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バーバラ・ハンニガン(Barbara Hannigan) の『VIENNA FIN DE SIÈCLE, ウィーン世紀末』を聴く


VIENNA FIN DE SIÈCLE
バーバラ・ハンニガン (Barbara Hannigan)
前作「CRAZY GIRL CRAZY」ではベリオ/ベルク/ガーシュインを取り上げて、かつ指揮もこなしたハンニガン。前衛を得意とするソプラノ歌手であり指揮者であり、注目の一人ですね。

今回は19世紀末の音楽を『ウィーン世紀末』と題したタイトルで、シェーンベルク/ヴェーベルン/ベルク/ツェムリンスキー/アルマ・マーラー/ヴォルフ の歌曲(抜粋含む)をピアノ伴奏でまとめています。始めの三人は言わずと知れた新ウィーン楽派、ツェムリンスキーとアルマ・シントラーは元恋人?で師弟関係、ヴォルフは後期ロマン派の歌曲家です。どの様な流れになるのか楽しみですね。
ピアノは現代音楽を得意とするラインベルト・デ・レーウ(Reinbert de Leeuw)になります。

国内発売元は『ウィーン世紀末、6人の作曲家~アルマ・マーラーのまわりで』とアルマ・マーラーで売ろうとしていますがw







アルノルト・シェーンベルク
(Arnold Schönberg, 1874/9/13 - 1951/7/13)
今更のシェーンベルクですから紹介は割愛ですが、ツェムリンスキーに師事していて共にマーラー家で音楽論を戦わせていたそうです。このアルバムの人間模様絡みかもしれませんね。今回は無調になる前、後期ロマン派時代の「四つの歌曲」になります。

Vier Lieder Op. 2 (1899年)
 作品番号は#2ですが早くも調性の薄さを覗かせた後期ロマン派作品で独特の美しさが感じられますね。ハンニガンの声も伸びよく響き、特に情感が響きますね。一曲目「Erwartung」の和声が素晴らしいです。




アントン・ヴェーベルン
(Anton Webern, 1883/12/3 - 1945/9/15)
もちろん紹介は割愛ですねw ブーレーズによる「Complete Webern」で全曲インプレ済みです。

Fünf Lieder nach Gedichten von Richard Dehmel Op.5 (1908年)
 ヴェーベルン初期作品ですが、この曲から無調を使い始めていますね。無調なのですが、前出のシェーンベルクの調性感を一歩進めた美しさです。無調なのにこの美しい旋律は今更ながらにヴェーベルンの音楽の先進性に驚いてしまいますね。例によって点描的なpfと音の跳躍、それに寄り添って流れるソプラノ、ヴェーベルンらしさ全開ですね。
pfのレーウが光ります。




アルバン・ベルク
(Alban Berg, 1885/2/9 - 1935/12/24)
これまた紹介は割愛です。超代表曲「ヴァイオリン協奏曲」には副題?として『ある天使の思い出に, Dem Andenken eines Engels』とあり、ご存知の通りアルマの(マーラーの死後)2番目の夫ヴァルター・グロピウスとの娘で、亡くなったマノン・グロピウスの為に書かれています。(ハンニガンは前作でもベルクの未完成のオペラ「ルル」を取り上げていますが、未完成に終わったのは途中でヴァイオリン協奏曲に取り掛かったからですね)

Sieben Frühe Lieder (1907年)
 「七つの初期歌曲」からですが、ここでも既にベルクらしい無調ながら旋律感のある流れが味わえます。新ウィーン楽派三人の初期の歌曲がいずれも美しい事が明確にわかりますね。調性感はシェーンベルクとベルクの中間くらいの印象ですが、朗々と歌い上げるのはこの後オペラを得意としたベルクならではでしょうか。




アレクサンダー・ツェムリンスキー
(Alexander Zemlinsky, 1871/10/14 - 1942/3/15)
晩年には調性感の薄い作品もある様ですが、基本的にはマーラーやR.シュトラウス達と同じ立ち位置の後期ロマン派ですね。今まで代表作の「フィレンツェの悲劇」「人魚姫」をインプレしていますが、現代音楽家一覧には入れていません。アルマ・シントラーがマーラーと結婚する前に師弟関係にありました。

Liederen Op.2, 5, 7 (1896, 1897, 1899年)
 多少の不協和音は一部感じらるもののパート構成もしっかりとしてバリバリ濃厚な後期ロマン派の歌曲ですね。処々で古典的な印象さえ感じます。面白みには欠けるかもしれません。




アルマ・マーラー
(Alma Mahler, 1879/8/31 – 1964/12/11)
アルマ・シンドラーとしてツェムリンスキーに師事して小曲16歌曲(インプレ済みです)を残しています。アルマは作曲技法にも明るく、読譜も見事だったそうですが残っているのが歌曲の小曲だけなのが残念ですね。

Die Stille Stadt, Laue Sommernacht, Ich Wandle Unter Blumen, Licht In Der Nacht* (1910, 1915年*)
 不協和音を交えた美しい楽曲で、師のツェムリンスキーより面白いですね。適度な興奮と抑揚のアゴーギクがあり、表現主義らしき印象も感じられますね。伴奏pfのコントラストも、ホモフォニーを超える事はありませんが良い流れです。
(作品年はいずれもスコアの出版年ですね、多分)




フーゴ・ヴォルフ
(Hugo Wolf, 1860/3/13 - 1903/2/22)
オーストリアの後期ロマン派、歌曲を得意としていて、43歳で狂気に襲われて死亡しています。著名詩人の作品を元に歌曲を作っていて「ゲーテの詩による歌曲集」は代表作の一つですね。

Mignon Lieder Nach Gedichte von Goethe (1888年)
 情感の高い機能和声の歌曲です。デクラマチオーン(劇的朗読法)と言われるヴォルフの歌曲はまさに劇場的で、感情移入の波が特徴的です。ただ和声は旧態然でキッチリしているので息苦しい感じがするかもしれません。




後期ロマン派終焉から現代音楽黎明期に入る時代の作品ですね。そんな時代変化を感じられる楽曲が並びました。殆どが3'台以下の小曲なのでキャラクターがわかりやすいです。前衛性が強い順に以下ですね。

ヴェーベルン - ベルク - シェーンベルク - アルマ - ツェムリンスキー = ヴォルフ

ハンニガンのソプラノは特筆するレベルではないとは思うのですが、硬派の声と感情表現の良さが好きです。全曲英訳付きですから歌詞を見ながら聴けるのが嬉しいですね。

この一枚で前衛に向かう時代変化が歌曲で楽しめます。なぜか新ウィーン楽派三人の楽曲が澄んだ美しさを感じます。個人的にはヴェーベルンがオススメですね。




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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。





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