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ハヤ・チェルノヴィン(Chaya Czernowin)の「The Quiet. Works for Orchestra」音塊からノイズへの変化



The Quiet. Works for Orchestra
ハヤ・チェルノヴィン (Chaya Czernowin, b.1957)
イスラエル人の女性現代音楽家ですが、現在は米在住で教鞭をとっています。今の若手米現代音楽家の指導者としての顔が大きいですね。作曲も指導も今注目の一人でしょう。紹介文は過去の投稿(現代音楽CD/作曲家別)にあります。

楽風の変化は、"Hidden"(2013-14)で新しい境地に至ったと本人が言っています。それはエレクトロニクスも含めたノイズ系空間音響で、本作品は2010-2013年になりますから、チェルノヴィンのノイズ系へ向かう変化がありそうです。それ以前の楽風は旋律感の低い無調の"音塊"によるポリフォニー/ホモフォニーですね。


1.-3.は「クレシェンド三部作」とサブタイトルがあり、一年づつ作られています。オケの複数配置やパラメーターに関しても考慮されている様で、シュトックハウゼンが頭を過りますね。ライナーノートには本人による曲構成詳細が語られていますが、読むと影響されてしまうので…w

演奏が5曲全でオケと指揮者が異なると言うのも面白いですね。知られた処では4.がロト、5.が意外やバレンボイムです。



 ▶️ 現代音楽の楽しみ方  ▶️ 現代音楽CD(作曲家別)一覧







1. The Quiet [The Crescendo Trilogy, Part 1] (2010)
大編成オケを三群に分けて配置しています。静の空間の特殊奏法ノイズですね。所謂(いわゆる)音楽的な旋律は存在しません。ノイズ系に変化する前の音塊的な要素も見られて、象の咆哮の様な暗闇に何かが蠢く夜のサファリツアーの様な気配も混在します。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?


2. Zohar Iver (Blind Radiance) [The Crescendo Trilogy, Part 2] (2011)
アンサンブルとオケを三群に分けて配置しています。1.の延長線上にあって弦の特殊奏法が多足類が動き回る様な音を出します。トレモロ中心の構成、金管の咆哮、音塊のポリフォニーです。緊張感ある空間が存在しますね。


3. Esh [The Crescendo Trilogy, Part 3] (2012)
カウンター・テノールが入りますが、声楽を'特殊声法'の様に使う様になって"hidden"が生まれていますね。ここでもそう言った使われ方です。音塊ポリフォニーが一歩進んで空間に様々な音が混在する空間ノイズ系混沌になっています。特に'特殊声法'の音色?!が個性を放ちますね。


4. White Wind Waiting (2013)
ギター協奏曲?!です。音塊が姿を消して管も弦も特殊奏法ノイズ系中心、ギターはチョーキングなのか開放でペグを使っているのかわかりませんが、グリッサンド音も出します。執拗な特殊音ノイズの流れや静空間に静音の組合せも出て来て、年代的にも"hidden"前夜と言う感じでしょうか。


5. At the Fringe of Our Gaze (2012/13)
オケとソロ・グループ(E-hr, cl, alt-sax, countertenor)の楽曲です。ここではノイズ系ではないカラフルな音の交錯が冒頭に現れて驚かされます。もちろんトリル・トレモロの弦を背景にした特殊奏法ノイズ系が中心ではありますが、その後も美しい楽器の鳴りが時折登場して来ます。短いながら旋律も出現!! これはこれで初めて聴く"音とノイズのコラボ"で面白いですね。
これが進化すればエクスペリメンタリズムから多様性へと可能性が広がるかもしれません。



中心となるのは「クレシェンド三部作」ですが、楽曲が年代順に並んで音塊ポリフォニーから空間ノイズ系への流れが感じられますね。チェルノヴィンらしい楽風と2013年を境にその変化も一枚で楽しめるアルバムになっていてオススメです

チェルノヴィンを一躍有名にしたのはオペラ「ZAIDE・ADAMA」(2006年ザルツブルク音楽祭) ですが、楽風変化後は「Heat Chamber」(2019年ベルリン・ドイツ・オペラ)がありますね。




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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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