、その流れの延長に第二主題が現れます。主題の再現と展開が緩やかな流れで続きながらうまく盛上げ、最後の間を取ったラストに結びます。

 揺るやかなアゴーギクで北欧の空気を感じる様な透明感がありますね。構成的には良いのですが、その緩やかさがややフラットに感じる感も否めません。


◇ストルゴールズ
 第一楽章は穏やかな入りで管楽器の明瞭な第一主題が特徴的です。第二主題は冷たい透明感が感じられますね。その展開でスケルツォに入りますが殊更に軽快感を強調する訳ではありません。やや暗さを保って進みラストは盛上げてアッチェレランド気味に締めますね。
第二楽章は全体的にややスロー、そして小春日和の様な穏やかさです。録音の良さもあって管弦楽器の音色の明瞭さもそれに加担していますね。
第三楽章は標準的軽快さをもって第一主題を奏でるとホルンの二分音符もバランスよく入り雄大さを感じさせます。第二主題もその延長上に現れますね。再現と展開でも流れは変わらず大きな構えで、やっかいなラストも雄大に うまく全休符を挟んで締めています。

 明瞭な音と構成の第五番です。壮大な気配をそれによって感じる事ができますね。



《交響曲 第6番 ニ短調 Op.104 》
 北欧らしさやシベリウスらしさ漂うこの曲が第7番とほぼ同時期というのが興味深いですね。

◆ヴァンスカ
 第一楽章は冷たく美しい第一主題と日が当たる様な第二主題が北欧らしさを感じさせてくれます。下降音階では緊張感を残しながら情感を上げて行き、コーダでは天候の急転の様に激情を強めて緩やかに終ります。第二楽章は第一楽章の冷たい北欧の景色を再現する様な緩徐楽章です。ここでも後半にかけて叙情性を強めていますね。第三楽章はスケルツォ的な位置づけでしょう。ハイペースのドライブ感強く展開して締めますが、冷たい透明感は感じられますね。最終楽章は英国風な印象が感じられる主題が変奏されますね。ドーリア旋法なのですが、コーダの弦パートで明確です。曲全体の緩急の流れに合わせる様に情感の強さ、ディナーミクの振り方も出し入れが強いですね。

 美しい北欧的な風景感に情感の強さのコントラストがついて、シベリウスらしさ?が強く感じられますね。


◆カム
 第一楽章の第一主題は緩くアゴーギクをかけて透明感の中に情感を強めています。つづく第二主題ではより明るい叙情性に流れ良く繋がっていますね。下降音階でも基本の流れは同じで表情の変化は少ないです。コーダでも大きくディナーミクを変化させずにフィニッシュを迎えますね。第二楽章でも細かなアゴーギクで表情を作っています。北欧の風景というよりも、そこに生きる生命の会話の様です。第三楽章は速いリズムですがドライブ感ではなく、緩急の変化をつけていますね。最終楽章の主題は爽やかさ、緩急を持つ曲に対してアゴーギクでの表情作りをここでも感じます。コーダはややペースを変化させながら叙情の強いドーリア感です。

 透明感や冷たさより、緩やかな中に表情の様な有機的なものを感じる演奏ですね。ヴァンスカとはかなり違いを感じます。


◇ストルゴールズ
 北欧らしさを感じるこの交響曲らしい第一楽章の入りで、第一主題はどの楽器も透明清涼な気配、第二主題も美しさが際立ちます。下降音階では声を潜める様にして進みながら徐々に雄大さを増して再現部からコーダへ。コーダも透明感を残しながらラストは優美です。第二楽章も一楽章の延長上にあり、優美な流れが緩徐的に冷たさから情感へと表情を変えて展開されます。短い第三楽章はリズム感はあるものの速さやドライブ感ではありません。前楽章からの繋がり感が残された軽快さです。最終楽章の主題は気品を感じる楽器の音で曲の持つ緩急の流れにうまく乗っていますね。中間部でも各楽器が表情豊かに絡みながら透明感のあるキレを見せてくれます。弦主体のコーダは雄大さから静寂に、ラストは遠く消え入る様に終わります。

 個人的に好きな演奏になりますね。透明感と雄大さが この曲のもつ"北欧・シベリウス"感を味合わせてくれます。



《交響曲 第7番ハ長調 Op.105 》
 一楽章形式で当初は交響的幻想曲と名されていたそうです。実は好きな曲の一つで、頭の中には重厚さよりも曲の持つ表情を前面に打ち出したクルト・ザンデルリングが鳴っています。

◆ヴァンスカ
 入りからゆったりとしたペースで重厚で荘厳的です。第一主題のトロンボーンもその流れから現れますね。中間部移行ではスケルツォ等で楽曲の流れの変化はありますが、演奏に出し入れや揺さぶりはなく、基本は通して重厚さですね。

 北欧的な透明感よりも音の厚みのある演奏です。


◆カム
 導入部は清涼的な風景を感じます。流れは穏やかに情景的に第一主題へ繋がります。スケルツォ部では優美に、その後の展開も色彩感豊かですね。

 この曲の持つ厳かさを保ちつつ一つの楽章に詰め込まれたソナタ・交響曲の表現を展開してます。


◇ストルゴールズ
 一楽章形式なのですが、Adagio-Vivacissimo-Allegro molto moderato-Vivace の4パートに区切っています。4パートがいいのか、Presto等も入れて区切るべきなのか異論はあるでしょう。
 適度なアゴーギクを使って厳かさの中に彩りと表情を見せる入りから、トロンボーンの第一主題。全体を情感強く聴かせる流れです。スケルツォ(Allegro molto moderato)パートへ入ると、優美で透明感のある広がりを感じさせてくれます。

 重厚さの中にこの曲の持つ豊かな表情を最大限生かした演奏ですね。叙情性の強い演奏です。



[ストルゴールズ]  
今回のポイントはコンサートに行く二人の指揮者のはずなのに、なぜストルゴールズを入れたか?

それは近年ではこれが最高だからですね。^^;

シベリウスと言えば日本でも人気があり、古くからの名盤がありますよね。
バルビローリや近年なら三回のシベリウス交響曲全集を出しているベルグルンド等々多々あるわけです。
が、古いものは今更出すのはやめました。

今や古臭いのは自分だけでもぅ充分w

テーマ : クラシック
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