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心に染みる ギャヴィン・ブライアーズ(Gavin Bryars) の名作『Jesus' Blood Never Failed Me Yet』

この曲を再インプレしようと思います。今の時代、心を癒すのに音楽が何かしらの役に立つとすればこれが選択肢の一つかと。


イエスの血は決して私を見捨てたことはない
(ギャヴィン・ブライアーズ, b. 1943)
ブライアーズと言えばこの『イエスの血は決して私を見捨てたことはない』、1971年に作者不明のホームレスの歌(元は讃美歌)を元に作られています。

1993年再録音の本アルバムはExective Producerがフィリップ・グラス、そしてトム・ウェイツ(Tom Waits)が参加したロングヴァージョンです。





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  "Jesus' blood never failed me yet
  Never failed me yet
  Jesus' blood never failed me yet
  There's one thing I know
  For he love me so..."

  イエスの血は決して私を見捨てたことはない
  決して見捨てたことはない
  イエスの血は決して私を見捨てたことはない
  一つ知っていること
  私を愛してくださる...


この唄が延々と呟くように74'間歌われ、バックに弦楽四重奏、弦楽、フルオケ、と途切れ目なく展開していきます。
ホームレスの口ずさむ歌はテープによる反復(今で言うならサンプリングでループ処理ですね)、サウンドもアンビエントな変奏と反復、それがマッチして優しさに溢れます。ポストミニマルな環境音楽です。

曲名はそのまま「Tramp with Orchestra」(Trampは浮浪者、元大統領はTrumpさん、ご注意を) で、バックの演奏変化で4曲(string quartet, low strings, no strings, full strings)、最後の二曲が「Tramp and Tom Waits with full Orchestra」「Coda: Tom Waits with High Strings」になります。

ラスト二曲はトム・ウェイツが遠くから入りながらテープとのduoとなり、最後はコーダとある通り一人になって歩き去る様にフェードアウト終了します。トム・ウェイツを入れたのは賛否両論あるでしょうが、私はこの再録音盤が好きです。

ちなみに歌った老人は音源化される前に亡くなったそうです。R.I.P.

 ★YouTubeで聴いてみて下さい


心が沈んだ時など、この曲の素晴らしさが心を満たしてくれるでしょう。
こんなコメントはこのブログらしくありませんが、それしかコメントは浮かびません。






[PS] ブライアーズが編集テープをかけたまま、コーヒーを注ぎにいった際の出来事を以下の様に書いています。それがこの曲の全てを言い表しているでしょう。

I left the tape copying, with the door open, while I went to have a cup of coffee. When I came back I found the normally lively room unnaturally subdued. People were moving about much more slowly than usual and a few were sitting alone, quietly weeping.


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





ドブリンカ・タバコワ(Dobrinka Tabakova)の管弦楽集「Concerto For Viola And Strings / Earth Suite 他」


ドブリンカ・タバコヴァ
(Dobrinka Tabakova, b. 1980)
ブルガリア系イギリス人の女性現代音楽家です。生まれはブルガリアですが、1991年にロンドンに移住、音楽関係はロンドンの王立音楽アカデミー(RAM)やGSMD, キングス・カレッジで学んでいます。

ルイ・アンドリーセン、フィリップ・マヌリ、ヤニス・クセナキス 等の前衛系のマスタークラスにも通っていましたが、ジョン・アダムズの影響が大きいかも

以前ECMレーベルからリリースされた"String Paths"が2014グラミー賞ノミネートで注目されましたが、その時は まぁECMだったので…



Orchestral Works & Concerti
(The Hallé Orchestra, Delyana Lazarova: cond.)
二曲の協奏曲を含む管弦楽集です。16年間(2004-2020)の四作品が年台バランス良く並ぶので彼女の技法的な変遷を確認出来そうです。

演奏はデルヤナ・ラザロワ指揮/ハレ管弦楽団で、2.はマキシム・リザノフ(Maxim Rysanov, va)が、4.にはガイ・ジョンストン(Guy Johnston, vc)がソリストで入ります。

ちなみにタバコワはハレ管の "Artist in Residence" (2022-23)で、本作はハレ管の副指揮者ラザロワのCDデビュー、タバコワとラザロワは同じブルガリアのPlovdiv生まれだそうです。

例によって年代順に聴いています。(No.が収録順です)





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2. Concerto for Viola and Strings (2004)
調性の流れで反復変奏が軸になっています。幽玄な気配を漂わせるのは今の時代のクラシックの典型でしょう。
ただ、耳障りの良い動機が存在しているのが珍しいかもしれません。明瞭な動機や主題を配さないのが今の主流になりますから。
四楽章で、アレグロ/緩徐/スケルツォ/アレグロ、そう言う感じです。前衛性はありません


4. Concerto for Cello and Strings (2008)
ここでもノコギリ音型のギザギザした反復旋律がより強調されています。それと上昇下降の音階が続く流れです。どのパートもそう言った構成なので同じ曲がいつまでも続く様な印象になってしまいます。背景にミニマルがいると思うとわかりやすいかもしれません。


1. Orpheus' Comet (2017)
約10年後の5'の小曲で、入りはちょっと混沌的になりました。でもノコギリ反復は明確に軸となっています。そして鳴りが派手になって米フィルムミュージック風のクラシックに寄りましたね。


3. Earth Suite (2018-20)
ドンシャン的な出し入れの強い流れ、そしてトリル・トレモロ的な反復、それが一層明瞭になりました。こうなるとポスト・ミニマルになるでしょうか?!
興味深いのは緩徐の第二楽章で、僅かながら対位的なスローの不安定さを作ります。今まで無かった流れです。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  第一楽章 Tectonic です



機能和声の反復変奏ベースの楽曲です。
ギザギザとした反復の流れはミニマル方向になって、動機も存在して旋律感もあるので聴きやすい今の時代のクラシック音楽になるでしょう。

楽風は新古典主義的な流れからフィルムミュージック方向へと変化している様です。調性の縛りからの自由解放性はありません。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





『マーラー 交響曲 第6番 "悲劇的"』«ネット配信» ユッカ=ペッカ・サラステ指揮/ヘルシンキ・フィル 2024年1月11日


ユッカ=ペッカ・サラステ | ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団
(Jukka-Pekka Saraste | Helsinki Philharmonic Orchestra)
今シーズン(2023-24)から主席指揮者を務めるサラステがヘルシンキ・フィルを振ったフィンランドセットのマーラー6、三日前の演奏が登場です。
フィンランドの"yle Radio1"からの配信になります。


▶️ yle Radio1 (配信期間は短いと思われます)





«ネット配信»
Mahler Symphony No. 6
"Tragic"


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[Live at Musiikkitalo Helsinki, 11 Jan. 2024]


第一楽章
第一主題は僅かにアゴーギクを効かせた勇壮さが締まり良く、コラールのパッセージは慎重に、アルマの主題はスローで優美絢爛に広げながらテンポアップで華燭さをコントロールします。細部まで計算された聴き応えある提示部です
展開部は第一主題の鬱を鎮ませずに切れ味を押し出し、第二主題は一転穏やかなスローの牧歌風へと…なのですがちょっと間延び感があるかも。続く行進曲もほどほどのテンションです。
再現部の第一主題は低弦を効かせた勇壮さがいい感じ、コーダの葬送はもちろん鎮めてそこからは一気にテンポアップでテンションをキープしつつフィニッシュします。強音パートの勇壮さで聴かせる第一楽章です。

第二楽章
スケルツォです。主部主題は締まりの強い流れで低弦がキーですね。トリオでもスローを強調した入りからのテンポアップにして構成が一楽章のトレースである事を主張しています。木管動機もその流れを自然体でキープ、反復パートでの強調も抑え気味です。

第三楽章
主部主題は少し速めに僅かな哀愁を感じる優美さ、第一トリオはテンポを落としてを哀しみを表に出して来ます。アゴーギクが効果的です。ラスト前の第二トリオ回帰は強く哀愁を奏でて重くのしかかる流れを作ります。この強い哀愁はアンダンテを三楽章に置く意味を大きく感じさせる素晴らしい構成です。

第四楽章
序奏は派手でコントラストを強く、ここまで見晴らしの良い序奏は珍しい?! テンポアップから第一主題は勇壮な行進曲、これも普通は少し抑えめのはずですがキレキレで!! パッセージが少し落ち着きを戻しますが直ぐに第一主題が被って勢いを戻し、そこに第二主題が軽妙に入って一瞬の清涼、再び力感が戻ります。
展開部前半は二つの主題をコントラスト強く、#1ハンマー後にスローの間を入れて行進曲を興奮を避けつつも背筋を伸ばした勇壮さで疾駆させ、再びスローの間を挟んで#2ハンマー、ゾクッとする流れです
再現部も暗鬱を強くスロー強調で入って徐々にテンションを上げ、第一主題を派手に炸裂。その後は騎行が切れ味を全面にして行進します。過剰な興奮はコントロールされて気持ちがこもった素晴らしさで突撃です!!


鳴りの強い表現力を生かした聴き応えあるマーラー6です。ただ強音が良いだけではなく王道の中に仕込まれた構成感があって惹きつけられます。

隅々までサラステの意図が盛り込まれているのがわかります。でもこのタクトの素晴らしさはやっぱり過剰な興奮を避けながらのこの曲らしい力感漲るパートを生かした構成でしょう。
ぜひ一聴をオススメするマーラー6"悲劇的"です!!



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





ブルーノ・マデルナ(Bruno Maderna)の「衛星のためのセレナータ, ヴェネツィアン・ジャーナル 他」実験前衛の時代


ブルーノ・マデルナ
(Bruno Maderna, 1920-1973)
前衛の時代を生きたビッグネームのイタリア人作曲家/指揮者で、その立ち位置的にはP.ブーレーズ(1925-2016)と似ているかもしれません。
現代音楽家としては当然ながら欧エクスペリメンタリズムの技法を纏い、指揮者としては処々で表現主義的な尖ったタクトを振っています。(指揮は"あの"シェルヘンに師事しています)
この時代の好きな音楽家の一人です。



Serenata per un satellite, Venetian Journal, and other works
(Bruno Maderna Ensemble, Gabriele Bonolis: cond.)
マデルナ没後50周年を記念したアルバムです。1957-1972年のソロ/デュオ/アンサンブル/声楽付き管弦楽と幅広いヴァリエーションで前衛音楽の変遷が楽しめると思います。

一部資料は録音年が2003年になっていますが誤りで、当然裏ジャケ表記の2023年が正解です。





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1. Serenata No. 2, for 11 instruments (1957)
第一印象は典型的セリエル点描。各楽器が点描旋律で複雑な対位かポリフォニーに絡みますが平板です。その流れは鍵盤打楽器の登場で少しテンポアップし後半にはトゥッティ(orクラスター?)や等拍も登場します。
いずれ"今や昔"のセリエル期の残照に感じてしまいます。


2. Honeyrêves, for flute and piano (1961)
点描的ではありますが特殊奏法が入り速い流れも登場して少し表情を感じる様になりました。跳躍音階によるflとpfのdialogueです。


3. Aulodia per Lothar, for oboe d'amore (1965)
オーボエとイングリッシュホルンの中間の古楽器"オーボエ・ダモーレ"のソロ曲です。
点描からの脱出が見られ、反復変奏による旋律感を出しています。無調混沌ではありませんが不安定な調性ですから多様性へ舵を切った印象でしょうか。技巧性も高くしている様です。


4. Serenata per un satellite, for variable ensemble (1969)
ポリフォニーで即興的混沌の "いかにも前衛" です。(完全無調のカオスではありません)
心地良い旋律は皆無で、普通は前衛現代音楽と言うとこの様な楽曲をイメージするでしょう。そんな流れです。楽器編成を変えればフリージャズにも聴こえそうです。(スコアがあるのでフリーにはなりませんが)

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?


5. Widmung, for solo violin (1967)
点描風に入って激しさとのコントラストを付けて来ます。そこには特殊奏法が絡んで、技巧性の高いパートも登場します。調性を大きく崩す様な印象は薄いのですが心地良い旋律は無く、今の時代につながる多様性現代音楽でしょう。


6. Venetian journal, for tenor, orchestra and tape, on word by J. Boswell (1972)
すぐに浮かんだのはB.A.ツィンマーマンのコラージュです。引用も多発されてなんでも有り、テープの役割が大きく色々な声や音が貼り絵の如くに現れては消えて行きます。それまでの流れとは全く異なります
まさにミュージック・コンクレートでしょう。これが進んで今のライヴ・エレクトロニクスの様な方向となりますね。まだIRCAM(フランス国立音響音楽研究所, 1977年ブーレーズ創設)も存在しない時代の作品です。



1950-1970年代の実験前衛音楽の隆盛期から停滞期に渡る音楽を一望出来るアルバムで、懐かしさを感じます。

もし貴方がセリエルからポスト・セリエルの時代を体感したいと思おうならベストチョイスの一枚になるでしょう。"こう言う時代もあったんだ" と。5.などは今でも誰かが作っている様な…w



 ▶️ 現代音楽の楽しみ方
   ▶️ 現代音楽CD(作曲家別)一覧
     ▶️ 北欧近現代音楽CD(作曲家別)一覧


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





『マーラー 交響曲 第2番 "復活"』«web配信» 大野和士指揮/ 都響 2023年3月16日


大野和士 | 東京都交響楽団
(Tokyo Metropolitan Symphony Orchestra | Kazushi Ōno: cond.)
2024年元旦(7:55-10:00)に『TOKYO MX 新春クラシック 都響 Morning Concert~一年の幕開けを都響とともに~』で 都響と音楽監督の大野さんのマーラー2が映像付きで配信されました。

ソプラノは中村恵理(Eri Nakamura)さん、メゾソプラノは藤村実穂子(Mihoko Fujimura)さんの豪華布陣です。


▶️ TOKYO MX1 (2024-1/8 23:59 まで)





«web配信»
Mahler Symphony No. 2
''Resurrection''


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[Live at サントリーホール, 15 Mar. 2023]


第一楽章
抑え気味の第一主題から徐々に上げて葬送行進曲は重厚に鳴らします。第二主題は意外にあっさりと入ってコデッタは締まり良く。
展開部前半は第二主題の優しさを緩やかに表現し、コデッタの山場はテンポアップで切れ味を見せます。第一主題中心の後半は鬱に鎮め、テンポアップでコラールの山場を華やかに彩りラストはガツっと叩き付けます。コーダの葬送は鬱を強めて締め括りも興奮は避けています。
コントラストはあるもののやや抑え気味の第一楽章でしょうか。


第二楽章
主部主題はスローで優美なメヌエット風に、トリオでも柔らかな流れがキープされます。主部回帰ではvc旋律を利かせますがソフト&メローな流れです。流れに力感が入るのはトリオ回帰ですね。この一点激しさのコントラストが今回の大野さんの構成でしょうか。

ここで合奏団とソリスト二人がP席に入ってきます。ソリストはP席ですか…

第三楽章
主部は穏やかと言うよりも少し神経質な『子供の不思議な角笛』です。中間部も流れはキープされますが、ファンファーレは華やかさを広げます。ここでも一点コントラスト風のスケルツォ楽章です。

第四楽章
主部アルト「原光」は落ち着きを払って登場。中間部はアルトに各楽器のソロが絡みますが、やっぱりアルトがちょっと遠く感じます。藤村さんは気持ちのこもった表現力を聴かせるのですが。


第五楽章
提示部第一主題はここまで抑えて来た流れを一瞬の炸裂で打ち破ります。第二主題の"復活"の動機は慎重な中に出現、そこからの三つの動機群も抑えつつも緊張感を上げながら進みラストは華々しさで括ります。
展開部"死者の行進"はそれを受けて締まりのある強い行進曲となって突き進みます。テンポ変化も付けてこれぞマーラー!の表現ですね!!
再現部前半はバンダを生かした強弱遅早のコントラストを効果的に使っています。夜鶯シーンは素晴らしい。合唱が静に現れてソプラノが浮かび上がる様に約束通りの登場。"O glaube, Mein Herz" の気持ちの入ったアルトが入ると伸びやかなソプラノが続きます。力感ある男声合唱を踏み台にsop/alto重唱が希望を歌い、そこからはオケと合唱が一気に怒涛の山場を作り上げました。"Aufersteh'n!!"


最終楽章集中型に近いマーラー2でしょう。特に"死者の行進"は見事でした。

この曲の一つのパターン"最終楽章集中型"に思えますが、全体としては抑えを効かせた中に処々一点激しさのコントラストを見せる流れでもありました。
もちろん聴き応えあるsop/altが引き締めてくれたのも間違いありません。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





クラウス・マケラ『マーラー 交響曲 第3番』ロイヤル・コンセルトヘボウ 2023年9月24日 LIVE «web配信»


クラウス・マケラの"マーラー3"、二つのオケLIVE映像で聴き比べ [ II ]

Royal Concertgebouw Orchestra
Klaus Mäkelä, cond.
マケラのマーラー3 第二弾です。前回インプレのオスロ・フィル(2022年6月)の一年三ヶ月後、昨年2023年9月のLIVEで主席指揮者就任予定(2027- )のロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団との演奏で、アルトはオスロ・フィルと同じジェニファー・ジョンストン(Jennifer Johnston)です。
ラストに両者の聴き比べがあります




[Live at Palace Hall Bucharest, 24 Sep. 2023]





«web配信»
Mahler Symphony No. 3


第一楽章
序奏hr8基の第一主題は朗々と鳴らし、抑揚を高めながら進んで緊張感を煽り、"目覚める牧神"では緩やかに流れを一変させます。
提示部は緊張感あるソロtbから入って重心を低く、第三主題は穏やかな中に締まった流れですが行進曲印象を与えません。その代わり微妙な変則スローアゴーギクが登場します。
展開部のtbから始まる各ソロ楽器カデンツァ風のパートは、鬱は弱く朗々とした鳴りが主役になっていて尖った音色やまるでポリフォニカルの様な不安定感も見せる流れです。
再現部は序奏再現的で一層重心を低く進みます。
この楽章の特徴的な行進曲風の流れは押さえられ、尖った鳴り, 低重心の緊張感と変則的な流れの第一楽章になりました。なんとここでアプローズ!?


第二楽章
主要主題はメヌエットですが優美よりも重厚さと太い鳴り、トリオの変拍子は緊張感を高めて先鋭的です。マーラーが指示した '穏やかに' は何処かに置いて来た様です。ここでも拍手が?!

第三楽章
主部の動機から神経質で軽妙さは薄め、展開パートは太く大きくです。トリオのバンダ(ポストホルン?)も朗々と鳴らして静に鎮める様相ではありません。主部回帰も少しゴチャゴチャしてうるさい感があってラストは狂乱風です。もちろん?拍手付きw

第四楽章
重心を下げた低弦からアルト独唱は落ち着いた良い流れで。ただオケは通してpppのはずですが結構鳴らします。ソロ楽器がアルトと競う様な音出しです。(録音の問題もある?!)

第五楽章
"ビム・バム"は少し速め、トリオはアルトが伸びやかで良いですね。全体としてはやはり強めの流れですが。


第六楽章
主要主題は弦楽緩徐の美しさですが音厚があり、管楽器が入ると緊張感を高めます。各パートが回帰して進むとより音厚を増して激情的な太い流れとなります。たっぷりと溜めてコーダは落ち着いて締め括ります。



太い鳴りと何処か落ち着かない緊張感のマーラー3です。フォーカスがどこにあるのか見えづらい感じです。

静のパートも鳴りを太くするので、全体が厚い音となって響き渡るのも一因の様な。ディナーミクが弱いのはミキシングとマスタリングの問題もあるのかもしれません。
RCOと言うよりもBPOの様な、と言ったら伝わるでしょうか。誤解を招く?!




【オスロ・フィル と RCO】
王道にスパイスのオスロ・フィル』 vs 『全体太く緊張感のRCO』と言った図式で、かなり異なります。

それだけでなくマケラの表情も笑顔から緊張感が多くなっています。フィニッシュもオスロフィルではタクトを残してしばらくの静寂がありましたが、RSOではすぐにアプローズとなって団員に起立を求めています。色々と違いがありました。
J.ジョンストンは両方とも落ち着いて安定したアルトでしたね。

実はマーラー2でもマケラは異なるアプローチを見せていました。指揮者が様々なアプローチを試みるのは当然の事ですから次のマケラのマーラーがまた楽しみになりました。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





クラウス・マケラ『マーラー 交響曲 第3番』オスロ フィルハーモニー管弦楽団 2022年6月6日LIVE «web配信»


クラウス・マケラの"マーラー3"、二つのオケLIVE映像で聴き比べ [ I ]

Oslo Philharmonic | Klaus Mäkelä, cond.
マケラが主席指揮者を務めるオスロ・フィルとのマーラー3が登場です。アルトはジェニファー・ジョンストン(Jennifer Johnston)で, オスロ・フィル公式YouTubeからの配信になります。

もう一つはロイヤル・コンセルトヘボウとのマーラー3、2023/9のLIVE。アルトは同じJ.ジョンストンです。こちらは次回




[Live at Oslo Concert Hall, 6 May 2022]





«web配信»
Mahler Symphony No. 3


第一楽章
序奏第一主題のhrは太い鳴り、行進曲はテンポとトーンを落として鎮めて、第二主題のhrはそれに乗り低弦が力強く響ます。コントラストが強いですね。一転 第三主題"目覚める牧神"は緩やかで穏やかな流れに。
提示部の"暗→明→烈"は各主題を生かした流れで行進曲を上手く扱っています。マーラー色が出て素晴らしいです!!
展開部は緊迫感からマーラーらしい各楽器のカデンツァ風流れに変化を作り表情豊かで飽きさせません。ラストは狂乱っぽさに落とします。
再現部は序奏の再現のイメージですね。
王道的流れに彫りの深い素晴らしい第一楽章になりました。


第二楽章
主要主題はマーラーの指示通り優美で優雅なメヌエット、トリオは変拍子をテンポ変化と共に強調して複雑な構成感も聴かせます。室内楽風に作りましたね。

第三楽章
主部の動機は"角笛"色をはっきりと主張。トリオは流れをキープしながら静のバンダのソロへ。(ポストホルンを使っていないかも?!) ラスト山場は興奮ではなくじっくりと仕上げて明るくまとめ上げます。上手いですね。

第四楽章
静に鎮めた低弦からのアルト独唱はタメを作りながらスローに, でも力強く。静ですが張り詰めた流れです。

第五楽章
"ビム・バム"はもちろん明るく明瞭に弾む様に。トリオではそこにアルトが主張を強める様に現れ、オケも力を増します。最後は明るさを広げて終わります


第六楽章
主要主題は厳かに美しい哀愁を湛えた緩徐を作ります。静スローから上げるスタンスがわかります。第一トリオ(ob)第二トリオ(一楽章コデッタ)は広がりをそこに与えて、各動機の回帰では約束通りに徐々に音厚を上げて行きます。スロー保持で上げる山場からコーダはもちろん感動的です。



マケラらしい王道に脚色を添えたマーラー3です。
名演レベルとも思える長く独立的な第一楽章に対して、二楽章以降は完成度は高いのですがスローに抑え込んだ美しさに何処か物足りなさを感じるかもしれません。えっ, 贅沢?!w

楽しそうなマケラの笑顔のタクトを見たら悪い演奏になる訳がない、そんなコンサートLIVEです。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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