2016年6月29日 カンブルラン/読響 の マーラー交響曲第5番 at サントリーホール ★★☆

梅雨ですが、期待値の高いコンサートにはワクワクするものです。今日は個人的なコンサート・ターゲット曲でCD140枚の聴き比べをしているマーラーの5番ですね。というわけで六本木まで行ってきました。
 読響 カンブルラン サントリーホール

現在国内の常任指揮者では最も好きな現代音楽を得意とするシルヴァン・カンブルラン、管楽器が華やかな読響でマーラー5番、前半にリストのピアノ協奏曲第2番ですから当然人気でチケットは完売、満席近い入りでした。

リスト:ピアノ協奏曲第2番 イ長調
 6パート(adagio-allegro-allegro-allegro-marziole-allegro)ですが全体一楽章的で20'のライヴ向き、コンサート受けするヴィルトゥオーゾ曲でしょう。
前半、優美さとエネルギッシュな微妙な和声のpfが切れ味良く生きました。
中盤第3パート(allegro-moderato)の美しいオケから派手な第4パート(allegro-deciso)では、いずれも叙情性を感じる流れ。
そして再現部マルツィアーレの短い行進曲、最終部の圧倒的コーダからフィニッシュもまとまりがありました。

読響もpfの小菅優さんも全体として見事な演奏なのですが、望むならこの曲らしい強音パートでの多少暴れるくらいの演奏が聴きたかったです。

マーラー:交響曲第5番 嬰ハ短調
 カンブルランは必ず思いを入れてくると思っていました。マーラー7番では変化球ならぬ魔球を投げてきましたから。(笑)
ところが今回は正攻法のパワープレーで驚きました。
第一楽章、第一主題はスローで重厚な葬送行進曲に、風雲急を告げる様な展開の第二主題(第1トリオ)で迫力と重厚さのバランスの良さを、第二楽章では情熱と迫力を聴かせてくれました。この第二楽章が一番素晴しく象徴的でしたね。
第三楽章はスケルツォから出し入れの効いた展開で長さを感じさせず、スピード感あるラストも良かったですね。ホルンも良い音色を奏でました。
アダージェットはやや速めで、とろける様な甘美さは排しているのは展開にマッチ。
最終楽章はゆっくりと登り上がるのがやや中弛み的ではありましたが、コーダからラストのアッチェレランドまで見事なワクワクさ。切れ味良く決まりました。
もちろんブラボー大喝采でした。

まとまりには欠けたり、tpが⁇な事もあったり、何か一つ足りない様な感もありましたが、それを補う情熱と迫力のマーラー第5番を味わえたと思います。
オケのメンバーの様子はあまり満足さが感じられませんでしたが...

・・・・・
まとまりの前半、情熱力感の後半で楽しいコンサートでした。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

2016年6月9日 大野和士 / 都響 の ブリテン、ドビュッシー、スクリャービン at サントリーホール ★☆

梅雨に入ってすっきりしない天気が続く東京ですが、今日は雷雨かもの予想がどうにか雨は降らずに助かりました。
 20160609-SuntoryHall.jpg

13〜20分程度と短めの曲の組み合わせなのですが、ブリテンの歌曲はさておき 割と好きな楽曲構成だった今日のコンサートです。さて大野和士さんはどの様に振ってくれたでしょう。

ブリテン / 歌劇『ピーター・グライムズ』より「4つの海の間奏曲」Op.33a (1945年)
 やや興味の薄いベンジャミン・ブリテンですが、その中で"Four Sea Interludes from Peter Grimes" は美しさから迫力への展開が明確でコンサート向きですね。
第1曲『夜明け(Dawn)』の広涼な美しさを、第2曲『日曜の朝(Sunday Morning)』では軽快さから華やかさへ、やや調性の薄さを見せながら、第3曲『月光(Moonlight)』では力感を高めて、第4曲『嵐(Storm)』で迫力の結び。が好みですが、第1第2曲は濃淡の色付けが濃くかえって平板に感じました。良かったのは第3曲で抑えの中に良い展開が感じられてましたね。嵐はドンガラガラであんな感じでしょう。

ブリテン / イリュミナシオン Op.18 (1939年)
 英テノールのイアン・ボストリッジ(Ian Bostridge)は、今年の1/16(土)のハーディング・新日フィルの「戦争レクイエム」に続いてのブリテンです。
その時の印象、今ひとつ切れ味不足、に対して声の伸びも表現も遥かに良かったですし、演奏も揃いが良く引き締まっていました。
どこかGBの民謡的なこの楽曲に興味が薄く ランボーの詩Les Illuminationsの邦訳も意味が掴めませんが、個人的な好みを別にすれば、かなり良かったのでは‼︎

ドビュッシー / 『夜想曲』より「」「」(1899年)
 頭にあるのはブーレーズのDG盤、(CBS盤に対し)情感を抑えた寒色系の美しさの"雲 Nuages"と軽快さの"祭 Fêtes"ですね。
ここでは "雲"は、微妙に振られたディナーミクでドビュッシーらしいこの曲独特の幽玄さが感じられませんでした。"祭"は躍動感溢れる流れから山場は重量級に展開しましたね。
全体としてはややつかみ所が薄かったです。

スクリャービン / 法悦の詩 交響曲第4番 Op.54 (1908年)
 事前に四人の指揮者で「法悦の詩」聴き比べをしてきました。好みは抑えの効いた静的エモーショナルと適度な山場迫力のバランス演奏ですね。
大野/都響は全体に音量過多のフラット。静音パートでも振られるディナーミクで、全体の流れの陰影が薄まり通して音量だけを感じました。爆演中心の法悦の詩は好みでないのでただ残念です。

・・・・・

期待した後半は残念ながら好みではなかったのですが、ブリテンが楽しめたのは嬉かったですね。
全パートにディナーミクの振りが気になりました。山場の迫力は歓迎ですが、静音パートは抑えの効いたエモーショナルな美しさを聴いてみたいですね。都響の演奏は安定していて良かったですね。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

スクリャービン「法悦の詩」の聴き比べ:ゲルギエフ、アバド、ブーレーズ、ムラヴィンスキー

このブログではシマノフスキと並んでピアノ曲を中心に紹介しているロシアの作曲家アレクサンドル・スクリャービン(Alexander Scriabin, 1872/1/6 - 1915/4/27) です。

明後日9(木)の大野和士/都響のコンサートを前に、今更の『法悦の詩 (Le Poème de l'extase, The Poem of Ecstasy) 交響曲第4番 Op.54 (1908年)』を聴いておきましょう。
一楽章形式で約20分の交響詩。一部ではハ長調と調性を記されているのを見た事がありますが、4, 5番で調性から脱却していますね。とは言え、神秘和音(根音-増四度-短七度-長三度-長六度-長二度)の導入があっても調性を大きく逸脱しているわけではありません。聴く限りでは調性内の動機・主題の楽曲であり、大編成オケでどう表現するかですね。
原題通りのエクスタシーを感じられる人がいたら驚きですが…w
(楽譜にその手の表現指示がされているので、話がそこへ行くのでしょう)

聴き比べのメインは、先日二度目の録音を出したゲルギエフです。


< ゲルギエフ >
Valery Gergiev / London SO (LSO Live)
 2014-3/30録音の新しいゲルギエフLSO盤です。静的ながら叙情的な緩やかな流れの前半は、各楽器の演奏に細かな変化(読み?)を感じます。中盤は押さえ気味に上げながら山場を作ります。山場はバランス良く、後半の静部では押さえが効いています。ラストの1分は美しさからの大フィナーレです。
クセが減り、研ぎ澄まされた感じで聴きやすいですね。


< ゲルギエフ >
Valery Gergiev / Kirov O (DECCA)
 その5年前、1999年7月の演奏です。エモーショナルさが強く出た前半は色合いが豊かに感じられます。中盤にかけては陰影深く上げて行き、山場は派手派手しいです。後半の静的パートも細かく仕込んでいる感じですが、ラストは流れに乗った盛り上げで終わります。
展開の派手さが目立つ、外連味ある演奏です。


< アバド >
Claudio Abbado / Boston SO (DG)
 緩い幻影的な入りでは静的にバレエ曲を思わせる感じで動機が展開されます。中盤から現れる山場ではtpの音色が主題を奏で押さえ気味。そしてバランスの良い出し入れで全体として美しい仕上げを感じます。ラストもクールです。
やっぱりアバド、端整さを感じますね。


< ブーレーズ >
Pierre Boulez / Chicago SO (DG)
 各楽器を明確にしながら静的な様相をさらに強くして僅かに振られたアゴーギクが個性的な前半。クレシェンド風に上げていく中盤パートでは不安を思わせる様な展開を見せながら山場を作ります。山場は波の様に押して引く流れを見せてくれます。中盤以降の静的な流れも表情豊かで、ラストは広がる様に盛り上げます。
DG時代のブーレーズらしい譜読みの冷静さですね。


< ムラヴィンスキー >
Evgeny Mravinsky / Leningrad PO
 所有はブリリアント・レーベルから出た廉価版10CDsetで1959-4/21モノラル録音です。
前半から各楽器の切れ味が鋭く、アゴーギクとディナーミクが振られて表情がとても豊かです。絡みつく様な流れを強くしながら山場は嵐の様相で、ラストは静止からの大トゥッティです。
録音が悪いのが残念ですが、通してアクの強いパワフルな交響曲的演奏です。

・・・・・

両極はクールで美しいアバド、爆裂ムラヴィンスキーですね。個人的にはアバドやブーレーズが好きですが、コンサートならゲルギエフの旧録音あたりが受けそうですね。
さて明後日の大野和士/都響はどうでしょうか。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

ポスト・クラシカル(Post Classical) マックス・リヒター Max Richter の Sleep を聴く

ポスト・クラシカルの命名者 マックス・リヒター(Max Richter, 1966/3/22 - ) はドイツ生まれのイギリス人で、イタリアの現代音楽家 ルチアーノ・ベリオ(Luciano Berio)に師事しポスト・ミニマルとして台頭。舞台・オペラ・映画音楽も手がけています。

ポスト・クラシカル(Post Clasical) は、以前ヨハン・ヨハンソン(Jóhann Jóhannsson, 1969/9/19 - )も紹介していますが、現代音楽のヒーリング音楽ですね。クラシック分野の教育を受けた音楽家の作品という事が基本らしいです。

同じアンビエント系のネオ・クラシカルやエレクトロニカ、ニューエイジとの違いはよくわかりませんが、源流がロック・等から来ているだけで姿は同じではないでしょうか。そちらはブライアン・イーノ(Brian Eno, 1948/5/15 - )の「ミュージック・フォー・エアポート Music for Airport (1978年)」あたりの流れですね。
まぁジャンル分けなどあまり意味ないかもしれませんが…

この『Sleep』にはリミックスを含めたいろいろなバージョンがあり、所有は94分ver.でDGからのダウンロード版(Sleep Remixes)。
本当は後日CD化された下の8時間ver.をダウンロードしたかったのですが、結果やめて良かったかも。^^;

Sleep Remixes / Max Richter


まぁ、現実購入なら1時間ver.のこれでしょうか。


このアルバムは三曲(Path 5, Dream 3, Dream 13)の複数リミックスver.で構成されているのですが、いずれもミニマル、曲個別インプレは不要でしょうし聴き込むのも違う気がしますね。
ただ 題名通り「聴きながら眠りに落ちる」と言うほど緩いサウンドだけではありません。部屋が共鳴するような重低音パート&打楽器 ver.も存在するPath 5 、これで眠れるならボリュームをかなり落とすようでしょうね。BGMにしても鬱陶しいですw
Dream 3, Dream 13 はそれらしいver.編成ですけど、その分退屈それが本流?!

試しにYouTubeで聴いてみる?
3曲目のPath 5 (Mogwai Remix Edit) です。正規音源では打音と重低音が執拗です。


・・・・・
このブログの現代音楽、わけのわからない、の範疇ではありませんが この『Sleep』で言えば今の時代のポスト・ミニマルですね。残念ですが、自分に感性が足り無い様で興味が湧きません。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

2016年6月1日 ワーグナーのオペラ「ローエングリン」 at 新国立劇場 ★★☆

休憩を含めて上演時間約5時間、ワーグナーの歌劇*ですからこうなりますね。終演が22時なので、場所が京王新線の初台と近くて助かります。
*ワーグナー作品はこの後のトリスタンとイゾルデから楽劇(Musikdrama)となりますね。
20160601-Lohengrin-shinkokuritugekijo-01.jpg

目的はやっぱりタイトルロールのヘルデンテノール、クラウス・フロリアン・フォークト(Klaus Florian Vogt)です。
前回「ローエングリン (Lohengrin)」を生で観たのは、3.11後のNHKホール、2011年のバイエルン歌劇場の来日公演でした。演出・タイトルロール共に失望でしたから、今回のフォークトは期待ですね。('12年の公演もそれで敬遠したのですが好評だったので今回リベンジですw)

20160601-Lohengrin-shinkokuritugekijo-02.jpg
演出はシュテークマン(Matthias von Stegmann)で現代風ですが、アヴァンギャルドではありません。近年、バイロイトを中心として前衛的な演出が増えていますが、両刃の刃ですね。とても面白いかダメか。今回はストーリー展開に対して大きな違和感がないのは好感が持てましたね。ラストもちゃんとゴットフリートが現れます。でも、1人舞台に残ったりしますが。
残念なのは、エルザに疑念が生まれる度にローエングリンが弱々しいポーズを必要以上に取る事ですね。

舞台・衣装はバイロイトでも活躍のロザリエでシュテークマンの演出とともに前回と同じです。衣装はクールな感じで年代や地域を越えた設定、舞台の配置物は極シンプルでかつ抽象的です。吊り物や せり上がり、背景にはガラスキュービクルのブロックが設定されて色の変化を見せますが印象は弱いです。
もう少し陰影の強さや展開の刺激でもないと、衣装 舞台全体がシンプルなだけに第二幕などは平坦に感じられてしまいます。

配役何と言ってもフォークトのローエングリンですね。声も柔らかなハイトーンでまさに好みのローエングリン、そしてホワイトのロングコートが似合う容姿。そもそもローエングリンは、あのパルジファルの息子にして聖杯グラールの騎士ですからねぇ。今の時代最高のローエングリン役ですね。(ちょっと太ったかな)
エルザ役のウールは通して病的・陰鬱であってほしいのですが、演技から伝わる気配は弱いです。ソプラノの声が強いんですね。
このオペラを盛り上げる二人、テルラムント役のリンとオルトルートのラングは演技・歌共にピッタリです。
渋さが必要なハインリヒのバウアーはもう少しバスの落ち着いた声が好み。
ポイント的に光っていたのは、王の伝令役の萩原潤。このオペラが締まるかどうかは この役の良し悪しもかかると思いますが、決まってましたね。

演奏は当然 東京フィル、指揮はベテラン飯守泰次郎さんになります。お馴染みの第1幕3幕の前奏曲は、ちょっと緩さを感じましたし、管楽器に多少の不安感をかんじましたが。

・・・・・

全体としては、フォークトの はまり役とでも言うようなローエングリンが楽しめ何よりでした。それだけでも満足でしたね。(時折見せる弱々しい演出は別にしてw)
ローエングリンはオペラの中では一番見る機会の多い作品ですが、その分個人的な好みがはっきりしてストライクゾーンが絞られます。近年では'12/'13ミラノ・スカラ座開幕公演のカウフマンも今ひとつだったので、今回は嬉しかったですね。

そう言えば、話題になった2011年バイロイトのネズミのローエングリンもフォークトでしたね。


[配役]
 ハインリヒ国王:アンドレアス・バウアー(Andreas Bauer)
 ローエングリン:クラウス・フロリアン・フォークト(Klaus Florian Vogt)
 エルザ・フォン・ブラバント:マヌエラ・ウール(Manuela Uhl)
 フリードリヒ・フォン・テルラムント:ユルゲン・リン(Jurgen Linn)
 オルトルート:ペトラ・ラング(Petra Lang)
 王の伝令:萩原 潤

[指揮] 飯守泰次郎
[管弦楽] 東京フィルハーモニー交響楽団
[演出] マティアス・フォン・シュテークマン(Matthias von Stegmann)
[美術・衣装] ロザリエ(rozalie)


2016年6月1日 新国立劇場 オペラパレス

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

プロフィール

kokotonPAPA

Author:kokotonPAPA
.
    




・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。





カレンダー
05 | 2016/06 | 07
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -
ようこそ
カテゴリ
ありがとう