バイロイト音楽祭2015 楽劇「トリスタンとイゾルデ」をNHKプレミアムシアターで観る

同曲のバイロイトでは唯一の日本人指揮者として2005年に大植英次が登場していますね。苦い記憶ももう10年前なんですねぇ。

今回注目の新演出はリヒャルト・ワーグナーのひ孫, 祝祭劇場監督のカタリーナ・ワーグナー(Katharina Wagner) 。またもや刺激の強い演出で楽しませてくれたのでしょうか。指揮もバイロイトの雄クリスティアン・ティーレマンですし興味は尽きませんね。
バイロイト音楽祭 2015年 トリスタンとイゾルデ

演出の結果はもちろん期待を裏切ることなく、二人は媚薬を飲まずに ラストはイゾルデが王に連れ去られるという驚きの設定です。
確かに心に秘められた恋なのですが、第一幕の最後で出会った処からすでに抱き合いキスシーンです。誰も知っての通り、相手を殺し自分も死ぬ為の毒薬、実はそれが媚薬と言うのが本来ですが、飲まずに二人でこぼして愛に燃えるという設定です。終盤 飲んでいない事にやや違和感がある展開には感じますが…
そしてラスト。死して横たわるトリスタンを残してマルケ王がイゾルデを連れて舞台から去るという驚き!
今や古典的な舞台や衣装ではバイロイト音楽祭らしくないと感じるようになりましたね。
そのうち楽曲も大きく編曲するんじゃないか、なんて思うぐらいです。

舞台は全体的に無機質でシンプルです。第一幕が柱と階段構築、船とは思えませんね。第二幕はパイプの柵の様なセットとテントの様な布を使っています。二人は密会のはずなのにメロート達が監視する中で長い「愛の二重唱」を歌います。罠の意味でしょうか。そして夜を讃えるシーンは暗い舞台のシルエットが続きますね。なぜか二人は徐々に血にまみれて行きます。
第三幕では椅子と配役、昼を象徴する光の縁取る三角形。それにイゾルデの仮面幻影です。ここではややアヴァンギャルドさが光りましたね。

衣装はやや現代風にはなりますが特殊性は低いです。キャラクターごとに単一色を基本とした面白い設定です。トリスタンとイゾルデが濃いブルーで従者の二人が茶緑、マルケ王やメロート達は黄土色といった風になっています。

配役では突出して印象深い事はありませんでした。イゾルデ(Evelyn Herlitzius)が通して熱唱系です。中盤以降 陰湿な気配を漂わせる方が気配ですが、バリバリでした。トリスタン(Stephen Gould)は第三幕の熱唱はあるもののヘルデンテノールっぽさ、伸びやかな高音、が今ひとつかなぁって感じでしょうか。スティーヴン・グールドは日本でもヘルデンテノールとしても登場しているのですが、好みの問題でしょう。
声はマルケ王(Georg Zeppenfeld)が好きでしたね。バスの重さを控えめに唄う第二幕後半は独壇場に思えましたね。

指揮のティーレマンもアゴーギクを強めに振るのが特長的で、舞台向きでしたね。有名な第一幕の前奏曲でも強く感じました。

何かと物議をかもしだしてこそバイロイト。今年観られたこの一本もそういう意味で充分楽しめました。(笑)

<出 演>
 トリスタン(マルケ王のおい): スティーヴン・グールド
 イゾルデ(アイルランドの王女): エヴェリン・ヘルリツィウス
 国王マルケ: ゲオルク・ツェッペンフェルト
 クルヴェナール(トリスタンの従者): イアン・パターソン
 メロート(マルケ王の臣): ライムント・ノルテ
 ブランゲーネ(イゾルデの侍女): クリスタ・マイア
 牧童/若い水夫: タンセル・アクゼイベク
 かじとり: カイ・シュティーファーマン

<合 唱> バイロイト祝祭合唱団
<合唱指揮> エバハルト・フリードリヒ
<管弦楽> バイロイト祝祭管弦楽団
<指 揮> クリスティアン・ティーレマン

<美 術> フランク・フィリップ・シュレスマン、マティアス・リッパート
<衣 装> トーマス・カイザー
<照 明> ラインハルト・トラウプ
<演 出> カタリーナ・ワーグナー


カタリーナ・ワーグナーには賛否両論あるのでしょうが、少なくとも彼女がいたので近年TVで楽しめる様になったのは事実でしょうね。

収録:2015年8月7日 バイロイト祝祭大劇場(ドイツ)

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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