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フェルッチョ・ブゾーニの歌劇「トゥーランドット」を聴く


Ferruccio Busoni (Ferruccio Busoni, 1866/4/1 - 1924/7/27)
ヴィルトゥオーゾ・ピアニストにして現代音楽の黎明期まで生きた近代音楽家ですね。どうしてもピアノ曲が浮かびますが、その弟子に米現代音楽のエドガー・ヴァレーズやオットー・レーニング、欧州前衛のクルト・ヴァイルがいる事で先進性がわかります。楽曲変化は常に楽しさが感じられて好きですね。(以前もインプレで書いていますので詳細割愛です)

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Turandot
ブゾーニはオペラも四作書いていて代表作は「ファウスト博士」です。「トゥーランドット」といえばプッチーニですが、原作はイタリアの劇作家カルロ・ゴッツィによる戯曲でブゾーニの他にも多くの作品が20世紀初頭までに書かれています。ブゾーニのトゥーランドットの方がプッチーニ(1926年)より早く、1917年にチューリッヒで本人指揮で初演されています。
という事で基本ストーリーは知られたプッチーニと同じなので楽に聴けますね。ただ以下の主な違いがあります。
1. リューではなくトゥーランドットの奴隷アデルマ、かつては王女でカラフを愛していた。従ってカラフの父王ティムールは登場しない。
2. トゥーランドットの三つの質問も違い、答えは「希望」「血潮」「トゥーランドット」ではなく「理性」「習慣」「芸術」。
3. リューはカラフの身の上を教えず自害するが、アデルマは自分の自由の身を条件にカラフの身分を明かす。(二人他の地で生きようとする)



(所有はfoyer旧盤で日本語対訳付きです)

Turandot (1917年)
二幕四場構成、約1時間15分になります。(プッチーニは三幕、約2時間)
ベースは新古典主義的で現代音楽的な聴き辛さはありませんw O, o, o, o! などは喜劇的な要素を含めながらバックグラウンドでは僅かですが不協和音を見せるパートもあります。また中華風(アラビア風?)の旋律も採用されて、美しい緩徐や華やかさを交えてとバリエーションも備えていますね。第二幕冒頭の英音楽「グリーン・スリーブス」引用が何を意味しているのかは不明ですが。(トゥーランドットが負けた後にシーンです)
歌唱パートでは少しコメディー風の様子が強調されて楽しさがあり、トゥーランドットの登場シーンは表情が豊かです。ピン・パン・ポンが出てこないのは残念w?!

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  前置きが5'と長いですが、全編観られます。



現代音楽的な不安定要素は全くなく、表情豊かな演奏と歌唱パートは流石のブゾーニです。派手なプッチーニ版よりもコンパクト、ストレートに楽しめる気がしますね。

1959年録音でmonoですが音はよく、十分に楽しめます。






テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

クラウス・シュテファン・マーンコプフ(Claus-Steffen Mahnkopf) の「void」を聴く


クラウス・シュテファン・マーンコプフ (Claus-Steffen Mahnkopf, 1962/10/22 - )
過去インプレで紹介済みですが「ポスト・ファーニホウ」や「新しい複雑性」として紹介される現代音楽家マーンコップ、最近では音楽理論やその分野のエッセイでの活躍も増えている様ですね。
以前の音列配置や即興といった楽風から、静音の中に発生する強音といったコントラストを表現する方向性になっています。今の時代の一つの方向性の気がしますね。

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void
『空間・虚無』21世紀に入っての作品で大編成オケとテープの為の音楽で代表作の一つになるでしょう。マーンコプフの「新しい複雑性」は演奏表現上の超絶技巧性というより読譜難解スコアなのですが、ここではスコアも極端な難解性が減っている様ですね。



humanized void, for large orchestra (2003-2007年)
ローランド・クルティヒ(Roland Kluttig)指揮, バイエルン放送交響楽団
静音と強音の渦巻く流れでビッグ・オケですが耳をつん裂く様な大音響はありません。もちろん旋律の存在は薄く無調の音の世界で、基本の流れはスローで緊張感が漂います。音数は少なくないですがノイズや即興的ではなくカオス風空間音響系?!の気配ですね。
楽風変化の一つは時折現れる旋律に調性感がある事でしょう。これも今の時代の"多様性"の流れですね。

void - kol ischa asirit, for large orchestra (2010-2012年)
ルパート・フーバー(Rupert Huber)指揮, SWRシュトゥットガト放送交響楽団
静音と強音ですが、ここでは長い静の中に衝撃音の強音がガツンと入ります。静音は音の流れだけで旋律感はなく、強音は単発的パルスですね。その間を縫って短い旋律が時折顔を出します。極端な方向性になって来ていますね。コーダは強音の即興的カオスを入れて、ラストは静音で納めます。

void - mal d'archive, for eight-track tape (2002-2003年)
ExperimentalStudio des SWR制作
2001から2005年までマーンコプフが在籍した名前の通りの南西ドイツ放送(SWR)電子音楽の実験スタジオでの作品で、8トラック・テープの電子音楽です。
ノイズ系ですね。ホワイトノイズはわかりますが、その他になんらかのサンプリングも入っているのですがわかりません。旋律はサンプリングから作っているとは思おうのですが。まぁいかにも前衛といった感じで、嫌いじゃありませんね。^^
ちなみにこの曲のスコアはライナーノートにありませんでした。

静と強の組合せですが、共存カオスからより極端な対比になって来ていますね。題名からも空間音響に近づいていっているのでしょうか。
欧州前衛現代音楽を楽しめる一枚ですね。




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テーマ : クラシック
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2018年6月20日 マルク=アンドレ(マルカンドレ)・アムランのピアノ・リサイタル at ヤマハホール

東京は雨空ですが銀座のヤマハホールへ行ってきました。

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10年ほど前には毎年の様に来日していたM.A.アムラン(Marc-André Hamelin)ですが、久しぶりに見たら髪が薄くなってややふっくら、老けた印象でした。



J.ハイドン/ピアノ・ソナタ 第48番(第58番) ハ長調 Hob.XVI:48, Op.89

二楽章の小曲ですが第二楽章でしょう。ただアゴーギクが強く、主題の反復が多い流れに抑揚が強く感じられてアムランらしからぬ印象を受けました。


S.フェインベルク/ピアノ・ソナタ 第2番 イ短調 Op.2 (1916年)
ピアノ・ソナタ 第1番 イ長調 Op.1 (1915年)

今回唯一現代音楽時代のソ連の作曲家サムイル・フェインベルク(Samuil Feinberg, 1890/5/26 - 1962/10/22)の作風は調性は怪しげながら機能和声からの脱却はありません。その辺りがアムラン好みで、楽しみな演奏になります。二曲とも単一楽章で10'に満たない小曲です。ピアノ・ソナタは全12曲あり、最後の12番は亡くなった1962年の作品になりますね。
やっぱりここでアムランらしさが楽しめましたね。アゴーギクを抑えて速さや音数の多さを物ともせずに音の粒立ちを明瞭に聴かせてくれました。曲調と合わせてクールなヴィルトォーゾの本領発揮だったと思います。


L.v.ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ 第23番「熱情」ヘ短調 Op.57

言わずと知れたベートーヴェンの傑作「アパッショナータ, Appassionata」ですが、アムランは情熱をピアノの鳴りと見事な運指で披露してくれましたね。この曲がこんなに超絶技巧曲に感じたのは初めてでした。少し技巧強調の感も残るアパッショナータでしたが。


R.シューマン/幻想曲 ハ長調 Op.17

休憩後は一転してロマン派展開の代表曲を感情を込めての演奏でした。多分この曲が今日のベストでしょう。ただディナーミクもアゴーギクも効かせて朗々バリバリの気配。なんだか堅苦しさを感じてしまいました。この辺りから今回のコンサートに少し違和感が...


アンコール

予定アンコール四曲がありました。ドビュッシーも二曲やってくれましたが、以前ドビュッシーの聴き比べでも書いた通り少し違う気がしましたね。CDと似てやけにソフトかと思うと一方で技巧性で唸らせる。何かしっくり来ない様に思うのですが。
それだったらアムラン本人が委嘱曲として書いたと言っていた一曲目のアンコール曲の方が良かったですね。フェインベルクと少し似て、速い指遣いの中に緩いメロディが存在してヴィルトゥオーゾ的でした。
(追記:アンコール曲は以下。ヤマハホールfbより)
・マルク=アンドレ・アムラン/Toccata on l'homme armé
・C.ドビュッシー/水の反映
・C.ドビュッシー/花火
・R.シューマン/森の情景よりOp.82-9 別れ



以前のように素直に楽しめなかった気がします。何故だかはうまく説明出来ないのですが、技巧性がやけに全面に感じられてお腹いっぱい感が強いです。
ピアノの鳴りも素晴らしかったので、コンサートでは力強い表現のアムランに変わりない事はわかっているのですが。アンコールも四曲目になると、もういいなか的な感じがしました。

【参考】過去来日印象だけでなくライヴCDの「Live at Wigmore Hall」でもコンサートではセッション録音CDのクールさとは違い強鍵ヴィルトゥオーゾ押出しである事はわかります。



もう一つ。シューマンの幻想曲の時にアラーム時計の音が。それも一回二回ではなく。
最後にはひどいフライング拍手をした人も。なんだか残念な気分で帰宅の途に着きました。



テーマ : クラシック
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マグヌス・リンドベルイ(Magnus Lindberg) の「Al Largo・Cello Concerto No.2・Era」を聴く


マグヌス・リンドベルイ (Magnus Lindberg, 1958/6/27 - )
フィンランドの現代音楽家で、シベリウス音楽院でE.ラウタヴァーラやP.ハイニネンに習っています。北欧系の現代音楽家はそのまま作曲活動に入る事で独特な音楽感を作る事が多いですね。しかしM.リンドベルイはその間も夏期講習会のシエーナでF.ドナトーニ、ダルムシュタットではB.ファーニホウに師事しています。卒業後は渡欧して仏でG.グリゼーに習い、独では和太鼓やパンクロックにも興味を示していますね。今や昔の話になっていますがw
近年は前衛離反、機能和声への転換方向で商業的な臭いが強くなっているのが残念です。

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Al Largo・Cello Concerto No.2・Era
2010年代に入っての新しい管弦楽作品集で「Al Largo」はニューヨーク・フィル"Composer-in-residence"時代の作品、「Cello Concerto No.2」はロサンゼルス・フィル、「Era」はロイヤル・コンセルトヘボウ管の委嘱作品になり、人気の証拠ですね。それが良いかは別にして…ですが…
演奏はハンヌ・リントゥ(Hannu Lintu)指揮、フィンランド放送響(Finnish Radio SO)です。



Al largo (2009-10年)
抑揚の強い調性の管弦楽で、派手な新古典主義的?です。以前の様な調性の薄さは全く無くなりました。まさに米オケが委嘱したり好んで取り上げそうな退屈な楽曲です。

Cello Concerto No.2 (2013年)
チェリストはアンッシ・カルットゥネン(Anssi Karttunen)です。その音色に若干の不協和音的なニュアンスは残し、北欧風の澄んだオケが広がります。欧前衛ではなくて所謂(いわゆる)北欧の現代音楽の印象になりますね。良いのですがなぜ今更といった感も残ります。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  CDと同メンバーによるライヴですね。


Era (2012年)
再びメリハリのある機能和声のフィルム・ミュージック的サウンドです。いかにも的な明瞭な旋律、演奏時間も20分程度と委嘱に応えるところが人気の元でしょうか。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  好きな指揮者John Storgåds、BBC Symphony Orchestraの演奏です。
  こちらの方がより彫りが深い感じですね。


前回紹介した1990年代の管弦楽集から、更に機能和声方向になっている感じです。「Cello Concerto No.2」には北欧らしい調性の薄さを生かした広がりのある方向も感じられ、派手さを打出したフィルム・ミュージックやマニエリスムなクラシカル音楽の姿になってしまった方向性よりは好みですが。
作曲技法のいかんを問わず中途半端感はぬぐえません。

SACDで音の定位や広がりは素晴らしいのでオーディオ好きの方には向いている感じです。




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オルガ・ノイヴィルト(Olga Neuwirth) の「Akroate Hadal・他 Chamber Music」をアルディッティ・クァルテットとN.ハッジスのピアノで聴く


オルガ・ノイヴィルト (Olga Neuwirth, 1968/8/4 - )
オーストリアの女性現代音楽家でウィーンやサンフランシスコで学んでいますが、何と言ってもIRCAMで電子音楽や音響系を学んでいる事でしょう。その際にトリスタン・ミュライユに師事している事を考慮すれば音楽のスタイルは想定できますね。ノーノとの政治的スタンスについてはコメントできませんが。
室内楽を得意としていますが、近年はより大編成化した音楽やオペラ等のステージ音楽にも傾倒してインスタレーション系のアプローチもある様です。


Chamber Music
1990年代後半の室内楽集になります。
このCDの素晴らしさの一つは演奏メンバーでしょう。Arditti Quartet, ピアノは現代音楽を得意とするお馴染みニコラス・ハッジス(Nicolas Hodges), ヴィオラ・ダモーレは元A.Q.のガース・ノックス(Garth Knox), ヴァイオリンのソロはA.Q.リーダーのアーヴィン・アルディッティ(Irvine Arditti)と豪華です。



Akroate Hadal (1995年), for string quartet
弦楽の前衛ノイズ系ですねバリバリの。特殊奏法も含めてギィギィギギギ、ですw もちろん"間"を生かしたり、パルス的炸裂音であったり、切れる様であったりと表情変化させています。キレキレでアルディッティが好きそう。

Quasare/Pulsare (1995-96年), for violin & piano
ホワイト・ノイズの様な弦、打音、切れ上がるvnに走るpf、それぞれがカオスに塊り、そして離れます。緊張感がありますねぇ。無調混沌の欧前衛らしさ炸裂ですね。サンプリングやテープ等の電子処理に関しては不明です。

 ★ 試しにYouTubeで聴いてみる?

... ?risonanze!... (1996-97年), for viola d'amore
バロック時代の古楽器ヴィオラ・ダモーレ(viola d'amore)のソロ曲です。古楽器ですが特殊奏法を駆使するので面白い響きがあります。ノイズだけでなく、この楽器が持つ共鳴弦をうまく生かした響きを多く取り入れていますね。面白いです。

...ad auras...in memoriam H. (1999年), for 2 violins & wooden drum ad libitum
木製打楽器のアドリブが入るヴァイオリンDuo曲です。小さな羽虫が飛んでいる様な音や耳鳴りの様な音をベースに、パルス的にシャープで奇妙な2vnの短旋律がロンドの様に絡んで入ります。そこに打楽器がリズムを合わせて来る面白さです。パートの再現もあって、ただのカオスから様式・構成の面白さになっています。

incidendo/fluido (2000年), for piano & CD player
技巧系のピアノ曲です。終始技巧的なpfの背後にハムノイズ的な音が控えています。それがピアノの中に配置されたCDプレイヤーからのオンド・マルトノの音です。ただプリペイド・ピアノの様な音色はないので具体的な置場所は不明です。ニコラス・ホッジスの技巧が楽しめるのもポイントでしょう。

settori (1999年), for string quartet
一曲目に近いですが、楽器間でのホモフォニー的な要素が感じられます。様式回帰もノイヴィルトの推移の一つの方向性と思いますが、前衛全体としても多様性化の流れがあるので時代の潮流なのでしょうね。

 ★ 試しにYouTubeで観てみる?
  Ivana Jasava (vn), Aija Reke (vn), Samuel Kelder (va), Stephen Marotto (vc), の演奏です。Arditti Quartetに比べるとおとなしい静方向の演奏です。


前衛ノイズ系ベースに緊張感と技巧、静と烈、といった対比を見せるカオスです。空間的な"間"も感じられ、これぞ欧エクスペリメンタリズム現代音楽の楽しみでしょう。"わけのわかんない"現代音楽を王道で聴いてみたい人にもオススメ!?

最近の楽風はさらに変化しているので、そのうちインプレしないといけませんね。




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ヘスス・トレス(Jesús Torres) の「Manantial de luz」を聴く


ヘスス・トレス (Jesús Torres, 1965/7/15 - )
スペイン人現代音楽家でマドリード音楽院に学び、作曲はフランシスコ・ゲレーロ・マリン(Francisco Guerrero Marín)に師事していますね。100を超える作品を持つ多作家で、60の管弦楽曲の他 様々な室内楽曲を書いています。テキストを用いる作品では同国の詩人ビセンテ・アレイクサンドレ(Vicente Aleixandre)の詩を元にする事が多いそうです。
多くの委嘱を受けていて、楽風は微分音や倍音を使ったポリフォニカルでノイジーな音という事ですが。


Manantial de luz
21世紀に入っての室内楽曲集でTrio Arbós(pf, vn, vc)を中心にフルート、クラリネット、ヴィオラ、パーカッションを曲により入れていますね。



Manantial de luz (2007年), for piano soloist. Flute, clarinet, percussion, violin, viola and cello
I. Onírico - II. Inmaterial, suspendido - III. Torrencial, inundado de luz - IV. Íntimo, con dulzura - V. Vivo, con absoluta precisión - VI. Intensamente damrático
調性ベースの楽曲です。静音スロー中心に対極に速い流れでホモフォニー的な流れを配しています。そこに特徴的な緊迫感と緊張感が張り詰めていますね。調性感の低いスローに対して、速い流れの時は明瞭な旋律と反復が強いです。

Poética (2007年), for clarinet, violin, cello and piano
I. Dedicatoria (sobre un poema de Novalis) - II. Visión (sobre un poema de Friedrich Hölderlin) - III. Los amantes (sobre un poema de Rainer Maria Rilke) - IV. Canto nocturno (sobre un poema de Georg Trakl) - V. Fuga de la muerte (sobre un poema de Paul Celan)
曲別にある通りドイツの詩人5人の詩を元にした作品でピアノトリオ+クラリネットです。クラの音色がスローパートで幽玄さを奏で、その音を元にした倍音構成の響も感じられますね。ここでもスロー静&ファスト強が基本で、強音パートにはポリフォニー的な構成も明確です。(ショートパートですが)

 ★ 試しにYouTubeで観てみる?
  全曲ではありません。


Trío (2001年), for violin, cello, and piano
この中では一番古い作品で、調性がより薄くスローとファストの組合せが混在的になります。その分ポリフォニー的な強音パートの印象が強くなって即興的な無調曲になりますね。個性は近年の方が強く、類型を見つけられそうな現代音楽の気がします。

Presencias (2002年), for piano
Liturgia - J.C. - Perspectivas - Yakarta
上記"Trío"の一年後の作品で同じ流れのピアノ・ソロになります。悪くありませんが、やや没個性的な現代音楽でしょうか。

Decem (2006年), for violin, cello and piano
ピアノ・トリオ3'の小曲で調性感が明確です。速い流れでラウド、スローパートがないのはイマイチで残念です。

後年の一・二曲目は前衛的流れから機能和声方向が強まって個性が際立つ様になり、そちらが面白いですね。スローvsファストの対比が基本ですが、音数の少ない静的な中に存在する緊張感は美しく今の時代のクラシック音楽です。コンサートで聴きたいですね。

根底に反復・変奏があり欧ポスト・ミニマルと言ったら言い過ぎでしょうか。




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ザルツブルク復活祭音楽祭2018 歌劇「トスカ」をNHKプレミアムシアターで観る

人気のハルテロス(トスカ)、アントネンコ(カヴァラドッシ)、テジエ(スカルピア)、というお気に入りが並んだ今年のザルツブルク復活祭音楽祭の『トスカ』が観られるとは本当に良い時代ですね。

tosca2018.jpg
(写真はweb上からお借りしました)


演出

シュトゥルミンガーによる新演出ですが、舞台を大きく使って現代に時代を移す今では標準的表現ですね。特異性はラストに待っていますが。
演出者がストーリーに手を加えてしまうのは今やお馴染み、スカルピアは第二幕でトスカに刺されて死ぬのですが、ここでは生き残ってラストで銃でトスカを撃ち殺します。(その時トスカも銃を持っていて撃ち合い、スカルピアだけ生き残る様です)
ラスト前のカヴァラドッシ銃殺が子供達の手によるというのはどうかと思いますが…


舞台・衣装

舞台は派手な大道具類が配置されます。時代背景は現代で、衣装も今の時代の様相ですね。


配役

トスカのA.ハルテロス、高音の延びはやっぱり素晴らしいですね。艶やかというよりも切れ味の良さを感じます。カヴァラドッシのA.アントネンコはスピント・テノールらしい情熱的な歌声が光り、この二人の声の絡みは素晴らしかったですね。今回一番のアリアはアントネンコの「星はきらめき」だと思いました。
スカルピア役のL.テジエのバリトンはテノールの様な艶やかさを感じます。第一幕ラストのソロや第二幕のトスカとのやりとりは光りました。とは言え少し太りましたかね。


音楽

個人的に印象の良くないティーレマンですが、例によって濃くて派手な音作りを感じました。シュターツカペレ・ドレスデン、ドレスデン国立管弦楽団というのはピンときません、も良い音色を奏でたと思います。


ハルテロス(トスカ)、アントネンコ(カヴァラドッシ)、テジエ(スカルピア)三人の歌声が見事にマッチして、三者三様の情熱的役柄を絡ませてくれました。
最後に待っていたどんでん返しは今やこの手の演出がないと物足りない感があるかもしれません。保守本流志向の方には変な方向に行っているかも?!


<出 演>
トスカ:アニヤ・ハルテロス [Anja Harteros]
カヴァラドッシ:アレクサンドルス・アントネンコ [Aleksandr Antonenko]
スカルピア男爵:リュドヴィク・テジエ [Ludovic Tézier]
 アンジェロッティ:アンドレア・マストローニ [Andrea Mastroni]
 スポレッタ:ミケルディ・アトクサンダバーソ [Mikeldi Atxalandabaso]
 堂守:マッテオ・ペイローネ [Matteo Peirone]

<合 唱> ザルツブルク・バッハ合唱団
ザルツブルク音楽祭および劇場児童合唱団
<管弦楽> ドレスデン国立管弦楽団 [Sächsische Staatskapelle Dresden]
<指 揮> クリスティアン・ティーレマン [Christian Thielemann]
<演 出> ミヒャエル・シュトゥルミンガー [Michael Sturminger]


収録:2018年3月21・24日、4月2日 ザルツブルク祝祭大劇場(オーストリア)


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ジャンル : 音楽

ハンス・ヴェルナー・ヘンツェ(Hans Werner Henze)の Sebastian im traum を聴く


ハンス・ヴェルナー・ヘンツェ (Hans Werner Henze, 1926/7/1 - 2012/10/27)
折衷中道的現代音楽家のH.W.ヘンツェの初期は音列技法的、中期で無調混沌風に、後期は静的に研ぎ澄まされる、いずれも機能和声をベースにするといった印象です。そしてオペラの印象ですね。


Mahler symphony no.6/Sebastian im traum
見ての通り、M.ヤンソンス/RCOのマーラー交響曲第6番の二枚組みCDの残り時間合わせに入っていました。(笑)
でも世界初演初録音(2005年12月22,23日)ですし、インプレしない理由はありませんね。



Sebastian im traum (The Dream of Sebastian, 2003-04年)
I.♩=circa 80, II.Ruhig fliessend, III.♩=66
オーストリアの詩人ゲオルク・トラークル(Georg Trakl)の詩を元にした曲です。調性感のある中に不安感や幻想的な印象を作っていますね。例によって無調ではありませんが調性が整っているわけでもありません。静的な中にクラスター的混沌が現れるのは中後期の特徴で、所々でバレエ曲風な印象があるのも同様でしょう。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?

適度に怪しげな調性に不明瞭な旋律、現代音楽の衣をまとった今の時代のクラシック音楽ですね。
バルトーク辺りと伍すくらいコンサートで取り上げられても良いと思うのですが。

マーラーの第6番も好演ですから、購入して損のないアルバムです。




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プロフィール

kokoton

Author:kokoton
.
    



後期ロマン派以降、現代音楽とマーラー交響曲(#5, #6, #9)を中心に楽しんでいます。


[2017年12月9日]
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。




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