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古典邦楽と現代音楽のコラボ:琴とリコーダーのための作品集『3つの俳諧アンド・モア (three haikei and more) 』を聴く


three haikei and more
3つの俳諧アンド・モア
琴と尺八をベースにした、日本の古楽と現代音楽の楽曲を組合せた作品集ですね。尺八に代わりリコーダーを使い、箏の古楽(八橋検校/六段の調べ)、尺八の古楽(古典本曲/二曲)、三曲を採用しています。
演奏は箏が後藤真紀子(Makiko Goto)さん、リコーダーがジェレミアス・シュヴァルツァー(Jeremias Schwarzer)です。箏とリコーダーはそれぞれ音域違いのものを使い分けていますね。

古楽が途中に挟まられ曲の並びはランダムなのですが、インプレは作曲家ごとです。







古典邦楽
(八橋検校・古典本曲)
日本人なら聴いた事がある八橋検校(Yatsuhashi Kengyo, 1614-1685)の箏曲"六段の調べ"と、尺八古典の道曲から二曲が採用されています。

六段の調べ
  for recorder and koto
"六段の調べ"を理解しているわけではないのですが箏の旋律はオリジナル通りではないでしょう。ただリコーダーの音色は尺八的なので全体違和感がありません。この和声とシンプルさは海外では前衛に聞こえるのでしょうか。

山越え (道曲)
  for recorder solo
道曲二曲のアレンジはJ.シュヴァルツァーになります。原曲を知らないのですが、ただの静かな尺八の曲にしか聞こえませんw

打破 (道曲)
  for recorder solo
これも同じですね。アレンジはされているのですが、原曲の和声にならっていると思います。尺八曲です。




エルヴィン・コッホ=ラファエル
(Erwin Koch-Raphael, 1949 - )
ドイツ人現代音楽家でクセナキスやドナトーニに習っていますね。細川俊夫さんと共に尹伊桑の元でも習っています。このアルバムでは邦楽和声で曲を作ったそうです。

Composition No. 60 " shogo / noonday" I (2005年)
  for recorder and koto
和楽の歌が入ります。リコーダーはそのまま尺八の音色ですね。旋律は和的で、琴も入っている様です。極度にシンプルな小曲です。

Composition No. 60 " shogo / noonday" II & III (2005年)
  for koto
箏の爪引き音ですが音数は少なく静的空間を感じます。空間音響系と言ってもいいかもしれません。




アネッテ・シュリュンツ
(Annette Schlünz, 1964 - )
ドイツの女性現代音楽家で、ウド・ツィンマーマン、クセナキス、ラッヘンマンに師事しています。教育にも熱心で南米やアジアにも訪れていますね。

Light from the One (2006年)
  for recorder and 17-string bass koto
和楽器の横笛の様なリコーダーの音色と和声です。速い流れと緩やかな流れが共存して、そこに箏のアルペジオが絡んできます。そして凶暴な音色とDialogueも見せます。邦楽和声をベースに不協和音という感じですね。微分音的な音色も見せて不思議と言えば不思議ですが、機能和声を邦楽和声にしただけの現代音楽 と言ってしまえばそれまでかもしれません。




高橋悠治
(Yuji Takahashi, 1938 - )
言わずと知れた天才ピアニスト・現代音楽家ですね。紹介は割愛ですw

Koto nado asobi 箏など遊び (2000年)
  for koto, recorder and shamisen
静的な琴は音数少なく、かすかに絡むもう一つの弦は三味線なのでしょうか? そこに歌い、後藤真紀子さんと思われます、が入ります。歌いはおどろおどろしい気配も感じます。
(三味線のクレジットはありますが、楽器奏者の中に三味線記述はありません)

Recorder nado asobi リコーダーなど遊び (2000年)
  for recorder, bass koto and 21-string koto
全体に音数は少ないですね。歌いというよりも語り、男声です、が入ります。静的世界です。




望月京
(Misato Mochizuki, 1969 - )
ファーニホウやヌネスに影響を受け、クラウス・フーバーからも支持を受けています。その時点でダルムシュタットやドナウエッシンゲンでの活躍が想定できますね。楽風は音の変化にストーリー性があって面白い印象があります。

Toccata (2005年)
  for recorder and 21-string koto
箏もリコーダーも特殊奏法でしょうね。弾き爪弾く様な音色の箏、炸裂する様なリコーダーの音、それぞれが対位法的に絡みます。片方が叫ぶ時は片方が引きます。その流れが面白いです。楽器は和的ですが無調の現代音楽でこれは面白いですね。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?




細川俊夫
(Toshio Hosokawa, 1955 - )
細川さんの今回の曲は二曲間で27年もの開きがあります。soloとduoですが、その作風変化も今回の楽しみの一つですね。

Nocturne 夜想曲 (1982年)
  for bass koto
箏を使っていますが、邦楽和声ではありません。細川さんらしい静的で鬱美の和声の現代音楽です。極端な特殊技法はありませんが、本来の箏の音色にはない音を使っていますね。現代音楽として違和感はありません。

Schneeglöckchen 待雪草 (2009年)
  for recorder and koto
27年後、和声が明らかに邦楽に近づいています。面白いのかもしれませんが、個人的には邦楽和声を弄った方向性に興味が惹かれません。




丁々発止的な流れは皆無、静的空間と二つの楽器の音色が音数少なくDialogueする日本的な印象ですね。邦楽和声は調性ではないモードの世界ですから、そのままでも西洋では現代音楽でしょう。

楽曲組合せからいくと"邦楽古楽"、"邦楽和声曲"、"和楽器を使った現代音楽"の三つですね。面白かったのは望月京さんと細川俊夫さんの夜想曲で、"和楽器を使った現代音楽"でした。日本人だから他の二つは違和感がない古楽ですね。




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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。




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