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研ぎ澄まされた透明感と緊張感:細川俊夫の室内楽『gardens』


細川俊夫
(Toshio Hosokawa, 1955/10/23 - )
日本を代表する現代音楽家の細川さん、このブログで今更の紹介もないと思います。B.ファーニホウやK.フーバーと言ったバリバリの"New Complexity"の旗手に師事しダルムシュタットでも活躍していますが、そこに透明感と美しさという全く異なる味付けをしているのが素晴らしいですよね。


gardens
今回のアルバムは室内楽集ですが、ウクライナのアンサンブルで録音を行なっています。東欧民族楽器のツィンバロム*を採用しているのもキーかもしれません。テーマはタイトル通り"庭"ですね。

指揮とツィンバロムはルイージ・ガッジェーロ(Luigi Gaggero), 演奏はウホ・アンサンブル・キエフ(Ukho Ensemble Kyiv)になります。

*ピアノの金属弦部分の様な楽器で、弾いたりマレットで叩いたりして演奏しますね






Drawing (2004)
ロングボウイングの静的なノイズ、そこに単音のpfの打音、煌く打楽器、透明感ある暗闇の様な空間です。音符密度は次第に上って混沌度も上がりますが、トリオの様なパートが現れてトリル・トレモロ・グリッサンドで空間を聴く様な音に変化し、最後は主部回帰となりますね。根底に邦楽和声を感じます。


Im Frühlingsgarten 春の庭にて (2002)
雅楽や能と言った気配を感じますね。静かな空間の中に緊張した空気を感じる様なサウンドです。


Nachtmusik 夜の音楽 (2012)
いきなりのツィンバロンの音色は、知らずに聴けばpfの特殊奏法かと思ってしまうでしょうね。金属的音色とその残響音を最大限生かしたツィンバロンのソロ曲で、共鳴の中に倍音も感じます。独特の和声を感じる空間音響系音楽です。


Singing Garden 歌う庭 (2003)
細川さんらしいピアニシモから入って来ます。もちろん旋律感もない無調ですが、各楽器がどこかホモフォニカルに呼応している感じです。そこに感じる美しさが細川さんらしさかと個人的には思いますが、いかがでしょう。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?


Voyage V 航海 V (2001)
フルート(Mario Caroli)が協奏曲風に入ります。それが尺八の様に感じますね。アンサンブルは情景を奏で、flは吹き抜ける風の様です。このアルバム中 唯一激しい出し入れがありますね。旋律もあり構成感もあって標題音楽風、異なるコンセプトの様な一曲かもしれません。



細川さんらしい透明感と緊張感です。スロー中心のその響きは空間音響系と言っても良いと思いますね、個人的には。
その中で何と言っても素晴らしいのは"Nachtmusik"でしょう。残響音と空間ですね。

作られた枯山水か竹林かと言った風情から最後に激しい自然、こういうアルバムから現代音楽を聴くと楽しさが伝わる気がします。



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。




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