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2017年6月30日 大野和士/都響, アルディッティ弦楽四重奏団 at 東京オペラシティ ★★★

梅雨で天気が今ひとつの中、第835回 定期演奏会Bで初台へ行ってきました。

20170630TokyoOperaCity.jpg

今回のポイントは明確ですね。
1) 先週に続くアルディッティSQの日本初演
2) 昨年(2016年6月9日)の大野/都響で演奏した以下二曲の延長戦
 ・歌劇『ピーター・グライムズ』「4つの海の間奏曲」
 ・スクリャービン / 法悦の詩 交響曲第4番
 (前回は迫力パートの素晴らしさと引き換えに静音パートの情感不足を感じましたが)



ブリテン:パッサカリア 歌劇『ピーター・グライムズ』より Op.33b (1945年)
全体的に強音構成でしたね。
 『ピーター・グライムズ』Op.33 第2幕第2場への間奏曲ですね。前回の「4つの海の間奏曲」をOp.33a として、この二曲を作品番号にa,bで抜き出し管弦楽曲としてあります。
6-7分の小曲、ベース低音の上に現れる各楽器の旋律とクレッシェンド、そして沈黙へ。初めから明瞭な鳴りで始まり、ラストの静音でも、消え入る様な様子はありませんでした。


細川俊夫:フルス (FULSS, 河) ~弦楽四重奏とオーケストラのための(2014年)[日本初演]
細川さんらしい神経の様な細い線、そこに弦楽四重奏の脳神経の刺激ような切れ味が絡み、最後は同期して巨大生命の覚醒なごとく。素晴らしいですね。
 アルディッティQに献呈された弦楽四重奏曲「遠い小さな河」を元に、40周期年記念に再び献呈された弦楽四重奏協奏曲ですね。恥ずかしながらの初聴きです。
静音でロングトーン、ロングボウイングのオケにアルディッティのトリルやグリッサンドが刺激します。そのままオケも同調する様に技術的にもクレシェンドしながら進み、キレキレの弦楽四重奏のカデンッアへ。そして渾然一体となります。


スクリャービン:交響曲第3番「神聖な詩」 Op.43 (1904年)
大野和士さんのスタンスが曲にぴったり合った最高の演奏でしたね。派手さが生き、テンポ、拍子の作る流れも素晴らしかったです。
闘争」序奏のtb,tpが特徴的な雄叫びを上げたあと、明確な音色にテンポを上げピチカートをバックの第二主題を伸びやかに、展開部から再現部も派手さ中心に展開します。
官能の悦び」で緩やかな流れに一変すると、トリオでは管と弦の対比を迫力で見せて、穏やかな調べから収束します。
神聖な遊戯」へは全く切れ目無くつながり、跳ねるtpのリズム主題を生かしてテンポアップします。派手さを押し出しながら表情を変化させて壮大なコーダからラストはトゥッティは雄大です。大野さんはティンパニの連打を強く残しながらのトゥッティ2発で締めましたね。




まずはフルスでしたね。繊細さから渾然の一体感へ。アルディッティSQが先週よりも鋭い切れ味が光りました。細川さんが登壇したのも嬉しかったです。スクリャービンは事前に迫力のスヴェトラーノフと爽快なゲルギエフを聴いておきましたが、それらを上回る素晴らしい演奏でした。
一曲目は情景から行くともう少し陰鬱さが欲しい気がしましたが、それを差し引いても晴らしいコンサートに違いありませんね。




都響のページには、わかり易い各曲解説があります。


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





マーラー 交響曲 第5番 名盤・珍盤 180CD聴き比べ [#11 : 151-160]


マーラー(Gustav Mahler, 1860-1911)交響曲第5番の聴き比べも今回の10CDで160CD(含DVD/BD)まで来ました。まだありますね。


Mahler Symphony No.5 -- 180 CDs

 ★:名盤 (一般的いわれている…と思う盤)
 ☆:個人的お勧め
 ㊟:とっても変わっています (普通の演奏じゃ満足出来ない貴方にw)


 #1:15CD
バーンスタイン[x5 ★☆], カラヤン[x3 ☆], プレートル, 小澤征爾, ジンマン, モリス[㊟], ブロムシュテット, ドゥダメル, ドホナーニ, マーツァル[x2], 参考音源/資料類
 #2:20CD
M.T.トーマス, テンシュテット[x6], ベルティーニ[x2 ㊟], ノイマン[x3], 小林研一郎[x4 ☆], シノーポリ, 井上道義, ザンダー[x2]
 #3:25CD
インバル[x4], セーゲルスタム[☆], ノット, ダーリントン[☆], ルドルフ・シュワルツ, スワロフスキー[㊟], レヴァイン, 外山雄三, ノリントン, ロジェヴェン[㊟], ズヴェーデン, 飯森範親, 尾高忠明, 若杉弘, ルイージ, ホーネック, ヴィト, シェルヘン[x4 ㊟]
 #4:20CD
ハイティンク[x4], ブーレーズ[x3 ★㊟], メータ[x3 ☆], クーベリック[x3], ショルティ[x3 ★☆], バルビローリ[x2], デプリースト, バルシャイ[☆], バレンボイム
 #5:5CD アバド追悼
アバド[x5 ★☆]
 #6:15CD
マゼール[x3], ナヌート, テミルカーノフ, スウィトナー, 上岡敏之, 井上喜惟, 西本智実, ベシェック, N.ヤルヴィ, アルブレヒト, I.フィッシャー, 堤俊作, フェルスター
 #7:10CD
ガッティ[㊟], レヴィ, コンロン, リットン, ファーバーマン, クライツベルク, アブラヴァネル, フェルツ[㊟], 大植英次, マッケラス
 #8:15CD
サラステ[x2 ☆], ギーレン[x2 ㊟], M.シュテンツ[x2], ジェラード・シュワルツ[x2], ヘルビッヒ[x2 ㊟], フェドセイエフ, リンキャヴィチウス[㊟], フリーマン, タバコフ, ラート
 #9:15CD
カサドシュ, ヘンヒェン, ノイホルト, インキネン, コンドラシン[x2], オストロフスキー, ポポフ[㊟], ミュンフン, マック・カーロ, オラモ, ダニエル, アルミンク, アシュケナージ, ヴァイネケン, ヒルシェ
 #10:10CD
ゲルギエフ[x4 ☆], ラトル, ジークハルト, ロンバール, マデルナ[㊟], リーパー, 山田 一雄
 #11:10CD 本投稿
シャイー[x2 ★], スラドコフスキー, シーヨン, ワールト, エッシェンバッハ, シップウェイ, P.ヤルヴィ, ネルソンス, スターン
 #12:20CD
バリエンテ, 佐渡裕[x2], 大野和士, ハーディング, A.フィッシャー[☆], ロト, スヴェトラーノフ[x2], ヴァンスカ, ヤンソンス[x2 ★], ワルター[☆], ミトロプーロス, ケンペ, ロスバウト, パレー, ホーレンシュタイン, ラインスドルフ, アンチェル, ブリッグス(オルガン), トレンクナー&シュパイデル(ピアノDuo), ナタリア(アンサンブル)




リッカルド・シャイー, Riccardo Chailly (2録音)

日本でも人気のシャイー。イメージはロイヤル・コンセルトヘボウとゲヴァントハウスですね。その両オケとマーラーの5番を残しています。



(#1)

Royal Concertgebouw Orchestra
[Decca] 1997-10


常任指揮者(1988-2004)を勤めていた時代のロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団とのマーラー5ですね。


【第一部】
晴れやかなファンファーレからスローでディナーミクの葬送行進曲、第一トリオも激しさより華やかな鳴り、第二トリオの哀愁も美しさを感じますね。
第二楽章第一・第二主題の対比は標準的ですが、音に艶やかさがあります。展開部"烈→暗→明"のコントラストも、再現部第二主題のピークも、鳴りの良さと落ち着きが光ります。

【第二部】
スケルツォ主題はゆったり大きく、レントラー主題は緩やか優美そのもの。第三主題も美しさと僅かに感じる哀愁、変奏パートもアゴーギクがフィット。展開部ではテンポアップでスッキリさせて、再現部は華やかな第三主題からコーダを派手派手しく飾り立てます。優美なスケルツォを代表する素晴らしい第三楽章ですね。

【第三部】
第四楽章は落ち着いて甘美さを抑えたクールな美しさのアダージェットです。イイですね。
最終楽章提示部二つの主題をスッキリと見晴らし良く、展開部も入りから派手に速めに進みピークを快感に鳴らします。再現部山場からコーダは盛大です。見晴らし良い第三部です。


晴れやか華やかなマーラー5です。激しさも哀愁も、それ以上に鳴りの良さが際立ちますね。その手の方向性が好きな方にはベスト・マッチでしょう。

落ち着いて音が華やかなのはコンセルトヘボウらしさが発揮されているのでしょう。やっぱりでしょうかねェ






(#2)
Gewandhausorchester Leipzig
[Accentus] 2013-2/21,22 DVD


RCOから16年後、カペルマイスター(2005-2016)を務めたライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団との映像付き録音になります。


【第一部】
葬送行進曲は少し速くなっていますね。第一トリオは程よい激しさになり、第二トリオ哀愁も落ち着いた流れになっています。
アタッカで入った第二楽章第一主題は切れ味鋭く、第二主題はやや速めながら哀愁はマイルドです。展開部・再現部も基本の流れがシャープさになって、コントラストが明快です。気持ち良い主流派の第一部になりました。

【第二部】
スケルツォ主題はリズムカル華やかに、そしてレントラーの優美さへ繋ぐ流れの良さ。第三主題オブリガートホルンは朗々と、ここはRCOより見事。変奏パートもシャープなアゴーギクです。続く展開部と再現部も三主題の間に切れ味でコントラストを付けています。もちろんコーダはハイスピード疾走です。RCOの優美さから 締まってシャープなスケルツォになっています。

【第三部】
主部は速めで甘美さを避け感情抑え気味、途中アゴーギクとディナーミクで濃厚な流れも見せる少し変則的なアダージェットです。
最終楽章も提示部でフーガ的良い流れを上手く作り、展開部は終始切れ味良く、再現部の山場、そしてコーダ・フィニッシュをキレキレに仕留めます。(シャイーはプレストを生かすためにラストのアッチェレランドを否定していますね。それでもしっかり走らせていますが)


王道で完成度の高いマーラー5ですね。明らかにドイツ・オケのマーラーらしい切れ味の演奏で快感を味えます。

RCOとゲヴァントハウス、二つのオケの個性を見事に引き出したシャイーの素晴らしさですね。指折りの二つなのにを付け難いのは、独自の個性(クセ?!)を感じないからかもしれません。

このセットで2014年に来日、マーラー第7番良かったですね。




アレクサンドル・スラドコフスキー, Alexander Sladkovsky

Tatarstan National Symphony Orchestra
[Melodiya] 2016

7CDsetで、マーラーの1, 5, 9番をコンドラシンとの聴き比べBOXです。コンドラシンの第5番がモスクワ・フィルになっていますが間違いで、ロシア国立交響楽団が正解です。(by Kaplan Foundation)

ロシア人指揮者スラドコフスキーが首席指揮者・芸術監督を務めるタタルスタン国立交響楽団を振ったマーラー5ですね。


【第一部】
少し揺さぶりを入れたファンファーレから淡々とした葬送行進曲も僅かなアゴーギクを感じます。第一トリオはスタンダードな激しさ、哀愁の第二トリオは速めあっさりから揺さぶります。
第二楽章第一主題は速めで強音主体、第二主題はあっさり風味です。展開部は第二主題の揺さぶり、すんなり行くかと思った再現部も山場に揺さぶりでクセを見せますね。不安定な流れで落ち着かない第一部です。

【第二部】
スケルツォ主題は微妙なリズムを与え、レントラーは優美ですが僅かに揺さぶりを入れています。すでに耳が疑って素直に聴けなくなっています。第三主題は変奏パート含めクセが無いのですが、短い展開部はテンポ変化を付けます。再現部の三つの主題も強いテンポ変化になり、コーダは猛烈。何が焦点なのか不明な第三楽章です。

【第三部】
第四楽章はスローで奇妙〜な揺らぎと、山場・ラスト大音響の超変則アダージェットです。これはかなり変わってますねェ。
第五楽章はまず第二主題が速くコデッタでスローにと中途半端、展開部では不自然な揺さぶりをトッピング、再現部は見事に正攻法でコーダはしっかりアッチェレランド、なんとも中途半端な最終楽章です。


方向性がバラバラで落ち着かないマーラー5です。随所に振られたテンポ変化から、丸々スタンダードなパートもあったりディナーミクも利かせたりと、流れが定まらりません。

そんな中アダージェットだけは強烈なクセで魅せてくれましたw





ソン・シーヨン, Shiyeon Sung

Gyeonggi Philharmonic Orchestra
[DECCA] 2016-6/9


韓国人女性指揮者シーヨンが首席指揮者を務める京畿道立オーケストラを振った演奏です。残念ながら両者知見がありません。


【第一部】
僅かにアゴーギクを感じる葬送行進曲、第一トリオは速めでややバランスに不安を残し、スタンダードな第二トリオからの静的収束はどこかまとまりの弱さが残ります。
第二楽章は提示部の第一・第二主題も、展開部"烈→暗→明"のコントラストも、再現部の両主題も ほぼ標準仕様ですが、何処かオケの不安定さが気になる第一部です。

【第二部】
スローなスケルツォ主題は間延び感、レントラー主題はスロー揺さぶりです。第三主題オブリガート・ホルンの音色がこのオケを象徴している感じで、それなりに聴こえる中に何処か不安定さを感じさせます。一部スロー以外は概ね標準的ですが何処か不安感の第三楽章です。

【第三部】
第四楽章は染み入る様な美しさですが、不安定なスローが落ち着かないアダージェットです。
第五楽章は第一主題スローから第二主題でテンポを戻しますが、一体感を欠く慎重さを感じます。展開部は標準的ですがモッソリ、再現部山場からコーダはこの曲らしさです。最後まで気持ち良く聴かせてくれませんでしたね。


不安感を残す慎重な運転のマーラー5です。流れは標準仕様に多少のスローをスパイスにしていますが、特徴的なものはありませんね。あるとすれば全て一体感の弱さに集束されている感じです。

至る処に心許なさが残り、スカッとした見晴らしの良さが欲しいと思いました。





エド・デ・ワールト, Edo de Waart

Netherlands Radio Philharmonic
[RCA] 1992-10/17



(個人的所有は下の全集になりますね)
mahler-EdoDeWaart.jpg

オランダ人指揮者エド・デ・ワールトがオランダ放送フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者を務めていた時のマーラー・チクルスからの演奏です。


【第一部】
スローで憂いのある葬送行進曲から第一トリオではバランス良い派手さ力感に、第二トリオは哀愁感が強めになっています。
第二楽章は手堅く鳴らす第一主題と落ち着いたスロー第二主題であっさりとした提示部。展開部も"烈→暗→明"をクセなくコントラスト弱めに、と 淡白でスローが気になる第一部です。

【第二部】
スローで軽妙なスケルツォ主題、レントラー主題は優美さがピッタリとフィットしています。第三主題はオブリガートホルンと弦楽が緩やかに、変奏パートもスロー基調、その流れを締める展開部はしっかり鳴らして上手いコントラストです。再現部からコーダも締めるパートは切れ味を見せますが、スローな平坦さが今ひとつのスケルツォです。

【第三部】
第四楽章主部は緩やかなアゴーギクで澄んだ音色、中間部は透明感が光ります。全体リタルダンドの心地良いアダージェットで今回一の楽章です。
最終楽章は両主題を程よいテンポで絡める本道的、安心しますね。でも展開部は緩く入るでのガクッw 再現部山場からコーダはスローで高らかに、ラストはアッチェレランドでビシッと締めます。


スロー&淡白のパートがもどかしいマーラー5です。ワールトらしく興奮を避けたのがこの曲では裏目に出ている感じでしょうか。もちろん急所は締めているのですが…

以前はこの穏やかさとのコントラストが良いと思った事もあるのですが、やっぱりもう少し弾けた締まりが欲しいですね。





クリストフ・エッシェンバッハ, Christoph Eschenbach

North German Radio Symphony Orchestra
[ELS] 2001-1/12

ピアニストにして指揮者、エッシェンバッハが北ドイツ放送交響楽団(現:NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団)の首席指揮者(1998–2004)を務めていた時のマーラー5です。所有は残念ながら非正規盤ですが、他に正規録音盤を2枚出しています。(未所有です)


【第一部】
引っ張る様なアゴーギクのファンファーレから鬱の葬送行進曲ですが、微妙なアゴーギクでファンファーレが入ると暴れます。第一トリオは約束通りのテンポアップ、第二トリオもクセのない哀愁になっていて安定感があります。その間の主部回帰は揺さぶっていますが。
第二楽章第一主題は少し荒っぽさも見せて面白さがあり、第二主題は穏やかな哀愁です。展開部ではvc動機の静スローを強調、再現部はSTDな印象。標準的流れにアゴーギクの色添えの第一部です。

【第二部】
スケルツォ主題は軽快で舞踏的、レントラー主題は軽妙洒脱でバランス良く、第三主題のオブリガートホルンと弦楽はスローで落ち着いた流れと、コントラストが良い提示部です。展開部は一気に明るさを増して弾け、再現部は落ち着いた流れ。コーダは炸裂です!!三主題のコントラスト付けが上手い第三楽章です。

【第三部】
第四楽章主部は透明感あるスロー静美、中間部も繊細さが光ります。感情を抑えたクールで好きなアダージェットです。
第五楽章は序奏を揺さぶって入り、テンポ速く二つの主題を絡ませてコデッタも速いです。展開部は入りから力感を入れて来るパターン。再現部冒頭第一主題回帰は変則的スローですが、山場からコーダは荒っぽさを生かして鳴らし、フィニッシュはアッチェレランドを決めます。


標準仕様+αで気持ちの良いマーラー5です。多少の荒っぽさやアゴーギクのトッピングがフィットして、その+α要因になっていますね。

DDDstereoとあって放送音源かもしれませんが、非正規盤としては十分な音質でしょう。





フランク・シップウェイ, Frank Shipway

Royal Philharmonic Orchestre
[RPM] 1996


所有盤とは異なりますが、同録音かと...(Kaplan Foudationにより録音は1996年一回です)

シップウェイがロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団を振った英国セットの演奏です。


【第一部】
繊細さからディナーミクを振るコントラストある葬送行進曲、第一トリオはテンポアップで派手に鳴らし、第二トリオの哀愁は鋭さを感じます。
第二楽章第一主題は怒涛に、第二主題はスロー静に極端に落とします。展開部の"烈→暗→明"のコントラストは極端で、vc動機はppppくらいに感じますね。再現部第二主題のピークはキンキンする金管がすごいです。極端なコントラスト付けの第一部です。

【第二部】
管楽器が華やかに鳴らすスケルツォ主題は速め、レントラー主題は弦楽の静優美でホッとします。第三主題のオブリガートホルンはスロー静に鳴らし、弦楽との協調を上手く作っていますね。展開部は本領発揮のギラギラした激しさを見せ、再現部も金管群が目立ちます。コーダはもちろん爆裂キンキンです。スケルツォとは思えないド派手な管楽器が目立ちます。

【第三部】
第四楽章主部は静スローの冷たい空気感でgood!すが、ピークではスローでドッシリと構えます。12.5'かかりクセの強いアダージェットですね。
第五楽章は二つの主題が切れ味よく上げて進み、コデッタ主題も優美ながら速めです。展開部は予想通り華やかに進めて山場は管楽器がキンキンに鳴らします。再現部山場からコーダはタメを作って、フィニッシュのアッチェレランドです。


ギラギラ宝飾品的なマーラー5です。アゴーギクとディナーミクを最大限使い、管楽器が突き抜ける様に響き渡ります。演奏・録音の完成度も高く、類型の浮かばない面白さがあります。

個性派マーラー5の一枚ですね。ですか? それはないかと…
20bit録音32bit編集を売りにした作り込みによる多少の不自然さは我慢が必要ですから。





パーヴォ・ヤルヴィ, Paavo Järvi

Frankfurt Radio Symphony Orchestra
[major BD] 2011-6/25,26


当時首席指揮者(2006-2014)だったパーヴォ・ヤルヴィがフランクフルト放送交響楽団(現:hr交響楽団, hr-Sinfonieorchester)を振ったマーラー5です。所有はBD(第6番とカップリング)で、DVDもありますがCD発売がありませんね。


【第一部】
標準的な葬送行進曲から、第一トリオはテンポアップを強めますが、第二トリオの哀愁は程々に戻します。
第二楽章第一, 第二主題は一楽章トリオ再現的、展開部はvc動機スロー強調的。通してSTDに僅かにテンポを振った第一部です。

【第二部】
スケルツォは真面目さ、レントラー主題も入りはスローで少し揺さぶります。両主題に欲しい洒脱さが見えませんね。第三主題はhrが美しく鳴らし、変奏パートはスローのアゴーギクです。*オブリガート・ホルンは指揮者横の起立演奏でソロの扱いですね。展開部冒頭でスローの個性を見せますが一瞬です。コーダは鳴らしますが炸裂感はありません。まとまり良くクセの少ないスケルツォ楽章ですね。
*オブリガートホルンをソロ風にコンマスの横に置いたのはメンゲルベルクが実施したわけですが着座でしたね。

【第三部】
第四楽章は暖色系の美しい流れで、夏の夕暮れに静かに夕焼けを見る様なアダージェットです。
最終楽章は極STDな流れの提示部、展開部もクセは皆無で気持ち良く鳴らして、再現部の山場からコーダは雄大。ラストのアッチェレランドも決めました。でも、まとまり過ぎでLIVEならではの一体感や熱狂がありませんね。


まとまり良い標準仕様のマーラー5です。完成度も高いのですが、惹きつけられる個性やコンサートの一体感・情熱が見当たりません。

作り込んだセッション録音みたいですが、初めて聴くなら絵付きでグッド・チョイスの一枚かも。





アンドリス・ネルソンス, Andris Nelsons

Lucerne Festival Orchestra
[accentus DVD] 2015-8/19, 20


(所有はDVDサイズのデジパック仕様ですが...)

ラトビア人指揮者ネルソンスが、2014年に亡くなったアバドの後を受けてルツェルン祝祭管弦楽団を振ったマーラー5ですね。所有はDVDでCDは出ていない様です。


【第一部】
力感のファンファーレから憂いを帯びたスローの葬送行進曲、第一トリオはテンポと切れ味を上げた心地良い広がりになりますね。第二トリオの哀愁は静美に鎮めて入って広げます。
第二楽章は第一主題の激しさに始まり第二主題では緩やかな哀愁を奏でます。展開部はバランス良い序奏・vc動機・第二主題のコントラストで、再現部はコントロールされた激しさがイイですね。バランス良く鳴りの美しい第一部ですね。

【第二部】
スケルツォ主題は速め優美、レントラーは緩いアゴーギクで美しさが溢れます。第三主題オブリガート・ホルンの鳴りも良く、穏やかさの提示部です。展開部も激しさほどほどで広がりある快適さ、再現部も三つの主題を優美に並べる感じです。心地良さが印象的なスケルツォ楽章です。コーダはコントロールある切れ味がフィットしていますね。

【第三部】
第四楽章主部は緩やかなアゴーギクが作るスロー静美、山場も抑えて中間部は一層澄んだ透明感、静でクールな美しさのアダージェットです。
第五楽章も第一・二主題は優美さを感じる絡みで、もちろんコデッタ主題はより優美に。展開部も程良い力感でゆったりと昇り、山場は鳴り良く広げます。再現部主題部はスロー、テンポアップで山場からコーダは急がず高らかに、フィニッシュは力感抑え気味ながらアッチェレランドを決めました。

拍手喝采、最後はスタンディングオベーションで、指揮者への拍手では演奏者は起立を譲り足踏みで答えるという最高のコンサートの姿がありました。


鳴りが良く広がりを感じるマーラー5です。管楽器を始めとする演奏も程良くまとまり、音質の良さもあって心地良さが味わえますね。

激しさよりも心地良さで、その手の演奏が好きな方にはおすすめ出来る一枚です。

BD盤もあります。えっ、高いですねェ。




マイケル・スターン, Michael Stern

Rundfunk Sinfonieorchester Saarbrücken
[SR] 1997-7/12


米人指揮者スターンが*ザールブリュッケン放送交響楽団の首席指揮者に就任して1年後の演奏ですね。*現 ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団(Deutsche Radio Philharmonie Saarbrücken Kaiserslautern)


【第一部】
葬送行進曲は速めながら落ち着いて、第一トリオでは適度な激しさ、第二トリオも速めの哀愁ですがいずれも違和感はありません。
第二楽章も速い第一主題から、第二主題もマイルドな哀愁ながら速め。基本速めの中、展開部のvc動機はやっぱり静音スローですね。それでも少し速いかも。丁寧で速い流れの第一部です。

【第二部】
スケルツォ主題はhrも朗々とした心地良さ、レントラー主題も優美な弦楽奏、いずれも速めですね。第三主題のオブリガート・ホルンと弦楽のバランスがgood、弦楽はアゴーギクを利かせます。展開部は速めがフィットしてスカッとしていますが、再現部は各主題のコントラスト付けにもう少しメリハリが欲しい気がしますね。コーダもまとまり過ぎの感じです。全体速めながらしっかりスケルツォしている第三楽章です。

【第三部】
第四楽章主部は一人静かに森林の温泉を楽しむ穏やかさ、中間部もクールな美しさに決めています。流れ一転のスロー、暖色系の美しいアダージェットです。
最終楽章は速めのリズムで二つの主題をフーガ風に絡めコデッタは優美に、見晴らし良い提示部です。展開部は管楽器を良く鳴らして気持ち良く進め、山場は大きく。再現部山場からコーダはまとまり良く派手に鳴らし、アッチェレランドもビシッと決めます。LIVEとは思えない完成度ですね。


速めですが丁寧にまとめられて心地良いマーラー5です。完成度も高く、スロー&クールのアダージェットもイイですね。地味に好きな一枚です。

スケルツォのコーダや最終楽章コーダで気持ちの入った激しさがあれば見事なマーラー5になった気がします。







次はいよいよ残しておいた、ワルターやメンゲルベルク(アダージェットのみCDあり)と言ったマーラーを知っている人、米国にマーラーを紹介しバーンスタインにバトンタッチしたミトロプーロスと言った古い音源のインプレをしようと思います。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





2017年6月24日 アルディッティ弦楽四重奏団 at 東京文化会館 小ホール ★★

今回のアルディッティ弦楽四重奏団(Arditti Quartet)来日、本当は6月17日(土)のラッヘンマンとの公演に行きたかったのですが水戸で都合がつかず、今日と来週の都響との共演の二回です。

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現メンバーは以下。もちろん創設メンバーはアーヴィン・アルディッティご本人のみですが、それでも最後にルーカス・フェルズが2006年に加わってから11年目になるんですね。

・アーヴィン・アルディッティ(Irvine Arditti), The 1st Violin
・アショット・サルキシャン(Ashot Sarkissjan), The 2nd Violin
・ラルフ・エーラーズ(Ralf Ehlers), Viola
・ルーカス・フェルズ(Lucas Fels), Cello

アルディッティ弦楽四重奏団来日2017年

当初二曲目予定だった西村さんの初演作品がラストになりましたね。
ご本人が最後に登壇した事もあるでしょうが、結果的に曲構成でも良かったのは。

ラヴェル:弦楽四重奏曲 ヘ長調, Ravel : String Quartet in F major
 意表を付く選曲を一曲目に持ってきたので驚きです。静的な美しさを主としたイメージはおおよそ似つかわしてくない曲ですよね。
そんな中、予想通り最終楽章の激しさが売り物でしたね。キレキレの中にエモーショナルさも生きて良かったです。
でも、三楽章まではちょっと??でした。特徴的な第一楽章の美しい流れは速めで、ラベルらしさ感じられませんでした。全体としては、やっぱりこの曲を入れた意図が個人的にはくめませんでしたね。

細川俊夫:沈黙の花, Toshio Hosokawa : Silent Flowers
 今回一番聴きたかったのはアルディッティが1998年初演しCD(インプレ済みです)にも残している、静寂の中に刃物のような先鋭な弦音が飛び交うこの曲ですね。
切り裂く様なボウイングそしてピチカート、超静音のグリッサンドと間はCDとは一味違いました。アルディッティSQが創り出す緊張感と一体感はライヴならではの素晴らしさでしたね。

バルトーク:弦楽四重奏曲第6番, Bartók : String Quartet No.6 Sz.114
 一つの主題Mestoが各序奏に存在し、それを軸にするこの曲。アルディッティSQらしさを二・三楽章の序奏後の展開に期待しましたが、そうでもありませんでした。激しさと切れ味は薄く、予習イメージのハーゲンSQを超えられませんでした。
Mesto主題が主部となる第四楽章の幽幻さも取り立てての特徴は感じられませんでしたね。

西村朗:弦楽四重奏曲第6番「朱雀」(2017/世界初演)Akira Nishimura : String Quartet No.6 "Suzaku - The vermilion Bird"
 二楽章形式 [I. 鬼(Ghost)と星(Stars) - II. 火(Fire)と翼(Wings)] で、東洋の夏とその象徴の古代中国の朱雀(Suzaku)をモチーフにしているそうです。朱雀の持つ四つのイメージを楽章に配しているとのことですね。
これが一番の聴かせどころになりました。高速のトリルとグリッサンドが支配するまさに前衛現代音楽のノイズ系?弦楽四重奏でしたね。
もちろん機能和声的な旋律は存在しませんから「朱雀の飛翔の音列主題」(D-B-E-H-F-Ges-C-A-As-G-Cis-Dis)もその中に現れます。
技巧性が強く、一塊となったアルディッティSQのみごとさが活かされて朱雀の飛翔を感じる素晴らしい演奏でした。



前衛超絶系の現代音楽と古い弦楽四重奏曲のコンビネーション。圧倒的に良かったのは現代音楽二曲でした。
とはいえ、近年言われている通り鋭い尖りからやや円熟の域の味わいになって来ているのは実感します。そしてエモーショナルな古い曲の選択。アルディッティSQに円熟を期待したくないなぁと思ったコンサートでしたね。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





B.A.ツィンマーマン(Bernd Alois Zimmermann)の un petit rien - das gelb und das grün - omnia tempus habent - metamorphose を聴く

10枚ほどインプレしたベルント・アロイス・ツィンマーマン(Bernd Alois Zimmermann, 1918/3/20 - 1970/8/10)ですが、まだ面白いアルバムが一枚残っていました。
中後期のアンサンブル作品集で、指揮はペーター・ヒルシュ(Peter Hirsch)、コレギウム・ノヴム・チューリヒ(Zürich Collegium Novum)の演奏です。

un petit rien - das gelb und das grün - omnia tempus habent - metamorphose / Bernd Alois Zimmermann

Un Petit Rien (1964年) musique légère, lunaire et ornithologique d'après de marcel aymé
 1. Ouverture Des Belles De La Nuit - 2. Métamorphose Lunaire I - 3. Pas Trop Militaire - 4. Petite Valse Lunaire - 5. Berceuse Des Petits Oiseaux Qui Ne Peuvent Pas S'endormir - 6. Métamorphose Lunaire II - 7. Boogie-Woogie Au Claire De Lune
セリエル以降、作風が多様性になってからの作品ですね。フランス人作家マルセル・エイメ(Marcel Aymé)の Les oiseaux de lune (月の鳥) にちなんで作られた6分半(7parts)の小曲です。
まるでおとぎ話の音楽の様で、調性感の中にキラキラとした煌めきがある曲です。ツィンマーマンとしてはとても不思議な楽風です。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?

Das Gelb Und Das Grün (1952年) musik zu einem puppentheater von fred schneckenburger
 1. Prolog - 2. Burleske - 3. Kleiner Walzer - 4. Phantasmagorie - 5. Marsch - 6. Epilog
副題の通り人形劇場のための6parts9分の短い曲です。十二音技法・セリエル時代の楽曲で、その色合いが強いのですが、点描音列配置の背面に弦楽の揺らぎが配されます。それが情景描写的になり、劇音楽を感じさせてくれますね。パート毎に表情変化も豊かで、純粋なセリエル主義者から見たら異端だった事がわかりますね。今の時代のセリエルベース現代音楽としたら十分面白いのですが…

Omnia Tempus Habent (1957年) kantate für sopran-solo und 17 instrumente
ソプラノ声楽曲です。楽器編成はやや多いですが、多分に "月に憑かれたピエロ" の影響・類型を感じます。目新しさは感じられませんね。

Metamorphose (1954年) musik zum gleichnamigen film von michael wolgensinger für kleines orchester
 1. Introduktion (Vision) - 2. Invention (Reflexe) - 3. Romanza (Kontakt) - 4. Kanon (Largo) - 5. Habanera (Paso) - 6. Gigue (Burleske)
副題から、スイス人映像作家?ミヒャエル・ヴォルゲンジンガー(michael wolgensinger)の為のフィルム・ミュージックです。
これまた十二音技法・セリエル時代ですが、処々ジャズ風のサウンドが強く感じられる映画音楽です。確かに点描的ですが、動機の組合せのメロディーラインが感じられますね。ここでもシーン毎の表情変化が強いです。partVではボレロの引用の様な感じも聴き取れますが、これは先入観?w



三曲目以外、とても興味深い音楽が並びましたね。それぞれ、おとぎ話・劇音楽・フィルム音楽、という標題音楽になり、当時のセリエル系絶対音楽の印象と真っ向対比的です。まさにこれがB.A.ツィンマーマン!!
この折衷的、今なら多様性主義、な前衛が本人を苦しめたのかもしれません。興味の尽きないアルバムです。




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Bernd Alois Zimmermann und das symphonische Spätwerk を聴いて、B.A.ツィンマーマンをちょっと振り返ってみましょう

今回続けてインプレの引金になったベルント・アロイス・ツィンマーマン(Bernd Alois Zimmermann, 1918/3/20 - 1970/8/10)の先月発売のアルバムになります。

このアルバムを含めてインプレは10CDになりますね。
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楽曲よりもドキュメントがメインの3CDsetです。(右ページは英文です)
BerndAloisZimmermann-LateSymphonicWorks.jpg
収録は次の通り。
 ・後期管弦楽3曲
 ・B.A.ツィンマーマン本人の語り
 ・最後の弟子ヨーク・ヘラー(York Höller)のインタビュー
 ・作家エルケ・ハイデンライヒ(Elke Heidenreich, 1943/2/15 - )による朗読*
  *Steady on the musical tightrope above the existential abyss (実存の深みの上を渡る音楽的"綱渡り"の安定性) これはツィンマーマンの「ユビュ王」に付いて語られた"おとぎ話"だそうです。関連してライナーノートにはシュトックハウゼンとの確執に付いてBlack Humourとしてハイデンライヒによる興味深い説明も付いていますね。それだけでも十分に面白いです。

という事で、インプレは後期管弦楽の3曲についてになります。(作品としては既出ですがw)
演奏は、B.A.ツィンマーマンを得意とする指揮者ベルンハルト・コンタルスキー(Bernhard Kontarsky)、シュトゥットガルト放送交響楽団(Radio-Sinfonieorchester Stuttgart des SWR)です。





Late Symphonic Works / Bernd Alois Zimmermann


Concerto pour violoncelle et orchestre en forme de pas de trois (1965/1966年)
パ・ド・トロワの様式によるチェロとオーケストラのための協奏曲」は最も多く録音されている代表作で、このブログでも指揮者ブールツェンダーギーレンと既に3CD紹介済みですね。
part1は弦のトリルやグリッサンドの静的幽幻さ、part2は音圧が上がり即興性やジャズの様なリズム変化も加わりポリフォニカルです。part3は幻想的な弦楽器ですが、音数は増えています。part4は重厚で一つの動機を変奏展開し、part5では幻想的にpart1が回帰してから旋律(sop.sax?)が生まれて音数の少ない空間音楽から混沌です。
もちろん弦はチェロが主役です。他の三者の演奏の印象より静的パートの幽幻さを生かした感じです。(一度聴き比べをしないといけませんねw)

Musique pour les soupers du Roi Ubu (Ballet noir) (1966年)
ユビュ王晩餐の音楽」も数回目のインプレですが、とにかく引用のコラージュです。
主な引用作品だけでも、展覧会の絵 プロムナード(ムソルグスキー)、トリスタンとイゾルデ(ワーグナー)、ピアノ・ソナタ 第18番 作品31-3(ベートーベン)、兵士たち(B.A.ツィンマーマン)、解放の歌(ダッラピッコラ)、ラデツキー行進曲(ヨハン・シュトラウス)、田園(ベートーベン)、ブランデンブルク協奏曲(バッハ)、ニュルンベルクのマイスタージンガー(ワーグナー)、カルメン(ビゼー)、軍隊行進曲(シューベルト)、ダンバートン・オークス(ストラヴィンスキー)、交響曲第9番スケルツォ(ベートーヴェン)、ジークフリート牧歌(ワグナー)、ラストは等拍パルスにワルキューレ(ワーグナー)で強烈・カオス的に盛上げます。

Stille und Umkehr - Orchesterskizzen (1970年)
「静止と反転」は歿年3-4月にケルン大学病院入院中に作られた最後の管弦楽作品です。Dの連続音に他の楽器がパッセージの様に音色を絡ませます。インテルコムニカツィオーネ(1967年)やフォトプトーシス(1968年)の進化系で、静止した連続音と空間の音楽ですね。最後まで表情変化はありません。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  他二曲は過去インプレで紹介済みです






ちょっと乱暴に括るとB.A.ツィンマーマンのスタイルは次のようでしょう。
・1940年代:新古典主義の時代
・1950年代:セリエルの時代 素直なセリエルとは限りませんがw
・1960年代:多様性の時代 (コラージュと時空の音楽)

もちろん素晴らしいのは1965年以降、最後の1970年までです。
長い作品二点は最高。
兵士たち(Die Soldaten) (1965年)
ある若き詩人のためのレクイエム (1969年)

個性的な後期の作風なら
・パ・ド・トロワの様式によるチェロとオーケストラのための協奏曲 (1966年)
・ユビュ王晩餐の音楽 (1966年)
・フォトプトーシス (1968年)
になります。

というわけで、本アルバムはドキュメントも含めておすすめです!!





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B.A.ツィンマーマン(Bernd Alois Zimmermann)の Complete Works for Piano Solo を聴く

連続インプレ中のベルント・アロイス・ツィンマーマン(Bernd Alois Zimmermann, 1918/3/20 - 1970/8/10)、初期からセリエルまでのピアノ・ソロ全曲集ですね。

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作風の変化を見ると、初期は新古典主義(Neo-classical)時代、そして無調・十二音技法・セリエルの流れに対応した中期、ツィンマーマンらしさ全開のコラージュと時空を迎える後期となります。残念ながら無伴奏ピアノ曲の後期作品はありません。

嬉しいのは年代順になっている事ですね。ピアノは現代音楽を得意とするアンドレアス・スコウラス(Andreas Skouras)です。
例によって小曲の集まりですので、パート毎の演奏時間を入れてあります。

Complete Works for Piano Solo / Bernd Alois Zimmermann

Extemporale, Five Pieces For Piano (1939-46年)
 No.1 Sarabande [3:13] - No.2 Invention [1:11] - No.3 Siciliano [3:08] - No.4 Bolero [3:25] - No.5 Finale [1:55]
21歳から28歳の最も初期の作品です。美しいSarabandeやミステリアスなBoleroを始めパート毎に表情豊か、機能和声をベースに不協和音の挟まれる流れです。特異性はさほどでありませんが、ボレロでは早くもラベルの引用があります。

Drei Frühe Klavierstücke, Three Early Piano Pieces (1940年)
 No.1 Scherzettino [2:58] - No.2 Intermezzo [2:52] - No.3 Fugato [2:22]
ここでは不協和音も少なく、ラベルやドビュッシーを思わせる曲調が印象的です。38/39年にケルン音楽大学でのセミナーによる秀作的意味合いが強そうですね。

Capriccio, Improvisations On Folk Song Themes (1946年)
 [10:08]
基本的な流れは変わらず、仏印象派の様な楽風が感じらる美しさです。特徴的なのは副題通り変奏と引用?が用いられている事でしょう。特に後半は、後のスタイルを見せる様に引用と共に強弱の出し入れがあります。面白いです。
一曲(1パート)で10'を超えるのはこの曲だけですね。

Enchiridion I, Little Pieces For Piano (1949年)
 No.1 Introduktion [1:53] - No.2 Ekloge [2:59] - No.3 Rondino [0:48] - No.4 Bourrée [0:49] - No.5 Meditation [3:19] - No.6 Aria [1:10] - No.7 Estampida [1:10] - No.8 Toccata [1:21]
このあたりから表情が変わります。点描音列配置を感じさせ、今聴くと没個性の前衛現代音楽に聞こえてしまいます。形式的にはneo-Baroqueを標榜しているそうです。また、表題はギリシャ語でmanualの事だそうです。

Enchiridion II, Exerzitien (1952年)
 No.1 Vigil [2:09] - No.2 Hora [1:42] - No.3 Ostinato [1:07] - No.4 Matutin [2:30] - No.5 Imagination [2:06]
音の強弱、出し入れが強くなります。美しい旋律は存在しません。強打鍵音と響き、走るアルペジオ、そして音数を減らした点描。時代を感じますが "I" よりは面白いですね。

Enchiridion Anhang, Appendix
 Intermezzo [1:29] - L’après-midi D’un Puck [0:43] - Hommage à Johann Strauß [0:42]
点描音列配置が濃厚になります。パートにより強弱のコントラスト、多少なりと旋律感がある気はしますが...
Hommage à Johann Straußでは引用が聴けます。

Konfigurationen, Eight Pieces For Piano (1956年)
 No.1 [0:57] - No.2 [0:57] - No.3 [0:37] - No.4 [0:29] - No.5 [1:09] - No.6 [1:11] - No.7 [0:43] - No.8 [1:01]
この曲は音価と強度を記すセリエルの楽譜で書かれているそうです。点描で音の飛躍、つまらないですよねぇ。この後1960年代に入って楽風がブレークするわけですが...



まずはツィンマーマンのピアノ・ソロが全曲で時系列的に変化が楽しめるのが嬉しいですね。
特に新古典主義からセリエルの時代変遷がよくわかります。そしてツィンマーマンが早くからインプロビゼーションやオマージュで引用を採用し、強弱のコントラストを付けていた事を今更ながら再発見でしょうか。





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B.A.ツィンマーマン(Bernd Alois Zimmermann)の Music for Violoncello and Piano を聴く

続いてのベルント・アロイス・ツィンマーマン(Bernd Alois Zimmermann, 1918/3/20 - 1970/8/10)は、チェロとピアノの各ソロとのデュオ作品集ですね。

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初中期のピアノ曲とセリエルのチェロ曲、そして後期の多様性時代のデュオとチェロ曲とバラエティに富みますね。
演奏は、Cello – Michael Bach、Piano – Bernhard Wambach になります。

Music for Violoncello and Piano / Bernd Alois Zimmermann

Enchiridion (1949/52年) - Small Pieces For Piano
新古典主義からセリエルに入る時代の作品です。13の小曲で2部構成になります。単なるエチュード(練習曲)でもハウスミュージックでもないとライナーノートにあります。表題はギリシャ語でhandbookの事だそうです。
強音の技巧的パートから静音で音数の少ないパートまであります。確かにエチュード的な感がありますが、気になるのは第1部のドビュッシーの様な気配の中に散見する点描的音列配置でしょうか。第2部の方が俄然面白く、強音と静止の様相は後期のスタイルを思わせますね。
次回インプレ予定の"Complete Works for Piano Solo"で、この曲も含めてピアノ・ソロ曲の変遷を時系列的に紹介しますね。

Sonata For Cello Solo (1960年)
セリエル時代の作品ですね。無表情の印象が強いセリエルとは違い、出し入れのコントラストが強いです。チェロの技巧的な面も見せどころでコンサートで聴きたいですね。ブルネロあたりがやってくれると嬉しいのですがw

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  アンサンブル・アンテルコンタンポラン(Ensemble Intercontemporain)のオフィシャルYouTube。チェロはフランス人チェリストの現代音楽家ピエール・ストローク(Pierre Strauch)です。

Four Short Studies For Cello Solo (1970年)
亡くなった年の作品になります。2'40"の小曲ですが、強引さと静的な間との組合せでこの時期のツィンマーマンを凝縮した様なチェロ曲です。これもアンコールでやってくれたら嬉しいですね、そんな曲です。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  モーリーン・ケリー(Maureen Kelly)です


Intercomunicazione Per Violoncello E Pianoforte (1967年)
一つの音を、基音Eで、を延々とチェロが弾き伸ばします。ピアノがそこへアルペジオでうろちょろ動き回ります。中盤では逆転してピアノの打鍵残響音にチェロが絡み、ボリュームが上がります。後半は空の中にvcとpfの音を散らばす様な そして時に強音で対話な様な、間と音の空間です。
翌年作られる管弦楽の代表作Photoptosisと類型のデュオ曲でしょう。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  チェロはツィンマーマンを得意としたジークフリート・パルム(Siegfried Palm), ピアノはコンタルスキー兄弟の兄アロイス(Aloys Kontarsky) です。一番下の弟ベルンハルト・コンタルスキー(Bernhard Kontarsky)は指揮者でB.A.ツィンマーマンを得意としていますね。




どうしても大規模ユニットの音楽がツィンマーマンらしさを感じるのですが、チェロやピアノの後期作品には惹かれるものがありますね。



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