ウィルヘルミナ・スミス(Wilhelmina Smith) の『デンマーク現代 無伴奏チェロ作品集』
WORKS FOR SOLO CELLO
ウィルヘルミナ・スミス (Wilhelmina Smith, vc)
ウィルヘルミナ・スミス (Wilhelmina Smith, vc)
以前サロネンとサーリアホの無伴奏チェロ作品集をリリースしている米の女性チェリストのW.スミス。そのサロネンの招聘でロサンジェルス・フィルの首席客演奏者を受けているそうですが、それ以上の事はよくわかりません。来日経験もあるそうです。
今回はデンマークのベテラン現代音楽家二人の作品です。
今回はデンマークのベテラン現代音楽家二人の作品です。
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ペア・ノアゴー
(Per Nørgård, 1932/7/13 - )
(Per Nørgård, 1932/7/13 - )
今やデンマーク現代音楽の重鎮ですね。何と言っても独自の無限セリー(Uendelighedsrækken)を開発した事でしょう。何回も書いているので割愛ですが、今回の楽曲は年代的に使われていませんね。
■1. Cello Sonata No. 1 (1953)
北欧ロマン主義的な音楽ですね。機能和声ですが、幽玄さを感じます。ダブルストップなどは古典的な響さでもあります。と言うわけでそれほど興味が湧く様なものはありませんが、W.スミスのvcは表現主義的な刺激的な音色を奏でますね。
北欧ロマン主義的な音楽ですね。機能和声ですが、幽玄さを感じます。ダブルストップなどは古典的な響さでもあります。と言うわけでそれほど興味が湧く様なものはありませんが、W.スミスのvcは表現主義的な刺激的な音色を奏でますね。
■2. Cello Sonata No. 2 (1954/rev. 1980)
一気にセリエルを跨いで1980年に改訂されたver.ですね。曲の流れは1.と似ていますが、調性が薄く自由度が高くなっています。こちらの方が曲も演奏も表情があって聴き応えがありますね。ダブルストップも微妙な音色を重ねています。vcの音色もナチュラルなボウイングをメインにしているのが分かりますが、も〜っと繊細でも良い様な…
一気にセリエルを跨いで1980年に改訂されたver.ですね。曲の流れは1.と似ていますが、調性が薄く自由度が高くなっています。こちらの方が曲も演奏も表情があって聴き応えがありますね。ダブルストップも微妙な音色を重ねています。vcの音色もナチュラルなボウイングをメインにしているのが分かりますが、も〜っと繊細でも良い様な…
■3. Cello Sonata No. 3 (1999)
2.を一層調性感を薄めた印象で、グリッサンドが多くなって微分音の様な音色も感じさせます。曲は短くなりましたが、充実度は確実に上がっていますね。ただvcの音色が強いので、もっと繊細さを強調したコントラスト付けが欲しい気がします。
2.を一層調性感を薄めた印象で、グリッサンドが多くなって微分音の様な音色も感じさせます。曲は短くなりましたが、充実度は確実に上がっていますね。ただvcの音色が強いので、もっと繊細さを強調したコントラスト付けが欲しい気がします。
ポウル・ルーザス
(Poul Ruders, 1949/3/27 - )
(Poul Ruders, 1949/3/27 - )
デンマークの現代音楽家で、K.A.ラスムセンに師事しています。ジャンルもオペラからソロまで書くそうで、楽風は幅広くバロックから現代音楽までだそうです。デンマーク前衛はこのブログ大注目ですが、その実験前衛ではありませんね。(ラスムセンの下ではステーン=アナセンの様な過激な前衛音楽家が育っていますが)
■4. Bravourstudien (1976)
ルネッサンス期の曲をモチーフにして、10の変奏曲にしています。調性やテンポ・拍子、を変化させてセレナーデやエチュード他を仕立てていますが、特殊奏法などは用いません。また調性や拍も極端な方向性を見せるわけでもなく、全体として凡庸な流れに感じてしまいます。
ルネッサンス期の曲をモチーフにして、10の変奏曲にしています。調性やテンポ・拍子、を変化させてセレナーデやエチュード他を仕立てていますが、特殊奏法などは用いません。また調性や拍も極端な方向性を見せるわけでもなく、全体として凡庸な流れに感じてしまいます。
少々残念な印象で、曲も演奏も魅力に欠ける感を拭えません。
ノアゴーの後年はともかく、1. 4.は興味が湧きません。またW.スミスのvcも繊細さに大きく欠けて調性の薄い幽玄さが伝わりません。パガニーニでも取り上げた方が向いている様な…
結局の処、私の駄耳の証明と言う事になってしまいました。
ノアゴーの後年はともかく、1. 4.は興味が湧きません。またW.スミスのvcも繊細さに大きく欠けて調性の薄い幽玄さが伝わりません。パガニーニでも取り上げた方が向いている様な…
結局の処、私の駄耳の証明と言う事になってしまいました。