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マーラー 交響曲 第5番 名盤・珍盤 180CD聴き比べ! [#9 : 126-140]


グスタフ・マーラーの交響曲第5番の聴き比べも、今回の15CDで140枚まで来ました。今回はストックを聴きつつ、昨年録音のチョン・ミュン-フンや本年録音になるポール・ダニエルを入れています。


Mahler Symphony No.5 -- 180 CDs

 ★:名盤 (一般的いわれている…と思う盤)
 ☆:個人的お勧め
 ㊟:とっても変わっています (普通の演奏じゃ満足出来ない貴方にw)


 #1:15CD
バーンスタイン[x5 ★☆], カラヤン[x3 ☆], プレートル, 小澤征爾, ジンマン, モリス[㊟], ブロムシュテット, ドゥダメル, ドホナーニ, マーツァル[x2], 参考音源/資料類
 #2:20CD
M.T.トーマス, テンシュテット[x6], ベルティーニ[x2 ㊟], ノイマン[x3], 小林研一郎[x4 ☆], シノーポリ, 井上道義, ザンダー[x2]
 #3:25CD
インバル[x4], セーゲルスタム[☆], ノット, ダーリントン[☆], ルドルフ・シュワルツ, スワロフスキー[㊟], レヴァイン, 外山雄三, ノリントン, ロジェヴェン[㊟], ズヴェーデン, 飯森範親, 尾高忠明, 若杉弘, ルイージ, ホーネック, ヴィト, シェルヘン[x4 ㊟]
 #4:20CD
ハイティンク[x4], ブーレーズ[x3 ★㊟], メータ[x3 ☆], クーベリック[x3], ショルティ[x3 ★☆], バルビローリ[x2], デプリースト, バルシャイ[☆], バレンボイム
 #5:5CD アバド追悼
アバド[x5 ★☆]
 #6:15CD
マゼール[x3], ナヌート, テミルカーノフ, スウィトナー, 上岡敏之, 井上喜惟, 西本智実, ベシェック, N.ヤルヴィ, アルブレヒト, I.フィッシャー, 堤俊作, フェルスター
 #7:10CD
ガッティ[㊟], レヴィ, コンロン, リットン, ファーバーマン, クライツベルク, アブラヴァネル, フェルツ[㊟], 大植英次, マッケラス
 #8:15CD
サラステ[x2 ☆], ギーレン[x2 ㊟], M.シュテンツ[x2], ジェラード・シュワルツ[x2], ヘルビッヒ[x2 ㊟], フェドセイエフ, リンキャヴィチウス[㊟], フリーマン, タバコフ, ラート
 #9:15CD 本投稿
カサドシュ, ヘンヒェン, ノイホルト, インキネン, コンドラシン[x2], オストロフスキー, ポポフ[㊟], ミュンフン, マック・カーロ, オラモ, ダニエル, アルミンク, アシュケナージ, ヴァイネケン, ヒルシェ
 #10:10CD
ゲルギエフ[x4 ☆], ラトル, ジークハルト, ロンバール, マデルナ[㊟], リーパー, 山田 一雄
 #11:10CD
シャイー[x2 ★], スラドコフスキー, シーヨン, ワールト[☆], エッシェンバッハ, シップウェイ, P.ヤルヴィ, ネルソンス[☆], スターン
 #12:20CD
バリエンテ, 佐渡裕[x2], 大野和士, ハーディング, A.フィッシャー[☆], ロト, スヴェトラーノフ[x2], ヴァンスカ, ヤンソンス[x2 ★], ワルター[☆], ミトロプーロス, ケンペ, ロスバウト, パレー, ホーレンシュタイン, ラインスドルフ, アンチェル, ブリッグス(オルガン), ナタリア(アンサンブル)




ジャン=クロード・カサドシュ, Jean-Claude Casadesus

Orchestre national de Lille
[Forlane] 1989-7


ピアニストのロベール・カサドシュの甥で、ブーレーズに師事したジャン=クロード・カサドシュ。自ら設立したリール国立管弦楽団を振ったマーラー5です。

第一部
葬送行進曲は適度な陰鬱感で、第一トリオはテンポアップを速めで、第二トリオの哀愁もクセなく、と安心感はありますね。第二楽章第一主題も教科書的、第二主題も穏やかな哀愁感です。展開部の"烈→暗→明"のコントラストはモッサリと切れ味に欠け、再現部の第二主題でも淡々と流れます。標準的でほどほど感の第一部です。
第二部
スケルツォ主題はスタンダードに、レントラー主題も取り分けて言う特徴はありません。第三主題のオブリガート・ホルンもほどほど、続く変奏パートも何となく的です。展開部の切れ味でそれを締める事もありませんね。再現部も同様で、気持ちが伝わり辛く、どこかスッキリとしないのが残念です。演奏に欠点も悪さも無いのですが…
第三部
第四楽章主部は淡々とやや速めに、中間部も繊細さを見せますが、今ひとつ掴み所が無いアダージェットです。第五楽章は第一主題と第二主題をテンポ良く軽快に登って、初めて少し気持ちが感じられます。展開部は穏やかさから上げてピークは発散する様に。再現部後半からコーダは標準仕様でしょう。



標準的ですが魅力の低いマーラー5です。欠点も無いけど良さも伝わらない、と言った風で気持ちのこもった一体感とも縁遠い感じです。

個性や気持ちがあれば良いというものでは無いのですが、いずれ惹かれるパートが無いというのは辛いところです。





ハルトムート・ ヘンヒェン, Hartmut Haenchen

Netherlands Philharmonic Orchestra
[PentaTone] 2001-3


旧東ドイツ出身のヘンヒェンが初代首席指揮(1985–2002)を努めた、ネーデルラント・フィルハーモニー管弦楽団 (オランダ・フィルハーモニー管弦楽団とも)とのライブのマーラー5です。

第一部
葬送行進曲は落ち着いたテンポと微秒なアゴーギクで締まりがあります。第一トリオでも慌てずにキレの良い音色を聴かせて、第二トリオも美しさを感じる様な哀愁が上手いですね。第二楽章第一主題はビシッと締まりよく、第二主題の哀愁は一楽章二トリオより濃いめです。展開部はvc動機で暗く鎮めたコントラスト付けが上手く、その音色も澄んで美しいですね。再現部も第二主題でのピークを気持ち良く鳴らします。アゴーギクとディナーミクを生かしてスカッと見晴らし良い第一部です。
第二部
スケルツォ主題は少しhrが詰まり気味?でしょうか、もう少しヌケが欲しい様な… レントラー主題はスロー優美にチェンジして良い感じ、アゴーギクが効いています。第三主題はhrよりも弦の音色が勝ちましたね。変奏パートもダレるのをアゴーギクで躱して、続く展開部の締まりの良さでまとめました。再現部も気になるのはhrのヌケの悪さで、演奏や流れはともかく管楽器が今ひとつなのが残念です。
第三部
第四楽章主部はやや変則、速めの流れと個性的アゴーギクながら透明感はしっかりと。中間部の美しさはグッと来ます。この楽章に個性を振るのは危険なのですが、興味深いアダージェットです。最終楽章の両主題は王道的に進み、コデッタ主題も約束通りに優美さを見せます。展開部は徐々に上げるというよりも力感で進み期待値を上げて山場を作ります。再現部山場からコーダはパワー炸裂でアッチェレランドもピシッと決めます。お見事!! もちろん大ブラボーです!!



見晴らしと鳴りの良いマーラー5です。アゴーギクとディナーミクの色付けがフィットした流れ、そしてSACDの高音域での透明感と音分離も貢献していますね。

残念なのは第三楽章の金管群が少し足を引っ張った事。それがなければハイレベルな一枚だったと思います。個性的アダージェットも光りますね。





ギュンター・ノイホルト, Günter Neuhold

Orchestra Sinfonica dell'Emilia-Romagna "Arturo Toscanini"
[Warner Fonit] 1986-5/9


オーストリア人指揮者ノイホルトとエミリア・ロマーニャ交響楽団による演奏です。ギュンター・ノイホルトがイタリアの同楽団、別名アルトゥーロ・トスカニーニ交響楽団の首席指揮者(1981-1986)を務めた最後年の録音です。

第一部
荒っぽいファンファーレ、揃いが悪く微妙な揺さぶりの葬送行進曲、第一トリオではその荒っぽさが生きて、第二トリオの哀愁も尖った雰囲気を感じます。第二楽章第一主題は速く乱暴にマーラーの意図を表現?! 第二主題も丁寧な哀愁とは感じづらいですね。展開部は当然ながら序奏の荒々しさが特徴的、再現部もアゴーギクを振って第二主題を盛り上げます。演奏レベルは今ひとつ、荒っぽく乱暴な第一部です。
第二部
スケルツォ主題は揃いと演奏レベルが悪くモワモワと寝ぼけています。レントラー主題も優美とはいきません。第三主題は変にスロー化し主役のホルンもいっぱいいっぱい、でも変奏パートは少しテンポアップで上手いです、演奏はパツパツですが。展開部から再現部は主題がどうのと言う範疇ではありません。個性的なアゴーギクですが、管楽器は酷くスケルツォになっていないかも… コーダの暴れ方は見事で揃いもgood!! えっなぜ??!!
第三部
第四楽章主部はスローに妙なアゴーギク、中間部もスローでイマイチの落ち着かないアダージェットです。極端なアタッカで流れ込む最終楽章第一・二主題は荒さを見せながら突き進み、あまり聴いた事がない流れ、コデッタも優美さに届きません。展開部も同じく始めから肩に力が入った流れでガタガタですw 再現部コーダは下手なんだか荒々しいのかわからないこのセットらしさを見せて盛り上げ、聴かせ処フィニッシュのアッチェレランドは何となく尻切れトンボの感じです。



全体的にギスギスと荒っぽいマーラー5です。アゴーギクも個性的に付けて面白いのですが、どこまでがノイホルトの意図で、どこからが演奏の酷さなのかがよく分かりません。録音もあまり褒められたレベルではないかも…

乱暴で荒っぽいのが好きな方は聴いてみてもいいかもしれませんが、危険性は大ですw





ピエタリ・インキネン, Pietari Inkinen

Japan Philharmonic Orchestra
[JPO] 2012-4/6, 7


シベリウスを得意とするフィンランド人指揮者インキネンが2009年より首席客演指揮者を務める日本フィルハーモニー交響楽団を振ったマーラー5です。
【後日記】2016年より首席指揮者です。

第一部
ファンファーレからスローで 鬱で沈んだ歩みの葬送行進曲、第一トリオはテンポアップも抑え気味でこのパートとしてはマイルド。第二トリオを含めて全体緩やかな第一楽章です。第二楽章第一主題も激しさはコントロールされて、第二主題も哀愁より穏やかさです。展開部もvc動機の静の淡々とした流れが印象的、再現部もスロー基本で落ち着いていますね。アゴーギクの少ないスローで穏やかな第一部です。
第二部
スケルツォ主題はホンワリとした柔らかさ、レントラー主題はやや速めですが緩やかに。第三主題はオブリガート・ホルンが力感を抜いて穏やかに、変奏パートも終始落ち着いています。その後も力を見せるパートである展開部やコーダも肩の力は抜けていますね。緩やかで美しい第二部です。録音の良さも手伝っていますね。
第三部
アダージェットは淡々として静謐な美しさなのか 微妙な流れ、中間部では珍しくアゴーギクを感じました。第五楽章第一・二主題はスローに明瞭に奏でポリフォニーを感じさせて、コデッタは優美。展開部は抑えたテンポが少し足を引っ張っている感じ。再現部山場からコーダも興奮は避けつつキッチリ、アッチェレランドも決めて締め括ります。



終始スローで落ち着いたマーラー5です。スカッとしないと感じるか、端正とみるか、好みが別れそうな微妙な立ち位置です。

アゴーギク/ディナーミクの揺さぶりを排して情熱とは無縁です。その代わりに独特の安定した雰囲気があります。個性的と言えば個性的!?…ですね。





キリル・コンドラシン, Kirill Kondrashin

旧ソ連出身のコンドラシンと言えば、首席指揮者(1960-75年)を務めたモスクワ・フィル(Moscow Philharmonic Orchestra) なのですが、MPOとはこの曲の録音を残していません。ちなみにMPOとの来日でマーラー9番の日本初演(1967年)をしていますね。1978年にオランダに亡命しています。

所有は3つのオーケストラになります……と言いたい処ですがw



USSR State Symphony Orchestra
[Melodiya] 1974-7


(所有の全集です)

コンドラシン(Кирилл Кондрашин)とロシア国立交響楽団(The State Academic Symphony Orchestra of Russia)のマーラー5です。

第一部
静粛な弦の葬送パートと派手な管のファンファーレ(導入句)の第一楽章主要主題、第一トリオはスローの変則ですがメリハリがありバランスが良く、第二トリオは薄い流れの哀愁から濃厚に。第二楽章第一主題は速く一楽章第一トリオとの違いを見せ、ナチュラルな哀愁の第二主題へと流れます。展開部も序奏・第一主題・第二主題のコントラストを明瞭に。再現部も出し入れ良く、コーダからフィニッシュはやや暴れ気味です。淡々としつつメリハリある第一部です。
第二部
スケルツォ主題は各楽器が色濃く鳴らし、レントラー主題も濃厚な優美さを感じます。第三主題オブリガート・ホルンは濃厚にややスロー化、変奏パートもその流れで濃いめの優美さで、短い展開部をテンポアップでまとめます。上手いアゴーギクとディナーミクで、全体的に色濃さを感じる第三楽章ですね。コーダもシャープです。
第三部
第四楽章主部は揺さぶりを入れて速め、中間部も同様に色濃く やや暑苦しいアダージェットでしょうか。第五楽章第一主題は穏やか、第二主題はテンポを上げて引っ張り、コデッタ主題は速めの優美です。展開部は速く荒れ気味に上げて、山場を色濃く作ります。再現部山場からコーダは一気に激走で派手に鳴らします。お見事!!



速くて筋肉質なマーラー5です。基本は濃厚なのですが、速いテンポ設定で胃にもたれる様な重さはありません。

荒っぽさも見せていて、コンドラシンらしい流れの楽しい一枚です。





USSR TV and Radio Large Symphony Orchestra, Moscow
[AUDIOPHILE CLASSICS] 1974


コンドラシンとモスクワ放送交響楽団(チャイコフスキー・シンフォニー・オーケストラ)のマーラー5です。

でもこれ、実は上の盤と同じ演奏です。所有盤はSACDでもないのにゴールド・ディスクですが、音は上記より良いですね。聴く時はこちらです。(独盤です)

注:Mahler Discography Kaplan Foundation 確認済み (コンドラシンの残したマーラー5は上記の一回だけです)




Philharmonie De Moscou
[LYS]


もう一つの所有の仏LYS盤、1, 3, 4, 5, 9番のマーラー全集です。

なんとモスクワ・フィル(Philharmonie De Moscou)になってます。混乱する様なロシアのオケの名前も含めて困ったもんですねw




アヴィ・オストロフスキー, Avi Ostrowsky

BRTN Philharmonic Orchestra Brussels
[Discover] 1994


ベルティーニやスワロフスキーに師事したイスラエル生まれの指揮者オストロフスキーがブリュッセル・フィルハーモニックを振ったマーラー5です。

第一部
落ち着いたファンファーレからスロー&マイルドな葬送行進曲、第一トリオはほどほどのテンポアップと刺激を与え、第二トリオもソフトな哀愁になっています。第二楽章第一主題もややスローで刺激は少なめ、第二主題もそう言った哀愁になっています。展開部も"烈→暗→明"のコントラストはスローにボケて、再現部の第二主題も刺激と締まりが不足ですね。スローでソフト、かったるい第一部ですw
第二部
スケルツォ主題はスローでも聴けますね。hrはやや怪しげですが。レントラー主題もスロー優美でフィットします。締まりには欠けますが。第三主題のオブリガート・ホルンは弦楽共々スロー、変奏パートも引きずられてボンヤリ。それを締めるはずの展開部も、刺激的な主題が魅力の再現部もほどほどです。これは第一部の延長線かと思いきや, コーダは唐突の快速と切れ味!! なんでしょ, これは?
第三部
第四楽章主部は冷たい流れの静の美しさ、中間部もクールで好みのアダージェットなのですが、スローが耳につきます。第五楽章第一・二主題は程よいテンポで軽快、コデッタも軽妙です。展開部は静から登って行く主流の流れで締まり良く、山場を暴れ気味に盛り上げます。再現部山場からコーダは大きく華々しく、フィニッシュのアッチェレランドも堂々と決めます。悪くありません!



スローで緩んだ流れに, 時折締まりを見せるマーラー5です。全体スロー&マイルドのぬるま湯的なのが残念ですが、ここぞのポイントだけは押えていますね。

最終楽章はそれなりに聴かせてフィニッシュを締めていますから、コンサートだったら帳尻合わせ大成功?! (笑)





アレクセイ・ポポフ, Alexei Popov


Kuibyshev Opera Symphony Orchestra
[Selectmedia] 1980

popov mahler 5

ロジア人指揮者ポポフが、ロシアのクイビシェフ・オペラ交響楽団を振ったマーラー5です。両者共に知見がありません。それが米でリリースされるという不思議さです。演奏も不思議なのですが…w

第一部
管楽器が元気な第一楽章、淡々とした葬送行進曲から続く第一トリオでテンポアップは極弱めですが、力強く鳴らします。回帰する主部はなぜかギクシャクとした揺さぶり、第二トリオはクセがありません。第二楽章第一主題がスローで演奏がギスギス、第二主題はスローで薄めの哀愁の不自然さです。展開部は序奏がスロー・ギクシャク、vc動機はスローでのっぺり。再現部では第二主題がスローに奇妙なアゴーギクでモッサリ。変則スローでギクシャクしてなんだか躓きそうな第一部です。
第二部
スケルツォ主題は優美さは弱く後半はギクシャク弾が炸裂! レントラー主題は速めの優美さで普通ですw 第三主題はオブリガート・ホルン、変奏パート共に落ち着きを取り戻していますね。展開部は微妙にスローでギクシャクで、再現部も期待に応えて奇妙なリズム感を聴かせ、コーダでは走らずに爆演です。スロー・ギクシャクが処々に振られて期待にワクワク?!w
第三部
第四楽章主部は緩いアゴーギクと肩に力が入った様な流れ、ラストは超濃厚です!! 最終楽章第一・二主題は速めですが力が入ってスムーズとは言えずギクシャク上げて、コデッタ主題は素っ気なく。展開部は荒っぽく始めから力感強く進んで疲れます。再現部山場からコーダはパワープレイで残る力を発散させ、アッチェレランドでまとめます。お疲れ様でした!!



力が入ってギクシャクの変わりダネのマーラー5です。テンポがスローでも速めでも、そのスタンスは同じですね。

ちょっと変わった一枚ですが入手が難しいかも… "Heard Before Classical Hits" とかのローカルシリーズ物で、ライナーノートも入ってません。amazonUSにはストックがありますね。





チョン・ミュンフン, Myung-Whun Chung

Seoul Philharmonic Orchestra
[DG] 2014-5/22-23


チョン・ミュンフンが手兵ソウルフィルとマーラー・チクルスを進める中のマーラー5です。

第一部
美しさを感じるスローな葬送行進曲、テンポと鳴りの良い第一トリオ、美しい哀愁の第二トリオと王道の第一楽章です。録音が良く低音が響きますね。第二楽章第一主題は教科書的な刺激、第二主題も一楽章二トリオのトレース的です。展開部も"烈→暗→明"を明確に付けて、再現部の第二主題はピークとコラールをキッチリと鳴らしています。バランスが良い第一部ですね。
第二部
スケルツォ主題は速めで優美に、レントラー主題はスローに対比です。第三主題のオブリガート・ホルンは朗々と、変奏パートも僅かな揺さぶりで上手く聴かせますね。展開部はほどほどに刺激を付け、再現部は三つの主題をテンポアップして第三主題を大きく、コーダは勿論キッチリ決めます。安心して聴けますが意外性や個性は低いかも
第三部
第四楽章主部は暖色系スローで抑え気味、中間部もクール。ほど良い叙情的ディナーミクのアダージェットでしょう。最終楽章第一・二主題は教科書的ですが、反復でスロー化してコデッタの優美さを生かしていますね。展開部の流れはスタンダードに、再現部の山場からコーダは見事に盛り上げてアッチェレランドもビシッと入ります。取ってつけた様なフラブラ的アプローズが強烈ですw



安心して聴ける王道的マーラー5です。主題毎のアゴーギク差別化という個性もありますね。

超安定的でワクワク感には欠けますが、その手の方向が好みの方にはとても向いています。録音も良好ですね。この前年2013年6月のN響との演奏より良いと思います。





マック・カーロ, MAK Ka-lok

Russian Philharmonic Orchestra
[HUGO] 1993-10/9,10


マッケラスに師事した香港生まれの指揮者 麥家樂(MAK Ka-lok, ジャケット記述通り) が ロシア・フィルハーモニー管弦楽団を振った馬勒5番です。このオケは録音専用で、メンバーはモスクワ放送交響楽団・他から集められているそうです。残念ながら指揮者には知見が無く、マック・カーロの呼び名も合っているかわかりません。(汗)

第一部
整然としたややスローの葬送行進曲、第一トリオもスローで荒々しさより広がり、第二トリオの哀愁は程良さです。第二楽章第一主題はテンポアップですが管楽器が怪しく、第二主題は第二トリオの再現的です。両主題とも奇妙なアゴーギクを感じます。展開部は序奏, vc動機, 第二主題行進曲のコントラストはクセなく、再現部も流れは安定的ですが、演奏が少々不安定ですね。
第二部
スケルツォ主題はスローかつhrが不安定で落ち着きません。レントラー主題もスローですが全く締まりません。第三主題はオブリガート・ホルンがダメですから論外です。展開部もテンポアップしますが、楽器の揃いが悪いです。再現部も入りからhrがメタメタ、楽器間の揃いもガタガタですね。19'40"という長さで締まらない演奏ですから真面目に聴くのが厳しいです。
第三部
第四楽章主部はスローですが濃いめ、中間部は繊細さを見せますが主部回帰はダラ〜と長いです。弦楽奏なので醜い馬脚を表さずに済んだと言う処でしょう。最終楽章はhrを始めとする管楽器群がボロボロ、流れは奇妙なアゴーギク、不安定満載の流れに終始します。



指揮者の意図も演奏も怪しいマーラー5です。スローで奇妙なアゴーギクと不安定な管楽器がそう感じさせるのかも。オケの揃いも…(楽器間のミキシングのバランスも??)

と言うか、全てに締まりが欠けて最下位争いレベルの一枚でしょう。残念ながら。





サカリ・オラモ, Sakari Oramo

City of Birmingham Symphony Orchestra
[Warner] 2004-10/26,28


フィンランド人指揮者サカリ・オラモが英バーミンガム市管弦楽団(CBSO) の音楽監督(1998-2008)を務めた時のマーラー5です。

第一部
緩やかでバランスの良い葬送行進曲、第一トリオも少し速めのテンポアップと切れ味で対比の良さを感じます。第二トリオの哀愁も速めの流れで重さを回避していますね。第二楽章もマーラーの意図通りに速く荒々しい入りから緩やかな第二主題へと繋ぎますが拗さはありません。ただ、展開部の"烈→暗→明"のコントラストはほどほど感になり、再現部も速めの流れを元にややフィット感に欠ける第一部ですね。
第二部
スケルツォは弾むイメージを強調、レントラーは少し揺さぶって軽妙さ強調、色濃い味付けですね。第三主題のオブリガート・ホルンも揺さぶりを掛けて、変奏パートはアゴーギクを強めます。展開部はそこから解き放つ様に力感を強めていますね。再現部もアゴーギク・ディナーミクを強く振って、揺さぶりでクドい第三楽章になりました。
第三部
第四楽章主部も気になる揺さぶりを入れて、中間部も繊細ですが濃いですね。ふと古いアダージェットを思い出しました。メンゲンルベルクなどはもっと濃くてやたら速かったですね。最終楽章は序奏が妙な揺さぶりで出鼻を挫かれます。提示部第二主題は弦が慌ただしく落ち着きません。 反復前後の揺さぶりは極端です。展開部はバランスとまとまりが今ひとつで山場は荒く、再現部も冒頭の主題に揺さぶりを掛けています。山場からコーダは一気にテンポアップとアンフィットですが、荒っぽく駆け抜けます。揺さぶりとまとまりに欠ける最終楽章で残念です。フラブラと大喝采ですが…



焦点が定まらずスッキリしないマーラー5です。後半に向けて揺さぶりがどんどん悪化して、安定感に欠ける流れになっているからでしょう。

演奏・録音は良いのでちょっと残念ですね。フィニッシュは見事なアッチェレランドでコンサート受けでしたが。





ポール・ダニエル, Paul Daniel

Orchestre National Bordeaux Aquitaine
[Actes Sud] 2015-1


エイドリアン・ボルトやオペラを得意としたエドワード・ダウンズに師事したイギリス人指揮者 ポール・ダニエルが2013年から音楽監督を務めるフランス国立ボルドー・アキテーヌ管弦楽団(ONBA)を振ったマーラー5番です。本年1月の録音になりますね。

第一部
スローで'ため'を利かせた重厚なファンファーレから鬱の葬送行進曲、第一トリオは緩いアゴーギクで鳴り良く、第二トリオも僅かに揺さぶりを利かせた哀愁です。第二楽章第一主題はスタンダードな激しさとテンポ、第二主題の哀愁もまとまりが良いですね。展開部の"烈→暗→明"のコントラストも鳴りの良さで聴かせ、再現部も第二主題を微妙なアゴーギクで彩ります。緩いアゴーギクと鳴りの良さの第一部です。
第二部
スケルツォ主題はhrも落ち着いて軽やかに、レントラー主題は優美な弦楽奏になりますね。第三主題のオブリガート・ホルンは心地良く鳴らして弦は美しく、変奏パートは勿論アゴーギクの色付けです。展開部は流れを締める様にアップテンポで華やか、再現部の回帰的な第一主題から後半の落ち着いた第二主題へ。コーダはアップテンポで気持ち良く締めくくります。華やかで美しいスケルツォになりましたね。
第三部
第四楽章主部はクールで透明感があって、中間部も清廉な美しさです。全体の流れにフィットした静美なアダージェットですね。最終楽章序奏は揺さぶります。第一主題も揺さぶりとスローで、第二主題はテンポアップ、上手くマッチさせてコデッタを優美に聴かせます。展開部は締まりを見せつつも刺激は抑え目に、ピークを華やかに迎えて、再現部山場からコーダは見事な一体感で大きく華麗にフィニッシュします。ちょっとゾクッとします!!
盛大なアプローズが待っていました。



華やかさ美しさを感じる独特なマーラー5です。程良いアゴーギクと鳴りの良さがフィットして、録音の良さも手助けしているでしょう。殊更の力感は避けていて、これも'あり'ですね。

この心地良さは似た演奏が浮かばず、美的なマーラーを聴きたい貴方にはオススメです!!

ジャケットも特徴的で縦長の豪華なデジブック(DVDケースサイズ)になっていますね。





クリスティアン・アルミンク, Christian Arming

New Japan Philharmonic
[fontec] 2004-11/19,20


DG(ドイツ・グラモフォン)社長を父に持つオーストリア人指揮者アルミンクが音楽監督(2003-2013)就任2年目の新日本フィルハーモニー交響楽団を振ったマーラー5です。

第一部
アゴーギクとディナーミクを効かせた葬送行進曲から、第一トリオもアゴーギクありですがtpに力が無く締まりません。第二トリオは静を生かした哀愁ですがhrが締まりません。第二楽章第一主題は管楽器の不揃い感、第二主題も微妙な揺さぶりに不安を残します。展開部は序奏の一体感がなく、vc動機の音色も不安感がありますね。再現部もスローに振られたアゴーギクが不安定で、揺さぶりと演奏のモタツキが気になる第一部です。
第二部
スケルツォ主題はhrの自信の無さが気になりますね。レントラー主題は強いアゴーギクで優美さを殺します。第三主題オブリガート・ホルンと弦も安定感がありません。展開部・再現部もフィット感に欠ける揺さぶりと演奏の締まりが弱いです。弱点の金管 特にtpは今ひとつ、主役のhrも冴えません。
第三部
第四楽章は主部は悪く無いのですが、中間部を揺さぶった変なアダージェットですね。最終楽章は序奏のhrを聴いて諦めました。コーダもバランス崩れで締まりません。えっ、ブラボー??!!…ですか。
駄耳なので着いて行けませんでした。



体調不良のマーラー5です。「ねぇねぇ大丈夫? 具合悪くない?」 みたいな。(笑)

アンフィットなアゴーギクと一体感に欠ける演奏で 気持ち良く聴く事ができません。録音は良いので残念ですね。





ウラディーミル・アシュケナージ, Vladimir Ashkenazy

Sydney Symphony
[EXTON] 2010-5/20-22 (Session and Live)


説明も不要なウラディーミル・アシュケナージはユダヤ系ロシア人ピアニストにして指揮者ですね。アシュケナージがシドニー交響楽団の首席指揮者時代(現:音楽監督)のマーラー5です。

第一部
スローな葬送行進曲は管楽器の鳴りも良くゆとりを感じます。第一トリオも心地よいテンポアップで音の広がりが良く、第二トリオの哀愁も気持ち良さですね。第二楽章もアップテンポでシャープな序章・第一主題からスローで優美さの第二主題とバランス良く。展開部はvc動機のスロー静と行進曲の明るさが印象的です。再現部はコラールを華やかがありますね。音と抑揚のマッチが心地良い第一部です。
第二部
流れる様なスケルツォから入る第三楽章ですがhrが僅かに怪しげ、第二主題レントラーはスローで優美そのもの。アゴーギクが効いています。第三主題でのオブリガート・ホルンも朗々と鳴りますね。変奏パートはピチカートが少し微妙ですが。展開部は明るさ強調でキッチリと、再現部は第二主題を華やかに鳴らして、コーダは勿論華やかな快感です。しっかりまとまった第三楽章です。
第三部
第四楽章主部はアゴーギクを振っていますがスロー静キープ、中間部もスローで情感を表現、美しさを強調するアダージェットです。甘美と受け取るかは個人差がありそうです。最終楽章の二つの主題はしっかりと鳴らして、コデッタ主題も流れに乗った優美さです。展開部も特徴的な鳴りの良さですね。再現部山場からコーダは激しさよりも華やかさ強調です。



主題のメロディーライン強調の心地良いマーラー5。アシュケナージらしい肩肘張らない明瞭明快さです。強音パートも力感より華やかさですね。

迫力や刺激が好きな方だと、物足りなさがあるかもしれません。また、この録音はセッションとライヴで構成されている事が記されていますね。(ライナノートに説明はありませんが、Recording dateに記載があります。LIVEのエラーを補填するのは良くある事ですが…)





クリストフ・ヴァイネケン, Christoph Wyneken

Landesjugendorchester Baden-Württemberg
[BAUER] 2007-11/10


ドイツの指揮者ヴァイネケン(ヴィネケン?)とバーデン=ヴュルテンベルク青年管弦楽団(Baden-Württemberg Youth Orchestra)によるマーラー5です。ヴァイネケンはこのオケLJOとの活動でBruno Frey 音楽賞(Prize of the Provincial Academy Ochsenhausen)を受けているそうです。
残念ながら両者共に知見がありません。ヴァイネケンはMusashino Music Academy in Tokyo(武蔵野音大?)に客員教授として来日経験もあるそうです。

第一部
元気なファンファーレから葬送行進曲は緩く揺さぶりを入れ、第一トリオはやや荒れ気味で元気、ユースらしく強音パートが光る第一楽章です。第二楽章は強烈な序章と第一主題はキレがありますが第二主題はおとなしく…かと思いきや落ち着いた哀愁を聴かせてくれます。展開部は行進曲を気持ちよく歩み、再現部の第二主題も厚みを付けて鳴らします。アゴーギクも上手く使ってユースとしてはなかなか侮れない第一部です。
第二部
入りのスケルツォ主題では流石に管楽器の揃いに崩れが見えてしまいますが、何とか踏ん張っていますね。レントラー主題のスローは弦楽ですから大丈夫。第三主題のオブリガート・ホルンは頑張りましたが、変奏パートは弱々しさですね。展開部はユースらしく勢いに乗り再現部に突入します。第一主題から気持ちよく鳴らして、提示部より遥かに良いですね。コーダは適度に荒れて締まりも良くユースらしいパワーを味わえます
第三部
アダージェットは静的美しさですが、弦に艶がないのは仕方ないでしょう。Wynekenの指揮は今の時代の標準的なディナーミクです。第五楽章 提示部をアゴーギクで何とかまとめて、展開部の山場に辿り着くと元気を取り戻します。その後は再現部静音パートもうまくまとめ、山場からコーダは水を得た魚の如くフィニッシュは大アッチェレランドです。もちろん大ブラボーが待っています。


何年か前のPMFオケのコンサート最終日のマーラー5を思い出しましたね。(客席には友人や両親がいて大はしゃぎです)


元気な強音パートのマーラー9、これがユース・オケの楽しさですね。強音パートだけかと思いきや、アゴーギクでしっかり色付けも出来ています。

静音パートの見晴らし不良と言ったユースの弱点はありますが、コントラストのついた気持ち良さを楽しめます。特にフィニッシュはユースならではの勢いが素晴らしいですね。





ペーター・ヒルシェ, Peter Hirsch

La Jeune Philharmonie
[Cypres BANQUE] 1994-9/8


ケルン生まれでM.ギーレンに師事したペーター・ヒルシェが、ベルギーのユースオケ?、ラジュンヌ管弦楽団を指揮したマーラー5です。

第一部
ゆったりとした葬送行進曲は少しアゴーギクを入れ、軽快でよく鳴らす第一トリオから第二トリオはソフトな哀愁感から力感へ。金管に若干不安感がありますね。
第二楽章 第一主題は揃いが今ひとつ、第二主題はソフトですが少し揺さぶります。展開部はvc動機が落ち着かず行進曲もフィットしません。両方速さが安定性を欠いていますね。再現部も全体速めで落ち着きがありません。
第二部
スケルツォ主題もレントラー主題も速めで、いずれも優美さが感じられません。第三主題オブリガート・ホルンは何とか耐えて、変奏部もそれなりに。展開部は一気に行くかと思いきや何処かヌケが良くありません。再現部も荒っぽいと言うよりも不安定、コーダはなだれ込んだ感じでしょうか。軽快ですが優美さやまとまりに欠けるスケルツォです。
第三部
第四楽章主部は弦楽にもかかわらず怪しげな音で落ち着かないアダージェットです。
第五楽章は不安定な二つの主題で蛇行運転ですが、速い展開部では少しまとまり感が出ています。再現部山場からコーダはハイテンポで大きく鳴らして、フィニッシュはアッチェレランドを効かせます。



何処か不安定さが拭えないマーラー5です。演奏もですが、速め設定の主題が安定感を欠いたりの感じです。おまけに指揮者ヒルシェの唸り声がけっこう強く入ってますw

極端に悪い処はないのですが安定感や一体感がありません、何とか全楽章をまとめたっていう感じでしょうか。







レビューではなくインプレッションなので個人的な感想になりますが、聴き込む事で少しづつ違った印象が生まれているかもしれませんね。まだまだありますがw


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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