D.ラングLang、H.ラッヘンマンLachenmann:現代音楽の2つの「マッチ売りの少女」

アンデルセンの童話「マッチ売りの少女」を基にした現代音楽は二つありますね。両者ともに有名なのですが、一度に聴いてみても作風の違いが大きすぎて意味が無いかもしれません。と言う訳で聴き比べるわけではありません。

『マッチ売りの少女の受難 The Little Match Girl Passion (2007年)』はデヴィッド・ラング(David Lang, 1957/1/8 - ) の代表作であり、 2008年ピューリッツァー賞 音楽部門(Pulitzer Prize for Music) を受賞しています。
ラングはロス生まれニューヨーク在住の米現代音楽家で、作風はミニマルやロックからポストミニマルへの変容になります。なんと言っても米現代音楽集団 Bang On a Can (All Stars) の創設メンバーの一人という事がポイントですね。

曲調はSacred Songで本人曰く、"マッチ売りの少女の受難"はバッハのマタイ受難のフォーマットをベースにアンデルセンの童話に曲付けられている、とあります。
歌い手による極僅かの演奏が入りますが基本的にアカペラの楽曲です。バッハが下敷きなので対位法のからむ現代的調和の宗教曲ですね。
歌詞はアンデルセンをベースにしてマタイ受難からの引用や、ラングの展開も入ります。英文歌詞があるので助かりますね。現代音楽とは言え楽風が楽風なので歌詞を見ながらの楽しみ方がベストでしょう。

更にラングによると「バッハもキリストも現れない。マッチ売りの少女の受難"suffering"はキリストの化身であり、その悲しみはより高い次元に向かうもの(と希望している)」とあります。

試しにこの曲、YouTubeでちょっと見てみる?




ヘルムート・ラッヘンマン(Helmut Friedrich Lachenmann, 1935/11/27/ - ) の『マッチ売りの少女(Das Madchen mit den Schwefelholzern) (1990-1996, 1997年初演)』の方が日本では有名でしょう。これは2000年日本公演ver.のTokyo Fassung 2000(録音:フライブルク)になります。ラングの作品とは正反対の前衛系音楽です。
特殊技法で有名なラッヘンマンについては、このBlogで言う現代音楽で触れています。

初演からの変遷も色々と話題になったり、ラッヘンマン本人が長い語りで参加したり、と話題に事欠かないヴァージョンですが、いずれ マッチ売りの… イメージとはかけ離れたエクスペリメンタリズム現代音楽である事に違いはありませんね。
例によって特殊技法を採用したパルス音とノイズ、そしてシュプレッヒゲサングの様な声楽の組合せです。抑揚は激しく、即興的になります。ただ、音列配置的な楽曲ではないので楽しめます。
象徴的なのは舌打ちの音。細かく数人から広がる音がささやきの様に感じますね。
台本も刺激的で、英訳(原:ドイツ語)がありますが、その中にはライナーノーツにもある通りダヴィンチとエンスリン(ドイツ赤軍創始者)のテキストも採用されています。

ラッヘンマンの奥さん菅原幸子さんが日本人である事も影響しているのか、メンバーに日本人も多く、また台本の中にもdobachi(Japanese bowl gong:磬子[けいす・きんす]の事?)等が出て来ますね。
音楽的にも影響があると言われているようです。

 ヘルムート・ラッヘンマン:語り
 ニコール・ティッベルス:ソプラノ
 森川栄子:ソプラノ
 宮田まゆみ:笙
 菅原幸子:ピアノ
 辺見智子:ピアノ

南西ドイツ放送声楽アンサンブル
南西ドイツ放送交響楽団
指揮:シルヴァン・カンブルラン

とにかく刺激的衝撃的な作品で、個人的にもお薦めな前衛系現代音楽です。何回も聴いて、台本を見て楽しむのがお薦めかと。

試しにこの曲、YouTubeで見てみる?



東響による このコンサートを見に行けなかったのは痛恨の極みですね。現代音楽は楽器の演奏方法等で生で見ないとわからない事がありますからねぇ。特にラッヘンマンの場合は…w

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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