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マティアス・ヴェスタゴー(Matias Vestergård) の「Idylls, elegies」デンマーク前衛音楽


Idylls, elegies (Matias Vestergård, b. 1989)
本ブログで注目のデンマークの前衛現代音楽、そのデンマークの若手現代音楽家マティアス・ヴェスタゴーですね。当初はピアニストだった様ですが、デンマーク音楽アカデミーでアブラハムセン(Hans Abrahamsen)らに習い、トーマス・アデス(Thomas Adès)にも師事しています。

オペラからアンサンブル作品まで活動範囲は広く、声楽作品でも力量を見せるそうですね。また古典的なコラールにも興味を示していて、2018-19年と言う近年作品の本室内楽アルバムにも反映されてます。

演奏はエスビェア・アンサンブル(Esbjerg Ensemble)。指揮は1. 2.が宗像礼(Rei Munakata)さん、4.がマグヌス・ラーソン(Magnus Larsson)です。4.にはソプラノのシーネ・アスムセン(Signe Asmussen)が入ります。
現代音楽家でもある宗像さんは多くの前衛音楽アンサンブルを指揮していますね。







1. Three Idylls (2017/2019)
アンサンブル曲ですが、パート1での第一印象はポリフォニーですね。静音空間に様々な楽器が登場してそれぞれの音を描きます。調性的な感覚はありません。かと言って即興的無調混沌の旧来的な印象ではなく、中には反復も存在しています。"なんとなくくっつきながら皆それぞれ"と言った感じでしょうか。パート2はホモフォニーとポリフォニーのボーダー、パート3はホモフォニーでロック&ポップの楽しさで途中から即興的ポリフォニー、と変化率も大きい構成ですね。


2. Six Elegies (2016/2019)
6パートのアンサンブル曲で、最後のパートVI. "Adagio nach J.S. Bach" はバッハのBWV 614ヴェスタゴー編です。
パルス&ピチカート、タンギングや下降音階旋律の並び、それらが一連のつながりを持って進みます。リレーションは明快で強音パルスと静音のコントラストを作り出し、聴いたことのない緊張感を残しますね。そして落ち着く先はバッハの対位法の世界です。


3. Træk (2019)
弦楽四重奏曲です。無調のモノフォニーから入って、ホモフォニーとなり、その二つが繰り返されます。そこには強烈なトゥッティも入ってポリフォニーへと。
もう一つの流れは特殊奏法のノイズが強音で入り込む音の世界ですね。三つの弦が空間に音を引くとそこにギギッとノイズが割り込む、そんな音響空間ですね。


4. To Løppenthin-sange (2018)
ソプラノ、チェロ、クラリネットとパーカッションです。三つの楽器が空間に色を染める中にsopがvoiceを入れる。三つの楽器は伴奏であり、関係のないカラーでもあって、四者は自由な関係を築きながら曲を構成します。
ただいつもの事ですがsopは厄介な無調旋律を歌いません。やっぱり難しいのでしょう。b-clとsopのコントラストがいいですね。


5. Francesca Nocturnes (2019)
アルト・フルート、コールアングレ、ヴァイオリン、ヴィオラとチェロの構成です。
微妙な調性感、ホモフォニーなのかポリフォニーなのか、紛れ込む反復、そう言った全ての立ち位置が不明瞭な不安定さが全てだとここで気付かされますね。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  "5. Francesca Nocturnes" Ensemble Rechercheの演奏です



ホモフォニーとポリフォニー、調性と無調、音と音楽、その境界を囲い込む様に楽器を構成させる不確定性が高く不明瞭で不安定な音楽です。そこにはパルス的な強音とノイズの存在が大きく関わっています。

アルバム一枚の中に今まで感じた事がない何かがありますね。"何だかよくわからない変な面白さを感じる" そんな前衛らしさを聴きたい貴方にはオススメですw



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