ヴァレーズVarese を ブーレーズとシャイーで聴き比べ

今月18日はメッツマッハー / 新日フィルでヴァレーズの代表的な管弦楽二曲「アメリカAmeriques」「アルカナArcana」のコンサートが有りますね。アルカナが日本初演とは驚きましたが。
そこで手持ちのヴァレーズCD3枚、ピエール・ブーレーズのCBS時代とDG時代の二つの録音とリッカルド・シャイーで聴き比べて見ます。
(実はメッツマッハーのCDも発売されているのですが、未所有ですw )

フランス生まれでアメリカに帰化したエドガー・ヴァレーズ(Edgard Varèse, 1883/12/22 - 1965/11/6) はとても象徴的な現代音楽家ですね。今までも紹介していると思いますが、米現代音楽の礎となった音楽家です。ダルムシュタット夏季現代音楽講習会にももちろん参加していますね。
シェーンベルクの9歳後になりますが、音列配置は採用せずに打楽器を用いた強音音響系で戦後の楽曲では電子音も取り入れています。その楽風は今の時代21世紀の現代音楽にも通じるものを感じますね。

「アメリカ」「アルカナ」は楽曲的にはシャイーが聴き易いですが、頭の中ではCBS時代のブーレーズが鳴っていますw
以下、重複している楽曲には( )作曲年代を記入していません。

■ Boulez / N.Y.P, Ensemble Intercontemporain [CBS]
 ブーレーズはCBS時代と同じ曲をDG時代に再録音していますが、概ねCBS時代の方が先鋭的ですね。ヴァレーズでも同じ様な感じです。
1. Ionisation(1931年):強烈な13の打楽器による楽曲です。そしてサイレン、まさにヴァレーズの象徴です。
2. Ameriques(1920年):米国に渡っての初作にして代表作「アメリカ」、ストコフスキー/フィラデルフィア管により初演されています。ストラヴィンスキーっぽさを感じますが、空間系の音響は新しい時代を感じさせてくれます。強烈な打楽器とサイレンは、これぞヴァレーズの響き、迫力のサウンドです!
3. Density 21.5(1936年):白金フルートの為の楽曲で、題名は白金の密度になっています。ソロ曲で幻想的な小曲です。
4. Offrandes A) Chanson de La-haut, 5. Offrandes B) La Croix du Sud(1921年):ソプラノとオケ、そして室内楽のシャンソンです。一部で定拍を交えたメリハリの強い演奏と時に叫びに近いvoの組合せです。
6. Arcana(1927年):二曲目のアメリカと同く管(弦)楽で音響音楽ですね。ストラヴィンスキーの影響がまだ僅かに感じられますが、それ以上に響き渡る管楽器と打楽器群のコラボが特徴的です。音塊と洪水です!
7.8.9. Octandre(1924年):室内楽で、楽器間での協調性のある楽曲です。打楽器は入らず基本は即興性なのですが、やや点描的でもあり微妙な位置づけの気がするのですが…
10. Integrales(1928年):打楽器を交えた室内楽曲です。変奏のフーガ的な展開やソロ、一部で引用?も見せて色合い豊かな管楽器主体の展開です。響きを重視した空間系現代音楽で、とても楽しいですね。

個人的にはブーレーズのヴァレーズ、紛らわしいw、ならば より音響系の強いこちらCBS盤の方が好みかもしれません。




■ Boulez / Chicago SO [DG]
 上記と同じブーレーズですが、どちらが良いかと言われると困るのがこの選択ですね。楽曲としてはこちらのDG盤の方が熟れているとは思いますが。
1. Ameriques:CBS盤に比べて緩急が強めになり表情が豊かになります。この演奏の方がストラヴィンスキー色を避けている様に感じられまが、空間音響系よりも音(量)の展開重視に思います。サイレンの使い方も印象が違います。もちろん迫力の凄さに劣るものはありません。
初めの方はブーレーズ本人の楽曲Rituelにも似た感じが… 
2. Arcana:楽曲の完成度はより高くなっています。でも その分だけブーレーズの解釈が強くなって、ブーレーズの楽曲に近づいている感じもします。でも、この音量と出し入れは迫力満点ですね。
3. Déserts(1954年):テープを使った打楽器群と管楽器の楽曲で細かい音の表情が今までよりも浮き彫りになる楽曲です。繊細にして大胆。
4. Ionisation:より明瞭な色合いを感じる演奏です。どちらがヴァレーズらしいのかは別にして、この曲はDG盤の方が聴き易い気がしますね。




■ 「Complete Works」Rccardo Chailly / Royal Concertgebouw O, Asko Ensemble
 ヴァレーズ全曲盤の このアルバム。嬉しいのは二次大戦後のヴァレーズの電子音楽が多く聴ける事でしょうね。
ブーレーズよりも演奏全体に余剰の譜読みが無い分だけ聴き易く、インパクトが有ります。
[CD1] /Royal Concertgebouw O
1. Tuning Up(1947年):周文中Chou Wen-chungが1998年が未完補追した作品です。管弦楽とサイレンによる楽曲で、アメリカやアルカナ同様の強音系の音響音楽ですね。vn, tpが短い引用を使っています。演奏は見晴らしがよく、音の延びが感じられます。
2. Amériques:切れ味のある演奏になっています。入りの部分に聴こえる定拍もブーレーズ的な感じがありません。この楽曲のコンサートでの楽しみは打楽器と強音によるホールの響きですから、打楽器の音の入れ方が衝撃音的で強弱のはっきりとした展開は音響効果的にも効果的ですね。サイレンは楽器と呼応する様に鳴らされますね。ブーレーズより楽曲的、音に対して、な演奏です。
3. Poème Electronique(1958年):電子音とテープによる楽曲です。明確な電子音楽で、鐘の音とホワイトノイズの組合せに、和声とテープが織り込まれる空間音響音楽です。それまでの楽曲とは一線を画しますね。ヴァレーズらしさが消えてしまっている感を強く感じてしまうのは私だけ???
4. Arcana:アメリカ同様にブーレーズよりも楽曲としての音楽の流れを意識している感じです。インパクト感は強く重視されていますが、旋律風な色合いが強く 違和感の少ない演奏です。
5. Nocturnal(1961年):1968年に周文中が完結させたver.になります。男声合唱団にソプラノ、そして管弦楽の楽曲です。電子音楽に進んだヴァレーズが最後に残したのは、それまでの強弱の強い管弦楽に声楽を入れたそのものでした。
6. Un grand sommeil noir(1906年):米国帰化前の曲になります。シャイーの委託によりAntony Beaumontがオーケストレーションしたver.になります。やや東洋系和声を感じますね。ソプラノもオペラチックで機能和声の楽曲です。音の響きは特徴的でもあります。
[CD2] /Asko Ensemble
1. Un grand sommeil noir:同オリジナルver.です。ピアノとソプラノのデュオになります。平凡…
2.3. Offrandes:1921年という時代を感じる前衛音楽と言った風が、ブーレーズよりも強い感じです。
4. Hyperprism(1923年):管楽器と打楽器群の作品で、サイレンも入っていますが、アメリカほど面白くはないですね。
5.6.7. Octandre:1920年代の作品ですが、アメリカ以外はやや古さを感じます。この作品はブーレーズCBSの方が先鋭的で良いですね。
8. Intégrales:とは言え、これも1920年代の楽曲ですが 前衛が無調〜十二音技法の時代にあった時に作られたというのは 驚きですね。
9. Ecuatorial(1934年):オルガンが電子音の様に響きbassのヴォイスが入ります。voは前衛性が高くはなく、演奏とのコントラストが面白いです。ヴァレーズにオペラを作って欲しかったと思いますよね。
10. Ionisation:シャイーは淡々とした感じですね。
11. Density 21.5:ヴァレーズらしくない幻想さです。
12-18. Déserts:Columbia University Computer Music Center 提供のオリジナルテープを使用した演奏です。ノイズと電子音の混沌ですね。アメリカに居ながらポストセリエル時代の前衛らしい感じがします。
19. Dance for Burgess(1949年):2分弱の小曲で打楽器と管楽器の組合せですね。短すぎて特徴が不明ですが…



いずれヴァレーズを聴く時にはボリュームを上げて聴ける環境が必要です。この音楽を小さな音で聴いたら魅力は半減以下でしょうから。難しい時はヘッドフォンを使いましょうw

試しにYouTubeでアメリカAmeriquesを見てみる?
なんとMichael Gielen指揮、Baden-Baden SOによる演奏です!


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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