今の現代音楽:Donaueschinger Musiktage 2013 / ドナウエッシンゲン音楽祭2013 を聴く

ドナウエッシンゲン音楽祭は今や最先端の前衛・新人の登竜門 とは言いづらく、その開催が問われる状況が寂しいですね。それでも今の現代音楽を感じられる事に違いはありませんし、毎年発売される本シリーズはやっぱり楽しみです。そのうち2年に一度になっちゃうかも…
これは先月末(2014年11月)発売になった2013年度のCD(4枚セット)になります。
試しにYouTubeでDonaueschinger Musiktage 2013の様子を見てみる?


Speicher I-VI / Enno Poppe(1969/12/30 - ) 早くからダルムシュタットの教壇に上がる等、電子音楽をベースにした現代を代表するドイツ人音楽家ですね。個人的にはこの辺り、次のベルンハルト・ラングとか、が今の時代のclassicalで良いのではないかと思いますが。
2008年から作られている Speicher 。全体は Storage system で、本人の長い work process から変化に飛んだアイディア が 呼び出されて large-scall form になる、と言っています。どうも form という言葉にヒントがありそうですね。
I はヴィオラの特殊技法からフリージャズの様に、II では忙しないくらいに細かな音の組合せの小曲、III は2本のバス・フルートの音色と弦のグリッサンドで全体にスロー、IV は管楽器の対位法、フーガでありポリフォニー、V は IV と似た展開ですが、管楽器主体構成から pf, sax 等が入ってより楽譜的にも複雑性の様相を見せる様になっています。そして最後の VI ですが、単純な音程の反復が執拗に かつ微妙に変化しながら"うねり"の様な流れを作っています。
即興的なポリフォニーが主構成ですが、音列配置的ではありませんし極端な強音弱音の出し入れでも点描的でもありません。上記の様に楽器や流れも変化していますね。興味深いのは今回の VI の反復性でしょう。新しい form を感じます。
エンノ・ポッペ曰く「form は旋律やサウンドと同じくアイディア」だそうで、このシリーズはまだ続くらしいですね。
試しにYouTubeでSpeicher III, IV et Vを見てみる?
 (Donaueschinger Musiktage 2013 ではありませんが)


Monadologie XIII "The Saucy Maid" / Bernhard Lang(1957/2/24 - ) ジャズをベースとして、ターンテーブルを使った電子音楽が特徴のオーストリアの音楽家です。反復を多用する技法はダルムシュタットでも有名ですね。
この楽曲も徹底反復の四楽章管弦楽曲ですw 基本は多様性で、不協和音的な和声の中 調性感のある動機やが多々現れます。それが反復されて構成されますね。
このMonadologieはワークス・イン・プログレス的で、今回のXIIIでは大編成交響曲に書いているそうです。特にブルックナーの交響曲第1番の反復を参考にしているとの事、確かにブルックナーは最後の交響曲まで執拗な繰り返しを使いましたね。ベルンハルト・ラングはライナーノーツの中でブルックナーの反復について熱く語っています。
直接ブルックナーと比較しても埒が開きませんが、第三楽章の強弱の繰り返しの部分などは確かに類似性を感じますね。第四楽章のハイテンポの反復はポリフォニー的でもあり、より陶酔性を感じて面白いです!

Situations / Georges Aperghis(1945/12/23 - ) クセナキスに師事したフランス在住のギリシャ人音楽家です。Kagelに影響された大編成劇場音楽を作っていますが、実験的な電子音楽になりますね。
この楽曲は4部構成の23人編成室内楽になります。無調なのかセリエルなのか点描の音配置で各楽器と声楽(ソプラノとバリトン)が即興的に速いテンポで展開されて行きます。時折緩くなり、クラスター的に、またポリフォニー的にもなりますが。トーキングに室内楽がかぶったりもします。小劇場的で、その辺りは現在のジョージ・アペルギスのスタンスでしょう、楽しいですね。(独語歌詞がないのは辛いですが…)
でも、点描的な楽器展開のpartはいずれ古さを感じてしまいますね、個人的には。

Kerguelen / Alberto Posadas(1967 - ) スペインの音楽家です。フラクタル技法を用いた音響空間系音楽で、IRCAMでも電子音楽を学んでいます。数学を基本としていてトポロジー変換の様な変移性の音楽なども手掛けていますね。
この楽曲は電子音処理した木管三楽器(fl, Ob, Cl)とオケのトリプルコンチェルトになります。アルベルト・ポサダスらしい電子環境音楽で、基本はスローで単音の響きを強調しますね。木管は特殊技法とは言わないまでも?音響効果を狙う音色を出しています。うねる様な音の、音響?の、時にトーン・クラスター的な凶暴さが展開され引込まれてしまいます。スペクトル楽派らしさギラギラですね。

Suave Mari Magno・Clinamen I-VI / Walter Zimmermann(1949/4/15 - ) ドイツの音楽家です。ミニマルや米国音楽からの影響、故郷フランケン地方の印象からの電子音楽で、激情的な展開を徹底否定しているのが特徴です。ヴァルター・ツィンマーマンは親日家でもあり、竜安寺からインスピレーションされた作品も演奏しているそうです。
これはClinamenの完結編になるそうです。管弦楽ですが、音数は少なく展開します。管楽器がフーガの様な反復の流れを作るのはミニマルの影響でしょうか。スローで冷たく不安感漂う穏やかな環境音楽です。気持ちが凹んだ時なんかにマッチするかも?! 但し、最終のpart VI はテンポも速く点描的で反復の強いカラフルな展開、曲の色合いが異なりますね。

In situ / Philippe Manoury(1952/6/19 - ) 初期はシュトックハウゼンやクセナキスの高密集点描のセリエルに影響を受け、その後IRCAMやUCSDで電子音楽を学んだフランス人音楽家です。フィリップ・マヌリは近年オペラを多く書いていますね。
この曲もかけた瞬間からクラスター的強音世界が展開される管弦楽で、クセナキスを感じますね。瞬間的に強音と弱音が入れ替わるコントラストの強い音楽です。目新しさはありませんが…



今回はベテラン揃いで出来上がった作品が多いですね。へ〜ぇ??っていう感じの驚き・新鮮さは少ない感じです。

PS:2012年のDonaueschinger Musiktage はこちらです

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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