FC2ブログ

アダム・フィッシャー/デュッセルドルフ響 の「マーラー 交響曲第8番 "千人の交響曲"」は落ち着きですね

COVID-19が世界中で猛威をふるう中 #StayHome なので、元気付けに派手な合唱のマーラー8番を聴いてみましょう。昨年リリースのA.フィッシャーです。


Conductor | Orchestra | Date
アダム・フィッシャー (Adam Fischer)
Düsseldorfer Symphoniker, 2017-2/10-12 Live rec.
2015年から首席指揮者を務めるA.フィッシャーがデュッセルドルフ響と進めるマーラー・チクルスから第8番です。
弟のイヴァンさんの方がマーラーの印象は強いですが、聴き応えはお兄さんの方かと。オケの問題もあるでしょうが… (弟は自ら創設のオケをメインにしています)

マーラー8のラスト大団円は常に感激的です。そこに至る歌唱パートをいかにまとめてくれるかが一番のポイントかと思います。その第二部, ゲーテ『ファウスト』ラストの登場人物と流れ、"愛・祈り・救済" を再確認すると感動は倍になりますね。



マーラー 交響曲 第8番



第一部
提示部:第一主題「来れ創造主たる精霊よ」は明るさを感じます。第二主題の第一ソプラノは落ち着いていて各独唱の重唱も緩やかな流れになっています。
展開部:管弦楽奏から暗い雰囲気の重唱になり流れはスロー、第一主題変奏の管弦楽が現れると合唱は一気に激しく荒れる様にテンポアップで叫ばれます。山場にフォーカスする上手い演出ですね。
再現部:興奮の延長上に第一主題が出現し、落ち着きを取り戻します。コーダは、少年合唱団で"Gloria…"が優しく歌われるとソリストと合唱, オルガンが入って二回目の山場を大きく広げて終わります。

緩やかな中に激しさの狙いを定めた第一部ですね。


第二部
【1. 序奏:山峡・森・岩・荒地】
5度下降(一楽章第一主題は4度)のピチカートが印象的な主題はさっぱりと、隠者たちが籠る気配は弦のトレモロが強くなってからです。

【2. 緩徐:聖なる隠者たち】
序奏主題からの「合唱とこだま」は隠者の住む風景を歌を載せて来ますがあっさりと。「法悦の神父」のバリトンは揺らぎのオケで明瞭に、「瞑想の神父」のバスは力強く、それぞれ"愛"を歌います。オケが随分前に出て聴こえますね。(ミキシングの問題でしょうか)

【3. スケルツォ (アレグロ):天使たちと子供たちと】
「天使の合唱」がテンポアップで軽やかに現れると「若い天使たち」まで軽妙に繋ぎます。「成熟した天使たち」ではvnのソロと第一アルトが濃厚に入って 愛の絆を歌い上げますが「未熟な天使たち」から「祝福された少年たち」では軽妙さに戻る落ち着いた流れです。

【4. フィナーレ:マリア崇拝の博士、懺悔する女たち、栄光の聖母】
「マリア崇拝の博士」のテノールは少年たちに交わりながら、朗々と歌って天の女王を讃え、合唱が加わり贖罪の女たちの救済を願います。
「罪深き女」「サマリアの女」「エジプトのマリア」は懺悔を歌いますが淡々と。"贖罪の女三人の合唱" では慈悲を願いますが、ここも押さえ気味で淡泊な表現です。
マンドリンの音色から「懺悔する女 (グレートヒェン)」が澄んで通るソプラノでファウストへの慈悲を願う処からは少しテンポアップで表情を付けて、「祝福される少年たち」「懺悔する女 (グレートヒェン)」まで進むと、「栄光の聖母」登場。少し弱い感じで神々しさが薄く感じます。歌っている場所(バンダ)の問題もあるかもしれません。「マリア崇拝の博士」と合唱は大きく讃えます。

【5. コーダ:神秘の合唱】
「神秘の合唱」が低くスローに、ソリストが入ると山場へ向かい約束通りに最後は大団円を築きます。

抑えが効いた流れを感じる第二部です。


バランスの良い一部、抑えた二部、全体としては穏やかさのマーラー8です。スロー基本でオケとソロは抑え気味ですから、そうなりますね。テノールは良かったですね。

第一部の方が良かったと思います。第二部はもう少しメリハリがあった方が好みです。ソロがオケより下がって聴こえるのが気になりますね。



続けて次回も"マーラー8番"、本年リリースの新譜セガン/フィラデルフィア管で聴いてみますね。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





アンナ・プロハスカ(Anna Prohaska) がソプラノで描く ミルトンの"失楽園"『Paradise Lost』

ジャケットに負けない素晴らしいコンセプトと表現力のアルバムですね。


Player
アンナ・プロハスカ
(Anna Prohaska, b.1983)
ドイツのソプラノ歌手ですね。現代音楽の賞であるハンス・アイスラー賞を受賞したり、オペラや古典だけでなく現代音楽も得意としている様です。そうなるとこのアルバムの構成も納得かもしれません。

プロハスカの個人的印象は殆ど無く、2012年ルツェルン音楽祭のアバドが振ったレクイエム(Mozart)が良かったくらいしか残っていません。古くて恐縮です。


Album Title
Paradise Lost
まずタイトルから惹かれますね。旧約聖書『創世記』第3章を元にしたジョン・ミルトンの同名作品をベースにした、良く知られるアダムとイヴのリンゴの話ですね。ジャケット写真もまさにそれに倣っています。

楽曲の構成が凝っています。全体を6つのパートに区切り、エデンの園から 追放されて地上での暮らしまでになっていますね。各パートに以下のバロックから近現代の音楽家20人の25作品を詰め込んでいます。それぞれ、失楽園に纏わるもしくは関連性のある小楽曲ですね。(例えばフォーレ"イヴの歌, Op.95")
ラヴェル, バーンスタイン, メシアン, フォーレ, ドビュッシー, ダニエル=ルシェール, ストラヴィンスキー,ヴォルフ, ブラームス, ライマン, ブリテン, プフィッツナー, ラフマニノフ, アイヴズ, パーセル, シューベルト, シューマン, アイスラー, マーラー, クラム


そしてピアノ伴奏のみのソプラノ・ソロと言う先鋭な設定です。(ピアノはジュリアス・ドレイク, Julius Drake)






I. 楽園の朝
ラヴェルは澄んだsopでパラダイスの三羽の小鳥を歌います。続くバーンスタインは弾む様な変化でとても生き生きしていますね。そしてメシアンの無調pfの音色とsopへと流れて、楽園がとても上手く構成されています。
楽風変化で作るI.ですね。


II. イヴの目覚め
フォーレの"楽園"はこのアルバム前半のメインでしょう。世界の夜明けを音数の少ないpfの上に透明なsopで、フォーレらしい美しさがピッタリですね。ドビュッシーからダニエル=ルシェールに繋がるフランス連携、美しさが輝きますね。
仏印象派の流れのII.です。


III. 理想郷/田園の牧歌
ストラヴィンスキーの知られた旋律にヴォーカリーズで弾むリズムで入ります。ヴォルフの二曲が色濃く、明瞭に、平和と喜びを歌い上げます。
心情を吐露するパートIII.ですね。


IV. 火遊び/イヴと悪/人間の堕落
古典(ブラームス)から、現代音楽(ライマン)、英音楽(ブリテン)、とリンゴへの欲望の世界を陰影強く歌います。プフィッツナーで遂にリンゴを食べてしまいます。
濃厚にリンゴの欲望を歌うIV.です。


V. 追放/出立/思い出
ラヴェルを思わせる様なpfのラフマニノフで混乱を見せて、アイヴズで夕暮れを陰鬱に、パーセルは古典英語の文でアダムに声をかけます。その後はシューベルトとシューマンが二曲づつ続き、ロマン派リートとなりますね。
クラシカル歌曲らしいV.になっていて、一番平凡かもしれません。


VI. 地上の暮らし
アイスラーの短い二曲で、この世は天国であり地獄、楽園は地獄、と歌います。調性はかなり薄くぴったりです。この作品のキー曲ですね。
マーラー「子供の不思議な角笛」から "浮世の生活" が使われて、親子の厳しい話が神経質なpfと共に速めのテンポで歌われます。
人間の悲しみから 最後はクラムの "風のエレジー" で調性を感じさせながら自然を歌い静めます。しかし30"以上の無音の後、楽曲リストにない26曲目が現れます。
作者不明の "I will give my love and apple…" です。静かに諭すように、最後に希望の光を灯します。(ライナーノートには歌詞も載っていません。存在は無記述です)
この作品最大の聴き処のパートになっています。


 ★試しにYouTubeで観てみる?
  PVです。録音風景やプロハスカの思いが聞けます



各パートに個性が与えられ、ストーリー展開も見事に決まっています。特にパートIV. は構成と歌詞と曲の流れが合致して素晴らしいですね。強力オススメの一枚!です。

歌詞は、独語・英語・仏語になりますが、英訳付きなのでストーリーを追えるのは助かりますね。この曲に歌詞は必須です。

プロハスカの構成力が際立つ作品で、このコンサートがあったら是非行きたいですね。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





イェルク・ヴィトマン(Jörg Widmann) の 現代音楽オラトリオ『箱舟 Arche』の素晴らしさ

COVID-19が猛威をふるう中、7月に本邦初演が予定(N響/サントリーホール)されているヴィトマンの大作ですね。開催が危ぶまれます。

【後日記】残念ながら中止となりました。これでケント・ナガノのマーラー9番も、サラステのシベリウスも聴けません。


Composer
イェルク・ヴィトマン
(Jörg Widmann, 1973/6/19 - )
クラリネット奏者としても現代曲を得意とする ドイツの現代音楽家ですね。以前は演奏者としての顔がメインでしたが、今や作曲家としての活躍も大々的になりました。作曲はW.リームやH.W.ヘンツェと言ったビッグネームに師事していて、楽風は欧エクスペリメンタリズム、無調即興的なポリフォニーをベースに多様性の遊び心を加えた前衛ですね。

サントリーホール・サマーフェスティバル2018でテーマ作曲家として登場。プレゼンターの細川俊夫さんとの楽しい話も聞かせてくれました。➡︎ インプレ
その時の「ミューズの涙」をYouTubeで観る事ができます。(初期作品, 本人演奏です)


Album Title
Arche (2016年)
独ハンブルクのエルプフィルハーモニーホールのオープニング記念に準備された曲で、ケント・ナガノ指揮ハンブルク・フィルの初演からのレコーディング(2017-1/13)です。
ちなみに大ホールは日本の永田音響設計だそうで、NDRエルプフィル(旧NDRハンブルク)の本拠地になりますね。

タイトルの"Arche"(箱舟)はエルプフィルの建物形状が船の様に見えたそうで、"ノアの箱舟"をモチーフに神に対する人間の壮大なストーリーです。リブレットは、聖書・ミサ典礼文・詩人・哲学者・等 11例からのTEXTをヴィトマンが選りすぐって構築、多言語構成となっています。(B.A.ツィンマーマン "ある若き詩人のためのレクイエム" を思い起こさせますね。テープですが)

楽曲は、pf伴奏の独唱から合唱大オーケストラまで様々な構成で、全5パートに展開されています。複数の合唱団の他、少年少女ナレーター2人、ソリストが3人、オルガン、と大編成の現代音楽オラトリオです。
演奏時間も約1時間40分の大作ですね。






I. 光あれ [Es werde Licht]
創世記より。
沈黙からノイズ系で音が現れ、闇の様な合唱が暗く入ります。しばし闇の蠢きの様な旋律無き音が散りばめられ、暗いアンビエントの様な音響系となりますね。"Es werde Licht"が歌われると、子供のナレーションに続き引用を伴ってオペラ風にバリトン(Thomas E. Bauer)が登場、様々な楽風をナレーションと絡めて進みます。後半の創造パートは聖歌風合唱で現れますが、控え目ですね。
押さえたパートですが、構成の上手さを感じますね。


II. 洪水 [Die Sintflut]
創世記の洪水と、ノアの箱舟が元になっています。
風雲急を告げる、そんな音とナレーションにバリトンの歌い。怒涛の音楽と合唱は調性感が強く無調混沌ではありませんね。オルガンが鳴り渡ると一変して流れは緊迫感となり、再びオルガンが現れるとソプラノ(Marlis Petersen)とバリトンの切迫した交唱となります。激しい管弦楽と合唱のトゥッティから独唱/合唱が聖歌風に落ち着かせると、流れは鎮まります。


III. [Liebe]
ソプラノとバリトンの交唱による主構成ですが、ここでは前衛的な歌唱が取り入れられています。ソプラノは無調のヴォーカリーズで音の跳躍の大きな、所謂(いわゆる)前衛音楽表現です。一方のバリトンは旧来オペラ表現、新旧声楽表現の対比も面白いです。後半へ向けて全体が調性方向にシフトするのも考えられている感じが伝わりますね。
中核となる楽章で素晴らしいです


IV.怒りの日 [Dies irae]
黙示録です。
神からの啓示は暗い淀んだ緊迫感ある機能和声の流れで示されます。テンポが徐々に上がって切迫して行くと、人類の対応が明るく出現し、ドイツの詩人シラーの歓喜の歌(Ode to Joy)が使われてベートーヴェンの引用変奏にもなっていますね。
次のパートVとはアタッカで繋がりますね。


V. 我らに平和を与えたまえ [Dona nobis pacem]
'現代の精神'が児童合唱団により声高な語りに表現され、管弦がエクスペリメンタリズムの音を出します。ここでは前衛系の音楽が多く使われていますね。後半にボーイソプラノ(Gabriel Böer)と合唱団が"Dona nobis pacem"で応え、ラストはクライマックスが唐突に現れて全てが閉じられます。



聖歌/オペラ/現代音楽技法/調性音楽、様々な音楽表現でストーリー作った作品ですね。調性の強いパートから無調主体の構成まで、楽しさ盛り沢山です。

ストーリー本体(TEXT)をを子供のナレーションで語るのも生き生きとしています。ラストの大団円をもっと大きく広げてくれたら爽快だった感じがしますが、それを避けたのかもしれません。

素晴らしい作品で代表作となるのは間違いありませんね。



 ▶️ 現代音楽の楽しみ方  ▶️ 現代音楽CD(作曲家別)一覧


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





アバドの「マーラー 交響曲 第2番 "復活"」2枚:名盤のルツェルン祝祭管、若き日の1965年ザルツブルク



Symphony | Conductor
マーラー 交響曲 第2番 "復活"
クラウディオ・アバド (Claudio Abbado)
前回、テンシュテット(非正規盤)とバーンスタイン(DG盤)をインプレしたので、このアバド/ルツェルンで"復活"名盤ベスト3かとw

そしてアバドのマーラー2番と言えばもう一枚。32歳でウィーンフィルでザルツブルク音楽祭初登場、世にアバドを知らしめた1965年の"復活" もインプレしておきましょう。

アバド来日予定が体調不良で中止になって翌年一月亡くなったのが6年前、時が経つのは早いものですね。





ルツェルン祝祭管弦楽団
2003-8/14,19-20 Live rec.


(右は全集です。アバドのマーラーは名演揃いですからオススメですね)

2003年のルツェルン音楽祭で全貌を現したアバド再創設のオケ、ルツェルン祝祭管弦楽団。その時の演目ですね。ソプラノはエテリ・グヴァザヴァ[Eteri Gvazava]、メゾソプラノ(アルト)はアンナ・ラーション[Anna Larsson]です。

第一楽章
第一主題は適度に緊張を付け、葬送的行進は揺らぎを強くします。第二主題はその流れで本来の穏やかさは押さえ気味にやや速めに。コデッタはシャキッと後半は暗く、力のこもった締まりある提示部です。
展開部の第二主題は穏やかに優しく、コデッタの山場は締まり良く速めの流れを作ります。第一主題では緊迫感から暗く足取りのしっかりとした調子へ、キーとなるコラールの山場へ突き進みます。再現部はいっそう色付けを濃くして、コーダは陰鬱な葬送が印象的です。速めで硬派の第一楽章ですね。

第二楽章
主要主題は緩やかな揺さぶりの舞曲に仕立てます。ここでも速めの設定です。トリオでも変化付けは薄めですがアゴーギクを強めに振って来ますね。回帰部は重さを付けて重心を低く構えたりと表情豊かです。

第三楽章
主部は少し陰鬱さを残す様な『子供の不思議な角笛』ですが、ここでも速めのテンポ設定。中間部はいきなり祭典風に登場して雰囲気を変えて来ます。揺さぶりある流れからのコーダも出し入れが強めですね。

第四楽章
主部アルトのパートは管楽器ともスローに抑えて落ち着き払っています。初めて感じたかもしれません。中間部は速めに戻して、表情作りに貢献していますね。

第五楽章
提示部第一主題は激しさ、静まるとhrの動機が極端に静音で夜明けを告げます。第二主題の木管は静に出て金管の"復活の動機"も抑えた流れです。動機群で出し入れを作ってコラールを華々しく鳴らして提示部を締めくくります。
展開部は地から這い上がる様に現れ、速い行進曲に流れ込みます。"死者の行進"は第6番が浮かぶ様な心地よささえ感じますね。
再現部揺さぶりの強い流れからストレッタ的に山場を作り上げます。極端にスロー静に鎮めてバンダの掛け合い後、合唱が極静にスローに沈む様に現れてソプラノを迎えます。光りが射すと合唱もゆっくりと暖かみを増してアルトが "O glaube, Mein Herz, ..." を緊迫感を醸しながら出て来ます。ハイコントラストな男声合唱を踏み台にsop/alto重唱が素晴らしい対比を聴かせてくれます。そこからは一気に怒涛の山場を作り上げます。


緩急の揺らぎと重心の低さ、堂々のマーラー2です。前半楽章速め、後半楽章揺さぶりの構成で最終楽章にフォーカスした完成度を感じます。

一方の雄バーンスタイン(DG)は緊張感の静スローに徹し最終楽章ラスト山場にフォーカス。個人的には後者のストーリー性に一票なのですが、その個性を避けるなら本アバド盤ですね。


 ★試しにYouTubeで観てみる?
  2003年ルツェルン・フェスティバル マーラー2番"復活"の動画です。
  (CDとは異なる8/21のステージです)
  癌を克服したアバド、これを見ると気持ちが揺すぶられます…








ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1965-8/14 Live rec. [mono]


(1967年のウィーン響との第6番とのカップリングです)

よく知られる若き32歳アバドのザルツブルク音楽祭初登場、ウィーンフィルを初めて振った "復活" ですね。ソプラノはステファニア・ヴォイトヴィチ[Stefania Woytowicz]、メゾソプラノ(アルト)はルクレティア・ウェスト[Lucretia West]です。

第一楽章
第一主題は荒っぽく、葬送行進曲はギスギスと。第二主題は緩やかさを見せますが速めで、コデッタも荒々しさが際立ちます。
展開部の第二主題は穏やか淡々としていますが、コデッタの山場はまたもや荒れます。第一主題は荒れた緊迫感から鬱蒼とした異様な足取りで暴虐の山場へ。コーダは陰鬱感から漲る緊張感です。当時から速めで強烈な出し入れと荒々しさで狂気さえ感じる第一楽章です。

第二楽章
主要主題はメヌエット風ですが、肩に力の入った堅さがあります。トリオは淡々と、主部回帰は揺さぶって、最後の主部動機ピチカートもギスギス感が凄いです。テンポは標準的ですが優美優雅さは薄いアンダンテですね。

第三楽章
主部は速めで なだらかさに欠ける尖った『子供の不思議な角笛』。中間部も荒っぽさ抜群?!で、ドッカ〜ン!と入って来ます。トリオ回帰の動機の荒れ方は狂気です!!

第四楽章
主部アルトと管楽器は一気に落ち着きます。テンポも違和感なく、そこはルツェルンと同じですね。トリオは速め、そこも同じ流れですがこちらの方がより速いかも。

第五楽章
提示部第一主題は極端に荒っぽく激しく、hrの動機とバンダは落ち着いて、"復活の動機"もピチカートを生かしたtb, tpで粛粛と鳴らします。ルツェルンと同じ印象ですね。最後の動機群はかなり強いディナーミクの出し入れになって刺激性が高いです。
展開部入りは強烈な暴れ方でそのまま"死者の行進"へ突入します。速めで威風堂々の行進曲を作っていて落ち着いたかと思いきや…最後は荒れてくれますw
再現部前半は速めで緊張感を付けて猛烈にストレット、聞いた事が無いような激しさです。静に落としてバンダの掛け合いから現れる合唱はもちろんしっかりと抑えを効かせています。アルトの "O glaube, Mein Herz, ..." は落ち着き払って登場し緊迫感を上げると、男声合唱が力感を込めて歌い、見事なハイコントラストのsop/alto重唱が続きます。そして "Aufersteh'n!" で派手に華々しく感激的なラストで締め括ります。ぜひ歌詞を手元に!!


始めから終わりまで出し入れ強く荒っぽい暴力的マーラー2です。テンポ設定はこの時代から既に前半楽章速めですね。

古い録音も荒さに加担していているでしょうが、演奏が破綻をきたす事はなく、第四楽章などはしっかり落ち着いています。何処までがアバドの狙いで、何処からが初顔合わせの緊張感なのか不明ですね。

一つ付け加えるなら、個人的には好きな演奏だと言うことでしょうか。





テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





「マーラー 交響曲 第2番 "復活"」名盤と言えば:テンシュテット/NDR(1980) と バーンスタイン/NYP(DG) の聴き比べです

テンシュテットのNDR 1980年Live、非正規盤ながら名盤の誉高いマーラー2ですね。正規盤の雄バーンスタインのニューヨークフィルDG盤(1987Live)と聴き比べてみましょう。今更で恐縮ですが。



Composer | Orchestra
クラウス・テンシュテット (Klaus Tennstedt)
NDR Sinfonieorchester, 1980-9/29 Live rec.




(これはMEMORIESから出た盤です。所有は非正規盤ですが)


第一楽章
迫力の第一主題から流れをキープした緊迫感ある葬送行進曲、第二主題は美しさのコントラストを見せてくれます。コデッタも切れ味鋭くシャープな提示部です。
展開部前半の第二主題は雲の切れ間からの陽光の恵み、山場をテンポアップ激しく奏でます。後半の第一主題はゆったりとした足取りからテンポアップ、山場を高揚させて見晴らし良いコントラストを作っていますね。再現部は総括する様な心地良さを感じます。

第二楽章
主要主題は程よい揺らぎのスローで美しい演舞曲、トリオは各楽器が上手く絡み合って緊張感を上げています。その後の主題回帰でもアゴーギクの振りが絶妙です。ラスト主部回帰のピチカートは洒脱そのもの!!

第三楽章
主部は切れ味鋭く、リズムを作った『子供の不思議な角笛』になっています。中間部はいきなりテンポアップで派手に、主部回帰はうねり、コーダは切れ上がります。

第四楽章
主部アルト"原光"はスローな落ち着いた聖美さ。中間部は角笛を下敷きにして表現が強くなります。D.ゾッフェルのアルトの存在感抜群です。

第五楽章
管弦の炸裂と第一主題が納まるとhrの澄んだ音色、第二主題の木管が弾む様に現れて金管の復活の動機の音色へと流れ良くつなげます。動機群を出し入れ強く表現するのもテンシュテットらしさがあって見晴らしがいい提示部ですね。
展開部は堂々の"死者の行進"をアップテンポの行進曲でビシッと決めています。見事ですね。
再現部のvc動機は気持ちを落ち着かせる様に、徐々にスローになるとバンダの管楽器と木管が心地よい歌い合わせになります。(非正規ですが録音は良く、バンダである事がわかります)
合唱は穏やかな暖かさ、ソプラノは合唱に浮かぶかの様に入ります。ゆっくりと流れを上げると、アルトが鎮まりの中に主張のある歌声で現れます。男声合唱はメリハリ強く、sop/alto重唱は広がり大きく、張り詰めた流れから山場を見事に作り上げます。叫ばれる "Sterben werd' ich, um zu leben! ..."、これぞマーラー2ですね!!


切れ味とコントラストのマーラー2『復活』です。見晴らしの良さは格別でラストはグッとくるものがあります。やっぱり見事としか言い様がありません!

スロー静からファスト激のアゴーギクとディナーミクが見事に決まってます。そしてD.ゾッフェルのアルトの素晴らしさでしょう。




Composer | Orchestra
レナード・バーンスタイン (Leonard Bernstein)
New York Philharmonic, 1987-4 Live rec.





第一楽章
第一主題はディナーミクを付けた 静かな葬送行進曲。パッセージで締めて第二主題は澄んだ音色に、コデッタは各動機の変化を付けています。展開部は全体緩やかで、第二主題が現れて静かな流れを作り、コデッタ動機の山場も興奮を避けています。第一主題変奏も静かな流れですが山場とのコントラストを描きますね。コーダは陰鬱静、全体としては静けさの第一楽章ですね。

第二楽章
主要主題は静で大きくスロー化させていますが、アゴーギクで表情があります。トリオから主部回帰も静的に押さえ込んだ印象ですが、トリオ回帰では一部で音圧を上げていますね。スロー静に閉じ込めた楽章になっています。

第三楽章
主部は陰を感じる『子供の不思議な角笛』です。中間部は管楽器がいきなりの明るさを鳴らして、緩い動機とのコントラスト付けをして来ます。主部回帰で表現力を濃くして、コーダは炸裂のハイテンポから鎮めます。

第四楽章
主部のアルトはスローで静かな"原光"、中間部は角笛風味で多少表現を上げて来ますが大きくは変えません。

第五楽章
爆裂の管弦と第一主題、納まるとhrが穏やかな動機をスローで出します。第二主題もflから管楽器の復活の動機へとバトンタッチされますが、ここでも静かな緊張感。ポイントはコラール動機で派手な音が広がり、ラストへ向かう方向が見える事でしょう。
展開部では"死者の行進"をビシッと決めて高々に進み、それまでの流れとは全く異なる刺激と激しさになっています。
再現部vcは静の緊迫感でバンダの管楽器を従える様にテンポをアップ、激しく厳しい流れを作ります。管楽器の呼び交しから、合唱が大地に静かに広がる様に流れ出しソプラノが伸びやかに浮かび上がります。静に流れる合唱にアルトが緊張感が伝えて来ます。男声合唱が復活の動機を華やかに歌うとsop/alto重唱が力強く現れ、そこからは強烈な山場となり "Sterben werd' ich, um zu leben! ..." を歌い上げます。鳥肌が立つ様なフィナーレです!


徹底したスロー静が張り詰める中 ラストに待ち受ける大団円、漲る緊迫感のマーラー2です。類を見ない緊張感を味わいたかったら、これしかありません。

明確な揺さぶりはないのに溢れる緊張とストーリー性、これぞバーンスタインでしょう。一つ印象が異なると言うならば、低重心ドロドロさが控えられている事かもしれません。




テンシュテットは切れ味とコントラスト、バーンスタインは静に漲る緊張感。 方向性の違う名盤二枚 です。どちらか一枚選ぶのは難しいでしょう。

二人の指揮の個性を味わうにもピッタリですが、これが頭の中にあると他の2番を聴くのにハードルが上がるのが困るところですね。また両方とも3-5楽章がアタッカなのも、ライヴで当然とは言え嬉しいですね。


★次にアバド/ルツェルン祝祭管もインプレすれば"名盤ベスト3"ですね。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





ガフリエル・フェルツ/シュツットガルト・フィル の「マーラー 交響曲 第2番」

第一楽章と最終楽章の長大化、山場から調性を崩す様に切り替える、と言ったマーラー交響曲のパターンが既に見られる第2番。各楽章の構成は後期に比べてわかり易く、ラストの盛り上がりは必ず喝采ですね。


Conductor | Orchestra
ガフリエル・フェルツ (Gabriel Feltz)
Stuttgarter Philharmoniker, 2013-3/12 Live rec.
ドイツ人指揮者のフェルツは現在ドルトムント・フィルの音楽監督(GMD)で、ベオグラード・フィルの主席指揮者も務めていますね。本Live第2番はシュツットガルト・フィルの主席指揮者時代(2003-2013)最後のマーラーになります。第5番では興味深い録音を残しているので期待値が上がりますね。

ソプラノはチェン・レイス[Chen Reiss]、メゾソプラノ(アルト)はターニャ・アリアーネ・バウムガルトナー[Tanja Ariane Baumgartner]です。





マーラー 交響曲 第2番



第一楽章
緊迫感ある第一主題は落ち着いた葬送行進曲になり、第二主題は穏やかさの表情を見せてくれます。コデッタもコンパクとにまとめて締まりある提示部です。
展開部前半の第二主題は穏やかさをスローに表現して、山場とのコントラストを付けています。後半の第一主題は陰鬱な流れで入って山場を高らかに鳴らしてここでも見晴らしの良い流れを作っていますね。再現部は第二主題の美しさが光ります。

第二楽章
主要主題はアンダンテですがメヌエットの様な美しい舞曲になっています。トリオは小刻みなリズム(三連符)で静かな中に緊張感と哀愁を作っています。それぞれの回帰でも表情変化が程よく付けられますね。

第三楽章
主部は滑らかに『子供の不思議な角笛』らしさを聴かせます。中間部は華やかに展開して、コーダは穏やかにまとめています。

第四楽章
主部アルトは落ち着いた管楽器に彩られ美しい流れです。中間部は角笛的印象を強く感じさせますね。透明感ある楽章です。

第五楽章
提示部第一主題はもちろん怒涛の中に現れます。鎮めてhrの音色を緩やかに奏で、第二主題の木管と金管は静かに復活の動機へ繋ぎます。途切れ途切れの動機の後 激しさを増していきますが、コントロールが効いています。
展開部は華やかに鳴り響き"死者の行進"をクールに早足で進んで行きますが、ここでも興奮や乱れはありません。
再現部の少し明るい音色は落ち着いていて、現れる合唱は静でスローに、そこに情感あるソプラノが載って来ます。アルトはオケに合わせる様に入りますが、ここまではフラットさを感じます。本来なら嵐の前の静けさで良いはずなのですが。sopとaltoの重唱から緊張感を高めて派手派手しく華やかなフィニッシュに雪崩れ込みますが、炸裂する様な力感はありません


押さえの効いたマーラー2『復活』です。大人しい感じが強く、強音パートで少し羽目を外した流れを作れたら良かったと思います。

マイルド・カレーの様な印象かもしれません。好みは別れるかも…

こうなると次回はマーラー2の鉄板テンシュテット/NDR(1980Live)をインプレしないとなりませんかねぇw



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





イヴァン・フィッシャー/ブダペスト祝祭管 の「マーラー 交響曲 第7番」

最近はお兄さんのアダム・フィッシャーの方が なかなか面白いマーラーをリリースしていて気になりますね。


Conductor | Orchestra
イヴァン・フィッシャー (Iván Fischer)
Budapest Festival Orchestra, 2015-9 rec.
ハンガリー人指揮者 I.フィシャー本人が創設(1983年)し、音楽監督を務めるブダペスト祝祭管弦楽団を振ったマーラー7ですね。



マーラー 交響曲 第7番



第一楽章
序奏のテノールホルンの動機(主題?)の音色が少し怪しいですね。提示部第一主題はややまとまりに欠け、第二主題は優雅さを狙っている感じですが… コデッタは小気味良いですね。長い展開部は各主題を変化を付けて進み、静音パートを上手く鎮めて来ます。再現部は勇壮さを見せながらコーダはやや華やかさに欠けたかもしれません。全体的には出し入れの弱さが気になります。

第二楽章
主要主題の行進曲は穏やかに緩やかに、第一トリオは優雅な流れを作ります。中間部(第二トリオ)は線の細さを綾織る様な流れです。第6番モットー再現の印象は薄く、緩やかな"Nachtmusik I"らしい行進曲ですね。

第三楽章
スケルツォ主部は穏やかな陰のある舞曲の様な流れを作りますが、中間部のチェンジは弱いです。ヌケが良くない気がします。

第四楽章
"Nachtmusik II"のポイントとなる主要主題のhrとclにもっと表情が欲しいですね。聴かせ処ですが素っ気ないです。その為この曲の象徴であるギターとマンドリンも残念ながら生きていませんね。中間部はここでもチェンジの印象が薄いです。

第五楽章
主題/第一トリオ/第二トリオが目まぐるしく変奏されて回帰しますが、アゴーギクの不足を感じてフラットでモワッとした印象です。それでもコーダは頑張って締めました。ここが一番良かったです。


クセは無く聴きやすいのですが全体的にフラット、切れ味不足気味のマーラー7です。

この曲のキーとなる第一楽章のメリハリ、第四楽章の洒脱さ、この二つが不足する事もネガティブに感じます。駄耳なので残念です。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





プロフィール

kokoton

by kokoton
.

    

カレンダー
03 | 2020/04 | 05
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -
ようこそ
カテゴリ
ありがとうございます