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B.A.ツィンマーマン「"Monologues" for two pianos」聴き比べ | コンタルスキー兄弟 vs エンリサ/シュフDuo


Monologues, for 2 pianos (1960-64年)
ベルント・アロイス・ツィンマーマン (Bernd Alois Zimmermann, 1918-1970)
B.A.ツィンマーマンは今までに数多くインプレ**しているので紹介は割愛です。ピアノ・デュオとオーケストラのための『Dialogues』(1960年) のピアノ・デュオ曲版として本人によりトランスクリプションされた曲ですね。
中期から後期に入るこの作品の後に、傑作「兵士たち (1965年)」と「ある若き詩人のためのレクイエム (1969年)」が世に送り出される事になるわけで、興味深いですね。

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今回はトルコ人ピアニスト:ギュルル・エンサリとルーマニア生まれでドイツのピアニスト:ヘルベルト・シュフのピアノ・デュオが同曲をリリースしたので、鉄板のコンタルスキー兄弟と聴き比べしてみようと思います。



ギュルル・エンサリ/ ヘルベルト・シュフ
Gülru Ensari / Herbert Schuch

ケルン在住のお二人はご夫婦だそうで、B.A.ツィンマーマンの生誕100周年としての選曲とか。(その年に亡くなったドビュッシー没後100年でもあります)
このピアノ・デュオ アルバム『DIALOGUES』にはドビュッシーとモーツァルトのDuo曲も入っていますが、直接B.A.ツィンマーマンの引用に使われている曲ではありません。




 "Hommage à Claude Debussy" とある通り、ドビュッシーへの5パートのオマージュ曲です。実際に"花火 (Feux d'artifice)"の引用が#4と#5のMonologuesに使われています。

点描音列配置をツィンマーマン風にしたMonologues I、それを炸裂的にコントラストを付けた II、強コントラストで暗い印象の III、ドビュッシー色の混沌 IV、ドビュッシー色に強烈さのコントラストが増す V、といった流れです。中期のセリエル時代作品の楽風で 圧倒的に最後の"Monologues V"がいいですね。
#2, #3, にモーツァルト、#4, #5にドビュッシーの引用が挟まれています。と言うかオマージュという通り、後半は新しいドビュッシー像?!の様です。
演奏は全体的に柔らかさを感じ、もっとバリバリに強音を弾いた方がB.A.ツィンマーマンらしい気がしますね。




コンタルスキー兄弟
Alfons & Aloys Kontarsky

ドイツ人兄弟ピアニスト・デュオ、兄のアロイスと弟アルフォンスですね。現代音楽で言えば、ダルムシュタット夏季現代音楽講習会での講師で長年活躍し、数々の初演をこなしてきました。20世紀を代表するピアノ・デュオでしたね。
本アルバムはコンタルスキー兄弟によるB.A.ツィンマーマンのピアノ曲集(二重奏曲・三重奏曲あり)になります。




I. ではより表情を深くタッチに彩りがあります。II. でも切れ味と激しさをディナーミクとアゴーギクで表現、引用パートの美しさも聴かせます。III. も響きの良さと間の取り方が素晴らしく引用は混沌化、IV. ではドビュッシー色というよりも前衛表現的です。V. も静と烈のコントラストを明瞭に打ち出してドビュッシーの引用ながら、より現代的な透明感と切れ味の流れです。
テクニック的にも表現的にも激しさと美しい透明感の見事なコントラストが際立ちますね。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?




セリエルを基にしながら、引用やトリルといった約束無視の強烈さ、まさにB.A.ツィンマーマンの魅力が詰まっていますね。
圧倒するコンタルスキー兄弟の演奏は、楽曲に磨きをかけて素晴らしい充実密度です。エンサリ/シュフは同CDのモーツァルトの様な軽快な流れを心地よく弾くパートに良さを感じました。

柔らかい表現のギュルル・エンサリ/ヘルベルト・シュフ、激しさと静美のコンタルスキー兄弟と言った感じでしょう。




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Lindquist - Hosokawa - Sørensen - Norderval | Trondheim Sinfonietta の「MANTRA」を聴く


MANTRA
Trondheim Sinfonietta
1998年にノルウェーで設立された現代音楽アンサンブル"トロンハイム・シンフォニエッタ"の創設20周年記念アルバムで、興味深い四人の現代音楽家の作品を集めていますね。
指揮は、作曲家としても活躍するノルウェーのカイ・グリンデ・ミューラン(Kai Grinde Myrann)です。






細川 俊夫
(Toshio Hosokawa, 1955- )
今更紹介不要の細川さんですが、個人的には近年のオペラ作品にとても魅力を感じています。今回は少し古い室内楽ですね。

Drawing for eight players (2004年)
 fl, ob, cl, pf, perc, vn, va, vc, の室内楽です。静的ドローン風の流れが基本構成ですから、ロングトーンの響きですね。そこに煌めきを加える様に各楽器が絡み、響きは増して空間を占める様になります。なんとも言えないこの美しさこそ細川さんのサウンドで、やっぱり素晴らしい!

 ★試しにYouTubeで観てみる?



ベント・セアンセン
(Bent Sørensen, 1958- )
デンマークの現代音楽家で、イブ・ ネアホルムやペア・ノアゴーに師事しています。オペラを始め管弦楽や室内楽と広く作曲活動をしていますが、残念なことに電子音楽には手をつけていません。欧前衛とは一線を画す北欧系現代音楽の姿勢ですね。

Minnelieder – Zweites Minnewater for chamber ensemble (1994年)
 『愛の歌 - 第二の愛の湖』もちろん無調ですが、トリル・トレモロのミニマルがベースにありそうで、その全体の流れが波を打つ様にうねった変化をし、とても面白い曲になっています。各楽器も協調性はありますが、基本ポリフォニーで北欧ポスト・ミニマルでしょう。



エレン・リンドクヴィスト
(Ellen Lindquist, 1970- )
北米と欧州で活躍する米人女性現代音楽家ですね。ソロから室内楽、管弦楽や歌曲と幅広い活動ですが、特徴的なのはダンスや詩を交えるパフォーマンスにあります。インスタレーションへの移行もありそうですね。

Mantra Concerto for gamelan and sinfonietta (2016年)
 CDタイトルナンバーで副題の通り「ガムランとシンフォニエッタのための協奏曲」です。静的な空間を使い「ガムラン=バリ民族音楽」の印象をうまくコントロールした空間音響系の現代音楽です。ガムランも空間の中に響きを作る一つのperc.楽器として使われていて、その旋律にバリ民族音楽和声が使われていても気になりませんね。



クリスティン・ノーダーヴァル
(Kristin Norderval, 1957- )
米女性現代音楽家にして前衛即興パフォーマンス活動家で、ニューヨークの"Ensemble Pi"のメンバーとしても活躍しています。声楽を得意として、前衛電子音楽との組み合わせに特徴があります。

Chapel Meditation for voice and plucked piano (2001年)
 即興で作られた曲で、スロー&シンプルなヴォーカリーズとピアノのDuo曲です。ピアノは弦を直接弾きます(plucked)が単音残響です。「礼拝堂の瞑想」とある通りでインド的な民族和声を使い、まさにインドの寺院で瞑想しているしているかの様です。




現代音楽アンサンブルと言ってもノイズやクラスターの前衛混沌ではなく、ドローンや空間音響といったアンビエント系の現代音楽ですね。民族音楽和声も取り入れていますが、うまく消化できている感じで違和感がありません。
騒々しさは無く、静的陶酔感もあるのでBGMとして流しておくのも'あり'のおすすめの一枚です。




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ベルトルト・ゴルトシュミット(Berthold Goldschmidt) の「The Goldschmidt Album」を聴く


ベルトルト・ゴルトシュミット
(Berthold Goldschmidt, 1903/1/18 - 1996/10/17)
先日もデッカ退廃音楽(DECCA Entartete Musik)シリーズの「The Concertos」を紹介しましたが、もう一枚同シリーズでの所有がありました。

今回はゴルトシュミットの三つの作曲年代、①在ドイツ時代、②イギリス亡命後、③1982年作曲再開後(1958年からの活動休止)、から①と③です。前回は②の1950年代作品集だったので、これでゴルトシュミットの全貌ですね。


The Goldschmidt Album
1930年代までの初期作品と、1990年代終盤期作品です。前衛時代背景は前回アルバムの1950年代の前衛セリエル真っ盛りから、今回はその前後。前衛黎明期と多様性時代で興味深いです。

ライナーノートには「Berthold Goldschmidt talks about his life and music」の質問形式の語りがあり、ブゾーニやシェーンベルクに習った事、前衛や十二音技法の影響、ショスタコーヴィチとの対面、等々語られています。


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Passacaglia, Op.4 (1925年)
City of Birmingham Symphony Orchestra, Simon Rattle (cond.)
多少の調性の怪しさを感じるものの、後期ロマン派の流れを感じますね。無調に入る前のシェーンベルク的と言ったらわかってもらえるでしょうか。この時代らしいのかもしれませんね。
本人はバッハのパッサカリアの影響であり、ヴェーベルンのパッサカリアは知らなかったとの事です。


Comedy of Errors - Overture (1936年)
City of Birmingham Symphony Orchestra, Berthold Goldschmidt本人 (cond.)
シェークスピアのコメディにインスパイアされた、より機能和声的な前奏曲です。もちろん怪しげな、大した事はありませんが、旋律感とショスタコーヴィチ色を感じますね。


Ciaconna sinfonica (1936年)
City of Birmingham Symphony Orchestra, Simon Rattle (cond.)
三楽章形式です。上記二曲を合わせた様な印象で、前回紹介も含めて この辺りがゴルトシュミットの作風と感じますね。


Chronica (1932-1985年)
Sinfonieorchester Komische Oper, Yakov Kreizberg (cond.), Timothy Hutchins (flute), Janet Creaser Hutchins (piano)
アンチファシストのバレエ曲としてドイツで1932年に書かれて、1985年に委嘱作品として完成させたそうです。
楽風はショスタコ風のままで、本人もアンチ・ロマン派的なスタンスに影響を受けたと言っていますね。展開感がやや平板で長く感じます。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  part1 Passacaglia のみです(3'弱)



Les Petits Adieux (1994年)
Montreal Symphony Orchestra, Charles Dutoit (cond.), François Le Roux (baritone)
四人の詩人のTextを使ったバリトンの歌曲ですね。1990年代に入り、強烈なショスタコ色は無くなっています。代わりに調性回帰が強く、時代が逆戻って後期ロマン派の歌曲の様です。どこかで聴いた様な…っていう感じでしょうか。


Rondeau (1995年)
Berlin Radio Symphony Orchestra, Berthold Goldschmidt本人 (cond.), Chantal Juillet (violin)
室内楽風の単一楽章ヴァイオリン協奏曲ですね。ここでも後期ロマン派的な流れに終始します。旋律感も強い流れで調性を超える様な和声は殆ど感じません。21世紀を目の前にどうしたのでしょう、マニエリスムと言うにしても?!って感じです。



主たる楽風がショスタコーヴィチの影響下にあった事が明瞭にわかるアルバムですね。
極初期と最後は類似的で特徴が薄い事もわかり、この一枚で全体像が見えるかもしれません。本人の言葉通りで前衛には組みさなかったと言う事でしょう。




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サイモン・ラトル/バイエルン放送交響楽団 の マーラー『大地の歌』| バーンスタイン, カラヤン と聴き比べ


大地の歌 (Das Lied von der Erde, 1908年)
グスタフ・マーラー (Gustav Mahler, 1860/7/7 - 1911/5/18)
今年ラトルはマーラーを続けて出したので、第6番に続いて"大地の歌"もインプレしましょう。

「大地の歌」全体の流れを少々荒っぽく言えば、テノール(男性)が歌う奇数番楽章は盃を重ねる詩、アルト(女性)が歌う偶数番楽章は人の心の詩、最後の第六楽章だけは自然と友を謳う訳ですが、全体として"人は死しても大地は残る"というお話ですね。個別の古い中国の詩の引用ですから、楽章間でストーリー展開がある訳ではありません。

アルト(orメゾソプラノ)のパートはバリトンの場合もあるので、今回はせっかくですからカラヤン/BPO | バーンスタイン/VPOと聴き比べてみようと思います。前者はアルト採用、後者はバリトン採用ですね。(バーンスタインはMez.採用Sony盤もあります)




サイモン・ラトル / バイエルン放送響
[Mez.] マグダレーナ・コジェナー, [テノール] スチュアート・スケルトン




第一楽章「大地の哀愁に寄せる酒の歌」
アレグロですがペザンテの印象が強い楽章ですね。ファンファーレ主導の提示部はオケの切れ味が強く陰影が濃いです。テノールもテンションが高いです。展開部管弦楽は繊細さです。

第二楽章「秋に寂しき者」
緩徐楽章ですね。導入部の木管は抑えめで哀愁を細く奏でます。切れ味あるMezとオケとの一体感に僅かな乖離を感じます。展開部も変化は少なめで全体に表情が薄めに感じますね。

第三楽章「青春について」
短いスケルツォでしょうか。テノールも軽妙に入り、スローの中間部は陰を見せてコントラストを強めに付けています。

第四楽章「美について」
コモド(乙女)の中に走狗する(若者)トリオが入りますね。乙女は落ち着いたスローで歌い、中間部では若者が勢いのついたオケの演奏と共にテンポアップして元気が溢れますね。再現部も含めてコントラストが明瞭です。

第五楽章「春に酔える者」
凛々しいアレグロですね。勇ましい提示部を強調するテノール、キーとなる展開部でテンポを落とす二回目の調性感の変化はナチュラルです。再現部は元気復活ですね。

第六楽章「告別」
緩徐の提示部は、適度な重厚さのオケに繊細なMez.の組合せで、山場は伸びやかですが生真面目さが強い流れです。ややフラットに感じるかもしれません。中間部管弦楽パートは、情感の陰影付けが強くラトルらしさでしょう。再現部 王維の「告別」は表情がありますね。


落ち着いたMez.に対して表情豊かなテノールの組み合わせ。オケは明瞭な音使いです。クセはなくコントラストをはっきりとさせて、ラトルらしい「大地の歌」になっている感じです。
ラトル派の貴方におすすめですね。

旧盤(EMI)を比べると、バリトン採用で印象は異なりますね。演奏はバーミンガム市響の方が楽章によってのメリハリに差(一楽章は濃く二楽章は穏やかとか)があります、テノールは似た感じですが。











カラヤン / ベルリン・フィル
[アルト] クリスタ・ルートヴィヒ, [テノール] ルネ・コロ




第一楽章「大地の哀愁に寄せる酒の歌」
提示部は導入ファンファーレ、オケそしてテノールも虚飾の無いバランスの良い流れを作って説得力を感じます。管弦楽の展開部もしゃしゃり出る事なく美しさを聴かせます。再現部もシャープな流れですね。

第二楽章「秋に寂しき者」
繊細な木管の導入部にアルトが入り、透明感があります。展開部は伸びやかで暖かさを見せ、山場を広がり大きく聴かせます。ルートヴィヒとオケのマッチングの良さを感じますね。

第三楽章「青春について」
ちょっと戯けた様にテノール、軽く弾むオケ、うまい流れを作るスケルツォで入ります。中間部は少し落ち着きを見せながら最後に回帰、全体の流れは統一感がありますね。

第四楽章「美について」
導入部コモドの乙女はオケと合わせて明るく明瞭に表情を付けて、中間部ではテンポアップし晴れ間を見せる様なオケに跳ねる様に歌います。再現部も合わせて伸びやか明るさが伝わります。

第五楽章「春に酔える者」
提示部テノールは伸び伸びと歌い、広がりがあります。展開部二回目のテンポダウンではHrを中心に調性感の変化を感じさせてくれるのが嬉しいです。そうなると続く再現部が生きて来ますね。

第六楽章「告別」
提示部は重厚さを避けたスローで落ち着いたオケとアルト、次第にアルトの表現力が増して山場に繋げます。オケが常に美しい澄んだバックを受け持っているのも好感触ですね。管弦楽の中間部は、緩やかで穏やかな流れに陰影を自然に付けています。再現部も含めて ルートヴィヒとオケの美しい楽章になっていますね。


アルトは繊細で伸びやか、テノールはクリーンなハイトーンで広がりを効かせます。オケは抑えながら澄んだ音色で引き立てます。興奮や華飾を排して 落ち着いた心地よさの「大地の歌」ですね。
その中に流石のルートヴィヒの表現力があって、やっぱり好きな演奏です。





バーンスタイン / ウィーン・フィル
[バリトン] フィッシャー=ディースカウ, [テノール] ジェームス・キング




第一楽章「大地の哀愁に寄せる酒の歌」
入りのファンファーレから速めでテンションが高いです。オケもテノールもハイテンション、緩急はあっても戦闘的ですね。展開部管弦楽の印象が残りません。

第二楽章「秋に寂しき者」
バリトンは落ち着きはらっています。男性パートで聴くと歌詞の印象が異なって感じますね。ただ高音パートを柔らかく歌うのでオケとの緩徐バランスは悪くありません。展開部では光が差してくる様な流れを作っています。

第三楽章「青春について」
テノールの軽妙さには少し濃い味付けがあります。中間部でも味の濃さが表立っています。

第四楽章「美について」
導入コモドはゆったりと穏やかに歌い、中間部ではオケが華やかさを奏でてバリトンも生き生きと歌い上げます。テンポアップでの表情も面白いですね。流石はディースカウと言ったところでしょうか。

第五楽章「春に酔える者」
提示部テノールは適度なテンションで堂々と、展開部二回目のスローでの調性感の振りは弱めです。ここではテノールが落ち着きを見せましたね。

第六楽章「告別」
ゆったりとした提示部はまさにディースカウの真骨頂で素晴らしいですね。重厚さを避けて歌詞の一つ一つを丁寧に歌います。オケも尚更に丁寧な美しい演奏に聴こえてしまいますね。最高の楽章で一つの完成形では!


バリトンは優しさを湛え、テノールは少々くどめの対比です。オケも色付けが濃い演奏ですね。 役割(歌詞)と表現を明確にした「大地の歌」です。
何と言ってもフィッシャー=ディースカウの歌うマーラー、ここでも素晴らしい歌詞表現です。でも、この曲だけはバリトンよりもアルト(or Mez.)の方が好みです。




カラヤン盤とバーンスタイン(ディースカウ)盤の二枚はお気に入りなので、あえて載せてみました。特に ディースカウの歌う第六楽章の素晴らしさ、全体としたらルートヴィヒが歌うカラヤン盤という嗜好です。ワルター盤もいいので、そのうちにまた。



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カロル・ラートハウス(Karol Rathaus) の「交響曲 第1番, 最後のピエロ」を聴く | デッカ退廃音楽(DECCA Entartete Musik)シリーズ


カロル・ラートハウス
(Karol Rathaus, 1895/9/16 - 1954/11/21)
ウィーンでF.シュレーカーに学んだユダヤ系オーストリア人近現代音楽家ですね。旧オーストリア=ハンガリー帝国生まれで、ナチスに退廃音楽の烙印を押されてドイツ(ワイマール)から逃れパリ、ロンドン 最後はニューヨークで活動していました。
楽風は前衛ではなく、映画音楽も手がけて20世紀初頭の最後の後期ロマン派末裔でしょうか。


Sinfonie Nr. 1, Der letzte Pierrot
前回に続きデッカ退廃音楽(DECCA Entartete Musik)シリーズから、ラートハウス初期の修行時代の作品です。得意とする交響曲とバレエ音楽ですね。
演奏はイスラエル・イーノン(Israel Yinon)指揮、ベルリン・ドイツ交響楽団(Deutsches Symphonie-Orchester Berlin)です。






交響曲 第1番, Sinfonie Nr. 1 Op.5 (1922年)
二楽章形式です。幽玄な美しい旋律には若干の不協和音がありますが、所謂(いわゆる)現代音楽感はありませんね。少しクラスター的な管楽器の響きを重視している第一楽章、やや不安定な流れで緩徐的な第二楽章。現代音楽的イメージがあるとすれば、印象的な主題・動機といった明確さがない事でしょう。


最後のピエロ, Der letzte Pierrot Op.19 (1927年)
全三幕のバレエ音楽です。5年間での楽風変化は少なく、バレエ曲という事で単一楽器のソロ・パート表現が増えているのが特徴的でしょう。そしてそれが調性を強く感じさせて聴き易さを感じさせますね。当然表情変化も大きく取られているので展開感があり、こちらの方が楽しめると思います。ストラヴィンスキーの影響を取りざたされますが、従来音楽の延長線に感じられますね。

 ★ 試しにYouTubeで観てみる?
  第二楽章ピアノver.です。ピアノ・アレンジはラートハウス本人ですね。




時代背景(1920年代)は、無調から十二音技法が生まれてセリエルに向かう前衛黎明期でしょう。この時代のクラシック音楽らしく、多少の不協和音(調性拡張のための無調?)と象徴的な旋律を作らない流れです。もちろん前衛現代音楽とは無縁ですが、怪しげに聴こえるかもしれませんね。

前衛現代音楽の対抗がマニエリスム(調性回帰)だとすれば、そこにも入らず時代の折衷的象徴の感じですね。でもバレエ曲は悪くないので、中後期作品も聴いてみたくなりました。



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ベルトルト・ゴルトシュミット(Berthold Goldschmidt) の「The Concertos / 協奏曲集」を聴く


ベルトルト・ゴルトシュミット
(Berthold Goldschmidt, 1903/1/18 - 1996/10/17)
F.シュレーカーに学んだドイツ生まれユダヤ人現代音楽家で、第二次大戦中にナチスに退廃音楽の烙印を押されイギリスに亡命しました。BBCで活動をしましたが、その後作曲は止めて指揮者として活躍していましたね。
活動は三期に分かれるでしょうか。在ドイツ時代、イギリス亡命直後、1958年からの休止後1982年作曲活動再開後、ですね。


The Concertos
三つの協奏曲集で、いずれもイギリス亡命後の作品になりますね。デッカ退廃音楽(DECCA Entartete Musik) シリーズの一枚で、演奏者はヨーヨー・マやデュトア、また本人指揮あり、とヴァリエーション豊かです。






チェロ協奏曲, Cello Concerto (1953年)
民族音楽和声と調性感を薄める不協和音。ベースにあるのは新古典主義風ですが、ショスタコーヴィチやプロコフィエフを思わせる様な旋律も感じますね。第一楽章にはマーラーの様な動機もあって"引用"を使っているのでしょうか。とても不思議な音色ですが、四楽章という形式と表現も含めて前衛の吹き荒れるこの時代としては折衷的でしょうね。
演奏はYo-Yo Ma(vc), Charles Dutoit(cond.), Orchestre symphonique de Montreal, です。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?


クラリネット協奏曲, Clarinet Concerto (1953-54年)
ここでは調性感の薄さは同じですが民族和声やロシア色は少なく(第三楽章は別です)、後期ロマン派的穏やかな美しさを感じますね。調性を薄めた中にある独特の和声は共通していて、独自の音楽を確立させていた感じがしますね。一二楽章だけなら幽玄美を感じるこちらの方が好みです、でも第三楽章が控えていますからね。
演奏はSabine Meyer(cl), Yakov Kreizberg(cond.) ,Orchester der Komischen Oper, Berlin, です。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?


ヴァイオリン協奏曲, Violin Concerto (1952/55年)
楽風は変わりませんね、ソロ楽器が変わっただけでしょう。楽器の鳴りを生かしてはいますが、三曲の中で目新しい変化やヴァリエーションは見当たりません。あえて言えばこの曲が一番技巧的でしょうか。
演奏はChantal Juillet(vn), Berthold Goldschmidt(cond.), Philharmonia Orchestra, です。



この時代、現代音楽は前衛セリエル真っ盛りですからこの様な折衷的な音楽は表舞台に現れずらかったと感じます。
今の時代の方が聴きやすい受け入れ易いでしょうね。その後再評価されたのが1980年代というのも、前衛が多様性に入った時期と重なるのも納得できます。

とはいえ個性というより近現代ロシア的和声が鼻につく、そんな感じの音楽です。コンチェルトとしての特異性や個性はあまり感じられませんね。



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ザルツブルク音楽祭2018 チャイコフスキー 歌劇「スペードの女王」を NHKプレミアムシアターで観る

SALZBURGER FESTSPIELE 2018 "PIQUE DAME"、チャイコフスキーのオペラ『スペードの女王』ですね。プーシキン原作ですが、台本は弟モデスト・チャイコフスキーで大きく改変されています。


SALZBURGER-FESTSPIELE-2018-PIQUE-DAME.jpg
(写真はオフィシャルサイトより)


何にしても注目は演出のハンス・ノイエンフェルスでしょう。かの2011年のバイロイト音楽祭の『ネズミのローエングリン』で大センセーションを巻き起こしたのが記憶に残りますね。
エンディングも弄ってアヴァンギャルドになるでしょうか。今の時代の演出ですから期待は大ですね。
人気のマリス・ヤンソンス/VPOも楽しみです。



演出

18世紀末のロシアが舞台ですが時代設定は当然無視、前衛で予想通りの表現です。
プロローグでいきなり主人公二人が前振りで登場、夏の公園で遊ぶ子供達は檻に入れられ、女性達は首から大きな乳房をぶら下げる。女帝エカチェリーナII世は骸骨で登場、伯爵夫人は丸坊主で赤い靴、と要所でアヴァンギャルドです。でもエンディングも殊更は無く、要所だけでしたね。

第二幕の仮面舞踏会などは格好な表現の場と思いましたが、多少面白い出で立ち程度の気がしてしまいます。全員羊でも良かったのではw


舞台・衣装

黒い舞台に背景は時にプロジェクションマッピング、単純化された舞台道具。衣装はもちろん年代に関係ない現在のデザイナー作品でしょう。脇役は白や黒基本、各配役には赤や青、緑のビビッドな色使いがされています。シンプルそのもの。


配役

全員が十分に楽しませてくれたと思います。
男性陣、まずは全7場に登場するゲルマン役のジョヴァノヴィチですが、プロポーション的に顔がとても大きく 被り物でもしているみたいですw 演技は狂気も見せて熱演・熱唱でしたね。エレツキーのゴロヴァテンコ、トムスキーのスリムスキー、チェカリンスキー役クラベッツ、三人いずれもバランスの良い演技・見栄えで存在感は素晴らしかったですね。ポリフォニカルな多重唱もバランス良く歌われていました。

女性陣ではタイトルロール「スペードの女王」老伯爵夫人のシュヴァルツ75歳の存在感ですね。第二幕ではその老練さが見事さでした。リーザのムラヴィエワは伸びのある美しいソプラノで演技も良かったですが、少し余裕が欲しい印象を受けました。


音楽

抑えの効いた落ち着きとまとまりの良さを感じる演奏で、木管の鳴りが美しいのはウィーンフィルらしさでしょうか。



全体としてはノイエンフェルスらしい前衛性は控え目。フルに発揮されていたとは思えませんでした。ストーリー上の表現、ヴィジュアル表現ともに抑え気味で、どうせならもっとアヴァン・ギャルドな舞台を期待しますね。

素晴らしかったのはキャスト全員が見事で楽しめた事!!ですね。
シュヴァルツの坊主頭はズラでしたが、どうせなら本当に剃ってしまえば良かった様な…




<出 演>
ゲルマン:ブランドン・ジョヴァノヴィチ [Brandon Jovanovich]
エレツキー公爵:イゴール・ゴロヴァテンコ [Igor Golovatenko]
リーザ:エフゲニア・ムラヴィエワ [Evgenia Muraveva]
伯爵夫人:ハンナ・シュヴァルツ [Hanna Schwarz]
トムスキー伯爵/プルータス*:ヴラジスラフ・スリムスキー [Vladislav Sulimsky]
       (*第二幕劇中劇)
チェカリンスキー:アレクサンダー・クラベッツ [Alexander Kravets]


<合 唱> ウィーン国立歌劇場合唱団
     ザルツブルク音楽祭および劇場児童合唱団
<管弦楽> ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 [Wiener Philharmoniker]
<指 揮> マリス・ヤンソンス [Mariss Jansons]
<演 出> ハンス・ノイエンフェルス [Hans Neuenfels]


収録:2018年8月2・10・13日 ザルツブルク祝祭大劇場(オーストリア)




(公式Trailer:ノイエンフィルスのインタビューも入っています)



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