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モレーノ・バリエンテ指揮 / マラガ・フィル の「マーラー 交響曲 第5番」



ホセ・マリア・モレーノ・バリエンテ
José María Moreno Valiente, cond.
(Málaga Philharmonic Orchestra, 2020-6/22-26 rec.)
久しぶりのマーラー第5番のニューリリースはスペインのセットです。若手指揮者バリエンテが2020/21シーズンから首席指揮者を努めるマラガ・フィルハーモニー管弦楽団を振ったマーラー5ですね。




マーラー 交響曲 第5番



第一部
ファンファーレのtpが怪しいw 葬送行進曲は穏やかですが何処か落ち着きません。第一トリオは標準的激しさで、第二トリオの哀愁も特徴は薄いですね。
第二楽章第一・第二主題、共に一楽章のトリオ再現的で、展開部の"烈→暗→明"のコントラストも平凡です。個性は無く演奏も自信なさげな第一部です。

第二部
スケルツォ主題は標準的ですがhrがヒヤヒヤ、レントラーもスローに落としてSTD的です。第三主題のオブリガートhrは一杯一杯、短い展開部やカラフルな再現部もバランスや一体感に大きく欠けます。コーダは荒れ具合が面白いかも?w
標準的スケルツォですが不安定感満載です。録音の問題でしょうが、なぜかhrが遠く聴こえるのも気になります。

第三部
第四楽章は弦楽奏なのに音色や揃いが良くないと言うのは困りものです。主部の途中でスローに落としている意味が不明です。
第五楽章序奏の管楽器は不安定、二つの主題をなんとか音にして提示部を逃げ延び、展開部もボロボロになりながらも山場へたどり着きます。再現部山場からコーダが一番いいかもしれません、やり直しを重ねたのかも…



何とか形にした、そんな感じのマーラー5です。演奏レベルは酷しく、個性を見せる余裕は無さそうです。"表現力"や"一体感"とはかけ離れている感じですね。

ミキシングのバランスやマスタリングのボリューム感にもやや違和感を覚え、作り込んでいる割には全体今ひとつなのか残念です。



■ 『マーラー交響曲 第5番 180CD聴き比べ』に追記済みです


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





2021年3月27日 井上道義 / 東京交響楽団「ショスタコーヴィチ 交響曲 第6番」at サントリーホール



COVID-19で控えたので昨年11月の藤倉大さんの「アルマゲドンの夢」以来 4ヶ月ぶりの生コンサートは桜満開の六本木でした。

2020/21シーズンの定期演奏会は初めて東響にしたのですが、前半はドネーション、後半は演目もメンバーも変わってしまいパス。今日が最初で最後の今シーズン定期演奏会でした。

(2021/22シーズンは本当に残念ながら定期は無しにしました。またCOVID-19の収束までコンサートは見送る事にします)


20210327suntoryhall-michiyoshiinoue.jpg
(六本木一丁目駅からサントリーホールへの途中です)


久しぶりのミッキー井上さんは得意のショスタコーヴィチ、それもレアな6番。これは逃せませんよね。予習はコンドラシン, バーンスタイン, ムラヴィンスキーの個性派三人で聴いて来ました。▶️ 予習のインプレ





ショスタコーヴィチ 交響曲 第6番 ロ短調 op.54

第一楽章
跳躍旋律の主部の暗鬱さはスローに音圧高く、渦めくごとくに濃厚です。中間部(トリオ)は鬱よりも幽玄で、特にタムタム後の2本のflでは静の幽玄さが広がり、主部と対比が見事に構成されていましたね。

第二楽章
普通は早い主部の上昇下降動機はゆっくり慌てず、ディナーミクを使ってピークを大音響に鳴らします。中間部も流れはキープされて山場は爆裂、ティンパニー連打からの主部回帰でもしっかりと鳴らします。
スケルツォ的軽快な印象の楽章なのですが圧倒する存在感になりました。

第三楽章
ウイリアム・テル序曲の様な第一動機から第二動機は飛ばします。低弦三拍子の中間部前半はディナーミクを振って力強く、fgからの後半の舞踏風流れを心地よく作ります。そして明るさを飛び越したコーダは華やか大爆発です!!



ディナーミクを軸にホールならではの山場大爆裂が味わえましたね。もちろん唯の大騒ぎではなく、各楽章にしっかりと構成感がありました。

東響も井上さんの指揮に応えて見事な演奏で、この曲でこんなにスカッとしたのは初めて。まさにミッキー節の快演でした



前半の「ベートーヴェン ピアノ協奏曲 第4番」は守備範囲ではないのでインプレ残しませんが、pfの北村朋幹さんはソフィスティケートでした。ガサツな私には方向性が違いましたが...


■ 本コンサートはニコニコ動画で無料で観られますね✌️
  (残念ながら ホールでの音圧と爆演パワーは伝わらず印象が少し異なりますが)

テーマ : クラシック
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マリア・フルド・マルカン・シグフスドッティル の「Kom vinur/Maríuljóð」アイスランド現代音楽家の聖歌



マリア・フルド・マルカン・シグフスドッティル
(María Huld Markan Sigfúsdóttir, b. 1980)
2000年にレイキャビク音楽大でヴァイオリニストとして、2007年にアイスランド芸大を作曲家として卒業している若手女性アイスランド現代音楽家です。グラミー賞にもノミネートされていますね。

シガー・ロス(Sigur Rós)と言うアイスランドのポストロックのバックバンド"amiina"のメンバーとしても活動しているそうです。これは興味深いですが、過去聴いたイメージでは北欧ロマン派的なサウンドです。



 ▶️ 現代音楽の楽しみ方  ▶️ 北欧近現代音楽CD(作曲家別)一覧



Kom vinur/Maríuljóð
二つの合唱曲です。TEXTはアイスランドのモダニズム詩人ヴィルボリ・ダグビャルトスドッティル(Vilborg Dagbjartsdóttir)によるもので、録音されたHallgrímskirkja教会の合唱団(Schola Cantorum)により歌われています。キーボードにはSigur Rósのメンバーが参加していますね。

TEXTは1.は部屋でワインを飲んだりと言う内容でパンデミックを悼み、2.は自然の中で聖母マリアを語りながら 女性解放・差別解消の内容が入っているそうです。







1. Kom vinur [Come friend]
美しい男女合唱のアカペラです。聖歌風はありますが、透明感のある調性楽曲で北欧の冷たい空気の様に感じます。
美しいだけで終わらせない様に、歌詞(英訳あり)を見ながら聴くと心に染み入りますね。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?


2. Maríuljóð [Mary’s Poem]
こちらの方が祈りを感じるかもしれません。それはマリア(アイスランド語でも同じですね)と言う言葉が作っているからなのか、旋律的により聖歌寄りだからなのかわかりませんが。



聖歌風ですが美しいアカペラの楽曲です。キーボード奏者のクレジットがありますが、ほぼアカペラとしか聴こえません。

歌詞も含めて宗教曲となると通常はインプレを避けるのですが、TEXTもフィットして美しい楽曲として聴けると思います。




テーマ : クラシック
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ハインツ・カール・グルーバー(HK Gruber)「Percussion Concertos」をコリン・カリーのパーカッションで



ハインツ・カール・グルーバー (Heinz Karl Gruber, 1943/1/3 - )
オーストリアの現代音楽家で指揮者、コントラバス奏者でもありますね。ウィーン国立音楽大で学び、M.カーゲルにも師事しているそうです。コントラバスはトーンキュンストラー管の首席奏者でした。

新ウィーン楽派(Second Viennese School)後のポスト・シェーンベルク音楽家である第三ウィーン楽派(Third Viennese School)を代表する一人と言われている様ですが、よく分かりませんw
ちなみにウィーン楽派(First Viennese School)はウィーンで活躍した古典の音楽家たち(モーツァルトやベートーヴェン)を指しますね。
スコアは綿密に描かれているみたいです。



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打楽器協奏曲集 コリン・カリー(Colin Currie, perc.)
二曲の打楽器協奏曲です。と言うわけでパーカションが問題になるわけですが、今注目のパーカッショニストのコリン・カリーでライヒとの来日公演に行っています。

指揮は1.がファンホ・メナ、2.はヨン・ストルゴーズ(John Storgårds)、演奏はBBCフィルハーモニックです。







1. Rough Music (1982-83)
【I. Tberac】アレグロ風の機能和声で美しい音色の楽曲です。冒頭からカリーの鍵盤打楽器が出っ放し、オケは新古典主義的?な印象ですね。今ひとつ掴み所がハッキリしない感じがもどかしいかもしれません。
【II. Shivaree】ハイテンポのポリリズム・ポリフォニーの様に入ってスローにダウンで美しく。そしてハイテンポが帰って来ます。I.よりも遥かに興味深い構成感がありますが、スローは面白みが弱いですね。ポリリズム・ポリフォニーの太鼓系のパーカッションがフィットしています。ラストは緩徐でヴィブラフォーン(多分)が美しい旋律を打ち並べます。
【III. Charivari】どこかバラード的なオケを背景に、ここでもカリーのマリンバ(多分)は美しさを出して来ます。スローパートは機能和声でありきたりに感じてしまうのが残念ですが、後半は少しテンポを上げて表情変化は作っています。


2. into the open… (2015)
32年を経ても軸足が機能和声である事は変わりません。明瞭な旋律は確かに無くなり 多少の調性の怪しさもあって神秘的ですが、パーカッションの演奏を含めて新鮮さやワクワク感はどこにもありませんでした。ラストの執拗な反復もフィット感に欠け、最後は不自然なアプローズが待っています。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?



機能和声の音楽に少しスパイスがのっている様な音楽で、残念ながら期待外れでした。どこがどうポスト・シェーンベルクなのでしょうか…

期待したカリーのパートにも、たまげる様な超絶技巧や特殊奏法の新しい音と言ったパーカッションは見当たりませんでしたね。1.-IIのハイテンポパートは面白かったですが。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





「ショスタコーヴィチ 交響曲 第6番」聴き比べ | コンドラシン, バーンスタイン, ムラヴィンスキー

週末のコンサート、東響定期#688 井上道義「ショスタコーヴィチ 6番」の予習です。古い録音にはなりますが、①コンドラシン, ②バーンスタイン, ③ムラヴィンスキー、ロシア物では好きな三人の指揮者で聴き比べておきたいと思います。

ショスタコーヴィチの交響曲としては少し変わり種の#6だと思いますが、ショスタコを得意とするミッキーこと井上さんがどう料理するかとても楽しみです。






【全体インプレ】
 ① コンドラシン:第一楽章偏重, 意外や控え目
 ② バーンスタイン:スローで強いコントラスト, ストーリー性
 ③ ムラヴィンスキー:変則性の強い主張, 個性的

個人的にはオススメはバーンスタインですが、極端な主張を展開するムラヴィンスキーも素晴らしいです。







キリル・コンドラシン
モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団

(Kirill Petrovich Kondrashin, Moscow Philharmonic Orchestra)




第一楽章
跳躍旋律の主部主題は弦楽はアゴーギクとディナーミクで色濃く。木管に主題が移った後、弦楽から金管は神経質に。イングリッシュホルンが中間部に現れると落ち着きを見せますが、背景の弦のトレモロが緊張感を煽ります。主部回帰は入りの明るさが印象的に、優しさを感じる流れになっています。
色濃く神経質な楽章です。

第二楽章
主部は軽妙さから力感を増して、中間部も慌てる様子はなく落ち着いて進めピークを築きますね。木管と弦ピチカートの主部回帰でも淡々とした印象を受けます。

第三楽章
主部第一動機はウイリアム・テル序曲っぽさ、アゴーギクで第二動機に繋げて、動機を心地良く絡ませます。中間部は少し重量感を与えて切れ味良くピークを作り、fg動機からは繊細さを見せます。コーダは軽快さと爽快さから、フィニッシュは少しかき混ぜてコンドラシンらしさを見せます。


第一楽章の重厚さターゲットのショスタコーヴィチ#6ですね。後半二楽章は軽妙さを主体としています。

コンドラシンとしては濃厚さが抑え気味に感じますね。後半二楽章でも、もう少し色合いを付けて来るかと思いました。





レナード・バーンスタイン
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

(Leonard Bernstein, Wiener Philharmoniker)




第一楽章
主部は鬱は薄いのですが、ディナーミクを大きく振って抑揚を付けて来ます。弦楽は重厚で、続く管楽器もその上に乗っている感じです。中間部動機は鬱をスローに表現して葬送風の流れを繋げ、後半flが出ると静の緊張感に包まれます。一転主部回帰では明るい光が射す様に入って、緩やかな流れで締め括りますね。いかにもバーンスタインらしいスロー重量感です。

第二楽章
主部は明るくハッキリとした流れからシャープさを増して進み、中間部は落ち着いた流れからピークを激しく鳴らします。木管が冷静に主部回帰を出すと、そのままクールな流れをキープして終わりを告げます。

第三楽章
主部第一動機は速く軽妙、続く第二動機でも軽妙さを崩さず、そのまま絡んで進みます。中間部はテンポを落とし重厚な三拍子が出現して舞踏風に。ソナタ再現部的な主部回帰から、コーダは明確な明るさに一変してカンカン踊りの様な明るさに染め上げて終わります


スローで強いコントラストと濃厚さのショスタコーヴィチ#6です。明るさや鬱さの表現が明確に付けられていますね。

一楽章ラストの薄灯から三楽章コーダでは明確な明るさへ、この曲の持つ変化(ストーリー)を見事に聴かせてくれますね。





エフゲニー・ムラヴィンスキー
レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団

(Evgeny Mravinsky, Leningrad Philharmonic Orchestra)



(これだとは思うのですが…)


第一楽章
弦楽の主部主題はやや速めで鬱の色を濃く、後半金管が出ると緊迫します。イングリッシュホルンが主部変奏動機を静かに出すと中間部で、静鬱をキープしながら進んで後半は静の中の緊迫感が強いです。主部回帰は明るさを見せますが基本は暗く、光は見えません。最後は、マーラーなら"死に絶える"と表現するでしょうね。暗く鬱なベールに包まれた楽章です。

第二楽章
木管が上昇下降旋律で走るハイテンポで緊迫の主部、後半は慌ただしく追い立てる狩の様相です。中間部でもテンポはキープされて低弦のトレモロが緊迫感を作り、主部回帰は緊迫の名残を見せながら緩やかに収束します。速くて緊迫感の楽章です。

第三楽章
主部第一動機はウイリアム・テル序曲の印象強く、第二動機は跳ねる様に、いずれもテンポは速いですね。中間部は速いまま三拍子を明確に激しさを増してピークを作り、続くfg動機からは少し緊張感を解放して来ます。そのまま主部回帰、コーダも明るさよりも飛ばしてフィニッシュです。終始速い流れキープになっています。


速くて鬱と緊張感の対立するショスタコーヴィチ#6です。第一楽章を鬱に染めて、後半楽章は一気に突っ走ると言った極端な構成が個性的です。

明るさを徹底して殺し, 暗鬱とのコントラストも作りません。この明確な主張がムラヴィンスキーらしさかもしれませんね。




さて週末(2021-3/27, サントリーホール)のコンサートはいかに。何年かコンサートの井上さんは聴いていないのですが、スローを使った表現力の様な気が…
インプレは残す予定です。


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





ミカエル・ジャレル(Michael Jarrell) の『Orchestral Works』タベア・ツィンマーマン と ルノー・カピュソン



ミカエル・ジャレル (Michael Jarrell, 1958/10/8 - )
スイス人現代音楽家で、クラウス・フーバーに師事していますから基本は「新しい複雑性」のフライブルク楽派という事になりますね。その証は技巧性を基本とするスコアや、スコア自体を32分音符グリッドの様なものに見られる様です。IRCAMで電子音楽コースにも入っていますね。[以上, 過去のインプレ紹介文より]

近年は一時期の調性寄りから、機能和声を用いながら複雑性や空間音響を取り入れた多様性になっている様です。



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Orchestral Works
ヴィオラとヴァイオリンの協奏曲、そして管弦楽の三曲ですね。
■ 1.のタベア・ツィンマーマン(Tabea Zimmermann, va)に献呈されたヴィオラ協奏曲は、仏画家アンリ・ミショー(Henri Michaux)の絵にインスパイアされていてるそうです。

■ 2.は管弦楽曲で "…大空は今なお、とても澄み渡っているのに、急に不安がこみ上げて来る…" とタイトルが長くて不思議ですが、三曲の中では少し古いので楽風の変化がわかるかもしれません。

■ 3.は仏・独オケの委嘱作品で、ルノー・カピュソン(Renaud Capuçon, vn)に献呈されたヴァイオリン協奏曲です。ちなみに2019年にカピュソン独奏、ロフェ指揮、東京交響楽団で世界初演されています。現代音楽ファンにはお馴染みの "サントリーホール国際作曲家委嘱シリーズ" ですね。

演奏はパスカル・ロフェ指揮、フランス国立ロワール管弦楽団。ソロはそれぞれ献呈された本人です。







1. Émergences-Résurgences (2016)
  concerto pour alto et orchestre
4パート区切れ目無しのヴィオラ協奏曲です。いきなり小刻みボウイングで暴れるvaはいかにも"新しい複雑性"の印象を植え付けます。そしてその背景オケは空間音響系になっているのが興味深いですね。I.の後半からII.にかけて、vaが静に落ち着くと全体が静空間の音響系にシフトするのも上手い流れです。

そしてそこからオケも含めて荒れた海の様な激しさを交えて、荒々しさと幽玄・神秘のコントラストですね。vaの込み入ったピチカートのカデンツァも面白く、最後まで飽きさせません。IV.では新古典主義的な音作りも感じられますね。


2. …Le ciel, tout à l’heure encore si limpide, soudain se trouble horriblement… (2009)
  pour orchestre
激しい新古典主義的な調性感の強い流れで入り、ドンシャン的です。三部形式の様な構成でトリオ(中間部)?!を静の流れにすると空間音響が現れますが、構成も含めて新鮮さは低いです。
一番古い楽曲になりますが、この頃は今よりも機能和声寄りな事が分かります。ありきたりな感じで、他二曲の方が断然面白いですね。


3. 4 Eindrücke (2019)
  concerto pour violon et orchestre
4パートのヴァイオリン協奏曲ですが、1.と違い 区切れ目が存在します。極端に繊細なvnで入って来るのは上手いですね。静の空間に緊張感が漂いますが、直ぐに小刻みなボウイングとなって技巧性を強く放ちます。オケは空間音響系で、1.と似た "新しい複雑性" の流れになっていますね。

II.の冒頭はここでも込み入ったピチカートのvnソロが現れますが、I.後半の静のvnカデンツァも面白いです。構成も1.とよく似ていて、ロングトーンの静空間を軸として強い技巧性を見せます。特にIV.のvnのこれ見よがしの激しい技巧は聴き処で、これが今のジャレルの音楽と思われますね。そのコントラストが生き生きと感じられます。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  3.-IVのカピュソンの激しい技巧vnです!!




協奏曲二曲では新しい複雑性と空間音響の合体のワクワク感がありますね。二人のソリストのヴィルトゥオーゾ性も見事に表現されているのは献呈作品だからでしょう。

そんな訳で 1. 3. はオススメで、特に3.-VIのカピュソンのvnの激しい技巧は素直に楽しむのが良いと思います。




タベア・ツィンマーマンと言うと、どうしてもコンサート途中退場のハプニングを思い出してしまいますw


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ラーシュ・ヘゴー(Lars Hegaard) の「Octagonal Room, 八角形の部屋」と言う奇妙な調性感



Octagonal Room (Lars Hegaard, 1950 - )
八角形の部屋 (ラーシュ・ヘゴー)
元々はギタリストのデンマークの現代音楽家です。ギターはオーデンス音楽院で習い、その後デンマーク音楽院やコペンハーゲン大学で学んでいますね。変奏を基本としているのですが一筋縄では行きません

得意のギターを主とした室内楽集ですね。ソロ、デュオ、歌曲、アンサンブル、とヴァリエーション豊かに編成されています。ギターはイェスパー・シヴェバエク(Jesper Sivebaek)で、デンマークでは知られたギタリストの様です。



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1. Four Rhythmical Pieces, for guitar solo (1999)
機能和声の美しいギター旋律、と言うか動機が変奏されつつ調性が崩れます。ギターの弾き間違いの様な奇妙な変奏曲で、そのギャップが面白いです。


2. Trois Poèmes d’Arthur Rimbaud, for soprano solo and guitar (2003)
機能和声のsopと伴奏ギターの不協和音と言う組合せです。ここでも気持ちの悪いギターの音色が美しいsopと不思議にマッチして聴かせます。とても落ち着きが悪いですがw


3. Rituals, for guitar and ensemble (2003)
ホモフォニーなのですが、例によって途中から微妙にそれぞれの楽器が調性の中に不協和音を入れて来ます。その混ぜ方が前二曲よりも薄味なので、奇妙なのかこんな調性なのかとても微妙です。


4. Points of Disappearance, for guitar and cello (2002)
調性動機と変奏、ホモフォニーと言う基本パターンは変わりません。調性旋律を元にして、そこに調性から外れた音を交えるので落ち着かない気分になるのでしょう。美しい調性旋律をベースにしないとこの面白さは出来ないでしょうね。チェロとギターの音色の組合せもとても良い感じでフィットしています。


5. Configurations, for viola and guitar (1988)
上記4.の延長上の様なセットですが、vcがvaに変わって音色が変わり、旋律自体にも力強さがあるので変化はあります。もちろん基本パターンは変わりません。


6. Octagonal Room, for guitar solo and string quartet (1999)
ギターは入っているものの、弦楽四重奏曲の様な印象です。他の曲に比べるとvnはかなり前衛寄りの動機を奏でますね。'落ち着かなさ'は同じですが、これだと一般的な無調系の現代音楽に聴こえるかもしれません。後半は基本パターンになっていてへゴーらしさ全開ですね。



 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  アルバムの公式Teaserです



調性の美しい動機に不協和音が紛れ込んでムズムズと落ち着かない独特の現代音楽です。

調性から徐々に、または楽器間で、崩れて行くと言う流れ。ありそうで無いパターンで面白いですね。




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