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ヨウナス・アウスゲイル・アウスゲイルソン(Jónas Ásgeir Ásgeirsson)の『Fikta』オール・アイスランドの前衛アコーディオン


Fikta
(Jónas Ásgeir Ásgeirsson, accordion)
アイスランド人のアコーディオン奏者ですが、デンマーク王立音楽アカデミーで学位を取得、活動の拠点はデンマーク/コペンハーゲンの様です。

本アルバム"Fikta"で、アイスランド音楽賞2023クラシック/コンテンポラリー部門「アルバム・オブ・ザ・イヤー」を受賞しています。

アイスランドの現代音楽家5人の作品で、作曲年代1972-2020年に渡っていますからアウスゲイルソンのスタイルだけでなく、アイスランド現代音楽の方向性も見えるかもしれません。
ドッティルさん達が一人も入っていないのがちょっと残念、🇮🇸を代表する人もいるので。





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フィンヌル・カールソン
(Finnur Karlsson, b. 1988)
アイスランド芸術大とデンマーク音楽アカデミーで習い、H.アブラハムセン, A.インゴルフソン, に師事しています。
"アコーディオン協奏曲"は今回演奏のJ.A.アウスゲイルソンとElja Ensembleの為に書かれていますが、COVID-19により初演が遅れました。

■1. Accordion Concerto (2020)
1, A Dream About Flying - 2. one and a -3. Thread / Longed for - 4. two and a - 5. Bontempi’s Ghost - 6. three and a - 7. Et Cetera
 7パートですが偶数パートは短い間奏曲。技術的には六音音階(hexatonic scale, -3.)やクラスター, エレクトロニクスを使っているそうです。
 まず1.はのっけからエレクトロニクスが絡み、多分w、ポリフォニー&クラスターっぽく。アルペジオが細かく刻まれて、静空間も対位的に作られて面白い入りです。
その後も間奏曲をリズム変化を付けて調性を崩しながら作りつつ、静の中の対位的旋律と強音を対比させて聴かせてくれます。楽器の特性を引き出す楽曲に演奏者が応えた楽しさがあります。

特殊な事がある訳ではないのですが、前衛には基本のポリフォニーとクラスター, エレクトロニクスや特殊奏法、調性の枠を越えようとする調性の崩しもあります。これは面白いです!!



アトリ・インゴルフソン
(Atli Ingólfsson, b. 1962)
本ブログでも紹介済みのインゴフルソンですが、仏G.グリゼーに師事していて音響系の技巧を使います。
この"Radioflakes"は文字通りラジオとアコーディオンの類似性を元に作られて、ラストはモールス信号のパターンを即興で奏でる様に指定されているそうです。(instructed to improvise ‘very irregular morse-like patterns’ · – ·   · –   – · ·   · ·   – – –   · · – · · – · · · – – · – · · · ·)

■2. Radioflakes (2004)
 入りは信号音的な単音、そこに何かを叩く様な音が入り、音幅とリズムが生まれます。広がりは調性を崩しながら複雑な対位法展開となって洪水に、処々で特殊奏法の音色も聴えます。1.と同じくこの楽器の持つ表現力を活かす作品とそれを生かす奏者のセットです。
テクニカルで聴かせるアコーディオンの技巧曲でもあるでしょう。流石はA.インゴルフソンです!!



アトリ・ヘイミル・スヴェインソン
(Atli Heimir Sveinsson, 1938-2019)
ケルン国立音楽大でB.A.ツィンマーマンに師事していて、ダルムシュタットではシュトックハウゼンのコースにも入っていたそうです。多様性を尊重していたそうですが、時代を感じます。
今回の作品の初演は2020年になってからで、作曲から随分と時間が必要でした。TEXTはロシアの詩人オシップ・マンデリシターム(Osip Mandelstam)によるものですが内容は不明です。

■3. Lieder und Intermezzi for soprano and accordion (1996)
 跳躍音階を含む尖ったsopですが調性内です。アコーディオンはその伴奏になっています。それ以上でも以下でもない様な…
と思っていたら2'過ぎくらいからはsopもヴォーカリーズになって、ロングトーン中心の空間音響系の流れに変化します。sopはシュプレッヒゲザングにもなって、強い反復やトリル・トレモロの流れになったりと、この曲も表現変化の多彩さと面白さがあります。



ソルケル・シーグルビョルンソン
(Þorkell Sigurbjörnsson, 1938-2013)
高校卒業後に米国で学んでいます。その後アイスランドに戻って音楽界で様々な職席を務め、アイスランド芸術家協会の会長の席にもあったそうです。多作家で知られているとの事です。
この曲はデンマークのアンサンブル"Trio Mobile"の為に書かれたそうです。

■4. Mobilissima visione (1972)
 鍵盤打楽器やピアノ、打楽器やE-ギターの音色が絡みアコーディオンが主役ではなく室内楽です。
反復とトリル・トレモロが軸となって組み合わせれ小刻みな表情を見せる調性ベースの楽曲で、各楽器の音色がヘテロフォニー的に絡む面白さが生かされています。



フリズリク・マルグレタル=グズムンドソン
(Friðrik Margrétar-Guðmundsson, b. 1993)
2017年にアイスランド芸術大学を卒業した31歳のアイスランド若手作曲家で、舞台やメディア音楽を得意としている様です。
この曲は学生時代からの友人であるJ.A.アウスゲイルソンの為に作られていて五度の周波数比を元にしているそうです。

■5. Fikta (2018)
 五度の和音とそれに比率割で与えられた音がロングトーンでハーモナイズする空間音響系の音楽です。全体とすると変化率は低めでアンビエントやネオクラシックの方向性も感じます。限定された平均率の音楽と言う事になるでしょうか。



まず一言で言うなら"素晴らしいアルバム"です。アコーディオンにこだわる必要もないほどですが、見事にアコーディオンの可能性を作曲家と演奏家で作り上げたと言って良いとでしょう。

調性ベースでその枠を超える為のポリフォニーや調性の崩し他の技法を駆使し、楽曲により前衛色であったり技巧色であったりとバリエーションも豊かなオススメの一枚です!!



"2. Radioflakes"のオフィシャルMVで、パフォーマンスもあるのかも
また、使用しているアコーディオンがかなり複雑な事もわかります




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