fc2ブログ

Bang on a Can と エイス・ブラックバード(Eighth Blackbird) のコラボレーション『Singing in the Dead of Night』今の米現代音楽


Bang on a Can (founded 1987)
N.Y.を中心に活躍するこのブログで超一押しの米国現代音楽集団の "Bang on a Can"(以下BOAC) ですね。今回はその創設者三人が楽曲を提供しています。紹介は過去ログにありますので割愛です。


 ▶️ 現代音楽の楽しみ方  ▶️ 現代音楽CD(作曲家別)一覧


今回はエイス・ブラックバードからの委嘱なので、BOACのアンサンブル Bang on a Can All-Starsの演奏ではありませんね。また、この作品はBOACと振付家スーザン・マーシャル(Susan Marshall)との初コラボの作品で、舞台ではパフォーマンスも楽しめる"特殊な音作り"がありそうです。



Singing in the Dead of Night Eighth Blackbird
アルバム・タイトルの冒頭に"Blackbird"を付けると、すぐにビートルズのホワイトアルバムに入っていた有名曲の冒頭の歌詞だとわかります。当時はこの曲をギター一本で弾いたものですw

と言う事でタイトルは全曲その歌詞から取られています。楽曲的には全く関係なく、今回アルバムタイトル曲を作ったJ.ウルフの不眠症での音楽イメージからだそうです。なるほど、歌詞が浮かぶとニヤッとしてしまいますね。D.ラングの3パート作品の間にM.ゴードンとJ.ウルフの楽曲が挟まれる並びになっています。

ちなみにエイス・ブラックバードはシカゴを拠点とする米現代音楽セクステットです。こちらも本ブログご贔屓、名前の由来等々過去ログにありますので紹介は割愛ですが。(以前はネットにエイ""・ブラックバードとある事が多かったのですが、やっとこう書かれる様になりましたね)







1. These broken wings, Part 1 [David Lang]
プチプチと弾ける様な音列的な印象の流れです。音の跳躍もありますが、もちろん音列配置の訳はありません。反復のホモフォニーなのですが、陶酔的な混沌の印象が残りますね。サウンド的にはいかにもBOAC的です。


2. The light of the dark [Michael Gordon]
一転してvcの濃厚なグリッサンドをベースラインにして、そこにvnや管楽器のキラキラした旋律が絡んできます。高速アルペジオはモノフォニーで奏でられる事もあって、ここでも陶酔的な混沌イメージです。後半はポリフォニーの様相も見せますね。


3. These broken wings, Part 2 (Passacaille) [David Lang]
邦楽の笛の様な静の音色、そこに楽器不明の打撃音が入ります。これはステージで何かやっています。後半はスロー音階で管弦がゆっくりと歩む中に、ここでも不明の打撃音… これはパフォーマンスでしょうからステージが見えないとダメですね。打撃音はエレクトロニクス処理もされている様です。静と打音の面白さです。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  Ensemble ConnectのLiveステージです。打撃音がわかります



4. Singing in the dead of night [Julia Wolfe]
等拍リズムを刻むpf、そこに各楽器がロングトーンでポリフォニカルに絡んできます。大きなパウゼを挟みながら少しづつ音厚を上げて行きます。途中でサラサラと言うノイズが入ってきます。スーザン・マーシャルが仕込んだパフォーマンスでしょう。(サンドペーパーか砂かのはず…w) そのシーンではpfはストップして静的空間になりますね。#3と類型性が強いです。その後J.ウルフにしては珍しい即興的なパート(あくまで反復主体です)が現れるので、ソナタか複合三部形式かの様な構成感がありますね。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  ノイズを出している時にpfがお休みの理由がわかりますね
  このパフォーマンスには他にもヴァリエーションがある様です



5. These broken wings, Part 3 (Learn to Fly) [David Lang]
明らかなポスト・ミニマルのサウンドに回帰します。明確に刻まれるリズムが印象的です。一番シンプルで、ここではパフォーマンスはない様です。



もちろんポスト・ミニマルで三者三様ですが、陶酔的な混沌の今の米現代音楽になっています。

残念なのはパフォーマンスが明らかにあるのが分かるので、それが視覚に反映しないもどかしさが残る事ですね。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





エレーヌ・コルレット(Hélène Collerette)のヴァイオリン・ソロ集『Norigine』カナダと北欧の現代音楽


Norigine エレーヌ・コルレット (vn. Hélène Collerette)
カナダ(ケベック)出身のフランス人ヴァイオリニスト、コルレットの無伴奏ヴァイオリンソロ集です。フランス国立管弦楽団のコンサート・ミストレスを務めるそうですね。

とは言え全く知見は無く、興味の対象は演奏者ではなく作曲者の方になり恐縮です。








ジャック・エテュ
(Jacques Hétu, 1938/8/8 - 2010/2/9)
カナダの現代音楽家でモントリオール音楽院で習い、タングルウッドでも学んでいますね。フランスでH.デュティユーとO.メシアンというビッグネームにも師事しています。

Variations Op.11
 主題と5つの変奏、6パートの楽曲です。主奏から調性を軸足にした神経質・幽玄な旋律が組み合わされています。そこに切れ味の良いコルレットのヴァイオリンが被って、力感を見せながらも繊細さがあって素晴らしいですね。
基本は速い流れで微妙なダブルストップや技巧パートもあり、ヴァイオリニストが好みそうです。この後の曲もそうなのですが…



スヴァンテ・ヘンリソン
(Svante Henryson, 1963/10/22 - )
スウェーデンの現代音楽家で、今回一番の注目になります。チェロとコントラバス奏者ですが、ヘヴィ・メタルとジャズの活動をしていますね。オスロ・フィルの首席コントラバス奏者でもありました。

Sonata For Solo Violin
 基本は調性の薄さを感じるレベルになり無調無拍の混沌ではありません。基本はスローな幽玄さで、所謂(いわゆる)北欧らしい風景感を感じるかもしれませんね。もちろん高速技巧パートもあり聴き応え十分です。主旋律の変奏と反復を感じますから、無理やり言うならポストビヨンド・ミニマルの方向性w。



エサ=ペッカ・サロネン
(Esa-Pekka Salonen, 1958/6/30 - )
フィンランドの指揮者で現代音楽家ですね。もちろん紹介文は割愛ですw

Lachen Verlernt
 繊細幽玄で調性はよりいっそう薄くなります。スコアを見ないと無調かどうかわからない感じですね。もちろん旋律感は明確で、音色を細く そして太くと表現を変化させています。ここでもコルレットの表現力が生きていますね。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  teaserで、サロネンを前に弾いています。CDの方がキレキレですね




セルジュ・アルキュリ
(Serge Arcuri, 1954/6/10 - )
カナダの現代音楽家で、モントリオール音楽院で作曲とアナリーゼを学んでいますね。またモントリオール大では電子音楽も習っています。

Soliloque 1
 繊細で幽玄な楽曲です。今までの楽曲も同じ傾向が強く、またこのパターン?!的に感じてしまいます。楽曲も演奏も良いのですが、流石にここまで並べられると…



カール・ニールセン
(Carl Nielsen, 1865/6/9 - 1931/10/3)
言わずと知れたデンマークの音楽家ですから、紹介割愛です。

Praeludium Und Thema Mit Variationen Op.48
 ここで気づくのは、幽玄繊細さは既にニールセンが作っていたという事実の再確認ですね。ここまでの四人の楽曲の傾向の元にあります。大きな違いはベースにあるのが機能和声である事でしょう。北欧的な後期ロマン派に、幽玄な調性の薄さをスパイスにした音楽ですね。表情も一番付いて楽しめます。ビッグネームは伊達では無いという事ですね。



予想以上にエレーヌ・コルレットのvnが良かったですね。力強さと繊細さを合わせて音で表現してくれるのは魅力です。

楽曲は前衛系ではなく、今の時代らしい調性の薄さを生かした幽玄さを並べた感じです。残念なのは似た様な楽曲ばかりで、ラスト一曲を聴けばそれで良かった?!



 ▶️ 現代音楽の楽しみ方  ▶️ 現代音楽CD(作曲家別)一覧  ▶️ 北欧近現代音楽CD(作曲家別)一覧


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





エリッキ=スヴェン・トゥール(Erkki-Sven Tüür) の『Mythos』エストニア現代音楽


エリッキ=スヴェン・トゥール (Erkki-Sven Tüür, b.1959)
エリッキ=スヴェン・トゥールはエストニアの現代音楽家でタリン音楽院で習い、レポ・スメラにも師事しています。技法的にはミニマル・音響解析・等を使っているそうです。興味深いのは同時期にロック・グループ"In Spe"での活動がある事で、そこがポイントになり楽風にも影響を与えていれば面白そうですね。(以上、前回インプレ時と同文になります)



Mythos Paavo Järvi | Estonian Festival Orchestra
同じエストニアの指揮者パーヴォ・ヤルヴィに献呈された、神話や伝承を意味する"ミトス"をタイトルとする交響曲第9番をメインにしたアルバムですね。演奏はもちろんパーヴォ指揮で、エストニア祝祭管弦楽団になります。

P.ヤルヴィは、N響の首席指揮者(2015-)になる以前は好きな指揮者の一人だったのですが、近年はコンサートも行っていませんねぇ。ヤルヴィ家の三人の指揮者はそれぞれタイプが異なって面白いですね。個人的には弟のクリスチャン・ヤルヴィが好きです。







1. Symphony No. 9 "Mythos" (2018)
第一印象はドローン、アンビエント、エレクトリカ、的な空間音響系ですね。蠢く弦音が支配して管楽器ロングトーンの絡み合いが低く垂れ込めます。音色は澄んだ高音のパートや煌めくパートもあり、気配が繊細になったりもします。後半はポスト・ミニマル的ポリフォニーで、強い変奏・反復になりますが、それでもドミナントは空間の音です。ホールで聴いたら面白そうですね。


2. Incantation of Tempest (2015)
4'強の短い曲です。ここでも反復と低音の響きでポスト・ミニマルの楽曲になっています。音飽和的に鳴りが渦巻くのと、陶酔的な小刻みなリズムが印象的ですね。空間音響+ポスト・ミニマルです。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  2016年エストニアのPärnu Music Festivalからです



3. Sow the Wind... (2015)
サチュラシオンの傾向もあるのでしょうか、ここでも音の密度の濃さが印象的ですね。唸る低音をバックに、vnのソロパートが出現したりと異なる流れも加わります。もちろん"空間音響+ポスト・ミニマル"が基本です。



基本的には調性音楽ですね。そして明確なのは音密度の高い"空間音響+ポスト・ミニマル"の流れでしょう。コンサート受けしそうな今の時代のクラシック音楽ですね。

欧エクスペリメンタリズムとは方向性が異なるでしょう。エレクトリカを感じるのはトゥールのバックボーンがあるからでしょうか?!



 ▶️ 現代音楽の楽しみ方  ▶️ 現代音楽CD(作曲家別)一覧


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





近現代音楽家の「オーボエ協奏曲集」マルティヌー | B.A.ツィンマーマン | R.シュトラウス


Oboe Concertos シュテファン・シーリ (ob, Stefan Schilli)
ドイツ人オーボエ奏者のシュテファン・シーリをフィーチャーしたオーボエ協奏曲集ですが、ポイントはそこではありませんw

三人の近現代の音楽家の20世紀中盤の作品という事ですね。この時代は欧エクスペリメンタリズムの前衛真っ只中でした。

演奏は昨年11月に亡くなられたマリス・ヤンソンス指揮/バイエルン放送響の豪華オケ。実はそこに問題があったかもしれません。ちなみにシーリは同オケの首席奏者です。








ボフスラフ・マルティヌー
(Bohuslav Martinů, 1890-1959)
チェコの音楽家で、フランス音楽に傾倒した初期、ナチスから逃れ米活動の中期、欧州に戻って前衛と向き合う後期ですね。とは言っても新古典主義になります。

Concerto for Oboe (1955)
 欧州に戻ってからの後期晩年の作品になります。得意とする技巧性の高い協奏曲ですね。
いきなり民族和声的な軽快なリズムで入って来て驚きますね。obはオケの序奏が終わると澄んだ音色で牧歌的な印象です。第二楽章は緩徐で幽玄な流れになり、仏印象派を元にした様な流れを感じます。カデンツァと言っても良いpfとのDuoではよりその感が強いですね。第三楽章はいかにもアレグロ的にシャキッとしています。obも流れる様な旋律を奏でます。カデンツァは叙情的な中に技巧を見せる様になっていますね。
新古典主義とは言え、洒脱さは仏印象派を感じますね。



ベルント・アロイス・ツィンマーマン
(Bernd Alois Zimmermann, 1918-1970)
このブログでは一押しの、ちょっと古い前衛現代音楽家です。作風変化は過去のインプレにまとめてあります。

Concerto for Oboe (1952)
 セリエルの波に飲み込まれた中期の作品になります。この曲ですとH.ホリガーの名演がありますね。
パッと聴くと新古典主義の印象が強く、調性軸足的な流れですね。この時期・時代のツィンマーマンはセリエルを用いていますが、ヴェーベルンの様な使い方ではないので日和見に聴こえたかもしれません。それでもobは技巧的な流れが強い事がハッキリわかりますね。中間楽章の緩徐も緊張感が強く、出し入れも刺激的です。ラストのカデンツァも光りますね。コンサートでもう少し採用されても良さそうな気がします。
やっぱり20年生まれるのが早かったですね!

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  第一楽章です。obはH.ホリガー、ギーレン指揮・SWF SO Baden-Badenです
  こちらの方がオケ共に尖っていて、明確に前衛性があります




リヒャルト・シュトラウス
(Richard Strauss, 1864-1949)
言わずもがなのR.シュトラウスですから紹介などもちろん割愛です。

Concerto for Oboe (1945)
 前衛の時代を迎え、シュトラウス本人も古い音楽と言った晩年の作品です。
まず感じるのは入りのobの美しいロマン派の香りですね。前期ロマン派と言っても良い様な古典の響さえ感じます。残念なのは、交響詩やオペラのシュトラウスらしいストーリー性や抑揚が感じられません。昔帰りしている感じ?!でしょうか。
不協和音の様な調性の薄さも存在しないロマン派的流れは、今聴いても少し古く感じるかもしれません。



1940-50年代という前衛時代を背景にすると、いずれも時代の流れに乗れない楽風だったのかも知れません。そんな感慨の中で聴くのも一興かと思わせてくれる三曲ですね。

S.シーリのobは繊細さの音色を強く感じますね。オーケストラは演奏の流れ自体が流麗になっていて、前衛性を避けている感じもします。(ツィンマーマンのYouTubeを聴いてもらうと前衛性を感じます)



 ▶️ 現代音楽の楽しみ方


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





エマヌエーレ・カサーレ(Emanuele Casale) の 室内楽集「Chamber Works」


エマヌエーレ・カサーレ (Emanuele Casale, 1974/10/14 - )
前回に続きカサーレです。下記紹介文は前回のコピぺになります。

イタリアの現代音楽家で、G.ソッリマ他に師事し S.シャリーノにも習っている様です。今注目の1970年代生まれ、前回インプレのステーン=アナセン他 個人的に勝手な思い込みですが、の現代音楽家の一人です。2001年には「"STUDIO No.2a" Bass Recorder and Tape」で、斬新な現代音楽作品を選ぶ "第22回 入野賞" を受賞しています。

楽風はパルス的超短の音と休符の組合せです。それを元にエレクトロニクス処理で構築します。楽曲タイトルも3, 7, と言った味気ない数値であったりと、何かと前衛ですね。



Chamber Works, 杉山洋一(cond.) | Mdi Ensemble
前回の"Chamber Music"に続く年代、2003年から2014年の室内楽作品集です。1. 2. 5. にはカサーレ本人がエレクトロニクスで入り、続編と言った感じですね。







1. 11 (2008)
  per ensemble ed elettronica
随分と出し入れが強く表情豊かになった感じです。パルスだけではなくロングトーンが入り、強音と弱音のコントラスト、と言った対比的なサウンド構成になりました。スロー静vsファスト強音ですね。もちろんファストはパルス(トリル・トレモロ的)です。静音パートの比率が大きいのも緊張感があって良いですね。


2. Questo è un gruppo e pace (2014)
  per trio d'archi, pianoforte ed elettronica
静音グリッサンドに突如現れる強音パルス、どこかで聴いた様な構成ですねw 主の流れはポリフォニーとホモフォニーの中間くらい、個々の楽器がそれぞれ会話をしている様です。その傾向は以前からありましたね。色彩感を感じる明るい楽しさもあります。


3. Esistere lago, nulla e un tempo (2006)
  per ensemble
入りはアンビエントの様な静かな心地よさです。そこに緩やかにパルス(トリル・トレモロ)が絡みながら変化、キラキラした流れからロングのグリッサンドとなります。幽玄な静音が全体を支配します。無かった流れですね。


4. 7 (2005)
  per quartetto d'archi
細切れの様なパルスとグリッサンドの弦楽で、次の"5"と共にカサーレの原点方向になるでしょうか。前三曲と比べると古さを感じますね。


5. 5 (2003)
  per flauto, clarinetto ed elettronica
"Chamber Music"にも入っていましたね。二つの楽器のDialogueが楽しいです。今聴くと楽曲的にはややフラットでしょうか。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  Jen McLachlen(fl)とDavid Barrientos(cl)のDialogueですね




基本的なパルス技法は同じですが、"Chamber Music" よりも本"Chamber Works" の方が静と強・ロングトーンとパルスの対比が強まり表情が付きました。明るい音の広がりも感じられますね。

本CDがカサーレのスタイル変化が見えてオススメです。



 ▶️ 現代音楽の楽しみ方  ▶️ 現代音楽CD(作曲家別)一覧


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





エマヌエーレ・カサーレ(Emanuele Casale) の 声楽・室内楽集「Chamber Music」


エマヌエーレ・カサーレ (Emanuele Casale, 1974/10/14 - )
イタリアの現代音楽家で、G.ソッリマ他に師事し S.シャリーノにも習っている様です。今注目の1970年代生まれ、前回インプレのステーン=アナセン他 勝手な思い込みですがw、の現代音楽家の一人です。2001年には「"STUDIO No.2a" Bass Recorder and Tape」で、斬新な現代音楽作品を選ぶ "第22回 入野賞" を受賞しています。

楽風はパルス的超短の音と休符の組合せです。それを元にエレクトロニクス処理で構築します。楽曲タイトルも3, 7, と言った味気ない数値であったりと、何かと前衛ですね。



Chamber Music, Various Artists
2000年を跨ぐ少々古い、室内楽と声楽の作品集です。ソロからアンサンブル作品になりますね。そこにエレクトロニクスが入りますから、ヴァリエーションがあって楽風がわかりそうです。演奏者は楽曲下に記します。







1. 9 (2005)
  Icarus Ensemble, Giorgio Bernasconi
ネズミがチョロチョロと動いている様な音ですね。確かにシャリーノがいますw 細切れの音と休符を彷徨います。カサーレの音楽ですね。そこにエレクトロニクス処理が混ざって、アンサンブルの混沌になります。いかにも欧エクスペリメンタリズムですね。

2. Studio 2a (1998)
  Antonio Politano (flute)
パルス音と超短休符は同じですが、flをエレクトロニクス処理でサンプリング、ループ、ディレイ、と言った様な流れになっています。チョコマカ、コロコロした音です。入野賞を受賞したのはこれのバスリコーダーver.ですね。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  入野賞30周年記念演奏会でのLiveです
  少し表情が薄く、CDの方が面白いかも


3. Studio 1 (1997)
  Angelo Polino (horn)
細切れサウンドですが、ここではエレクトロニクスが打楽器的な音も作っていますね。調性的な流れで、何か雰囲気を感じますね。

4. Composizione Per Cinque Strumenti (1998)
  Ex Novo Ensemble
アンサンブルになると、無調混沌の系統が顔を出す様です。明らかに無調ポリフォニー、一部ホモフォニーです。後半の弦楽がシャリーノ風グリッサンドになりますね。ニャーニャー言っています。

5. 5 (2003)
  Svend Melbye (flute), Maria Sook Garmark (clarinet)
バスクラ?!でしょうか。二つの楽器の退位的流れが面白いですね。flはトリル・トレモロ的です。

6. Composizione Per Voce (1997)
  Anna Clementi (vocals)
アカペラです。それ以外は特に…ラストに出てくる虫の羽音の様なvoiceは面白いです!!

7. 3 (2002)
  Mario Caroli (flute), Pascal Gallois (bassoon)
Dou作品は5.もそうですが、対位的なDialogueが面白いですね。ここでも自由に動き回るバスーンが楽しいです。

8. Composizione Per Quattro (1999)
  Anna Clementi (vocals), Maurizio Persia (trombone), Mario Caroli (flute), Antonio Caggiano (cond.)
voiceも混ざる無調ポリフォニーです。voiceはヴォーカリーズで楽器の様な扱い、グリッサンドも出しながら上手く入り込んでいますね。



もちろん明確な旋律の存在しないのですが、サウンド全体に気配を感じて不思議です。パルス的な音技巧の欧エクスペリメンタリズムで特にDuo作品は面白く、演奏側が好みそうですね。

調性を取込んだ多様性現代音楽、編成が大きくなると無調ポリフォニー、と言った二面性もある様です。次回はこの続きとなる年代作品の室内楽集"Chamber Works"をインプレしたいと思います。



 ▶️ 現代音楽の楽しみ方  ▶️ 現代音楽CD(作曲家別)一覧


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





シモン・ステーン・アナセン(Simon Steen-Andersen) の『Black Box Music』と言うパフォーマンス現代音楽


シモン・ステーン=アナセン (Simon Steen-Andersen, b.1976)
デンマークの前衛現代音楽家 ステーン=アナセンと言えば、何と言っても2014年ドナウエッシンゲン音楽祭での"落下破壊ピアノ協奏曲"(Piano Concerto)ですよね。私もあのNEOSのDVDで一気にファンになりました。細かい楽風や経歴は過去記事を参照くださいね。

基本的にはインスタレーション、今の時代の現代音楽ですね。本人曰く "Visual Music で、音楽は聴覚だけではない"、そうです。



Black Box Music, Håkon Stene | Oslo Sinfonietta
2012年にダルムシュタット夏季現代音楽講習会で紹介されていますから、上記"Piano Concerto, für Klavier, Sampler, Orchester und Video"よりも早かった訳ですね。
"古典的音楽の驚くべき楽しい解体"だそうです。解体の対象はオーケストラを前にした指揮者像で、それをBlack Boxの中での人形劇・手振りといったパフォーマンスにしています。(ジャケット写真にある様子です)

そして舞台(Black Box, スピーカー, 演奏者)も特殊配置で以下の様になっていますね。(今回はオーディエンスなしの様です)


SSAndersen-BlackBox-Stage.jpg


本DVDには他に、コペンハーゲンの王立図書館で収録されたビデオ・パフォーマンス "Run Time Error" と、そのメイキング・ビデオも収録されています。






DVD


1. Black Box Music (2012)
  for performer, amplified box, sinfonietta and video
  [I. Ouverture - II. Slow middle movement - III. Finale]
スタンスが古典の解体だからか、構成は古典的な三楽章の形式になっています。
 まずは電子ノイズから入ります。そこに多方向から旋律のない音塊が響きますね。音色は単音ありショート・グリッサンドあり、特殊奏法ありになります。楽器ではない構成の音も聴く事が出来ますね。パートは三つに分かれますが、所謂(いわゆる)緩徐といった概念は存在しませんね。基本リズムが変わるといった感じになります。全て明瞭な旋律が無い"音"の構成ですね。

途中でオーケストラのチューニングの様なシーンが現れて、そこからは打音リズムのパーカッション・パフォーマンスとなります。2nd mov.でしょうか、それまでと明らかに異なるサウンドで展開部か中間部に相当しそうですね。最後は即興クラスター的な音塊が戻って混沌となりますが、フィニッシュはノイズです。

Black Boxのカーテンを開け閉めしながら指揮兼パフォーマンスします。Black Boxの背面(ステージ正面)に配された大スクリーンにはブラックボックス内が大写しになります。それで演奏者全員もそれを確認できる様になっていますね。その中には"オモチャの類"も登場して、"偶然性"の構成にもなっていますね。

Black Boxのホーコン・ステーネ(Håkon Stene)はスコアを見ているはずなのですが、明確にはわかりません。顔の影にあるのがスコア用タブレットでしょうか。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  Zeiträume für Musik Basel 2017 での抜粋です



2. Run Time Error @ The Black Diamond #1+2 (2014)
  for a joystick-controlled video performance
サブタイトルにある通り、オーディオ&ビデオをジョイスティックで操作します。通常再生だけではなく、ジョイスティックでストレッチやリバースが出来ます。
 音楽"音"はエレクトロニクス処理されたノイズ・サウンドです。もとになっているのは会場に設置された様々な配置物の"転がったり、引っ掻いたり"と言った音ですね。それを次々に移動しながらの映像も流れます。従って変なノイズ音も元音を視認しながら聴けるパフォーマンスです。環境音も使ったミュージック・コンクレートでもあるかもしれませんね。

映像は同一映像を2画面に映してそれぞれをジョイステイック操作しています。同じ元映像が微妙なズレを生じさせながら、音(ノイズ)も変化していきますね。さすがにスコアは無いと思いますw


3. Run Time Error - Behind the Scenes (Bonus Material)
  filmed and edited by Ida Bach Jensen
メイキング・ビデオです。ノイズ元を準備したり、実際の収録シーンを見る事ができます。電子処理されていない生音に、解説の英文字幕もあるでので、とても興味深いですね。使われていないシーンも出てきますし、ソフトによるサウンド・メイキングも出てきますね。

2画面の合成の、それぞれを個別ver.(#1,2)もあって、それを見ると合成前(電子処理あり)も楽しめます。



インスタレーションと言うよりもパフォーマンス・ノイズ系前衛実験現代音楽ですね。まさに今の時代の現代音楽を楽しめるDVDになっています。(CD表現の域を超えています)

既に多様性現代音楽という表現でさえ、通じなくなって来た事が実感できますね。もちろんオススメの一枚です。



 ▶️ 現代音楽の楽しみ方  ▶️ 北欧近現代音楽CD(作曲家別)一覧


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





プロフィール

kokoton

by kokoton
.

    

カレンダー
05 | 2020/06 | 07
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 - - - -
ようこそ
カテゴリ
ありがとうございます