ファジー Fuzzy の Chimes of Memory を聴く

デンマーク人現代音楽家 ファジー(Fuzzy, 1939/2/23- )、本名イェンス・ヴィルヘルム・ペデルセン(Jens Vilhelm Pedersen) は、ノアゴー(Per Nørgård)、シュトックハウゼン(Karlheinz Stockhausen)、リゲティ(György Ligeti)と錚々たる顔ぶれに師事していますね。
楽風は欧エキスペリメンタリズム系前衛電子音楽のみならず ジャズやフィルム・ミュージックまでと幅広いです。

本アルバムはFuzzyの多様な展開を楽しく味わえる一枚ですね。

Chimes of Memory / Fuzzy


Notre Dame Trilogy (2002-2006年) for organ solo
1. Cadences et treblements a Notre-Dame
2. Uber allen Gipfeln
3. Contemplation d'un tableau de J. F. Willumsen
 デンマーク人オルガン奏者 Grethe Krog (ph.d) がノートルダム寺院で演奏する為に委嘱した作品で3partからなっています。(表題通り、演奏もKrogです)
とにかく表情豊かな作品です。もちろん前衛ではありません。重厚な教会オルガン演奏ですが、その中にはバロック風からフィルム・ミュージック風までが詰め込まれています。各パートでリズム感が変化、part.2-3ではスローで音数が少なく、しますがパイプオルガンの響きを最大限生かす手法は同じです。
トータル約30分、今の時代の教会音楽と言ったらいいでしょうか。個人的には1stがいい感じですね。

4. B-Movies (1997年) for harp and electronics
 いきなりの電子ノイズ、デンマーク芸術財団?のSofia Claro委嘱作品で欧前衛エクスペリメンタリズムです。グリッサンド風な音色を含む電子音に、ハープ(by Tine Rehling)が点描音のアルペジオで色添えします。電子音楽は泡の様な音を出したりと様々に変化していきます。時には中東和声やジャジーなリズミカルな機能和声ではない調性感も展開します。後半はハープも攻撃的ですね。これは凄く面白いです!

5. Chimes of Memory (1987年) electronic music
 デンマーク放送による委嘱作品でグラスやバルーンを使って放送局のThe Waveflameで編集したりしています。シンセサイザーはYamahaDX-7で、同様のサウンドを作り出しているそうです。
キーンと言う様な音色は想像できるでしょう。その背後に長音を配したドローンです。

Tre tilbageblik (2004年) for bass saxophone and electronics
6. Tre tilbageblik- I
7. Tre tilbageblik- II
8. Tre tilbageblik- III
 デンマーク人ヴィルトゥオーゾ サックス奏者Jeanette Ballandによる委嘱と演奏です。三楽章形式の前衛音楽ですね。1st mov.はバスサックスの音色を前面に押し出して、電子音楽は例によって音楽以外?のノイズでカラフルです。2nd mov.はドローン系です。中盤で透明感のあるSigne Asmussenのヴォーカリーズがフィーチャーされ、深淵で調性の美しい旋律が三者で奏でられます。3rd mov.はリズミカルでジャジー、楽しさいっぱいの展開。そこから所謂テープを含めた面白いノイズに展開し、そこからバスサックスとの前衛ジャズ的コラボに回帰しますね。
電子音楽は時にサンプリングの様な音色音階でサックスとの協奏も演じたり多様性を見せます。とても相性がいいですね。これまた超おすすめ!

9. Stjerner over Kobenhavns Forbraendingsanstalt (1975年) for electronic music
 ゴングの様な打楽器類の音はサンプリングでしょうか? そんな打楽器類の響きとシンセサイザー音がノイズとメランコリックなメロディーで交錯する緩やかな楽曲です。この構成がFuzzyの基本だと思います。

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電子音楽のエキスペリメンタリズムなのですが、構成の多様性を感じてアコースティック楽器とのコラボがとても面白いです。前衛ですが頭でっかち一辺倒ではありません。スッと耳に入りやすく、これは おすすめの一枚です。
前衛拒絶シンドロームの方はこの辺りから聴くといいかも、ですw



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

津軽の吟 純米吟醸酒 を飲む

いよいよ東京も梅雨明けです! 纏わりつく様な鬱陶しい梅雨のトンネルからやっと抜けた感じですね。
そんな日は、お気に入りの津軽のお酒をいただきましょう。(と言いながら、今回は三本ともに初めてのお酒です ^^v)

津軽の吟 菊乃井 純米吟醸酒
 青森県 黒石市 鳴海醸造
 津軽の吟 菊乃井 純米吟醸酒
美味しいお酒です。今風の軽さではなく適度な濃さ、まさに吟醸、のフルーティな香りと口当たりを残しながらシャキッとしまった味わいです。青森の酒米「華想い」らしいお酒でしょう。これは好きなタイプです。

アルコール度 15~16度、日本酒度+1、酸度1.35、アミノ酸1.50、精米歩合50%、青森県産米「華想い」を100%使用し、50%まで精米して低温発酵した酒。まさにそんな感じですね。

純米吟醸でアミノ酸度が1.50というのが心地よい濃さの印象とピッタリ…かなw
津軽のお酒らしい美味しさを堪能できました。

テーマ : 日本酒
ジャンル : グルメ

ウィーン・フィル シェーンブルン 夏の夜のコンサート2016 をNHKプレミアムシアターで観る

ワンパターンとは言え、毎年のお楽しみですね。
spレコード時代を思わせる様な良く知れた小曲が並ぶのは、この手のコンサートならではの楽しみでしょう。今回は一曲目のファランドールからお祭り用の楽曲が散りばめられ、その中に幽玄なフランス音楽が挟まれました。
明るく華やかな、そして優美な演奏はVPOの得意とするところ、とにかく楽しさいっぱいです。

ウィーン・フィル シェーンブルン 夏の夜のコンサート2016

聴かせどころはラベック姉妹のピアノ協奏曲でしょう。二人の跳ねるような、そしてプーランクらしい変調多調のピアノの音色がよく響きました。プーランクはピアノを得意としていたので、フランス6人組の時代の洒脱な良さが味わえた気がしますね。
そしてラヴェルの二曲。ダフクロでは幽玄さとダイナミックさが、そしてボレロではトゥッティに至る楽器使いとクレシェンドの妙が楽しめました。

天国と地獄ではVPOのメンバーも楽しそうに演奏していました。またウィーンかたぎでは観衆がワルツを踊る姿がありましたね。
大型モニターの設置された大会場はfreeですからねぇ。日本でもこう言ったスケールのコンサートが見られると嬉しいですね。

放映されたのは以下8曲でした。
 1.「アルルの女」組曲 第2番から ファランドール [ビゼー]
 2. 劇的物語「ファウストのごう罰」から ハンガリー行進曲 [ベルリオーズ]
 3. *2台のピアノと管弦楽のための協奏曲 ニ短調 FP 61 [プーランク]
 4. *組曲「動物の謝肉祭」から終曲 [サン・サーンス]
 5.「ダフニスとクロエ」組曲 第2番 [ラヴェル]
 6. ボレロ [ラヴェル]
 7. 喜歌劇「天国と地獄」から カン・カン [オッフェンバック]
 8.ワルツ「ウィーンかたぎ」 [ヨハン・シュトラウス]


<出 演>
管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指 揮:セミョーン・ビシュコフ
*ピアノ:カティア・ラベック、マリエル・ラベック

収録:2016年5月26日 シェーンブルン宮殿の庭園(ウィーン)

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

2016年7月25日 アラン・ギルバート/都響 のマーラー交響曲第5番 at サントリーホール ★★★


今日(都響定期B)はコンサートでよく聴きに行く曲No.1のマーラーの第5番です。前回は一ヶ月前のカンブルラン/読響、会場は同じサントリーホールでした。
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このコンサートを前にマーラー5番のCDを10枚聴き比べ(Total:150CD)してきましたが、実はアラン・ギルバートはまだ録音を残していません。(アダージェットのみあり)
ギルバートは特別マーラー振りというわけではありませんね。でも特別な感じがするのは現ニューヨークフィル(NYP)常任指揮者だからでしょう。ちなみに手兵NYPとのマーラー5番はニコニコ動画で見ることができます。(*下記インプレあり) 母親で第一ヴァイオリンの建部洋子さんも映りますね。
実はこれでギルバートの方向性はわかったと思いましたが...

マーラー:交響曲第5番 嬰ハ短調
 cbが刻むリズムを生かした特徴的な葬送行進曲、迫力と情熱漲る第二主題、出し入れを効かせた第一楽章。第二楽章も感情迸るダイナミックさと弱音スローの対比が見事な演奏でした。
第三楽章は速めでリズミカルなスケルツォとまさにワルツのレントラー、第2トリオ以降もスピード感に情熱溢れる強音パートとスローな静音パートのコントラストが飽きさせませんでしたね。hrの弱点は目を瞑りますw
第四楽章は速めでアゴーギクとディナーミクの強いダイナミックさ。珍しいアダージェットです。
最終楽章も速め、一二主題を力感強く絡めながら登ります。中間部とラストの山場でパワーを集結させ、最後はハイスピードで迫力のコーダから見事なアッチェレランドで締めくくりました。
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事前に聴いたNYPとのライヴ(下記)からの変化が凄い。真面目な指揮者と手堅いオケの正統派マーラー5番かと思ったら、コントラストの強い爆裂 感情溢れる素晴らしい演奏でした。
コンサートならではの漲る情熱が味わえ、近年のマラ5では最高でしょう。


こういうコンサートの後は気持ち良く帰途につけますね。
ただ各楽章ともメリハリ強いコンサート向きな演奏だったのは確かで、録音で聴いたらどうなのかは気になる処です。


[P.S.]
*ギルバート/NYP (ライプツィヒ・ゲヴァントハウス、マーラーフェス2011年5月23日)
緩やかな第一楽章葬送行進曲、キレある第二主題の第一楽章。第二楽章も重厚さよりもキレとスマートさ。第三楽章は牧歌調のスケルツォと美しいレントラー、第2トリオ以降も正統派の流れです。第四楽章アダージェットは透明感高く、でも甘美さは適度な流れです。コーダは力が入り過ぎw 最終楽章は両主題を気持ち良く折り重ねながら上り、ラスト山場はパワーを振りコーダでは流石NYPの迫力を見せます。
(今回のコンサートも弦のボウイング付けはNYP/Gilbertを使っているとの事)
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微細微妙なアゴーギクはあるものの、演奏精度の高い生真面目正統派なマラ5です。
その2年前の北ドイツ放送交響楽団(NDR Sinfonieorchester)との5番はYouTubeに細切れUPされています。





テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

マーラー 交響曲 第5番 名盤・珍盤 160CD聴き比べ! [#10 / CD:141-150]

グスタフ・マーラー(Gustav Mahler, 1860/7/7 - 1911/5/18)の交響曲第5番(Symphony No.5)の聴き比べも今回10CDで150CD(含DVD)まで来ました。まだありますね。
いい加減、ABC順に並べ直すとか 目次でも作らないとランダムではそろそろ限界がありそうです。

【参考】
 ★:名盤 (一般的いわれている…と思う盤)
 ☆:個人的お勧め
 ○:とっても変わっています

[リスト] 現状のMahler Symphony No.5 の聴き較べです (現在 #11回 160CDまで)
 #11:10CD
 #10:10CD 今回紹介分です
 #9:15CD
 #8:15CD
 #7:10CD
 #6:14CD
 #5:5CD アバド追悼
 #4:20CD
 #3:25 26CD
 #2:20CD
 #1:15CD




本当は#1に1枚だけ入っていたゲルギエフですが、DVDが出たりしたのでオーケストラ違い3枚の聴き比べをここへ持ってきました。
ゲルギエフ / Kirov O
[DIRIGENT] 2007-8/19
 非正規盤になりますが、ヴァレリー・ゲルギエフ(Valery Gergiev)が1988年から音楽監督(1996年から総裁)を務める現マリインスキー劇場(管弦楽団)の演奏です。キーロフは本来ソヴィエト時代の呼び名ですね。ちなみにゲルギエフはテミルカーノフの助手として1977年にキーロフ劇場の指揮者になっています。
 鳴りの良い管楽器のファンファーレとゆったりとしてクールな葬送行進曲で始まる第一楽章。第二主題では明るく華やかに転換しますね。第2トリオ前後も色合い豊かです。第二楽章は激しい序奏第一主題で入り、シックな美しさの第二主題へと移ると以降も興奮を抑え気味にバランス良く演じます。それでもラスト前の金管の山場は最終楽章の締めを期待させますね。
第三楽章は優美なスケルツォそしてレントラー、ゲルギエフの得意とするところでしょう。第2トリオも明瞭さを押し出しながら主題の変奏や展開を進めます。生き生きとしたホルンも含めて、厄介なこの楽章を見事な演奏でコーダへ。優美にして優雅、指折りの第二部=第三楽章でしょう。
アダージェットは心持ち速めで、甘美さよりも静音と重厚のバランスと対比を感じます。もっと薄く透明感があると嬉しかったですが。最終楽章は軽快リズミカルに主題を絡ませながら上げていきますが痩せた演奏ではありません。速めの流れで展開部の山場から再現部の山場、コーダまで一気に走ります。

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過度の興奮を抑えながら締まりがあり優美さが特長的なマーラー5です。演奏は多少の不安定さもありますが意向に合っていますね。特に第三楽章は出色です!



ゲルギエフ / World Orchestra For Peace
[Unitel Classica] 2010-8/5
 DVDです。2010年のBBCプロムスでワールド・オーケストラ・フォア・ピースを振った映像・録音ですね。ゲルギエフは平和活動に積極的で、国連創設50周年を記念して設立された同楽団に1997年から指揮者になっています。
 第一楽章は歯切れの良いファンファーレ、続く葬送行進曲は緩やかで感情を抑えたクール流れです。第二主題も激しさは押さえ気味に入り激情よりも鳴りの良い音です。その後も激情を避けてクールさと色合いのバランスの良さを感じます。第二楽章も第一楽章に続く抑えの効いた第一主題から第二主題をシックな色合いで奏で、その対比を崩さずに纏まりの良い演奏ですね。激烈を避けてシャープさと美しさとの整合を図るような第一部です。
第三楽章はやや華やかさの薄めなスケルツォから優美なレントラーへ、そして第2トリオ以降もやや薄めに感じました。やや丸くなりすぎの第三楽章です。
第四楽章は緩やかで表情よりも重厚パートでのコントラストを強く見せます。第五楽章は速めでリズミカルに、そして軽快に上げていきます。心地よいペースで展開して展開部の山場流すように過ぎて再現部に向かいます。再現部山場からコーダは、揃いの良い迫力で流れるようなアッチェレランドです。hrとtp二人には大拍手!

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上記キーロフとの演奏を研ぎ澄ました様なマーラー5です。オケの管楽器レベルも上がったのですが、全体として上品(薄味まろやか)になりすぎかも?!



ゲルギエフ / LSO
[LSO live] 2010-9
 2007年から首席指揮者に就任しているロンドン響とのマーラー5で、上記プロムスのWOFPとの録音の翌月の演奏です。
 第一楽章は やや重厚さを増したファンファーレと例によって感情を抑えた葬送行進曲です。第二主題も激情抑えめですが、その後の第一主題を極度にスロー展開するなど陰影が深まっています。第二楽章も序奏はやや強めになっていますが、第二主題もやや明るめに演奏されます。少し平均化されて来た感のある第一部です。
第三楽章は落ち着いたスケルツォから線の細めのレントラーへと続きます。静的パートをスローに落としたりとゲルギエフらしい展開を見せますが今ひとつ締まりません。
アダージェットはやや遅くなり静音パートの透明感が増しています。そして重厚パートを控えめにしているので、全体として澄んだ空間が出来上がりました。このパターンは好きですね。最終楽章は緩やか軽やかな足取りです。かなり軽くなりました。そして展開部も見晴らし良く山場へ向かいます。山場も一番切れ味が良く、コーダも華やかな見事さで締めくくります。第三部はこれが一番いいですね。

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強音パートの炸裂感を強めたりと、個性が薄まった感じのマーラー5です。第三部はそれでもいいのですが、第一部と第二部の魅力は欠けますね。



★☆ ラトル / Belriner Philharmoniker
[EMI] 2002-9/7-10
 Simon Rattle といえば今でもバーミンガム市響のイメージですが、BPOの首席指揮者(兼芸術監督)も2018年で終えるそうですね。個人的にはイギリス人指揮者Sir サイモン・ラトルも我儘ヴィルトゥオーゾ軍団BPOも興味は薄いですが。
 第一楽章は微妙で特徴的なアゴーギクで入り、葬送行進曲はもったいぶったクセがあります。第二主題(第一トリオ)でも揺さぶりますね。弱いティンパニーから続く第二トリオでも傾向は同じです。第二楽章は約束通りに激しく進みますが、第一楽章で感じたクセはありません。第二主題のチェロや展開部でも同様ですね。
第三楽章 スケルツォからレントラーでは音色が今ひとつの感があり跳ねる様な明るさに欠けます。全体としても平凡な感じですがあっさりと仕上げているのかもしれません。
アダージェットは大甘ではなく静的冷的で影を感じる美しさですね。好きなパターンです。最終楽章は緩く第一第二主題を絡ませながら見晴らし良く上げていきます。展開部の山場は見事に決めて、ラストの山場からコーダは迫力を増してアッチェレランドで駆け抜けます。流石BPO。(笑)

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なんとここまでラトルBPO盤をインプレしていなかったとは驚きでしたw ラトルのBPOデビューLive、BPOの演奏なのかラトルの意図なのか例によって不明ですが、揺さぶりを少し入れて構えた王道マーラー5番です。大喝采だったでしょうね。Applauseをカットせずに残して欲しかったです。



ジークハルト / The Arnhem PO
[EXTON] 2010-11/3-5
 オーストリア人指揮者 マルティン・ジークハルト(Martin Sieghart) が2008年に常任指揮者を退き名誉指揮者となったアーネムフィルとの演奏です。2010年はマーラー生誕150周年で、録音も増えた年です。
 かなりスローですが王道な葬送行進曲の第一楽章。第二主題も変化は少なく、第一主題回帰後の第2トリオも含めて緩い第一楽章です。第二楽章も当然の様にやや緩めの第一主題で入り、静かに第二主題を奏しますが 展開部でも切れ味不足は否めません。間伸びでもっそりと歯切れ悪い第一部です。
第三楽章でも基本は変わらずでスケルツォからレントラーでもスッキリしません。第2トリオあたりでペースアップし一般的なリズムに戻しますが、演奏に締まりがなく 長〜く感じます。
アダージェットは"そ〜っと"弾いている感じですが一番まともですね。まぁ弦楽奏曲ですから。でも静音スローで情感が落ちて好みの方向性、ですが これも10分とは思えない長さ。最終楽章の提示部は基本通りに緩やかに上げていきます。展開部はもたもたしますが、山場はそれなりに盛上り再現部へ。再現部山場から妙なスローを経て、コーダの音出しは見事! アッチェレランドで駆け抜けて帳尻合わせは成功です。

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見晴らしの良くないマーラー5でしょうか。あ〜眠アーネムPOの演奏も切れがなくやや怪しげw、冷たいシャワーでも浴びてやり直し!? って感じ。所有している中でもワースト5を狙えるでしょう。



ロンバール / Orchestre National de Bordeaux-Aquitaine
[Forlane] 1991-6
 歌劇の指揮の印象が強いフランス人指揮者アラン・ロンバール(Alain Lombard)はバーンスタインの助手を務めていましたね。これはボルドー・アキテーヌ国立管の音楽監督時代の録音になります。
 強音の迫力を持たせつつ重さを引きずらない葬送行進曲から、弾ける様な第1トリオは派手な第二主題で好きなパターンです。第2トリオでも丁寧で流麗な流れを見せます。第二楽章はマーラーの指示通りの激しさを見せる序奏で入り一転テンポを落とした第二主題を美しく奏でます。展開部以降もそのバランスをうまく対比させて彫りの深い演奏でラスト前の山場も見事です。見晴らしの良い第一部ですね。
第三楽章はスケルツォを良いリズムでこなし、第1トリオの第二主題レントラーで優美さを見せます。主題の変奏を色合いよく進めながら第2トリオに続き、その後も緩急つけた展開し見事なコーダです。やや特徴に欠ける感はありますが、締まりがあり悪くありません。ホルツクラッパーの音色が変わってます。(この標準的テンポで演奏時間16'28"は短い気がします。カットあり?!)
第四楽章はアゴーギクを使って情感のこもる演奏です。音の厚みがあるパートはやや速めに振っているのですが甘美な演奏ではあります。揺さぶりを感じる珍しいアダージェットですね。最終楽章は特徴的に速めに各主題・各楽器が絡ん上げていきますが、軽快感が弱いです。ハイスピードで展開部の山場で突入、再現部も山場の回帰以降コーダまで大突進です。それまでの楽章との違和感がすごいです。最後は大爆裂と大アッチェレランドです。考え方を変えると、変で面白い?!

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第五楽章以外は、完成度高く悪くありません。でも全体を通して聴いた時に、その最終楽章以外の印象が薄いのはなぜでしょうか? 変なマーラー5の一枚に参加ですか。下のマデルナと比べればまだまだ普通?!w



マデルナ / Orchestra Sinfonica di Milano della RAI
[ARKADIA] 1973-2/23 [mono]
 現代音楽家また指揮者としても好きな ブルーノ・マデルナ(Bruno Maderna)。指揮は かのシェルヘンに師事しています。(そこが問題なのですがw) この5番はマデルナが亡くなった年に録音されたものになりますね。当時首席指揮者を務めていたミラノ・イタリア放送響(現:RAI国立交響楽団)による演奏です。
 第一楽章、スローでクセの強い揺さぶりの葬送行進曲には派手なtpがセットです。いきなりマデルナらしさが炸裂ですね。第二主題は派手にかつ暴れます。すごいコントラストです。第2トリオ前のティンパニーもすごく変です。第二楽章第一主題は猛烈に速いです。急ブレーキでスローの第二主題ですが、美しさよりも変な間をとったり そっけないです。その後も荒れたり間伸びしたり金管の山場は大爆裂、予想通り変わっている第一部になります。(笑)
第三楽章は速めのスケルツォ、弦がガサゴソ変です。レントラーも初めはいいのですが回帰するスケルツォで弦五部がグダグダの大暴れです。展開部のピチカートも超極解? 変で時に暴れて速いですから絶対に飽きない第二部です。
第四楽章はスローでとても美しく大きなアダージェットです。あまりに普通に美しくて、かえって違和感が大きいですね。最終楽章は約束通りに主題を絡めながら上りますが、途中で極端なスローテンポを入れたり目が離せません。山場は例によってグジャグジャ大暴れになりますが、一呼吸した後コーダは見事にビシッと決めてくれました。

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考え方の次元の異なるマーラー5です。演奏も暴れているのか下手なのか?わかりませんが、全然嫌いじゃありません。一風変わった作品は多いですが、せっかくならここまでやらないと!!?
とは言え、狂気の先端を行く師匠の最後の作品には及びませんw。mono録音でもあり、普通は絶対に必要ありませんね。




リーパー / Orquesta Filarmónica de Gran Canaria
[Arte Nova] 1995-9/20-24
 英人指揮者エイドリアン・リーパー(Adrian Leaper) が1980年創設のカナリア諸島のオーケストラ、グラン・カナリア・フィルハーモニー管の首席指揮者を務めていた時代の録音ですね。
 第一楽章は正攻法を感じさせる堂々たる第一主題葬送行進曲から、第二主題は華々しさが生きています。第二楽章も基本通りの迫力で第一主題をこなして、テンポダウンの第二楽章を優美に演奏します。その後も安心感あるメリハリです。
第三楽章は優美に舞うスケルツォから始まり、広がりと穏やかさと優雅さで通します。クセは全く感じられず、演奏の破綻もなく実に見事です。が、何か足りない気がします。
第四楽章アダージェットは美しさと甘美さのバランスのとれた演奏で穏やかな美しさですね。第五楽章も予想通りに緩やかに上げて行き、山場は抑え気味に乗り越えてコーダーは派手で大きく広げて足並み揃える様にフィニッシュします。
全楽章通して人間業とは思えない完璧な演奏です。

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一点の曇りもない保守本流王道教科書演奏です。演奏のエラー・乱れ一切なし、極端な解釈・表現なし、演奏時間(68')遅早なし、録音のバランス等悪さなし。ただし、特徴も個性も情熱もなし。
指揮者・オケの練習だけでなく、recordingとmixing技術の粋も最大限生かした制作意図を感じる作品でしょう。(カラヤンの亡霊かと思いましたw)




ヒルシェ / La Jeune Philharmonie
[Cypres BANQUE] 1994-9/8
 ケルン生まれでM.ギーレンに師事したペーター・ヒルシェ(Peter Hirsch)が、ベルギーのユースオケ?、ラジュンヌ管弦楽団を指揮したマーラー5です。
 ゆったりとした葬送行進曲から、スピード感ある第二主題の組み合わせで安心感がある第一楽章です。まるでアタッカで繋がるように入る第二楽章も、スピード感ある第一主題と優美さの第二主題でスムーズです。迫力を削いでいますがクセの少ない第一部ですね。
第三楽章はスケルツォとレントラーともに軽妙さで入り、その後も軽快さを前面に出してリズミカルな第二部になっています。
アダージェットは速めなので甘美さは緩めですね。速めと言うこと以外 抑揚はごく普通でしょう。第五楽章の入りはこのパターン、軽量軽快さが最大限生きますね。小気味よく上がって行き、山場で初めて荒い迫力を漂わせながらコーダは鬱憤を晴らすように見事なアッチェレランドを効かせて駆け抜けます。この最終楽章は素晴らしいです。
よくあることですが、指揮者ヒルシェの唸り声がけっこう強く入ってますw

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スマートな軽量スピード感のマーラー5です。演奏も悪くありませんが、薄味です。そこが判断の分かれ目でしょう。



山田 一雄 / NHK SO
[NHK Classical] 1985-2/13
 故ヤマカズ(73才)とN響のマーラー5、当然?DVDですね。(笑)
 第一楽章は重厚な葬送行進曲から勇壮な第二主題へ。重めのパターンの典型ですね。第二楽章、縺れる様なアゴーギクとディナーミクを入れたクセの強い第一主題に対し抑え気味の第二主題、展開部もその両面をもっと見せれば面白いのですが やや平凡に終わります。
第三楽章、スケルツォとレントラーを標準的に流して、第三主題部(第2トリオ)から展開部 再現部へと各主題をスローと重めに絡ませて進みコーダをビシッと締めます。
第四楽章は情感豊かで甘美、密度の高い空気です。DVDならではの指揮者の気持ちの込め方が伝わりますね。迫力さえ感じます。最終楽章は急がずに主題を並べて進んで行きます。展開部の山場を華やかに迎えて、再現部の山場からコーダはスローでズッシリ!!

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典型的な重量級マーラー5。時折見せるヤマカズ・アゴーギクや管楽器のミスさえも、今となればスパイスです。



古い録音を中心に、まだありますねぇ。指揮者ABC順の並び替えを検討しないといけませんね。(汗)



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

ギャヴィン・ブライアーズ Gavin Bryars の A Listening Room を聴く

前回に続きギャヴィン・ブライアーズ(Gavin Bryars, 1943/1/16 - )です。
前期代表作の"Jesus' Blood Never Failed Me Yet"は何と言っても素晴らしいのですが、特殊性を感じるので もう一枚紹介しようと思います。

A Listening Room (Chambre D'Écoute) は1997年の室内楽作品で、2007年発売になります。演奏は Gavin Bryars Ensemble と La Fanfare De Oison を中心としたメンバーで、曲により興味深い楽器編成を取りますね。

A Listening Room / Gavin Bryars

タイトル(テーマ)はフランス西部のChateau d’Oironの施設の音響を用いて書かれています。

1. (Outside) Espace de la cour: [Ensemble]
 Gavin Bryars Ensemble, La Fanfare De Oison
 ブライアーズ得意の遠〜くからやってくる音、何の変哲も無い鼓笛隊の行進曲です。小鳥の声も聞こえて、確かにOutsideですが??

2. (Vestibule Stairway Next To 001) Cage Du Grand Escalier: [Sextet]
 bass clarinet, tenor horn, double bass, clarinet, baritone, bass
 バスクラの音色がドローン風に響きます。他の楽器もロングトーンで被りますが、不協和音構成ではなく倍音の響きを感じますね。その中をtenorhorn他の楽器が動物の雄叫びの様な音で色合いを付けます。全体はドローンで、空間音響系ですね。

3. (Room 107) Salon Des Emigrés: [Sextet]
 bass clarinet, tenor horn, tubular bells, clarinet, baritone, bass
 2.と同じsextetメンバーです。double bassがtubular bellsに置き換わっています。響きは似ていますが、ドローン感が弱くなります。従って心地悪い響きはなく、ここでも共鳴を使った空間音響系のサウンドが味わえますね。

4. (Room 114) Galerie De Peinture: [Quartet]
 clarinet, Korg M1, tam-tam, French horn
 コルグの音色がvnのトリルの様に背後に流れる中、clがロングトーンの音を奏でます。そこにFrenchHornが共鳴音を作り出して音の厚みを増していきますね。エレクトロニカの流れです。

5. (Room 116) Tour Des Ondes: [Duo]
 bass clarinet, bass
 低音ロングトーン単純音の両楽器、そこにバスクラが上昇音階と下降音階の反復で短めに絡みます。その単純な繰り返しはポスト・ミニマルでなかなか面白いです。

6. (Room 021) Cuisine: [Trio]
 bowed vibes, marimba, bass drum/tam-tam
 打楽器三重奏です。ヴァイブの特殊奏法の透明感ある音色を生かして、密度の低い空間音響音が作られます。空間に存在する薄い音が宇宙の様なイメージです。

7. (Room 001) Vestibule: [Ensemble]
 Gavin Bryars Ensemble, La Fanfare De Oison
 フルメンバーで題名から行けば 2.の延長線上になりますね。ルーム001もホールなのでしょうか?
曲は1.の延長になります。少し音の外れる鼓笛隊の演奏ですね。ここで使われている和声、音の度数が何なのか技術的なコメントがないのでわかりません。簡単に言うと練習不足・技術不足の鼓笛隊和声?!w
1.と7.のフルメンバーのアンサンブル演奏だけは他の様な空間音響系ではありません。

8. (Room 101) Salle D'Armes: [Trio]
 clarinet, Korg M1, vibes
 4.と6.の折衷風な楽曲で、アンビエントで哀愁を感じる流れの曲です。コルグとヴァイブがバックグラウンドでclが悲しみを感じる旋律を奏でます。この曲には旋律が存在しますね。

9. (Room 002/3) Salle Des Faïences/Salon-Gris: [Duo]
 bass clarinet, tubular bells
 極端な二重奏で、バスクラの音列配置的な四音・三音・二音のスローな反復・変奏にtubular bellsが遠目に響きます。ポスト・ミニマルでしょうか。不思議な空間を醸し出しています。

・・・・・
ドローンベースの共鳴音を生かした空間音響系の音楽ですね。大きく括ればエレクトロニカでありアンビエント。従ってネオ・クラシカルでもニュー・エイジでもあるでしょう。現代音楽も包括した今の流れですね。
一色違うのは、そこにEnsembleの調子ッ外れの楽隊音楽が入るアクセント。それが面白いです。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

心に響く ギャヴィン・ブライアーズ Gavin Bryars の Jesus' Blood Never Failed Me Yet

フリージャズのベーシストとして活躍したギャヴィン・ブライアーズ(Gavin Bryars, 1943/1/16 - )は、イギリス・スコットランド生まれの興味深い現代音楽家ですね。
ミニマリズムでワークス・イン・プログレスを採用し空間音響の傾向も見られます。また一方でエレクトロニカやテクノといったアンビエント系やポップな影響も受けていますね。無調の前衛ではありません。

これは初期のブライアーズの代表作『イエスの血は決して私を見捨てたことはない』ですね。1971年に作者不明のホームレスの歌(元は讃美歌)を元に作られています。オリジナルは Brian Eno* の Obscure label から1975年にLPで発売されました。というと傾向を感じられる人もいるでしょう。古く懐かしい作品ですが、いつかはこの曲をアップしようと思っていました
*ちょっと脱線するとイーノは初期ロキシー・ミュージック時代のファンで、当時はちょっと変わったロック…的な印象で聴いていましたね。
1993年再録音の本アルバムはExectiveProducerにフィリップ・グラス、そしてなんとトム・ウェイツ(Tom waits)が参加して、ロングヴァージョン化しています。

Jesus' Blood Never Failed Me Yet / Gavin Bryars

  "Jesus' blood never failed me yet
  Never failed me yet
  Jesus' blood never failed me yet
  There's one thing I know
  For he love me so..."

  イエスの血は決して私を見捨てたことはない
  決して見捨てたことはない
  イエスの血は決して私を見捨てたことはない
  一つ知っていること
  私を愛してくださる...


この唄が延々と呟くように74'間歌われ、バックに弦楽四重奏、弦楽、フルオケ、と途切れ目なく展開していきます。
ホームレスの口ずさむ歌はテープによる反復(今で言うならサンプリングでループ処理ですね)、サウンドもアンビエントな変奏と反復、それがマッチして優しさに溢れます。ポストミニマルな環境音楽です。

Alan Powerのドキュメンタリーのサウンドとして、ホームレスの老人の唄をテープにしているそうです。曲名はそのまま「Tramp with Orchestra」で、バックの演奏変化で4曲(string quartet, low strings, no strings, full strings)、最後の二曲が「Tramp and Tom Waits with full Orchestra」「Coda: Tom Waits with High Strings」になります。
ラスト二曲はトム・ウェイツが遠くから入りながらテープとのduoとなり、最後はコーダとある通り一人になって歩き去る様にフェードアウト終了します。トム・ウェイツを入れたのは賛否両論あるでしょうが、私はこの再録音盤が好きですね。
ちなみに歌った老人は音源化される前に亡くなったそうです。R.I.P.

 ★試しにYouTubeで聴いて見る?

CD化されたObscure labelのオリジナル録音**も所有していますが、そちらにはもう一曲の代表作「タイタニック号の沈没 The Sinking of the Titanic」がカップリングされているので、また紹介します。
**guiter, organ, violin, tuba, double bass がバックで、演奏時間25'57"です。

・・・・・

前衛現代音楽ではなくアンビエントの方向性です。
ただ凹んだ気分の時など、この曲の素晴らしさが心を満たしてくれるでしょう。こんなコメントはこのブログらしくありませんが、それしかコメントは浮かびません。懐かしさいっぱいですが、前衛やアンビエントと今になってブログのネタとして繋がってくるとは不思議な事です。


[PS] ブライアーズが編集テープをかけたまま、コーヒーを注ぎにいった際の出来事を以下の様に書いています。それがこの曲の全てを言い表しているでしょう。
I left the tape copying, with the door open, while I went to have a cup of coffee. When I came back I found the normally lively room unnaturally subdued. People were moving about much more slowly than usual and a few were sitting alone, quietly weeping.

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

2016年7月14日 マイスター/読響 の マーラー交響曲第6番 at サントリーホール ★★

暑さも増しての梅雨の中、グッタリしますがコンサートホールは環境が良いので嬉しいですね。
今日はひどい夕立をなんとかかわして、サントリーホールでした。
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さて、マーラーの交響曲第6番「悲劇的」ですが、コンサートでよく行きます。激情的な演奏、クールな演奏、「悲劇的」に関しては両者好演が存在するので楽しみですね。今回は激情の代表、カラヤンのシャンゼリゼ劇場のライヴCDを聴いてから来ました。
2017年度から読響の首席客演指揮となるコルネリウス・マイスター(Cornelius Meister)はどのように振ってくれたでしょうか。

<マーラー 交響曲 第6番>
 第一楽章、提示部の第一主題は抑えめ、特徴的なのは第二主題の華やかさでした。これが全体を表していたでしょう。展開部では緩やかですが再現部では激しさ回帰はなくスピード感でした。
第二楽章はアンダンテを採用、甘美な美しさから音の厚みを増し山場へつなげました。第三楽章スケルツォ。アンダンテを挟んだ事で 第一楽章変奏の呪縛から逃れ、激しさ重厚さを排してスケルツォらしさを表現しました。(マーラーの指示、重々しく、とは異なりますが)
第四楽章の序章は静ですが暗さは抑えられ、提示部でも第二主題が出ると華やかさがはじけます。展開部も同様で重厚さや激情は抑え気味で進み、ハンマーは二発。再現部はモットー和音からスロー、テンポアップはリズミカルでしたが山場は暴れる様な迫力も見せながらコーダから暗転、ラストの一撃。ピチカートは小さく納めました。

マイスターの指揮はスマートですね。楽章間は長く取り、タクトを下ろすだけで起立正面正視、一息つく様な休む姿勢を見せません。
オーディエンスもそれに応えて最後は両手が降りきるまでフラブラはありませんでした。
・・・・・

第二主題の華やかさが印象的で、美しさやスピード感のマーラー第6番でした。マイスターの考えが伝わり、読響もそれに応えましたね。主席客演指揮者就任が楽しみです。
ただ、この曲は個人的に重厚激情的な疲れるパターンが好きなのでw



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

白神 山廃純米酒 を飲む

今年も津軽のお酒が揃いました。いつもありがとうございます。一本づつじっくりと楽しもうと思います。今流行り系ではないので、お酒らしさが堪能できるでしょうね。^^v
 日本酒 津軽の地酒

白神 山廃純米酒 新酒
 青森県 弘前市 白神酒造
 白神 山廃純米酒 新酒2016

酸味と米の旨みが強い昔ながらの味わいです。甘さ辛さの個性は穏やかで、冷え具合と飲むタイミングで顔色を変えます。確かに燗酒にも合いそうな風合いですね。
日本酒度+1.0、酸度1.6 のイメージよりも 昔ながらの山廃仕込みの精米歩合65%の純米酒である事が勝っているのかもしれません。

食中酒と言うよりも本来 お酒を楽しむお酒でしょう。でもお寿司の様な和食と一緒に味わうのはやっぱり嬉しいですね。

テーマ : 日本酒
ジャンル : グルメ

Perfect Stranger (Boulez Conducts Zappa) を聴く

米ロックスターの現代音楽を欧州エクスペリメンタリズムの雄が演奏するという米欧現代音楽コラボですね。
フランク・ザッパ(Frank Vincent Zappa, 1940/12/21 - 1993/12/4) の現代音楽は「Prophetic Attitude」「The yellow shark」を以前紹介しています。
これは1984年の作品ですが、ザッパとしてはこの後'90年代にアンサンブル・モデルン(独:Ensemble Modern)との活動まで現代音楽に力を注ぐことは無かったわけですね。

このアルバムは当然ブーレーズが指揮をしているということにありますね。

Perfect Stranger / P.Boulez (conductor), F.Zappa (composer)

*印の三曲がブーレーズ指揮、アンテルコンタンポラン(Ensemble InterContemporain)の演奏でIRCAMでの録音。バリバリの仏ブーレーズ配下作品です。おまけにペーテル・エトヴェシュが音楽監督を担当しています。
他四曲はBarking Pumpkin Digital Gratification Consort(狂ったカボチャのデジタル快感古楽器)の演奏となっていますが、中身はザッパによる当時開発された電子楽器シンクラヴィア(Synclavier)になります。こちらの演奏がザッパのアルバムの本音との話もありますが…

ザッパによれば7つのダンスピースだとの事です。(ライナーノートのストーリーを読みながら聴くと展開が具体的に感じられてとても面白いです)

1. *The Perfect Stranger
 タイトル曲でブーレーズからの依頼と言われています。タイトルは飛び込みのセールスマンだそうで、展開が面白いです。
グリッサンドを主体した対位法的な流れで、時折クラスターの様な強音パートや即興ポリフォニーな表現が現れます。実験的な音楽ではありませんし、格別な電子処理も感じられません。少々点描音列配置風な、もちろん違いますが、色合いは感じますね。

2. *Naval Aviation In Art
 イーゼルの前に立つ船員(海軍航空隊員)画家が、船窓に目を凝らしインスピレーションを得ようとしている様子だそうです。
一曲目と似た楽風です。旋律の存在と対応する楽器があり、調性はありませんが聴きやすさはありますね。暗い気配が漂う中、戦慄の音色が走ります。

03. The Girl In The Magnesium Dress
 男とダンスをして殺すドレスだそうです。マリンバ風の音色に煌めきが入る即興性の楽曲です。透明感と軽快さですね。マレットの連打音はサンプリングでもしていそうな感じです。(シンクラヴィアはサンプリングが可能です)

04. *Dupree's Paradise
 1964年のAvalon Boulevardにあるバーの早朝ジャムセッションの事だそうです。調性感の強い楽曲でビッグバンドジャジーです。ポリフォニーなカノンの様な音の組み合わせでリズミカル、躍動的。そういう意味ではザッパらしい?!けどアンテルコンタンポランらしくない!?

05. Love Story
 老夫婦の…ですw 点描的キラキラ、1分の小曲です。

06. Outside Now Again
 等拍のミニマル風ですね。ポストミニマルでしょうか。歩く様なリズムの中に凝った戦慄を変奏しながら絡めていきます。単純で複雑な響きが4分続きます。曲としてはこれが一番面白い!!

07. Jonestown
 スローでキラキラ。ドローンの中に音色を混ぜた様な不気味な響きの楽曲です。そう言ったストーリーのザッパのコメントが付いていますが、読まないと大して面白くありません。

・・・・・
ライナーノートのザッパの各曲の"話"を読むと読まないでは曲風の楽しみが大きく違いますね。話がないとそれほど興味の湧く現代音楽とは感じられません。そういう意味では、興味深い標題音楽です。
ブーレーズ/アンテルコンタンポランとシンクラヴィアの両演奏がどうの、といった事はあまり意識をする必要もありませんね。




テーマ : クラシック
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1.このblogで言う現代音楽
2.マーラー交響曲第5番 160CD
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