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ファジー Fuzzy の Chimes of Memory を聴く

デンマーク人現代音楽家 ファジー(Fuzzy, 1939/2/23- )、本名イェンス・ヴィルヘルム・ペデルセン(Jens Vilhelm Pedersen) は、ノアゴー(Per Nørgård)、シュトックハウゼン(Karlheinz Stockhausen)、リゲティ(György Ligeti)と錚々たる顔ぶれに師事していますね。
楽風は欧エキスペリメンタリズム系前衛電子音楽のみならず ジャズやフィルム・ミュージックまでと幅広いです。

本アルバムはFuzzyの多様な展開を楽しく味わえる一枚ですね。

Chimes of Memory / Fuzzy


Notre Dame Trilogy (2002-2006年) for organ solo
1. Cadences et treblements a Notre-Dame
2. Uber allen Gipfeln
3. Contemplation d'un tableau de J. F. Willumsen
 デンマーク人オルガン奏者 Grethe Krog (ph.d) がノートルダム寺院で演奏する為に委嘱した作品で3partからなっています。(表題通り、演奏もKrogです)
とにかく表情豊かな作品です。もちろん前衛ではありません。重厚な教会オルガン演奏ですが、その中にはバロック風からフィルム・ミュージック風までが詰め込まれています。各パートでリズム感が変化、part.2-3ではスローで音数が少なく、しますがパイプオルガンの響きを最大限生かす手法は同じです。
トータル約30分、今の時代の教会音楽と言ったらいいでしょうか。個人的には1stがいい感じですね。

4. B-Movies (1997年) for harp and electronics
 いきなりの電子ノイズ、デンマーク芸術財団?のSofia Claro委嘱作品で欧前衛エクスペリメンタリズムです。グリッサンド風な音色を含む電子音に、ハープ(by Tine Rehling)が点描音のアルペジオで色添えします。電子音楽は泡の様な音を出したりと様々に変化していきます。時には中東和声やジャジーなリズミカルな機能和声ではない調性感も展開します。後半はハープも攻撃的ですね。これは凄く面白いです!

5. Chimes of Memory (1987年) electronic music
 デンマーク放送による委嘱作品でグラスやバルーンを使って放送局のThe Waveflameで編集したりしています。シンセサイザーはYamahaDX-7で、同様のサウンドを作り出しているそうです。
キーンと言う様な音色は想像できるでしょう。その背後に長音を配したドローンです。

Tre tilbageblik (2004年) for bass saxophone and electronics
6. Tre tilbageblik- I
7. Tre tilbageblik- II
8. Tre tilbageblik- III
 デンマーク人ヴィルトゥオーゾ サックス奏者Jeanette Ballandによる委嘱と演奏です。三楽章形式の前衛音楽ですね。1st mov.はバスサックスの音色を前面に押し出して、電子音楽は例によって音楽以外?のノイズでカラフルです。2nd mov.はドローン系です。中盤で透明感のあるSigne Asmussenのヴォーカリーズがフィーチャーされ、深淵で調性の美しい旋律が三者で奏でられます。3rd mov.はリズミカルでジャジー、楽しさいっぱいの展開。そこから所謂テープを含めた面白いノイズに展開し、そこからバスサックスとの前衛ジャズ的コラボに回帰しますね。
電子音楽は時にサンプリングの様な音色音階でサックスとの協奏も演じたり多様性を見せます。とても相性がいいですね。これまた超おすすめ!

9. Stjerner over Kobenhavns Forbraendingsanstalt (1975年) for electronic music
 ゴングの様な打楽器類の音はサンプリングでしょうか? そんな打楽器類の響きとシンセサイザー音がノイズとメランコリックなメロディーで交錯する緩やかな楽曲です。この構成がFuzzyの基本だと思います。

・・・・・
電子音楽のエキスペリメンタリズムなのですが、構成の多様性を感じてアコースティック楽器とのコラボがとても面白いです。前衛ですが頭でっかち一辺倒ではありません。スッと耳に入りやすく、これは おすすめの一枚です。
前衛拒絶シンドロームの方はこの辺りから聴くといいかも、ですw



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





ウィーン・フィル シェーンブルン 夏の夜のコンサート2016 をNHKプレミアムシアターで観る

ワンパターンとは言え、毎年のお楽しみですね。
spレコード時代を思わせる様な良く知れた小曲が並ぶのは、この手のコンサートならではの楽しみでしょう。今回は一曲目のファランドールからお祭り用の楽曲が散りばめられ、その中に幽玄なフランス音楽が挟まれました。
明るく華やかな、そして優美な演奏はVPOの得意とするところ、とにかく楽しさいっぱいです。

ウィーン・フィル シェーンブルン 夏の夜のコンサート2016

聴かせどころはラベック姉妹のピアノ協奏曲でしょう。二人の跳ねるような、そしてプーランクらしい変調多調のピアノの音色がよく響きました。プーランクはピアノを得意としていたので、フランス6人組の時代の洒脱な良さが味わえた気がしますね。
そしてラヴェルの二曲。ダフクロでは幽玄さとダイナミックさが、そしてボレロではトゥッティに至る楽器使いとクレシェンドの妙が楽しめました。

天国と地獄ではVPOのメンバーも楽しそうに演奏していました。またウィーンかたぎでは観衆がワルツを踊る姿がありましたね。
大型モニターの設置された大会場はfreeですからねぇ。日本でもこう言ったスケールのコンサートが見られると嬉しいですね。

放映されたのは以下8曲でした。
 1.「アルルの女」組曲 第2番から ファランドール [ビゼー]
 2. 劇的物語「ファウストのごう罰」から ハンガリー行進曲 [ベルリオーズ]
 3. *2台のピアノと管弦楽のための協奏曲 ニ短調 FP 61 [プーランク]
 4. *組曲「動物の謝肉祭」から終曲 [サン・サーンス]
 5.「ダフニスとクロエ」組曲 第2番 [ラヴェル]
 6. ボレロ [ラヴェル]
 7. 喜歌劇「天国と地獄」から カン・カン [オッフェンバック]
 8.ワルツ「ウィーンかたぎ」 [ヨハン・シュトラウス]


<出 演>
管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指 揮:セミョーン・ビシュコフ
*ピアノ:カティア・ラベック、マリエル・ラベック

収録:2016年5月26日 シェーンブルン宮殿の庭園(ウィーン)

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





2016年7月25日 アラン・ギルバート/都響 のマーラー交響曲第5番 at サントリーホール ★★★


今日(都響定期B)はコンサートでよく聴きに行く曲No.1のマーラーの第5番です。前回は一ヶ月前のカンブルラン/読響、会場は同じサントリーホールでした。
 20160725-SuntoryHall-karajanhiroba.jpg 20160725-SuntoryHall-AlanGilbert.jpg

このコンサートを前にマーラー5番のCDを10枚聴き比べ(Total:150CD)してきましたが、実はアラン・ギルバートはまだ録音を残していません。(アダージェットのみあり)
ギルバートは特別マーラー振りというわけではありませんね。でも特別な感じがするのは現ニューヨークフィル(NYP)常任指揮者だからでしょう。ちなみに手兵NYPとのマーラー5番はニコニコ動画で見ることができます。(*下記インプレあり) 母親で第一ヴァイオリンの建部洋子さんも映りますね。
実はこれでギルバートの方向性はわかったと思いましたが...

マーラー:交響曲第5番 嬰ハ短調
 cbが刻むリズムを生かした特徴的な葬送行進曲、迫力と情熱漲る第二主題、出し入れを効かせた第一楽章。第二楽章も感情迸るダイナミックさと弱音スローの対比が見事な演奏でした。
第三楽章は速めでリズミカルなスケルツォとまさにワルツのレントラー、第2トリオ以降もスピード感に情熱溢れる強音パートとスローな静音パートのコントラストが飽きさせませんでしたね。hrの弱点は目を瞑りますw
第四楽章は速めでアゴーギクとディナーミクの強いダイナミックさ。珍しいアダージェットです。
最終楽章も速め、一二主題を力感強く絡めながら登ります。中間部とラストの山場でパワーを集結させ、最後はハイスピードで迫力のコーダから見事なアッチェレランドで締めくくりました。
・・・・・
事前に聴いたNYPとのライヴ(下記)からの変化が凄い。真面目な指揮者と手堅いオケの正統派マーラー5番かと思ったら、コントラストの強い爆裂 感情溢れる素晴らしい演奏でした。
コンサートならではの漲る情熱が味わえ、近年のマラ5では最高でしょう。


こういうコンサートの後は気持ち良く帰途につけますね。
ただ各楽章ともメリハリ強いコンサート向きな演奏だったのは確かで、録音で聴いたらどうなのかは気になる処です。


[P.S.]
*ギルバート/NYP (ライプツィヒ・ゲヴァントハウス、マーラーフェス2011年5月23日)
緩やかな第一楽章葬送行進曲、キレある第二主題の第一楽章。第二楽章も重厚さよりもキレとスマートさ。第三楽章は牧歌調のスケルツォと美しいレントラー、第2トリオ以降も正統派の流れです。第四楽章アダージェットは透明感高く、でも甘美さは適度な流れです。コーダは力が入り過ぎw 最終楽章は両主題を気持ち良く折り重ねながら上り、ラスト山場はパワーを振りコーダでは流石NYPの迫力を見せます。
(今回のコンサートも弦のボウイング付けはNYP/Gilbertを使っているとの事)
・・・・・
微細微妙なアゴーギクはあるものの、演奏精度の高い生真面目正統派なマラ5です。
その2年前の北ドイツ放送交響楽団(NDR Sinfonieorchester)との5番はYouTubeに細切れUPされています。





テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





マーラー 交響曲 第5番 名盤・珍盤 180CD聴き比べ! [#10 : 141-150]


グスタフ・マーラー(Gustav Mahler, 1860-1911)の交響曲第5番の聴き比べも今回10CDで150CD(含DVD)まで来ました。まだありますね。


Mahler Symphony No.5 -- 180 CDs

 ★:名盤 (一般的いわれている…と思う盤)
 ☆:個人的お勧め
 ㊟:とっても変わっています (普通の演奏じゃ満足出来ない貴方にw)


 #1:15CD
バーンスタイン[x5 ★☆], カラヤン[x3 ☆], プレートル, 小澤征爾, ジンマン, モリス[㊟], ブロムシュテット, ドゥダメル, ドホナーニ, マーツァル[x2], 参考音源/資料類
 #2:20CD
M.T.トーマス, テンシュテット[x6], ベルティーニ[x2 ㊟], ノイマン[x3], 小林研一郎[x4 ☆], シノーポリ, 井上道義, ザンダー[x2]
 #3:25CD
インバル[x4], セーゲルスタム[☆], ノット, ダーリントン[☆], ルドルフ・シュワルツ, スワロフスキー[㊟], レヴァイン, 外山雄三, ノリントン, ロジェヴェン[㊟], ズヴェーデン, 飯森範親, 尾高忠明, 若杉弘, ルイージ, ホーネック, ヴィト, シェルヘン[x4 ㊟]
 #4:20CD
ハイティンク[x4], ブーレーズ[x3 ★㊟], メータ[x3 ☆], クーベリック[x3], ショルティ[x3 ★☆], バルビローリ[x2], デプリースト, バルシャイ[☆], バレンボイム
 #5:5CD アバド追悼
アバド[x5 ★☆]
 #6:15CD
マゼール[x3], ナヌート, テミルカーノフ, スウィトナー, 上岡敏之, 井上喜惟, 西本智実, ベシェック, N.ヤルヴィ, アルブレヒト, I.フィッシャー, 堤俊作, フェルスター
 #7:10CD
ガッティ[㊟], レヴィ, コンロン, リットン, ファーバーマン, クライツベルク, アブラヴァネル, フェルツ[㊟], 大植英次, マッケラス
 #8:15CD
サラステ[x2 ☆], ギーレン[x2 ㊟], M.シュテンツ[x2], ジェラード・シュワルツ[x2], ヘルビッヒ[x2 ㊟], フェドセイエフ, リンキャヴィチウス[㊟], フリーマン, タバコフ, ラート
 #9:15CD
カサドシュ, ヘンヒェン, ノイホルト, インキネン, コンドラシン[x2], オストロフスキー, ポポフ[㊟], ミュンフン, マック・カーロ, オラモ, ダニエル, アルミンク, アシュケナージ, ヴァイネケン, ヒルシェ
 #10:10CD 本投稿
ゲルギエフ[x4 ☆], ラトル, ジークハルト, ロンバール, マデルナ[㊟], リーパー, 山田 一雄
 #11:10CD
シャイー[x2 ★], スラドコフスキー, シーヨン, ワールト, エッシェンバッハ, シップウェイ, P.ヤルヴィ, ネルソンス, スターン
 #12:20CD
バリエンテ, 佐渡裕[x2], 大野和士, ハーディグ, A.フィッシャー[☆], ロト, スヴェトラーノフ[x2], ヴァンスカ, ヤンソンス[x2 ★], ワルター[☆], ミトロプーロス, ケンペ, ロスバウト, パレー, ホーレンシュタイン, ラインスドルフ, アンチェル, ブリッグス(オルガン), トレンクナー&シュパイデル(ピアノDuo), ナタリア(アンサンブル)




ヴァレリー・ゲルギエフ, Valery Gergiev (4録音)
ゲルギエフはテミルカーノフの助手として1977年にキーロフ劇場、現マリインスキー劇場(管弦楽団)、の指揮者になっています。その後、1988年から音楽監督(1996年から総裁)を務めていますね。(キーロフはソヴィエト時代の呼び名です)
現在はミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者としてもマーラー・チクルスを推進中で、新しいマーラー5が楽しみです。
そしてここにも名盤が隠れています




(#1)

Rotterdam Philharmonic
[LIVE Supreme] 2001-1/2

非正規盤になりますが、ゲルギエフが主席指揮者(1995-2008)時代のロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団とのマーラー5です。


【第一部】
'間'を持った派手な鳴りのファンファーレから重厚スローな葬送行進曲。第一トリオは激しさよりも華やかさ、第二トリオは美しい哀愁です。
第二楽章 第一主題は刺激を強くキレキレに、第二主題では哀愁よりも優美さを作りますね。展開部は少し揺さぶったvc動機の色濃い美しさが印象的です。再現部も各主題を明瞭に鳴らした締まりの良さが光ます。多彩な表現力で素晴らしい第一部なりました。

【第二部】
スケルツォ主題は軽妙で演舞的、レントラー主題も僅かにアゴーギクを充てて優美にて洒脱!! 第三主題のオブリガート・ホルンはスローに弦とマッチの良さを、変奏パートでもテンポ変化を利かせて見晴らしが良いですね。展開部はスローからハイへと刺激を与え、再現部は提示部よりテンポを上げ気味に進めて後半スロー、待ち構えるコーダは派手派手しくまとめます。見事なバランス構成で聴かせる第三楽章です。

【第三部】
第四楽章主部は暖色系で濃い流れ、中間部も繊細な揺らぎを与えて官能的なアダージェットですね。
完璧なアタッカからの最終楽章は二つの主題をバランス良く軽快さで、コデッタは美しく。展開部は始めから力感溢れる流れで緊迫感の中を突き進み、再現部冒頭主題群をしっかり抑えてコントラストを描きます。山場からコーダは猛烈にドライヴし、フィニッシュは豪快なアッチェレランド! 感激的です!!
怒涛の足踏み音の大アプローズが待っていました。


美しさから重厚さまで際立つ表現力のマーラー5です。暴れる事も無く、見晴らし良く締まりある演奏の代表と言えるでしょうね。(暴れるのも好きですがw)

放送録音だと思いますが、非正規盤としたら録音レベルも十分で、聴き応えある一枚になっています。個人的名盤の一角です。






(#2)
Kirov Orchestra
[DIRIGENT] 2007-8/19

続いても非正規盤です。ロッテルダム・フィルから6年後、総裁としてゲルギエフが長期政権を握る手兵(現)マリインスキー劇場管弦楽団の演奏です。


【第一部】
鳴りの良い管楽器のファンファーレと、ロッテルダムの重厚さからクールさに変化した葬送行進曲です。第一トリオでは明るく華やかですが少し標準的な激しさに、第二トリオも哀愁感が強まっている様です。ラスト管楽器が怪しいですがw
第二楽章 第一主題はここでも刺激的にキレキレ、第二主題は鬱な哀愁になりました。展開部もvc動機が静を強調しますが揺さぶりは消してシックに、後半は切れ味です。再現部も速めのテンポでシャープ、ラスト前の金管の山場は最終楽章の〆めを期待させますね。6年前とよく似た流れで見晴らしの良さは変わりませんが、処々で表情がスタンダード化した第一部です。

【第二部】
優美なスケルツォですが少し速く力感も、レントラーはここでもアゴーギクのトッピングで優美です。第三主題のホルンと弦もスロー朗々の美しさ、変奏も変化が心地良いですね。展開部は始めからテンポを上げています。再現部もテンポを上げ気味にアゴーギクを着けて、その分シャープさが際立ちます。コーダは締まり良く締めていますが、派手さは抑え気味なりましたね。優美さとシャープさの対比を見せる第二部(第三楽章)でしょう。

【第三部】
第四楽章主部は少し速く落ち着いた流れになり、中間部でも揺らぎは弱まりました。冷たくシャープなアダージェットに変化しました。
最終楽章は第二主題に切れ味が増してテンポを上げて進みます。展開部はやっぱり始めから力感を入れていますがコデッタで落ち着かせてピークでテンポアップですね。再現部山場からコーダは重量感よりも切れ味重視になり、炸裂的からまとまり良さに。


シャープで見晴らしの良いマーラー5です。ロッテルダムの多彩な表現力をシャープ方向へ向けた感じですね。基本的なアゴーギク・ディナーミクの構成はよく似ています。

ロッテルダムが無ければ、もちろんです。と言うか、これはこれでで良いのかも…






(#3)
World Orchestra For Peace
[Unitel Classica] 2010-8/5 DVD


キーロフの3年後、2010年のBBCプロムスでWOFPを振った映像付きの録音ですね。平和の祭典・式典の時に集まるスペシャル・オケです。創設者ショルティ亡き後、ゲルギエフが指揮者を務めています。


【第一部】
抑揚あるファンファーレから僅かにアゴーギクを感じる落ち着いた葬送行進曲。第一トリオも一層スタンダードな激しさ方向へ、第二トリオの哀愁には美しさがあって良いですね。
第二楽章 第一主題は王道的に切れ味鋭く、第二主題は美しいさと哀愁のバランス。展開部のコントラストはやや下がってvc動機も色合いは薄くなりました。再現部が速めに流れるのは変わりませんね。よりスタンダードに王道化した第一部になりました。

【第二部】
穏やか優美ですがhrが弱いスケルツォ、軽やか優美な弦のレントラーに。第三主題はオブリガート・ホルンが弱いのが気になり、変奏パートの表情も弱くなりました。展開部は速めにキープされて、再現部もテンポをキープしながら主題を並べ、コーダもきっちりまとめます。スタンダード化で良さが薄まった第三楽章です。詰まった様なパワー不足のhrも残念です。

【第三部】
第四楽章は少しスローになって甘美さもほどほどに今の時代の標準的なアダージェットですね。
最終楽章がキーロフに一番近く、第二主題の速さは相変わらずで、展開部の力感からコデッタで落ち着かせるのも変わりません。再現部も山場からコーダを一体感ある切れ味でスカッと駆け抜けます。


王道化の完成度を上げたマーラー5です。ただ、(#1), (#2),にあった素晴らしい個性と引き換えになってしまいました。

決して悪くなく、前二録音を聴かなければ見事な演奏でしょう。方向性から言えば回を重ねる毎に王道化している様ですね。






(#4)
London Symphony Orchestra
[LSO Live] 2010-9


上記プロムスのWOFPとの録音の翌月、首席指揮者(2007-2015)として数々の録音を残したロンドン交響楽団とのマーラー5です。


【第一部】
落ち着いたファンファーレと感情を抑えた葬送行進曲ですがアゴーギクが入ります。第一トリオも激情抑えめですが、その後の木管の主部回帰を極度にスロー展開するなど陰影が深まっています。
第二楽章も第一主題はやや強めになっていますが切れ味不足、第二主題も哀愁を強めに演奏されます。展開部のvc動機もすっかり平凡になっていますね。再現部も王道と言うより凡庸になってしまいました。切れ味が不足して見晴らしの良くない第一部です。

【第二部】
落ち着いたスケルツォから緩やか優美なレントラーへと続きます。第三主題のスローからの変奏もモヤモヤっとした感じで、展開部も速め力感ですが何処かヌケが悪く、再現部も流れはWOFPと似て王道ですが平凡と言えばそう聴こえてしまいます。緊張感や切れ味が弱く今ひとつ締まりません。ヌケが悪く、録音の問題?!

【第三部】
第四楽章主部は透明感が増していますが、中間部と重厚パートに揺さぶりを感じる変わったアダージェットです。
最終楽章で個性を放っていた第二主題の速さは平均的になって平凡化、展開部も力感からの流れではなくなりアゴーギクで見晴らし不良になってしまいました。再現部冒頭を抑えての山場からコーダはここでもビシッと決まりましたが、時すでに遅し。視界不良の第三部ですね。


焦点が絞れずシャキッとしないマーラー5です。流れはスタンダードと個性が入り混じって見晴らしが悪く、演奏にもヌケの悪さを感じます。WOFPから一ヶ月でのこの違いは??

なのにラストは切れ味良く見事に決めていると言う不思議さです。





サイモン・ラトル, Simon Rattle

Belriner Philharmoniker
[EMI] 2002-9/7-10


個人的にはイギリス人指揮者Sir サイモン・ラトルも我儘ヴィルトゥオーゾ軍団BPOも興味は薄いですが、ラトルのBPO音楽監督としてのデビューLiveですね。なんとここまでインプレしていなかったとは驚きでしたw
そう言えばBPOの首席指揮者(兼芸術監督)も2018年で終えるそうですね。


【第一部】
葬送行進曲は静から烈にもったいぶったクセがあります。第一トリオでは激しさほどほどですが後半は揺さぶりを入れ、弱いティンパニーからの第二トリオでも傾向は同じで、アゴーギクの表情付けに違和感がありますね。
第二楽章 第一主題は型通りの激しさ、第二主題の哀愁も平均的で第一楽章で感じたクセはありません。展開部はアンフィットなディナーミクを振り、再現部の第二主題のピークは何げに流している感じです。

【第二部】
スケルツォ主題とレントラー主題は今ひとつの優美さでよそよそしさを感じます。第三主題オブリガート・ホルンも気持ち良さは低くスッキリしません。展開部もそれなりの締まり具合で、再現部もするするっと流れて、コーダもほどほどです。

【第三部】
第四楽章主部は緩やかな揺さぶりの静美、中間部は淡々と流れて、アルマに気持ちが伝わらないアダージェットですw
最終楽章は両主題ともに特別な事はなく進み、コデッタでも普通に優美。ところが展開部からは力感で進めて締まりを見せ、ピークを派手に鳴らします。そして再現部の山場からコーダは迫力を増して見事にアッチェレランドで駆け抜けます。ラストだけはまとめる流石のBPO!!? (笑)


最終楽章展開部からラストを聴かせるマーラー5です。第一部の様にもったいぶった流れを作るかと思えば、第二部の様に気持ちの入らない楽章もあって、聴いていてフィットしませんね。

ところが第五楽章の展開部から一気に締まり、フィニッシュは大炸裂でまとめと言う不思議なマーラー5です。

ちなみにオブリガート・ホルンはソロ扱いで前列だったはずですね。





マルティン・ジークハルト, Martin Sieghart

The Arnhem Philharmonic Orchestra
[EXTON] 2010-11/3-5


オーストリア人指揮者ジークハルトが2008年に常任指揮者を退き名誉指揮者となったオランダのアーネム・フィルハーモニー管弦楽団(アルンヘム・フィルハーモニー管弦楽団とも)との演奏です。2010年はマーラー生誕150周年で、録音も増えた年ですね。


【第一部】
スローで陰影を付ける葬送行進曲の第一楽章。第一トリオも激しさよりも鳴りの大きさ、木管の主部回帰後の第二トリオのスッキリ鳴らす哀愁も含めて構えの大きい第一楽章です。
第二楽章も当然の様に広がりを感じる第一主題から、落ち着いた哀愁感の第二主題を奏します。展開部でもスロー基調で心地良いコントラストを作り、再現部は第二主題を鳴り良く広げています。

【第二部】
ここでも基本は変わらずでスケルツォからレントラーはスロー基調の優美さです。第三主題オブリガート・ホルンは抑えながら美しい弦とのマッチの良さを見せます。展開部もスロー、再現部もスロー、コーダももちろんスローです!! スローキープでマイルドな第三楽章です。

【第三部】
第四楽章主部は静美でこの流れにピッタリ、中間部も澄んだ流れを作り、主部回帰のスロー静は透明感の美しさです。クールなアダージェットそのものですね。
第五楽章も両主題を落ち着いて絡ませ、コデッタは勿論優美! 展開部もスローですがしっかりとした鳴りで登り、ピークは大きく華やかに鳴らします。再現部山場からコーダは慌てずゴージャス!


スロー広がりでマイルド仕立てのマーラー5です。決して暴れる事は無く録音の良さもあって、独特の安定感と穏やかさを作っています。

徹底したスロー&マイルドなので好みは大きく分かれるでしょう。また、ボリュームを上げられないとボケた印象に陥る危険性も抱えています。

マーラー5番を聴き込んだ貴方に聴いていただきたい一枚です。やっぱり印でしょうかねェ。





アラン・ロンバール, Alain Lombard

Orchestre National de Bordeaux-Aquitaine
[Forlane] 1991-6


歌劇の指揮の印象が強いフランス人指揮者アラン・ロンバールはバーンスタインの助手を務めていましたね。これはボルドー・アキテーヌ国立管弦楽団の音楽監督時代(1988–1995)の録音になります。


【第一部】
微妙なディナーミクを見せる落ち着かない葬送行進曲から、弾ける様な第一トリオはテンポアップで、第二トリオでは丁寧で流麗な流れですがアゴーギクを感じます。
第二楽章は速く激しい序奏から第一主題、一転淡々とした美しさからアゴーギクの第二主題です。展開部は強いアゴーギクでコントラスト付け、再現部コラールはスタンダードで派手な盛り上げ!? 素直では無い揺さぶりの色付けの第一部です。

【第二部】
スケルツォ主題はスタンダードですが優美さに欠けて、レントラー主題では何とか優美さを見せます。第三主題は変奏パートと合わせて忙しない感じ、流れを締めるはずの展開部はアッサリ。再現部もこれといった特徴を見せずに、コーダいきなり爆速です。速い流れと丁寧さに欠けるスケルツォ楽章です。

【第三部】
第四楽章主部はややそっけなく、中間部は少しスローから粗く揺さぶります。'何か違う'と感じるアダージェットです。
第五楽章 第一・二主題は速めで忙しなく軽快さ不足、ゴリゴリとした感じです。展開部も速いまま乱雑に駆け上がり、再現部山場からコーダはテンポを落として大きく鳴らします。最後は爆演アッチェレランドですが感激的ではありませんね。


まとまりと丁寧さに欠けるマーラー5です。アゴーギクとディナーミクだったり、全部が速かったりと 個性的流れは尊重できますが、'何か違う'感じです。

何と言うか、もう少し大切に演奏しても良いのでは?と思ってしまいます。荒っぽさは歓迎ですが、気持ちの伝わらない粗雑な変則は残念です





ブルーノ・マデルナ, Bruno Maderna


Orchestra Sinfonica di Milano della RAI
[ARKADIA] 1973-2/23 [mono]


現代音楽家また指揮者としても好きなマデルナです。指揮は かのシェルヘンに師事しています。(そこが問題なのですがw) この5番はマデルナが亡くなった年に録音されたものになりますね。当時首席指揮者(1971-1973)を務めていたミラノRAI管弦楽団(ミラノ・イタリア放送交響楽団?)による演奏です。


【第一部】
何気ないファンファーレからいきなり超スローで強い揺さぶりの葬送行進曲、いきなりマデルナらしさが全開ですね。第一トリオは派手に激しく後半スローダウン、凄いコントラストです。第二トリオ前のティンパニーも奇妙です。
第二楽章第一主題は猛烈に速く大暴れ、そこからいきなりスタンダードな第二主題に。展開部は退屈ですが、再現部は始めから暴れて金管コラールは大爆裂、期待を裏切らない凄く変わった第一部になっています。(笑)

【第二部】
速めのスケルツォ、弦がガサゴソ変です。レントラーはスローで揺さぶりを入れつつ優美、ところが回帰するスケルツォで弦五部がグダグダの大暴走。第三主題変奏パートのピチカートは躓きそうで超極解? 展開部冒頭vnは完全フライング! 再現部は飛ばしてバラバラ。コーダは爆裂!! 速くて暴れて意味不明, とにかく変な第二部です。

【第三部】
スローで個性的アゴーギクもフィットして美しく大きなアダージェットです。澄んだ美しさが素晴らしく、かえって違和感が大きいですね。
最終楽章の序奏はボケて、提示部は普通かと思いきや 反復前でいきなり大スローを出したり目(耳?)が離せません。何をやるのか気になるラスト再現部山場からコーダですが、期待を裏切って見事にビシッと決めてくれました。


考え方の次元の異なる超変則マーラー5です。一風変わった作品は多いですが、せっかくならここまでやらないと!!? その先には狂気の先端を行く師匠の作品がある訳ですがw (アダージェットは同じ様に美しいのは師弟ですね)

mono録音でもあり演奏も変ですから普通は絶対必要ない一枚ですね。個人的には絶対手放せない変則四天王の一角ですが。





エイドリアン・リーパー, Adrian Leaper

Orquesta Filarmónica de Gran Canaria
[Arte Nova] 1995-9/20-24


英人指揮者リーパーが1980年創設のカナリア諸島のオーケストラ、グラン・カナリア・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者(1994-2001)を務めていた時代の録音ですね。


【第一部】
落ち着いた葬送行進曲から第一トリオは華々しさのコントラスト、第二トリオの哀愁も美しさで、見事にコントロールされた正攻法の第一楽章です。
第二楽章も基本通りの迫力で第一主題をこなして、テンポダウンの第二楽章を優美に演奏します。展開部の"烈→暗→明"のコントラストも、再現部の第二主題ピークもコラールも大方のイメージ通りです。

【第二部】
優美に舞うスケルツォから始まり、広がりと穏やかさと優雅さで通します。クセは全く感じられず、オブリガート・ホルンをはじめ演奏の破綻もなく実に見事です。が、何か大切なモノが足りない気がします。

【第三部】
第四楽章も甘美さやボリューム感を抑え 淡々と澄んだ流れのアダージェットですね。
第五楽章は緩やかなテンポとリズムの提示部から展開部。馬脚を表さない様に?w 再現部山場は落ち着いて乗り越え、コーダーは鳴り良く広げて足並み揃える様にフィニッシュします。第三部はスカスカした印象です。


せっかく作り込んだのに表情が薄いマーラー5です。極端な表現や揺さぶりなし、演奏のエラー・乱れなし。その代わり情熱もワクワク感もなしです。気持ちが伝わりませんね。

オケの弱さをカヴァーする為に安全運転の流れ、録り直しはもちろん recordingやmixingでも手を打っているでしょう。ならばむしろ演奏エラーがあっても情熱を聴きたかったですね。





山田 一雄, Kazuo Yamada

NHK Symphony Orchestra
[NHK Classical] 1985-2/13 DVD


(後日記:右CD化されましたね)

ヤマカズさん(当時73才)とN響のマーラー5、当然?映像付きです。(笑)
実はこれがN響定期公演最後の登場となりました。


【第一部】
ややスローに構えた重厚な葬送行進曲から勇壮な第一トリオへ、第二トリオは色の濃い哀愁です。
第二楽章、縺れる様なアゴーギクとディナーミクを入れた強烈な個性の第一主題に対し抑え気味ながら重厚さの第二主題。展開部も再現部も通してスロー重量感キープ。重めパターンの典型ですね。

【第二部】
標準的ながら低重心のスケルツォ、レントラーはスロー重厚、一筋縄では行きませんね。第三主題は弦楽がスローに沈み、短い展開部を重心を下げて突き進みます。再現部は各主題を濃厚・重めに絡ませて、爆走コーダでビシッと締めます。個性的な重厚なスケルツォになりました。

【第三部】
第四楽章は情感豊かで甘美、密度の高い空気です。DVDならではの指揮者の気持ちの込め方も伝わって、音の厚みに迫力さえ感じるアダージェット。ヤマカズさんはハープ好きだったからか、ハープ位置も変則で指揮者近くです。
最終楽章提示部は急がずじっくり二主題を並べて進んで行きます。展開部も慌てず堂々、山場を華やかに迎えて、再現部冒頭を揺さぶってから山場からコーダはスローでズッシリ!!

盛大なアプローズとヤマカズさんの満足そうな表情が待っています。


典型的な重量級マーラー5です。絶妙なスローと、時折見せる個性的なヤマカズ・アゴーギクがそれを作り出しているでしょう。スケルツォやアダージェットさえ重厚です。

今となれば管楽器のミスさえもスパイスで、観るたびに気持ちが入ってしまいを付けたくなります。全身を使って指揮するヤマカズさんを含めて、是非味わっていただきたいです







古い録音を中心に、まだありますねぇ。(汗)


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ギャヴィン・ブライアーズ Gavin Bryars の A Listening Room を聴く

前回に続きギャヴィン・ブライアーズ(Gavin Bryars, 1943/1/16 - )です。
前期代表作の"Jesus' Blood Never Failed Me Yet"は何と言っても素晴らしいのですが、特殊性を感じるので もう一枚紹介しようと思います。

A Listening Room (Chambre D'Écoute) は1997年の室内楽作品で、2007年発売になります。演奏は Gavin Bryars Ensemble と La Fanfare De Oison を中心としたメンバーで、曲により興味深い楽器編成を取りますね。

A Listening Room / Gavin Bryars

タイトル(テーマ)はフランス西部のChateau d’Oironの施設の音響を用いて書かれています。

1. (Outside) Espace de la cour: [Ensemble]
 Gavin Bryars Ensemble, La Fanfare De Oison
 ブライアーズ得意の遠〜くからやってくる音、何の変哲も無い鼓笛隊の行進曲です。小鳥の声も聞こえて、確かにOutsideですが??

2. (Vestibule Stairway Next To 001) Cage Du Grand Escalier: [Sextet]
 bass clarinet, tenor horn, double bass, clarinet, baritone, bass
 バスクラの音色がドローン風に響きます。他の楽器もロングトーンで被りますが、不協和音構成ではなく倍音の響きを感じますね。その中をtenorhorn他の楽器が動物の雄叫びの様な音で色合いを付けます。全体はドローンで、空間音響系ですね。

3. (Room 107) Salon Des Emigrés: [Sextet]
 bass clarinet, tenor horn, tubular bells, clarinet, baritone, bass
 2.と同じsextetメンバーです。double bassがtubular bellsに置き換わっています。響きは似ていますが、ドローン感が弱くなります。従って心地悪い響きはなく、ここでも共鳴を使った空間音響系のサウンドが味わえますね。

4. (Room 114) Galerie De Peinture: [Quartet]
 clarinet, Korg M1, tam-tam, French horn
 コルグの音色がvnのトリルの様に背後に流れる中、clがロングトーンの音を奏でます。そこにFrenchHornが共鳴音を作り出して音の厚みを増していきますね。エレクトロニカの流れです。

5. (Room 116) Tour Des Ondes: [Duo]
 bass clarinet, bass
 低音ロングトーン単純音の両楽器、そこにバスクラが上昇音階と下降音階の反復で短めに絡みます。その単純な繰り返しはポスト・ミニマルでなかなか面白いです。

6. (Room 021) Cuisine: [Trio]
 bowed vibes, marimba, bass drum/tam-tam
 打楽器三重奏です。ヴァイブの特殊奏法の透明感ある音色を生かして、密度の低い空間音響音が作られます。空間に存在する薄い音が宇宙の様なイメージです。

7. (Room 001) Vestibule: [Ensemble]
 Gavin Bryars Ensemble, La Fanfare De Oison
 フルメンバーで題名から行けば 2.の延長線上になりますね。ルーム001もホールなのでしょうか?
曲は1.の延長になります。少し音の外れる鼓笛隊の演奏ですね。ここで使われている和声、音の度数が何なのか技術的なコメントがないのでわかりません。簡単に言うと練習不足・技術不足の鼓笛隊和声?!w
1.と7.のフルメンバーのアンサンブル演奏だけは他の様な空間音響系ではありません。

8. (Room 101) Salle D'Armes: [Trio]
 clarinet, Korg M1, vibes
 4.と6.の折衷風な楽曲で、アンビエントで哀愁を感じる流れの曲です。コルグとヴァイブがバックグラウンドでclが悲しみを感じる旋律を奏でます。この曲には旋律が存在しますね。

9. (Room 002/3) Salle Des Faïences/Salon-Gris: [Duo]
 bass clarinet, tubular bells
 極端な二重奏で、バスクラの音列配置的な四音・三音・二音のスローな反復・変奏にtubular bellsが遠目に響きます。ポスト・ミニマルでしょうか。不思議な空間を醸し出しています。

・・・・・
ドローンベースの共鳴音を生かした空間音響系の音楽ですね。大きく括ればエレクトロニカでありアンビエント。従ってネオ・クラシカルでもニュー・エイジでもあるでしょう。現代音楽も包括した今の流れですね。
一色違うのは、そこにEnsembleの調子ッ外れの楽隊音楽が入るアクセント。それが面白いです。



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心に響く ギャヴィン・ブライアーズ Gavin Bryars の Jesus' Blood Never Failed Me Yet

フリージャズのベーシストとして活躍したギャヴィン・ブライアーズ(Gavin Bryars, 1943/1/16 - )は、イギリス・スコットランド生まれの興味深い現代音楽家ですね。
ミニマリズムでワークス・イン・プログレスを採用し空間音響の傾向も見られます。また一方でエレクトロニカやテクノといったアンビエント系やポップな影響も受けていますね。無調の前衛ではありません。

これは初期のブライアーズの代表作『イエスの血は決して私を見捨てたことはない』ですね。1971年に作者不明のホームレスの歌(元は讃美歌)を元に作られています。オリジナルは Brian Eno* の Obscure label から1975年にLPで発売されました。というと傾向を感じられる人もいるでしょう。古く懐かしい作品ですが、いつかはこの曲をアップしようと思っていました
*ちょっと脱線するとイーノは初期ロキシー・ミュージック時代のファンで、当時はちょっと変わったロック…的な印象で聴いていましたね。
1993年再録音の本アルバムはExectiveProducerにフィリップ・グラス、そしてなんとトム・ウェイツ(Tom waits)が参加して、ロングヴァージョン化しています。

Jesus' Blood Never Failed Me Yet / Gavin Bryars

  "Jesus' blood never failed me yet
  Never failed me yet
  Jesus' blood never failed me yet
  There's one thing I know
  For he love me so..."

  イエスの血は決して私を見捨てたことはない
  決して見捨てたことはない
  イエスの血は決して私を見捨てたことはない
  一つ知っていること
  私を愛してくださる...


この唄が延々と呟くように74'間歌われ、バックに弦楽四重奏、弦楽、フルオケ、と途切れ目なく展開していきます。
ホームレスの口ずさむ歌はテープによる反復(今で言うならサンプリングでループ処理ですね)、サウンドもアンビエントな変奏と反復、それがマッチして優しさに溢れます。ポストミニマルな環境音楽です。

Alan Powerのドキュメンタリーのサウンドとして、ホームレスの老人の唄をテープにしているそうです。曲名はそのまま「Tramp with Orchestra」で、バックの演奏変化で4曲(string quartet, low strings, no strings, full strings)、最後の二曲が「Tramp and Tom Waits with full Orchestra」「Coda: Tom Waits with High Strings」になります。
ラスト二曲はトム・ウェイツが遠くから入りながらテープとのduoとなり、最後はコーダとある通り一人になって歩き去る様にフェードアウト終了します。トム・ウェイツを入れたのは賛否両論あるでしょうが、私はこの再録音盤が好きですね。
ちなみに歌った老人は音源化される前に亡くなったそうです。R.I.P.

 ★試しにYouTubeで聴いて見る?

CD化されたObscure labelのオリジナル録音**も所有していますが、そちらにはもう一曲の代表作「タイタニック号の沈没 The Sinking of the Titanic」がカップリングされているので、また紹介します。
**guiter, organ, violin, tuba, double bass がバックで、演奏時間25'57"です。

・・・・・

前衛現代音楽ではなくアンビエントの方向性です。
ただ凹んだ気分の時など、この曲の素晴らしさが心を満たしてくれるでしょう。こんなコメントはこのブログらしくありませんが、それしかコメントは浮かびません。懐かしさいっぱいですが、前衛やアンビエントと今になってブログのネタとして繋がってくるとは不思議な事です。


[PS] ブライアーズが編集テープをかけたまま、コーヒーを注ぎにいった際の出来事を以下の様に書いています。それがこの曲の全てを言い表しているでしょう。
I left the tape copying, with the door open, while I went to have a cup of coffee. When I came back I found the normally lively room unnaturally subdued. People were moving about much more slowly than usual and a few were sitting alone, quietly weeping.



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2016年7月14日 マイスター/読響 の マーラー交響曲第6番 at サントリーホール ★★

暑さも増しての梅雨の中、グッタリしますがコンサートホールは環境が良いので嬉しいですね。
今日はひどい夕立をなんとかかわして、サントリーホールでした。
 20160714_SuntoryHall-yomikyo01.jpg 20160714_SuntoryHall-yomikyo02.jpg

さて、マーラーの交響曲第6番「悲劇的」ですが、コンサートでよく行きます。激情的な演奏、クールな演奏、「悲劇的」に関しては両者好演が存在するので楽しみですね。今回は激情の代表、カラヤンのシャンゼリゼ劇場のライヴCDを聴いてから来ました。
2017年度から読響の首席客演指揮となるコルネリウス・マイスター(Cornelius Meister)はどのように振ってくれたでしょうか。

<マーラー 交響曲 第6番>
 第一楽章、提示部の第一主題は抑えめ、特徴的なのは第二主題の華やかさでした。これが全体を表していたでしょう。展開部では緩やかですが再現部では激しさ回帰はなくスピード感でした。
第二楽章はアンダンテを採用、甘美な美しさから音の厚みを増し山場へつなげました。第三楽章スケルツォ。アンダンテを挟んだ事で 第一楽章変奏の呪縛から逃れ、激しさ重厚さを排してスケルツォらしさを表現しました。(マーラーの指示、重々しく、とは異なりますが)
第四楽章の序章は静ですが暗さは抑えられ、提示部でも第二主題が出ると華やかさがはじけます。展開部も同様で重厚さや激情は抑え気味で進み、ハンマーは二発。再現部はモットー和音からスロー、テンポアップはリズミカルでしたが山場は暴れる様な迫力も見せながらコーダから暗転、ラストの一撃。ピチカートは小さく納めました。

マイスターの指揮はスマートですね。楽章間は長く取り、タクトを下ろすだけで起立正面正視、一息つく様な休む姿勢を見せません。
オーディエンスもそれに応えて最後は両手が降りきるまでフラブラはありませんでした。
・・・・・

第二主題の華やかさが印象的で、美しさやスピード感のマーラー第6番でした。マイスターの考えが伝わり、読響もそれに応えましたね。主席客演指揮者就任が楽しみです。
ただ、この曲は個人的に重厚激情的な疲れるパターンが好きなのでw



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