細川俊夫の「ヒロシマ・声なき声 Voiceless Voice in Hiroshima」を聴く

前衛現代音楽の本流とでも言うフライブルク、そしてダルムシュタットでの活躍で世界に名が知れる日本を代表する現代音楽家 細川俊夫(Hosokawa Toshio、1955/10/23 - ) の代表作の一つでしょう。
現代音楽の流れから行けばフライブルク派といって良い様な経歴ですけど、常に武満徹との音楽性になる事が多いですね。日本の古典音楽を基調とすると…といった事もあるのかもしれませんが。
ちなみに本曲第3楽章はラッヘンマンに捧げられています。

広島出身の細川氏が描く「ヒロシマ・声なき声 Voiceless Voice in Hiroshima」は、バイエルン放送の主催するミュンヘンの現代音楽祭 MUSICA VIVA の委嘱作品で 2001年5月4日 に同音楽祭で初演されました。
独唱者、朗読、混声合唱、オーケストラ、そしてテープによるの作品で 音宇宙シリーズVIII に当たります。長大で五楽章の交響曲の様ですね。
「ヒロシマ・レクイエム」の改訂版で、当初追加されていた III楽章〈祈り〉を外して、新たに III楽章以降が新規追加されています。
ライナーノーツにある作曲者ご本人のコメントについてはこちらからどうぞ。

Ⅰ. 前奏曲「夜」(Preludio "Night")
 ・オーケストラのための
予兆を表すとある楽章は、静けさの中に足音や錯綜する強いうねりを感じる入りから、無音の間が強調されpppの音が緊張感を加える展開。再び打楽器による強いうねりに回帰し、消え入る様に終わります。地響きの様な太鼓の音が印象的です。

Ⅱ. 死と再生(Death and Resurrection)
 ・3人の朗読、混声合唱、テープとオーケストラのための
 ・テキスト: 長田新編『原爆の子』[日本語原文:英語/ドイツ語]
原爆に遇った子供達の手記から、二人の子供[ドイツ語]と一人の大人[英語]、テープは戦時中のラジオ放送からの編集。三人の語りが被りながらの楽章です。音は I と同様な展開で、緊迫感と静音の組合せです。空襲警報のサイレンの様な音響といい緊張感が凄いです。ラストは合唱のレクイエム「死者のためのミサ」が入りますが、そこは多少なりとの機能和声を感じます。

Ⅲ. 冬の声(Winter Voice)
 ・混声合唱とオーケストラのための
 ・テキスト: パウル・ツェラン『帰郷』[ドイツ語]
静的に展開する20分近い この中で一番長い楽章です。合唱も楽器の様に響き冷たい陰的な響きで全体を包み、レクイエムの様な合唱と演奏は時に打楽器と共に強音となって静けさを打ち破ります。
生き物ではない何かが潜む様な澱みとうねりの様な空間を感じますね。

Ⅳ. 春のきざし(Signs of Spring)
 ・アルト、混声合唱、オーケストラのための
 ・テキスト: 松尾芭蕉 [日本語]
前章から少し生命感のある音色に変化しています。ナタリー・シュトゥッツマンのアルトが、そう感じさせるのかもしれません。

Ⅴ. 梵鐘の声(Temple Bells Voice)
 ・混声合唱とオーケストラのための
 ・テキスト: 松尾芭蕉 [日本語]
"梵鐘様式の音楽" とあります。IIIの強音パートをより展開した様な楽風です。ここでも合唱が打楽器と共に強烈に音のうねりを表します。楽曲的には一番の聴き処。
ラストは消え入る様な静音です。

全体を通して強烈な印象です。重くうねる様な底流に、時に静、時に轟で展開します。意志を感じる音ですね。

 指揮:シルヴァン・カンブルラン
 演奏:バイエルン放送交響楽団・バイエルン放送合唱団・他

詩は全てライナーノーツに残されています。(日本語原文 及び 日本語訳)
この曲は標題音楽なので、作曲者の明確な意図を読んで聴くのが良いですよね。もちろん詩も。
ぜひCDを手に一度聴いてみて下さい。お薦めの一枚です。

試しにYouTubeで聴いてみる?



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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