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ヴァインベルクの「ピアノ五重奏曲」:シェプス盤とクレーメル盤(pf:アヴデーエワ)の聴き比べ


ミェチスワフ・ヴァインベルク
(Mieczysław Wajnberg, 1919/12/8 - 1996/2/26)
ポーランド出身の旧ソ連、ロシアの現代音楽家ですね。年代的には前衛全盛期に生きていますが、もちろん前衛方向はありません。

国が変わる度に名前を変える事や、ショスタコーヴィチへの傾倒、と言った印象が先行して楽曲自体の明確な印象は薄いです。交響曲で有名でこのブログでもインプレしていますが、近年はクレーメルが取り上げる事で印象付いているかもしれませんね。


Piano Quintet Op.18 (1944年)
1944年作品ですからショスタコーヴィチと出会ってすぐの時代、25歳の時ですね。そのショスタコーヴィチの同タイトルに類似性も言われる様です。

珍しい五楽章構成で、I. Moderato con moto - II. Allegretto - III. Presto - IV. Largo - V. Allegro agitato、となっています。

今回、オルガ・シェプス(Olga Scheps)のピアノとクス・クァルテット(Kuss Quartett)盤がリリースされました。
せっかくですから、クレーメルがユリアンナ・アヴデーエワ(Yulianna Avdeeva)のピアノをフィチャーしたクレメラータ・バルティカ(Kremerata Baltica)盤と聴き比べてみましょう。





オルガ・シェプス (ピアノ)
クス・クァルテット


第一楽章は第一・第二主題から全体的に色合いを濃くしていて、展開部のvnの強さがpfより勝るのが印象的ですね。第二楽章はpfの強い音色から入りますが、ここでも各楽器の主張が強くショスタコーヴィチの様な主題も新古典主義的な響きに感じます。第三楽章主部の弦楽とpfの絡みは激しさを見せ、第一トリオは弾む様な上手い流れですね。もちろん強烈なフォルテの響きは同じです。長い緩徐の第四楽章も重心は低く、各楽器はキレキレの演奏です。幽玄や優美ではなくシャープさと緊張感ですね。快速の第五楽章はこのセットの真髄で、強鍵のpfと切れ上がる弦楽群の狂乱的な対話が楽しめます。


各楽器が協奏的な立場を明確に主張した演奏ですね。そういう意味ではヴァインベルクの新古典主義的な面を最大限強調した演奏と言えるかもしれませんね。

緩やかさを排除してメリハリが強く終始シャキッとしています。もちろんpfのシェプスも個々の音をビシビシ鳴らしています。






ユリアンナ・アヴデーエワ (ピアノ)
クレメラータ・バルティカ

(他に室内交響曲1-4番が入った2CDsetですね)


第一楽章の両主題は表情豊な弦とpfのバランスが良く、強さの中に落ち着きと美しさを感じますね。第二楽章の主要主題のpfは弦楽との協調性が強く、その後もテンポアップしながらバランスとコントロールの良さで安心感があります。ショスタコーヴィチ的な動機は繊細です。第三楽章では主部の弦楽とpfの絡みを繊細さから技巧的につなげて迫力を見せ、続くトリオを優美さを加える流石の流れを作っています。第四楽章は重厚さから入りながら、幽玄でエモーショナルな流れですね。情感的な素晴らしい緩徐楽章となっています。第五楽章はキレキレで興奮さえ見せながらも、そこに表現する優美さが素晴らしいです。


繊細さから強音パワープレイまで楽曲を磨き上げた演奏ですね。この曲を満喫できる完成度と言って良いのではないでしょうか。

出し入れの良さと情感があり、落ち着いていますね。アヴデーエワのpfも表情が豊かです。




楽曲としては新古典主義の色合いの強さを感じますね。その完成度の高さを聴かせる②と、全編パワープレイ①という事になるでしょうか。

どちらをコンサートで聞いてみたいか? これが微妙ですねぇ, コンサートとなるとパワーで押し切る演奏に魅力を感じるのも事実ですから。



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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。


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