今の時代の現代音楽 Donaueschinger Musiktage 2012 / ドナウエッシンゲン音楽祭2012 を聴く

ヨーロッパの現代音楽、エクスペリメンタリズム系の前衛音楽の動向は、毎年開催されるドナウエッシンゲン音楽祭(Donaueschinger Musiktage)で楽しむことができますね。例年ほぼその前年度の音楽祭CDが発売されます。これは昨年13年に発行された2012年の物になります。
(写真にはまだ聴いていない今年発売の2013年度盤も一緒です)
DonaueschingerMusiktage2012-2013.jpg
楽曲を聴くというよりも、作曲者別に楽しむといった感じでしょうか。ダルムシュタットの常連も多く、その時代を感じられます。(もちろん全曲 World Premiere Rec. 世界初録音になります)
2曲ほどYouTubeで見られますよ ↓

【CD1】・・・40~50代バリバリ現役の調性回帰を感じる管弦楽作品
◇我が「我が祖国」/ マルティン・スモルカ
 My My Country / Martin Smolka (1959/8/11- ) はプラハ生まれチェコの現代音楽家で、本国ではオペラ"Nagano"が有名です。ヴェーベルンやミニマル、米実験音楽の影響を受け、micro-intervals が特徴と言われていますね。
ここでは三楽章形式をとっていて調性感の強い音楽です。明確な主題が存在して変則的なソナタ形式を感じさせてくれます。不協和音程度というとわかってもらえるか
もしれない空間系音響ですね。どちらかというと新ロマン主義、将に「我が祖国」の現代版?

◇燃え尽きた仕事 / アルヌルフ・ヘルマン
 durchbrochene Arbeit / Arnulf Herrmann (1968/12/12 - ) はグリゼーに指導を受け、IRCAMでも学んでいるドイツ人現代音楽家です。
クラスターやミニマル、反復の復活等々を展開した電子音楽になりますね。全体としてはセリエルの影響は感じず、調性感を残しながら技法を展開していますので聴きやすいですね。

◇フクル / ベルンハルト・ガンダー
 hukl / Bernhard Gander (1969 - ) はオーストリアの現代音楽家です。 最後に紹介するBeat Furrerに師事し電子音響音楽を学んでています。
超人ハルクをもじった楽曲とか。という事は標題音楽ですね。ハルクのストーリーイメージは湧きませんが、とにかく強烈な反復です。あらゆる動機、調性感の薄いものから明らかなテーマまで、が初めから終わりまで通して繰り返しで構成されています。それは見事に徹底されています。弦楽器、管楽器と打楽器が区分されて全体はゆっくりながらアッチェレランドしていきます。打楽器が現れるとパルス的な展開で後半はパワーサウンドに。そこには音列配置の気配もありません。

◇それ自体 / フランク・ペドロシアン
 Itself / Franck Bedrossian (1971/2/3 - ) はフランスの現代音楽家です。IRCAMでファーニホウやミュライユに習い、ラッヘンマンにも師事しています。
特殊技法、ポリフォニック、複雑性、クラスター、といった技法が組み合わされていますね。全体は静音と強音のコントラストが強い音楽になります。打楽器主導の音響音楽ですね。

【CD2】・・・若手音楽家による前衛なアンサンブル
◇ジェネレーション・キル / ステファン・プランス
 Generation Kill / Stefan Prins (1979 - ) はベルギー人の現代音楽家。ハーバード大でPhDを取得後、ダルムシュタット等で活躍しています。作品はヨーロッパ・アメリカ・ロシア・等世界で演奏されていますね。
前衛ですね。エレキギターとゲームのコントローラーがフィーチャーされた室内楽?で、特殊技法バリバリの雑音系音楽です。グリグリ・ギロギロといった音の繋がり、ビデオ・プロジェクションとライヴ・エレクトロニクスが被ります。ライブは面白そうですが、例によって"音"であり音楽ではありません。

◇ミンシャク / ヨアフ・パソフスキー
 Mimshak / Yoav Pasovsky (1980 - ) はイスラエル生まれで、2003年からはドイツ・ベルリンで活動しています。電子音響の音楽になりますね。
特殊技法主体のスローな静音音響で、もちろん電子処理されています。瞑想的アンビエントですね。インドや東南アジアの影響を感じますね。

◇絶望の道(ヘーゲル)はクロマティックである / ヨハネス・クライドラー
 Der “Weg der Verzweiflung” [Hegel] ist der chromatische. / Johannes Kreidler (1980 - )、かのフライブルクで学んだドイツ人現代音楽家で、ドナウエッシンゲンだけでなくダルムシュタット等・様々な音楽祭・他でそのコンピューターを使った電子音楽が取り上げられていますね。
アンサンブルにホワイトノイズ?、ビデオやオーディオのプレイが引用の様にラップします。パッチワークみたいに繋ぎ合わせれた音楽です。メインストリームで流れるているのもオモチャの音楽みたいなツギハギ。やんちゃで面白い。無音に近い低音ノイズパートも後半現れます。
試しにYouTubeで見る?

◇自殺執行人II~脳内への壁を通って~ / クラウス・シェドル
 Selbsthenker II – durch die Wand ins Gehirn / Klaus Schedl (1966/1/4 - )、ドイツ人現代音楽家でIRCAMで勉強しています。
ヴァンデルヴァイザー楽派の様な小音の唸りからゆっくりと立ち上がる音響音楽です。スローで地を這う様なおどろおどろしさに呪いの如くヴォイスが入ります。ペッテションの現代音楽版の様な絶望的な音楽です。

【CD3】・・・中堅〜ベテラン音楽家の前衛室内楽
◇悲歌 / クレメンス・ガーデンシュテッタ一
 SAD SONGS / Clemens Gadenstatter (1966/7/26 - ) はオーストリア生まれで、ラッヘンマンに師事しています。ドナウエッシンゲンには2001・2005年に続く登場です。
サックス・エレキギター・打楽器・ピアノによる即興的な音楽です。E/Gは特殊技法を多用しているようです。いかにもポスト・セリエリズム的な古臭い感じがする気がしますが、PART3後半の興奮は少し面白いかも。

◇コブシ・ブルイ(拳ぶるい) / マーリン・ボング
 kobushi burui / Malin Bång (1974/6/15 - ) は現在注目のスウェーデン人女性現代音楽家です。近年はドイツに活動拠点を置き、室内楽・オーケストラ・電子音楽・等々の幅広い音楽を網羅しています。個人的には今回一番の注目です。
サックス、打楽器、ピアノ、エレキ・ギターと指と爪・小道具を使った小編成の打楽器音楽です。音階的な流れはなく、リズムの渦で構成されます。不思議な陶酔感。実験音楽に近いのかもしれませんが、なかなか。途中で電気掃除機が登場し、サックスとのデュオを演じます。(笑)
ちなみにコブシ・ブルイの"ふるい"は武者震いの"震い"だそうです。

◇アフター・キャロル(ジャバウォック) / ゲオルク・カッツァー
 after Carroll [Jabberwocky] / Georg Katzer (1935/1/10 - ) はベテランですね。ヤナチェックやアイスラーに師事し、後年電子音楽を手掛けています。作品は室内楽、管弦楽からオペラまで幅広く活躍しています。
舌鼓とソプラノ、小編成アンサンブルによる即興的楽曲です。声楽が入ると俄然面白いのですが、この手の即興クラスター的ドンガラ・チャカポコ音の無調?演奏はどうも古臭く感じます。

◇地平線 / ベアト・フラー
 linea dell’orizzonte / Beat Furrer (1954/12/6 - ) はスイス生まれのオーストリア人現代音楽家、指揮者です。ラッヘンマンの作風から始まり、穏健な特殊技法を使った空間音楽作品がKAIROSから定期発行されています。今の時代を代表する現代音楽家の一人でしょう。
各楽器が個別の音世界を空間に埋める様な音響音楽です。時に無関係に、時には対位法のごとく、各楽器がリズミカルながら冷めた関係で繋がります。音階を感じますし、一部にややミニマル的な処があるかもしれません。クール&スマートな音空間です。
試しにYouTubeで見る?




この年は3CDセットだったのですが、今年出た2013年盤は4CDセットで聴くのに気合いが必要ですw 1CDが何枚か出たりとか、年によって違います。でも毎年聴くとトレンドがわかって楽しいですね。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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