サーリアホ Kaija Saariaho の「D'OM LE VRAI SENS」を ダウスゴー / 都響 公演の前に聴いておく

カイヤ・サーリアホ(Kaija Saariaho, 1952/10/14 - )は、フィンランドの女性現代音楽家ですね。
この当時のフィンランドの現代音楽家、というか北欧系現代音楽家、は自国の音楽教育から育つことが多く欧州エクスペリメンタリズムとは距離があると思います。しかし彼女はその本流である独Freiburg(B.Ferneyhough, K.Huber !!)、仏IRCAM(G.Grisey, T.Murail !!!)に習い、バリバリのエクスペリメンタリズムを進んできました。
(スタートはSibelius AcademyでのP. Heininen師事で、現在はパリ在住です)
ダルムシュタットにも登場しポスト・セリエリズムを経ていますが、音列配置的な世界からは逃れて上記IRCAMを主体とした現代音楽スペクトル楽派の一端を推し進めています。
個人的ご贔屓の現代音楽家で、何回か紹介していますね。

今回 武満徹音楽賞の審査員として来日。それに合わせて今週28(thu)代表作「L’amour de loin」, 29(Fri)「 D'om Le Vrai Sens」と本人立会いのコンサートが続き、31(Sun)には同賞審査でオペラシティに登場します。もちろん全て行きます!
そこで、5月29日に演奏される"D'om Le Vrai Sens"が含まれるこのCDを紹介です。

スペクトル楽派らしい音響系管弦楽曲が並ぶ、おすすめの一枚です。電子処理からやや距離を置き、長音の響きを主体とした方向性になってからの楽曲ですね。

□ クラリネット協奏曲「D'OM LE VRAI SENS」(2010年)
 6曲構成で、重なり合う長音を基本とする空間音響の音楽ですね。クラリネット協奏曲の一般的イメージ、オケとの競合いやカデンツァ、とは異なります。確かにIV, V ではclがリードするようなパターンではありますが、主体は積み重ねられた音の響きです。様々な打楽器を加えた耽美で官能的な響きの空間が楽しめますね。
この曲を献呈されたクラリネット奏者のカリ・クリーク(Kari Kriikku)もIV, V で超絶的なテクを見せます。ラストVI のコーダが特徴的で、clの狂気的な演奏の後 静かに収束します。そのパフォーマンス(下記)も興味深いです。

インスパイアされたタペストリー(The Lady and the Unicorn)の件はいろいろと書かれている通りです。また6曲について本人の言葉を借りると以下の通り。クラリネット奏者の面白い動きも書いてあります。
 I. L’Ouïe (Hearing):the calmly breathing orchestra
          クラリネッティストは会場内のどこか見えない処で演奏する
 II. La Vue (Sight):opens up a more mobile landscape
         クラリネッティストがステージに上がる
 III.L’Odorat (Smell):colour music
          オケの後ろで演奏する。指揮台でも良い
 IV. Le Toucher (Touch):the soloist arouses each instrumental section
            ステージ前方に進み出る
 V. Le Goût (Taste):dominated by rough surfaces
          オケの中、前方、指揮台に座る
 VI. A mon seul Désir (According to my desire alone):intimate and timeless dimensionality
          正面に出た後ステージから去る。合わせてvnも立ち去ってよい

その演出も含め、生で観られるのが実に楽しみですよね!

試しにYouTubeで観てみる?
これで当日の様子も予測がつきますね ^^;


□ ラテルナ・マギカ 幻灯機「Laterna Magica」 (2008年)
 Stiftung Berliner Philharmoniker と Lucerne Festivalの委託曲です。副題があるとすれば Ingmar Bergman's memoir という事でしょう。これも書かれている通りです。
官能的な長音の重なり、色彩あふれる響き、その中に変化する強音と揺らぎ、で構成される管弦楽と打楽器の空間音響です。特に、織り込まれる透明感ある打楽器の音色がとてもマッチしていて、サーリアホらしさが出ています。小さな囁きが聞こえるのも特徴的ですね。
楽曲としてはこちらの方が、よりスペクトル楽派的完成度が高いように思えます。というか、好みです。

□ レイノの歌「Leino Songs」 (2007年)
 フィンランドの詩人Eino Leino の四つの歌(I. Sua katselen, II. Sydan, III. Rauha, IV. Iltarukous)をベースにした楽曲で、ソプラノはAnu Komsiになります。
陰的な美しさ、透明感の歌曲です。基本は代表作である「遥かなる愛 (2000年)」と似ていますね。

2010年録音で、演奏はフィンランド放送響(Finnish Radio SO)、指揮は2012年まで首席指揮者だったサカリ・オラモ(Sakari Oramo) のFinnish setです。
今回の来日に関係なく個人的におすすめの "今の時代の" 現代音楽です!



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

kokotonPAPA

Author:kokotonPAPA


ものずき、おっさん じいさん、わがままきまま、すきほうだい、しななきゃなおらない.

 kokotonPAPAのブログ  ホームページtop  メールtop



1.このblogで言う現代音楽

2.マーラー交響曲第5番 160CD
 (名盤・珍盤 聴き比べ)

カテゴリ
個人的お奨め度*
★   こんなもん?
★★  悪くないね
★★★ 最高です!
☆   +0.5
お友達ブログ
kokotonPAPAカウンター
unique-access