2020ハンブルク国立歌劇場公演 ヴェルディの歌劇「ファルスタッフ」をNHKプレミアムシアターで観る
ヴェルディのオペラ「ファルスタッフ, Falstaff」デブっちょの喜劇ですね。スペインの濃厚で刺激的な演出家C.ビエイトがどの様な舞台を作っているか興味がありますね。
(公式Excerptです)
演出
大袈裟な演技、表情、ドタバタ の喜劇演出でした。ビエイトらしいヤバいシーンの設定があるかと思ったのですが、ストーリーの置き換えも無く、舞台設定上の都合で洗濯籠とハーンの樫の木を弄ったくらいでほぼそのまま、少々肩透かしを食らった気分でもあります…w舞台・衣装
舞台のメインセットは建物ですね。それがシーンによって回転して外観であったり二階建ての断面であったりで、キャストのドタバタが観易く作られています。衣装は現代風ですが、ラストの妖精達で少しアブノーマルになって僅かに前衛色を見せました。配役
何と言ってもタイトルロールのマエストリです。当たり役というだけあって存在そのものがファルスタッフです。デカくてデブの容姿w・演技・歌い、共にジャストフィットの楽しさでしたね。大きくておデブのファルスタッフ以外は極端に言えば"その他諸々"的なのが このオペラ。女性陣で言えばアリーチェ(コヴァリェフスカ)も、メグ(アルドゥリアン)も、クイックリ夫人(カリャジナ)も突出したモノを見せる必要はなく大袈裟な表情や演技でコメディを演じればOKですね。
男性陣ではフォード(ブリュック)が気持ちの入った演技でしたが、役割通り。フェントン(パルチコフ)他も端役のファルスタッフの手下二人も同様で、控え目のキャラクタでコメディ演技主体です。
音楽
アクセル・コーバーはメリハリの強いタクトだった気がしますが、いかがでしょうか。特にディナーミクの振りが強く出し入れの明瞭な流れになっていた感じでした。一にも二にもファルスタッフのアンブロージョ・マエストリのオペラでした。それが全てと言っていいくらいですね。
演出的には今の時代としてはスタンダード範疇で、もっとエロティックか危険な笑いの香りが欲しい気がしました。ビエイトですから。アヴァンギャルドな喜劇だったら興味深かったかと。
演出的には今の時代としてはスタンダード範疇で、もっとエロティックか危険な笑いの香りが欲しい気がしました。ビエイトですから。アヴァンギャルドな喜劇だったら興味深かったかと。
<出 演>
・ファルスタッフ:アンブロージョ・マエストリ [Ambrogio Maestri]
・フォード(金持ちの市民):マルクス・ブリュック [Markus Brück]
・アリーチェ(フォード夫人):マイヤ・コヴァリェフスカ [Maija Kovalevska]
・ナネッタ(フォード夫妻の娘):エルベニータ・カイタージ [Elbenita Kajtazi]
・クイックリ夫人:ナデジュダ・カリャジナ [Nadezhda Karyazina]
・メグ(ページ夫人):イダ・アルドゥリアン [Ida Aldrian]
・フェントン(青年紳士):オレクシー・パルチコフ [Oleksiy Palchykov]
・ケイアス(医者):ユルゲン・ザッハー [Jürgen Sacher]
・バードルフ(ファルスタッフの従者):ダニエル・クルーゲ [Daniel Kluge]
・ピストラ(ファルスタッフの従者):ティグラン・マルティロシャン [Tigran Martirossian]
<合 唱> ハンブルク国立歌劇場合唱団
<管弦楽> ハンブルク国立歌劇場管弦楽団
<指 揮> アクセル・コーバー [Axel Kober]
<演 出> カリスト・ビエイト [Calixto Bieito]
収録:2020年1月19日 ハンブルク国立歌劇場(ドイツ)