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クリスティアン・ティーレマン(Christian Thielemann) の振る『グレの歌』ストーリー性の高さが光ります

今年最後のインプレは、このCDが発売予定に入った時から決めていました。個人的に最も好きな楽曲の一つで、ティーレマン指揮ですから。


Gurre-Lieder グレの歌
Arnold Schönberg (1874-1951)
アルノルト・シェーンベルクの後期ロマン派色濃い歌曲。初期に手掛けて完成は無調時代と言う「グレの歌」ですね。作品詳細は割愛です。

今やバイロイトを席巻するクリスティアン・ティーレマン(Christian Thielemann)が音楽監督と首席指揮者を務めるシュターツカペレ・ドレスデン(Staatskapelle Dresden)にグスタフ・マーラー・ユーゲント管を加えて大編成オケで録音したグレの登場です。

歌手陣は日本でもお馴染みですが、クラウスにはヴォルフガング・アプリンガー=シュペルハッケを起用。2015年のガードナーとの録音で同役を見事にこなしていますね。

この曲は下記聴き比べをしています。もちろん今回のCDも入れてあります。



 ▶️ 『グレの歌』14CD聴き比べ








ヴァルデマル王 (ステファン・グールド, Stephen Gould)
情景に応じたオケとの同調がいい感じで、スマートなテノールもヴァルデマルらしさがありますね。"馬よ!…"や第二部の神に対峙する姿勢も激しさより切れ味です。第三部"トーヴェの声で…"の「Tove, Tove, Waldemar sehnt sich nach dir !」は素晴らしくグッと来ます

トーヴェ (カミッラ・ニールンド, Camilla Nylund)
第一印象 初曲"ああ, 月光が…"で感じる優しさがトーヴェらしく、"星は歓びの…"では良く通るsopでヴァルデマルを待つ気持ちが伝わります。優しさと感情表現のバランスが良く、"あなたはわたしに…"は素晴らしいです。

山鳩 (クリスタ・マイヤー, Christa Mayer)
影の主役とも言うべきmez、ここでは少し控え目の表現に感じますね。トーヴェの死を尖った表現で見せますがやや直線的で線が細く、例えばミントンや藤村さんの様な秘めたる厳しさを感情表現するのとは違います。比較対象が良すぎですが…

農夫 (クワンチュル・ユン, Kwangchul Youn)
緊迫感ある演奏と力強いバスがシャープな印象です。"Da fährt's…"はかなり早く出て、その後の祈りの穏やかさに繋げる上手さですね。

クラウス (ヴォルフガング・アプリンガー=シュペルハッケ, Wolfgang Ablinger-Sperrhacke)
洒脱な道化の表現力が素晴らしく、目の前で演じてくれている様です。戯け過ぎずに王を表現して、ここでも好演ですね。

語り手 (フランツ・グルントヘーバー, Franz Grundheber)
小刻みなオケを背景に、早口のシュプレッヒゲザング。スロー後半はgoodですが、前半は抑揚不足で淡々としています。

合唱団
第三部"よくぞ来られた…"と"時を告げようと…" では切れ味と素晴らしい広がりを感じます。合唱団が一つの聴き処かもしれません。


演奏と流れ
美しく抑えの利いた黄昏前の序奏、ややスロー基軸とした緩急バランス、情景に合わせたオケの表現力。それらが歌手陣と上手くフィットしてストーリー構成が見事です。この流れですと、第三部 "トーヴェの声で…" のヴァルデマルが死して尚トーヴェを思う気持ちが見事に表現されます。

演奏としては第三部が素晴らしく、アゴーギクでの表現力アップで歌手陣の歌いとまさにベスト・フィットです。



歌詞を生かす様なオケの構成とフィットした歌手陣、ストーリー表現の優れた"グレの歌"になっています。歌詞を追いながら聴くと素晴らしさが一層感じられます。

演奏が少し引いて歌手陣を前に立てる、その半歩引いたティーレマンのスタンスこそが全体を生かしているのかもしれません。興奮を回避してシャープさのニュー・スタンダードのグレの可能性も?!

もっとワーグナー風になるかと思いましたが、そこは外れた様ですw




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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