サルヴァトーレ・シャリーノ Sciarrino の Orchestral Works を聴く

サルヴァトーレ・シャリーノ(Salvatore Sciarrino, 1947/4/4/ - ) はkokotonPAPAご贔屓の現代音楽家の一人ですね。何回もアップしていますし現代音楽家ビッグネームの一人、今更の紹介は割愛です。

今回はアルバム2つを取り上げようと思います。
同時期の発売で両方共に3枚組のCDですが、今日はこちら。

今までにピアノ曲、弦楽四重奏曲、声楽曲、と紹介して来ましたのでここで基本となる管弦楽作品集を紹介したいと思います。

シャリーノの1974年(初期)から2005年までの管弦楽の作品をほぼ年代順に並べたものになります。
シャリーノの音楽の流れを知るにはとてもおすすめですね。

[CD 1]
1. Variazioni, for cello & orchestra (1974)
 シャリーノの初期作品になります。この時代の作品らしいのはクラスターが強く支配している事でしょうか。背景に潜む静音パートは時代に関わらず存在しますが、強烈に響く音は、まるでヴァレーズかクセナキスかといった印象的です。前衛の停滞が叫ばれたこの時期らしい気配ですね。vcはFrancesco Dillonですが、擦れるような特殊奏法(多分…)で演じています。

2. Allegoria della notte, for violin & orchestra (1985)
 いきなりのメンデルスゾーンのヴァイオリンコンチェルトからの引用でスタートするので驚きです。でも調性の音はラストにも現れるそれだけです。以外はシャリーノの世界、静音のvnの疑似トレモロに管・弦・打の楽器の刺激音が乗ります。静音が占める範囲が広がります。後半に現れる管楽器の特殊奏法は印象的ですね。
ここから3曲、1980-1990年は引用や反復、特殊奏法の技法に集中した時代ですね。

3. Frammento e Adagio, for flute & orchestra (1991)
 CDの曲目表記が変ですが、これは次の二曲からなっています。flが主役の音楽です。フルートで現代音楽というとファーニホウやサーリアホを思い出しますが、時代の楽器だったのかもしれませんね。
・3-1. Frammento
 この時代にフルートの特殊奏法が随分と考え出されたわけですが、これはその奏法を全面的に押し出した楽曲です。今となっては不思議でもありませんが、そんな音だけで構成されていく時間が曲の半分を占めています。その後は静音が背景を支配していき、その上にフルートが乗ってきます。
・3-2. Adagio
 静音でスタート。シャリーノの静寂世界です。音楽以外の環境音が気になってしまう程の、そしていかにもこの時期のシャリーノらしい静音パートにflの強烈な音色が一瞬パルスとなって出現します。これがシャリーノ!
fluteは Mario Caroli になります。

[CD 2]
1. Morto di Borromini, for orchestra & speaker (1988)
 17世紀のイタリアのバロック建築家フランチェスコ・ボッロミーニをモチーフにした楽曲です。静音パートに対するパルスに語り(speaker)を入れていますね。ボッロミーニは最後に自殺していますが、この曲はその夜のエモーションと狂気を表しているそうです。確かに流れ続く静音は一風変わって浮遊感を漂わせて、後半になって全体はクレシェンドしていきクラスターになります。何のどの様な特殊奏法かわかりませんが興味深い音の流れです。シャリーノの変化を感じられます。

2. I fuochi oltre la ragione, for orchestra (1997)
 この曲から後、1900年代以降の作風は現代までに通じますね。
ライナーノートは、彼の音楽はノイズではあるがhyper-real effectによるノイズへの帰結結果であるとの事。そしてそれをオーケストラの為に、様々な事象をサイコアコースティックに表現したそうです。わかりません…w
静音パートはただ流れるだけではなく、ここでは各楽器が個性を持って独立した特殊技法音を並べます。その流れ自体が波の様な大きなウネリを感じさせますね。ドローンではありませんし、後半は強烈な等拍パルスが楽曲を支配します。
それまでの、支配する静音と対比する強音、の単純化構造とは違う処が今の時代につながります。

[CD 3]
1. Recitativo oscuro, for piano & orchestra (1999)
 ピアノ協奏曲ですね。ピアノは会話であり楽曲は怪物が住む風景で、全てのリスナーな理解を破壊するそうです。
ここでも等拍パルスが支配しながら叫びやインパルスの様な音が現れます。その中をノイズではない無調のピアノが走る構成になります。時にパルスはクラスターにかき消されます。基本は静の流れに強音の出現です。
試しにYouTubeで聴いてみる?

2. Il suono e il tacere, for orchestra (2004)
 鼓動の様な等拍パルスの中に、動機の存在するグリッサンドが各楽器で横行します。そして現れるクラスター。基本は変わりませんが、完全な静音は薄れてはきています。この時期の特徴でしょうね。以前紹介したStrings Quartetと類似した展開です。
後半は等拍パルスが消滅して強弱音の入り混じったカオスになります。

3. Shadow of sound, for orchestra (2005)
 フルートが主役の音楽で、フルートは息でありオーケストラは風の流れのハープになるとあります。ドローンが復活して弦のグリッサンドも現れながら、そんな呼吸と静の流れが全体を占めるのが前半。徐々にクレシェンドして弦楽器が主役になりながら後半5分は再び静が回帰、ラストはディナーミクを上げて終わります。

通して聴くには約3時間を必要としますが、是非そうしたいシャリーノ・ファン必携のアルバムです。
どの時代も変わらない特殊奏法に静音の流れに加わるインパルスといったノイズ空間音響系音楽で、今の時代の現代音楽の潮流の一つ。好きですね。^^v

イタリア現代音楽を得意とするティト・チェッケリーニ(Tito Ceccherini) 指揮、RAI国立交響楽団(Orchestra Sinfonica Nazionale Della RAI) の演奏になります。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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