fc2ブログ

ブーイング響くバイロイト音楽祭2022 ワーグナー楽劇「神々の黄昏」をNHKプレミアムシアターで観る


問題の2022バイロイト『神々のたそがれ, Götterdämmerung』ですね。ネットで見る限り現地での評価は好ましいレビューは皆無。そしてブーイングで散々だった様です。

演出のV.シュヴァルツは知見が無いのですが、何があったのか。ジークフリートは急遽降板したStephen Gouldで見たかった気がしますね。指揮は当初のP.インキネンではなく変わったC.マイスターの方が好みですが、さてどうなるでしょうか。


バイロイト音楽祭2022 ワーグナー
(写真はwebよりお借りしました)



演出
時代から人・物まで '置き換え' がありストーリーにも手を付ける前衛演出です。指輪は二人の愛の象徴である子供に仕立てられ、愛馬グラーネはジークフリートの従者の設定になり途中で殺されてしまいます。ストーリーは現代的・社会的な病と対比して設定されています。

ジークフリートとブリュンヒルデは異常に太っていて、グートルーネはドラッグ中毒、グンターはアル中。ジークフリートとグンターのキスシーンがあってジェンダー問題も定義している様です。そして三人のノルンが精霊の異様さを纏ったり、血みどろのグラーネのグロテスクさも入ります。
指輪を象徴する子供が縛られるシーンは児童虐待の提示なのかもしれませんが全く受け入れられません

"ネズミのローエングリン"を始めバイロイトと言えば前衛演出な訳ですが、ここでは多くのファクターが中途半端に混ぜこぜで一つ一つのシーンに説得力がありません。

第二・第三幕では舞台が多少なりと抽象的になりファクターが減るのでストーリーに集中出来ますが、ラストはとてもしょぼい展開で台無しになってしまいます。(グンター死なず、ハーゲンは水中に引きずり込まれず、ブリュンヒルデも火炎に飛び込まず自ら横たわるだけ…)


舞台・衣装
序幕・第一幕の舞台は具体的な大道具が揃って一昔前的ステージ情景、衣装は現代風です。後半の第二・三幕はやや抽象的な舞台設定となって暗くなります。この方が今風ですが、前半とのギャップを感じますね。いずれ目新しさはありませんが。
なぜか最後の最後に意味深なプロジェクション・マッピングが使われます。


配役
【女性陣】まずはブリュンヒルデのテオリンですが唯一歌唱力を聴かせてくれたと思います。少々力技的ではありましたが。妹のへヴァルトラウテとのデュエットは良かったですね。
グートルーネのタイゲはぼちぼちと言った印象です。ちょっと安易な肉感的コスチュームとエロティック設定でした。

【男性陣】ジークフリートのヒリーはヘルデンテノールらしいハイトーンですが可もなく不可も無く、グンターのクプファー=ラデツキーとハーゲンのドーメンは演技も歌唱も今一つ説得力が弱い感じです。
男性陣は演出でのキャラクター設定が緩いです。ジークフリートの勇者らしさ、グンターの欲望、ハーゲンの憎々しさ、いずれもゆるゆるイメージですね。

二人の勇者ジークフリートとブリュンヒルデがおデブという設定自体で面白さ半減ですが。


音楽
そんな中にあってマイスターのタクトはメリハリある妥当な演奏でしたね。出し入れテンポ設定も上手く、流れ良く聴かせてくれたと思います。



序幕・第一幕であれやこれやと問題提起ファクターを散りばめた結果各シーンが違和感と集中力に欠ける事になってしまった感じです。

後半は持ち直したのですが、ラストの酷いピント外れ演出がダメ押しとなって散々な "神々の黄昏" でしたね。第一幕が終わると同時に大ブーイング、カーテンコールでも演出陣には容赦ないブーイングでした。

個人的に気になったのはステージで子役を振りまわし続けるのは児童虐待そのものではないかと言う疑問。それも含めてストーリーに入り込めない薄っぺらな演出という印象が拭えません。



【出演】
 ・ジークフリート:クレイ・ヒリー [Clay Hilley]
 ・ブリュンヒルデ:イレーネ・テオリン [Iréne Theorin]
 ・グンター:ミヒャエル・クプファー=ラデツキー [Michael Kupfer-Radecky]
 ・グートルーネ:エリザベス・タイゲ [Elisabeth Teige]
 ・ハーゲン:アルベルト・ドーメン [Albert Dohmen]
 ・アルベリヒ:オウラヴル・シーグルザルソン [Olafur Sigurdarson]

【合唱】バイロイト祝祭合唱団
【管弦楽】バイロイト祝祭管弦楽団
【指揮】コルネリウス・マイスター [Cornelius Meister]
【演出】ヴァレンティン・シュヴァルツ [Valentin Schwarz]


収録:2022年8月5日 バイロイト祝祭劇場(ドイツ)

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





プロフィール

kokoton

by kokoton
.

    

カレンダー
08 | 2022/09 | 10
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
ようこそ
カテゴリ
ありがとうございます