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アイスランドの現代音楽:ISO Project Vol. 3『Occurrence』ビャルナソン, ヴァカ, トウマソン, ヨンスドッティル, ヨハンソン



"Occurrence" ISO Project Vol. 3
Iceland Symphony Orchestra
アイスランド交響楽団が進めるアイスランド現代音楽家シリーズの第三弾『ISO Project vol. 3』ですね。"vol. 1" "vol. 2" はインプレ済みです。

本アルバムにはCDの他にBlu-rayオーディオディスクが付いてmShuttleオーディオ対応です。ネット上からmp3, FLAC, wav, がDL出来ます。



 ▶️ 現代音楽の楽しみ方  ▶️ 北欧近現代音楽CD(作曲家別)一覧








ダニエル・ビャルナソン
(Daniel Bjarnason, 1979/2/26 - )
本アルバムの指揮者であり、アイスランドの現代音楽家です。レイキャヴィクや独フライブルクで学んでいますね。指揮者としてはアイスランド響の首席客演指揮者、在籍アーティストでもありました。作曲家としては多岐にわたる、オペラからフィルム・ミュージックやダンス・ミュージック等、ジャンルにチャレンジしている様です。

■1. Violin Concerto
 vnのピチカートと口笛で入ってくるのが面白いですが、すぐに調性が崩れてノイズも絡んで来ます。刺激的な流れと緩やかさが入れ替わるコントラストある無調のヴァイオリン協奏曲ですね。出し入れのメリハリが強く、無調ですが旋律が存在していて新古典主義に近い流れも感じます。特殊奏法も含めたソロvnはトレモロを主体に流れを作っていますね。vnはPekka Kuusistoです。



ヴェロニク・ヴァカ
(Veronique Vaka, 1986 - )
女性現代音楽家でチェリストでもあります。エレクトロ・アコースティックをモントリオール大学で学び、アイスランド芸術大学でも習っています。
今回の"Lendh"はアイスランドと北欧の音楽賞にノミネートされた楽曲だそうです。

■2. Lendh (2018)
 旋律はなく暗いドローンの音塊ですね。コードを感じますから調性基本で、空間音響系と言っても良いでしょう。暗闇で蠢く魑魅魍魎か、ナイトサファリの生き物か、そんな生命感。"ありげ"と言ってしまうと身も蓋もないのですが、今の時代の多様性現代音楽の一つの方向性である事は間違いありませんね。個性が見られるとすれば、弦のトレモロが入っている事でしょうか。



ヘイクル・トウマソン
(Haukur Tómasson, 1960/1/9 - )
前回のISO Project Vol. 2でもピアノ協奏曲#2が取り上げられたトウマソンは、アイスランド以外の米・独・オランダでも学んでいます。初期はフィボナッチ数を使っていたりしますが、その後本人の言う"spiral technique"と言う技法?とアイスランド民族音楽の方向性に変わって来ています。

■3. In Seventh Heaven (2011)
 機能和声の旋律の反復・変奏で構成されたディズニーのフィルム・ミュージックの様なチョコマカした流れです。面白いのですが、現代音楽的な流れが見当たりません。楽しく明快な標題音楽と言った処でしょう。
Vol.2にあった2016年の "ピアノ協奏曲#2"、本作品は2011年、ではこのパターンから無調へのアプローチもあったので今後の期待値は上がりますね。



スリドゥル・ヨンスドッティル
(Thurídur Jónsdóttir, 1967/3/30 - )
レイキャビク音楽大学、イタリア・ボローニャで学んだ女性現代音楽家でフルーティストですね。エレクトロニクスやフィールド・レコーディングと言ったテクニックも駆使します。"Flutter"は彼女の代表作の一つです。

■4. Flutter (2009)
 入りは特殊奏法のノイズ系です。flのノイズとオケの対峙ですが、緊張感ある流れを作っています。また、ソロflは反復旋律を奏でるパートもありますが、その際もオケは緊迫感ある音塊で、ボリュームを上げてflを飲み込みます。その後もソロflとオケの関係は常に緊張感を崩さずにパターンを変えて行きます。構成感もあって、変化と表情の面白さがありますね。
flはMario Caroliです。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  CDと同メンバーで, 2019年のLIVEです
  最後にヨンスドッティル本人もステージに上がります




マグヌス・ブロンダル・ヨハンソン
(Magnús Blöndal Jóhannsson, 1938/9/8 - 2005/1/1)
現代音楽家で指揮者としても活躍していました。レイキャヴィク音楽大学で習った後、ジュリアードにも通った様です。1950年代から60年代初頭はアイスランド前衛音楽のリーダーシップをとっていたそうで、十二音技法の楽曲や電子音楽も作っています。
その後10年間の活動休止後、楽風を変えて この"Adagio"で作曲活動を再開したそうです。

■5. Adagio (1980)
 低音のドローン系を背景音として、繊細で美しい調性旋律が被って来ます。楽器の変化で表情が変わります。チェレスタのキラキラした音色はよく使われるパターンですね。なるほど、アダージョです。



今の時代らしい多様性の現代音楽が並びましたが、類型的な印象が残ります。第三弾ですから、新しさや冒険的な音も聴きたかったですね。

今回もドローン系の様な音塊の方向が多く取り上げられています。アイスランド現代音楽のメインストリームが空間音響系にあるのかもしれませんね。

ベストトラックは "4. Flutter" です。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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