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ドナウエッシンゲン音楽祭2017 (Donaueschinger Musiktage 2017 - NEOS) で味わう現在形現代音楽


Donaueschinger Musiktage 2017
ドナウエッシンゲン音楽祭2017
国内発売が毎年遅れる様になっている気がしますが、欧州前衛現代音楽の現在を楽しめるドナウエッシンゲン音楽祭の定例CD、NEOSレーベルから発売ですね。

前回に続きCD2枚組での発売になりました。CD1がアンサンブル、CD2が管弦楽の組合せも同じですね。ベテランから若手、といって40代半ばというのが少々寂しい?、を取り上げていますが 特徴的なのは2012年に亡くなったヌネスでしょう。それも初期作品ですから。






CD 1
エマヌエル・ヌネス
(Emmanuel Nunes, 1941 - 2012)
ポルトガルの現代音楽家で、ダルムシュタットでブーレーズに ケルンでシュトックハウゼンに師事しています。その後はダルムシュタットで長年に渡り講師を続けていますから、楽風はわかりますね。当然ダルムシュタット式のポスト・セリエルをベースとして空間音響やライブ・エレクトロニクス、ドローンといった様式を展開します。反復の拒否等のベースは変わらず、馴染みよい旋律はすべからず拒否のスタンスですね。

Un calendrier révolu, for 14 instruments (1968 / 1969年)
Remix Ensemble, Emilio Pomàrico(cond.)
 「過去のカレンダー」は若き日の作品でまさに前衛の停滞が叫び始められた時代そのものです。セリエル的で点描音列配置な音の並び、テンポ設定はありますが動機や楽器間の協調は存在しません。(ポリフォニーや対位法的と表現すれば、そうかもしれませんが) 基本はスロー&静の流れで、その中にアンサンブルの一つ一つの音の重なりが作り出す響の妙が感じられますね。Part IIでは等拍パルスも使われています。早くも空間音響系の音作り、後半ではドローンも感じますね。ヌネスらしいポスト・セリエルといった風情です。




アイヴィン・ビューエネ
(Eivind Buene, 1973 - )
ノルウェイの現代音楽家で、ノルウェー国立音楽アカデミーで作曲を習い室内楽を得意としている様です。

Lessons in Darkness, for ensemble (2017年)
Ensemble Musikfabrik (Enno Poppe, rehearsals)
 「闇の中のレッスン」の主展開はポリフォニーの混沌で、ノイズも採用して一部即興風でもあります。強音パートもありクラスター的にも展開しますし、静的なパートではロングトーンでドローン風でもあります。最後は動機の存在するホモフォニーも使います。なんとなくゴチャ混ぜ感が強いです。少し整理した方が面白さを感じられるかも。(スコア上の面白さはあるのかもしれません)

エンノ・ポッペがリハーサル指揮で音作りをしている様です。




CD 2
アンドレアス・ドーメン
(Andreas Dohmen, 1962 - )
ドイツ人現代音楽家で、作曲をF.ドナトーニに師事していますね。このSWR主催のドナウエッシンゲン音楽祭の他にも、WDRの関連音楽祭からも委嘱を受けています。

a doppio movimento, for electric guitar, harp, piano and large orchestra (2016 / 2017年)
Yaron Deutsch(electric guitar), Andreas Mildner(harp), Nicolas Hodges(piano), SWR Symphonieorchester, Ilan Volkov(cond.)
 「二重の動き」はエレキギター/ハープ/ピアノとオケの協奏曲で、ピアノは現代音楽ピアニストの雄ニコラス・ホッジスです。
トリル・トレモロの緊張感のある流れにパルス的にクラスターが割り込みます。独奏三人の細かく速い音が強弱を付けながら流れを作り、特殊奏法も使って絡みながら進んでいきます。オケ、特に管、のクラスター的絡みも生きていますね。後半はハープの特殊奏法(ペダルの足踏み音)も上手い使い方で面白く好きな流れです

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  当日のLive動画です!! 特殊奏法の様子もよくわかります。





マルトン・イレス
(Márton Illés, 1975 - )
ハンガリーの現代音楽家でピアニストです。ハンガリーでピアノと作曲を習った後、チューリッヒとハノーバーでピアノを主として習い、作曲をW.リームに師事していますね。

Ez-tér (Es-Raum), for orchestra (2014 / 2017年)
SWR Symphonieorchester, Pablo Rus Broseta(cond.)
 「それは宇宙」は4パート構成で一番長くても6'ほど。主役はトリル・トレモロや快速アルペジオの刻まれた音です。Part I.は管弦打楽器全てでそれが展開されて渦巻き・暴れ、II.では静的になりストレッチされた音も絡みます。III.では背景に金属系の残響の様な音を配して即興的混沌化します。ラストIV.は再び静的展開と混沌です。
緊張感のある流れは悪くありませんね。




ハヤ・チェルノヴィン
(Chaya Czernowin, 1957 - )
米在住のイスラエル人女性現代音楽家ですね。B.ファーニホウに師事した影響が大きく、"新しい複雑性"の流れを汲みます。譜面上の難読性というよりも特殊奏法によるノイズ系になります。日本でもおなじみですね。

Guardian, for violoncello and orchestra (2017年)
Séverine Ballon(violoncello), SWR Symphonieorchester, Pablo Rus Broseta(cond.)
 「ガーディアン」はチェロ協奏曲です。もちろんバリバリ特殊奏法ですから、耳馴染みの良い動機や旋律は存在しません。ギギギィ〜のノイズ系です。聴こえる音楽からいえばファーニホウというよりラッヘンマンのシュツットガルト楽派風でしょうね。ノイズ系サウンドが辺りを満たします。こういうのを聴くとドナウエッシンゲンだなぁ、って思いますね。




全体印象は無難な音楽を集めたという印象ですね。一番面白いのはA.ドーメンの「二つの動き」ですが、格別の展開があるわけでもありません。インスタレーションを思わせる曲がないのも要因かもしれませんね。
望月京(Misato Mochizuki)さんも出ていたので取り上げて欲しかったです。

今回の中ではマリナ・ローゼンフェルド*(Marina Rosenfeld)がインスタレーションだとカタログには記載されていますが、出来ればそれを入れて2014年盤の様にDVD付きの4枚組くらいが嬉しいですね。

*実際彼女はかなり奇抜でパフォーマーに近いかもしれませんね。




♬ 現代音楽CD(作曲家別)一覧


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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。




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