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クルト・ヴァイル(Kurt Weill) の「交響曲 第一番・第二番」をデ・ワールト/ゲヴァントハウス管で


クルト・ヴァイル (Kurt Weill, 1900/3/2 - 1950/4/3 )
ユダヤ人音楽家ヴァイルは20歳でフェルッチョ・ブゾーニに師事している事やマーラーやストラヴィンスキーに影響を受けている事からもわかる通り、近代音楽からの流れであり(前衛)現代音楽ではありません。
1920年代後半からは「三文オペラ」の成功と共に劇音楽で人気を博します。しかしナチス迫害から逃れるためパリ、そしてニューヨークへ移り米ミュージカル作品を作っていますね。
ジャズのスタンダード「マック・ザ・ナイフ」は三文オペラからの曲ですし、トム・ウェイツやデヴィッド・ボウイもヴァイルの影響を受けていると言われています。


Symphonies Nos.1 & 2
交響曲第1番はブゾーニ師事時代の初期作品、交響曲第2番はパリ亡命中の作品になります。ヴァイルが作った交響曲はこの二曲ですね。
演奏は個人的には好みの指揮者エド・デ・ワールト(Edo de Waart)、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管の注目盤です。







■ 交響曲第1番 (1921年)
一楽章形式で25'ほどの曲です。調性感は薄く 音の飛躍が認められるので所謂(いわゆる)現代音楽風に感じます。奏法等に特異性はなく前衛ではありませんが、その辺りがヴァイルの初期作品らしさでしょう。中間部もしくは展開部では美しさが感じられますね。
マーラーっぽい旋律とストラヴィンスキー的和声、それを調性を薄めて時代を一歩踏み込んだ流れにしています。その不安定さが好みですね。コンサートでも楽しめそうな感じです。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?

■ 交響曲第2番 (1933年)
三楽章形式になります。第一楽章(Sostenuto - Allegro molto)、アレグロ的な流れは第1番でも感じましたが違いは調性感が強まってきる事でしょう。でも独特な不安定感は生きていますね。
第二楽章(Largo)は緩徐楽章です。方向性は同じで第1番でも感じた美しい流れが明確に機能和声への回帰を見せます。
第三楽章(allegro vivace)は文字通り小気味好い軽快さとヴァイルの切れ味が同居しています。この楽章にその後の劇音楽的な流れを一番感じますね。


初期の第1番は1921年らしい時代の流れ『調性からの脱却』を感じられてイイですね。おすすめです!
第2番はより調性への回帰を感じさせていて、ヴァイルらしい管弦楽曲として最後の作品になったのが残念です。
コントラストの良さはデ・ワールトの手腕も一役買っているかもしれませんね。




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テーマ : クラシック
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アレクサンドル・クナイフェル (Alexander Knaifel) の Chapter Eight / Make Me Drunk With Your Kisses を聴く


アレクサンドル・クナイフェル (Alexander Knaifel, 1943/11/28 - )
旧ソ連の前衛音楽家としてグバイドゥーリナ、シルヴェストロフ、シュニトケらとキャリアをスタートさせましたが、1990年代以降大きく方向変換して宗教を背景にした作品を作っていますね。また多くのフィルム・ミュージックも手がけています。
チェロをムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(Mstislav Rostropovich)に師事していて、本作品でもフィーチャーしています。


Chapter Eight / Make Me Drunk With Your Kisses (1993年)
Chapter Eight はチェロとコーラスの曲です。
歌詞は旧約聖書の最終章、The song of songs (The song of Solomon) の引用で、ヘブライ・ユダヤ共に愛の歌ですが、キリスト教では教会とキリストの関係を歌ったそうです。興味のある方はググってくださいね。本質の理解が難しい宗教系には深入りしません。
歌詞はライナーノートに乗っています。(英文あり)



■ "Who is this coming up from the wilderness" ■ "O that you were like a brother to me" ■ "Make haste, my beloved" ■ "You who dwell in the gardens" ■ "Set me as a seal upon your heart" ■ "His left hand is under my head"

賛美歌ですね。チェロはオブリガートで暗いトーン、しゃしゃり出る事は無く口数少なくです。通して曲調は変化に乏しくアタッカ?で繋がっていて、静かにこうべを垂れて聴くといったらわかってもられるでしょうか。"愛の歌"からイメージする様な情感は存在しませんね。
録音もワシントン大聖堂(Washington National Cathedral)で行われて、神聖な響きそのものです。

唯一"Set me as a seal upon your heart"だけはチェロの現代曲パートが存在します。3'ほどの短いパートですが、細い音色でA.ペルトを調性を薄くした様な感じです。

完全な教会音楽、賛美歌です。従ってヴォーカルは基本同一声部のモノフォニー、伴奏的にチェロが入ります。静的で美しい流れ以外の本質は宗教心がないので把握できません、残念ながら。




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テーマ : クラシック
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カレヴィ・アホ (Kalevi Aho) の Concerto for soprano saxophone, Quintet for winds and piano を聴く


カレヴィ・アホ (Kalevi Aho, 1949/3/9 - )
現在のフィンランドを代表する現代音楽家ですね。毎年新譜がリリースされていますね。シベリウス音楽院で習い、北欧独特の多様性で交響曲も含めて協奏曲的に主役楽器を入れた音楽が得意ですね。もちろん前衛でもマニエリスムでもありません。


Concerto for soprano saxophone
Quintet for winds and piano
今回はソプラノサックス協奏曲と室内楽、そして少し古いヴァイオリンソロ曲になりますね。
指揮者は個人的に興味の尽きないヨン・ストルゴールズです。



Concerto for Soprano Saxophone and Chamber Orchestra (2014-15年)
 Chamber Orchestra of Lapland / Anders Paulsson (soprano sax.) / John Storgårds (cond.)
三楽章形式の協奏曲です。一楽章の長い序奏は和楽器の雅楽の様な音色で、その後不協和音と調性感のあるアホの流れになります。曲のイメージはもちろん透明で陰鬱的な荒涼感、スマートなストラヴィンスキーといった風合いです。
ソプラノサックスの音色は違和感なく、第二楽章の緩徐パートでも良い流れです。

Quintet for Oboe, Clarinet, Bassoon, Horn and Piano (2013年)
 Väinö Jalkanen (pf) / Markku Moilanen (oboe) / Pekka Niskanen (clarinet) / Antal Mojzer (bassoon) / Ilkka Puputti (horn)
四楽章形式の室内楽ですね。民族和声を感じるパートもありますが、やはりアホ独特の澄んだ荒涼感が生きた透明感の強い曲ですね。各楽器は主と従の関係が明確にあるホモフォニーで、ポリフォニックな展開は存在しません。それが安心感のある聴き心地を作っているのでしょう。最終楽章には元気がありますね。

Solo I for Violin (1975年)
 Jaakko Kuusisto (vn)
アホ本人の言う通りヴィルトゥオーゾなソロ曲です。スローで入りテンポと技巧を上げて行きます。処々でvn2挺の様にさえ感じる事がありますね。10'ほどなのでコンサート向きでもあります。

アホらしい、(文に違和感が…w)、北欧印象派とも言える様な澄んだ広がりが感じられますね。
・ホモフォニーで、主と従の関係を崩すことがない
・旋律が存在して、調性感から逸脱しない
・強音パートでの山場を作らない
馴染みの良い主題や動機がないだけでまさに今の時代のクラシック音楽です。
一時期北欧の現代音楽をよく聴いたので、アホはこれで10CD目のインプレになりますね。




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テーマ : クラシック
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2016年ドナウエッシンゲン音楽祭 (Donaueschinger Musiktage 2016) で味わう現在形現代音楽

毎年同じみ、ドイツのシュヴァルツヴァルトで開催される前衛現代音楽祭のCDが国内でもリリースされました。
今年(CD化は毎年一年遅れ)はCD2枚組ですね。毎年同じ事を書きますが、3枚になったり4枚になったりDVDが入ってたり出るまでわからないのも前衛でしょうか?!!

今回のアルバムはお馴染みの若手・中堅の現代音楽家が並びましたね。作品別にインプレしましょう。CD1はアンサンブル、CD2は管弦楽になります。



【CD:1】

レベッカ・サンダース (Rebecca Saunders, 1967/12/19 - )
Skin for soprano and 13 instruments (2015 /16)
Juliet Fraser (soprano), Klangforum Wien, Titus Engel (cond.)

ノイズ系炸裂音の印象があるサンダースは、何と言ってもダルムシュタット直系の現代音楽家ですね。"スキン"の詩はジェイムズ・ジョイスの「ユリシーズ」から主人公の妻モリー・ブルームの最後の一節を引用しているそうです。
 特殊奏法を使ったアンサンブルは例によってパルス・ノイズ・クラスター的で、無音の"間"を生かしています。唄いはシュプレッヒゲザングで旋律はありません。唄は音の跳躍が激しく「月に憑かれたピエロ」的でもあり、全体混沌です。歌詞も聞き取れません。炸裂衝撃波もサンダースらしいと言えばそうなのですが、やっぱり目新しさはありませんね。



ベルンハルト・ガンダー (Bernhard Gander, 1969 - )
Cold Cadaver with Thirteen Scary Scars for 21 instruments (2016)
Steamboat Switzerland, Klangforum Wien, Titus Engel (cond.)

kokotonPAPA一押しの現代音楽家の一人、ベルンハルト・ガンダーですね。KAIROSレーベルから2枚ほどのリリースはありますが、もっと注目されて然るべきと思います。"13の恐ろしい傷跡持つ冷たい遺体"は傷や恐怖を形にした13の恐れだそうで、13種のリズムを使っているそうです。
 アンサンブル(スチームボート・スイスランドというロックバンド?が入ります)は打楽器リズムで躍動します。ロックのドラムサウンドで、それに楽器群が特殊奏法を含めて打楽器リズム風に反復で流れていきます。重厚な激しさに動機の様な旋律が存在しているのはガンダーらしさでしょう。ベートーベン「運命」の主題ジャジャジャジャ〜ンが引用されているのも笑えます。そこからリズムは大きく変わって、猛獣の唸りの様になり下降音階が流れます。複合三部形式の中間部ですね。最後は主部が回帰し、コーダはミュートのtpですw
ポップな欧州前衛ポストミニマル?! やっぱり面白いですね。



マルティン・スモルカ (Martin Smolka, 1959 - )
a yell with misprints two movements for ensemble (2016)
ensemble recherche

チェコの現代音楽家でヴェーベルンから米実験音楽までベースがありますが、調性が感じられる音楽も作りますね。この"誤植の叫び"は二楽章で9つのルール「悪意のプロモーションでない事」「チェス・プレイヤーの様な計算」「とにかく美しい」等々で作られているそうですw
 第一楽章は無調ポリフォニーですね。簡単に言うとアンサンブルの各楽器が勝手に演奏している感じです。時折調性感の強い短い静音スローパートが入ります。第二楽章はその静音パートから入り、神秘的な空間を作ります。今度はそこへ木管楽器が斬り裂く様な強音を挟みます。両楽章ともに、そのコントラストが面白いですね。



【CD:2】

ジェイムズ・ディロン (James Dillon, 1950 - )
The Gates for string quartet and orchestra (2016)
Arditti Quartet, SWR Symphonieorchester, Pierre-André Valade (cond.)

スコットランド出身の現代音楽家で、ダルムシュタットで『新しい複雑性』を身に纏いながらロックから民族音楽までをバックボーンにしています。最近ではスペクトル楽派の影響とコンピューターアシストの作品も作られていますね。"門"は聖域に入る事で、日本の鳥居⛩で説明されています。入場はentrance → en-trance → trance(陶酔)だそうです。
 無調ですが混沌や即興的ではなく、パターンを組み合わせて構成感があります。トリル・グリッサンド・ロングトーンといった基本技法で大きな流れを組み立て、基本は静的な美しい音色で空間音響系的でもあります。とても心地良さを感じますね。
アルディッティ4をフィーチャーした今の時代の弦楽四重奏協奏曲、コンサートで聴いてみたいです。



フランク・ペドロシアン (Franck Bedrossian, 1971 - )
Twist for orchestra and electronics (2016)
SWR Symphonieorchester, Alejo Pérez (cond.), IRCAM, Robin Meier (computer music designer)

フランスの現代音楽家で、IRCAMでファーニホウやミュライユに習い、ラッヘンマンにも師事しています。ここでもIRCAMのエレクトロニクスを使っていますね。"ツイスト=ねじ曲がる"はアコースティックな音をエレクトロニクス音化して大音響にする事だそうです。
 強音パートはトーンクラスターと電子ノイズの凶暴な音楽です。それとポリフォニカルな混沌さとのバランスが面白いですね。好きな音楽ですね。IRCAMのロビン・マイアーの力量が発揮されている様です。

試しにYouTubeで観てみる?
 実際の音楽祭でのライヴ映像です。素晴らしい!!



マルティン・ヤギー (Martin Jaggi, 1978 - )
Caral for orchestra (2016)
SWR Symphonieorchester, Pierre-André Valade (cond.)

スイス生まれの若手現代音楽家でチェリスト、世界各国から委嘱を受けて現在はシンガポールで教鞭もとっています。世界各国の文化を取り上げていて、"カラル"は古代遺跡シリーズの一環で、旧南米の都市(カラル遺跡)をモチーフにしているそうです。
 木管主役の無調ポリフォニーの強弱出し入れです。民族音楽をベースにしているかもしれませんが特徴は薄く退屈です。
楽譜や理論に特別なものがあるのかは不明ですが、28歳にしては表現的突出感が足りない気がします。若手には新しい世界を期待してしまいますね。



ゲオルク・フリードリヒ・ハース (Georg Friedrich Haas, 1953 - )
Konzert für Posaune und Orchester (2015 /16)
Mike Svoboda (trombone), SWR Symphonieorchester, Alejo Pérez (cond.)

オーストリアの現代音楽家で、フリードリヒ・チェルハらに学び、米現代音楽かからも習っています。ミクロポリフォニー(リゲティが使い命名した技法)、ミクロインターバルを使うスペクトル楽派の一人。"トロンボーン協奏曲"ですが、演奏者マイク・スヴォボダの為に作ったそうです。この前年の音楽祭でもトロンボーンを使った曲を披露していますね。
 チューニングを弄った弦楽器のアルペジオ、オケの厚いサウンド、それに乗るtbの派手な音色、そんな音楽です。即興性等の聴きづらさはなく、旋律らしき流れが存在します。tbも技巧パートはありますが超絶的ではなく、代わりに後半では微分音の旋律を聴かせてくれます。ハースらしい今の時代のクラシック音楽ではないでしょうか。


試しにYouTubeで音楽祭のダイジェストを観てみる?
 上記のサンダース"Skin"、ディロン"The Gates"、ハース"Konzert für Posaune und Orchester"が入っています。



今回は映像がないのでインスタレーションは味わえませんでしたね。ガンダー、ディロン、ペドロシアンは楽しめました。一方、今回一番期待した若手M.ヤギーは平凡で残念でした。
やっぱり映像付きでインスタレーション・エクスペリメンタリズム前衛音楽を味わいたいですね。

注目のインスタレーションだった Yutaka Makino "The program" をチョイ観する?




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マーラー交響曲第6番 "悲劇的" 名盤珍盤 110CDを聴き比べてみました [#2 : 21-40]


マーラーの6番、パワープレイが嵌れば言うことなしですね。一方で冷めたクールさもありで楽しめます。好きなので色々なパターンで気に入った演奏が多いかもしれません。

今回は変化球と魔球の二人 N.ヤルヴィとH.シェルヘンを含めた20CDのインプレです。まだ40CDですね。


Mahler Symphony No.6 -- 110 CDs 

 ★:名盤 (一般的にいわれている…と思う盤)
 ☆:個人的お勧め
 ㊟:とっても変わっています。(普通の演奏じゃ満足出来ない貴方にw)


 #0:4CD バルビローリ聴き比べ
バルビローリ[x4]
 #1:16CD
バーンスタイン[x3 ★☆], アバド[x5 ★☆], カラヤン[x3 (★)☆], ゲルギエフ, 小澤征爾, 井上道義[x2], プレートル[㊟]
 #2:20CD 本投稿
ヴァンスカ, ダーリントン[☆], ラトル[x3 ☆], P.ヤルヴィ[x2], N.ヤルヴィ[x2 ☆], ジークハルト, セーゲルスタム[☆], パッパーノ, ザンダー[x2], ショルティ[☆], ヴィト, シェルヘン[㊟], ズヴェーデン, ノット, J.サイモン, アブラヴァネル, パク・ヨンミン
 #3:20CD
テンシュテット[x4 ☆], シャイー[x2], ヤンソンス[x2], MTトーマス[x2], ハーディング, 朝比奈隆[x2 ㊟], スヴェトラーノフ[x2 ㊟], セル[x2], バルシャイ, 井上喜惟, 山田和樹, クルレンツィス[★]
 #4:20CD
ギーレン[x3 ☆], シノーポリ, メータ, サロネン[☆], サラステ, ヤング, 大植英次[㊟], ボンガルツ[㊟], シュテンツ, ヘンヒェン[x2], アシュケナージ[x2], ヴロンスキー, タバコフ, シュワルツ, マーツァル, ネトピル
 #5:20CD
ブーレーズ[x4 ★☆㊟], ベルティーニ[x3 ☆], インバル[x3], ルイージ[x3 ☆], レヴァイン[x2], フェルツ, ツェンダー[㊟], ガッティ, ファーバーマン, ドホナーニ
 #6:10CD
ハイティンク[x5 ★☆], ジンマン[x2], ペトレンコ, ハーヴェイ, ワールト




【後日記】ヴァンスカのマーラー6が出たので追記です
オスモ・ヴァンスカ, Osmo Vänskä

Minnesota Orchestra
[BIS] 2016-11


現在音楽監督を務めるミネソタ管弦楽団とのマーラー5番はややクセ者的な印象もあったのですが、チクルス第二弾の6番はどうでしょう。


【第一楽章】
機械仕掛けの様な不自然さの第一主題、木管パッセージはこっそり、アルマの主題はテンポを上げて華やかそしてスロー化。構成自体にとても違和感があります。展開部も第一主題のギクシャクさが不自然で、挿入パートのスローもスカスカした感じです。再現部では少し力感を加えていますが'気持ちの入り'は低めですね。

【第二楽章】
アンダンテを持ってきました。主要主題・副主題(第一トリオ)ともに抑えて表情薄め、少し揺さぶりを感じますが流れは淡々と。中間部(第二トリオ)の明るさをアンフィットな強めに出して、山場はスコア通りに鳴らします。とは言え全体としては印象の薄い淡白緩徐楽章です

【第三楽章】
主要主題は客観的で切れ味も見え、ここまでで一番まともに聴けると思います。トリオも程良くスロー軽妙でメヌエット風に、その後も変拍子の中から木管動機を色合い濃く表現しますね。没個性的ながらキッチリとスケルツォ楽章を作った感じです。

【第四楽章】
序奏は緊張感の漂う流れかと思いきやスローモッソリに落ち込みがっかり。提示部の第一主題とパッセージは勇壮、第二主題も軽妙ですがいずれも標準仕様的。展開部もSTD的ながら締まりを見せる第二主題と行進曲。興奮や高揚感は見当たりませんが。再現部も同じですが、それでも騎行でやっと締まりを見せてくれました。


よそよそしく掴みどろこの薄いマーラー6です。スローの中に感じる不自然な流れ、平凡なSTD仕様、その組合せです。

曲としての構成まとまりが低く、同じマーラーでもシベリウス・アカデミー同期生サロネンやサラステの様にはいかない様です。





ジョナサン・ダーリントン, Jonathan Darlington


Duisburger Philharmoniker
[Acousence] 2008-6/18.19


このブログで超ご贔屓の管弦楽セット、ジョナサン・ダーリントン(Jonathan Darlington)とデュイスブルク・フィルハーモニー管弦楽団(Duisburger Philharmoniker)です。マーラーは第5番でも素晴らしい演奏を残していますね。→ このブログ内のダーリントンの投稿記事


【第一楽章】
重厚オーソドックスな第一主題の行進曲、そしてアルマの主題(第二主題)は情熱溢れる美しさです。展開部の二つの主題は重厚ですが、挿入部では不安感を隠す様なスローの静寂さに。再現部も響の良い華々しさです。

【第二楽章】
アンダンテを採用しています。緩やかで優しさを感じる第一主題に哀しみをたたえる様な第二主題、中間部はその流れから山場へ向かいますが全体として穏やかさを重視した緩徐楽章です。

【第三楽章】
従ってスケルツォ、主部は第一楽章の回帰的で華やかさ。トリオはスケルツォらしい優美さになります。

【第四楽章】
序奏は極端な揺さぶりは使いませんがややスロー。提示部第一主題は跳ねる様なリズムで第二主題に続きます。この曲の難解パート展開部ではスローとコントロールの効いた激しさで落ち着いた表現です。再現部でも同様に過度の興奮を避けながら山場を盛り上げます。コーダは暗さ控え目、ラストの一撃は約束通りです。


メリハリよくクールなマーラー6です。重厚にして華々しい第一・四楽章、穏やかさと優美さの第二・三楽章、このコントラストの付け方がダーリントンの音楽ですね。

LiveですがAcousenceらしい録音の良さもあってオススメです。





サイモン・ラトル, Simon Rattel (3録音)

ラトルは1987年と1989年に同曲を振っていますが、あまりに落差が大きいです。
【後日追記】2018年のベルリンフィル主席指揮者最後の演奏のマーラー6を追記しました。



(#1)

Berliner Philharmoniker
[Berliner Philharmoniker] 1987-11/14.15


ラトルが32歳で初めてBPOを振ったライヴ、それがこのマーラー6番でした。その15年後にBPO主席指揮者・芸術監督に着いたわけですね。
BPO自主レーベルの"IM TAKT DER ZEIT"シリーズNo.8でのリリースです。


【第一楽章】
切れ味と緊迫感の第一主題、パッセージで緩やかさを作ってコントラストよくアルマの主題を華麗に奏でます。展開部も"烈→静→明"のコントラストを明確に作っています。特に第一主題の切れ味ですね。再現部も速めにテンポを決めて爽快、コーダの暗い葬送から第二主題をビシッと締めます。スカッとしたメリハリが気持ち良い第一楽章です。

【第二楽章】
アンダンテを持って来ました。主要主題はスローの優美さが心地よく、第一トリオも繋がり感と哀愁の音色がフィットしています。回帰のスロー静音パートも透明感の哀愁が伝わり、中間部(第二トリオ)の明るい広がりに心地良くつなげます。山場は哀しみが溢れてラストを静かに収めます。二楽章アンダンテは成功ですね。

【第三楽章】
落ち着いた中に速めで切れ味良い主部主題は第一楽章回帰的、変拍子を生かした洒脱なトリオはまさにスケルツォです。続く木管動機はスローに落として、回帰パートの力感アップに繋げています。アゴーギクの表情付けも生きていますね。

【第四楽章】
序奏は色合い濃いめ、第一主題行進曲を速めで締まり良く快感に、パッセージのhrも朗々と鳴らすと第二主題は速めの軽快さに出します。展開部も第二主題で一気に派手に、#1ハンマー後のコラールも鳴らして行進曲も速くて激走から重心を下げた重い行進です。上手い!! 再現部も構成は似て第一楽章回帰から騎行はワクワク感に溢れて、大きな見晴らしが快感!! ラスト一撃ではフライングがありますがBPOのご愛嬌w


ピッと張ったテンションが快感のマーラー6。程良いアゴーギクで作る表情と速めのテンポの切れ味がマッチしましたね。

初BPOライヴでラトル得意の陰影付けは薄く、カラヤン呪縛のBPO色が強いかもしれませんが好きな一枚です!!






(#2)
City of Birmingham Symphony Orchestra
[EMI] 1989-12/14-16


上記BPOの2年後録音、ラトルが鍛え上げたバーミンガム市交響楽団とのマーラー6番です。


【第一楽章】
提示部第一主題はスロー重厚もっそり、パッセージで抑えてアルマの主題は優美ですがやや薄味、間延び感が残ります。展開部の第一主題の方がまだ締まりを感じますが、その後のスローは見晴らしを悪くさせていますね。聴くのにスローを持て余す第一楽章です。

【第二楽章】
ここでもアンダンテでスロー展開もBPOと同方向ですね。ただ主部の主題と第一トリオはふんわり・もわ〜っと穏やか、掴み所がわかりずらいです。中間部(第二トリオ)以降も同様の流れで、山場以外はスローの間延び感です。(汗)

【第三楽章】
スケルツォ主要主題は少し切れ味よく、ここまでで一番良い流れかも。トリオもメヌエット的な優美さになっていますね。スローになったり途中でいきなり速くなって木管動機へとか不思議な事もやってますが。

【第四楽章】
序奏は混沌より明瞭さ、アレグロ・エネルジコから流れよく提示部第一主題に入ります。そこからパッセージ、第二主題は安心感がありますね。ただ展開部冒頭でスローの緩さを見せる様に、その後は処々スローの間延び感が顔を出してしまいます。強音の主題やアップテンポの騎行などは締まっているのですが。コーダでは三発目のハンマーが入ります。


2年前のBPOとは打って変わったスロー基本。そのスローが靄った見晴らしの良くないマーラー6です。アゴーギクや管楽器も処々で今ひとつ感が残りますね。そしてハンマーも三発に。

この2年の大きな違いは?? 手兵のこちらはラトルのマーラー62年前はBPOの個性が出たマーラー6という見方も出来るかもしれません。(指揮者は色々なパターンを試しますが…)





【後日追記】
(#3)
Berliner Philharmoniker
[Berliner Philharmoniker] 2018-6/19, 20


(豪華アルバムです。右は本録音のみのデジタル配信版ですね)

主席指揮者としてラトルがBPOを最後に指揮したがこのマーラー6でした。31年前の初登壇(#1)もマーラー6で奇しくも同じBPOオリジナルレーベルでのリリース、本アルバムにはその(#1)も入っています。


【第一楽章】
重厚速めで締まりある第一主題、パッセージで緩めてアルマの主題を華やかにと見晴らしの良さが復活しましたね。展開部も"烈→静→明"のコントラストをハッキリと、再現部も約束通りに第一主題に色付けをして、コーダの第二主題を走らせています。最も王道的な第一楽章になりました。

【第二楽章】
もちろんアンダンテで主要主題は緩やかスローで程良い表情、第一トリオもナチュラルに哀愁を醸し出していますね。回帰で広げて中間部(第二トリオ)で燦々と陽光を照らすのも基本仕様、もちろん山場は大きく鳴らします。王道ですが新鮮さには欠ける?!様な。

【第三楽章】
主要主題は程良く締まって重心の低いBPOらしい流れを作り、トリオでスローで優美なメヌエット調にシフトさせます。木管動機もトリオのアゴーギクの中からリズム変化を付けて現れ、隙がありません。上手い揺さぶりも入れた高完成度のスケルツォです。

【第四楽章】
序奏もしっかりメリハリ付けで、第一主題もテンポアップで切れ味抜群に、第二主題も軽快そのもので登場です。ラトルの提示部は外しませんね。展開部から再現部も強音の主題を高らかに、行進曲/騎行を勢いと力感を込めてと全体をビシッと決めています。三発目のハンマーもなくなり、奇妙なスローなども出て来ません。


王道的で完成度の高いマーラー6です。程良いアゴーギクも入れて最後まで隙なく決まり過ぎ、どこで面白さが現れるだろうと期待しつつ見事に終わります。

主流的な流れから脱線しない事、見事さも想定範囲な事、このセットだとその上を期待してしまいますよね。個人的には31年前(#1)の生き生きさに一票です。





パーヴォ・ヤルヴィ, Paavo Järvi (2録音)

現N響首席指揮者パーヴォ・ヤルヴィですね。海外オケとの来日はアンコールを準備しているので、その際は拍手を受けていきなりクルッとオケに向き直ってタクトを振る姿が印象的でしたね。N響に来てからは一度も行っていませんねぇ…



(#1)
Frankfurt Radio Symphony Orchestra
[major BD] 2013-6/29,30


(左:BD, 右:DVD です)

パーヴォが当時首席指揮者だったフランクフルト放送交響楽団(現:hr交響楽団, hr-Sinfonieorchester)を振った映像付き録音(第5番とカップリングのBD)です。


【第一楽章】
速め勇壮の第一主題行進曲、程よく落としたパッセージからアルマの主題は広がりをと教科書的な提示部。展開部も導入部を強め速めに鳴らして挿入部の静を一気にスロー化と、コントラスト強めに付けています。再現部も第一主題強調型で、コーダも勢いがありますね。主流的流れにコントラスト付けの第一楽章ですね。

【第二楽章】
主部主題はテンポを抑えて適度な重厚さ、トリオは一転スローで古典メヌエット風に、木管動機も流れに沿った緩やかさ。ほぼSTD仕様でパーヴォも踊るスケルツォです。

【第三楽章】
アンダンテ主要主題は緩やかなスロー美、第一トリオはテンポキープで哀愁に、中間部(第二トリオ)の陽光もほどほどです。ラスト前の山場は大きく鳴らしますが、スコア通りでしょう。そこにフォーカスしているのかもしれませんが。

【第四楽章】
序奏は鬱より明瞭さでアレグロ・エネルジコで走ると、提示部行進曲は速めで切れ味良くパッセージを含めて進み、第二主題はテンポを落とさず流れキープですね。展開部は導入部スローの美しさと第二主題に切れ味のアクセント、行進曲では速めで締まりがあります。再現部も同様に第一主題から騎行をビシッと鳴らします。この楽章のポイントである三つの行進曲/騎行をしっかり決めましたね。


気持ち良く聴ける主流派マーラー6ですね。オケの揃いと鳴りもしっかりして、アクセントの"スロー静&ファスト烈"も基本中の基本的アゴーギクとディナーミクです。快感志向(嗜好w)の方にはジャストフィット盤で、BDの録音の良さも寄与していますね。
(ダイナミックレンジの広い録音の良さでハンマーの音がこんなに良く聴こえたのは初めてですね。逆にラスト一撃が弱く感じて弱点に思えるくらいですw)

ただ個性的には弱く"どこかで聴いた様な"パターンではありますが。

同じ放送局系であるN響をベルリンで振った(2017年2月28日)演奏より一枚上手ですね。





【後日追記】
(#2)
NHK交響楽団
[RCA] 2017-2/22, 23


フランクフルト放送響から4年後、パーヴォ/N響が2017ヨーロッパツアーに出る前の「横浜みなとみらいホール」での歓送会?の演奏ですね。


【第一楽章】
勇壮ですが速めではなく落ち着いたテンポになり、アルマの主題も華やかさで、ますます教科書的方向になった提示部ですね。展開部の冒頭第一主題は緩さを感じ、挿入パートも表情が薄く感じます。再現部第一主題も力感を増しますが こじんまりとしています。コーダも予想を越えるものは無く、全体テンポも揺さぶりもアゴーギクを殺してフラット無表情な印象です。

【第二楽章】
主部主題は程々の強さとテンポで真面目に、トリオはきっちりスローで軽妙にお約束。続く木管動機もちゃんとスローに鳴らします。一層の標準仕様化のスケルツォ楽章になりました。

【第三楽章】
主要主題はここでも緩く穏やかスローに、第一トリオも流れを合わせつつ哀愁を、中間部(第二トリオ)も明るさを見せますが少し気持ちが伝わる様になっていますね。もちろんラス前山場にターゲットを持って来て鳴らします。このアンダンテの一つのパターンですね。

【第四楽章】
序奏はメリハリが効いていて、提示部第一主題はきっちりとパッセージも巻き込んで進み、第二主題も流れ良く落差小さめに進めています。展開部はvc動機を力強く鳴らして第二主題を一気に広げ、行進曲は少し弾けて良い感じです。再現部も第一主題と騎行に気持ちが入って来ますね。ナチュラルなアゴーギクも感じます。
ここまでで一番元気と表情があって楽しめる楽章になりました。


真面目に作り上げられたマーラー6です。悪いところや変なところは皆無ですが、最終楽章以外は真面目過ぎて嬉しさが伝わりません。

最終楽章では気持ちの伝わる流れになっていますから、始めからそうだったら楽しい演奏になっていたでしょうね。





ネーメ・ヤルヴィ, Neeme Järvi (2録音)

息子パーヴォとは違う、速さとメリハリの父ヤルヴィの本領発揮のマーラー6です。
特にRSNOとの(#1)は第一楽章(提示部再現有り)が速い事で知られていますね。参考にその演奏時間を並べておきましょう。ちなみにバーンスタインVPO[DG]は23'強、アバドBPO[DG]は23'弱ですが、父ヤルヴィは何と20'です。

      (#1)(#2)
 第一楽章 20:01  20:52
 第二楽章 11:32  11:41
 第三楽章 13:37  13:05
 第四楽章 27:07  27:29




(#1)

Royal Scottish National Orchestra
[CHANDOS] 1992-11/8,9


ネーメ・ヤルヴィが1988年にロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団(RSNO)の首席指揮者を退いた後の演奏ですね。現在は桂冠指揮者を務めます。


【第一楽章】
第一主題は入りからハイスピード、アルマの主題も速めに華やかさを鳴らします。展開部の第一主題は速く厳しく、挿入パートではスローにテンポを落としてコントラストも明瞭です。再現部でも再びハイスピードを軸に激しさを加えて、コーダは第二主題を速めにビシッと締め括ります。

【第二楽章】
スケルツォ主部主題も速くてキレキレで第一楽章の類型性表現ですね。トリオでは入りを大きくスロー化、テンポを上げながら揺さぶりをかけて木管動機へ入ります。テンポの揺さぶりで切れ味を見せる第二楽章です。

【第三楽章】
主要主題はやや速めに入りますが抑えた美しさ、第一トリオもその延長上で哀愁を見せスロー化して行きます。中間部の明るさや山場の盛り上げもしっかり、回帰では緩急表現を強くしています。緩急を付けつつも標準的印象のアンダンテでしょう。

【第四楽章】
序奏は良く鳴らして、提示部行進曲は華やかさと切れ味、パッセージから軽妙な第二主題につなげます。王道ですね。展開部は第二主題を華やかに、その流れから行進曲は力感から落ち着きを見せて進みます。再現部も約束通りに第一主題を派手に鳴らして、続く騎行は力感・怒涛の突進!!です。 堂々王道の最終楽章ですね。


前半快速・後半王道、全体を貫く緩急と切れ味のマーラー6です。速さのN.ヤルヴィ面目躍如のハイテンポ第一楽章!!

こういう変化球は大好きですね。(速いと言ってもシェルヘンの様な異常性ではありません。それもいいのですがw)
個性を見せるのでか悩む処ですが、演奏の切れ味も素晴らしいですし音質もCHANDOSですからですね!!






(#2)
日本フィルハーモニー交響楽団
[JPS] 2000-6/23


RSNOから8年後、父ヤルヴィが現在 客員首席指揮者を務める日本フィルを振った演奏です。RSNOとの比較で聴いてみました。


【第一楽章】
第一主題はRSNOよりはテンポは遅いですがそれでも速め、やや締まりに欠けるかもしれません。アルマの主題はやや速め程度ですね。展開部もコントラストは薄まり標準的な印象に、再現部は迫力で暴れ気味になっています。RSNOと比べると速さも締まりもそこそこの標準型になりました。コーダの速めの締まりは良いですね。

【第二楽章】
スケルツォ主部主題も少し速め程度になり切れ味も薄まりました。トリオから木管動機や回帰にあったテンポの揺さぶりも"こじんまり"としましたね。RSNOの名残を感じつつ標準的な流れに向いてしまいました。

【第三楽章】
主要主題は速めで感情移入を避けた淡白さ、第一トリオもその流れで哀愁は弱めです。そしてRSNOと同様に徐々にスロー化、中間部の明るさと山場もしっかり鳴らしています。回帰での緩急表現も付けていますが弱めで、RSNOと似た構成ですが何かが足りない印象のアンダンテです。

【第四楽章】
序奏は所々で暴れます、そこから提示部行進曲からパッセージへは疾走、第二主題は軽快です。良さが出て来ましたね。展開部から再現部も王道の締まりの良さが出て、行進曲や騎行を切れ味と力感で聴かせてくれます。
RSNOと同様に王道で締まり良く聴かせる最終楽章になりましたね。


押さえ処が見えづらいマーラー6です。基本はRSNOと同じストーリーに思いますね。そうなると、前半楽章のテンポは"速め"くらいでやや緩く、第三楽章の緩急や王道さも不足気味、とその楽しさが薄まって半端に感じてしまいます。

最終楽章が良かっただけに残念です。前半楽章などは逆にもっと速くしたらで面白かったのに…





マルティン・ジークハルト, Martin Sieghart

The Arnhem Philharmonic Orchestra
[EXTON] 1994-3/19


オーストリア人指揮者ジークハルトが常任揮者(2003-2009)を務めたオランダのアーネム・フィルハーモニー管弦楽団とのマーラー6です。交響曲第5番ではスロー&マイルドの異彩だったのですが、果たして第6番では?!
(本国オランダではHet Gelders Orkestと呼ばれ、コバケンさんも常任指揮者を勤めていらっしゃいましたね)


【第一楽章】
第一主題は重厚勇壮で、アルマの主題は情感深い流れ、クセのない提示部です。展開部も第一主題を締まり良く、スロー強調の挿入パートへ重厚さの余韻を残す様に入りコントラストが見事です。再現部は第一主題を濃く色付けて重心を下げ、コーダも切れ味が光りますね。アゴーギク・ディナーミクを明確に振って重厚ハイコントラストの第一楽章です。個々の楽器の技量は気になりますが目を瞑りましょう。

【第二楽章】
スケルツォ主部主題は第一楽章第一主題の流れを汲んで締まり良く、重厚さベースから軽妙なトリオで一息つく感じです。その後の変拍子はややスローが気になりますが木管動機で〆ると言った風になりますね。回帰も含めて第一主題を主に山場は怒涛でマーラーの指示通り「重々しく」です。

【第三楽章】
緩やかで穏やかな主要主題はスローの間延び感、第一トリオもその流れで入るので哀愁がボケてしまいます。中間部(第二トリオ)も明るく鳴らすのですがアゴーギク不足で変化が薄く感じます。ところが山場は一転重厚に大きく盛上げる山場集中系アンダンテでした。とは言え山場以外はスロー間延びが酷いですw

【第四楽章】
ディナーミクのメリハリを利かせた序奏、提示部第一主題は勇壮に鳴らし、第二主題では軽快に流れます。ただ軸足スローが気になりますね。展開部は第二主題を派手に大きく行進曲も締まり良くですが、スロー基軸でイライラしますw 再現部もパターンは同じで派手で重厚の良さをスローが殺してしまいます。
ディナーミクで作ったせっかくの重厚さがスローで台無しになってしまった最終楽章です。


重厚さを前面に押し出したマーラ−6です。明確なディナーミクが貢献しているでしょうね。

問題は90'を超えるスローで、影響を被って後半楽章の見晴らしが悪くなったのが残念です。





レイフ・セーゲルスタム, Leif Segerstam


Danish National Radio Symphony Orchestra
[CHANDOS] 1990-9/24-26


(所有は右の全集ですが近年見ませんね。見つかったらラッキーです)

フィンランドの怪人セーゲルスタムは個人的には現代音楽家の印象の方が勝ちますね。
首席指揮者(1988–1995)を務めたデンマーク放送交響楽団(DR放送交響楽団)を振ったマーラー・チクルスから第6番です。第5番でも素晴らしい演奏を聴かせてくれましたね。


【第一楽章】
行進曲主題は力まずにシャープ、アルマの主題は華々しいですが過美を避けて、両者クセはありません。展開部も基本に忠実ですが、挿入パートの静でスローを強調しています。再現部でも締まり良く主題を鳴らし、コーダも約束通りに葬送で鎮めて気持ち良く締め括ります。クールでかっこいい第一楽章です!!

【第二楽章】
スケルツォ主部主題は第一楽章の印象を継続する様にクールに進み、ここでもトリオで大きくスロー化させています。木管動機は色合いを付けずに自然に流していますね。この真面目な流れにスローを挟んで締まりを付ける流れがセーゲルスタムですね。

【第三楽章】
主部主題は少し速めですが落ち着いた優美さで、第一トリオでは色合いを哀しみにしっかりと変えます。中間部(第二トリオ)は明るさを柔らかく広げる様に出して、マーラーの緩徐楽章らしく山場を作りますが、セーゲルスタムは山場を押さえ気味でまとめますね。それが流れにフィットしていてgoodなアンダンテです。

【第四楽章】
厄介な序奏は渦巻く陰鬱をさけてスッキリとした印象から、アレグ ロ・エネルジコで提示部に流れ込みます。第一主題行進曲からパッセージを経て軽妙な第二主題まで冷静にコントロールして展開部へ。vc動機をリズミカルに刻んで、第二主題を心地よく広げ、行進曲は落ち着きの中に刺激とスローのスパイスを僅かに利かせています。再現部も同様に第一主題を広げて騎行をスパイスでコントロール、興奮が無くとも見晴らしの良さが気持ち良い最終楽章です。気になったのはコーダでハンマーの様な音を感じた事、そうであればハンマー三発演奏ですね。(曲の大勢には関係ありませんが…)


興奮と重厚さを排したクール&スマート系を代表するマーラー6です。まとまりの良さとスローアゴーギクのスパイスがセーゲルスタムらしいですね。

突撃型が好きな方には向かないかもしれませんが、淡々とした中にクリアーなまとまりの良さが光る素晴らしさ。好きな一枚で、クール好みの貴方にはオススメ盤です!!





アントニオ・パッパーノ, Antonio Pappano

Orchestra dell'Accademia Nazionale di Santa Cecilia
[EMI] 2011-1/8,10,11


パッパーノが音楽監督を務める聖チェチーリア音楽院管弦楽団を振ったマーラー6です。


【第一楽章】
第一主題はスローにして重厚、パッセージで鎮めるとアルマの主題を華やかに奏でます。展開部"烈→暗→明"のコントラストはスロー重厚さを主体に明瞭で気持ちがいいですね。再現部も第一主題をぐっと重心を下げて勇壮に進み、コーダも送葬スロー暗から一気に派手にまとめ上げます。スロー低重心で勇壮な第一楽章ですね。

【第二楽章】
スケルツォです。主要主題はスロー重厚で明確な第一楽章第一主題のパロディー、変拍子のリズムをしっかり刻むトリオは軽妙さから低重心に、続く木管動機も存在を主張しています。メリハリ重厚なスケルツォ楽章になっています。

【第三楽章】
抑えの効いた主要主題は静に美しく、イングリッシュホルンが出す第一トリオも同様に哀愁の流れを作ります。中間部(第二トリオ)も明るさを自然な流れの中に作って、後半山場はマーラーの緩徐の約束通りに鳴らします。それでも、淡々と華美に溺れないアンダンテで全体の流れにフィットしていますね。

【第四楽章】
長い序奏は力強さと暗さのコントラストをビシッと付けて、アレグロ・エネルジコからの第一主題は抑え気味の行進曲でややスローのパッセージと絡み、軽快な第二主題へとチェンジ。見晴らしの良い提示部を見せてくれます。展開部・再現部は流れの中心となる行進曲と騎行を切れ味よく派手に走ります。
ただどこか吹っ切れないもどかしさが残ります。上手くまとまり過ぎという贅沢な印象かもしれません。


スロー低重心重厚系のマーラー6です。メインの主題・主部をスロー重厚に押さえて明確な主張を繰り広げます。

最後までグッと構えた流れが見事です。ただこのパターンに欲しい"感情溢れる激烈パート"が見えません。それがあれば見事だったでしょう。





ベンジャミン・ザンダー, Benjamin Zander (2録音)

英国人指揮者ザンダーは1979年に自ら立上げたセミプロのオーケストラ、ボストン・フィルハーモニー管弦楽団(小澤征爾さんのいたボストン響 BostonSymphonyOrchestraとは違います)を率いてますね。コンサートの前にはプレトークで、毎回コンセプトを解説しているそうです。
今回の(#2)もそうですが、CDでも解説付きでリリースされる事がありますね。




(#1)
Boston Philharmonic Orchestra
[Carlton] 1994-3


その手兵ボストン・フィル(略ならBPO?笑)を振ったマーラー6です。


【第一楽章】
勇壮な第一主題ですが木管パッセージで弱音スローを強調、アルマの主題では広がりのよい美しさをスロー気味に鳴らします。展開部は挿入部スロー強調での間延び感も含めて流れにゆるさがあって締まり不足、再現部も第一主題意外はモワッとしたルーズ感です。コーダは快感で〆る第二主題でかろうじて帳尻を合わせます。スローも足を引っ張って締まりに欠ける第一楽章です。

【第二楽章】
スケルツォです。主要主題は速めでキレはありますがディナーミク不足で抑揚に欠けます。トリオもやや速め軽量ですが後半は強弱コントラストがありますね。木管動機は流れに埋もれる感じです。モヤモヤ感は残りますが、各回帰は程々に揺さぶりを付けて第一楽章より見晴らしが改善されています。

【第三楽章】
主要主題は静で優美ですが弦楽のまとまりが不足してそれを表現しきれていません。第一トリオも上手く哀愁にチェンジしますが同様に一体感が伝わらず、中間部(第二トリオ)は明るさを降り注ぎますがギクシャク感です。流れは主流的ですが演奏技量がそれを表現しきれずもどかしさを感じるアンダンテです。後半山場は少し挽回ですが。

【第四楽章】
中低音金管に締まりの欠ける序奏、ここは低重心の締まりは必須ですが。提示部第一主題はクールに締まり良く行進しますが、パッセージから第二主題がフラットで残念ですね。展開部も導入部モヤモヤですがvc動機から第二主題はコントラストを付けて、行進曲は入りの力感は見事ですがそのスローは完全に邪魔ですw 再現部も第一主題で華やかに切替えると続く騎行を快走します。もっと力感を込めても良かったとは思いますが、それでもこの楽章のパワーパートが一番聴けますね。


見晴らしが悪くモワッとしたマーラー6です。コントラスト不足な流れと、表現力不足のオケ技量では仕方がないかもしれません。残念ながら。

パワーパートはなんとか音を出しますが、スロー情緒パートはかなり難しいですね。最終楽章が一番聴けるでしょうか
そうそうハンマー三発でしたね。






(#2)
Philharmonia Orchestra
[TELARC] 2001-5/22-25


上記の7年後、フィルハーモニア管弦楽団を振ったマーラー6です。変則的アルバムで、第四楽章はハンマー3発(初期稿)と2発(改定)の二つのヴァージョンを録音しています。そして全楽章の解説コメントCD付きで、どうも解説をしないと気が済まない?様ですw (マーラー5番でも同様に解説語りCD付きでしたね)


【第一楽章】
重厚スローになった第一主題からアルマの主題は揺さぶりを付けて華々しくスロー低重心の提示部になりましたね。展開部も重厚さで入りスロー挿入部を一層鎮めて、再現部もガッツリと鳴らしてきます。オケの演奏技量は大きく向上して揺さぶりコントラストも明快に大変身、強烈なスロー重厚感が味わえます。

【第二楽章】
主要主題は速めながら重心を下げて締まりよく、アゴーギクも効いて抜かりありませんね。トリオもスローと古典の香りを上手くバランスしていますね。決して軽妙ではなく重厚さ軸足ですが。木管動機もスロー変化を効かせています。重厚さと切れ味のスケルツォ楽章になりました。

【第三楽章】
主要主題は揺さぶりを付けた優美さで個性的、前楽章とのコントラストがいいですね。第一トリオはスローを生かした哀愁を見事に聴かせます。上手い構成ですね。中間部(第二トリオ)は明るい陽光が燦々と広がり、最後の第一トリオ回帰は大きく鳴らして哀しみが溢れ出てきます。味わい濃い美しさと哀愁のアンダンテです。

【第四楽章】
序奏は見晴らしが大きく改善されてスロー軸足で出し入れのある流れになりました。アレグ ロ・エネルジコから第一主題行進曲へ気持ち良く突入して切れ味よく進み、パッセージも流れに乗ったhrとなって堂々と、第二主題は軽やか軽妙の王道になりました。見晴らしが大幅に向上です。展開部もvc動機を速めに鳴らしてコントラストを付けて第二主題へ、行進曲の不要なスローは程々になってフィットする個性になりました。再現部も導入部が落ち着いて派手な第一主題への繋がりが良く、騎行の切れ味と迫力へ進んでいますね。LIVEだったら+αの興奮が加わって素晴らしかったでしょう。


低重心スロー重視のマーラー6です。暴れて耳障りな事も無く、アゴーギクでスロー一辺倒も避けていて オマケCD付き、重量系演奏が好きな貴方向きです。

(#1)と比べて圧倒的なオケの表現力向上ですが、ザンダーは7年前もこれをやりたかったのでしょうか?!





ゲオルク・ショルティ, Sir Georg Solti


Chicago Symphony Orchestra
[DECCA] 1970-3,4


言わずと知れたショルティが育て上げた手兵 シカゴ交響楽団とのマーラー6ですね。


【第一楽章】
速さで突き進む第一主題、派手に豪華なアルマの主題は少し揺さぶって、乗っけからまさにショルティ/シカゴ響炸裂!!です。展開部も速さを軸に"烈・静スロー・明"のコントラストをキッチリ、激しさを増しながら再現部へ突入すると一気に力感を加えて突進します。コーダは冒頭の葬送さえ速く、第二主題を派手派手しく納めます。速さで駆け抜ける第一楽章です。

【第二楽章】
スケルツォです。第一楽章の流れをそのままに主要主題は速くて派手な怒涛の進撃です。トリオは優美なスケルツォに変化させてコントラストを作り、木管動機も元気があって面白いです。主部は回帰毎に激しさを増してガッツリ鳴らしますね。

【第三楽章】
主要主題は一転してスローの優美で濃厚な流れです。第一トリオでは哀愁を加えて、中間部では明るさと美しさから大きく山場を作ります。ぶ厚いアンダンテですが、この楽章が一番クセがないでしょう。

【第四楽章】
序奏は明確な陰影を付けて鳴らします。アレグ ロ・エネルジコからの提示部第一主題は怒涛の突撃です。本来このパートはクールに進むのですがw パッセージが絡むと音厚が増して、第二主題が軽妙に登場しますが決して控え目には聴こえません。展開部も第二主題の登場で派手派手に鳴らし、コラールから興奮を見せて行進曲は爆速激烈に突進!! 普通は絶対こんなに興奮しません。でも大好きですねぇ。もちろん再現部もヤバイです。第一主題が現れると派手に鳴らして一気に騎行に突入。これはもう興奮炸裂の世界で暴れ馬のごとく爆進です。快感そのものを味わえる突撃性大重視大興奮の最終楽章です。コーダで3発目のハンマー?の様な音がしますね。


速くて怒涛, 満艦飾のマーラー6です。"それ行け〜!!"って感じw、特に最終楽章はショルティ/シカゴ響らしさをたっぷり楽しめます

ショルティのあの笑顔が浮かび、どうだ参ったか?!っていう声が聞こえそうですね。本当はの方がフィットしますが、なにぶんこの先にシェルヘン先生の狂気が控えていますので…





アントニ・ヴィト, Antoni Wit

Polish National Radio Symphony Orchestra
[NAXOS] 1992-12/15-19


カラヤンの助手を務めていたポーランド人指揮者ヴィトですが、何と言ってもNAXOSで数多くの録音を残している事で知られていますね。そのヴィトが1983-2000年の間音楽監督を務めたポーランド国立放送交響楽団とのマーラー6です。


【第一楽章】
第一主題はハイテンポ勇壮、アルマの主題は派手で華やか、ハイテンポ・ハイテンションの提示部ですね。展開部でも第一主題は速く力強く、第二主題からの挿入パートを約束通りのスロー静でコントラストを付けます。再現部は主題間で緩急入れて力強く、コーダは鬱の葬送から一気にテンポアップして締めくくります。

【第二楽章】
スケルツォです。主要主題は控えめですがハイテンポで進み一楽章との連携性を見せ、トリオはスローですが刻むリズムが明確で緩みませんね。木管の動機には個性を与えず、主部は回帰毎にはっきりと刺激を増します。ハイテンポ切れ味のスケルツォ楽章ですね。

【第三楽章】
主要主題は緩徐らしい優美さ、第一トリオも落差の小さな哀しみにチェンジしています。溢れる哀しみを抑えた流れからの中間部も陽光は燦々とふりそそぎますね。山場は鳴らしますが全体的にクールで甘美に溺れないアンダンテ楽章になっています。

【第四楽章】
厄介な序奏は彫を浅めに、その憂さを晴らす様に提示部第一主題はテンポアップで行進曲らしさ明確にしています。パッセージをクールにこなして第二主題は瀟洒に登場ですね。展開部はvc動機を大きく抑える珍しさから第二主題を大きく広げ、行進曲は力感ではなく悠々と胸を張ってクールに。再現部も第一主題で大きく鳴らして騎行につなげますが、ここでは切れ味で突き進みます。もちろん怒涛や爆裂感は抑えて刺激のトッピングを効かせていますね。計算された流れで、興奮は排除しながらシャープさを見せる最終楽章です。


スッキリ切れ味のマーラー6ですね。重厚さや揺さぶりを避けて速めシャープにまとめています。

突出したものはありませんが、ヴィトらしい爽快さと真面目な安心感のバランスです。この曲としてはクールでやや淡々とした印象が残るかもしれませんね。





ヘルマン・シェルヘン, Hermann Scherchen

㊟🌋
Rundfunk-Sinfonieorchester Leipzig
[MEMORIES] 1960-10/4 =mono=


さてシェルヘン先生です。ライプツィヒ放送交響楽団(現:MDR交響楽団)を振ったマーラー6ですが、爆速大カット短縮演奏です。よく言われるのは第5番ですが、こちらも負けず劣らずの狂気を味わえます。(MEMORIESから再発されました)


【第一楽章】
第一主題・第二主題共にあり得ない猛烈なハイスピードで管楽器はもつれ気味。第一主題の一部や提示部の繰り返しなどもちろんカット!! 展開部の挿入パート以外は再現部, コーダを含めて早回しで聴いているみたいですw コーダ山場では爆演で鳴らします。

【第二楽章】
アンダンテを持ってきました。ここでは特別大きな異常性を見せませんね。主要主題は緩やか静美で第一トリオも哀愁を見せます。カットもなく、ラスト山場を爆音化してテンポアップですがそのくらいw シェルヘンは緩徐楽章は猛スピード化させない傾向ですね。(第5番アダージェットでは逆に超スロー化しています)

【第三楽章】
爆速スケルツォです。主要主題などとんでもないスピードでカッ飛びです。トリオから木管動機はそこそこ普通?! 小ロンド形式で主要主題とトリオ(木管動機を含め)を繰り返すわけですが、そんなかったるい事しません。回帰パートなど当然カット!! いきなり最後の主部回帰のラストになってコーダで終了。演奏時間は約半分w

【第四楽章】
序奏は強め速めのアゴーギクでコントラストを作ります。まぁ一般的には充分"変"でしょうね。提示部第一主題から猛烈にスピードアップ、パッセージで少し落ち着かせます。第二主題は少し速い程度で軽妙です。提示部はやや乱暴ですが狂乱過激ではありませんね。展開部はテンポは揺さぶりの強い程度の感じですが、中盤の行進曲以降はカ〜ット!!で、ハンマーは一発になっちゃいますw。再現部も似た流れで怒涛で鳴らす騎行を一部カット!! でも最後のコーダはごく普通w


爆速・奇怪・大カット短縮のマーラー6です!!
詳細は楽章インプレの通りで、普通のマーラー6ではありません

時代背景は前衛現代音楽の最盛期。シェルヘンはその擁護者として知られる訳で、指揮者としての表現主義的前衛を目指したのかもしれませんね。マーラーもベートーヴェンのスコアに手を入れていた訳ですし。

音は劣悪ですが、一度聴いてみてほしい狂気の世界ですねw さて貴方は 笑う? 呆れる? 怒る? どんな反応でしょう。





ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン, Jaap van Zweden

Dallas Symphony Orchestra
[dsolive] 2013-3


オランダのズヴェーデンはコンセルトヘボウ管のコンマスから指揮者になっています。来年2018年からニューヨークフィルの音楽監督に就任が決まっていて、早くも3月には新たな手兵を率いて来日しマーラー5番を演奏しますね。(もちろんチケット購入済みですw)
これは音楽監督を務めたダラス交響楽団を振ったマーラー6になります。


【第一楽章】
第一主題は少し緩い感じでパワー不足気味、木管パッセージは淡々と、アルマの主題は抑えた優美さですね。展開部は"烈→暗→明"のコントラストは弱く、特に第一主題の"烈"が控えめです。再現部ももっと第一主題にパワーを第二主題を派手に、でも良いでしょうね。力感を抑えて淡々とした第一楽章です。

【第二楽章】
スケルツォです。主要主題からトリオ(木管動機含む)もクセはなく安心の流れで切れ味も程々あります。きちっと教科書みたいな印象で、何か一つ個性が欲しい感じですね。最後の主部回帰は鳴らしますが、それなりです。

【第三楽章】
主要主題は透明感ある優美さ、第一トリオは哀愁の色合いをやや静に奏でますが金管が少し怪しげ。中間部(第二トリオ)では牧場の広がりの様な明るいのびやかさを見せますね。保守本流の静的で美しいアレグロですね。

【第四楽章】
序奏の揺さぶりや陰鬱感は弱めで個性を引き出すつもりは無い様です。提示部第一主題からパッセージも行進曲らしさを真面目に作り、第二主題も爽やかです。展開部・再現部でもイレギュラーな流れは皆無で山場の主題を大きく奏でて、行進曲や騎行を荒れる事なく勇壮に進みます。特徴に欠けるのは残念ですが真面目な演奏です。


マイルドで真面目なマーラー6です。ディナーミクとアゴーギクを振らず、徹底して力みませんね。クセはありませんが、ワクワク感もありません。興奮とは対極にいる演奏でしょう。

〆る処は〆て保守的な安定感は高いので初めて聴くならおすすめかも。初めて聴くマーラー6がズヴェーデンなんて、渋い!?





ジョナサン・ノット, Jonathan Nott

Bamberger Symphoniker
[Tudor] 2008-10/27-31


(ノットのマーラーはレベルが高いので全集もいいですね)

現:東響の音楽監督であるジョナサン・ノットが16年間首席指揮者を務めたバンベルク交響楽団とのマーラー・チクルスからのマーラー6です。ノットは現代音楽で著名なアンサンブル・アンテルコンタンポランの音楽監督も務めていた事もあり、現代音楽を積極的に取り上げるので好きですね。


【第一楽章】
速めで勇壮な第一主題、アルマの主題も速めで優雅さを見せますね。展開部では第一主題を締まり良く、挿入パートのスロー強調で上手くコントラスト付けします。再現部では主題に激しさを加えて、コーダも第一主題を陰影強くラストは華々しさです。速めで締まりある第一楽章ですね。

【第二楽章】
スケルツォです。第一楽章の第一主題の流れを感じる主部で、切れ味抜群です。トリオでは一転させてスロー優美そのもの、このコントラスト付けがJ.ノットですね。木管動機も陰影をしっかり付けて、見晴らしと締まりの良さが感じられます。

【第三楽章】
主部主題と第一トリオは程良いスローで、美しく優しさと哀愁を対比させています。中間部は広々と明るく、マーラーの緩徐楽章につきものの山場も大きく奏でます。コントラストのあるアンダンテになっていますね。

【第四楽章】
個性が出やすい序奏はあまり弄らず、切れ味の第一主題行進曲から心地よい第二主題の提示部です。展開部は第二主題の中にも落差の大きなコントラストが特徴的に付けられます。この辺りがノット節とでもいう感じでしょうか。再現部も前半第二主題を静スローに、第一主題登場で派手派手しく騎行で一気に走り抜けます。


コントラストと歯切れの良さのマーラー6です。指揮者とオケが流れの強弱・遅速表現を共有していることがわかります。

はっきりとした濃淡で好みが分かれるかもしれませんが主張は明確ですね。





ジェフリー・サイモン, Geoffrey Simon

Northwest Mahler Festival Orchestra
[NWMF] 1998-7/19
(自主制作盤の様で、残念ながらamazonでは見つかりません)


オーストラリア人指揮者J.サイモンは米国でチェロをシュタルケルに師事、指揮を英国で習って米オケで活動していました。現在は英国を活動拠点に、レオポルド・ストコフスキー協会の会長でもあります。
米アマチュアオケのノースウェスト・マーラー・フェスティヴァル管弦楽団の指揮者兼顧問時代の演奏で、同音学祭1998年のLiveです。


【第一楽章】
やたら速く軽い第一主題、木管パッセージで徐々にスロー化、その流れにアルマの主題を上品に乗せて行きます。ありそうで無い面白い流れですね。展開部でもそれぞれの主題の速さのコントラストは維持されています。面白いのは速いパートを軽くしている事ですね。普通はそこに力感を与えるのが多いのですが。コーダの金管は怪しげながらしっかり鳴らして来ます。
主題毎の速いか遅いかのテンポ設定が個性的な第一楽章です。

【第二楽章】
スケルツォの主要主題も速くて軽め、第一楽章との整合性をとった流れを作ります。トリオは適度に落として美しく優しくですが、スローにはしませんね。木管動機でスローを見せますがSTDでしょう。回帰の山場はけっこう鳴らしますが、全体的には軽く速めの印象です。

【第三楽章】
主要主題と副主題(第一トリオ)では一転して程良くスローの甘美と哀愁です。中間部前で哀愁を見せて中間部で明るさを広げラストの山場で哀しみを溢れさせます。なのですが、この王道アンダンテはアマオケの表現力では厳しいかも…山場は管楽器がコケてしまいますし。

【第四楽章】
序奏は怪しげな管楽器品評会、残念ながら。揃わないアレグ ロ・エネルジコから第一主題は速めテンポですがパッセージも含めて金管が苦しい、でも第二主題はしっかりチェンジして来ます。
展開部も王道的で、第二主題で大きく鳴らして(怪しげw)、行進曲をチグハグですが気持ちを入れて進みます。二発目ハンマーは壊れた様な音がしますw 再現部もボロが出た管楽器がなんとか第一主題回帰で広げて、聴かせ処の騎行へ辿り着きます。もちろん騎行はメタメタですが気合いで鳴らしまくります。これぞアマオケの頑張りで応援したくなります!!
しばし静寂のあとアプローズ、王道ながら管楽器崩壊ボロボロの最終楽章でしたがオーディエンスも感じるものがあったのでは。


前半は個性派、後半は王道の二極化マーラー6です。前半の軽量快速とスローの両極に振り分けた個性的流れはとても興味深いですね。

王道の後半はアマ技量が晒されましたが、全力投球で踏ん張るのオケに惹かれました





モーリス・アブラヴァネル, Maurice Abravanel

Utah Symphony
[Vanguard] 1974-5


(入手可能なら右の全集がオススメです)

アブラヴァネルは第二次大戦でユダヤ迫害を逃れてオーストラリアに渡った後、米国ユタ州でユタ響の発展に寄与しています。ユタ交響楽団を30年以上(1947–1979)に渡り磨き上げたアブラヴァネルのマーラー6です。
全集はレコード時代から知られていましたね。時代を眺めるにも楽しい選択です。


【第一楽章】
速め重厚控えめの第一主題、パッセージで大きくペースを落としてアルマの主題は約束通り広がりを見せます。そして現在では絶滅種の反復無しの提示部です。展開部は程良く第一主題を鳴らして挿入パートを抑えていますね。再現部では第二主題でスローを振って色付けしていますが、基本的には軽量級でクセの少ない第一楽章ですね。

【第二楽章】
主要主題は快速で軽快に、トリオで優美にスロー化させて対比を生かします。木管動機は速めで殊更の色合いを避けて、回帰から山場はアゴーギクで緩急バランスを取ります。ナチュラルで肩が凝らないスケルツォ楽章です。

【第三楽章】
アンダンテはやや速めで優美な主要主題から、スローの副主題(第一トリオ)で哀愁を聴かせる上手い流れです。中間部(第二トリオ)では明るい光を照らし、山場を盛上げて納めます。濃厚さを控えてクールな緩徐楽章です

【第四楽章】
厄介な序奏は個性を振らず、第一主題行進曲の適度な興奮から第二主題が穏やかな風を吹き込みます。展開部も適度なコントラスト付けで第二主題を鳴らして、行進曲もテンポ変化を抑えた快速系です。再現部も重さを避けて第一主題を華やかに、騎行は軽快快感に飛ばします。過度の興奮を避けて流れ重視の最終楽章ですね。


ナチュラルで心地良いマーラー6です。アブラヴァネルらしい適度なテンポ変化と重さを回避した演奏がマッチして聴き終えた後の爽快感があります。

第5番の様な変則とは対極にある自然体の演奏で興味深いですね。この時代(1960-70)流行った?!第一楽章提示部の繰り返し無しver.は今や貴重かも。一聴の価値ありです。





パク・ヨンミン, Young Min Park

Bucheon Philharmonic Orchestra
[Sony] 2015-9/8,9


ギーレンに師事し、ラ・フォル・ジュルネ金沢でも来日経験のあるパクが2015年から音楽監督を務めるプチョン・フィルハーモニック・オーケストラ(1988年創設)を振ったマーラー6です。


【第一楽章】
提示部第一主題は勇壮、アルマの主題は伸びやか優美ですが抑揚の薄さが気になります。展開部の"烈→暗→明"のコントラストもテンポ変化が薄く挿入パートのスローは間延び感に、再現部もディナーミクはありますがアゴーギク不足のフラットさです。手堅い演奏ですがスロー寄りのフラットさがメリハリ不足になっています。コーダなどもっと気持ちが入って欲しいですね。

【第二楽章】
アンダンテを持って来ました。主部主題はテンポと優しさほどほどに、第一トリオの哀愁もクセがない代わりに気持ちが薄いスローで。中間部(第二トリオ)の陽光の明るさは明快ですが、全体淡々とした緩い流れに気持ちが伝わってこないもどかしさを感じます。

【第三楽章】
主部主題はしっかり低重心ですがスロー気味で気持ちの入りが弱い感じ、トリオではスローの優美さから少しづつテンポを上げますがスコア通り。変拍子は弱く木管動機に繋がって行きますが抑揚が低いです。ディナーミクは付けるので音の強弱はありますが表情の薄い淡白なスケルツォです。

【第四楽章】
序奏はコントラストがありますがモットー前にスローが出現、提示部第一主題行進曲もスローでピントがボケて、第二主題も印象が薄いですね。展開部は第二主題を鳴らすのですが勢いが付きません。完全にアゴーギクの不足でしょう。行進曲は乗りますが、変にスローが出てきて打ち壊してしまいます。再現部の騎行は何とかスローの馬脚を現さずに我慢しました。


スロー基本でフラット淡白なマーラー6です。音も良くミスもクセもないのですが、情熱や個性といった訴えかける何かが感じられません

フラットさとスローではなく、師匠ギーレン仕立てのアゴーギクを聴きたかったですねw







次は数枚ストックしているテンシュテットをメインにインプレしようと思っています。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





英国ロイヤル・オペラ2017 ヴェルディの歌劇「オテロ」を NHKプレミアムシアターで観る

今年6月の英国ロイヤル・オペラ(ROH)、ヴェルディの「オテロ (全4幕)」です。もちろん原作はシェイクスピアの悲劇『オセロ』 で、おどろおどろしい嫉妬劇ですね。
注目は初タイトルロールのヨナス・カウフマン。古〜ぃデル・モナコwのイメージが重なる「オテロ」となると.....どうだったのでしょう。2008年ザルツブルクのアントネンコが良かった記憶がありますね。

RoyalOpera2017Otello.jpg
(写真はオフィシャルサイトより)



演出

演出はローレンス・オリヴィエ賞を受賞のキース・ウォーナーですが、一捻り的な演出の印象がありますね。冒頭のヤーゴが仮面の一つを叩きつけるのは本性を現す予告で、その仮面を第三幕最後にオテロに被せる当たりがウォーナーらしいのでしょう。
ただ、オテロ一人に異常な狂気を与える演出はいただけません。一人浮いてしまった感じでした。ラストのドロドロ流れる血みどろ も今流ですが唐突で不自然ですね。


舞台・衣装

舞台は真っ暗、照明がスポット的に当たり影と光で心理戦を象徴しているかの様でした。衣装は時代的な印象を残した現代風ですね。
前衛性はありません。今の時代のオペラらしいシンプルさでした。


配役

タイトルロールのカウフマン、声は素晴らしく熱演でした。ただ、オテロらしいテノール・ドラマティコとするとやや重心が高い様な、気になる見た目の小粒感も…
もう一人の主役ヤーゴのマルコ・ヴラトーニャ、憎々しい役回りなのですが卑劣さが弱く憎めませんw
端役ですがカッシオのアントゥーンは役にぴったりの洒脱な声と姿が生きていましたね。デズデモナのアグレスタは第三幕のオテロとのやりとりが素晴らしかったです。ただ中低音域が弱く地声が顔を出しましたね。


音楽

ロイヤル・オペラの音楽監督アントニオ・パッパーノはマーラーで音の鳴らしが良い印象があります。この舞台でもメリハリの効いた音の鳴らしを聴かせてくれました。強音パートの迫力は舞台を食うほど?! 今回の主役は音楽だったかも。


オテロが一人芝居の様な狂気の熱演でした。後半のオテロとデズデモナのシーンは良かったです。ただ、オテロ役というともっと"どっしり"とした風貌と声が浮かんでしまいますね。
一番残念だったのは、ウォーナー演出のオテロの狂気を超えた狂人。全体の中でよそよそしさを感じてしまいました。どうせやるなら、丸ごとドロドロにしてしまった方が良かったかもw



<出 演>
 オテロ:ヨナス・カウフマン (Jonas Kaufmann)
 デズデモナ:マリア・アグレスタ (Maria Agresta)
 ヤーゴ:マルコ・ヴラトーニャ (Maria Agresta)
  カッシオ:フレデリック・アントゥーン (Frédéric Antoun)
  ロデリーゴ:トーマス・アトキンス (Thomas Atkins)
  エミーリア:カイ・ルーテル (Kai Rüütel)
  モンターノ:ユシフ・エイヴァゾフ (Simon Shibambu)

<合 唱> 英国ロイヤル・オペラ合唱団
<管弦楽> 英国ロイヤル・オペラ・ハウス管弦楽団
<指 揮> アントニオ・パッパーノ (Antonio Pappano)
<演 出> キース・ウォーナー (Keith Warner)


収録:2017年6月24日 英国ロイヤル・オペラ・ハウス(ロンドン)




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





マーラー 交響曲 第9番 名盤・珍盤 130CD聴き比べです [#4 : 61-70]


第4回のマーラー9番インプレは、ヤンソンスやシャイー, ジンマンといった実力派、それにシェルヘンとマデルナの変化球師弟コンビで計10CDです。冒頭はコンサートにも行ったラザレフ/日フィル盤です。


Mahler Symphony No.9 -- 130 CDs

 ★:名盤 (一般的いわれている…と思う盤)
 ☆:個人的お勧め
 ㊟:とっても変わっています (普通の演奏じゃ満足出来ない貴方にw)


 #1:20CD
バーンスタイン[x6 ★☆], アバド[x5 ★☆], ラトル[x2 ★], ハイティンク[x6 ☆], ゲルギエフ
 #2:20CD
カラヤン[x4 ★☆], テンシュテット[x3 ☆], クレンペラー[x4 ★㊟], ノイマン[x3], ベルティーニ[x3 ☆], クーベリック[x2], 井上道義[☆]
 #3:20CD
インバル[x3], M.T.トーマス, ドゥダメル, サラステ, バルビローリ[x3], 朝比奈隆[x2], ジュリー二[x2], ドラティ[㊟], ムント, ペシェク, ドホナーニ, シュワルツ, タバコフ, 小林研一郎
 #4:10CD 本投稿
ラザレフ, ヤンソンス[x2], シャイー[x2 ★], ジンマン, W.モリス, シェルヘン[㊟], マデルナ[x2 ☆]
 #5:20CD
ノット[★☆], ハーディング[☆], ギーレン[x2 ㊟], 小澤征爾[x2], シノーポリ[x2 ㊟], ザンデルリング[x4], コンドラシン[x2], ミトロプーロス[x2], サロネン, アルブレヒト[x2 ☆], マズア
 #6:20CD
ショルティ[x2], ロペス=コボス, 金聖響, スラドコフスキー, セーゲルスタム[☆], ゴレンシュタイン, 若杉弘[x2], 高関健, 山田一雄, 秋山和慶, 大植英次[㊟], ギルバート, シェーンヴァント, クーン, ブラウン, ミュンフン, ネトピル, ノセダ[☆]
 #7:20CD
ワルター[x2 ★☆㊟], ブーレーズ[x3 ☆㊟], バレンボイム[x2 ㊟], マゼール[x4 ㊟], バルシャイ, ノリントン, エルダー, ツェンダー, 飯守泰次郎, カンブルラン, ブロムシュテット, 尾高忠明, A.フィッシャー, パク・ヨンミン




アレクサンドル・ラザレフ, Alexander Lazarev

Japan Philharmonic Orchestra
[JPS] 2013-10/27


日本フィルハーモニー交響楽団の首席指揮者時代(2008-2016, 現:桂冠指揮者兼芸術顧問)に東京芸術劇場で振ったマーラー9ですね。このコンサートには行っていました ▶︎▶︎ インプレです


【第一楽章】
第一主題はやや速め、第二主題後半盛上げて反復へ、テンポを上げて速くて派手な第三主題に繋げます。速めが印象的な提示部です。展開部前半はシュトラウス引用を速めに、一気にテンポアップで激しさを鳴らします。中盤も緊張感を高くキープして第二主題を揺さぶり倒します。後半の葬送も締まりの良さを感じますね。再現部も第一主題が大きな波の様に覆い被さって来ます。速さと激しさが強烈な楽章です。

【第二楽章】
主要主題は力感のスケルツォで締まり良く進み、第一トリオも切れ味の鋭い流れを作ります。第二トリオは緊張感を解くかの様に緩やか穏やかのコントラスト付けで上手いですね。主部回帰から山場は表情変化を大きく付けて濃厚。締まり良くキレキレの楽章です。

【第三楽章】
主要主題は切れ味鋭く出て厳しくリズムを刻み、第一トリオが一転優美さを色添えして来ます。もちろん流れはシャープさをキープして、主題が絡むと激しさを増して進みます。第二トリオは優しさを見せますがテンポは速め、ターン音型ではスロー化を見せて最終楽章コーダを印象付けます。上手いアゴーギク設定ですね。ラストの怒涛の激しさはマーラーの言う通り見事に "Sehr trotzig" です。

【第四楽章】
主部は暖色系の優しさに包まれます。fg動機後も濃い弦楽の流れがフィットしhrを呼び出すと速くなります。第一エピソードも濃いめ速めの哀愁で上ってピークへ、その後は一気に落差を付けて静のターン音型に鎮めます。コントラストの付け方が素晴らしいですね。第二エピソードは軽量ハイテンポのリラックスした流れから緊張感を高めて一気に山場を作り上げます。構成感が際立ちますね。そして後半はスローに転じ、ターン音型を美しく生かしながら静に鎮めてコーダで消え入ります。


速さと締まりの良さでビシッとしたマーラー9ですね。穏やかさよりも色濃くキレキレの流れ、このパターンもありと思わせる快感がありますね。日フィルも好演で一度味わってもらいたい演奏です。

コンサートのインプレでも書きましたが、タクトが降ろされるまでの長〜ぃ沈黙がCDに残されているのは嬉しいですね。

一部怪しげな管楽器には目を瞑り、ラストの静まで楽しみましょうw やっぱりですかネェ…





マリス・ヤンソンス, Mariss Jansons (2録音)

ヤンソンスと言えばコンセルトヘボウとバイエルン放送響ですね。残念ながらコンセルトヘボウとの9番はリリースがありませんが、バイエルン放送響は昨年(2016)の録音が出ましたね。
【後日記】2019年11月30日に亡くなられました。



(#1)
Oslo Philharmonic
[SIMAX] 2000-12/13,14


ヤンソンスがオスロフィルの首席指揮者(1979-2002)時代にマーラー9を振った録音ですね。


【第一楽章】
第一主題はスロー強調の優美さ、第二主題では少し揺さぶって、反復からの第三主題まで堂々王道です。展開部前半の序奏はスローで鬱、ワルツ引用はスローキープで穏やかに、アレグロ・リゾルートからは一気に激しさを見せます。見事なコントラストですね。後半の葬送の経過部でも緊張感を与えていて、再現部第一主題でホッとする感じですね。緩む事のない切れ味鋭い王道の流れです。

【第二楽章】
主要主題はスローでリズムを明確にして進み、ゆっくりとテンポを上げます。第一トリオもハッキリとしたリズムを刻みますね。第二トリオは緩やかにチェンジします。主部回帰では揺さぶりますが、後はスローな流れが間延び感になってシャキッと感が弱いです。

【第三楽章】
主要主題はスローでヌケが良くありませんが、副主題(第一トリオ)ではテンポを上げて軽妙さが心地良いですね。第二トリオはスロー化して少しボケますが、ターン音型を静かに奏でてラストをイメージ付けする流れはgoodです。スロー間延びを挟んだ後のラストは何とかpiù strettoでホッとします。

【第四楽章】
主部は緩いアゴーギクで、fg動機後も力感を抑えてhrの主部回帰を奏でます。第一エピソードはややスローに薄く出て上げていくのですが、スローで引っ張り過ぎ。第二エピソードはテンポを取り戻して、山場を大きく鳴らします。これならOKなのですがw 後半のターン音型からコーダはスロー静で問題ありませんね。


スローの見晴らしの悪さが足を引っ張るマーラー9です。緩急もしっかりとあるのですがスローパートの間延び感はいただけません。第一楽章の緊張感が通せれば興味深い作品になったと思います。






(#2)
Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks
[BR-KLASSIK] 2016-10/20,21


オスロフィルの16年後、ヤンソンスが首席指揮者(2003-present2019[没] 後日記)を務めるバイエルン放送交響楽団とのマーラー9、昨年の録音ですね。


【第一楽章】
第一主題はやはりスロー、第二主題は揺さぶりを強めて、第三主題も華々しいです。展開部前半"鬱→明→烈"のコントラストもディナーミク中心のメリハリを強めています。中盤の鬱から躁への流れもディナーミク強音依存で濃厚、後半の葬送も力強いです。再現部もズッシリとした主題回帰。演奏時間も2'以上長くなってスロー基調でディナーミクの見事な味付けが感じられます。

【第二楽章】
主要主題はテンポよくリズムを刻み重心の低い流れ、第一トリオも同様の流れをキープして進み、第二トリオは緩やかにチェンジペースです。各部の回帰もアゴーギクで変化を、そしてディナーミクでメリハリを付けて奥行きのある演奏へと変化しています。リズムも良い感じです。

【第三楽章】
ここでも主要主題はテンポが戻ってシャキッとし、第一トリオもつながりの良いドイツ風?の流れです。第二トリオは緊張感ある静スローからターン音型をスローキープ、山場を大きく広げます。主部と2トリオの入れ替わりはスローとファストのコントラスト。ラストはビシッとストレットしますね。

【第四楽章】
主部は揺らぎを付けた濃厚な流れで、fg動機後も音厚は高くキープされます。第一エピソードは落ち着いた流れで途中から緩急で色合い濃く上げて行きます。これならピーク後の静音パートが生きますね。第二エピソードはシンプルに入って山場をテンポアップで大きく鳴らしますが、後半のターン音型からコーダはやや淡白に感じますね。
オスロフィルより1'半くらい短くなってスローの間延び感は無くなりました


重心が低く 厚く鳴らすマーラー9です。アゴーギクよりもディナーミクの色付けが強く、その音厚が特徴的です。聴き応えが欲しい方にはピッタリでしょう。

個人的には第一・四楽章に繊細な優しさや哀愁が、特に第四楽章には溢れる感情があると嬉しいのですが。





リッカルド・シャイー, Riccardo Chailly (2録音)

人気イアリア人指揮者のシャイー。以前はオペラのイメージが強かったのですが、今やすっかり実力派ですね。(個人的にはリッカルド・ムーティも同じ様な印象があります。歳は一回り上ですが…)



(#1)

Royal Concertgebouw Orchestra
[DECCA] 2004-6/14-18


シャイーがロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 首席指揮者(1988-2004)最後の年の録音ですね。


【第一楽章】
序奏・第一主題は極度にスローで静、第二主題もスローキープで暗く落とし、引きずる様に進んで雄大に鳴らします。展開部前半は序奏の激しさ、第一主題の鬱からのワルツ引用の美しさへの流れが印象的です。中盤での第二主題の鬱は極端には鎮めず慎重に、第三主題の烈も快感ですね。後半も重心を落としてスロー緊張感ある葬送で、再現部第一主題も押しては引く波の様です。コーダのスローは少し間延び感を感じますが。スロー基調にディナーミクで彩りを付けた楽章です。

【第二楽章】
主要主題はスロー気味にリズムの刻み硬い流れからのスケルツォ、第一トリオもその流れに少し力感を与えています。第二トリオでは正攻法で流れを落ち着かせ、アゴーギクで表情付けですね。主部再現の山場では切れ味で突き進みます。重心の低いレントラーですね。

【第三楽章】
主要主題はスタンダードですが歯切れが良く、副主題(第一トリオ)ではマイルドに。テンションを上げて進んで、中間部(第二トリオ)はスローでtpターン音型は最終楽章を歌います。ラストは見事に"più stretto"でビシッと締めていますね。マーラーの"Sehr trotzig"指示らしい楽章になっています。

【第四楽章】
序奏から弦楽の主要主題は濃厚な美しさで緩やかさよりも歯切れ良さです。第一エピソードも暗く淀んだ哀しみと美しさでラストを予感させるかの様な素晴らしさ。第二エピソードはスローから山場を大きく描き、"亡き子をしのぶ歌" 引用からアダージッシモのコーダへの静美は緩いアゴーギクを利かせて消え入ります。


濃い流れと歯切れの良さのマーラー9です。スロー軸足に、アゴーギク・ディナーミクがワイドレンジに使われて表情も豊かですね。

完成度も高く素晴らしいのですが、個人的には出来過ぎ感とスローが少し凭(もた)れてしまいます。






(#2)
Gewandhausorchester Leipzig
[ACCENTUS] 2013-9/6-8 DVD


コンセルトヘボウの9年後、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のカペルマイスター時代(2005-2016)の映像付き録音です。


【第一楽章】
第一主題はスタンダードなテンポと心地良い表情付け、第二主題もその流れに緊張感を与えます。アゴーギクを利かせていますね。第三主題も華やかで派手です。展開部前半の"烈→鬱→明"のコントラストもアゴーギクを生かしたコントラスト付けに、中盤も第二主題の鬱をアゴーギクの揺さぶりを強く表情を明確にしています。後半の葬送の歩みも明瞭な鳴りになっていますね。再現部第一主題の揺さぶるような揺らぎはここでも使われてシャイー の本質は変わりませんが、スロー回避で明瞭さが主軸になりスッキリした楽章です。この流れだとコーダのスローも心地良いですね。

【第二楽章】
主要主題はスローから一転しハイテンポが特徴的に。リズミカルで歯切れの良さはそのままにシャキッとした感じですね。第一トリオも速いです。第二トリオも殊更のスローにはせずにスッキリとしたチェンジペースです。全体が快速でシャープなレントラー楽章になりました。

【第三楽章】
主要主題は速めでシャキッと、基本の流れは9年前と同じでしょう。第一トリオもマイルドさは引き継いでテンポはキープ。心地良い流れで進んで第二トリオはテンポダウンして、tpターン音型も淡々と進めています。ラストはもちろん強烈にストレットしています。

【第四楽章】
少しテンポが速くなっていますが、序奏から主部の濃厚な美しさはここでも変わりませんね。fg動機後の音厚は上げって一層濃くなっている様です。第一エピソードはスローに落としますが明瞭に鳴らしてテンポアップ、濃い流れからテンポをスタンダード化して山場は派手に大きくです。そうなると山場後の静のターン音型が生きて来ますね。スローだった第二エピソードはスタンダードに山場は強烈に大きく、後半静音ターン音型からコーダ終息とのコントラストを付けています。濃厚ですがアゴーギクで表情を上手く構成した流れになりました。


9年前のスローを回避して速め軸足のマーラー9になりました。濃厚さや歯切れの良さ、完成度の高さはそのままで基本スタンスは変わりません

個人的にはこちらを推しますが、哀愁感が弱く濃厚さが勝っているところも同じで、そこが気になりますね。





デイヴィッド・ジンマン, David Zinman

Tonhalle Orchester Zürich
[RCA] 2009-9/28〜10/1


米人指揮者ジンマンが1995–2014年に主席指揮者・音楽監督を務めたチューリッヒ・トーンハレ管弦楽団とのマーラー9ですね。


【第一楽章】
第一主題はスローが印象的な穏やかさ、第二主題は少し陰影を強めます。スロー反復からの第三主題は大きく派手に。展開部前半は序奏からワルツ引用をスロー、アレグロ・リゾルートからは力感はありますがやっぱりスロー。中盤の第二・第一・第三の主題もテンポ設定は全部スロー、後半の葬送ももちろんスロー。とにかく徹底スローに拘った楽章ですが、感情移入は弱めで眠くなります。

【第二楽章】
主要主題ではテンポを戻して落ち着き、第一トリオはシャキッとリズムを刻み、第二トリオでスロー美に。メリハリはあるのですが、何故か表情変化の薄さを感じてしまいます。

【第三楽章】
主要主題はテンポを上げて表情付けを感じる流れになりました。副主題(第一トリオ)も軽妙なリズム感で一般的な安心感がありますね。中間部(第二トリオ)も落ち着きがあってtpターン音型は最終楽章を予告して、ラストはしっかりストレットします。何とかこの曲らしい流れの第三楽章になりました。

【第四楽章】
第一楽章を思わせるスローで緩やか〜な主要主題。第一エピソードもスローキープで冷めた情感で山場へ向かいます。ここはクールで美しく悪くはないのですが… 第二エピソードは一層のスローで淡々と進んで山場をほどほどに鳴らし、『亡き子をしのぶ歌』引用からはpppの指示通りに静かに結びます。


感情移入を抑えゆったりとした、スローのマーラー9です。パート毎のテンポ変化はあるのですが、流れの中でのアゴーギクでの揺さぶりはありません。

ディナーミクも抑え気味の約1時間半、淡白な緩さを感じて退屈してしまいます。それでも後半二楽章はまだ救われるかもしれません。





ウィン・モリス, Wyn Morris

Symphonica of London
[IMP] 1978-5


マーラー解釈では名が知れた?クセ者指揮者の一人、好きなウィン・モリスのマーラー9ですね。ちなみに "ロンドン・シンフォニカ" は、レコーディングとプロモーションを目的にロンドンのミュージシャンで構成されたオケだそうです。


【第一楽章】
序奏から第一主題はオーソドックスに静美、第二主題も鬱に鎮めて王道、雄大に鳴らして反復からの第三主題も派手やかです。展開部前半もアレグロ・リゾルート前後でのコントラストを重厚にビシッと、中盤もスロー基調に鬱と激しさを主題毎に色付けして反復する第三主題はスローで大きく広げます。葬送の歩みも低重心で、W.モリスとは思えない重厚で堂々王道の第一楽章です。

【第二楽章】
主要主題は優美なレントラーで堂々と、第一トリオは切れ味とテンポを上げて入って来ます。驚きの素晴らしさです。第二トリオも緩やかにチェンジペースで心地よさがあります。ただ第二トリオ回帰でのスローに間延び感があるのが残念ですね。スローと重厚さのレントラーです。

【第三楽章】
主要主題はこの楽章らしい荒っぽさ、副主題(第一トリオ)も流れに乗って重心は低いです。中間部(第二トリオ)ではスローを生かしたターン音型は太めに美しく、続く山場を大きく広げます。ラストは不気味なスローキープの "più stretto" !! モリスらしい変則も見せました

【第四楽章】
主要主題はスローの美しさ、fg動機からは約束通りに音を厚くします。第一エピソードは重心を低くスローに進み、音を広げて山場を鳴らします。直後にターン音型の静を繋げるのは王道ですね。第二エピソードもスロー静美からの流れで山場を大きな哀愁に繋げると、後半『亡き子をしのぶ歌』引用からの美しさもキッチリ静音でコーダに繋げます。


低重心スロー基調の堂々としたマーラー9です。どっしりと構えた重厚さが特徴的で、個性的スロー王道の魅力を放ちます。

その手の演奏が好きな方にはオススメの一枚です。スローの一部に間延び感はあるものの完成度は高く、キッチリと作り込まれた感もありますね。





ヘルマン・シェルヘン, Hermann Scherchen


Wiener Symphoniker
[ORFEO] 1950-6/19


5番6番では本領を発揮したシェルヘン先生がウィーン交響楽団(VSO)を振った盤です。9番はもう一枚BBC-SOとの録音(非正規盤)もありますね。


【第一楽章】
第一主題から速く揺さぶります。のっけからシェルヘン流ですね。第二主題も揺さぶりが荒っぽく普通じゃありませんし、第三主題でも強引に引っ張ります。展開部前半の"暗→明は特異性は低く流して、アレグロ・リゾルートからは狂乱に、中盤の第三主題からの激しさも速くて乱暴。後半の葬送の歩みは落ち着いて、再現部は色濃く、コーダは美しく。激しく速いアゴーギクはシェルヘン教祖ならではでしょう。

【第二楽章】
レントラー主題は標準的ですがもっそり、第一トリオはシャキッと、第二トリオもごく自然。主部回帰が多少荒っぽいものの、あまりにも標準的で肩透かしをくらった感じがするくらいです。

【第三楽章】
主要主題は速いですが流れは標準的、副主題(第一トリオ)も飛ばして来ます。途中でtpが素っ頓狂な音を出しますね。中間部(第二トリオ)はスローで穏やか、ターン音型のtpも美しく最終楽章を思わせる見事な王道です。それで素直に終わるはずはなく、テンポアップからラストは驚異の"più stretto"で駆け抜けます。

【第四楽章】
主要主題はここでも標準的な美しさ、少しアゴーギクは振っていますが。ところがfg動機の後のvnが何だか変な旋律を奏でるとテンポが上がります。第一エピソードもそのまま速めキープですが、流れは静的薄さから山場への標準仕様。第二エピソードもテンポ設定が速い意外は標準的で、後半からコーダのターン音型もしっかりスロー化して美しいです。まぁその速い流れが普通じゃない訳ですがw


もちろん速くて獰猛な大変則マーラー9です。速いだけでなくアゴーギク振り幅は極端で、よくもVSOをここまで手なずけたと言った感じでしょうか。

とは言え5番6番に比べれば大した事はなく?、古いので音も最悪ですからシェルヘン先生に興味がなければ無用でしょう。私には大切なCDですがw

ちなみにマーラー9番としては世界最速演奏(第一楽章単独も)になります。





ブルーノ・マデルナ, Bruno Maderna (2録音)

現代音楽家にして奇才指揮者マデルナのマーラー9は3録音残されていますね。(所有は2CD)
指揮は上記H.シェルヘンに師事していますから個性派ですw 師に倣ってARKADIA盤の第二楽章(13'21")は世界最速演奏になりますね。



(#1)

BBC Symphony Orchestra
[BBC Legends] 1971-3/31


マデルナがBBC交響楽団を振ったマーラー9です。


【第一楽章】
第一主題は超スロー、第二主題でテンポを戻し神経質な動機を奏で、揺さぶりを入れて激しく鳴らし反復からの第三主題は壮絶です。展開部前半も序奏の鬱とワルツ引用をスローの抑揚で彩り、アレグロ・リゾルートからは激烈に広げて駆け上がります。その後も約30'の長い楽章を大きなアゴーギクとディナーミクで感情の出し入れ激しく表現し魅了してくれます。

【第二楽章】
主要主題は軽く快速、一楽章とのコントラストを付けていますね。第一トリオでテンポと流れを戻して切れ味を加え、レントラーらしい流れから第二トリオはスロー優美にチェンジする見晴らしの良さです。パウゼからの主部回帰でテンポを上げ山場では勢いを着けて疾走、ラストをコントラストよく静めます。揺さぶりますが胃にもたれないスケルツォです。

【第三楽章】
主要主題は速めでシャープにキレキレ、副主題(第一トリオ)もその流れに乗りながらも上手く軽妙感を作ります。縺れる様に盛り上がって、中間部(第二トリオ)スロー化はほどほど、tpソロのターン音型からは最終楽章を思わせて素晴らしい流れです。全体としてはハイスピード一体感のある印象になっています。もちろんラスト"più stretto"は猛烈!! 楽しませてくれます

【第四楽章】
序奏スローからの主部は速く、そして微妙にアゴーギクを振ってfg動機後はディナーミクで厚く奏でます。第一エピソードも速さキープでクレシェンド風に昇り山場を厚く鳴らすと、ゲネラルパウゼの様な間を入れ一転。落差を付けた静的スローのターン音型で鎮めます。素晴らしい構成です!! 第二エピソードは静を引き継ぎながらテンポアップ、哀愁を漂わせつつ二つのピークは感情を大きく溢れさせます。緩急大きく惹き込まれる流れですね。後半「太陽の輝くあの高みでの美しい日」引用を美しくスローに奏でてコーダで消え入ります。
(盛大なアプローズですが、入りが早すぎです!)


コントラストの強い緩急強弱で表現主義的なマーラー9です。ただ、アゴーギクはスロー側主体で爆速はありませんから狂気的変則性はありません。

BBC-SOの演奏もまとまり良く貢献して、類型の無い強烈に色濃いこの流れもありで大好きな一枚です。

ぜひ聴いて欲しいのですが、残念な事に今や入手が難しいかもしれません。初めて聴くには向かないと思いますが…w






(#2)
Orchestra Sinfonica di Torino della RAI
[ARKADIA] 1972-12/22


1年9ヶ月後、トリノ・イタリア放送交響楽団(現:RAI国立交響楽団, Orchestra Sinfonica Nazionale della RAI)を振ったマーラー9です。


【第一楽章】
第一主題はやはり超スロー、第二主題もテンポを戻して緊張感を与え、盛り上げて反復へ、第三主題も壮大です。展開部前半も序奏と引用をスロー静ですが縁取りを強く、アレグロ・リゾルートからの激烈さとコントラストを作り、中盤の三主題にも明確な個性付けを与えます。その後もBBC-SOとほぼ同じ流れで極端なほどの表現力の楽章になっています。

【第二楽章】
主要主題の軽量快速、第一トリオでの本流回帰の流れもそのまま引き継がれいますが少し速くなっています。第二トリオスローチェンジもやや弱めで、その辺りが世界最速第二楽章になっている所以でしょう。山場は強烈なハイスピードでオケも着いて行くのがいっぱいです。

【第三楽章】
主要主題の速め切れ味、第一トリオでのテンポキープでの軽妙さも受け継がれてますが、第二トリオではしっかりスロー化しましたね。この方がより色濃い感じです。一部変化はありますが、BBC-SOと同様の流れで、ラストは期待通りに激しくスレットしてくれます。荒っぽさは上?!

【第四楽章】
主部がスローに変わって、ここが一番大きな変化でしょう。fg動機後は速さが戻ります。第一エピソードは少しスロー化していますが、それでも速めです。そこからテンポアップで山場後の静スロー化もパウゼは一瞬になりましたが、しっかり付けています。第二エピソードは山場が速くなっていますね。結局BBC-SOから演奏時間が1'半近く伸びてはいますが印象は変わりませんね。


ほぼBBC-SOと同じ揺さぶり濃厚のマーラー9です。一部アゴーギクでの緩急が変わっているものの、印象は変わらないでしょう。

ただ、monoでかつ録音が厳しいですから、あえてこちらを選ぶ必要はないと思います。いずれ これも入手難なのですが…








全集物など見直すとまだまだありそうです。先が見えません。(笑)




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