藤倉大と笹久保伸の マナヤチャナ を聴く

藤倉大(Dai Fujikura, 1977/4/27 - )のインプレ第4弾ですw
笹久保伸、秩父在住の音楽家(ペルー音楽研究、作曲家、ギタリスト)、からのギター曲の相談?!からコラボになったそうです。ギターの短いサンプル音源を笹久保から藤倉にネットで送り、それを異なる音源処理して作り上げたそうです。
elec.Guitar作品もあり 電子音楽をベースにする藤倉大としては手の内手法でしょうが、一度も会わずに作り上げたとは面白いですよね。

今回は現在所有最新盤となるこれです。「Mina(2015年)」「Ampere(2014年)」も入手したいと思っています。(本年6月には『藤倉大オーケストラル・ワークス「世界にあてた私の手紙」』が出ますね)

MANA-YA-CHA-NA / SHIN SASAKUBO & DAI FUJIKURA


グラニュラーシンセスを使った深遠な煌めきを持つ表題曲 1. マナヤチャナ(未知のもの)を始めドローン系アンビエントが基本の感じです。
4. プユ(雲)のギター処理は面白さを感じますし、 5. ティンカイ(捧げもの)では現代音楽的なアプローチも感じます。 6. アンハス(青) や 8. ワワ(娘)ではvoiceが入って飽きないように?なっています。

でも、笹久保伸のギターをベースにした藤倉大のアンビエント音楽ですね。特別にペルー音楽とかを感じる事もありません。

 ★試しにYouTubeでマナヤチャナを聴いてみる?

電子処理についてはライナーノートの中で、IRCAMのAudio Sculpt を使っているとの事。やっぱりIRCAMですかね。

気になるのは楽譜が存在しているのかです。クラシック系から続く現代音楽は、即興性を感じる演奏でも楽譜が存在している事ですね。その時の気分で演奏・構成する訳ではなく、楽譜という形で音楽を残す事ですね。(ISSUUを確認しているわけではないので)
個人的には古臭いつまらない事が気になります。

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ICEでも感じられたポスト・クラシカル系のアンビエントの方向性を感じます。このアルバムに大きく惹かれるものを感じられないのは自分の感性不足で寂しいですね。作風の一つはNew Age的方向に向かっているのかもしれません。(2015年発売の"Mina"のオケ曲は面白いですから)
誰か遊びに来た際のBGMならいい感じ?! 個人的にはポップな方向性の現代音楽は好きですが、ニューエイジの方向は今ひとつです。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

藤倉大 の ミラーズ - 作曲家の個展 を聴く

藤倉大CDインプレ3枚目は「ミラーズ MIRRORS - 作曲家の個展 A profile of a composer」です。

2012年10月11日(木)、サントリーホールでの「作曲家の個展 2012 藤倉大 (サントリー芸術財団主催)」の録音で、編集(Mixed and Digital Edited)は本人が2013年にかけて行ったものになります。要は本人が最後まで作り上げた作品と言う事になりますね。

MIRRORS A profile of a composer / Dai Fujikura

1. Tocar Y Luchar for orchestra (2010年)
 かのシモン・ボリバルのベースとなったエル・システマの創始者ホセ・アントニオ・アブレウに献呈された楽曲です。題名の「トカール・イ・ルチャール」はアブレウのモットーからだそうです。
グリッサンドや音の流れに合わせたディナーミクとアゴーギクが特徴的です。小魚のフィッシュボールや鳥の大群がいろいろな形を作り出すのをイメージしているそうで、まさにそんな感じです。そしてその中に小鳥たちの囀りや海の中を泳ぐ様な細かな音のポリフォニーも現れます。ラストは劇的な仕上げになりますね。
もちろん無調ですが、例によってその中に美しい旋律が存在しています。
繊細でダイナミック、お勧めの曲ですねぇ。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
 オーディオ出力 ステレオ&大きめで、位相変化の空間音響を楽しめます。


2. Bassoon Concerto (2012年)
 元はバスーンのソロ曲"calling"で、その時から協奏曲のイメージをし バスーンの重音の音響解析からオーケストレーションもしているそうです。ベースはドローン的です。
前半はバスーンらしいひしゃげた音色が旋律よりも響きを重視しながら鳴り、オケはユニゾン風に広がる様に色合いを付けていきます。中盤ではバスーンのミステリアスな音色・旋律とオケ、特に弦楽器のグリッサンド、との対比です。ここでもオケは長音中心の"響き"です。後半では楽器間の対位的な流れになりますね。
25分近い楽曲で、ソロはパスカル・ガロア(Pascal Gallois)。これもとても面白いです!!

3. Mirrors - 12 celli version (2009/2010年)
 CSOの6人のチェリストの為の委嘱室内楽が元で、チェロのピチカートとその音を逆回しにしたような弓の音のイメージを鏡(Mirror)の様に効果させたそうで、このコンサートでは特別に12のチェロになります。
ピチカートが印象的ですが、弓の音色は逆回しというよりもシャリーノの弦楽器曲の様ですね。ピチカートと短旋律の変奏の組合せ、ポリフォニーです。このアルバムの中では、前衛色の濃い楽曲になります。そういう意味では、ややありきたりかも。

4. Atom (2009年)
 一つの音の粒から組み合わさりフレーズになっていく様を表すそうです。スタッカートのリズムが一つの音を続けながらテンポを変化させて行きます。やがてスタッカートに短い旋律が混じり始めて、間を生かしながら打楽器の参加で変化を付けた後は、強音展開を生かした"響き"が強くなります。
もちろん旋律には美しさがあり、藤倉作品らしさが感じられますね。面白いです。

演奏は 下野竜也指揮、東京都交響楽団になります。

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空間音響系、3を除く、の色合いを感じますね。前衛現代音楽なのですが、ガチガチの音楽理論優先構成ではなく作曲時のイメージを技法や理論で構築されている感じです。(ご本人の談と楽曲を合わせ聴くと)
楽しめる一枚で、お勧めですね。


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

藤倉大 Dai Fujikura の Ice を聴く

昨日に続き藤倉大さんのCDインプレです。
藤倉大 (Dai Fujikura, 1977/4/27 - ) と言えば、エトヴェシュやブーレーズとの関係が印象にありますよね。今年始めのブーレーズ逝去にあたってはTVにも出演があったりして、英London在住ですが日本人現代音楽家として欧州は勿論、国内でも注目の一人に違いありません。

電子音楽を含めた前衛的スタイルは今の時代の現代音楽ですが、どこかに美しさを感じられるのが特徴的ですね。そして本CDがKAIROSレーベルから出ているというのが素晴らしいです。

Ice / 藤倉大

1. Sparks (2011) for solo guitar
 不安定な double-stop harmonics による演奏とありますが、金属音の様なハーモニックスの響きが主体の生ギターの小曲です。無調ですが美しい響きがするのは藤倉大の曲ですね。

2. Ice (2009-10) for ensemble
 ソロパートは演奏者であるInternational Contemporary Ensemble(ICE) のメンバーのパーソナリティを前提に書かれているそうです。
速いトレモロ、トリルによる各楽器の絡みから入り、中盤では長音の空間音響系になります。グリッサンドの中にギターの単音が響く展開も面白いですね。クラスターやポリフォニックではなく同期と対位法的な端正は流れで、時折 東洋や中近東和声も感じられる とても綺麗な楽曲です。

3. Phantom Splinter (2009) for ensemble and live electronics
 クラリネットとオーボエ、バスーンによる微分音(microtonal)の展開だそうです。
聴く限りでは、そこまで不安定要素が大きく感じられません。単音の響きを重視したパートから入り、構成順序をIceと変えていますが似ています。いずれ静的な中の響きを重視した空間音響系の展開です。
ライヴエレクトロニクス処理はフライブルクのSWR EXPERIMENTALSTUDIOですが、どの様な処理なのかはわかりません。

4. Abandoned Time (2004-06) for solo electric guitar and ensembles
 ディストーションされたロックギターを現代音楽の中に展開した、とあります。右手のタップ、それにチューブアンプのオーバードライブのギター。アンサンブルはグリッサンド、ビブラート、そしてトリルで対応するとありますね。
その通りの展開ですw e-guitarは上記の古典的ロックギターの音色で展開しています。もっとエフェクターで音色の変化を付けてしまっても面白そうですが、そこは意図があるのでしょう。
なるほど、後半は明らかにRock調の意識が入っています。それでAbandoned Time?!
ここではノイズ的な表情やパルスも見せる展開がありますね。

5. I dreamed on singing flowers (2012) for prerecorded electronics
 電子音楽だけの曲です。prerecorded electronics とは事前録音した音との合成のようです。(間違っていたら教えて下さい)
重低音アンビエント系ドローンのロングトーン、約4分の小曲です。ケンジントンガーデンをポータブル・ミュージック・プレイヤーとヘッドホンで聴きながら歩く事を考えて書かれている小曲とか。地響きと勘違いしないといいけど…w

6. Sparking Orbit (2013) for solo electric guitar and live electronics
 Sparksの引用のe.guitarでスタートし、ライヴエレクトロニクスでスペース的に展開し、中盤では叙情的なメロディーライン、終盤はディレイとリヴァーブ処理されているそうです。
Sparks引用のハーモニックスは速くなっていますね。それ以外はライナーノートの通りですが、ディレイとリヴァーブ処理はノイズ系サウンドです。それにしても基本ソロ・ギターとは思えないほどのサウンド(timbre?)の厚みです。
この曲はICEのギタリストであるDaniel LippelとライヴエレクトロニクスSWR EXPERIMENTALSTUDIOの為に書かれた曲だと、リップル本人は言っていますね。
 試しにYouTubeで聴いてみる?

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無調の空間音響系ですが、静的で美しさを感じる音楽です。その中にノイズ系の展開が見られるのも特徴的ですね。BGMとして聴いても問題ない感じでアンビエントに近いサウンドです。ポスト・クラシカル系の方向性も感じられますね。2010年以前の曲とは変化を感じます。
ここではエトヴェシュにもブーレーズにも似ていません。


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

藤倉大の Secret Forest を聴く

この処注目の上がっている藤倉大 (Dai Fujikura, 1977/4/27 - ) をCD4枚 続けてインプレさせてもらおうと思います。
長く英国で活躍しているロンドン在住の現代音楽家ですね。従って英国での受賞やBBC SOやBBCプロムスからの委嘱もありますね。今ではフランスやドイツと言った現代音楽先進国での活躍の場も展開されて日本を代表する現代音楽家の一人でしょう。

英国でベンジャミン(George Benjamin)他に師事していますが、エトヴェシュやブーレーズの関係が印象としてありますよね。どこかに優しさや美しさを感じさせる楽風は英国現代音楽の出身と言う事でしょうか?!
まず一枚目は現所有発売順で古い(2012年) これからです。

Secret Forest / Dai Fujikura

Secret Forest(2008年) by Art Resperant / Ken Takaseki (cond.)
 2008年11月5日、東京紀尾井ホールでの録音です。無調のオケ作品で特殊奏法も駆使されていますが、処々で美しい旋律を感じさせるのは例によって特徴的です。
ノイズ系ありポリフォニーでもありの混沌音楽なのですが、藤倉大らしい音の鳴りは良いですね。その煌めきはブーレーズを彷彿させるかもしれませんね。まだ音の出し入れが大きいのはエトヴェシュを思わせます。この曲は二人の影響を感じられる気がします。その分折衷的であり、全体としてはやや没個性的に感じられます。
オケ配置は現代音楽らしく、オーディエンスを囲む様に各楽器が配されますね。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  楽譜付です。現代音楽の楽譜と合わせて楽しめます。


Rubi(co)n(2011年) by Kate Romano (cl)
 約1分のクラリネット独奏曲です。

Phantom Pulse(2006年) by Lucerne Percussion Group / Michel Cerutti (cond.)
 パーカッション曲です。シロフォン等で音階は存在しますから音程の無い打楽器曲とはかなりイメージが異なります。ハイトーン域のシロフォンの音色が美しく他の打楽器と協奏して煌めきを感じる入り。そしてペースチェンジをうまく使い、間を生かした静寂、打撃音の強さ、そしてドローンと 表情変化も良い感じです。20分を超える打楽器曲ですが、全く飽きさせません

Eternal Escape(2011年) by Adrian Bradbury (vc)
 4分弱のチェロの小曲です。攻撃的な曲で、無調ですが旋律感が残りアンコールでやったら良さそうな感じです。

Okeanos(2010年) for sho, koto, oboe, clarinet, and viola by Okeanos
 1.Touch of Breeze - 2.Breathing Tides - 3.Cutting sky - 4.Sakana - 5.Okeanos Breeze
筝, 笙, cl, ob, vc によるQuintetのオケアノスOkeanosによる、同題名曲です。笙の音色はちょっとシンセサイザーっぽい響きです。現代音楽は出身国の文化を展開する事が一つのテーマの様なものですから、必然の楽曲でしょう。当然ですが、曲調は雅楽和声が処々で生かされています。箏はpfの特殊奏法的な音を感じさせて面白いです。
オケと雅楽の組合せはあまり好めませんが、室内楽の現代曲には相性が良い気がしますね。Western with Easternがフィットして面白いです。

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藤倉大らしい美しさや煌めきを散りばめた無調の作品ですね。古臭い音列配置や、強烈なポリフォニー、ノイズ系ではなく旋律も残されて聴き易いのは、事実でしょう。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

2016年4月24日 山田和樹 / 読響 の チャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」他 at 東京芸術劇場 ★☆

東京は葉桜になりましたが、今年はどうも天気が安定しません。春爛漫の好天気が続いて欲しいですね。今日は雨上がりの池袋、東京芸術劇場です。
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それにしても山田和樹さんは人気ですね。席は9割以上埋まっていました。でも実は山田和樹さんの指揮で良い好みの演奏に当たった事がありません。そこで今回は 派手でお馴染みの三曲が並んだコンサートを選んでみました。オケも読響で、二日連続同演目の演奏会ですしね。これならはっきりわかると思います。

1. オネゲルパシフィック231
 短い曲ですがオネゲルの代表曲で、重厚さでお馴染みですね。
入りから強さを感じるフラットさが気になりました。ラストはトゥッティで固まりながらの迫力で良いのですが、前半は調性の薄さの反復や変奏を味わい処。でも、そうは行きませんでした。

2. グリーグピアノ協奏曲 イ短調 Op.16
 第一楽章の派手なpf、小山実稚恵さんはカデンツァでも最終楽章でもヴィルトゥオーゾな演奏を見せてくれました。少々歯切れ良くない感じもしましたが、向いていますね。
ただオケはここでもフラットです。演奏は悪くないので、山田さんの考えるグリーグなのでしょう。
曲自体が派手なので、ラストは締まりますが何か特徴的なもの、一味が足りない様な...
お隣の方はあくびしてました。

3. チャイコフスキー:交響曲第6番 ロ短調 Op.74「悲愴
 事前のヤルヴィ/シンシナティSOのインプレでも書きましたが、頭の中にあるのはムラヴィンスキー(1960年DG盤)ですね。
第一楽章、第1主題と第2主題の冒頭はとてもスローでしたね。休止を挟む展開部からは迫力なのですがややモッサリ、でも再現部でのエモーショナルさは良い流れでした。
第二楽章のワルツは軽さはなく、湿度の高い重い感じでしたね。
第三楽章はスケルツォ風から行進曲なのですが、入りのスケルツォはともかく、その後の行進曲は歯切れが今ひとつ。クライマックスはティンパニーがリズムを刻むのでOK、その迫力が良かったですね。
第四楽章は 緩徐からの情感を緩やかに、が好みなのですが違いました。
でもここで素晴らしい演奏に出会えました。入りの緩徐は暑くるしかったですが、その後は情感のこもった最終楽章でした。

読響は良かったですが、珍しく管楽器に時々乱れがありましたね。第一クラリネットは後半で楽器の具合が悪くなり、ちょっと困った事をやったのがザンネンでした。

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山田和樹さんは、エモーショナルなパートが素晴らしいのでしょうか。強音パートは暑くるしいフラットさを感じられましたが。今日の楽しさは、悲愴の最終楽章でしょうね。あの曲の一番厄介なパートを楽しめました。
マーラーの第9番は聴きに行ってみよう…か…



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

ヤルヴィ Paavo Jarvi で聴く チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」

来週 4/24(日) の山田和樹/読響のコンサートを前にチャイコの「悲愴」を聴いておきましょう。以前も書きましたが、後期交響曲3曲はムラヴィンスキー(1960年DG盤)が頭の中に住んでいますw

Tchaikovsky Symphony No.6 "Pathétique" / P. Järvi, Cincinnati SO

この曲はボリュームを上げて聴かないとわかりませんね。Paavo Järviは お父さんほど情熱的に振らない事は予想されますよね。ましてやチェリビダッケやストコフスキー、バーンスタインを予想する事はあり得ません。さてさて。

第一楽章はスローな第一主題序奏から木管と弦の変奏へテンポを上げますが、どこか冷静さを感じますね。第二主題でも似た様な感じで、殊更の情熱や美しさを避けています。しかし一気に変化する展開部では激しさと切れ味を見せ、再現部では見通しの良い展開をします。
第二楽章はワルツなのですが、やや早めに感じます。それなのにステップを踏む様なと言うよりも優美さですね。
第三楽章、スケルツォからクレシェンド的に行進曲になる個性的な楽章で、展開的には盛上がるわけですが、前半はかなり抑えめ緩めのスタートで??的です。しかし一転後半は轟く様な激しさを見せますね。表情は薄いですが切れ味と迫力です。
最終楽章。この交響曲の特徴は各楽章の変化と、最終楽章の緩徐からの情熱の完成度にあるはずですね。ヤルヴィは、ここで初めて抑えられた情熱を感じるアゴーギクで進みます。ディナーミクと情感厚い第四楽章です。なるほど、そう来たか的なw

・・・・・
全体としては、迸る情熱や感情よりもシャープさの「悲愴」です。ただ最終楽章エモーショナルさに焦点を当てた様な展開は計算されているでしょう。そこも含めてクールと言えばピッタリ来るでしょうか。個人的には最終楽章をもう少し抑えめにして、他の楽章を表情豊かにして欲しいですが。
処々で響きがシックリ来ないのはシンシナティ響が今ひとつなのかなぁ…


P.S.:カップリングされている「ロミオとジュリエット序曲」も出し入れは強いですが、表情や情感は薄いですね。


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

ザルツブルク音楽祭 2008年 歌劇「オテロ」をNHKプレミアムシアターで観る

ヴェルディ(Giuseppe Verdi, 1813/10/10 - 1901/1/27) が、アイーダ(1871年)以来 16年ぶりに発表した晩年のオペラ「オテロ(1887年)」ですね。
2008年のザルツブルク音楽祭で話題を呼んだ舞台で、DVD/BRDにもなっていますね。
2008年 ザルツブルク音楽祭 オテロ NHKプレミアムシアター

あらすじは、カッシオの昇進を妬むイアーゴの嘘にだまされたオテロ。妻デズデモナの浮気話に嫉妬し、デズデモナを殺害する。最後は真実を知り自らの死で結末というオペラの王道ですね。
【第1幕】キプロスの港(カッシオとイヤーゴ)【第2幕】庭園に面する城の一室(イヤーゴの策略)【第3幕】城の大広間(陥れられるデズデモナとオテロ)【第4幕】デズデモナの寝室(デズデモナとオテロの死) になります。

演出は、特殊なものはありません。でもイアーゴはもっと悪知恵に富んだ表情や振りがあっても良い気がしますね、見ていてイライラするほどの。ただその分をオテロの狂気が補って余りある迫力ですね。照明も暗く陰影強く、その辺が演出の狙いでしょう。

舞台・衣装は現代的なシンプルな舞台に適度にそれらしき衣装は違和感がありませんね。全体的には暗です。個人的にはもう少しアヴァンギャルド方向でも良いかと思いますが。

配役での注目はタイトルロールのアントネンコ、この時33歳!! 昨年のメトでもオテロを演じていますね。声も素晴らしいのですが、顔も体型も良くも悪しくもクドいですねぇ。演技もおどろおどろしいです。それがオテロですからピッタリでしょう。
そしてデズデモナも若手のポプラフスカヤ、2010年のROHシモン・ボッカネグラでアメーリア役が良かった印象があります。ここでも悪くありませんね。
ストーリー上の主役イアーゴを押さえるのは、お馴染みアルバレス。演出上の問題もあるでしょうが演技・声ともに今ひとつ。アルバレスが悪党ヅラじゃないからかもw
カッシオ役コステロのテノールは若さある役柄に合ってましたね。

演奏では特に意識する事はありませんでした。オペラの場合、よほど悪いか良いかでないと印象は残らないでしょう。そこがオペラを得意とするムーティの真骨頂かもしれません。

・・・・・
全体としては、どろどろのオテロらしいオテロです。ヴェルディ好きにはたまらないでしょう。特にアントネンコは歴代のテノール・ドラマティコ「オテロ歌い」に並ぶのでは。
ただヴェルディの作品があまり得意でないので、らしければらしいほど引ける気持ちがありますが…


 <出 演>
  ・オテロ(t):アレクサンドルス・アントネンコ(Aleksandrs Antonenko)
  ・デズデモナ(s):マリーナ・ポプラフスカヤ(Marina Poplavskaya)
  ・イアーゴ(br):カルロス・アルバレス(Carlos Alvarez)
 
  ・カッシオ(t):スティーヴン・コステロ(Stephen Costello)
  ・エミーリア(ms):バルバラ・ディ・カストリ
  ・ロデリーゴ(t):アントネッロ・チェロン
  ・ロドヴィーコ(bs):ミハイル・ペトレンコ
  ・モンターノ(br):シモーネ・デル・サヴィオ
 
 <合唱> ウィーン国立歌劇場合唱団コンサート協会
      ザルツブルク音楽祭児童合唱団
 
 <演出> スティーブン・ラングリッジ(Stephen Langridge)
 <美術> ジョージ・ソーグライズ
 <衣裳> エンマ・ライオット
 <管弦楽> ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 <指 揮> リッカルド・ムーティ(Riccardo Muti)


収録:2008年7月29日, 8月5日, 10日 ザルツブルク祝祭大劇場(オーストリア)

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

ヴァネッサ・ベネッリ・モーゼルの [R]EVOLUTION~近現代ピアノ作品集を聴く, ポリーニと比べて…

イタリア人ピアニスト、モーゼル (Vanessa Benelli Mosell, b. 1987) は若き技巧派として台頭しましたね。これは彼女が現代音楽系の作曲者を取り上げたので購入していたものです。

シュトックハウゼンのピアノ曲はどうでもとりあえず良いとして、注目はカロル・ベッファ(Karol Beffa, 1973/10/27 - )ですね。パリ生まれのポーランド系フランス人で、14才にしてパリ国立高等音楽(CNSM)に習い 数々の受賞経験を持ちます。楽風は二極性があり、瞑想的で詩情的な面とパワー溢れる激情性ですね。

[R]evolution / Vanessa Benelli Mosell

8 Klavierstück(1952-55年) / Karlheinz Stockhausen
 シュトックハウゼンの初期作品ですね。I-IVまでが1952年に作られ、その後1954-55年にXまでが作られました。群作法やフィボナッチ数列、ホケトゥス等の技法が用いられている難曲です。トータル・セリエリズムの曲ですから、読譜の困難さは予測されますね。
曲はその時代の現代音楽ですから 点描・パルス的で打鍵強弱や間の取り方で表情を出す楽風になります。余韻や間は厳しく記されて自由度の少ない古い表情の現代音楽から、ヴァネッサ・モーゼルが"らしさ"を引き出すと言うのは難しいでしょう。シュトックハウゼンの楽曲は、自由度を許しませんし…

Suite pour Piano ou Clavecin(2008年) / Karol Beffa
 聴きたかったのは、もちろんシュトックハウゼンより ベッファですね。いかにもフランス系らしい印象主義っぽい一楽章、そして色合いを暗く変化させ不協和音を織り交ぜる二楽章、跳ねる様な技巧的楽曲に変化する第三楽章。でもこれでは単にラヴェルかドビュッシーの延長線上?!
モーゼルのpfは硬質で強音での角ばった表現が印象的です。個人的には、その中に曲の陰影がより引立つ様なスマートな柔らかさが欲しい気がしますね。

Trois Mouvements de Petrouchka (1914年) / Igor Stravinsky
 ルービンシュタインに献呈された人気ピアノ曲「ペトルーシュカからの3楽章」ですね。ポリーニ盤等でお馴染みの超絶技巧ピアノ曲で、ピアニストの見せ場用楽曲でしょう。
モーゼルのpfは技巧パートでの"聴かせ方"を含めて生き生きさがありません、クールと言う訳でもなく、無表情な音並びに聴こえますね。この曲は所謂(いわゆる)ヴィルトゥオーゾのための曲ですから、もっとブイブイ言わせて これ見よがし にワクワクと楽しませて欲しいですよね。
・・・・・
シュトックハウゼンと彼女のツーショットがあるとしても(笑) 選曲バランスのミスを感じますし、超絶技巧ピアニストと言う感も伝わりません。何がポイントなのか駄耳な自分では良くわからず、ちょっと残念な感じです。


ポリーニ の「ペトルーシュカからの3楽章」
 どうせなら、ポリーニ盤を聴いておきましょう。
リズムの変化、打鍵の強さ、個々の音立ちの良さ、揺さぶり、強烈にヴィルトゥオーゾさを見せてくれます。完全に手の内にして、弄ぶかの様な自在ささえ感じさせてくれますね。(それがポリーニの臭いところですが…)
これがクドいと思う方はクールなヴィルトゥオーソ、アムラン信奉者でしょう。でもアムランは弾かないそうですね。聴いてみたい気はしますが…

Pétrouchka / Maurizio Pollini



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

2016年4月12日 ロト / 都響 の ストラヴィンスキー「ペトルーシュカ」と「火の鳥」at 東京文化会館 ★★☆


春の桜の騒ぎも一段落の上野まで行って来ました。東京文化会館は昨年7月の二期会「魔笛」以来、久しぶりですね。

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フランソワ=グザヴィエ・ロト(François-Xavier Roth)も、昨年7月の読響とのコンサート以来です。
ロトは現代音楽にも明るく、2014年のドナウエッシンゲン音楽祭ではグランドピアノを破壊するサイモン・スティーン・アンダーセンのピアノ協奏曲を振っていますね。
今回の都響初登壇はBシリーズのベートーベンが持ちチケットでしたが、ここはストラヴィンスキーのバレエ曲を選択し振替えました。特に「火の鳥」は好きな楽曲の一つです。
ロトは前回の読響での印象が、メリハリが薄く感じ今ひとつでした。でも都響とのストラヴィンスキーでは、見事 印象を覆してくれましたね。

◆ バレエ音楽「ペトルーシュカ (1911年版)」
 4場構成ですが、場の移行は太鼓の音でわかるので助かりますね。その音が大きく驚きましたが。
『第1場:謝肉祭の市』は有名な主題から「ロシアの踊り」まで、微妙なアゴーギクが生かされて煌びやかな流れが作られましたね。メリハリもあり、引き込まれる演奏でした。
短い『第2場:ペトルーシュカの部屋』でもその流れは保たれて、鬱なペトルーシュカのイメージを振りほどく様なコントラストのある演奏でした。
『第3場:ムーア人の部屋』は色濃い入りから、ペトルーシュカが振られた踊り子とのワルツへと、ここでも表情豊かな展開。
『第4場:謝肉祭の夕暮れ』では前半の市場の通りの色鮮やかさが再現されて、「馭者と馬丁の踊り」では迫力ある音も聴かせてくれました。

アゴーギクとリズム感のロトの指揮と、都響のまとまりの良いシャープな演奏で、間違いなく好演だったでしょう。ただバレエ音楽と言うより演奏会パターンで、2場の鬱や3場のグロテスさが薄まり、一考の余地を残した気もします。

◆ バレエ音楽「火の鳥 (1910年版)」
 近年のコンサートでは、昨年のサロネン/フィルハーモニア管、'12年のインバル/都響 が良い印象ですね。この大編成ではバンダが入りますが、今回は途中からステージに入って来るパターンでした。

ここでは一転して、バレエのシーンが浮かぶ展開でした。
『火の鳥とイワン王子のシーン』では、押さえの効いた流れで まさにこのバレエ曲前半の展開。コンサートでは、ともすると長く単調に感じる『火の鳥の嘆願』は美しさが素晴らしく、『王女達のシーン』のロンドでも美しい流れは際立ちました。
後半は、見せ場『カスチェイと怪物、そして火の鳥のシーン』で約束どおりの迫力で演奏し、『火の鳥の子守唄』も見事にチェンジペースを見せてくれました。
『大団円』は霧が晴れる様に進み、最後はトゥッティの大迫力です。もちろん大喝采、ブラボーです。

前半は静的な中に美しさ、後半は豪快さと切れ味、バレエ曲として完成度の高い火の鳥DVDで何回も観たバレエのシーンがラップしましたね。演奏の充実感も見事でした。
大拍手を受けて指揮者がメンバーに起立をそくしてもオケは起立せずにコンマスがロト自身に拍手を受ける様に促したり、終演後のメンバー間での握手はオケも満足の表れでしょう。


・・・・・
聴きやすい演奏会的なペトルーシュカに対し、バレエ曲として見事な出来だった火の鳥。個人的にはロトの火の鳥の素晴らしさに★★★です。
それにしても都響の演奏は切れ味もあり見事でした。


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

津軽蔵人 純米酒 を飲む

東京は桜も終わり春本番から初夏へ迎う時期になりましたね。

sake-tsugaru_kuraudo.jpg今回は桜で有名な弘前のカネタ玉田酒造さんの純米醸造酒を 同酒造の純米吟醸"斬"と飲み比べてみます。
純米醸造と純米吟醸、食中酒としてガッツリとお寿司で楽しんでみました。"斬"は今まで何回も登場しているので比較ブランクですね。


津軽蔵人 純米醸造
 青森県 弘前市 カネタ玉田酒造
 sake-tsugaru_kuraudo02.jpg
常温で飲むと、"斬"に比べて辛口でどっしり感があります。冷やすと重さはやや軽減されますが、基本はかわりませんね。料理よりも、ややお酒が勝つ感じでしょう。本質 酒好きのお酒ですね。

酒米は昔からの青森の二品種で、高精米はあまり出来ないタイプ。"斬"は花吹雪の改良米の華想いを高精米して吟醸としているので、その違いと良さがしっかり出ている感じです。それでも個人的には燗酒はもったいない感じがしますが…

SakeFrom-ShuhoKakuiNarutoyo.jpg酒舗カクイ成豊さんから送ってもらうと、この気遣いが嬉しいですね。丁寧に保護された上で、こんな感じでスペースにはリンゴが詰められていました。

地元の皆さんが食べる見た目B級のリンゴですが、歯ごたえ・味ともに美味しかったですね。^^v


テーマ : 日本酒
ジャンル : グルメ

プロフィール

kokotonPAPA

Author:kokotonPAPA


ものずき、おっさん じいさん、わがままきまま、すきほうだい、しななきゃなおらない.

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1.このblogで言う現代音楽

2.マーラー交響曲第5番 160CD
 (名盤・珍盤 聴き比べ)

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