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『マーラー 交響曲 第5番』 «ネット配信» アルペシュ・チャウハン指揮 / BBCスコティッシュ響 2019年9月26日


アルペシュ・チャウハン, Alpesh Chauhan
(BBCスコティッシュ交響楽団, BBC Scottish Symphony Orchestra)
バーミンガム生まれ29歳(b.1990)の若手指揮者で、2017年からアルトゥーロ・トスカニーニ・フィルハーモニー管弦楽団(Filarmonica Arturo Toscanini)の首席指揮者に就任したそうです。今回はBBC-SSOを振ったマーラー5ですね。お馴染み "BBC Radio 3" ウェブサイトからの配信です。

▶️ こちら (2019-10/24まで配信されますね)




マーラー 交響曲 第5番 «ネット配信»
(26 Sep. 2019 at Grand Hall)

26Sep2019AlpeshChauhan_BBCSSO-mahler5.jpg


第一部
tpのファンファーレに揺らぎを入れてますね。葬送行進曲は特に個性はありません。第一トリオでも適度なテンポアップと激しさです。何か楽器にフライングがありましたが。第二トリオも教科書的な流れを堅持しますね。第二楽章第一主題は激しさを速めに上手く建てて、第二主題の哀愁に繋げています。展開部もきっちりとした流れからvcの暗い音色を生かし、再現部の山場をまとまり良く作りますね。多少のアゴーギクはありますがクセの少ない第一部です。

第二部
スケルツォ主題はやや速めでシャキッと、弦楽奏のレントラー主題は少し揺さぶりを入れています。第三主題のhrは堂々と鳴らして、弦のピチカートはスローに落とします。その後の流れも力が入った印象で、この楽章特有の優美さが欠けるのが少し残念でしょうか。

第三部
第四楽章主要主題は暖色系の甘美さです。トリオの入りでは澄んだ音色を聴かせてくれますが総じて濃厚なアダージェットです。第五楽章第一・第二主題の絡みは程良いテンポ設定で安定しています。コデッタも大きく奏でていますね。展開部も優美さとパワーの流れ良く組立てて山場を作り、再現部も締まりの良い流れからラストを忠実に盛上げてくれます。フィニッシュのアッチェレランドはビシッと走ります。嬉しい最終楽章ですね。大喝采です。


安定感のあるクセの少ないマーラー5です。演奏のバランスも悪くありません。ただ、若手指揮者に期待した+αはありませんね。多少のアゴーギクがあり処々走りますが、そのくらいですね。

特筆はないのですがコンサートで実際に出会ったら嬉しい演奏、そんな感じです。



CDではないので「マーラー第5番聴き比べ:175CD」にはアップしません。

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軽音楽か洒落たBGMかの様な、ヴィヴィ・ヴァシレヴァ(Vivi Vassileva) の パーカッションアルバム『SINGIN' RHYTHM』


Vivi Vassileva | SINGIN' RHYTHM
ヴィヴィ・ヴァシレヴァ(1994-)はライナーノートによればドイツ生まれ、母はピアニストで父と兄妹はヴァイオリニスト 自らもヴァイオリンからパーカッションに移行したそうです。パーカッションと言ってもマリンバの様な鍵盤打楽器になるのは、メロディーを演じたいという本人の希望があるからの様ですね。

"SINGIN' RHYTHM"は、7人の音楽家の打楽器作品を集めたアルバムです。演奏は自ら若手で編成した "Vivi Vassileva Quartet" (pf, wb, perc.x2, 本人)に、ゲストの若手ブラジル人ギタリスト, ルカス・カンパラ・ディニス(Lucas Campara Diniz)が入っていますが、ソロやでデュオ曲も多いですね。

新しい気配・流れを感じる レーベル/ジャケ買いの一枚ですが…







期待したアルファ・レーベルらしい20代若手新進気鋭の斬新な音楽ではありません。もちろん前衛でもなければクラシックでもジャズでもアンビエントでもありませんね。(後日記:曲別インプレは削除しました)

軽音楽・BGMが好きな方向きでしょうか。ビシッと女性パーカッショニストで現代音楽をという方には「エヴェリン・グレニー / Veni, Veni Emmanuel」がオススメですね。



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現代音楽にバッハをサンドイッチ、コンセプトも前衛的な パトリツィア・コパチンスカヤ(Patricia Kopatchinskaja)の『Time & Eternity』


パトリツィア・コパチンスカヤ
(Patricia Kopatchinskaja)
アルバム"Take Two"で個人的興味のピークだったコパチンスカヤ、今年1月の来日ですっかり引けてしまった訳ですが 興味誘う新譜が出たので懲りずに手にしましたw


Time & Eternity
バロックから現代曲まで全7人の曲をベースに、宗教からナチスまで迫害された犠牲者の影をタイトル『時と永劫』に准えたコンセプト・アルバムです。
宗教的背景・意図があり、司祭達によるキリスト教朗誦を挟むという構成でコパチンスカヤ本人が音楽監督ですね。独語・英語・仏語のライナーノートに作曲家と曲解説はありますが、それ以上のコンセプトは書かれていません。いずれそれは理解の域を超えるのですが、聴いてみたい曲もありますね。演奏はカメラータ・ベルン(Camerata Bern)が入ります。






朗誦を含めて24曲(パート)構成です。宗教(キリスト教)が元になる楽曲、特に歌詞のある、は難しいです。歌詞がなくてもキリエなど無理ですね、キリスト教徒ではないので。

K.A.ハルトマン(Karl Amadeus Hartmann)の "Concerto funebre, 葬送協奏曲" は静的なvnソロを配置しながら現代音楽的で、時折厳しいボウイングを交えてコパチンスカヤらしさを演出していますね。エモーショナルな流れと刺激もあって面白いです。特に激しい "III.Allegro di molto" は聴かせ処ですね。
フランク・マルタン(Frank Martin)の "Polyptyque, ポリプティック" は面白いのですが、6つのパートの間に他の曲(バッハのヨハネ受難曲・他)が挟まれてしまい集中できないのが残念ですね。繊細な流れの繊細で幽玄な流れです。センスが不足していて、ライナーノートにある時代背景を元にしたバッハとの対比はよく解りませんでした。
ルボシュ・フィシェル(Luboš Fišer)の "Crux, 核心" もvn, ティンパニー, ベル の組合せが面白いですね。強烈なティンパニー単純リズムと刺激の音楽です。革新性はあまり感じませんが。



個人的には調性感のある現代音楽、ハルトマン"葬送協奏曲"、フランク・マルタン"Polyptyque" でコパチンスカヤのvnを楽しむアルバムですね。

現代曲とバッハ、朗誦を挟み込む様にコンセプト的にも前衛?!なのかもしれませんが、それには着いていけませんでした。

それに加えて、宗教曲はその世界を知らないと迂闊にコメント出来ません。中にはインプロビゼーション前衛もあって楽曲的には面白いのですが…



▶️ 現代音楽CD(作曲家別)一覧
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CD化熱望の見事な『マーラー 交響曲 第6番』 «ネット配信» リッカルド・シャイー / ルツェルン祝祭管弦楽団 2019年8月24日


リッカルド・シャイー, Riccardo Chailly
(ルツェルン祝祭管, Lucerne Festival Orchestra)
アバドの跡を継いで2016年からルツェルン祝祭管の音楽監督を務める人気のシャイーが、今年のルツェルン・サマーフェスで振ったマーラー6です。スイス"RTS Radio"(Radio Télévision Suisse)のウェブサイトからの配信ですね。

▶️ こちら (配信は2019/10/17まで。名演ですので是非!!)




マーラー 交響曲 第6番 «ネット配信»
(24 Aug. 2019 at KKL Luzern, Concert Hall)

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第一楽章
第一主題はリズムを明確にシャープで勇壮、パッセージは緩やかに大きく変化させてアルマの主題を優美に奏でます。とても心地よい流れです。展開部は激しく入って挿入部をスローで見事な透明感ある気配を作ります。再現部は重厚さを増して突進、コーダではコントラストを付けて荒っぽさも見せます。見事な第一楽章です!

第二楽章
アンダンテですね。主要主題はスロー優美、わずかにアゴーギクを入れています。副主題(第一トリオ)のobも哀愁漂わせグッと来ます。大きく盛上げてから中間部(第二トリオ)で広がる明るい日差しを奏でます。山場からラストの広がりは見事で、ストーリーを感じる素晴らしさです。

第三楽章
主要主題は速いテンポで緊張感を与えています。第一楽章の雰囲気再現ではありませんね。その締まりのあるシャープな流れからトリオはメヌエット風の色付けでチェンジペースします。古典というよりピシッとした感がありますが。ピシッと締まった楽章になっています。

第四楽章
序奏の大きな揺さぶりはスローベースに抑え気味、アレグロ・エネルジコから第一主題を勇壮に派手に鳴らします。その流れに乗ったパッセージから、第二主題を軽やかにつなげます。この曲の聴かせ処の展開部は明瞭なコントラスト付(アゴーギク&ディナーミク)で雄大に聴かせてくれます。荒れる行進曲など鳥肌モノです!! 再現部も同様で、第一主題回帰から騎行は派手で激走してくれます。最高ですね。コーダになると「もう終わりか…」という気分です。

タクトが下りて暫くオーディエンスは静まり、その後 大喝采と湧き上がるブラボーです。ゾクゾクする様な見事な最終楽章でした。


王道基本ながら色付けが上手く堂々見事なマーラー6です。隠し味のアゴーギクが絶妙です。指揮者と一体の演奏も見事で破綻の影さえもありません。録音もよく、完成度の高さに寄与していますね。

CD化を熱望しますね。これだけ素晴らしいマーラー6番もそうそうありません。(唯一残念なのは一発目のハンマーの音だけが小さい事ですが、二発目OKなのでミキシングの問題でしょう)



CDではないので「マーラー第6番聴き比べ:70CD」にアップ出来ないのが残念です。

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『マーラー 交響曲 第5番』 «ネット配信» ダニエレ・ガッティ / シュターツカペレ・ドレスデン 2019年9月17日


ダニエレ・ガッティ, Daniele Gatti
シュターツカペレ・ドレスデン, Staatskapelle Dresden
2018年からローマ歌劇場の音楽監督を務めるガッティが、シュターツカペレ・ドレスデンを客演で振ったマーラー5ですね。ガッティはコンセルトヘボウでのスキャンダルが残念でしたが。MDR中部ドイツ放送ウェブサイトからの配信です。

▶️ こちら (賞味期限は短いと思いますので、お早めに)




マーラー 交響曲 第5番 «ネット配信»
(17 sep. 2019 LIVE aus der Semperoper Dresden)

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第一部
葬送行進曲は緩やか、そこにアゴーギクを加えています。第一トリオも基本スローで激しさは避けて律儀な感じですね。回帰する葬送行進曲は更にスロー化して、第二トリオは美しい哀愁を奏でています。第二楽章第一主題はテンポは普通ですが揺さぶりの激しさは適度に、第二主題も第一楽章第二トリオの様に美しい哀愁ですね。展開部vcのパートはスロー静を強調、再現部の山場は不思議な揺さぶりで荒れて面白いです。

第二部
スケルツォ主題は穏やかに入りテンポアップしますが、hrが少し怪しげですw こうなるとまとまりが良くありません。レントラー主題は緩い揺さぶりが印象的ですが微妙なニュアンスかも。第三主題部もtp, hrが怪しく落ち着ません。展開部から再現部にかけても強音パートではテンポアップで激しさを付けて面白いのですが、演奏が持ち堪えてくれない感じです。ラストの激走も凄いです。

第三部
アダージェットでもアゴーギクを振ってきます。トリオでも揺さぶりをしっかり付けていますね。珍しいです。第五楽章の第一・第二主題の絡みは速めですが演奏に一体感が薄いです。コデッタは緩やか優美にまとめます。展開部も怪しげな管楽器が気になりながら進んでコデッタで大きくテンポを落とす変化球。山場は再現部も合わせて激走、コーダはスローから怒涛です。面白い再現部です!


スローベースに微妙な(奇妙な?)揺さぶりの個性派マーラー5です。その緩急揺さぶりがしっくり来ないのが残念です。原因の一つはオケの管楽器(tp, hr, 他)がイマイチだからかもしれません。

なんだか昨日のヴァイグレ/読響のコンサートと似た問題点の様な…w


CDではないので「マーラー第5番聴き比べ:175CD」には含めません。

テーマ : クラシック
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2019年9月20日 ヴァイグレ/読響『マーラー 交響曲 第5番』at サントリーホール


季節が秋風に変わった東京、清々しい空気の六本木一丁目まで行ってきました。ヴァイグレ/マーラー5番の三日連続公演の初日です。(後二回は東京芸術劇場)

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この四月から読売日本交響楽団第10代常任指揮者に就任したセバスティアン・ヴァイグレ(Sebastian Weigle)さんですが、恥ずかしながら殆ど知見がありません。と言うわけで、今回がその個性と手腕を楽しむチャンスとなりました。(カンブルランは以前から現代音楽を振っていましたからね)





マーラー 交響曲第5番 嬰ハ短調

第一部
tpが少し怪しいですが、ファンファーレがまずは派手。葬送行進曲はスロー低重心、第一トリオ速くて激しく、第二トリオは哀愁、コントラストの明確な流れでした。
第二楽章第一主題は速くて荒っぽい良い気配から、第二主題は哀愁よりも力強さを感じましたね。展開部のvcは優しい美しさがありました。期待を抱かせる第一部だったのですが。

第二部
スケルツォ主題もレントラー主題も優雅さがありません。その一つの理由はhrの破綻でしょう。その後もオブリガートhrは安定せず、他の管楽器もまとまりに欠けました。この楽章に欲しい優美さは感じられませんでした。強音パート、ラストは荒れ気味で面白かったのですが。

第三部
アダージェットは夏の夕陽の様な暖色系で濃厚。トリオさえも力強さを見せてきます。近年珍しいですね。最終楽章、第一主題と第二主題の絡みは管楽器にまとまりがありません。その後もそこが足を引っ張った様な... コデッタは一転して実に優美でしたね。この流れを第三楽章に作ってくれればgoodだっのですが。展開部の山場、再現部は山場からラストはほぼトゥッティの爆演ですから管楽器は馬脚を現さずに済みました。

ヴァイグレさんは速く激しいパートと優しさを対比させ、アダージェットの様な個性も見せましたね。演奏が着いていければ…





ちなみに前半の『ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番』もメリハリがあり、まとまりもある演奏でした。全体的には古典色の強いマイルドな味わいでしたね。
pf:ルドルフ・ブッフビンダーは想像以上に流麗さのタッチでした。アンコールの"テンペスト第3楽章"の方が力感もあって、ブッフビンダーらしかった気がしましたね。



聴きに行ったのはマーラーだっのですが、良かったのはベートーベンの方でした。いずれにしてもヴァイグレさんはメリハリをはっきりさせた流れを作りそうですね。

読響管楽器群が頑張ってくれるとこれから楽しそうです。


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ジャンル : 音楽





マイルス・デイヴィスの『ラバーバンド Rubberband』と そのオリジナル・セッション『The Last Word』


Rubberband
(Miles Davis, 1926/5/26 - 1991/9/28)
以前から存在は知られていたラバーバンドが発売になりましたね。でも これには編集前のオリジナルが存在し、その『The Last Word』が流出した事があります。その中で "Maze", "See I See", "Rubberband" の三曲がラップしています。bootleg盤の "Black Album" にも入っていましたね。

今回はそんな『The Last Word』にも入っているオリジナル・セッション三曲で、違いをインプレしようと思います。

"Maze" や "Carnival", "Wrinkle" などはbootleg盤のライヴでも多々取り上げられて、一部はCD "TuTu Delux Edition" にも入っていますね。


マイルス・デイヴィスが生きた時代と
若い頃はM.Davisの大ファン、特に電化後、でした。リアルタイムで驚いたのはやはり1970年の "Bitches Brew" ですね。当時は高価なレコードでした。

来日コンサートは三回行っています。忘れられないのは1981年淀橋浄水場跡地でのライヴ。復活直後で体調の優れないマイルスに寄り添ってフォスターが出てきたを思い出します。まだ小さかった娘と一緒に芝生で楽しめた1988年ライブアンダーザスカイ、ベストは学生時代でマイルスの活動休止前1975年(確か2月)の新宿厚生年金会館でしょう。荒っぽかったこの日の方がバランスの良い名盤 "アガルタ", "パンゲア" よりマイルスらしいと思うのは自分だけでしょうか。(この年の録音は他にも有ってみんなHighになっています)






Maze
今回リリースは、オリジナル冒頭約2'のハイテンポのパートをカットし、ファンク色がかなり濃くよりポップなパートからスタートしています。その他サックスの絡むパートのカットもあり、大幅に短縮していますね。
オリジナル スタートのスピード感から、テンポダウンしてファンクになる変化がマイルス・バンドの様な… 演奏自体は極端な変更は感じられませんが楽曲構成はかなり異なります。


See I See
ここでもオリジナルと入りが異なります。冒頭30"のシンセのパートをカットしてベースの刻むリズムからの入りにしていますね。それによって曲のイメージが変わる様な変化はないでしょう。でもコンサートでは効果的と思えるバラードの様なプロローグは無くなりました。ラストもオリジナルではマイルスのソロで終わりますが、カットされてフェードアウトしています。


Rubberband
ここでも入りのボコーダーの様なベロベロベーが10"ほどがカットされて、それがラストに来ています。オリジナルの方が取って付けた様な不自然さを感じるので、これが本当のヴァージョンかも。
随所のマイルスの"ベロベロベー"は残されていますね。(笑) 他には途中割込むシンセのパートが少し異なるでしょうか、そしてギターパートは逆にカットされいてた部分を復活させている様です。

ちなみにLiveでは'85のチューリッヒで演奏が残っています。ベースの刻むリズムとマイルスのフレーズはそのままですが、ベロベロベーはありませんね。途中のシンセのパートからの長いギターも再現されますね。ハードな演奏になってはいますが、演奏時間も今回リリースと同じくらい。ラストはカットの可能性も。



まず演奏自体に大きく手を入れていないのは好感が持てました。代わりに一部カット再構成が明確です。セッションでも基本はライヴの構成感を持たせたのがオリジナルとすれば、ワーナー的にポップにまとめたのが今回のリリースと言うイメージでしょうか。

今やマイルスの音源は セッション中の全録音や、テープ音源の様なLive、等々果てし無いほどリリースされてしまいました。全貌が味わえるのは嬉しいですが マイルスはどう思っているでしょう、などと考えてしまうのは ジジイの懐古的感傷ですねw



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ジャンル : 音楽





マドリード・レアル劇場公演 モーツァルト 歌劇「イドメネオ」を NHKプレミアムシアターで観る

本年2月のTeatro Real、モーツァルト中期のオペラ「イドメネオ, Idomeneo」ですね。人気オペラはこの後の後期モーツァルト得意のオペラ・ブッファ時代です。それ以前のオペラ・セリア時代作品ですから背景はギリシャ神話、演出のロバート・カーセンどんな作品に作り込んでいるのか楽しみですね。



(ハイライトシーンです)



演出
時代を現代に設定し、トロイアの人達と王女イリアが難民キャンプに、ギリシャ側のイドメネオ達が軍人たち、です。亡命したアルゴスの王女エレットラはもちろん軍服です。ストーリー的にはアヴァンギャルドさはありませんね。残念なのは舞台や情景や人物が全体的にもっさりとした事でしょうか。登場する合唱団員も100人以上で動き少なく、それも足を引っ張っていた様な気がしました。

舞台・衣装
舞台をシンプルに大きく使う印象で変化は少ないですね。舞台装置・衣装は現代風、そして荒れる海など背景はプロジェクションマッピングを大きく使います。今の時代のオペラらしい設定ですね。

配役
男性陣、タイトルロールのエリック・カトラーのテノールに冴えがありませんでした。イダマンテ役のポルティージョの方が演技共に上回った感じでしょうか。
女性陣、イリア役のアネット・フリッチュのsopは今ひとつでしたが、エレットラのエレオノーラ・ブラットは声も伸びがよく、演技も良かった気がします。
ただ残念ながらいずれも惹きつけてくれる様な配役ではなかった様な…

音楽
チェンバロ伴奏で歌うレチタティーヴォ・セッコがあるのが時代を感じますね。オケは基本的に抑え気味の感じがしました。


主役陣と舞台の流れが平板・フラットでやや退屈に思え、長いオペラに感じてしまいました。3時間のオペラですから、演出か配役でもう少しスパイスを効かせて欲しかった気がします。

実はこの公演は海外では珍しくダブルキャストだった様で、もう一方のキャスティングはどうだったのかな?!などと思ってしまいました。



<出 演>
 ・イドメネオ:エリック・カトラー [Eric Cutler]
 ・イダマンテ:ダビー・ポルティージョ [David Portillo]
 ・イリア:アネット・フリッチュ [Anett Fritsch]
 ・エレットラ:エレオノーラ・ブラット [Eleonora Buratto]
 ・アルバーチェ:ベンジャミン・ヒューレット [Benjamin Hulett]

<合 唱> マドリード・レアル劇場合唱団
<管弦楽> マドリード・レアル劇場管弦楽団
<指 揮> アイヴァー・ボルトン [Ivor Bolton]
<演 出> ロバート・カーセン [Robert Carsen]


収録:2019年2月25・27日 マドリード・レアル劇場(スペイン)

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『マーラー 交響曲 第5番』 «ネット配信» クリスティアン・バスケス指揮 トゥルク・フィルハーモニー 2019年9月6日


クリスティアン・バスケス 指揮
トゥルク・フィルハーモニー管弦楽団
ベネズエラの"エル・システマ"出身、注目の若手指揮者バスケス(Christian Vasquez, 35歳)が フィンランドのトゥルク・フィル(Turku Philharmonic Orchestra)を振ったマーラー5です。ちなみにトゥルク・フィルの現首席指揮者は北欧の怪人レイフ・セイゲルスタムですね。
同オケのオフィシャル・ウェブサイト"TFO Live"からの映像付き配信です。

▶️ こちら (賞味期限は短いでしょうから、お早めに)




マーラー 交響曲 第5番 «ネット配信»
(6.sep.2019 at Turku Concert Hall)

20190906ChristianVasquez_tpo-mahler5.jpg


第一部
葬送行進曲は落ち着いていますね。殊更な重厚はなく悠々としています。第一トリオでも適度な緊張に刺激のスパイスを入れてきますね。第二トリオは静的で哀愁の良い流れで、構成上も上手い感じです。第二楽章第一主題も切れ味良くシャープで、第二主題(一楽章二トリオ)もコントラストの良い哀愁感です。展開部は両主題、vcのスローパート、共にバランス良く表情作りされていますね再現部もクセのない堂々とした流れで続きます。落ち着きがあって姿勢の良い第一部です。

第二部
この楽章を代表するスケルツォ主題は優雅に、レントラー主題は緩やかに美しく、両者王道です。第三主題はオブリガートホルンも活躍して流れに締まりを付けています。vaのピチカート第一音が外しますがw 展開部から再現部で少々演奏が落ち着かなくなるのが残念です。

第三部
スロー静美なアダージェットで、最近はこの傾向が多いでしょうね。第五楽章提示部の第一・第二主題の絡みは締まりがありますね。コデッタでもその流れを継続します。展開部はややバランスを崩す事もありますが、山場は大きく作ります。再現部も似た流れですが、山場からラストは抑えたテンポ、そこからアッチェレランドです。この楽章後半に締まりが薄いのは残念です。
オーディエンスの反応はボチボチ、ブラボーは飛びませんね。


クセはないのですが、やや締まりに欠けるマーラー5です。トゥルク・フィルも頑張っていますが、第三楽章の間延び感や第五楽章のバランス崩れは残念です。

第一楽章は素晴らしいので、その緊張感が続けば素晴らしかったと思いました。



CDではないので「マーラー第5番聴き比べ:175CD」にはアップしません。

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ジャンル : 音楽





イアン・ボストリッジ 二回目の録音 シューベルト「冬の旅」ピアノは現代音楽家の トーマス・アデス


イアン・ボストリッジ Ian Bostridge
"冬の旅"に関する書籍も出していたり、同曲ツアーをしたり、ハンス・ツェンダー編曲オケ版も演じたりと、現代の名リート歌い手でスペシャリストの一人でしょうか。2枚目のリリースですね。

来日コンサートは過去二回、ブリテンの「戦争レクイエム」と「イリュミナシオン」に行きましたが、後者は良かった記憶があります。本年の「冬の旅」来日には行っていませんw

ピアノのトーマス・アデスも現代音楽をメインとするこのブログでは注目です。イギリス人現代音楽家で、過去インプレもしてあります。楽風も前衛ではなくブリテンの再来と言われていて、ピアニストとしても活躍しているので今回の起用も自然なのかもしれません。



冬の旅 Winterreise, Op.89 D911
今更の今更ですが、ストーリーは以下ですねw
シューベルト『冬の旅』は、川が凍る冬の寒さの中、①裕福な女性に振られた男性が、失恋で惨めな旅に向かう ②前半は元の恋人への未練 ③後半は死への旅路 ④最後は唐突なライアー弾きとの出会い

もう何十年も聴いていないと思います。印象に残るのは、クールな表現と寄り添うpfの「ディスカウ/ムーア(1971:DG)盤」、表情のあるメゾソプラノに色付けpfの「ファスベンダー /ライマン(1988:EMI)盤」ですね。






序曲となる"1. おやすみ"での印象は、ボストリッジのテノールに艶と抑揚表現がある事でしょうか。アデスのpfも淡々とした繊細さの中に緩やかなアゴーギクを感じますね。"2. 風見の旗"ではpfが対位的な立場を奏でる感じになりますね。歌詞に合った流れを作っている感じです。

"4. 氷結"では速めの流れに乗ってpfと気持ちの高ぶりを込めていますね。そして"5. 菩提樹"ではまずpfに気持ちが入って出て来ます。そこに思い出を語る様にテノールが続きます。甘美な優しさではありません。続く"6. 溢れる涙"も同じ流れを引き継いでいます。ここで歌詞に同期した感情表現を明確にしている事がはっきりします。

"8. 回想"は揺さぶりがとても強いです。"11. 春の夢"では美しい夢をメヌエットの様に表現し、現実をpf共に強烈に演じ、アゴーギクを交えたコントラストを付けています。"13. 郵便馬車"は軽妙にテンポを上げ、"14. 霜おく頭"ではスローに落として死を望むコントラスト付けが明確ですね。

"21. 宿屋"の墓場のシーンはスローで静、抑揚を緩やかに付けて鎮む気持ちをはっきりとさせています。ラストのpfは一般とは逆のクレシェンドですね。"22. 空元気"は予想通り、明るく明瞭感強い流れを作っています。ここまでで唯一明るさが歌われますね。
ラストの"24. 辻音楽師"では老人の回すライアーの音色を細い音色をpfが象徴的に奏で、テノールは状況を語る様に歌います。



淡々とした流れに秘める気持ちではなく、歌詞の内容に沿って気持ちを込めて抑揚強く歌う方向ですね。pfも単に寄り添うだけではなく、主張がありますね。 情感濃い「冬の旅」です。

個人的には前者の表現の方が好みではありますが、シンプルな曲なのでボストリッジの様な色付けの差別化で楽しめますね。


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プロフィール

kokoton

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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。




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