2017年5月31日 諏訪内晶子, マリオ・ブルネロ & ボリス・ベレゾフスキー at 紀尾井町ホール ★☆

第5回国際音楽祭NIPPON公演の一環、ブルネロをお目当に赤坂まで行ってきました。
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今日はkokotonMAMAと一緒です。夕食を早めにゆっくりと軽く一杯。こういう日は事前の楽曲聴き込みとかせずに、ナチュラルに音楽を楽しみました。
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演奏メンバーは豪華です。
・諏訪内晶子(ヴァイオリン)
・マリオ・ブルネロ(Mario Brunello, チェロ)
・ボリス・ベレゾフスキー(Boris Berezovsky, ピアノ)

ベレゾフスキーは個人的には鬼門ですが...



グリーグ:ノルウェー舞曲 Op.35 (ソロ・ピアノのための)
 ピアノをよく鳴らし、ヴィルトゥオーゾらしい演奏を見せてくれましたね。明るい曲風ともマッチしていました。音の粒立ちが良ければ、好みなのですが。
それにしてもベレゾフスキーは、また太りましたねw

コダーイ:ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲 Op.7
 硬質で無機質なvn、エモーショナルで朗々としたvc、幽玄さの曲調にとても合っていて素晴らしい演奏でしたね。
乱暴なボウイングでも円やかさのブルネロと、先鋭な諏訪内さんのバランスが生かされ楽しませてくれました。

チャイコフスキー:ピアノ三重奏曲 イ短調 Op.50「偉大な芸術家の思い出」
 二楽章で主題の変奏による楽曲ですね。50分近くかかる曲ですが、3人の熱演でした。ただ、弦2人は情感的ですがピアノは少々没我的な感じがしました。スローなパートは三重奏の良さが味わえましたね。
アンコールの方がマッチは良かったですが、ブラームスでは何とも...



ブルネロと諏訪内さんのコダーイが曲も含めて最高で、緊張感とスリルが味わえましたね。
全体としては、もうちょっとバリエーションを付けた小曲の組合せでも楽しかったかもしれないと思いました。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

マーラー 交響曲 第6番 「悲劇的」 名盤・珍盤 20CD聴き比べ! [#1 / CD:5-20]

マーラーの5番、6番、9番はコンサートで聴く機会が多いので、CD(DVD含め)も徐々に増えますね。
第6番は今までバルビローリの4枚のCDを紹介していますが、これからも少しづつ備忘録としてインプレしていこうと思います。
5番は160枚くらいですが、9番は70枚くらいで6番も50枚くらいしかありません。枚数が少ないですから、すぐに終わってしまいますね。

交響曲 第5番 (150CDまで) 聴き比べ
交響曲 第9番 (40CDまで) 聴き比べ

今回は大物を中心に16CDをインプレします。これで20CDになりますね。

【参考】
 ★:名盤 (一般的いわれている…と思う盤)
 ☆:個人的お勧め
 ○:とっても変わっています

[リスト] 現状のMahler Symphony No.6 の聴き較べです (現在 #1回 20CDまで)
 #1:16CD (本投稿)
 #0: 4CD バルビローリ聴き比べ




バーンスタイン / New York PO
[CBS (Sony)] 1967-5/2, 6
 やっぱりマーラーと言えばレニー(Leonard Bernstein)。今更素人が何をインプレしても始まらないでしょうが、お約束と言う事でCBS時代から。
 第一楽章第一主題行進曲は切れ味抜群の立ち上がり、第二主題でもシャープです。速めの提示部からの展開部も穏やかさを見せますが、緊張感が漂うのは速めという事もあるかもしれません。再現部はまさに提示部の切れ味の回帰です。スピード感あるコーダで締めくくります。
第二楽章はスケルツォ。一楽章のコーダに続くようにかなり速い入りです。スケルツォも踊る様なリズムでもありません。緩急も強く、マーラーの指示"重々しく"という感じよりも忙しない感じでしょうか。
第三楽章アンダンテも前楽章の沈む様な終わりから繋がりよく緩やかな哀愁で入ります。悲しみに近い情感を引きずる様に進んで、そのままクライマックスを迎えて消え入る様に終えます。
第四楽章は序奏から提示部へ、暗闇からスピードある行進曲に乗り移ります。そのまま大きな広がりを見せて鎮まる様に展開部へ入ると華やかな第二主題を展開してハンマーを打ちます。そこからはこの曲らしく主題や動機を折り重ねながら登り上がり、暗転して再現部は明暗表情を変化させながら走り抜けます。静まり、そして一撃です。

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とにかく速いです。スピード感と切れ味のマーラー6ですね。



★☆ バーンスタイン / Wiener Philharmoniker
[DG] 1988-9
 言わずと知れたバーンスタインVPOのマーラー6ですね。今更中の今更ですが…w
 迫力と切れ味の第一主題、そして同じ様に華やかさというよりも迫力漲る第二主題で提示部を過ぎると、穏やかな顔つきの展開部につなげます。そして再現部では主題の激しさと広がりを組み合わせて、パワーとスピード漲るコーダで締めくくります。
第二楽章はスケルツォ。ここでは重々しさで入りますね。スピードを抑えて重厚感の展開で進みスケルツォらしいリズムを刻みと、全体が表情豊かに作り込まれています。一番厄介なスケルツォですが、聴きごたえがありますね。
第三楽章アンダンテはスローで哀愁漂う美しさを見せます。この辺りはVPOの真骨頂かもしれません、美しさに惹かれますね。ラストの山場は感情の高まりを壮大に見せます。
第四楽章は闇の様な陰鬱な緊張感ある序奏がいきなり現れ、トゥッティのモットーから提示部は派手派手しく進みます。ペースダウンからの展開部は出し入れを強く表情を変化させ、行進曲や山場のハンマー2発を含めて鮮やかな流れです。一度鎮めて入る再現部は激しい山場作った後は第一主題回帰後も激情的に進みバーンスタインらしく三発目のハンマーを打って隠的に静まりラストの一撃を迎えます。

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迫力や切れ味、そして全体楽章のバランスの良さ。特に面倒なスケルツォとアンダンテの良さが光ります。これが基本となると、コンサートで満足できる演奏が減るので困ります。(笑)

マーラーと言えばバーンスタインですからセットがオススメですが、枚数を減らすために楽曲がCDに分割されているのは困りものです。こちらならベターで歌曲入り、少しだけお高いですが。



アバド / Chicago Symphony Orchestra
[DG] 1979-2
 クラウディオ・アバド(Claudio Abbado)とシカゴ響との演奏です。この年アバドはロンドン響の首席指揮者に就任ていますね。アバドの6番の所有は次のBPOと2枚のCD、ルツェルンでのDVDです。
 第一楽章第一主題は気持ち速めの行進曲でppでは大きく落とし、アルマの主題で戻して提示部全体的には適度な重さです。展開部の第一主題は勇壮に、挿入パートは提示部同様弱音効果を強めます。再現部は激しさを強調しています。
速めの第二楽章スケルツォ主部は切れ味、ここでもトリオは弱音スローでコントラストを強めます。
第三楽章は第5番アダージェットを思わせる様な美しい緩徐楽章ですが、長く感じます。
第四楽章の序奏は表情変化薄め、提示部行進曲はパターン通りに速めの勇壮感で第二主題も速めです。展開部・再現部も同様のメリハリで重厚感よりも勇壮爽快感があります。

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重厚さは避けています。基本は速め勇壮で、静音パートをスローに落とすのが特徴的ですね。スローに締まりがあれば面白いマーラ−6番です。



★☆ アバド / Berliner Philharmoniker
[DG] 2004-6
 2002年にBPOの首席指揮者・芸術監督を退任した後の録音になりますね。この前年2003年にルツェルン祝祭管弦楽団の音楽監督に就任しています。
 シカゴ響に比べてクセの減った第一楽章第一主題、情感豊かなアルマの主題の王道提示部です。展開部挿入部でも自然な流れで静音パートに繋げます。再現部も迫力と切れ味です。
第二楽章、ここではアンダンテを持ってきました。流れの良い優美さの第一主題で第二主題でも哀しみをたたえる美しさが光ります。緩やかな美しさの中間部から山場の迫力は見事です。
第三楽章の主題は第一楽章の回帰をイメージする様な切れ味ですが、流れとしてはトリオでの優美さが勝ちますね。
第四楽章は序奏から迫力です。提示部行進曲から経過句は切れ味よく、第二主題は清々しい流れです。中心的な展開部は彫りが深く表情豊かな重厚さと迫力、そして揺らぎです。再現部は白眉、アゴーギクを強めて迫力いっぱいの流れから輝くコラールです。コーダは静的緊張感でラスト一撃を迎えます。

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欠点もなくBPOらしい迫力も見事にみせるマーラー6番です。

マーラーを聴くなら後期のアバドはハズレやクセがなく、全集を購入するのがベターかも。(2番のルツェルン、これも名盤ですね、以外はBPOです)



☆ アバド / Lucerne Festival Orchestra
[EuroArts DVD] 2006-8/10
 BPOの2年後、ルツェルン祝祭管弦楽団の音楽監督時代の映像付き音源。アバドが設立したマーラー室内管弦楽団をベースにしたオケですね。
 第一楽章提示部の二つの主題は王道、アルマがやや強めでしょうか。展開部の緩急、再現部の切れ味も見事です。
第二楽章はここでもアンダンテです。第二主題は後半で哀しみを覚え、全体として美しい緩徐楽章になっていますね。もちろん山場は見事です。
第三楽章スケルツォ主部主題は勇壮にトリオでは優美に、トリオでのスケルツォらしさが光りますね。
第四楽章序奏では必要以上の揺さぶりを避け、提示部行進曲から経過句、第二主題と見晴らしの良い流れです。主役パートの展開部は騎行も含めて興奮より華々しさ、再現部は緩急を生かし、コーダで鎮めてラスト一撃を迎えます。

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BPOと似た流れですが、余分な陰影を削って完成度の高いマーラー6です。個人的にはこちらを押しますが、この完成度がアバドの好みを左右するのかもしれませんね。

ラストはアバドが息を整えるのを待つ長い間の後に拍手喝采とスタンディングオベーション、団員の足踏み、素晴らしいコンサートに付き物のアプローズでした。アバドの嬉しそうな顔、そして吉井瑞穂さんが第二オーボエで入っているのも楽しいですね。




カラヤン / Belriner Philharmoniker
[DG] 1975-1, 4
 Herbert von Karajan/BPOのマーラー6番です。カラヤンでマーラーと言われると、今ひとつピンと来ない感じはありますね。
 第一楽章第一主題の行進曲はもちろん勇壮に、第二主題も大きな広がりを見せます。提示部はもちろん「反復あり」ですが雄大です。展開部のチェンジペースはカラヤンらしく明確に穏やかで清涼に変化させて、再現部は第一二主題を迫力で戻して変奏します。コーダの第一主題はアッチェレランドよく入り、華々しい第二主題で締めくくります。
第二楽章はスケルツォを採用。重厚さよりもスピード感で、特徴は薄くやや間伸び的に感じてしまいます。第三楽章は従ってアンダンテです。スローで静かな佇まいの演奏ですね。中間部の穏やかさも含めて好きな演奏なのですが、ここでは第二楽章との流れで両者やや締まりに欠ける流れに感じます。
第四楽章序奏はモットー和音の展開も含めてスローで抑えめです。提示部第一主題もやや抑えめで、第二主題は軽やかに、そして重厚に華々しく進みます。展開部はやや緩め、山場を派手に盛り上げてハンマーの後は激しさを見せながらやや暴れる様に進み再びハンマー、締まりのある演奏です。再現部は激しいモットー和音から落ち着きを見せ、切れ味のある第二主題から派手な第一主題へ。後半序章再現からは暗くスローとなりラストの一撃を迎え、余韻も明確です。

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長い第四楽章を迫力と見晴らしの良さで聴かせてくれますが、第二三楽章は今ひとつに感じてしまいます。なんとなく飲み込みずらさを感じるマーラー6番でしょうか。



(★)☆ カラヤン / Belriner Philharmoniker
[eternities] 1977-6/17

 非正規盤ながら評判の高いパリ・シャンゼリゼ劇場のライブですね。DGの録音から二年後で演奏時間は少し長くなり、カラヤンの9番(非正規5/1録音)ほどの狂気興奮はありませんが名演奏の誉れ高い盤です。
 第一楽章第一主題の行進曲から壮絶激情です。第二主題も情感が強いですね。展開部では一転緩やかですが影を纏った様に進み、再現部は激情さが戻ります。主題が表情を変える様に変奏されてコーダの第一主題は激しさで入り派手で華やかな第二主題で大きく終わります。
第二楽章スケルツォ、緊張感のある刺激的な主題を維持して演奏も実に見事で、古典の調べの中間部トリオも清々しく切り替えます。明らかに第一楽章の延長線上ですね。
第三楽章アンダンテ、緩やかな流れが生きるのは第二楽章との変化落差が生きているのは間違いありませんね。穏やかさと美しさ、そして大きな山場の迫力のコントラストです。
第四楽章は間をとったスローの入りの序奏から、迫力の提示部第一主題と広がりの大きな第二主題とつながります。展開部へは穏やかに乗り移り、モットー和音を介した出し入れ強い展開で激しさを見せます。再現部は激しいモットー和音から間をとったコントラストのある静的流れになり、第二主題でペースを上げながら激しく第一主題が戻ります。華々しい流れから暗いコーダ、そしてラスト一撃。余韻のピチカートも明確です。

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基本は激情的な流れで通した演奏です。こうなるとアンダンテの優しさが生きて、その後半の迫力も全体を締めます。
正規セッション録音とは異なるカラヤンのもう一つの顔、本人が認めなかったLiveのCD化。情熱のこもった(非正規盤)マーラー6番。困った事ですが、やっぱり一押しです




ハイティンク / Berliner Philharmoniker
[DECCA] 1989-4/6-8
 マーラー振りというと浮かぶ一人、今年88歳になるベルナルト・ハイティンク(Bernard Haitink)。まずは60歳の時に我がまま軍団ベルリンフィルを振った演奏です。
 第一楽章第一主題から第二主題はまさに王道的な重厚さ、展開部も重厚勇壮な第一主題からスローパートは心地よい流れを作ります。再現部も劇的です。
第二楽章スケルツォ主部は過度の重さは否定して切れ味、トリオは一転して軽量優美です。
第三楽章第一主題はゆったりとしたテンポで緩徐さをもたせます。そこへオーボエが哀しみをみたす様な第二主題で受ける美しい流れです。
第四楽章序奏は旋律の変化を切れ味よく前面に出します。提示部第一主題行進曲は勇壮に、落ち着いたホルンの経過句を経て第二主題までは抑え気味です。展開部は出し入れの強いインパクトさで彫りの深い演奏ですがコントロールは効いています。再現部もコントラストは強いですが興奮を抑え落ち着いてます。コーダは色合いを見せながらラスト一撃を迎えます。第四楽章は抑えが効きいています。

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BPOとハイティンクの波長がマッチした王道演奏のマーラー6番です。出来過ぎでワクワク感には欠けますが...w



ハイティンク / Chicago Symphony Orchestra
[CSO] 2007-10/18,19,20 and 23
 ハイティンクのマーラー6番は他にも数枚出ていますが、所有はこの2枚です。上記BPOとの18年後のシカゴ響との演奏です。
 ゆったりとしたリズムとテンポの緩い第一楽章第一主題、アルマの第二主題ではややテンポを戻します。展開部の第一主題も同じ様な緩い流れから挿入部はトーンを落として暗めです。再現部でも締まりに欠ける感じです。
第二楽章スケルツォ第三楽章アンダンテではややテンポを戻しますが、緩い流れは同じです。
第四楽章...細かくインプレする必要もないですね。他の楽章に比べると多少アゴーギクを振りますが、とにかく締まりに薄くダルです。

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全体で何と90'を超すひたすらスローで緩い流れ。間延び感が拭えない退屈なマーラ−6番です。BPOとの落差が大きすぎますね。



ゲルギエフ / London Symphony Orchestra
[LSO] 2007-11
 ヴァレリー・ゲルギエフ(Valery Gergiev)が、2007年から2015年まで主席指揮者を務めたロンドン交響楽団とチクルスを進めた時の6番ですね。
 第一楽章第一主題の行進曲は速く軽めですが、第二主題で情感を高めます。提示部の繰り返しで第一主題の重厚さは増しますね。展開部の挿入部スローパートはややそっけない感じ、再現部は重量級ですが速めなのが落ち着きません。
第二楽章はアンダンテを持ってきています。ペースを戻して第一主題は標準的ですが第二主題は哀しみの伝わる流れで その気配を保ち中間部、そして山場へとつなげる好きな流れです。
第三楽章スケルツォの主部はクリーンな印象で第一楽章のつながりを殊更強めてはいませんね。トリオは優美ですが華麗さは抑え目です。
第四楽章序奏は特徴的な事はなく、提示部行進曲は速くて軽めの流れから同じく速めの第二主題に続きます。展開部での特徴である出し入れも興奮は抑え気味、再現部も同傾向ですが少しだけ暴れて面白いです。面白くなった処でコーダを迎えてラストの一撃です。

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ゲルギエフの考えた速めの展開が今ひとつ生かされたなかった感じのマーラー6番でしょうか。



☆ ダーリントン / Duisburger Philharmoniker
[Acousence] 2008-6/18.19
 このブログで超ご贔屓の管弦楽セット、ジョナサン・ダーリントン(Jonathan Darlington)とデュイスブルク・フィルハーモニー管弦楽団(Duisburger Philharmoniker)です。マーラーは第5番でも素晴らしい演奏を残していますね。→ このブログ内のダーリントンの投稿記事

 重厚オーソドックスな第一主題の行進曲、そしてアルマの主題(第二主題)は情熱溢れる美しさです。展開部の二つの主題は重厚ですが、挿入部では不安感を隠す様なスローの静寂さに。再現部も響の良い華々しさです。
第二楽章はアンダンテを採用しています。緩やかで優しさを感じる第一主題に哀しみをたたえる様な第二主題、中間部はその流れから山場へ向かいますが全体として穏やかさを重視した緩徐楽章です。
第三楽章は従ってスケルツォ、主部は第一楽章の回帰的で華やかさ。トリオはスケルツォらしい優美さになります。
第四楽章序奏は極端な揺さぶりは使いませんがややスロー。提示部第一主題は跳ねる様なリズムで第二主題に続きます。この曲の難解パート展開部ではスローとコントロールの効いた激しさで落ち着いた表現です。再現部でも同様に過度の興奮を避けながら山場を盛り上げます。コーダは暗さ控え目、ラストの一撃は約束通りです。

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重厚にして華々しい第一・四楽章、穏やかさと優美さの第二・三楽章、このコントラストの付け方がダーリントンの音楽ですね。Liveですが、録音も素晴らしくクールなマーラー6番でおすすめです。



小澤 征爾 / Boston Symphony Orchestra
[DECCA] 1992/1/30 - 2/4
 第一楽章第一主題リズムの良い行進曲、アルマの主題は華やかさです。展開部でも主題に変化は付けずにスロー静音パートに入ります。再現部も必要以上の主題の興奮は避けて、キレの良いコーダからフィニッシュです。
第二楽章スケルツォ、主部主題はテンポを上げますが重厚さは付けません。トリオは緩やかです。
第三楽章第一主題は美しく流れ良く、第二主題も同様のニュアンスで中間部に繋げます。山場はドラスティックに作ります。
第四楽章の序奏は陰影をあまり付けず、提示部行進曲から経過句を気持ち良く進み、第二主題も流れが合っています。展開部は静的パートからの山場のコントラストが良く、途中の行進曲も締まりがあります。再現部も同様に流れてコーダへ入ります。ラストは暗い流れからの一撃です。テンポも良く、見晴らしの良い最終楽章ですね。

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流れにクセはなく安心感がありますが、感情移入は少ないです。正攻法のマーラー6番ですね。



井上 道義 / Royal Philharmonic Orchestra
[CANYON] 1988-5/3.4
(所有盤とは異なりますが同録音盤になります)
 ミッキーこと井上道義氏(1946/12/23 - )が41歳の時にロンドン・ロイヤルフェスティバルホールでタクトを振った演奏ですね。
 第一楽章第一主題はややスローに、第二主題は標準的なテンポで、表現はごく普通でしょう。展開部のスローはどこか不安感を感じさせる良い気配、再現部は提示部の回帰的です。
第二楽章スケルツォの主部はスローです。マーラーの指示通り重さが感じられますが、第一楽章第一主題の様な迫力は控え目ですね。トリオも決して軽くありませんしコーダ前の山場は暴れます。
第三楽章第一主題はソフト、第二主題もスローで哀しみを感じます。中間部はその流れで、山場は哀しみに満ちた盛り上がりです。
第四楽章序奏は陰影強い表現で素晴らしい流れです。提示部の行進曲(第一主題)は少し落として、経過句からスピードを上げて第二主題につなげます。展開部は勇壮さよりも雄大さで、訪れる山場や行進曲も極度の興奮を避けて自然です。再現部はスローからスピード感溢れる展開で山場へ駆け上がります。コーダからはお約束通りの流れで最後の一撃を迎えます。

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スローを重視した落ち着いた流れですが、よく練られた感じが強いマーラ−6番です。



☆ 井上 道義 / 新日本フィルハーモニー交響楽団
[EXTON] 2000-3/9
 ミッキーがRPOとの録音から2年後、演奏時間がさらに伸びています。(第二楽章を除く)
 ・第一楽章 23:50 → 24:58
 ・第二楽章 14:04 → 13:58
 ・第三楽章 15:07 → 15:51
 ・第四楽章 30:20 → 31:28
 第一楽章入りの第一主題は標準的、第二主題はやや情感強く、展開部のスローは澄んだ空気の気配、再現部は提示部の濃厚的回帰です。
第二楽章スケルツォ主部はスローで揺さぶりがあり堂々と、トリオでは優美になっています。
第三楽章は緩徐で優しさの第一主題、哀しみたたえる第二主題、中間部は緩徐な流れを保ちながら山場を大きく作ります。
第四楽章の序奏は細かいパートをうまく組合せて一つの完成系です。提示部行進曲は抑えの効いたシャープさ、第二主題が伸びやかに出て展開部へつなぎます。展開部は美しさを感じる流れと繋がりの良い山場(ハンマー)を作ります。一部騎行パートで荒れますが流れはごく自然、面白い展開です。再現部も見事で、第二主題動機の緩やかな流れから壮大に山場へ向う良い流れです。コーダからは息を整える様にしてラストの一撃に繋げます。

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演奏時間が伸びただけでなく、より彫りが深くなりました。スローを基本に興奮を避けた研ぎ澄まされたマーラー6番です。



○ プレートル / Wiener Symphoniker
[WEITBLICK] 1991-10/10
 今年一月に亡くなったフランス人指揮者ジョルジュ・プレートル(Georges Prêtre)は不思議な存在だった気がします。大騒ぎしたマーラーの5番での印象だけで、それ以外で聴くことはなかったですね。
 第一楽章は行進曲明瞭な第一主題、美しく柔らかなアルマの第二主題、展開部と再現部の第一主題とラストでは少々暴れます。
第二楽章スケルツォの第一主題はかなり速く第一楽章からの流れを拒否し、トリオで一般的スローに戻します。
第三楽章は緩やかに第一主題第二主題が続き、山場も含めて落ち着いた演奏です。
第四楽章序奏はややもっそりから急テンポ、提示部第一主題の勇壮さは第二主題で落ち着きます。展開部と再現部は荒れて面白いですが明らかな揺さぶりはありません。あった方が面白かったかも...

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荒々しさと所々にアゴーギクの揺さぶりのあるマーラー6番で、コンサートだったら興奮モノでしょう。非正規録音の様な音で際物的印象は拭えませんが悪くはありません。



ワールト / Netherlands Radio Philharmonic
[RCA] 2003-12/19,21-23
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 オランダ人指揮者エド・デ・ワールト(Edo de Waart)がオランダ放送フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者を務めていた時のマーラー・チクルスからの演奏ですね。
 第一楽章提示部第一主題は締まり良く、転じて第二主題アルマの主題は情感高くと正攻法です。展開部迫力いっぱいの主題から緩やかな澄んだ長閑さに転じます。再現部は迫力増した提示部と言った風情で派手に〆ますが、コーダ前のスローは特徴的です。
第二楽章スケルツォはやや遅めの主部主題が重厚さを見せながら進み、トリオではテンポを落とした優美さを見せてくれます。ただ、スローでの揺さぶりが気になりますね。
第三楽章は肩の力が抜けた安心感のある第一主題からより落として第二主題、特に哀しみの色合いはありませんが通して心にしみる流れです。適度にスローで揺さぶりもなく中間部での中だるみも感じません。見事なアンダンテです。
第四楽章の序奏はスローながら自然な流れを作り、一気に提示部に突撃します。第一主題は高らかな行進曲、第二主題は呼吸を整える様に現れ、再び高揚して展開部へ入ります。ややスローパートが気になりますが、心地よい緩急で勇壮な行進を挟み二度の山場を見事に登ります。再現部もスローから流れを作り、管楽器の鳴りの良いコーダからラスト一撃です。

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見晴らし良く完成度の高い華やかなマーラー6番です。揺さぶりのスローパートが好みを分けそうです。☆を付けてもいいかも。




直近のコンサートですと、先々週 2017年5/18のサロネン/フィルハーモニア管の第6番は良かったですね。ハッとする様な新鮮な演奏に出会いたいですね。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

ダンツィ管楽五重奏団, ホリガー(Heinz Holliger) の Zeitgenössische Musik für Bläser を聴く

ダンツィ管楽五重奏団(Danzi-Quintett)の管楽室内現代音楽集ですね。1968年と古い録音で、時代背景から行くと5曲とも混迷も含めて前衛現代音楽絶頂期の作品という事ですね。当時はもちろんLP、今思うととても興味深い感じです。

「Zeitgenössische Musik für Bläser, 管楽器のための現代音楽」演奏は以下のメンバーになります。当時29歳の天才オーボエ奏者ハインツ・ホリガー(Heinz Holliger, 1939/5/21 - )がシュトックハウゼンのツァイトマーセでイングリッシュホルンで入ります。

Danzi-Quintett
・Bassoon – Brian Pollard
・Clarinet – Piet Honingh
・Flute – Frans Vester
・Horn – Adriaan Van Woudenberg
・Oboe – Koen Van Slogteren

・English Horn – Heinz Holliger (No. 5: Zeitmasse)

Zeitgenössische Musik für Bläser / Holliger・Danzi-Quintett
(Malipiero/Fortner/Henze/Stockhausen/Becker)
DanziQuintett-Holliger_ZeitgenössischeMusikFürBläser

Musica Da Camera (1959年) for wind quintet
 イタリア人現代音楽家リッカルド・マリピエロ(Riccardo Malipiero, 1914/7/24 – 2003/11/27)は、私も好きなジャン・フランチェスコ・マリピエロ(Gian Francesco Malipiero)に作曲を師事しています。
十二音技法ですが、「室内音楽」四楽章の通りの古典構成で旋律や動機が存在して機能和声的展開です。ジャン・フランチェスコ・マリピエロに通じる心地よさがあります。技法は現代音楽の新古典主義ですね。

Five Bagatelles (1960年) for wind quintet
 ドイツの現代音楽家ヴォルフガング・フォルトナー(Wolfgang Fortner, 1907/10/12 - 1987/9/5)はダルムシュタット夏季現代音楽講習会でも講師を勤め、教え子にはH.W.ヘンツェやB.A.ツィンマーマン等のビッグネームがいますね。
「五つのバガテル」ですから5小曲作品です。所々で音の跳躍が存在して音列配置の残影はありますが点描構成ではなく動機が存在します。カノンの様な機能和声方向で前衛ではありません。新古典と言うほどではありませんが、聴きやすいです。

Quintett (1952年) for wind instruments
 ハンス・ヴェルナー・ヘンツェ(Hans Werner Henze, 1926/7/1 - 2012/10/27)の初期作品で十二音技法の作品です。
三楽章楽曲「五重奏曲」です。初期のヘンツェらしく調性感を残しながらの移調・転調風の楽風です。上記二曲よりは前衛に近いとはいうものの、時代とした折衷的に聴こえたと思います。足枷から逃れた今の時代の前衛とすれば逆に違和感が少ないかもしれませんね。

No. 5: Zeitmasse (1956年) for five wind-wood instruments
 カールハインツ・シュトックハウゼン(Karlheinz Stockhausen, 1928/8/22 - 2007/12/5)については割愛w
ホリガーがコーラングレ(コール・アングレ,仏語 cor anglais またはイングリッシュホルン, english horn)で入っています。
「ツァイトマーセ」は、かの「グルッペン, Gruppen」と同じ時期・スタンスのポスト・セリエル楽曲で、基本セリエルで「群作法」です。この後「モメント形式」へ移るわけですね。
一楽章13’強の楽曲です。上記楽曲に比べると当然ながら前衛で点描的、音の跳躍が明確な音列技法の色合いが強い曲です。そしてポリフォニーパートがあり混沌が存在します。ただ、動機やユニゾンもあってシュトックハウゼンと、この時期の流れを味わえると思います。特にホリガーを意識する必要はなさそう...かな。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  Quinteto de Maderasによる演奏です。


Serpentinata (1968年) for wind quintet
 ドイツの現代音楽家ギュンター・ベッカー(Günther Becker, 1924/4/1 - 2007/1/24)は上記のヴォルフガング・フォルトナーに師事し、同じくダルムシュタット夏季現代音楽講習会で講師を務めました。
この「セルペンティナータ」は短い動機の反復と変奏がベースで、基本は点描で音列配置の感が強い前衛楽風になります。クラスターやノイズの様な音色で表情変化も豊か、ポスト・セリエリズムから出てきた今の時代に通じる前衛ですね。



シュトックハウゼンが入っている事もあって、この時代の前衛現代音楽の流れを楽しめるアルバムでおすすめです。前衛の衰退に入る、その間際の時代が味わえますね。
とても残念なのは入手が難しそうで、アマゾンでは再入荷見込みなし になっています。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

ZOFO の ZOFORBIT A Space Odyssey を聴く

米でグラミー賞ノミネートされたりと人気ピアノ・デュオ ZOFO のアルバムです。ZOFOは "20 Finger Orchestra" の略との事ですね。(二人4handsで指が20→ZOと、Finger Orchestra→FOでZOFO)
スイス人女性ピアニストのエヴァ・マリア ツィンマーマン(Eva-Maria Zimmermann)と男性ピアニストの中越啓介(Keisuke Nakagoshi)の二人で2009年から活動しています。

特徴的なのは、近現代音楽の連弾という所でしょう。このアルバムでも好きなG.クラムやD.ラングが取り上げられています。
アルバムのテーマは「音楽を通して惑星から銀河を旅して帰る」事だそうです。

A Space Odyssey / ZOFO

The Milky Way, Piano Sonata Op.24 for Four-Hands (1990年)
エストニアの現代音楽家 ウルマス・シサスク(Urmas Sisask, 1960/9/9 - )は、音楽性の基本はグレゴリオ聖歌とバロック音楽に培われ、作曲技法として太陽系惑星の軌道計算を使った音階を持っています。
2partの曲で、単純音階をベースにして低音鍵盤のズシーンとして響と合わされて神秘的です。印象的にも空間と星間物質の天の川銀河を思わせるかもしれません。一部特殊奏法はありますが、明確な機能和声の楽曲です。

The Planets, Op.32 (1916年)
お馴染み7パートからなるグスターヴ・ホルスト(Gustav Holst, 1874/9/21 - 1934/5/25) の"惑星"、ピアノ連弾版です。ピアノ連弾版は以前Len Vorster / Robert Chamberlainで聴いていますね。

残念ながら全体的にフラットで機械的な感がします。アゴーギクに感情移入が弱いからでしょうか、一音一音の粒立ちがモヤッとしているからでしょうか。個人的嗜好から行けば、もっと豊かな表現とシャキッとした切れ味がこの曲らしさを感じられる気がしました。それでも土星(Saturn)の情感的な美しさや天王星(Uranus)の躍動感は良いですね。

Celestial Mechanics, (Makrokosmos IV) Cosmic Dances for Amplified Piano, Four-Hands (1979年)
 I. Alpha Centauri - II. Beta Cygni
ジョージ・クラム(George Crumb, 1929/10/24 - )は音楽教授や神秘主義的・悪魔主義的な作風で有名ですが、個人的には円形楽譜がすぐに浮かびますね。代表作「マクロコスモス」はピアノ曲で、「天界の力学, Celestial Mechanics」は、その第4巻で連弾パートです。今回は第4巻黄道十二宮12曲の内の2曲「ケンタウルス座α」「はくちょう座β」になりますね。
ここでは切れ味のある連弾を見せてくれます。ピアノの持つ打楽器と鍵盤楽器の性格をよく表して、クラムの微妙な調性感での空間世界を見せてくれますね。特殊奏法も含めて静音パートも透明感のある音色です。

試しにYouTubeで観てみる?
 II. Beta Cygniになります


Gravity (2005年)
デヴィッド・ラング(David Lang, 1957/1/8 - )については、Bang On A Can他このブログではお馴染みで個人的に大ファンです。
この「重力」では音数の少ない静的アルペジオです。「重力」と言うよりも、真空の世界に散らばる光の様な澄んだ世界ですね。



近現代曲と言っても無調無拍混沌の様な前衛は取り上げられていません。難解度が高いのはクラムかもしれませんが、それでも旋律的は流れは存在しています。最初と最後に空間性の強い曲を持ってきていて、宇宙を旅して帰る感じですね。
ZOFOの演奏はクラムでは面白かったですが、他の三曲に共通する調性感のある曲では今ひとつ表現が伝わらない気がしました。


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

マグヌス・グランベルイ(Magnus Granberg) の How Deep is the Ocean, How High is the Sky? を聴く

スウェーデンの現代音楽家マグヌス・グランベルイ(グランバーグとも, Magnus Granberg, 1974 - )は室内楽系を得意として、即興系のパフォーマーでもありますね。若くしてサキソフォニストでエーテボリやニューヨークでも活動していたそうです。
その後、ensemble "Skogen" を結成して自らの音楽の演奏活動に入っています。Skogenは11人編成でエレクトロニクスも含んだり、日本人メンバーによる和楽器"笙(sho)"の採用もありますね。

本アルバムは以下の10人編成で、古楽器やプリペイド・ピアノ、エレクトロニクスの混成音楽となります。スコアは全てのパートを厳密に譜面化してはおらず、裁量の余地を残している様です。

 Magnus Granberg - prepared piano, composition
 Cyril Bondi - objects, percussion
 d’incise - objects, electronics
 Teresa Hackel - bass recorder
 Wolfgang Hillemann - chitarrone
 Anna Lindal - baroque violin
 Hans Jürg Meier - bass recorder
 Anna-Kaisa Meklin - viola da gamba
 Eric Ruffing - analogue synthesiser
 Christoph Schiller - spinet, objects


How Deep is the Ocean, How High is the Sky? / Magnus Granberg
Magnus-Granberg-HowDeep.jpg
(英音響系インディペンデント・レーベルanother timbreからリリースされています)

1曲1パートの約1時間で、音の密集度の低い瞑想感、ノイズ(特殊奏法、電子ノイズ)、の空間音響系の現代音楽です。旋律や動機、それが無調であれ、はほぼ存在しません。当然ミニマルの様な反復やポリフォニーも存在しません。またサウンドの強弱は薄く、テンポ変化もほぼ無いドローン風です。
それが後半近くで音密度が少し上がり、動機の様な流れがカノンの様相を呈しますね。その後ノイズを強めにして音を少し強めますが、最後は元の流れに回帰して終わります。
作曲技法に特殊性があるのかは不明ですが、プレイヤーに即興演奏の余地を残しているので偶然性の前衛でもありますね。

試しにYouTubeで聴いてみる
 お試しver.の6'です




ドローンではないのですが、その様なサウンド傾向ですから静かにかけておくのに最適です。音に浸る、そんな音楽ですね。全体の構成感もあって悪くありません。


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

ハンス・ヴェルナー・ヘンツェ(Hans Werner Henze) の交響曲第9番を聴く

先日 第1番(1947年)と第6番(1971年)を紹介したドイツの現代音楽家ハンス・ヴェルナー・ヘンツェ(Hans Werner Henze, 1926/7/1 - 2012/10/27) の後期の交響曲である第9番(1997年)を聴きましょう。
略歴等はその際の紹介にありますので、よろしければご参考に。
ハンス・ヴェルナー・ヘンツェ(Hans Werner Henze) の交響曲第1番・第6番を聴く

ヘンツェは10の交響曲を作っています。1番6番は三楽章形式でしたが、ここでは反ナチズムの独小説家アンナ・ゼーガース(Anna Seghers) の「第七の十字架, The Seventh Cross」 7人の囚人の脱獄の話, を元にドイツ学者で詩人のハンス-ウルリッヒ・トライヒェル(Hans-Ulrich Treichel) がテキスト化して7パートの合唱付の交響曲になっています。(ヘンツェの政治的背景やアンチ・ファシズムの話には、ここでは触れません。歌詞の内容についても同様です)

初演は1997年のベルリン・フェスティバル(同委嘱)で、インゴ・メッツマッハー(Ingo Metzmacher)指揮 ベルリンフィル(BPO)で行われています。いかにヘンツェが大物だったかわかりますね。

WEAGO盤なので演奏は前回紹介と同じ、マレク・ヤノフスキ(Marek Janowski)指揮、ベルリン放送交響楽団(Rundfunk-Sinfonieorchester Berlin) に合唱のベルリン放送合唱団(Rundfunkchor Berlin)が入ります。

sinfonia n.9 / Hans Werner Henze
1.Die Flucht (Escape) - 2.Bei den Toten (Among the Dead) - 3.Bericht der Verfolger (The Persecutors' Report) - 4.Der Platane spricht (The Plane Tree Speaks) - 5.Der Sturz (The Fall) - 6.Nachts in Dom (Night in the Cathedral) - 7.Die Rettung (The Rescue)
 オペラやバレエを得意とするヘンツェらしさが楽しめます。タイトルロールのないヘンツェの現代音楽オペラという感じですね。(パート6では宗教音楽的でもあります)
静音と吐出するクラスター音になりますが、極端な音の跳躍の繰り返しや即興的混沌はありません。後年のヘンツェらしく明瞭な旋律は減っています。そこにvocalの旋律が乗る感じになります。オケとのポリフォニーの様相を見せます。時折見せる美しい旋律、それもヘンツェですね。
パート毎に楽風は、雰囲気ですが、変わりますが基本の構成感は同じです。いずれ標題音楽になりますから、歌詞が必須ですが英訳付です。

試しにYouTubeで聴いてみる?
 多分メインとなる、パート6になります。



vocalパートの占める存在比率が、音楽・内容ともに高く交響曲と言う感じではありませんね。表題音楽であり、自由形式の単一楽章と考え合わせると交響詩の方がぴったりでしょう。
前回紹介の交響曲二曲と合わせて聴くと、CD2枚でヘンツェの音世界が垣間見えると思います。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

2017年5月18日 サロネン/フィルハーモニア管 の マーラー交響曲 第6番「悲劇的」at 東京オペラシティ ★★★

エサ=ペッカ・サロネン(Esa-Pekka Salonen) / フィルハーモニア管弦楽団は、2015年3月6日「火の鳥」が良かったので期待大でした。(フィルハーモニア管の諸々の点についてここで触れる必要はありませんね)

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もちろんメインはマーラー6番ですが、2015年に楽譜が見つかり 昨年世界初演されたストラヴィンスキーの「葬送の歌, Funeral Song」も嬉しいですね。



ストラヴィンスキー葬送の歌 Op.5 (1908年) [日本初演]
 「火の鳥」の1年前の作品ですね。12分ほどの小曲で暗め。火の鳥に似た感があり、前半の弦のトレモロと管楽器が王子登場に、後半はカスチェイと悪党を連想しました。
サロネンは拍手を受けた時に、初演のゲルギエフにならってかスコアを掲げましたね。

106年ぶりに楽譜が発見され、2016年12月2日に世界初演された話はこちらから


マーラー交響曲 第6番 イ短調 《悲劇的》
 ライブならではの興奮とパワーの素晴らしい演奏でした。コンサートで聴きたいのは形通りの好演ではなく、暴れる様な乱れも包括する情熱漲る演奏ですね。

第一楽章は、提示部出だしの緩いテンポと怪しい管楽器を聴いた時はヤバイと思いましたw
ところが提示部の反復で一転、行進曲の第一主題で勇壮壮大さを見せ、続く流れに乗ったアルマの主題(第二主題)でも大きな流れを作りました。強音パートは多少の乱れも情熱となり、走るパートは駆け抜ける迫力となりました。ここから本領発揮でしたね。
第二楽章はスケルツォでした。主部は第一楽章再現部からの情熱溢れる流れをとり、トリオでは一転して優美さを前面にしてメヌエットの様です。
第三楽章は、見事に緩徐楽章の流れを作りましたね。第一主題は穏やかに各楽器で引継がれ、第二主題の流れも哀しみよりも優しさを感じました。とは言え、中間部の山場では迫力が波の様でした。
第四楽章はこの日の白眉でしょう。30分はあるこの楽章がこんなに短く感じたのは初めてでした。中でも素晴らしかったのは、この曲で一番厄介な展開部でした。炸裂するパワーがオケとホールに響き渡りましたね。サロネンはその前の提示部最後で右を向いた際に笑みを見せました。なんだっのでしょう?!。
この楽章は溢れるパワーに浸りました。もちろんラストの一撃は約束の衝撃で、ティンパニーと弦のピチカートも明瞭でした。
ちなみにハンマーは標準的な展開部二発でしたね。



物足りなさが残ったとすれば、静音スローパートが哀しみよりも優しさだった事でしょうか。もしそこが冷たい哀しみだったら凄い名演だったかもしれません。(個人的好みの問題ですがw)
でも、それを差し引いても指折りの素晴らしいマーラー6番だったでしょう




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

パーヴォ・ヤルヴィ/ HNK交響楽団で聴く「マーラー交響曲第6番 悲劇的」NHKプレミアムシアター

パーヴォ・ヤルヴィ(Paavo Järvi)とN響の本年2017年2月28日のベルリン・フィルハーモニーでの演奏で、NHKプレミアムシアターの録画になります。

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(リハーサルの様子:N響ホームページより)

実は、明日のエサ=ペッカ・サロネン(Esa-Pekka Salonen) w/フィルハーモニア管弦楽団の同曲を前におさらいですね。

マーラー交響曲第6番 「悲劇的」 イ短調
第一楽章
 行進曲の第一主題は緩めに入ります。第一主題の流れは抑え気味で、続くアルマの主題である第二主題も控えめ。反復後の展開部も同様で牧歌調の流れはちょっと間延び感、でも再現部でこの曲らしい激しさと歯切れよさが感じられます。
全体的にややモッタリですが、再現部が締りがあっていい感じですね。 実はここから目を覚ますんですね。

第二楽章
 標準的にスケルツォを採用です。主部は第一楽章再現部からの良い流れで、第一トリオは牧歌的のどかさにもキレがあります。回帰する主部では重さを増してきますね。第一楽章からのつながり感がいいです。

第三楽章
 三部形式の始まり第一主題は穏やかな中にもうねりの様な波を見せ、暗くスロー。第2主題も隠的です。中間部は穏やかに入り山場向けて盛り上げていきます。緩徐楽章的な位置づけですが、切れ味があります。

第四楽章
 間を十分にとった序奏から入り、提示部第一主題行進曲は華やか切れ味よく、第二主題は軽やかに入ります。序奏再現からカウベルの展開部は静かに進みながら締まった迫力で山場を迎え、そのまま突き進みます。再度序奏再現する再現部では、スローパートをうまく使いながらスピード感に変化を与えて緊張感のある良い流れを作りました。もちろんラストのトゥッティは見事に決まります。
ちなみにハンマーは標準的な二発でした。



やっぱり管楽器が弱く全体もっさりかな…という入りでしたが、第一楽章後半の再現部からは目を覚まして切れ味ある迫力の演奏でした。持っているN響のイメージと違いましたね。
父ネーメの突撃ハイスピードのマーラー6番とは違うパーヴォ・ヤルヴィのタクト。このマーラー6番ではコントラストでしょうか、アゴーギクと出し入れを効果的に使った締りと緊張感のある演奏になりました。ベルリンのオーディエンスの反応も悪くはありませんでしたね。


さて、明日のサロネン/ フィルハーモニア管はどんなマーラー6番を聴かせてくれるでしょうか、揺さぶりの強いイメージのあるサロネンですから楽しみです。


テーマ : クラシック
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2017年5月16日 ブラビンズ/都響, S.オズボーン(ピアノ) で聴く英国音楽 at 東京オペラシティ ★☆

東京はこのところ天気がはっきりしません。そんな中、今日は近くて楽な初台でした。

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都響定期B第831回は、指揮ブラビンズ(Martyn Brabbins)、ピアノはオズボーン(Steven Osborne)、英国音楽家の楽曲という英国音楽シリーズですね。
実は英近現代音楽家は、ブリテンやマクミランら一部しか馴染みがありませんが、お楽しみの一つはスティーブン・オズボーンのピアノですね。今回は素直に事前の曲確認もなしで楽しんでみたいと思います。(聴いていない曲のCDを購入して確認するのも楽しみですが...)

曲目解説は都響のページを参考にどうぞ。



青柳の堤 (1913年) :バターワース(George Butterworth, 1885/7/12 - 1916/8/5)
 A.ベルクと同い年で、享年31歳と早世ですね。英国音楽らしい長閑な風景感のある、いかにも標題音楽です。6分と短く、展開はシンプルですね。演奏もマッチしていました。

ピアノ協奏曲 (1955年):ティペット(Sir Michael Tippett, 1905/1/2 - 1998/1/8)
 日本初演だそうです。細切れで忙しない音の並びに終始し、不協和音が微妙な調性感を醸し出します。動機の反復と変奏で構成されて、他二曲と対比する絶対音楽で好みですね。
オズボーンのpfはテクニックだけではなく、音の粒立ちと歯切れの良さが素晴らしいですね。揃いの良い都響と相まってこの曲の良さを引き出していたのではないでしょうか。

ロンドン交響曲(交響曲第2番, 1920年):ヴォーン・ウィリアムズ(Ralph Vaughan Williams, 1872/10/12-1958/8/26)
耳なじみの良い旋律を次から次へとつなぎ合わせて、その主旋律に伴奏パートを組み合わせた様な全曲ですね。聴き手を不安にする様な和声や、旋律が交錯するポリフォニーの要素は皆無です。その代わりにワクワク感や沸る様な刺激もありません。
でも各楽章にロンドンの情景が振られている標題音楽ですから、それをイメージしながら都響の素晴らしい演奏に身を浸すのが楽しみ方でしょう。



何と言ってもティペットのピアノ協奏曲が素晴らしかったですね。都響の見事な演奏は陶酔性を感じましたし、ピアノとのせめぎ合いもスリルがありました。
S.オズボーンはCDのインプレで何回か紹介済みですが、印象はずっと良かったですね。次は叙情性の強い曲で聴いてみたいと思いました。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

シェーンベルクの 浄夜 (Verklarte Nacht) を 個性派で聴き比べ:アルデッティ、ストコフスキー、マデルナ

言わずと知れたアルノルト・シェーンベルク(Arnold Schönberg, 1874/9/13 - 1951/7/13)の初期、後期ロマン派時代の名曲「浄夜」(浄められた夜, Verklärte Nacht Op.4) です。

原作は独詩人リヒャルト・デーメル(Richard Dehmel)の同名の「精神的・形而上学的なエロスによる救済願望」を表す詩で、単一楽章5パートからなっています。
半音階技法や不規則な楽節(小節)が用いられている様ですが情感的で美しい後期ロマン派作品に違いなく、その後の無調〜十二音技法に至る現代前衛音楽を切り開く気配は見えませんね。

コンサートでもよく演奏されますし、今までも超有名盤のカラヤンとラサール そして好きなツェートマイアー(Thomas Zehetmair)を紹介しています。
他にも所有CDはありますが、ここは三人の個性派を揃えて聴き比べて見ましょう。



アルデッティ四重奏団
前衛現代音楽四重奏団の雄 アーヴィン・アルデッティ(Irvine Arditti)率いる Arditti Quartetによる演奏です。弦楽六重奏曲なので+2名(ヴィオラ、チェロ)を入れています。
 美しさよりも濃厚で刺激的なエロスを感じます。そういう意味ではこの後の作品「ペレアスとメリザンド」に似た気配を感じさせてくれる演奏です。(特にパート3までは) 各弦楽器が個別の表情を強く現していて、そこにディナーミクとアゴーギク振られています。感情の起伏が強く ストーリー性を感じる演奏ですね。
美しいパート4でも、オーケストラver.(例えばカラヤンBPO)の様な甘美さは全くありません。硬派の演奏です。


ストコフスキー
w/ レオポルド・ストコフスキー交響楽団
米で活躍した個性派指揮者ストコフスキーによるオケ編成、1957年演奏です。実は弦楽合奏版ではなく、弦楽六重奏曲をストコフスキーが編曲したver.になります。(録音当時はヒューストン響の指揮者) ストコフスキーは数多くの米国初演をこなし、また独自の編曲版を作っていますね。
このCDがamazonで見つからないのが不思議ですが、古い事と新星堂企画盤だからでしょうか。
VerklarteNacht-LeopoldStokowski.jpg
 全体の流れに不自然さは全くなく、スットコストコフスキー節は感じられません。細かなヴィブラート等のほどはよくわかりませんが、クセのある響きはありませんね。パート4からの美しさもナチュラルで、例えばマーラー5のアダージェットの様な甘美さではありません。素晴らしいのはパート5、入りからラストに向けての持って行き方ですね。澄んだ美しさにグッときます
編曲も含めてあまりにスマートな展開が意外ですが、"どうだ参ったか!!?" の裏をかかれたという意味では流石のストコフスキーですw 古い録音ですが音は悪くありません。(録音に関してストコフスキーは先見性がありましたね)


マデルナ
w/ Sinfonieorchester des Südwestfunks Baden-Baden
個性派指揮者といえば、このブログではお馴染み ブルーノ・マデルナ(Bruno Maderna, 1920/4/21 - 1973/11/13)でしょう。現代音楽家としても活躍は素晴らしく、kokotonPAPAご贔屓の音楽家です。指揮はシェルヘンに師事しているので強烈です。
レア盤なので入手は難しいかも知れませんね。「ペレアスとメリザンド」他もカップリングされたシェーンベルク曲2CDですからマデルナ・ファンなら必携?! ただし1960年mono録音で、音はARKADIAですから劣悪w
VerklarteNacht-BrunoMaderna-ARKADIA.jpg
 強烈に濃い味です。例によってアゴーギクとディナーミクは強烈。ただ音の強弱だけでなく、そこに微妙なアゴーギクを入れ込み感情の爆発を見せてくれます。静的パートは緩やかに、テンポアップして強音パートは揺さぶり強く、息つく暇を与えません。
それでもパート4〜5で見せる美しさは、この曲の持つ後期ロマン派譜面のなせる技でしょう。激情と静的美しさのバランス、その強烈なコントラストがマデルナですね



個性派の演奏は面白いですね。感情が剥き出しの様なアルデッティ、予想を裏切る展開の独自編曲ストコフスキー、極端な揺さぶりのマデルナ。
刺激的なアルデッティも大好きですが、個人的には何と言ってもマデルナの醸し出す強烈な激情さですね。



テーマ : クラシック
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1.このblogで言う現代音楽
2.マーラー交響曲第5番 160CD
 (名盤・珍盤 聴き比べ)

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