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2021年1月30日 原田慶太楼/読響「チャイコフスキー 交響曲 第5番」at めぐろパーシモン 大ホール


COVID-19緊急事態宣言の中なので、初体験のLIVE配信で参加です。コンサートホールで聴く様にはいきませんが、今の状況を配慮しての選択です。本来なら勿論現地で聴きたかったですけど…


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原田さんも若手(35)ではありますが、世界ではロレンツォ・ヴィオッティ(30)やクラウス・マケラ(25)といった人たちが活躍していますね。特にパリ管のシェフに就任したマケラは先日マーラー9で聴き応えある演奏を披露しています。

今回は頭の中に明確に曲と構成が存在しているので、原田さんのスタイルがわかりそうです。(ムラヴィンスキーとP.ヤルヴィで予習もしています)





交響曲 第5番 ピョートル・チャイコフスキー

第一楽章
序奏の"運命の主題"はアゴーギクで陰影強く。提示部はアゴーギクで主題間にコントラストを付けて、パッセージを力感で上手く盛り上げました。展開部の第一主題変奏は揺らぎを入れ、再現部でも全体的にアゴーギクを利かせています。コーダでは二拍子のリズムが印象的でした。とにかくアゴーギクですねw

第二楽章
鬱の強い弦コラールから主部のhrがスローに被り、ob動機で明るさを打ち出します。第一トリオはvcと管楽器の対話が穏やかに、中間部はclとfgの落ち着いた流れで"運命の主題"が晴れやかです。主部回帰は舞う様な優美さが魅力的でしたね。ラスト突然の"運命の主題"は間髪入れずに入って上手いです。

第三楽章
主部の第一第二ワルツは揺さぶりを入れ、第三ワルツfgはスローのアゴーギクです。中間部は16連音符を流れる様にパスして行きます。主部回帰のワルツ群は再現性を強く、コーダのラスト強音は唐突性を弱めていますね。揺さぶりはあっても個性とまでは行きません

第四楽章
アタッカで入りましたが、その指示は無い様な…
序奏の"運命の主題"は落ち着いていますが、弦の第一主題は刺激的に一気に高めて期待値を上げる流れを作ります。第二主題は落ち着きから切れ上がり、金管の"運命の主題"が切れ味ある行進曲となります。ムラヴィンスキーもそうですが、ここがポイントで見事ですね!!
再現部はテンポアップし各主題にディナーミクの個性を振って緊迫感を作り、山場はアゴーギクを利かせて鳴らします。全休符を短くコーダに入り祝祭的ですが引きずる様な行進曲から、ラストはアッチェレランド風に駆けてから収めます。
素晴らしい最終楽章になりました



誰が振ってもそれなりに聴ける曲なのですが、意外や素晴らしい最終楽章が待っていました。それまではアゴーギクを強く感じたものの、流れとしては特筆なしだったのですが最後はウキウキする高揚感がありました。この曲はそう言う曲ですよね。

原田さんのタクトで、BPMの無い より自由度の高いマーラー5あたりを聴いてみたくなりました。それにしても原田さんは顔で指揮しますねw



バックステージ・カメラも楽しかったです。ネット配信だからか、開演時間通りにスタートしたのも驚きでした。普通は5'ディレイくらいですよね。

最後にはなりましたが、小井土文哉さんのpfは荒削りさが魅力でした。少し流麗さが感じられると嬉しかった気がします。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





『チャイコフスキー 交響曲 第5番』2020パーヴォ・ヤルヴィを1960ムラヴィンスキーで聴き比べ


チャイコフスキー 交響曲 第5番
今更の曲をなぜ? それも2020年リリースのP.ヤルヴィを1960年のムラヴィンスキーで聴き比べ??

■週末1/30(土)の原田慶太楼さんと読響のコンサートの予習です
■この曲は個人的に1960ムラヴィンスキーが鉄板!!
■せっかくですから新しい録音(P.ヤルヴィ rec.2019)も合わせて

という事で…w




パーヴォ・ヤルヴィ
チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団



第一楽章
序奏「運命の主題」はスローのアゴーギク。第一主題はテンポを取り戻してディナーミク強調、第二主題第一動機はアゴーギク強調、第二動機もスローの揺さぶりからパッセージは気持ち良く鳴らします。展開部の第一主題変奏は波の様な出し入れですね。再現部はスロー化して抑え気味、コーダもその流れにあります。揺さぶり強調ですが感情移入は薄めですね。

第二楽章
美しい弦のコラールから主部主題のhrも静美に、ob動機は繊細さです。第一トリオはvcと管楽器の対話を色濃い美しさで、山場はテンポアップから迎えます。中間部のclとfgはアゴーギクを振られていて、山場の"運命の主題"は空を覆う黒雲の様です。主部回帰では伴奏の色付けを美しく生かして心地良い山場を。突然の"運命の主題"も唐突性は抑えてラストの美しさが光ります。美しさのアンダンテ・カンタービレです。

第三楽章
主部の第一・第二ワルツは軽妙に、第三ワルツでスロー化ですね。中間部は16連音符を軽妙さを利かせて、主部回帰の三つのワルツも優しさ穏やかさです。コーダのソフトな"運命の主題"の後の強音は広がりです。重さ控えめでワルツらしさ強調です

第四楽章
序奏の"運命の主題"は優しい美しさ、厳しい弦の第一主題は切れ味から重厚さへ。第二主題は流麗な木管、金管の"運命の主題"は華やかです。展開部は勇壮さで弦の響きが印象的ですね。再現部はテンポアップしますが落ち着いて、"運命の主題"からスロー化して山場をシャキッと締めます。コーダは落ち着いて晴々とした行進曲からラストはアッチェランドの様なテンポアップで締め括ります。力感よりもスッキリ感の楽章ですね。


スッキリと心地良い第5番ですね。重厚さや爆裂の対角にいる流れです。

それを証明しているのが中間楽章の二つでしょう。アンダンテ・カンタービレとワルツ、そのものですね。この流れもありのチャイコフスキー5です。






エフゲニー・ムラヴィンスキー
レニグラード・フィルハーモニー管弦楽団


(4, 5, 6番のset、いずれも名盤ですね)


第一楽章
序奏「運命の主題」は陰鬱なスロー、第一主題は色濃い力感でピークを激しく。第二主題は感情強く、パッセージは力強さですね。展開部はリズムを生かして音厚を増します。再現部は落ち着きから第二主題パッセージで感情を高めますね。コーダは弦の下降音階と管楽器が厳しい音で対峙します。感情こもったアゴーギクとディナーミクが素晴らしい楽章です。

第二楽章
主部のhrはスローで澄んで美しく、ob動機は明るい流れを作ります。第一トリオは静の中の緊張感から山場を大きな鳴りで広げます。哀愁の中間部は"運命の主題"をシャープに。主部回帰では優美さを見せつつ山場で炸裂!! そして突然の爆裂"運命の主題"です。厳しい出し入れで緊張感漂う流れですね。

第三楽章
主部の第一・第二ワルツは優美、第三ワルツは木管の鳴りを生かします。中間部は主部の流れキープし16連音符を明確にバトンタッチして行きます。主部回帰の第一ワルツは少しスケルツォ風、コーダの"運命の主題"後の強音が唐突です。ワルツらしさの中にもシャープさが見られますね。

第四楽章
序奏の"運命の主題"は悠然。弦の第一主題は厳しく速く、第二主題は流れに乗って現れて金管の"運命の主題"はキレキレに激走します。感動ものです!!
展開部はゆっくりと鎮めて哀愁に。再現部は突然暴れて緊張感と揺さぶり強く、スローに落として"運命の主題"から山場を作ります。コーダは祭典的な行進曲でラストは勇壮そのものです。


激しい出し入れと感情溢れる第5番です。ムラヴィンスキーが得意としたチャイコフスキー5、気持ちの入った強音パートに惹かれますね。

半世紀を共にした指揮者とオケの一体感が作る隙の無い見事さ
(脳にインプリンティングされているので) 個人的にはこれを超える演奏には出会えません。




対極にいる演奏ですね。気持ち昂る力演のムラヴィンスキー、肩の力を抜いて優美ささえあるP.ヤルヴィ、どちらも完成度が高いです。

どちらを聴いても損はありませんね。もちろん個人的には何十年も聴いているムラヴィンスキーという事にはなるわけですが。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





サン・ラックス(Son Lux) の「Bones」はLIVEが断然楽しいネ



サン・ラックス Son Lux
サン・ラックスは、以前 "eighth blackbird" のCDで楽曲をインプレした際はライアン・ロット(Ryan Lott)の別名義でしたが、本作では他二人のメンバーが加わったグループ名になっています。

具体的には2008年からR.ロット(keyboard, vocal)が使い、そこにツアーメンバーだったラフィーク・バーティア(Rafiq Bhatia, guitar)とイアン・チャン(Ian Chang, dms)が2015年に加入しています。

ポスト・ロックやエレクトロニカ方向は元々のR.ロットの方向性で、ジャズやヒップホップも包括してボーダーレス化。さて、どの様な方向性になったのでしょうか。



Bones (2015)
グループになっての初アルバムで、ジャンル的にはトップダンス/エレクトロニックのアルバムチャートで10位になっています。全曲がメンバーの作曲となっていて、制作とミキシングを含むレコーディングもこなしていますね。14人のvocalの他 演奏メンバーも追加しています。







1. Breathe In - 2. Change Is Everything - 3. Flight - 4. You Don't Know Me - 5. This Time - 6. I Am The Others - 7. Your Day Will Come - 8. Undone - 9. White Lies - 10. Now I Want - 11. Breathe Out

まずは低音ドローンにvocalの1'に満たないアンビエント "1. Breathe In" から入ります。"2. Change Is Everything" は電子音パルスの波の中、"4. You Don't Know Me" はヒーリング・ポップス、"5. This Time" のギターはディストーション、"8. Undone" では少しジャズ風ギターに、全曲歌入で簡単に括るとポップ・ミュージックです。

源流を手繰ればプリンスあたりが出て来そうな感じですね。



エレクトロニクス・ポップサウンドで、全曲歌入。もろにポップで このブログの守備範囲ではない様です。




実はLIVEがYouTubeにあって、こちらはvocalも含めて本人達トリオ演奏で全然面白いです。楽曲を「Bang On a Can」か「eighth blackbird」に提供して編成を見直せば、米エクスペリメンタリズムとしても生き生きとしそうですよね。えっ、ダメですか?!

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  "Bones"のLIVEです。圧倒的に面白いです!!
  CDはセッションなので、このエレクトロニクス・ポスト・ロック感は弱いです


テーマ : 音楽のある生活
ジャンル : 音楽





アイスランドの現代音楽:ISO Project Vol. 3『Occurrence』ビャルナソン, ヴァカ, トウマソン, ヨンスドッティル, ヨハンソン



"Occurrence" ISO Project Vol. 3
Iceland Symphony Orchestra
アイスランド交響楽団が進めるアイスランド現代音楽家シリーズの第三弾『ISO Project vol. 3』ですね。"vol. 1" "vol. 2" はインプレ済みです。

本アルバムにはCDの他にBlu-rayオーディオディスクが付いてmShuttleオーディオ対応です。ネット上からmp3, FLAC, wav, がDL出来ます。



 ▶️ 現代音楽の楽しみ方  ▶️ 北欧近現代音楽CD(作曲家別)一覧








ダニエル・ビャルナソン
(Daniel Bjarnason, 1979/2/26 - )
本アルバムの指揮者であり、アイスランドの現代音楽家です。レイキャヴィクや独フライブルクで学んでいますね。指揮者としてはアイスランド響の首席客演指揮者、在籍アーティストでもありました。作曲家としては多岐にわたる、オペラからフィルム・ミュージックやダンス・ミュージック等、ジャンルにチャレンジしている様です。

■1. Violin Concerto
 vnのピチカートと口笛で入ってくるのが面白いですが、すぐに調性が崩れてノイズも絡んで来ます。刺激的な流れと緩やかさが入れ替わるコントラストある無調のヴァイオリン協奏曲ですね。出し入れのメリハリが強く、無調ですが旋律が存在していて新古典主義に近い流れも感じます。特殊奏法も含めたソロvnはトレモロを主体に流れを作っていますね。vnはPekka Kuusistoです。



ヴェロニク・ヴァカ
(Veronique Vaka, 1986 - )
女性現代音楽家でチェリストでもあります。エレクトロ・アコースティックをモントリオール大学で学び、アイスランド芸術大学でも習っています。
今回の"Lendh"はアイスランドと北欧の音楽賞にノミネートされた楽曲だそうです。

■2. Lendh (2018)
 旋律はなく暗いドローンの音塊ですね。コードを感じますから調性基本で、空間音響系と言っても良いでしょう。暗闇で蠢く魑魅魍魎か、ナイトサファリの生き物か、そんな生命感。"ありげ"と言ってしまうと身も蓋もないのですが、今の時代の多様性現代音楽の一つの方向性である事は間違いありませんね。個性が見られるとすれば、弦のトレモロが入っている事でしょうか。



ヘイクル・トウマソン
(Haukur Tómasson, 1960/1/9 - )
前回のISO Project Vol. 2でもピアノ協奏曲#2が取り上げられたトウマソンは、アイスランド以外の米・独・オランダでも学んでいます。初期はフィボナッチ数を使っていたりしますが、その後本人の言う"spiral technique"と言う技法?とアイスランド民族音楽の方向性に変わって来ています。

■3. In Seventh Heaven (2011)
 機能和声の旋律の反復・変奏で構成されたディズニーのフィルム・ミュージックの様なチョコマカした流れです。面白いのですが、現代音楽的な流れが見当たりません。楽しく明快な標題音楽と言った処でしょう。
Vol.2にあった2016年の "ピアノ協奏曲#2"、本作品は2011年、ではこのパターンから無調へのアプローチもあったので今後の期待値は上がりますね。



スリドゥル・ヨンスドッティル
(Thurídur Jónsdóttir, 1967/3/30 - )
レイキャビク音楽大学、イタリア・ボローニャで学んだ女性現代音楽家でフルーティストですね。エレクトロニクスやフィールド・レコーディングと言ったテクニックも駆使します。"Flutter"は彼女の代表作の一つです。

■4. Flutter (2009)
 入りは特殊奏法のノイズ系です。flのノイズとオケの対峙ですが、緊張感ある流れを作っています。また、ソロflは反復旋律を奏でるパートもありますが、その際もオケは緊迫感ある音塊で、ボリュームを上げてflを飲み込みます。その後もソロflとオケの関係は常に緊張感を崩さずにパターンを変えて行きます。構成感もあって、変化と表情の面白さがありますね。
flはMario Caroliです。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  CDと同メンバーで, 2019年のLIVEです
  最後にヨンスドッティル本人もステージに上がります




マグヌス・ブロンダル・ヨハンソン
(Magnús Blöndal Jóhannsson, 1938/9/8 - 2005/1/1)
現代音楽家で指揮者としても活躍していました。レイキャヴィク音楽大学で習った後、ジュリアードにも通った様です。1950年代から60年代初頭はアイスランド前衛音楽のリーダーシップをとっていたそうで、十二音技法の楽曲や電子音楽も作っています。
その後10年間の活動休止後、楽風を変えて この"Adagio"で作曲活動を再開したそうです。

■5. Adagio (1980)
 低音のドローン系を背景音として、繊細で美しい調性旋律が被って来ます。楽器の変化で表情が変わります。チェレスタのキラキラした音色はよく使われるパターンですね。なるほど、アダージョです。



今の時代らしい多様性の現代音楽が並びましたが、類型的な印象が残ります。第三弾ですから、新しさや冒険的な音も聴きたかったですね。

今回もドローン系の様な音塊の方向が多く取り上げられています。アイスランド現代音楽のメインストリームが空間音響系にあるのかもしれませんね。

ベストトラックは "4. Flutter" です。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





ウィルヘルミナ・スミス(Wilhelmina Smith) の『デンマーク現代 無伴奏チェロ作品集』



WORKS FOR SOLO CELLO
ウィルヘルミナ・スミス (Wilhelmina Smith, vc)
以前サロネンとサーリアホの無伴奏チェロ作品集をリリースしている米の女性チェリストのW.スミス。そのサロネンの招聘でロサンジェルス・フィルの首席客演奏者を受けているそうですが、それ以上の事はよくわかりません。来日経験もあるそうです。

今回はデンマークのベテラン現代音楽家二人の作品です。



 ▶️ 現代音楽の楽しみ方  ▶️ 北欧近現代音楽CD(作曲家別)一覧








ペア・ノアゴー
(Per Nørgård, 1932/7/13 - )
今やデンマーク現代音楽の重鎮ですね。何と言っても独自の無限セリー(Uendelighedsrækken)を開発した事でしょう。何回も書いているので割愛ですが、今回の楽曲は年代的に使われていませんね。

■1. Cello Sonata No. 1 (1953)
 北欧ロマン主義的な音楽ですね。機能和声ですが、幽玄さを感じます。ダブルストップなどは古典的な響さでもあります。と言うわけでそれほど興味が湧く様なものはありませんが、W.スミスのvcは表現主義的な刺激的な音色を奏でますね。


■2. Cello Sonata No. 2 (1954/rev. 1980)
 一気にセリエルを跨いで1980年に改訂されたver.ですね。曲の流れは1.と似ていますが、調性が薄く自由度が高くなっています。こちらの方が曲も演奏も表情があって聴き応えがありますね。ダブルストップも微妙な音色を重ねています。vcの音色もナチュラルなボウイングをメインにしているのが分かりますが、も〜っと繊細でも良い様な…


■3. Cello Sonata No. 3 (1999)
 2.を一層調性感を薄めた印象で、グリッサンドが多くなって微分音の様な音色も感じさせます。曲は短くなりましたが、充実度は確実に上がっていますね。ただvcの音色が強いので、もっと繊細さを強調したコントラスト付けが欲しい気がします。



ポウル・ルーザス
(Poul Ruders, 1949/3/27 - )
デンマークの現代音楽家で、K.A.ラスムセンに師事しています。ジャンルもオペラからソロまで書くそうで、楽風は幅広くバロックから現代音楽までだそうです。デンマーク前衛はこのブログ大注目ですが、その実験前衛ではありませんね。(ラスムセンの下ではステーン=アナセンの様な過激な前衛音楽家が育っていますが)

■4. Bravourstudien (1976)
 ルネッサンス期の曲をモチーフにして、10の変奏曲にしています。調性やテンポ・拍子、を変化させてセレナーデやエチュード他を仕立てていますが、特殊奏法などは用いません。また調性や拍も極端な方向性を見せるわけでもなく、全体として凡庸な流れに感じてしまいます。



少々残念な印象で、曲も演奏も魅力に欠ける感を拭えません。

ノアゴーの後年はともかく、1. 4.は興味が湧きません。またW.スミスのvcも繊細さに大きく欠けて調性の薄い幽玄さが伝わりません。パガニーニでも取り上げた方が向いている様な…

結局の処、私の駄耳の証明と言う事になってしまいました。




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ジャンル : 音楽





ヤクブ・フルシャ指揮 バンベルク交響楽団 の「マーラー 交響曲 第4番」クールな好演ですね



ヤクブ・フルシャ Jakub Hrůša, cond.
(Bamberger Symphoniker, 2020/7)
フルシャが2016年から主席指揮者を務めるバンベルク響とのマーラー4がリリースされましたね。メゾソプラノは若手のアンナ・ルチア・リヒター(Anna Lucia Richter)で、コロナ禍の昨年(2020)7月の録音です。

フルシャは都響の主席客演指揮者時代にフィット感が良かったので、次期あたり都響の主席指揮者でもいいのでは?!、などと考えてしまいます。

4番はマーラーの交響曲の中では一番聴く機会が少ない曲です。あまりに古典色が強く、後半楽章で天国を聴くのか、はたまたマーラーらしい悪魔のパロディなのか、掴み所の薄い印象ですね。アバドの様に穏やかに落ち着かせるのか、バーンスタインの様に上記のコントラストを強めるのか、いずれ振り幅も小さい曲だと思います。

なおインプレでは第一楽章は二つの主題(部)、第三楽章は変奏部を二つとして聴いています。




マーラー 交響曲 第4番



第一楽章
序奏のflと鈴はややスローに、第一主題は少しテンポを上げてアゴーギクで古典的メヌエットっぽさを演出します。第二主題のvcもその流れに乗って優美ですね。展開部はテンションを上げ、flの動機は澄んだ音色で、tpがファンファーレをだ出すと流れは切れ味で進みます。再現部第一主題は色合い濃く現れて、華やかな流れを作ります。優美な中にアゴーギクが見晴らしの良い流れを作る楽章です。

第二楽章
スケルツォ冒頭の死神vnソロwは揺さぶって神経質。主部は戯けた流れと陰影を交えてアゴーギクを効かせ、二回目のトリオは7番を思わせるスロー優美をclで奏でます。主部回帰では明るさを射し込ませて、クセのある楽章を上手くまとめています。

第三楽章
変奏楽章の第一主題は大きくスロー化して静美を強調、個性を放ちます。第二主題もその流れのスローから哀愁を奏でますね。第一変奏部はスローながらも陰影を濃く入って軽妙さへ、第二変奏部はアゴーギクで軽快さと色濃さの対比を作ります。コーダの山場は高らかで、ディミヌエンドで静美に鎮めます。

第四楽章
天国を歌うsopは伸びやかで表情が豊か、歌詞の区切れに挟まれるオケの動機は約束通りに速めでシャッキリ。アゴーギクを生かした流れは飽きさせませんね。流石にsopは若く艶やかさには欠けますが生き生きと感じました。


殊更の古典表現を回避して、アゴーギクを生かした見晴らしの良いマーラー4です。第三楽章の二つ主題では大きくスローと個性もしっかりと見せていますね。

フルシャの作る流れは表情を付けながらもクール、A.L.リヒターのsopも表情豊かにフィットしています。スッキリと聴けて好演の一枚ではないでしょうか👏




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





フィレンツェ五月音楽祭2019 ワーグナー 歌劇『さまよえるオランダ人』をNHKプレミアムシアターで観る

2019年の"フィレンツェ五月音楽祭"(Maggio Musicale Fiorentino) から「さまよえるオランダ人, Der fliegende Holländer」です。救済あり、一幕後インターミッションあり、のヴァージョンだった様です。

ポール・カランによる演出ですが知見がないので予想がつきませんね。下記YouTubeを見る限りでは奇抜さは無い様です。今の時代のオペラですと舞台・衣装だけでなくストーリーにさえ手を付ける事が不思議では無いので…



約1'と極短い抜粋版です


演出
衣装も舞台もシンプル化されていますが、原作に則った設定で 置き換えも採用していませんから今の時代にしたら古典的演出と言ってもいいかもしれません。もちろんストーリーに手を入れる事もありません。シンプルに暗いステージ、プロジェクション・マッピング(PM)は今のオペラの標準仕様でしょうね。

舞台・衣装
暗い舞台に大きなPM、単純な道具類。衣装は多少デザイナー的ですが、落着いたアースカラー基本に程々の時代考証でしょうか。いずれシンプル化されていますね。

配役
【女性陣】ゼンタ役のM.オーウェンズは太り過ぎです!!w 一人群を抜く巨体は役にフィットしないでしょう。ただ、sopは伸びと艶が素晴らしく今回のキャストではベストでしたね。性格設定は明るい女性です。個人的には細く鬱な方がワーグナー的だと思うのですが。
マリーのA.ヤーンスは印象が薄かったですね。

【男性陣】タイトルロールのT.ガゼリのバリトンと、ダーラント役のバスのM.ペトレンコは似た印象でした。歌唱・演技共に悪くないのですが、殊更良くも無いと言った風で、バリトンvsバスの重唱は地味に聴こえました。ただ、ラストのガゼリは素晴らしかったですね。
エリックのB.ベルヒトルトのテノールはほどほどでしたが、年齢的にはゼンタを慕う青年というには無理がある様な…w

音楽
ルイージのコンサートでの印象はクールな見かけと異なりますすね。単独でも演奏される序曲では 速め激しさで入り、アゴーギクとディナーミクのコントラスト付けを強くメリハリある演奏でした。(頭の中の序奏はE.D.ワールトです)
劇中での演奏もかなり出し入れの強い鳴りを感じ、やっぱりルイージでした。


ワーグナーと言うとバイロイトが前衛演出なので、久しぶりに旧タイプの演出・舞台・衣装のワーグナー作品でした。本来なら違和感なく楽しめるはずですが、今や少々物足りない感が否めないかもしれません。

配役も微妙で、ゼンタとエリックは少々アンフィット。その他男性陣は何かもう一つ欲しかった様な。



<出 演>
 ・オランダ人:トーマス・ガゼリ [Thomas Gazheli]
 ・ダーラント:ミハイル・ペトレンコ [Michail Petrenko]
 ・ゼンタ:マージョリー・オーウェンズ [Marjorie Owens]
 ・マリー:アネッテ・ヤーンス [Annette Jahns]
 ・エリック:ベルンハルト・ベルヒトルト [Bernhard Berchtold]
 ・かじ取り:ティモシー・オリヴァー [Timothy Oliver]

<合 唱> フィレンツェ五月音楽祭合唱団
     アルス・リリカ合唱団
<管弦楽> フィレンツェ五月音楽祭管弦楽団
<指 揮> ファビオ・ルイージ [Fabio Luisi]
<演 出> ポール・カラン [Paul Curran]


収録:2019年1月10・13日 フィレンツェ五月音楽祭劇場(イタリア)

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