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『マーラー 交響曲 第6番』«ネット配信» ヤクブ・フルシャ / ベルリン・ドイツ交響楽団 2019年6月19日


ヤクブ・フルシャ, Jakub Hrůša
(ベルリン・ドイツ交響楽団, Deutsches Symphonie Orchester Berlin)
都響の首席客演指揮者であった事もあり、チェコ人若手指揮者(38)のフルシャは日本でもお馴染みですね。現在バンベルク交響楽団の首席指揮者、フィルハーモニア管の首席客演指揮者を務めています。今回はベルリン・ドイツ交響楽団を客演で振ったマーラー6、ドイツの放送局Deutschlandradio Kulturのウェブサイトからの配信です。

▶️ こちら (賞味期限が短いのでお早目に)




マーラー 交響曲 第6番
(2019/6/19 at Philharmonie Berlin)

20190619JakubHrůša-Mahlre6
(当日のプログラムの表紙です)


第一楽章
第一主題は勇壮な中に落ち着きを見せます。少し特徴的なアゴーギクを感じますね。経過句はかなり鎮め、アルマの主題は緩い揺さぶりを入れて甘美に仕立てています。展開部は二つの主題を締まり良く、挿入部のスローにも適度な緊張感を残します。再現部では両主題に激しさと緩やかさのコントラストを付けますね。

第二楽章
アンダンテを持ってきました。主要主題を抑え気味に入るので第一楽章ラストとの対比構成があります。第一トリオ(副主題)もその流れでスロー静の緩徐の気配が強く、中間部で緩やかな明るさを灯します。この楽章全体を大きな(ターン音型)動機の緩徐として構築し、前後楽章とのコントラスト付けが素晴らしいです。

第三楽章
スケルツォです。主要主題は第一楽章の印象を復活させた気配でクールな勇壮さです。トリオは変拍子をあまり意識させない静的優美な流れでコントラスト付けしていますね。回帰する主題とトリオも都度表情を変化させて上手いです。トリオの後の木管の動機はあっさりしているかもしれません。

第四楽章
問題の?序奏はスローを基本に流れを統一するので見晴らしは良いですね。そこから一気に提示部第一主題を走らせるのが狙いだったのでしょう。もちろん過度の興奮は避けています。パッセージも抑えつつ、現れる第二主題では軽妙さを出しています。この曲の心臓部でもある展開部から再現部は、アゴーギクとディナーミクのコントラスト付けを最大限に振って華やかささえ感じますね。行進曲や騎行での興奮をクールに抑えているのもいい感じです。


クールでシャープ、構成感あるマーラー6です。爆演や興奮はありません。代わりにアゴーギクを主体に構築し、上手くディナーミク付けした 締まりある良い流れです。

個性を見せつつ見晴らしの良さもある感じ、やっぱりフルシャは注目ですね。CDインプレなら☆印(個人的お勧め)です。



残念ながらCDではないので「マーラー第6番聴き比べ:60CD」にはアップしません。


テーマ : クラシック
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フィルム・ミュージックの様なヴィヴァルディとピアソラ、二つの "四季"。カペラ・ガベッタ の『タンゴ・シーズンズ』


カペラ・ガベッタ
(Cappella Gabetta)
ヴァイオリニストのアンドレス・ガベッタ(Andres Gabetta)が設立したピリオド楽器アンサンブル"カペラ・ガベッタ"ですね。まぁ今はやりの、と言う感じがしますが。このアルバムに興味を持ったのは演奏者ではなくて、ヴィヴァルディとピアソラ二人の"四季*"がクロス配置されて奏される事でした。

* ピアソラは "ブエノスアイレスの四季" ですね


Tango Seasons | Vivaldi, Piazzolla
それぞれ二人の作曲家の案内は今更無用でしょう。ここでは二つの"四季"を交互に配する流れになっています。バロックと近現代アルゼンチン・タンゴの組合せは興味深いですよね。ちなみにピアソラの楽曲にはもちろんバンドネオンが採用されています。最後に追加されている一曲 "リローデッド" は今回の編曲者の一人ロベルト・モリネッリ(Roberto Molinelli)の作品で、二人の楽曲からのインスピレーションだそうです。
さて、どの様にアレンジされているでしょう。






いきなりのヴィヴァルディ"春"は快速です。そしてソロでの駆け引きの様な変奏も加えられて軽妙感を強くアレンジされていますね。いわゆるバロック感は消された表情付けがされています。続くのはピアソラの"冬"ですが、ヴィヴァルディよりも情感はかなり強いのですが、ピアソラ楽団の強い哀愁感に演奏に比べると重厚さを避けているでしょうか。
その後 "夏"、"秋" は同期しています。曲調は以上の流れになっていて、両者オリジナル(ヴィヴァルディは例えばイ・ムジチの様な) に対してフィルム・ミュージック的な印象に編曲されていますね。ヴィヴァルディはアゴーギク・ディナーミクを強め、ピアソラはディナーミクは全体抑え気味、そう言う方向性です。

ラストの "リローデッド" は、処々にバロックを仕込んではいますが、ピアソラ風。それ以上に感じるのはハイテンポ技巧的です。なぜここで必要なのでしょう?


基本的に美しさで流れを統一したアレンジで、お洒落なCDです。バロックと近現代タンゴの両方を、フィルム・ミュージックに方向性を統一している感じです。ただ、ヴィヴァルディ・ファンはクドイと感じるかもしれませんし、ピアソラ・ファンには淡白に聴こえるかもしれません。

ピアソラに関して言えばpfが入っていないのは大きく、オリジナルの演奏の心に染み入る様な情感は避けています。一度オリジナルを聴いて頂きたいと思います。



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2019年6月25日 クシシュトフ・ペンデレツキ / 都響『ペンデレツキ:ヴァイオリン協奏曲第二番 | ベートーヴェン:交響曲第七番』at サントリーホール

梅雨の東京は天気は今ひとつ。何とか晴れた今日、六本木まで行ってきました。今回は「日本・ポーランド国交樹立100周年記念」だそうです。

20190625SuntoryHall.jpg


85歳になっても各地のオケに指揮者として客演し、自曲を指揮する元気なポーランドの現代音楽家クシシュトフ・ペンデレツキ(Krzysztof Penderecki)の都響客演ですね。今回も二曲目の庄司紗矢香さん(vn)の "メタモルフォーゼン*" が聴きどろこかと。
ベートーヴェンの第七番ですが、今やコンサートセットされない限り聴く事は無くなったので厳しいですね。派手派手しいので誰がやっても受けると思いますがw

*仲良しのA.S.ムターに献呈されていて、1997年にペンデレツキ指揮(LSO)で録音されていますね.





ペンデレツキ:平和のための前奏曲 (2009年)

管楽器とパーカッションの楽曲で、調性回帰後の曲ですね。ファンファーレ的で華やかで鳴りの良い演奏でした。tpが少し怪しかったですがw
(指揮者が同行のアシスタント:マチェイ・トヴォレクに変わりました)



ペンデレツキ:ヴァイオリン協奏曲第2番《メタモルフォーゼン》 (1992-95年)

長い第一楽章は、抑えた深遠さや幽玄さと言うよりも厚めの音を感じました。vnもムターの繊細で細い音色ではなく、ヴィブラートの効いた切れ味と音の厚さでしたね。
第二三四の三つの楽章はvnの表情を濃く、オケは出し入れ強く、押し出しの強い感じがしました。
第五楽章のメイン、長いカデンツァはなぜかとても短く感じてしまいました⁈
締めの最終楽章は第一楽章の回帰となりますが、オケもvnも厚め濃厚でしたね。
A.S.ムター/LSO盤に比べると、庄司紗矢香さんは技巧を見せつけて都響は音圧のある演奏だったかと。予想通りでしたが、好みは前者になります...




ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調 op.92

第一楽章はソナタ三つのパートを華やかに、ですが流れはややフラット気味でした。
第二楽章は本来緩徐楽章ですが、ここは指示通りに少し速めに。然程の特徴は無かった気がします。
第三楽章はスケルツォで、第一楽章回帰的な楽章、ややメリハリが付いてきた様に思えました。
第四楽章はお馴染みの派手な二拍子、テンポ上げて来ました。この楽章が白眉でしたね。速いテンポが締まりを生み出してコントラストも付きました。コンサートならではの一体感も少し感じられましたね。
楽章が進むにつれて、メリハリがハッキリする流れでしたね。最終楽章は聴かせてくれました。




指揮者としてのペンデレツキのイメージが無いのですが、本人のヴァイオリン協奏曲は献呈したムターとの演奏とは対極に感じました。この日一番は、ベートーヴェン7番最終楽章の楽しさだったと思います。

ベートーヴェン第7番を聴くと、この熱狂は1812年当時は現代音楽だったのでしょうねぇ、と思います。




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美しきアンビエント:ジョン・ルーサー・アダムズ(John Luther Adams) の『Become Ocean』


ジョン・ルーサー・アダムズ
(John Luther Adams, 1953/1/23 - )
アメリカの現代音楽家ですが、ビッグネームの同じジョン・アダムズ(John Coolidge Adams, 1947/2/15 - )と間違えそうですよね。ちなみに後者のアダムズはミドルネームの"クーリッジ"を普通は付けませんね。

こちらのJ.アダムズはミニマルではなくでアンビエント系です。若い頃はロックバンドでドラムスだったそうで、学生時代には環境保護活動を経てアラスカに在住していました。その原風景からの環境音楽になるようです。活動ベースはTVや映画音楽を中心に、アコースティックから電子音楽までといかにも米現代音楽家的であり、このブログのメインの前衛とは縁がありません。


Become Ocean
ジョン・ルーサー・アダムズの代表作で、2014年のピューリッツァー賞(音楽部門)を受賞していますね。その翌年の受賞が超オススメ盤のJulia Wolfeの"Anthracite Fields"ですから落差が大きい気がします。

演奏はシアトル交響楽団(Seattle Symphony)で、指揮は音楽監督を務めるルドヴィック・モルロー(Ludovic Morlot)になります。






Become Ocean
タイトル曲一曲構成ですね。一言で括ればドローン系のアンビエントでしょう。聴いてもらった方が早いと思います ⬇️

 ★YouTubeで聴いてみる?
  (全曲聴けちゃいますねw)


一部ミニマル傾向や多少の出し入れや強弱はありますが、緩く大きな潮の満ち引きの様なお馴染みの音楽でしょうかね。聴くというよりもループにしてかけておくのでしょう。方向性は明るく、暗く鎮む方向ではありません。
ちなみに2枚組ですが一枚はDVDで美しいアンビエントな写真入り。大きなモニターやTVをお持ちでセットアップが出来るなら映しておくと効果は倍増かもしれません。



静かに部屋でかけておく。そんな音楽ですよね、アンビエント系ですから。ボリュームの設定いかんで、BGMにも癒しにもなるでしょう。

本来なら一般的にいう"現代音楽"の範疇に入れるのは違うかもしれません…



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大人の味付けを感じる端正さ、ブロムシュテット / バンベルク響の『マーラー 交響曲 第9番』


ヘルベルト・ブロムシュテット, Herbert Blomstedt
(バンベルク交響楽団, Bamberger Symphoniker)
このブログではマーラー9番は守備範囲なので作曲者と楽曲紹介は割愛です。
今回リリースされたのはスウェーデン人指揮者(米生まれですが)のブロムシュテットが名誉指揮者を務めるバンベルク響を昨年2018年6月に振った新しい録音ですね。ブロムシュテットはマーラーをそれほど多く残して無いので、91歳の貴重な録音になるかもしれませんね。

近いうちに「マーラー 交響曲 第9番 名盤・珍盤 100CD」にも追加記述する予定です。






第一楽章
緩やか穏やかな第一主題から陰に籠る様な第二主題へと流れ、山場から提示部反復、第三主題を盛り上げるのは基本的ですね。展開部前半の隠な流れから中後半の出し入れの強いパートも上手く陰影を付けますが安定的で、この楽章の印象は落ち着いた感じです。


第二楽章
主要主題は二つの動機を対比的に紳士的、第一トリオはレントラーらしく優美で、流れは緩やか主体です。第二トリオでは更に落ち着きを増した感じです。主要主題の回帰からも然程暴れませんね。


第三楽章
主要主題は適度な抑揚とテンポ、副主題(第一トリオ)も決して慌てません。レハールの引用も穏やかに流れて、中間部(第二トリオ)は格別に変化を強調していません。ラストも真面目に荒れていますw。この二つの中間楽章の落ち着きが曲全体を印象付けているかもしれませんね。


第四楽章
主要主題は感情移入は薄く端正です。第一エピソードは入りから終盤のターン音型を思わせる静けさです。ブロムシュテットの計算を感じますね。第二エピソードの山場は初めて情感強くまとめます。もちろん後半からコーダは計算通りにターン音型を鎮めて消え入ります。上手い構成感を感じました。



落ち着き払った大人の(?)マーラー9ですね。アゴーギクによる揺さぶりや感情移入を廃して、端正な几帳面さを感じます。"座して心穏やかにお抹茶をいただく"、といった風でしょうか。中間楽章のテンポ設定が緩やかなのも影響しているかもしれません。

日本でも人気のブロムシュテットらしいマーラー9番でしょうか。一度聴いて欲しいですね





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ペレチャツコとフローレスの素晴らしさ:ウィーン国立歌劇場公演 ドニゼッティの歌劇「ランメルモールのルチア」をNHKプレミアムシアターで観る

本年2月のウィーン歌劇場(Wiener Staatsoper)公演からガエターノ・ドニゼッティのオペラ『ランメルモールのルチア (Lucia di Lammermoor)』ですね。



(ウィーン国立歌劇場の公式Trailerです)


今回の演出は、舞台・衣装も手がけるフランス人ビッグネームのロラン・ペリー(Laurent Pelly)ですね。今回も衣装担当もしています。フランス語版もある作品ですが、今回はイタリア語版ですね。

演出
基本的に伝統的な流れを感じます。そこがペリーらしさでしょう。舞台設定に多少の現代風を感じますが、古くからのオペラファンが喜びそうですよね。個人的にはアヴァンギャルド系の方が楽しめますが。

舞台・衣装
シンプルで暗さを生かした舞台、適度な時代背景の現代風衣装、全体モノトーン構成は特徴は薄いですが今の時代に擬えた安定感ある設定でしたね。

配役
女性陣が光りました。タイトルロールのルチア(O.ペレチャツコ)、可愛さと狂気に陥る演技は魅力的でしたね。多用されるコロラトゥーラはそこそこでしたが、注目の見せ場「狂乱の場」では抑えめの狂気に悲しみを感じさせる演技と歌唱を見せてくれました。

そして今回超端役でしたがアリーサ(V.ヴェレーズ)でしたね。しっかり者のイメージで良い感じでした。MezもルチアのSopとバランスが良かったです。ヴェレーズは2018年グラインドボーン音楽祭バーバーの「ヴァネッサ」エリカ役でも良かった記憶があります。

男性陣では当然フアン・ディエゴ・フローレス、個人的には2011年のメト「オリー伯爵」が強烈に印象に残りますね。演じるエドガルド、テノールは例によって高音が朗々と響きました。今回の歌唱の中では最高でしょう。ルチアとの並びも魅せてくれました。
ルチアの兄エンリーコ(G.ペテアン)は歌唱・演技共にボチボチ、婚約者アルトゥーロ(L.モイエーク)は面白かったですがそれ以上でも以下でもありませんでしたね。

音楽
指揮者のピドには知見がないのですが、ベテランの様子。演技や歌唱を生かす、抑え気味の演奏に上手さを感じましたね。


ルチアと恋人エドガルド、この二人の舞台でしたね。友人アリーサが素晴らしかったのも忘れてはいけません。
全体的にはバランスの良さがあって飽きさせない流れで、流石ロラン・ペリーの演出でした。

それよりも妹が卑怯な兄の犠牲になると言うストーリーにいつもながら苛立ちが残ります。舞台上で惨殺されるべきは兄のエンリーコでしょう(笑)



<出 演>
 ・ルチア:オルガ・ペレチャツコ [Olga Peretyatko]
 ・エドガルド卿:フアン・ディエゴ・フローレス [Juan Diego Flórez]
 ・エンリーコ・アシュトン卿:ジョルジュ・ペテアン [George Petean]
 ・ライモンド・ビデベント:パク・ジョンミン [Jongmin Park]
 ・アルトゥーロ:ルカンヨ・モイエーク [Lukhanyo Moyake]
 ・アリーサ:ヴィルジニー・ヴェレーズ [Virginie Verrez]
 ・ノルマンノ:レオナルド・ナヴァーロ [Leonardo Navarro]

<合 唱> ウィーン国立歌劇場合唱団
<管弦楽> ウィーン国立歌劇場管弦楽団
<指 揮> エヴェリーノ・ピド [Evelino Pidò]
<演出・衣装> ロラン・ペリー [Laurent Pelly]
<舞台美術> シャンタル・トマ [Chantal Thomas]


収録:2019年2月12・15日 ウィーン国立歌劇場(オーストリア)


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古き時代の現代音楽を懐古する、ギリシャの現代音楽家 ニコス・スカルコッタス の『Cycle-Concert』


ニコス・スカルコッタス
(Nikos Skalkottas, 1904/3/21 - 1949/9/19)
45歳で早世したギリシャ人現代音楽家スカルコッタスは、26年間の作曲活動で作品を残していますね。亡くなった年代が欧州前衛がエクスペリメンタル全盛に向かうセリエルの時代ですから、シェーンベルクに習って十二音技法からスタートしています。作品数が増える30年代後半から晩年は民族音楽を取り入れてスカルコッタスらしさが味わえる様になりますね。近年はBISレーベルからCD化されていて、本ブログでもインプレ済みですね。


Cycle-Concert
このアルバムはその時代の作品で得意とした室内楽集です。以前PhillipsからDigital Classicsのシリーズとして出ていた、25年近く古い懐かしいアルバムです。
メンバーが豪華ですね。
・ブルーノ・カニーノ(Bruno Canino):ピアノ
・クラウス・トゥーネマン(Klaus Thunemann):バスーン
・ホーカン・ハーデンベルガー(Håkan Hardenberger):トランペット
・ハインツ・ホリガー(Heinz Holliger):オーボエ
いずれ名だたる名手で現代音楽の信奉者ですね。(残念ながらトゥーネマンだけは知見がありません)






Quartet No.1 for Piano and Winds (1940–43年)
ピアノと吹奏楽(オーボエ, トランペット, バスーン)の四重奏曲ですね。音列配置を思わせる様なパンクチャリズム風ですが、民族音楽和声旋律が存在していますね。四つの楽器が弾む様なリズムと旋律を絡ませるホモフォニー構成です。リズミカルな民族音楽と言ったスカルコッタス楽風ですね。


Concertino for Oboe and Piano (1939年)
上記と同じ様なリズムで入るのですが、民族和声は薄くなり音の跳躍も存在します。そういう意味ではセリエルにより近いでしょう。でも中間パートで緩徐となって音は跳躍からターン音型の様な近隣音を並べ、pfとobは対位的な関係になっていますね。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  スコア付きです。


Sonata Concrtante for Bassoon and Piano (1943年)
pfに和音が現れて点描印象がやや薄くなっています。それでもロングトーン旋律は皆無でアルペジオ旋律主役です。fgとpfは民族和声的旋律中心にホモフォニー(主従関係)とポリフォニー(対位)の混成的です。ここでも中間パートでは緩徐にしています。少し退屈かな?! これなら上記オーボエの方が音色の延びもあって面白い気がしますね。


Concertino for Trumpent and Piano (1940–43年)
曲構成は他の曲と似ていて、長いpfパートが点描的に続きます。tpがそれまでの木管から金管の響きになって変化を与えていますね。そんな感じですw


Quartet No.2 for Piano and Winds (1940–43年)
一曲目に続き四重奏曲第2番になり、"Tango"と"Foxtrot"といかにも的なパート・タイトルが付いています。何気にその気配は感じますが屋台骨は何も変わりません。それこそがスカルコッタスですね。



ポスト・セリエルと言えるかは別として、点描音列配置的な印象は明確です。そこに民族和声を取り込んだのがスカルコッタスですから、まさにスカルコッタス作品集でしょうね。似たり寄ったり感を含めてセリエルの行き詰まりもあるかもしれません。

1940年代という古き前衛現代音楽を懐古的に楽しむのも一興かと。



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