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新しい複雑性 リチャード・バーレット(Richard Barrett) の Music for cello and electronics を聴く


リチャード・バーレット (Richard Barrett, 1959/11/7 - )
英国の現代音楽家ですが、ダルムシュタット夏季講習会でブライアン・ファーニホウの『新しい複雑性*』の影響を受けた一人です。スタンスは即興性かつ電子音楽と生楽器とのコラボを得意としていますね。オランダでソノロジー(Sonology, 電子音楽)の教授も務めていました。
2016年には13年をかけて作られた8部作(6時間!)最後の"CONSTRUCTION"も完成させています。

*このブログでいう現代音楽」でも紹介していますが、演奏の複雑さ(超絶技巧)だけでなく読譜の難解さも含めての複雑性ですから、音楽を聴いただけでは演奏の難易度はわかりませんね。"ツェルニー"の初歩の練習曲でも10本の指を個別に楽譜10段(10声部)に譜面化されたら弾くのは難解ですよね。


Music for cello and electronics
2CDのチェロ(アルン・デフォルス, Arne Deforce)とエレクトロニクス(作曲家本人とパトリック・デルゲス, Patrick Delges)曲集で、2曲目にはピアノ(Yutaka Oya, 大宅裕)が入ります。



Life-Form (2011-12年) For Cello And Electronics
 チェロはグリッサンド、サルタート等々の技法を繰り出します。エレクトロニクスはホワイトノイズ系で、いずれにも調性に関わらず旋律は存在しません。互いの関係性は薄い即興的ノイズ系のカオス前衛音楽になりますね。
もう一つのパターンは、チェロの特殊奏法も含めたソロパートです。過激な音も出しますがノイズ系ではなく、現代チェリストのソロ・コンサートで取り上げられたら面白そうです。
最も興味深いのは作者本人がB.A.ZimmermannのIntercomunicazione(インプレ有り)と結び付けを語っている事でしょう。(kokotonPAPAはB.A.ツィンマーマン好きですw)

Nacht Und Träume (2004-2008年) For Cello, Piano And Electronics
 紹介文の8部作、第7パートでもあります。
上記"Life-Form"とは違いロングトーンのノイズと残響が使われています。そこにpfの単音が入る事で異なる表情を見せます。一番の違いは旋律らしき音階が存在するポリフォニカルな即興系音楽が同居する事でしょう。ラストのテープ(事前録音)もツィンマーマンを思わせますね。

Blattwerk (1998-2002年) For Cello And Electronics
 作曲年代順が逆なので一番古い曲になりますね。長いチェロ・ソロの技巧パートが特徴的で、多重録音の様なエレクトロニクス(テープなのかディレイなのかループなのか…)も使われています。

チェロは旧来の尖った技巧演奏からノイズまで広くパターンを網羅しています。エレクトロニクスの主体は電子ノイズ、ただどう言った技法・形態なのかが不明です。(ラップトップMIDIの使用やQuadraphonic出力の記述がありますが、実際のサンプリング等々は不明ですね)

何れにしても表情の多いノイズ系前衛音楽・ポリフォニカル即興系音楽で興味深いカオスです
残念なのはライナーノートに譜面のかけらもないので『新しい複雑性』の様相は演奏からしかわかりませんね。




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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





ブルーノ・マデルナ(Bruno Maderna) と ルチアーノ・ベリオ(Luciano Berio) 『NOW, AND THEN』の構成には驚かされました

好きな現代音楽家の一人ブルーノ・マデルナ(Bruno Maderna, 1920/4/21 - 1973/11/13)のトランスクリプション(編曲)作品集が出ましたね。ジャケットにルチアーノ・ベリオ(Luciano Berio, 1925/10/24 - 2003/5/27)がクレジットされていますが*一曲のみ。ところが…

本アルバムはデニス・ラッセル・デイヴィス(Dennis Russell Davies)指揮、スイス・イタリア語放送管弦楽団(Orchestra della Svizzera italiana)の演奏。ベリオの曲にはギターでパブロ・マルケス(Pablo Márquez)が入ります。

NOW, AND THEN / Bruno Maderna, Luciano Berio


1-4. Tre Pezzi (1952年) / 原曲Girolamo Frescobaldi (1583-1643)
 1) Recercar super LA-FA-SOL-LA-RE, 2) Christe, 3) Kyrie, 4)Bergamasca

5. La Basadonna (1951年) / 原曲Giovanni Legrenzi (1626-1690)
スネッサンス宗教曲とバロックですねぇ、室内楽化でそのまま。

6. *Chemins V (1992年) for guitar and chamber orchestra / Luciano Berio
「Chemins (シュマン)」は、14曲からなるベリオ本人のソロ曲集「Sequenza(セクエンツァ)」各曲を管弦楽との協奏曲風にアレンジしたものです。ちなみに、この "Chemins V" の元は "Sequenza XI" ですね。
ルネッサンス/バロックが流れる中にいきなりの前衛現代音楽!! 古典的奏法のギターにトレモロ・トリルで重なる弦楽器群、静音と強音のコントラストも刺激的です。即興性を強く感じるポリフォニックな曲に仕上がっています。

実はこの曲だけ20'あります。前後のマデルナ編曲のルネッサンス/バロックは5'〜1'以下。要は個々の楽曲ではなく、全体の構成で一つです。なるほどね。

7. Canzone a tre cori (1969/1972年) / 原曲Giovanni Gabrieli (1557-1621)
8-12. Le Sinfonie (1952年) / 原曲Tommaso Lodovico da Viadana (1560-1627)
 1) La Napolitana, 2) La Venetiana, 3) La Veronese, 4) La Romana, 5) La Mantovana

13-15. "Palestrina-Konzert" (1952年) / 原曲Unico Wilhelm van Wassenaer (1692-1744) formerly attributed to Pergolesi
 1) Grave assai sostenuto, 2) Andante, 3) Vivace

ただのルネッサンス/バロックの現代楽器室内楽ですw


マデルナのトランスクリプションはルネッサンスやバロック色そのままに今の時代の楽器編成にしただけ。ところが一曲だけ入るベリオは前衛現代音楽です。
要はルネッサンス/バロックにサンドイッチされた現代音楽との対比で『NOW, AND THEN』という訳です。
せめて最後にもう一曲現代曲を入れて欲しかったw


これはECMマンフレート・アイヒャーの構成作品ですね。




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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





エレキギター100本の交響曲:グレン・ブランカ(Glenn Branca) の 交響曲第13番 Hallucination City を聴く


グレン・ブランカ (Glenn Branca, 1948/10/6 - )
ついに100本まで発展してしまったエレキギターの交響曲です。
以前Bang On a Can "Renegade Heaven"で楽曲紹介していますが、ギタリストにしてニューヨークで活躍する米前衛の現代音楽家ですね。


技巧的には複数のギターから発生する共鳴音や不協和音、マイクロトーン(半音より細かい音:微分音系)のノイズ系空間音響サウンドです。
オリジナルギターのHarmonics Guitar(一本のネックの両端にボデーが二つ!!)も開発していますね。

活動初期は英国で前衛音楽と演劇、ニューヨークで前衛実験ロックバンドやギタリストとして活躍します。1981年にギターアンサンブル作品"The Ascension"等を作り始めると発展系であるギター交響曲に展開します。(現時点で第16番が最新の様です)
現在The Glenn Branca Ensembleとしても活動中で、"The Ascension" はWorks in progressの様ですね。2016年にニューヨークで "The Third Ascension" の最新ヴァージョンが初演されています。


Symphony No.13 [Hallucination City (幻覚都市)] for 100 Guitars
ヨーロッパと米国各都市で行われた公演の内、ローマでのコンサート(2008-2/28)のライヴになります。100本のギター(16本はベース)の他にドラム(Virgil Moorefield)が入りますね。
指揮はJohn Myers、コンマス!!はReg Bloorになります。構成は四楽章形式です。


(ライナーノートはCD内データも含めてありません。見開きにミュージシャンのリストがあるだけですね)

■ 1.March (行進曲)
単音等拍のギター音が刻む行進リズムにノイズ系の音が絡みます。ドラムのリズムをベースにしながら反響共鳴する音の渦巻きが部屋中に鳴り響きますね。フレーズも動機も和声も存在しません。ただただリズムとグワ〜ワワ〜ン〜という大音響です。

■ 2.Chant (聖歌)
基本は同じですがリズムは等拍ではなくなり、和声(コード)が存在します。ドラムはロックです。

■ 3.Drive (駆動)
2. からテンポアップして、より尖ったサウンドになります。ラスト3分はカオスです。

■ 4.Vengeance (報復)
この楽章だけ虫の羽音の様な小音ノイズからスタートし、ドラムが入ってからは反復と表情変化が感じられます。でも、いずれ同じグワ〜ワワ〜ン〜、最後は大カオス!!

試しにYouTubeで聴いてみる?
 なんとアルバム全曲が聴けちゃいます T_T


強烈です。まさに幻覚都市(Hallucination City)。見事完全な陶酔系、ただただ渦巻く音、空間大音響!!
ロックなのかジャズなのかClassical現代音楽なのか、意味ありません。ぜひ一度そこに浸ってもらいたいですね。




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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





マーラー 交響曲第5番 名盤珍盤 180CD聴き比べ! [#12 : 161-180]


グスタフ・マーラー(Gustav Mahler, 1860-1911)の交響曲第5番の聴き比べ#12です。今回の内容は以下になります。

① 新規CD随時追記 (新譜中心、見落とし旧譜等あり)
② 1960年代以前の古い演奏
③ 管弦楽以外の演奏


Mahler Symphony No.5 -- 180 CDs

 ★:名盤 (一般的いわれている…と思う盤)
 ☆:個人的お勧め
 ㊟:とっても変わっています (普通の演奏じゃ満足出来ない貴方にw)


 #1:15CD
バーンスタイン[x5 ★☆], カラヤン[x3 ☆], プレートル, 小澤征爾, ジンマン, モリス[㊟], ブロムシュテット, ドゥダメル, ドホナーニ, マーツァル[x2], 参考音源/資料類
 #2:20CD
M.T.トーマス, テンシュテット[x6], ベルティーニ[x2 ㊟], ノイマン[x3], 小林研一郎[x4 ☆], シノーポリ, 井上道義, ザンダー[x2]
 #3:25CD
インバル[x4], セーゲルスタム[☆], ノット, ダーリントン[☆], ルドルフ・シュワルツ, スワロフスキー[㊟], レヴァイン, 外山雄三, ノリントン, ロジェヴェン[㊟], ズヴェーデン, 飯森範親, 尾高忠明, 若杉弘, ルイージ, ホーネック, ヴィト, シェルヘン[x4 ㊟]
 #4:20CD
ハイティンク[x4], ブーレーズ[x3 ★㊟], メータ[x3 ☆], クーベリック[x3], ショルティ[x3 ★☆], バルビローリ[x2], デプリースト, バルシャイ[☆], バレンボイム
 #5:5CD アバド追悼
アバド[x5 ★☆]
 #6:15CD
マゼール[x3], ナヌート, テミルカーノフ, スウィトナー, 上岡敏之, 井上喜惟, 西本智実, ベシェック, N.ヤルヴィ, アルブレヒト, I.フィッシャー, 堤俊作, フェルスター
 #7:10CD
ガッティ[㊟], レヴィ, コンロン, リットン, ファーバーマン, クライツベルク, アブラヴァネル, フェルツ[㊟], 大植英次, マッケラス
 #8:15CD
サラステ[x2 ☆], ギーレン[x2 ㊟], M.シュテンツ[x2], ジェラード・シュワルツ[x2], ヘルビッヒ[x2 ㊟], フェドセイエフ, リンキャヴィチウス[㊟], フリーマン, タバコフ, ラート
 #9:15CD
カサドシュ, ヘンヒェン, ノイホルト, インキネン, コンドラシン[x2], オストロフスキー, ポポフ[㊟], ミュンフン, マック・カーロ, オラモ, ダニエル, アルミンク, アシュケナージ, ヴァイネケン, ヒルシェ
 #10:10CD
ゲルギエフ[x4 ☆], ラトル, ジークハルト, ロンバール, マデルナ[㊟], リーパー, 山田 一雄
 #11:10CD
シャイー[x2 ★], スラドコフスキー, シーヨン, ワールト, エッシェンバッハ, シップウェイ, P.ヤルヴィ, ネルソンス, スターン
 #12:20CD 本投稿
バリエンテ, 佐渡裕[x2], 大野和士, ハーディング, A.フィッシャー[☆], ロト, スヴェトラーノフ[x2], ヴァンスカ, ヤンソンス[x2 ★], ワルター[☆], ミトロプーロス, ケンペ, ロスバウト, パレー, ホーレンシュタイン, ラインスドルフ, アンチェル, ブリッグス(オルガン), トレンクナー&シュパイデル(ピアノDuo), ナタリア(アンサンブル)




ホセ・マリア・モレーノ・バリエンテ, José María Moreno Valiente

Málaga Philharmonic Orchestra
[IBS Classical] 2020-6/22-26


スペインの若手指揮者バリエンテが2020/21シーズンから首席指揮者を努める同国マラガ・フィルハーモニー管弦楽団を振ったマーラー5ですね。残念ながら両者知見がありません。


【第一部】
ファンファーレのtpが怪しいw 葬送行進曲は穏やかですが何処か落ち着きません。第一トリオは標準的激しさで、第二トリオの哀愁も特徴は薄いですね。
第二楽章第一・第二主題、共に一楽章のトリオ再現的で、展開部の"烈→暗→明"のコントラストも平凡です。個性は無く演奏も自信なさげな第一部です。

【第二部】
スケルツォ主題は標準的ですがhrがヒヤヒヤ、レントラーもスローに落としてSTD的です。第三主題のオブリガートhrは一杯一杯、短い展開部やカラフルな再現部もバランスや一体感に大きく欠けます。コーダは荒れ具合が面白いかも?w
標準的スケルツォですが不安定感満載です。録音の問題でしょうが、なぜかhrが遠く聴こえるのも気になります。

【第三部】
第四楽章は弦楽奏なのに音色や揃いが良くないと言うのは困りものです。主部の途中でスローに落としている意味が不明です。
第五楽章序奏の管楽器は不安定、二つの主題をなんとか音にして提示部を逃げ延び、展開部もボロボロになりながらも山場へたどり着きます。再現部山場からコーダが一番いいかもしれません、やり直しを重ねたのでしょうねェ…


何とか形にした、そんな感じのマーラー5です。演奏レベルは酷しく、個性を見せる余裕は全く無さそうで"間"や"一体感"とはかけ離れている感じですね。

ミキシングのバランスも少し難を感じ、マスタリングのボリューム感にもやや違和感を覚えます。作り込んでいる割には全体今ひとつですね。下位争いに参加かも。





佐渡裕, Yutaka Sado (2録音)

佐渡さんは二枚のLiveを残していますね。この17年余での違いは佐渡さんの変化なのか、はたまたドイツとウィーンのオケの差なのか、興味深いですね。



(#1)
Stuttgart Radio SO
[SWR avex] 2001-10/17,19


佐渡さんがシュツットガルト放送響に客演して振ったマーラー5です。


【第一部】
葬送行進曲はスローでどこか美しさも感じます。第一トリオでも明るい音色で明瞭なコントラスト付けです。第二トリオは美しい哀愁ですね。
第二楽章第一主題はテンポアップ激しさを出して、第二主題の哀愁とメリハリを感じます。展開部・再現部も主題の対比を意識させていますね。山場は見事!
計算された美しさと激しさの第一部ですね。

【第二部】
スケルツォ主題は気持ち早め軽妙に、レントラー主題は優美に変化を付けます。微妙に揺らぎを入れますね。第三主題部は緩やかに沈めてコントラストを付けています。ここでも再現部は主題間の色付けがハッキリしています。

【第三部】
極端な弱音で入り、超スローに冷たい音色の主要主題。大きな揺らぎに続くトリオも透明感がありますね。好きな個性的アダージェットです。
全く切れ目がなく続く最終楽章。第一・第二主題の絡みは対位的に小気味よく、コデッタも早め優美です。展開部は激しさを増しながら華々しい山場を作り、再現部もテンポと激しさを上げてコーダはタメを作ってアッチェレランドで炸裂です。大ブラボーの嵐、お見事!


大胆な印象ですが、計算された力感のマーラー5です。録音の良さもライブの臨場感を伝えている様です。これで感情移入を強くすればバーンスタイン。やっぱり受け継いでいるものを感じますね。

その構成のこだわり感が少し気になりますが、一聴の価値有りです。






(#2)
Tonkünstler-Orchester
[Tonkünstler] 2019/3/16


2015年から佐渡さんが首席指揮者を務める、ウィーンのトーンキュンストラー管を振ったマーラー5番です。


【第一部】
葬送行進曲のテンポはやや速めに、そして切れ味を感じます。第一トリオでは流れに乗って速めに進みますが、コントラストはほどほどですね。第二トリオも速めで哀愁感はクールです。
第二楽章第一主題は速いです。第二主題では適度なテンポ設定の哀愁に感じますが少し速めでしょうか。キレはありますが速い流れの第一部ですね。

【第二部】
スケルツォ主題はやや重め、レントラー主題は優しくでも気持ち速め、第三主題も殊更には鎮めませんね。展開部・再現部では"間"をとっていて安心して聴ける良い流れになっていますね。個性は薄いですが

【第三部】
アダージェットはやや暖色系で標準的なテンポからスローへ、トリオもクールです。悪くないのですが、あの個性的だった流れは全くありません
第五楽章第一・第二主題の絡みは速めのテンポで軽快に登り、コデッタも流れに沿っていますね。展開部は興奮を避けながら山場を作り、再現部は切れ味を増して山場からコーダは華やかに鳴らしました。ここでも大ブラボーですね。


個々の楽章や各主題はきっちりと仕上げて、全体としてはあっさり風味のマーラー5です。やや速めの設定がそう感じさせるのかもしれませんね。

安定感は上がりましたが、シュツットガルト放送響との惹きつけられる個性は消えてしまいましたね。個性派からクール派に、といった感じでしょうか。





大野和士, Kazushi Ono

Barcelona Symphony and Catalonia National Orchestra
[Altus] 2018-9/28–30


2015年から音楽監督を務めるカタルーニャ国立バルセロナ響を振ったマーラー5です。大野さんは1996年に常任指揮者時代のザグレブ・フィルとCDを残している様ですが未所有です。


【第一部】
葬送行進曲は抑えを効かせて進み緩いアゴーギクで揺さぶりファンファーレを鳴らします。第一トリオの入りは不思議なリズム感を感じます。第二トリオでは繊細な哀愁からピークを奏でます。でも何かスッキリしません。
第二楽章第一主題は激しさそこそこ、第二主題で哀愁に落とします。展開部の第一主題や第二主題vcもどこか抜けの悪さがあります。再現部もテンポ設定にもっさり感がありますね。今ひとつスカッとしない第一部です。

【第二部】
スケルツォ主題はhrをメインに演奏の揃いが今ひとつに感じます。レントラー主題は弦楽器主体パートは普通ですが。続く主題変奏から第三主題も流れにまとまりが感じられません。展開部・再現部も同じですね。コーダも〆のhrが…

【第三部】
緩やかな暖色系の流れから山場も適度に、中間部は透明感ある流れを作ります。やや間延び感はありますが、クールで澄んだアダージェットですね。
最終楽章、絡む第一・第二の二つの流れが落ち着きません。展開部から再現部も同様ですが山場は高らかに鳴らし挽回、コーダも大野さん好みに炸裂してアッチェレランドで駆け抜けました。最後の帳尻合わせは見事でした!


ラストは見事、でも演奏の見晴らしの良くないマーラー5です。流れにスカッとした抜けの良さがありません。指揮者のタクトにオケはいっぱいいっぱいの感じでした。ラストを上手く締めて印象挽回ですが。

こうなると、マーラーを得意とする都響との5番を大野さんに期待せずにいられませんね。





ダニエル・ハーディング, Daniel Harding

Swedish Radio Symphony Orchestra
[Harmonia Mundi] 2017/9-21-23


コンサートでは相性の良くない指揮者の一人、ハーディングです。この曲もコンサートでは新日フィルとパリ管で聴いていますが、パリ管ではとてもクセの強い演奏でした。このスウェーデン放送響との第9番のCDは良かったですが。
現在はパリ管と本CDスウェーデン放送響の音楽監督ですね。


【第一部】
第一楽章提示部主要主題はスローで揺らぎを入れていますがやや間延び気味。第一トリオでは激しさというより派手やかに、第二トリオも微妙な揺らぎを入れていますね。
第二楽章第一主題は明瞭に、第二主題も揺らぎをなくして素直な響きです。再現部・展開部も激しさは控えめで、第二主題は緩め、弱めのコントラストに感じます。

【第二部】
スケルツォ主題は優美ですが揺らぎを入れて、レントラー主題はあっさり感ですね。再現のvnの方が優美です。第三主題はスローを強めにして落としています。展開部・再現部も刺激な抑えめで印象はスローが勝っている感じですね。obl.hrの鳴りは良かったです。コーダは異常な速さです!

【第三部】
アダージェットは速めで入り後半スロー化ですが終始物静かに。山場も控えめ中間部でも冷静で好きなクールな展開ですね。中間部の揺らぎは気になりますが。
最終楽章は第一第二主題が心地よく絡んであげてゆき、コデッタ(第四楽章中間部の変奏)は軽快に現れます。展開部・再現部の山場からコーダは興奮は抑え気味に、フィニッシュでいきなりのアッチェレランドです。(第三楽章と似ていますね)


今ひとつスカッとしない 独特の揺らぎも気になるマーラー5ですね。抑えた強音パートとスローの印象が強く残ります。

ふとパリ管との来日公演の同曲を思い浮かべました。





アダム・フィッシャー, Adam Fischer


Düsseldorfer Symphoniker
[avi-music] 2017-3/31 - 4/2


ハンガリー人指揮者でスワロフスキーに師事していますね。弟のイヴァン・フィッシャーの方が先にマーラーを出していますが、ここへきてチクルスをスタート(1,4,7を既発)させています。首席指揮者を務めるデュッセルドルフ交響楽団を振ったマーラー5です。


【第一部】
感情を押し殺した葬送行進曲とコントラストを明確に付けるファンファーレ、第一トリオも極端にテンポや揺らぎを変えず流れを壊しません。第二トリオでも情感は保ちつつ流れを重視している感じです。
第二楽章第一主題は激しさを加えて第二主題を緩徐に落とし、この楽章らしい対比を付けていますね。特徴的なのは展開部の第二主題で大きくスロー&静に流れを変えてメリハリを付けていることでしょう。クールでコントラストの着いた第一部で見晴らしが良いですね。

【第二部】
締まりを効かせたスケルツォ主題からレントラー主題は優美に舞うように、ここでもコントラストを付けていますね。第三主題では揺らぎの中に朗々とHrを挟んでいます。展開部からも程よい揺らぎを付けて飽きさせませんね。コーダもビシッと決めます。

【第三部】
アダージェット主要主題は冷静な美しさで山場も抑えが効いています。最終楽章のコデッタにもなる中間部は緩やかにアゴーギクを使っていますね。この冷めた流れは好きです。最終楽章は第一主題と第二主題を軽快にまとめながらコデッタに結び、展開部・再現部は歯切れの良さで流れ二つの山場は華やか。コーダからフィニッシュはアッチェレランドで締めました。


洗練されたクールで心地よいマーラー5です。アゴーギクとディナーミクのバランスが良く、締めるところは〆、緩徐は美しく、クドさとかったるさを回避しています。を付けない理由が見つかりませんでした。

コンサートで出会えたら拍手喝采ですね。





フランソワ=グザヴィエ・ロト, François-Xavier Roth

Gürzenich-Orchester Köln
[Harmonia Mundi] 2017-2/20-22


フランス人指揮者で、現在46歳。Kapellmeister(楽長?, 音楽監督でいいですよね) を務めるケルン・ギュルツェニヒ管を振ったマーラー5です。ケルン・ギュルツェニヒ管はマーラー本人指揮で、この5番の初演を行っていますね。(1904年10月19日)


【第一部】
葬送行進曲は適度にアゴーギクとディナーミクを振り重厚さは控えめ、ファンファーレとのバランスも上手く取れていますね。第1トリオも過度の激しさよりも主題とのコントラストを押さえています。
第二楽章もその流れを明確に繋ぎます。第1トリオを継ぐ様な第一主題、第2トリオからの第二主題です。激しさを押さえた見晴らしの良い第一部です。

【第二部】
ディナーミクを使った締まりあるスケルツォに、微妙なリズム感のレントラー主題、第三主題は間を生かしたスローで穏やかさです。全体的にマイルド、独特のディナーミクとアゴーギクを感じる第二部です。

【第三部】
微妙なアゴーギクの中間部主題の前後を、スローで甘美な美しさで挟んだ個性的アダージェットです。第五楽章はスローな序奏からテンポの良い第一第二主題が絡みながら山場を目指します。展開部・再現部の山場を気持ちよく盛り上げてコーダからフィニッシュは迫力と大アッチェレランド。最終楽章では見事な王道に回帰です!!


個性を見せながらも心地よいと思っていたら、最後に保守本流の展開が待っていました。どっちがロト!? のマーラー5です
どちらも悪くないのですが、どっちかにしてねw





エフゲニー・スヴェトラーノフ, Evgeny Svetlanov (2録音)

ロシア人作曲家の交響曲を得意としていましたね。英名記述はYevgeny表記もあります。今回発売になったN響との録音の他にUSSR SOとアダージェットのみの録音も残しています。



(#1)
Russian State Symphony Orchestra
[Russian Season] 1995-10


ロシア国立交響楽団の音楽監督(1965 - 2000)を務めていた時代のマーラー5ですね。


【第一部】
特徴的にスロー弱音の葬送行進曲、山場ディナーミク強めです。第一トリオは明瞭にテンポを変え激しさですがクセはありません。第二トリオもややスローの標準的です。
第二楽章の第一主題は速く第二主題はスロー静の対比です。展開部以降も同様で、コントラストを明確にした第一部ですね。

【第二部】
スケルツォ主題は緩めでhrも弱点、レントラー主題も第三主題も緩く演奏の質にも難があってぼんやりとした感じです。展開部・再現部も同じ流れで、特にスローの間延び感でボケた第二部に思えます。

【第三部】
主要主題は甘美を避けクール、中間部でも澄んだ流れを作っていて好きなアダージェットですね。
最終楽章は第一第二主題がうまく絡みテンポアップで上げていきコデッタを優美に仕上げます。展開部と再現部の流れもスローが少なく山場も気持ち良く盛上げますが、この曲のコーダからラストでスローに落としてしまってはアウト!ですね。


コントラストはあるのですが、スカッとしないマーラー5でしょうか。
スヴェトラーノフ節で、アゴーギクとディナーミク共に大きく振っているのですがスローが締まらない感じです。演奏も少々…なのも事実でしょう。






(#2)
NHK Symphony Orchestra
[キング] 2000-9/28


スヴェトラーノフがN響を雄大に鳴らしたと逸話がある時代の遺産ですね。


【第一部】
葬送行進曲はやはりスローですがここでももっそりで何かが足りない感じです。第一トリオ・第二トリオ、展開部以降も第二楽章も5年前とよく似た第一部です。

【第二部】
ほぼ同じ構成、もやったスロー主体で見晴らしの悪さが印象に残ってしまいます。

【第三部】
アダージェットは色合いは同じですが、スローになっていて残念です。最終楽章も気持ちの良いテンポ設定で流れて行って、コーダ・ラストも類似かと思いきやスローにはしませんでしたね。アッチェレランドは効いていませんでしたが悪くありませんでした。


コントラストはあるのですが、スカッとしないマーラー5でしょうか。←1995年ロシア国立響と同じコメントです。(とにかくよく似ています)

スローで何をやりたいのか駄耳なのでわかりません、やっぱりこのスローは鬼門ですね。ラストが普通になっていたのが救いでした。





オスモ・ヴァンスカ, Osmo Vänskä

Minnesota Orchestra
[BIS] 2016-6


オスモ・ヴァンスカが2003年から首席指揮者を務めるミネソタ管弦楽団を振った2016年6月の録音です。ミネソタ管のゴタゴタは興味ある方はググってくださいね。


【第一部】
第一楽章ファンファーレからいきなりギクシャク感のスローとおとなしい葬送行進曲、第一トリオでは表情を変えますが緩めです。第二トリオは弱音で入り柔らかな印象で個性的です。
第二楽章第一主題も抑え目でギクシャク、第二主題も静音,スロー&マイルドです。展開部から再現部もマーラーの「最大の激烈さを持って」とは無縁に切れ味排除です。クセ者第一部ですね。

【第二部】
スケルツォ主題もスローでhrはモタモタと、レントラー主題も微妙な揺らぎを感じます。それ以降もいきなりのテンポアップとか流れが読めず、見晴らしの良く無い残念な第二部です。

【第三部】
アダージェットは薄く細い流れで山場も抑える好みの演奏です。間を取りすぎなのは気になりますが、冷たく澄んだ流れは良いですね。
最終楽章の入りのhrは間を取り過ぎですね。その後は適度に主題を絡ませながら常識的に進んで(軽快感は低いですが)、展開部の山場を盛り上げます。再現部では山場・コーダを見事に〆ますが、ラストはあっさり風w。
とはいえこの第三部は1-3楽章より遥かにマシです。


スロー&マイルドと奇妙な揺さぶり、そして管楽器ギクシャクのおまけ付き。咳払いでもして喉のつかえを振り払いたい様なマーラー5です。

一癖モノがお好きなマニアックな貴方には、是非聴いていただきたい一枚ですw





マリス・ヤンソンス, Mariss Yansons (2録音)

ラトビア人指揮者ヤンソンスは、ムラヴィンスキーの助手を務めレニングラード・フィルでデビューしています。その後ほぼ同時期にロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(RCO)とバイエルン放送交響楽団二つの人気オケの首席指揮者を務めていましたね。
【後日記】2019年11月30日に亡くなられました。R.I.P. Maestro Yansons



(#1)

Royal Concertgebouw Orchestra
[RCO Live] 2007-10/18,21 2008-1/16,17


2004年から2015年までRCOの首席指揮者を務めた時代のライヴです。


【第一部】
第一楽章はややスローで落ち着いた葬送行進曲から第一トリオでは目醒めてテンポアップかつ激しさを見せます。第二トリオでは控えめな弦の音色から抑えめの流れですね。
第二楽章第一主題は切れ味良く、第二主題では第一楽章第二トリオの回帰でコントラストを付けています。殊更の重厚さと激しさは避けていますが、主流派的な第一部です。

【第二部】
ややスローなスケルツォ主題、レントラー主題は優美に推移し、第三主題も落ち着いています。展開部再現部も同様に控え目でスローな流れで、正統派ですが第一部同様ややシャープさに欠ける気がする第二部です。

【第三部】
アダージェットは、9分台前半の演奏時間(テンポ)も含めて、抑えの効いた情感で好きなパターンですね。
最終楽章は第一・第二主題がうまく絡みながらの落ち着いた流れで展開部の山場を抑え気味に、再現部の山場からコーダは壮大に、ラストのアッチェレランドは抑え気味ながらビシッと決めますね。この第三部が好みでしょうか。


スパイスに欠けるきらいは残るものの悠然と落着き払ったマーラー5です。全体として独特の個性を感じる演奏ですね。
最後にとって付けた様なアプローズは何でしょう?!w






(#2)
Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks
[BR Klassiks] 2016-3/10,11


2003年からヤンソンスが首席指揮者を務めるバイエルン放送響との2016年ライヴです。上記RCOの8年後のこの演奏は第四楽章以外は演奏が長くなっていますがそれを感じませんね。


【第一部】
葬送行進曲は適度なテンポと重厚さが付きました。第一トリオでも切れ味が増して、第二トリオも適度にテンポを確保しています。(第一トリオの途中でテンポダウンする特徴は同じですね) 
第二楽章第一主題は速さ控え目、第二主題はコントラストを付ける様に第一楽章第二トリオを回帰させます。第一楽章でより顕著ですが、RCO録音より切れ味が増して見通しの良くなった第一部です。

【第二部】
ゆったりとしたネルソンスのスタンスはそのままに、スケルツォ主題はよりリズミカル、レントラー主題は美しさを増しています。第三主題はゆったり構えた中に切れ味を増しました。スタンスはRCOと変わらずに聴き慣れた方向にシフトした第二部ですね。

【第三部】
アダージェットは9'を切り 速くなっていますが、ディナーミクを付けています。濃くなってしまった感じで残念です。最終楽章はRCOと良く似た傾向にありますね。


RCOに比べると処々でメリハリが付きより王道的なマーラー5になりました。鬼に金棒と見るか、没個性化と見るか…

根幹部分の悠然としたヤンソンスのスタンスは変わらないので、オケの個性と言えるかもしれません。ドイツのオケと組むとこういう傾向になるのは今までも他の指揮者*で聴いています。

*J-P.サラステ、M.シュテンツ、等がそうでしたね。








② 1960年代以前の古い録音です。
(録音はmono主体で、その良し悪しを問うのは意味がないでしょう)

圧倒的個性を放つシェルヘンの4CDは#2で紹介済みですw

ブルーノ・ワルター, Bruno Walter


New York Philharmonic
[Sony] 1947-2/10


(右はCBS録音のセット物です)

マーラーがハンブルク歌劇場の音楽監督(1891年ー1897年)だった時代、その下で研鑽したブルーノ・ワルター(1876/9/15 - 1962/2/17 )が唯一残したマーラー5番全曲 ニューヨーク・フィルの音楽監督時代の録音です。


【第一部】
クセのない葬送行進曲と第1トリオ、テンポ速めでその変化も少なめです。第2トリオも叙情を感じさせながらもテンポ変化はありません。第二楽章第一主題は激しさを増し、第二主題で叙情性強く変化させます。まさに王道です。

【第二部】
軽快なスケルツォ、レントラーも速めですね。第三主題はマーラーの「より遅く、落ち着いて」が見事に展開されます。15'ちょっとで、今聴き直すととても速い感じです。

【第三部】
7'半と短いのですが速く感じる事はなく、ゆったりと冷静なアダージェットで好みですね。最終楽章は軽量軽快な第一主題と第二主題が絡みながら上げて行き、展開部と再現部の山場はキッチリ盛り上げてコーダからフィニッシュまでは迫力いっぱいです。アッチェレランドを強烈に決めます。


全体的に速めですが、まさに王道のマーラー5ですね。今の時代の指揮者が繰り出すアゴーギクとディナーミクを剥ぎ取れば この演奏が現れます真髄で一聴必須です。
久しぶりに聴きましたが、聴き終わってから心に余韻が残りますね。

ワルターはアダージェットのみですが更に古い1938年録音をVPOと残しています。#1(参考資料)にインプレしています。





ディミトリス・ミトロプーロス, Dimitris Mitropoulos

New York Philharmonic
[delta] 1960-1/2


ワルターの後ニューヨークフィルの首席指揮者(1949-1958)だったミトロプーロスがその職責を退いた後の録音ですね。ワルターの13年後、バーンスタインの3年前のニューヨークフィルとのマーラー5です。


【第一部】
少し不思議な'間'のファンファーレとゆったりとした葬送行進曲、第1トリオは派手ですがテンポ変化は少なめ、第2トリオも情感的ですがテンポ変化は薄めです。第二楽章第一主題は速めで切れ味良く、一転第二主題で柔らかさを強調します。構えの大きな正統派第一部ですね。

【第二部】
速めで揺さぶりのスケルツォはオケが暴れ気味、レントラーでは優美さを見せます。速めで揺さぶりから第三主題もスローですがアゴーギク強めです。全体としても揺さぶりと華々しさの第二部です。

【第三部】
澄んだ音色のアダージェットは間をとって大きいスタンスです。第五楽章は提示部からスローに妙なアゴーギク、山場は派手に、コーダからフィニッシュはスローを交えながらのアッチェレランドです。


雄大で迫力の第二楽章は見事ですね。揺さぶりのクセが強めですが、パワーパートは華々しいマーラー5です





ルドルフ・ケンペ, Rudolf Kempe

Rundfunk-Sinfonieorchester Leipzig
[ARCHIPEL] 1948-11/3


ケンペとライプツィヒ放送交響楽団の古い演奏です。これもシェルヘンと同じ様にカット短縮盤です。シェルヘンの初録音(1953)よりさらに5年古く、当時の流れでしょう。


【第一部】
やたらスローなファンファーレと葬送行進曲、第1トリオもモッタリ、第2トリオは普通ですw 第二楽章第一主題はややテンポアップでコントラストが付きますが、いずれモタモタ〜ッとして長〜ぃ第一部です。

【第二部】
カットありの12分ですね。優美に入るスケルツォも同じ流れのレントラーも、その後も全体にもっさり。切れ味はありません。

【第三部】
ワルターと比べたら2分近く長いのですが、他の楽章が超スローなのでアダージェットは速く感じます。第五楽章はホルンが残念ながらメタメタで、その後もスローで怪しげです。一部カットしながら山場とコーダ・フィニッシュは普通に炸裂させています。


演奏も怪しげでモタモタ〜っとした少々退屈なマーラー5です。時代に関係なくこういった演奏が存在する証明ですねw 第三・五楽章カットもあり、怪しげマニアの貴方にはオススメ?!
アダージェットは悪くありません。





ハンス・ロスバウト, Hans Rosbaud

Kölner Rundfunk-Sinfonie-Orchester
[ica] 1951-10/22


大戦前後に活躍した現代音楽が得意な指揮者ロスバウトが、ケルン放送響を振ったマーラー5ですね。


【第一部】
スロー重厚な葬送行進曲から第1トリオは激しさと強烈な速さに表情を一変させます。第二楽章第一主題は一楽章トリオの流れで厳しく、第二主題は緩やかなテンポに落としてきます。第一楽章の二つのトリオの印象を忠実に再現させている感じで、締まりのいい第一部です。

【第二部】
速め優美なスケルツォ主題、それ以降も全体16’弱と速めですが第三主題は見事に緩やかです。アゴーギクを大きく振った第二部ですね。

【第三部】
アダージェットは少し速いのですが、甘美さが感じられます。最終楽章は締まりの良い前半から流れよく二つの山場を盛り上げます。コーダは壮大、ラストのアッチェレランドもビシッと決めます。


テンポや表情の変化を明確に打ち出した硬派のマーラー5ですね。特に第一部と第五楽章は素晴らしく、今の時代の録音なら☆です!





ポール・パレー, Paul Paray

Detroit Symphony Orchestra
[TAHRA] 1959-11/12


フランス人指揮者ポール・パレーが音楽監督(1952-1963年)を務め鍛えた時代のデトロイト交響楽団とのマーラー5です。


【第一部】
クセのない葬送行進曲と第1トリオ、第二楽章も同じく、正攻法の第一部です。気持ち速めの演奏はややまとまりの弱さを見せますが。

【第二部】
速めで不安定なスケルツォと微妙な揺らぎのレントラー、その後も全体速いです。カットなし15'ですから。

【第三部】
アダージェットはやや速く厚めです。第五楽章第一・二主題は荒々しいですが流れは標準的に進み、展開部・再現部も力技的に迎えます。コーダからラストは溜めを作ってアッチェレランドで飛ばし上げます。


演奏が荒いのですが、全体速めのテンポ以外は正攻法なマーラー5です。荒さは録音精度も問題ですがw
パレーの口ずさみがよく聞こえます。





ヤッシャ・ホーレンシュタイン, Jascha Horenstein

Berliner Philharmoniker
1961-8/31

非正規盤ですがフルトヴェングラーの助手を務めた事もあるホーレンシュタインが、1961年のエディンバラ国際フェスティバルでベルリンフィルを振った5番です。


【第一部】
スローでディナーミク強めの葬送行進曲、パワーとスピード感の第二主題でBPOらしさが出ています。第二楽章も同様の流れです。

【第二部】
スケルツォも軽妙というよりも華麗で重厚です。

【第三部】
アダージェットは「ベニスに死す」w。最終楽章はやや飽きが来る展開(録音が悪すぎてフラットになってる?)ながらコーダは見事な...と言いたい処ですが、スローでモッソリ。なおかつ録音が乱れて尻切れとんぼになっています。


演奏は勿体ぶったBPOらしさ満点で悪くないのですが音質は劣悪超酷いです、仕方ありませんね。





エーリヒ・ラインスドルフ, Erich Leinsdorf

Boston SO
[RCA] 1963-11


ワルターやトスカニーニの助手を務めた辛辣さで知られるラインスドルフが音楽監督を務めた時代のボストン交響楽団とのマーラー5です。この二代後が小澤征爾さんですね。


【第一部】
哀しみと美しさを感じさせる葬送行進曲、テンポを上げてシャープな第1トリオ、憂いの第2トリオと流れの美しい第一楽章です。ラストのティンパニが変則ですね。第二楽章は一楽章の二つのトリオのイメージを再現します。バランスの良さと落ち着いた第一部です。

【第二部】
円舞曲的なスケルツォ、優美なレントラー、第三主題と大きなテンポ変化は避けながらも全体は美しさで通しています。

【第三部】
8'半とやや速めなアダージェット、アゴーギクで美しく奏でられます。第五楽章は軽やかに二つの主題を絡め上げていき、バランスよく山場を盛り上げて、コーダからフィニッシュもアッチェレランドできれいにまとめます


録音に3日かけていて、充分に作り込まれていますね。クセも破綻も過度の興奮も殺した、落ち着きのある完成度の高いマーラー5です。出来過ぎ感が気になりますが一聴の価値ありです。

現在の一部作品に見られる録音技術で作り込まれた不自然さがないのがいいですね。'63年録音ですがステレオでバランスも音も良いです。(ADDでD.リマスターされているでしょう)





カレル・アンチェル, Karel Ančerl

Toronto SO
[TAHRA] 1969-11/4


カレル・アンチェルが小澤征爾さんの後を継いでトロント交響楽団の常任指揮者に就任した年の録音ですね。


【第一部】
標準的な葬送行進曲から元気な第1トリオになり、憂いの第2トリオの第一楽章。第二楽章も取り立てて個性的ではありません。

【第二部】
やたらとスローなスケルツォと怪しげな管楽器、その後も"緩々と怪しげ"な流れで20'を超える演奏は長すぎです。ぼーっとしていて気がついたら、まだやってた…みたいなw

【第三部】
ここでも標準的で甘美でもクールでもないアダージェットです。第五楽章は緩めに二主題を絡めて行き、山場とラストは締まりよく納めます。


演奏も怪しく締まりに欠ける退屈なマーラー5です。
'69年録音ですがmonoでAAD、音もかなり残念。ヒスノイズは削減されてはいますが。









③ 管弦楽以外の演奏です。
  マーラー5と言えるか微妙な演奏もありますが…

デイビット・ブリッグス, David Briggs

オルガン・ヴァージョン
[Priory] 1998-4/1, 2


イギリスのオルガン奏者で作曲家のブリッグスによる、オルガン編曲/演奏です。グロスター大聖堂のオルガニスト時代の演奏ですね。



申し訳ありませんが、これがマーラーの5番と言われても…
オルガン自体にもあまり興味が沸かないので、コメントのしようがありません
m(_ _)m





トレンクナー&シュパイデル・デュオ, Piano Duo Trenkner-Speidel
【後日追記】
ピアノデュオ・ヴァージョン
[MDG Gold] 2018-07


オットー・ジンガー(Otto Singer, 1863-1931)編曲版の四手ピアノデュオ・ヴァージョンがリリースされました。
この二人はマーラーの第1&2番も残していますね。またエフリンデ・トレンクナー(Evelinde Trenkner)は他のパートナー(Silvia Zenker)との交響曲6&7番が良く知られるところです。


【第一部】
ファンファーレから葬送行進曲はスカスカ、第一トリオは強音パートですが音厚が足りません。第二トリオも哀愁への変化率が低いです。
第二楽章第一主題も力感が不足、第二主題も変化が薄いですね。展開部の序奏が少し気配があるかもしれませんが、いずれ音に厚みがなく、かつフラットな演奏です。

【第二部】
スケルツォ主題も単音アルペジオは寂しい感じで、レントラー主題ももつれる様な印象です。それでも回帰する第一主題の変奏パートや第三主題変奏パートは聴けますね。第一部よりはpfにフィットしているかもしれません。コーダのフィニッシュはパワー不足、もっと低音も鳴らしてほしいですが。

【第三部】
第四楽章主部はpfに向いているのでは、と思いきや 流れる様な美しさが足りません。ポロポロとした音で優美さを欠くアダージェットです。
最終楽章は第一・二主題のフーガ的な絡みは上手くpfで表現していますね。でも展開部は長〜く感じ、再現部山場からコーダのpfはうるさく聴こえてしまいます。


表情・表現力の薄いピアノ版マーラー5です。もっとガッツリpfを唸らせるとか、跳ねる様なリズムを生かすとか、アゴーギクを振るとか、ヴィルトゥオーゾ性を加えるとか… すれば面白いのかもしれません。

ピアノ版なら第一楽章だけマーラーの演奏がピアノロールで残されている訳で、そちらをオススメしますね。(#1の参考音源にインプレあり)





ナタリア・アンサンブル, Natalia Ensemble

アンサンブル・ヴァージョン
[Cobra] 2016-4/24-26


グスタフ・マーラー・ユーゲント・オーケストラ(アバド創設)のメンバーが2013年に設立した室内楽団によるアンサンブル・ヴァージョンで、指揮者無しですね。


【第一部】
音圧は低いもののファンファーレはスローで響の良さがあります。葬送行進曲は緩やか穏やか、第一トリオではテンポアップが明瞭ですがパワー不足は否めませんね。第二トリオは室内楽らしい哀愁を感じられます。
第二楽章提示部第一主題は編成の薄さをカバーする切れ味があり、第二主題は小編成を生かしています。展開部はソロを使って興味深い聴かせ方が感じられます。このパターンはありではないでしょうか。

【第二部】
スケルツォ主題は見事にアンサンブルしていますね。レントラー主題も少ない編成が生きています。第三主題はそもそも小編成なので違和感がありませんね。展開部以降も同じですが、せっかくの室内楽らしさは少ないですね。何か+アルファ的なものを期待していたのですが。

【第三部】
アダージェットは予想通りにハープ五重奏曲的な流れになっていましたね。
最終楽章の第一・第二主題のシンプルな絡みは新鮮に感じます。コデッタも緩やかな流れで悪くありません。展開部は耳が慣れて来た様で編成の薄さは然程気にならなくなりました。再現部山場からコーダはこの編曲では金管の薄さが致命的ですが。


オケver.から引き算している感じで薄っぺらいマーラー5です。基本王道で楽器数が少ないパートは悪くない感じです。(小ホールの生で聴いたら案外行けるかも?!)

例えば多楽器パートでは極端に室内楽的トランスクリプションに大きく舵を切ったりすると、室内楽ならではのマーラー 5になったかもしれませんね。pfがもっと活躍しても面白そうです。

第四楽章トリオの弦楽四重奏など面白く、なんとか言いながら結構最後まで楽しみました







そろそろ所有のマーラー第五番も先が見えてきました。数枚の在庫、後は新譜と何かのチャンスで既発売品の入手になりそうです。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





ザルツブルク音楽祭2017 ヴェルディの歌劇「アイーダ」をNHKプレミアムシアターで観る

今年の夏のザルツブルク(Salzburger Festspiele)、ヴェルディのスペクタクル・オペラ『アイーダ, Aida』(全4幕) が茶の間で楽しめましたね。(もちろん深夜ではなく録画ですw)
注目は初のタイトル・ロールを演じる まん丸ネトレプコちゃんですね。

SalzburgerFestspiele2017-Aida.jpg
オフィシャルサイトより

演出

注目の演出はニューヨークで活躍するインスタレーション系の女性映像作家シリン・ネシャット。白と黒メインに一人アムネリスにシグナルカラーの配色、大きく単純な舞台装置にプロジェクションマッピングという演出は、シンプルな中に今の時代らしい「アイーダ」になりましたね。
"勝って帰れ"等、アイーダの独唱シーンでのPMは気持ちが生かされていました。またバレエだけは前衛っぽかった?!、でも生きていました。


舞台・衣装

舞台は大きな壁の様な装置がメインで光と影のシンプルさ。そこに投影される特大映像が浮き立ちました。衣装も時代考証や、殊更の現代性でもない抽象的シンプルなもので、舞台とのマッチが良かったですね。


配役

・タイトル・ロールのネトレプコ、言われている様に今や声の艶や太さと繊細さは声量と共に素晴らしいですね。46歳という年齢から言っても絶頂期でしょうか。
・ラダメスのフランチェスコ・メーリはネトレプコとのコンビが多いですが、ザルツブルグ音楽祭2014 同じヴェルディの「トロヴァトーレ」ではハイCがイマイチだったのが記憶にありますw でも、いつもながらのハリのあるテノールでしたね。
・アムネリスのエカテリーナ・セメンチュクのmezもネトレプコのsopとの重唱で幅広い声域を聴かせて、演技と共に良さが光りました。実質 今回のベストアクトレスでしょう。
・バス・バリトン陣では突出はいませんが、名脇役的な存在感がありバランスの良さを感じました。


音楽

リッカルド・ムーティとVPOは太い音色を響かせました。VPOというよりも、ムーティの印象でしょうか。バレエ曲ではVPOらしいスマートさを感じました。


屋外ステージの様なスケールの大きさが浮かぶアイーダですが、現代的シンプルさで従来とは異なったアイーダになった感じです。売りの一つであるスペクタクル感には欠けたのは残念ですが、仕方ないかもしれません。
配役はネトレプコだけでなくバランスの良い顔ぶれでアイーダらしい多重唱も楽しませてくれました。それにしても、毎度書いていますが、今やコロコロしてしまったネトレプコも今回はセメンチュクが居て良かったかもw


<出 演>
 王ファラオ  : ロベルト・タリアヴィーニ (Roberto Tagliavini)…エジプト国王
 王女アムネリス: エカテリーナ・セメンチュク (Ekaterina Semenchuk)
 アイーダ   : アンナ・ネトレプコ (Anna Netrebko)…エチオピア王女で今は奴隷
 ラダメス   : フランチェスコ・メーリ (Francesco Meli) …指揮官
 ラムフィス  : ディミトリ・ベロセルスキー (Dmitry Belosselskiy)…祭司長
 アモナスロ  : ルカ・サルシ (Luca Salsi)…エチオピア王

<合 唱> ウィーン国立歌劇場合唱団
<管弦楽> ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
<指 揮> リッカルド・ムーティ (Riccardo Muti)
<演 出> シリン・ネシャット (Shirin Neshat)


収録:2017年8月9・12日 ザルツブルク祝祭大劇場(オーストリア)


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





2017年11月8日 ハンヌ・リントゥ/都響 の シベリウス『クレルヴォ交響曲』at 東京文化会館

曇り空の東京 上野、今日は久しぶりの東京文化会館です。フィンランド・セット&都響の今夜は楽しみでした。

20171108_TokyoBunkakaikan01.jpg 20171108_TokyoBunkakaikan02.jpg

ストーリー(あらすじ)や楽章の内容はベルグルンド/ボーンマス響の"KULLERVO"でインプレ済みですので、ご覧ください。今回は結構聴き込んできました。


クレルヴォ交響曲 Op.7

劇的なクレルヴォでした。何と言っても第三楽章の声と音の厚みに圧倒されましたね。主役はフィンランド ・ポリテク男声合唱団の百人合唱の迫力で、その声量声圧に負けないハンヌ・リントゥと都響の劇的展開も素晴らしかったです。ニーナ・ケイテル(sop)とトゥオマス・プルシオ(bar)も感情溢れる独唱で応えてくれました。

【第一楽章】導入部 Johdanto (Allegro moderato)
 全体やや速めで音の厚みを感じる流れ。でも再現部後半の激しさとコーダの静けさのコントラストは弱く感じられました。
【第二楽章】クレルヴォの青春 Kullervon nuoruus (Grave)
 ともすると間延び感のあるロンド形式の緩徐楽章前半ですが厚みのある音で聴かせましたね。主部の回帰では激しさと静けさのバランスを見せました。
【第三楽章】クレルヴォとその妹 Kullervo ja hänen sisarensa (Allegro vivace)
 踊る五拍子リズムから強く入り、圧倒的な大合唱が旅するクレルヴォを歌います。山場は、身の上を歌うN.ケイテルの後半からT.プルシオ。情感強く、また激しい調子で感情を歌い上げ、まるでオペラの様でした。特にプルシオは声量も見事でしたね。
リントゥは全体パワー系とも思える強烈な劇的表現で都響を鳴らしました。
【第四楽章】戦いに向かうクレルヴォ Kullervon sotaanlähtö (Alla marcia)
 軽快さよりもパワーのスケルツォ。何と言ってもコーダからフィニッシュが雄々しく爆裂で見事でした。
【第五楽章】クレルヴォの死 Kullervon kuolema (Andante)
 森の中を歩き妹の最後の場所へたどる道を歌う合唱には悲しみがこもりました。剣に死を問い その死までは激しく、ラストの管弦楽の後での合唱は大きく死を歌い劇的な締めくくりとなりました。


フィンランディア Op.26 (予告アンコール)

 中間部のフィンランディア賛歌合唱付きは初めて聴きますが、とても合っていました。ラスト1'の主部の再現では大迫力‼︎ もちろん大喝采!!


素晴らしい演奏会でした。クレルヴォは歌詞を知って聴くと悲しみ深く感じますが、リントゥは厚め側ディナーミクを最大限生かす激情型。好みは別れるかもしれません。でも、コンサートならではの一体感ある盛り上りが感じられました。そこが一番ですね。

『フィンランディア』に喰われるかと心配もありましたが、その心配は杞憂でした。アンコールにぴったりの位置付けで楽しませてく良かったです。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





ハンヌ・リントゥ/都響の公演を前に、シベリウスのクレルヴォ交響曲を聴いておきましょう

ジャン・シベリウス(Jean Sibelius, 1865/12/8 - 1957/9/20)の『クレルヴォ交響曲 Op.7』、明後日のコンサートを前に予習ですねw

北欧叙事詩『カレワラ (全50章)』の第31−36章がクレルヴォですが、シベリウスはクレルヴォと妹の近親相姦にメインテーマを入れ替えてある様ですね。(妹の死のシーン・詩の改変他)


あらすじ = 全五楽章

《第一・二楽章:演奏のみ》カレワラ 31-34章
一家殺害されたカレルヴォの息子クレルヴォは幼くして一人残され、仇敵ウンタモへの復習を誓います。生き延びたクレルヴォは鍛冶屋に売られますが、父の形見のナイフで鍛冶屋の妻を殺します。逃げ出したクレルヴォは、森の中で父カレルヴォと母が生きていた事と妹が行方不明である事を知ります。

《第三楽章:ソプラノ・バリトン・合唱》35章
メインパートです。租税納めの帰り道、クレルヴォは若い娘を誘惑し一夜を共にしますが、それが妹と知り絶望します。(妹は自害しますが、シベリウスはカットしています)

《第四楽章:演奏のみ》36章
全ての責をウンタモと捉えたクレルヴォは怒りに燃えウンタモ一家復讐へ向かいます。(両親の死も、ウンタモの復讐もカットされています)

《第五楽章:合唱》36章
ウンタモ一家に復讐を果たし、森を歩くクレルヴォは妹への呵責の念から自害します。


パーヴォ・ベルグルンド / ボーンマス交響楽団
 Paavo Berglund / Bournemouth Symphony Orchestra の古い全集にしか所有がありません。

KULLERVO / Jean Sibelius

【第一楽章】導入部 Johdanto (Allegro moderato)
 後期ロマン派的な明確な音と、初期から見られる北欧的な風景感のある流れの中に主題がに現れます。展開部・再現部もその流れの組み合わせですね。再現部後半は激く、全休符からのコーダは静けさで閉じられます。(鍛冶屋の妻の殺害と脱出でしょうか)

【第二楽章】クレルヴォの青春 Kullervon nuoruus (Grave)
 緩やかで美しい緩徐楽章でロンド形式、トリオでは表情を変えます。主部の回帰で激しさと静けさの組合せとなり、両親と再会の衝撃かもしれません。

【第三楽章】クレルヴォとその妹 Kullervo ja hänen sisarensa (Allegro vivace)
 女性を求める心踊る五拍子リズムから入り、合唱がクレルヴォの動きを歌い続けます。その間にクレルヴォと女性(2人)の出会いでは短くやりとりが交わされます。三人目の娘(妹)が金銀に惹かれクレルヴォの欲望に捉えられるシーンから合唱はリズムとトーンを落とし管弦楽が流れます。その後、静かなオケをバックに身の上話が独唱されていきます。妹が身の上を語るのが終わると(本来はここで川に身を投げます)、クレルヴォは激しい調子で後悔の念を歌い上げます。

【第四楽章】戦いに向かうクレルヴォ Kullervon sotaanlähtö (Alla marcia)
 スケルツォですが途中(トリオor展開部?)では戦闘モードの旋律に変わります。コーダからフィニッシュは雄々しく締めます。

【第五楽章】クレルヴォの死 Kullervon kuolema (Andante)
 悲しみのこもる合唱が森の中を歩き妹の最後の場所へたどる道を歌います。自らの剣に死を問い、死を迎えるまでを激しく、管弦楽の後で合唱が大きく死を歌い終息します。

シベリウスらしい北欧風景感のある流れと後期ロマン派的な明確な音の展開がありますね。標題音楽ですから、話の流れをイメージして聴くと楽しさが増します。(途中の勝手な解釈は大目に見てください)
第三・五楽章は歌詞*があり、特に第三楽章は素晴らしいので、しっかり目を通しておくのは大切になりますね。


*コンサートで配られる月間都響No.338(10-11月号)の対訳はとても参考になりました
 (PDF版には入っていませんね)

コンサート当日一番不安で楽しみなのは『フィンランディア』がアンコールで準備されている事です。このコンサート受けする楽曲をアンコールでやるとメインが霞むのはいつもの事ですから…



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