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アイスランドの現代音楽《RECURRENCE》管弦楽集:ヨンスドッティル/ヴィルマーソン/シグフスドッティル/ビャルナソン/ソルヴァルドスドッティル


RECURRENCE
Iceland Symphony Orchestra
アルバムのクレジット名はアイスランド交響楽団になっていて "ISO project vol. 1" とあります。指揮者ダニエル・ビャルナソン本人作品を含めた近年注目度の上がるアイスランドの現代音楽家5人の管弦楽集になります。

 ▶️ 北欧現代音楽CD(作曲家別)一覧

【余談】アイスランド人は名前で男女がわかります。---ソン(son, 息子)なら男性、---ドッティル(dóttir, 娘)なら女性です。




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スリドゥル・ヨンスドッティル
(Thurídur Jónsdóttir, 1967 - )
レイキャビク音楽大学でフルートと作曲を習った女性現代音楽家です。その後ボローニャ音楽院でエレクトロニクスを習得しています。

Flow and Fusion
 旋律感の低いロングトーン多声と鍵盤打楽器(マリンバ)の様な連打が少し入ります。エレクトロニクス的な響きもありますが、楽器の音なのか判別できません。フラットではなくディナーミクがあり、空間音響系だと思います。アンビエント系になるのかも?! そんな感じです。




フリヌール・アジルス・ヴィルマーソン
(Hlynur Aðils Vilmarsson, 1976/8/2 - )
レイキャビク音楽大学で作曲を、コーパヴォグル音楽学校でエレクトロニクスを学んでいます。B.ファーニホウにも師事していて、電子工学に明るいそうです。

BD
 BAは博士号のことでしょうか。こちらも旋律感の低いロングトーン多声音響ですが、旋律を挟み込んできます。短旋律反復でノイズ的、それが対位法的に絡み、特殊奏法のポリフォニーそしてホモフォニーへと変化します。即興的混沌には陥らず、奇妙なリズム感の表情でちょっと面白い感じです。

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マリア・フルド・マルカン・シグフスドッティル
(María Huld Markan Sigfúsdóttir, 1980/9/29 - )
作曲の博士号をアイスランド芸術アカデミーで取得した女性現代音楽家です。イギリスでも学んでいます。

Aequora
 ストレッチした音が多声で共鳴する音響空間を作り、そこに静的な旋律が薄く浮かびクレシェンドしてピークを作ります。音色は静的透明感ですが、ディナーミクでの表情付けがあります。




ダニエル・ビャルナソン
(Daníel Bjarnason, 1979/2/26 - )
レイキャビクで学び、指揮者と現代音楽家で活躍中です。

Emergence
 空間音響系で3パートに分かれています。神経質な雰囲気が漂うパート1、連打音が背景に置かれてドローンが被るパート2、静的空間色が全体クレシェンドするパート3。
他の楽曲に比べると反復旋律が耳に付きます。その意味ではポスト・ミニマルの指向性があるのかもしれません。




アンナ・ソルヴァルドスドッティル
(Anna Thorvaldsdottir, 1977/7/11 - )
アイスランドを代表する女性現代音楽家で、このブログでもご贔屓の一人です。その独特の楽風は魅力的です。紹介は割愛です。

Dreaming
 紹介済みの楽曲です。(聴き比べはしませんw)
ベースとなるのは旋律感の低いノイズ系のドロドロとした蠢めく様な低い地鳴り、ドローンや響に近いでしょう。それがソルヴァルドスドッティルです。そこに不安な色合いの旋律やクラスター的強音が現れます。ラストは弦楽器の特殊奏法だけのパートで面白いです。




アイスランド空間音響系の楽曲集で、北極圏の360°広がる上空を耳で感じる様な印象です。いわゆるドローンと違って細かな音色や変化による色付けがしっかりあるのが特徴的です。

旋律性は低く、響きで空間を満たす世界です。この手の現代音楽を聴いてみたい方にはおすすめです。





テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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