マイケル・ゴードン Michael Gordon の Timber を聴く

米現代音楽組織?! Bang On A Can(以下BOAC) の創設メンバー、マイケル・ゴードン(Michael Gordon, 1956/7/20 - ) は大好きな現代音楽家の一人です。以前から紹介済みですのでBOACのメンバーとの関係等々は割愛です。

Timber は以前紹介したオーケストレーション作品のDystopia(2007年)の後、パーカッションに寄る作品をイメージして2009年に手掛け始めたそうです。

世界初演は2011年6月16日にオランダのデン・ハーグで行われています。演奏はこのアルバムと同じドイツのパーカッション・グループ Slagwerk Den Haag(The Hague Percussion) です。
その後 N.Y. の Mantra Percussion が米国初演を果たし絶賛を受けていますね。
M.ゴードンによれば、楽曲の印象は砂漠をイメージしたそうで、6つの楽器で構成されシームレスに一体化して強弱、上昇下降の流れを作るとの事。

全曲パーカッション曲で、木製シマントラ(Wooden Simantra)と呼ばれる打楽器、クセナキスにより採用された、を6台使っていますね。一つの木片とマレットをつかう木製電子打楽器で、楽曲構想完成後にこの楽器をアムステルダムで Fedor Teunisse により紹介・採用されました。
それで表題が Timber となっているわけですね。

Timber (2011年) Part I-V
5パートからなりますが区切れ目はなく全体として一曲です。シマントラの音は響きのないシロフォンで、それに電子処理音がドローンで入ります。シマントラの乾いた打音が流れる様に細かい連打音を刻み、その中に時にリズムを作り、時に強弱を表し、時に緩やかな上昇下降音階を作ります。後半はやや連打数が減り、その分少し刺激を感じますね。
6人による連打音は、リゲティ(György Ligeti)の "100のメトロノーム(100 metronomes)" の印象に近いです。前半、そして特にPart IIIからIVでは細かいザーッと言う速い連打から同じ様に連打数が減ります。それに表情を付けたというとわかってもらえるかもしれません。
 試しにYouTubeで観てみる?
  Slagwerk Den Haag によるダイジェスト版です!!
 楽器の説明もYouTubeで観てみる?  by Mantra Percussion's members
  シマントラの詳細もとても良くわかりますよ。

全体としては抑揚は押さえられ、約一時間 単一楽器多打音に終始する「陶酔・瞑想・浮遊・麻痺」 感覚に浸るパーカッション音世界です。(ある意味、読経に近いかも)
とても興味深く、ぜひ小ホールのコンサートで観てみたいですねっ!!


ケースが木製で、縦方向に90°開きます。BOAC公式サイトによると普通のCDケースより1inch厚く、1pond重いそうです。
MichaelGordon-Timber-SlagwerkDenHaag.jpg
不用意に開かない様に小さなマグネットでしっかり閉じますね。ちゃんと木の香りがします。Timberは"木材・樹木"と言う意味ですから、楽器TimberならケースもTimber!! そして、6つのシマントラが円状に配置されたデザインですね。

とにかく やっと聴きました。Bang On A Can All-Stars の最新作 Field Recordings も買ったまま聴いてませんし…時間が足りないですw


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

ミラノ・スカラ座2015/16シーズン開幕公演 歌劇『ジャンヌ・ダルク(ジョヴァンナ・ダルコ)』を NHKプレミアムシアターで観る

昨年12月のスカラ座、今シーズンの開幕公演ヴェルディのオペラ「ジャンヌ・ダルク」ですね。初演(1845年)も同じミラノ・スカラ座で、なんとそれ以来二度目の公演だそうです。
これがTVで楽しめるのですから素晴らしい時代になりました。^^v
配役もメーリ、ネトレプコと揃い、シャイーの指揮と豪華版です。メーリとネトレプコの配役は2013年ザルツブルクと同じですね。

ジャンヌ・ダルクと言われると一瞬??、やっぱりイタリア語の「ジョヴァンナ・ダルコ」でしょう。歌詞でもジャンヌではなく、ジョヴァンアと歌いますからね。
最後は火刑台ではなく、戦死により悪魔の葛藤から救済されるというオペラらしい結末になりますね。
ミラノ・スカラ座2015/16シーズン開幕公演 ジャンヌ・ダルク

演出のライザーは、死を前にした少女が自分をダルクに思い込む幻想として表現しています。本編の前後をこの手のストーリーに改変?!してしまう最近よく見られる手法ですね。ただダルク戦死の報を受ける時に少女役も兼ねるネトレプコがいるのは不自然な感じ、そしてそのまま瀕死のダルク役に入るのは違和感を否めませんが。

舞台と衣装、時代背景は特異性のない感じでした。舞台背景上部に各シーンの映像がプロジェクション・マッピングで映し出されるのですが、今らしく違和感はありません。もう少し変化のある、アヴァンギャルド性でもいいのですが、演出の方が個人的には好みです。全身金ピカのカルロ7世は少女の夢という設定の為らしいですが、これが唯一変わった感じ?!

出演者では、カルロ役のメーリが声の張りも姿も良かったですね。主役は誰が見てもジョヴァンナのネトレプコですが、例によって今やデ○デ○の体つきは個人的には盛り下がりネタwです。でも一時よりも少し痩せました?!? 声はmezからsopまで見事に聴かせてくれます。ジャコモのチェッコーニは声の印象が薄いです。

演奏はシャイー得意のメリハリと美しさの締まりよさで舞台を引き立てましたね。

全体としてみると、ストーリー展開自体があまりに突飛唐突で、かつ それほど面白さも感じさせてくれません。昔の魔女裁判の悪印象さえ感じちゃいます。ただエンディングは素晴らしかったです。

<出演> [ ]内は今回NHKでの呼び方です
 ジョヴァンナ[ジャンヌ](ジャックの娘): アンナ・ネトレプコ
 カルロ[シャルル]七世(フランス王): フランチェスコ・メーリ
 ジャコモ[ジャック](ドンレミ村の羊飼い): デヴィッド・チェッコーニ
 タルボ[トールボット](イングランド最高司令官): ドミートリ・ベロセルスキー
 デリル[ラ・イル](フランス王付きの将校): ミケーレ・マウロ

<合 唱> ミラノ・スカラ座合唱団
<合唱指揮> ブルーノ・カゾーニ
<管弦楽> ミラノ・スカラ座管弦楽団
<指 揮> リッカルド・シャイー

<美 術> クリスチャン・フヌイヤ
<衣 装> アゴスティーノ・カヴァルカ
<照 明> クリストフ・フォレ
<振 付> リア・ハウスマン
<演 出> モーシュ・ライザー


収録: 2015年12月7日 ミラノ・スカラ座 (イタリア)

P.S.
それよりも興味深かったのはその後のシャイーとゲヴァントハウス管のマーラー交響曲第5番のリハーサル風景。何と言ってもマーラー5番ファンですから ヾ^^;
http:// マーラー交響曲第5番 140CD の聴き比べ
放送に入った断片パートで言うと、第一楽章の入りのtpの音色の素晴らしさ、葬送行進曲は美しく。シャイーの指示で第一トリオは葬送を振り払う様にタッ・ターン、と。第三楽章の第二主題ではレントラー風の流れが美しく流れ、最終楽章のラストは美しいアッチェレランドで締める。これだけでも素晴らしさが観られました。指示内容がわかって楽しいですね。
2014年の3月に、このシャイー/ ゲヴァントハウス管のマーラー交響曲第7番をサントリーホールで観て素晴らしさはわかっていますが、やっぱり第5番を観たい!!と思いましたね。
(実は2013年のDVDは持っているのですが、発売時に購入したまま観ていないんですw)


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

2016年1月27日 ダウスゴー・新日本フィル / マーラー 交響曲第5番 at サントリーホール ★★★

一気に冬らしい寒さがやってきましたが、今日は寒さが緩みましたね。六本木一丁目ポカポカ陽気?!に感じました、って言うと大げさですが手袋は不要でしたねw
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マーラーの交響曲第5番は個人的なコンサート ターゲット曲、指揮者やオケの個性を楽しむ為に出かけています。今回のポイントはトーマス・ダウスゴー(Thomas Dausgaard)が、この曲の録音を残していないと言う事ですね*。デンマークを代表する人気指揮者、個人的にもファンです、のタクトがどう振られるのか とても楽しみなコンサートでした。
(この曲のCD聴き比べ140枚は以下です)
http:// マーラーの交響曲第5番 聴き比べ 140CDs
*Kaplan Foundation MAHLER DISCOGRAPHY による (net版による非正規盤確認も含め)

◇ マーラー / 交響曲第5番
情熱の伝わる演奏が、管楽器の弱さを補える素晴らしさでした。
第一楽章の出だしの強音パートでこれはきっと素晴らしいだろうと感じましたね。重厚さを抑えた葬送行進曲は美しささえ感じさせて、表情を転換する強烈な第二主題(第一トリオ)に繋げます。
白眉だった第二楽章。マーラーの指示通り、迸る猛々しさが見事‼︎ この楽章と最終楽章のフィニッシュが良かったですね。
でも第三楽章スケルツォではオケの金管楽器が馬脚を現し、不安定で締まりに欠ける音を出してしまいました。
第四楽章アダージェットでも弦楽群は甘美さを避けたクールな演奏でしたがハープが強く、静音の美しい弦五部の音色を殺してしまいました。
最終楽章は徐々に上げて、というよりも初めから切れ味良く走り半ばの山場は抑えめにコーダへ向かいます。後半の山場を荒々しく盛り上げ、駆け上がる様にフィニッシュへ。アッチェレランドをビシッと決めて大喝采です。
ここには、コンサートならではの情熱を実感させてくれる物がありました。マーラーの5番はそれなりに聴いているので好みがはっきりして難しくなってしまいます。でも、ダウスゴーは見事期待に応えてくれましたね。
NJPの管の弱さは目を瞑りましょうw

前半のモーツァルトにも一言触れておきましょう。今日1/27は生誕260年の記念日だそうですから。
◇ モーツァルト / 交響曲第35番 『ハフナー』
こういう機会以外で聴く事のないモーツァルト。この曲を聴いたのは過去の事で N.マリナー盤のカチッとしたイメージです。本来ピリオドじゃないの??などと言った事も今や昔、残念ながら興味の範疇ではありません…
第一・四楽章でやや早いテンポで流麗に、そして現代的な色合いを見せてくれました。特に第一楽章でそのダウスゴーらしさを感じられて良かったですね。

新年からNJPを続けて観たのですが、やや疑問を感じてしまいました。個人的な好みの問題かもしれませんし、自分の駄耳のせいかもしれませんが…
とは言え、今年は S.カンブルラン/読響 と A.ギルバート/都響 のマーラー5番もあって、期待値が増したかも。そんな事を考えて南北線から新宿線へ乗り換えて帰宅しました。

もう一つ目を瞑らないといけない事が。最前列でのひどい酔っ払いはやめてほしいです。


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

フィリップ・マヌリ Manoury の La Partition du Ciel et de l Enfer - Jupiter を聴く

フランス人現代音楽家 フィリップ・マヌリ (Philippe Manoury, 1952/6/19 - ) はパリで国立高等音楽院・他で学び、その後IRCAMへの参加や米UCSDで作曲と電子音楽の教鞭をとっています。現在は仏ストラスブール在住です。
欧エクスペリメンタリズムの源流であるブーレーズ、シュトックハウゼン、クセナキス、そして米画家ジャクソン・ポロックの影響が強いと言われています。従って初期はセリエルの点描的音楽(Punctualism)です。
その後は電子音楽を学び、電子音楽系現代音楽を代表する一人ですね。

このアルバムは、Philippe Manoury の代表作の一枚と言っていいでしょう。

指揮:Pierre Boulez(ピエール・ブーレーズ)合掌
演奏はその両腕?とも言える両雄になります。

演奏:Ensemble intercontemporain(アンサンブル・アンテルコンタンポラン)
エレクトロニクス:IRCAM(Institut de Recherche et Coordination Acoustique)

一つの時代を作った布陣ですね。

La Partition du ciel and de l’enfer, Op.19 (1989年) for flute, 2 pianos, ensemble and electronics
  Hidéki Nagano, Dimitri Vassilakis (pf)
  Ensemble intercontemporain
  IRCAM : Studio électroacoustique
  Conducted by Pierre Boulez

神秘的な音です。点描的な音列配置の後の作品で、もちろんノイズ系ではありません。フルートとピアノは緊張感と色添えをしますが、殊更に意識する必要はないでしょう。室内楽のポリフォニー&クラスターで、即興風なカオスも表しますが 主体は電子音も含めた響きでしょうね。まさにIRCAMの音響空間世界です。個人的にはこちらの方が好きですね。

Jupiter, Op.15a (1987, revised 1992年) for flute and live electronics
  Sophie Cherrier(fl)
  IRCAM : Studio électroacoustique, Divan
  Conducted by Pierre Boulez

ライヴ・エレクトロニクスがどのように使われていつのか不明ですが、フルートソロの背後に電子処理された音響が響き横たわる13の小曲からなる楽曲です。フルートは特殊奏法を駆使する訳ではなく、機能和声に近い音です。もちろん超絶技巧系でもありません。
エレクトロニクス音も攻撃的な素振りは無く、反響的な背景音に徹している感じです。全体としては、ここでも神秘的なフルートの音色に電子音の空間音響の色添えといった風ですね。
 
欧前衛現代音楽の保守本流?! 今に続く20世紀後半の空間音響系現代音楽が楽しめますね。

テーマ : クラシック
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2016年1月16日 ハーディング・新日フィル / ブリテン 戦争レクイエム at すみだトリフォニーホール ★☆

温かい冬の東京。今日は山手線の東側、錦糸町まで初コンサートに行って来ました。冬晴れの穏やかな日で、歩いたら汗をかきました。
錦糸町の駅からすみだトリフォニーホールへ歩く途中、東京スカイツリーが良く見えます。青空に映えていますね。
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この曲はブリテン本人が指揮してブリテン本人が選んだ歌い手で録音されたDECCA(LONDON)盤が普通は基準ですよね。とりあえず事前に日本語対訳を見ながら三回ほど聴き直しました。この曲に知識がある訳ではないので、後は素直に聴くだけです、得意ではない宗教曲ですがw さて、久しぶりに見るハーディング(Daniel Harding)はどうだったでしょうか。

ステージは後方に合唱団、右翼にアンサンブル パートが陣取る大編成密集配置。ソプラノは上段パイプオルガンの横という面白い配置でした。

まずは素晴らしかった事。演奏ではありませんが、フィニッシュでハーディングの手が下がるまで30秒以上 会場が静止した事でしょう。他のホールだったら必ずフライングがあるでしょうね。

ハーディングはトゥッティの様な強音パートを明確にした大枠でコントラストの強い解釈でした。これだと殆どのパートの表情が薄く感じられてしまいますね。
ソロの3人は、ソプラノのアルビナ・シャギムラトヴァ、テノールのイアン・ボストリッジ、バリトンのアウドゥン・イヴェルセンですが、テノールに今ひとつ切れ味が感じられませんでした。
新日本フィルハーモニー交響楽団は、アンサンブルは良かったですが、管楽器 例えばtbはミュートで怪しげだったり、強音パートではこの曲にはそぐわない荒れた感じも少々気になりました。

大編成の音楽を生で味わえたのは楽しかったですが、ハーディングらしからぬ大味風味に感じましたね。良くも感じられなければ、悪くもないと言った感じ。結局のところ、やっぱり宗教曲は難しいと再確認(再々々・・・?!)しました。それについてはいつも書いている事ですが。
インプレしづらいですねw

コンサートは夕方 日のある内に終わりました。地下鉄錦糸町駅まで歩きましたが、1月中旬とは思えない陽気でマフラーをして来なくて良かった なんて思っちゃいました。^^ゞ

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

コパチンスカヤ | サイ, Kopatchinskaja | Say を聴く

この処でコパチンスカヤを二枚ほど聴いたわけですが、再度聴くべくこれを購入してみました。メイン・ターゲットはクロイツェル・ソナタになりますね。聴き覚えの強い曲ほど個性と良さ(好み)はわかります。まずは聴いてみましょう。

コパンチンスカヤ(Patricia Kopatchinskaja)のvnに、サイ(Fazıl Say)のpf のセットですね。

□ Ludwig van Beethoven / Violin Sonata No. 9, Op.47 “Kreutzer” (1803年)
近年のコンサートでは樫本大進の良さと、イブラギモヴァでの残念さが記憶にありますね。
切れ味とディナーミクの強いコパチンスカヤに力強いサイで、出し入れの強さがこの曲にマッチしてはいますね。でも思いの外vnの音色は繊細さが同居しています。太くて暖色系の音色でドライヴする方がこの曲は好みで、樫本大進の生はそんな印象でした。コパチンスカヤはシャープで冷徹な音色を感じます。第三楽章で欲しい豪快さが少々弱く感じました。
荒々しさも見せるクロイツェルですが、重厚さと言うよりも繊細さと切れ味ですね。

□ Maurice Ravel / Violin Sonata (1927年)
クロイツェルを聴いた印象では、この曲の方が合うと思いましたね。音色的には将に幽玄な印象派的なイメージにぴったりです。ただ、サイのpfの微妙な揺さぶりが気になります。そこがこの曲のポイントかもしれませんが…
コンサート受けの第三楽章超絶パートは見事ですが、それ以外は殊更の事は感じられません。

□ Béla Bartók / Romanian Folk Dances (1915年, transcribed by Zoltán Székely)
いきなりの太い音色で入ったので驚きました。民族音楽イメージの強いこの曲を多彩な音色と豊かな表情で演奏しています。この曲が一番楽しませてくれますね。

□ Fazıl Say / Violin Sonata, Op.7 (1996年)
現代音楽家としては個人的印象の薄いファジル・サイ(Fazıl Say, 1970/1/14 - ) です。
全音音階フランス印象派の様な楽曲や何処か民族音楽を感じたり、単に超絶技巧で走ったりと掴みどころの無い五楽章です。曲と同じく演奏も情感であったりキレキレだったりと同様に感じられます。

2007年録音と今から9年前になりますが、印象は残りません。もっと突飛な世界観なのかと思いましたが、これを聴く限りでは興味はそそられません。
前回聴いた 2012年の「Bartók / Eötvös / Ligeti のヴァイオリン協奏曲集」の方が面白かったかもしれませんね。普通は若い時ほど尖っている気がするのですが…不思議です。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

ボーズヴィーク Øystein Baadsvik のチューバで聴く Prelude, Fnugg & Riffs


ノルウェーのチューバ奏者、ヴィルトゥオーゾのオイスタイン・ボーズヴィーク(Oystein Baadsvik) をフューチャーしたアルバムです。
現代音楽は管楽器のコンチェルトが実に合いますね。今回のアルバムの指揮者、リンドベルイ(Christian Lindberg)もトロンボーンのヴィルトゥオーゾにして現代音楽作曲家、大ファンです。^^v

リンドベルイはトロンボーニスト、楽曲、指揮の他 来日公演でも紹介しています。もちろんボーズヴィークもカレヴィ・アホ(Kalevi Aho)のチューバ協奏曲で以前紹介していますね。
http:// カレヴィ・アホ / チューバ協奏曲

でも、このアルバムに関して言うとちょっと期待外れかもしれません。(汗)

Prelude, Fugue and Riffs (1949年) / Leonard Bernstein for solo clarinet and jazz ensemble
コープランドの影響が強い ウッディー・ハーマンのバンドに書かれたバーンスタインのクラリネット協奏曲で、後にベニー・グッドマンに献呈されているそうです。このアルバムでのクラリネットはAnita Bohlinになります。もちろんジャジーでジャイブな楽しい楽曲ですが、それ以上でもありませんね。

Fnugg Blue (2003年) / Oystein Baadsvik, Svein Henrik Giske for tuba and wind orchestra
ボーズヴィークの本人の曲で、チューバ奏法 "Lip Beat" を駆使したソロ曲をスヴェイン・ヘンリク・ギスケ(Svein Henrik Giske)の協力の元 協奏曲にされました。
震える様なvoiceの様なチューバの特殊奏法からは中近東の和声の様な音が流れます。前半はそんなソロ、中盤以降は協奏曲となりますが楽しいリズムと旋律 そしてチューバは特殊奏法は健在です。シンセサイザーも使われている様ですが、聴き分けられません。手拍子を打ちたくなる様な お祭り気分の楽曲ですね。このアルバム随一(唯一?)の楽しさです。
 ★試しにYouTubeで観てみる?
  特殊奏法も楽しく、実際に手拍子が沸きます! ライヴ向きで楽しさいっぱい!!


Tuba Concerto (1996年) / Boris Diev for tuba and wind orchestra
ロシアの作曲家ボリス・ディエフによりボーズヴィークに献呈された曲です。不協和音的で調性は薄いですが、パルスでもポリフォニーでもないので聴き易いです。主題らしき旋律も存在してチューバを元に変奏やフーガ的に展開されます。コーダからフィニッシュは機能和声回帰で、どうも良くわからない楽曲です。

A Quick Blast (2000年) / Mark Anthony Turnage, arr. Anders Hogstedt for wind, brass and percussion
イギリスの現代音楽家マーク・アンソニー・タネジがBBC SOの委託により作った"Etudes and Elegies"の一楽章だそうです。小刻みな音が管楽器により刻まれますが、基本的に調性音楽の範疇の感が強いポリフォニーです。実際には無調でしょうが、全体的にフラットで個人的には面白さが伝わりませんでしたね。

Trolltuba / Fredrik Hogberg for tuba and wind orchestra
スウェーデンの現代音楽家フレドリク・ホーグベリ(Fredrik Hogberg)がノルウェーの童話"Three Billy Goats Gruff"を元に書いた曲です。
童話らしい明るくコメディな気配も入る楽曲で、全篇童話の語りが入ります。デズニーのサウンドトラックみたいと言ったらわかってもらえるかもしれません。

Metallephonic Remix / Daniel Nelson, arr. Anders Hogstedt for tuba and wind ensemble
スウェーデン在住のダニエル・ネルソン(Daniel Nelson)がボーズヴィークの為に書き、初演された作品です。これも調性音楽で曲調の変化が大きい小曲を7つ並べています。一言でいうなら映画音楽ですね。それで?!、って言う感じです。

演奏は、Christian Lindberg指揮 Swedish Wind Ensemble になります。

ボーズヴィークの超絶テクが出るわけでもなく、中途半端感満載な楽曲並びに感じます。何を意図してこのアルバムを作ったのかよくわかりません… 自分の感性不足を感じますねぇ。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

アルディッティ・カルテット Arditti Quartet の Pandora's Box を聴く


アーヴィン・アルディッティ(Irvine Arditti)率いるストリング・カルテット、1974年創設!のArditti Quartetです。

今や創設メンバーは本人一人となりましたが、欧州現代音楽の弦楽四重奏曲と言えばまず浮かびますね。説明の必要もないでしょう。

Arditti Quartetの新しいアルバムは英国人音楽家の近年の作品を中心に集めた物になります。
なぜか最後にジョン・ゾーンが入っていますがw
Fletch / Rebecca Saunders (2012年)
 レベッカ・サンダース(Rebecca Saunders, 1967/12/19 - ) は英国現代音楽家で、ヴォルフガング・リームにも師事しています。現在はベルリンで活躍中です。
グリッサンドのノイズ系です。即興的で先鋭な弦音の背後にもグリッサンドの渦が配されます。顔の周りを蚊が飛んでいると言ったら近いでしょうかw 楽譜や技法的に何かやっているのかもしれませんが、曲自体に目新しさは感じられませんね。
 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  始めにインタビューが入っています


String Quartet No.2 / Benedict Mason (1993年)
 英国現代音楽家 ベネディクト・メイソン(Benedict Mason, 1954/2/23 - ) はMauricio Kagel の類似傾向からポリフォニーへと作風が変わり、今ではインスタレーション系(installation art)も見据えていて興味深いですね。その意味でも この曲だけ古いのがとっても残念です。
6楽章の弦楽四重奏曲です。楽章毎に奏法変化させていますが、基本はポリフォニーで極端な前衛系ではありません。無調ですから機能和声の心地良さとは行かないものの、繊細で美しい音色を奏でてくれる感じです。まさに現代の弦楽四重奏曲ですね。

Wonderful Four-Headed Nightingale / Luke Bedford (2013年)
 ベルリン在住の英国現代音楽家 ルーク・ベッドフォード(Luke Bedford, 1978/4/25 - ) は 37歳と、とにかくバリバリの若手?!です。
変わった題名に目がいきますが、イギリス民謡の様な和声を感じる聴き易さがありますし、一部にミニマル感もあります。微妙な音のズレは微分音を多用しているのでしょうか。不安定な音の中に、独特の和声が存在する古くて新しい気配が良いですね。実はvn, vc による ...Two-Headed... もありますw

Pandora's Box / John Zorn (2013年)
 日本でもお馴染みの ジョン・ゾーン(John Zorn, 1953/9/2- ) です。米国出身ですが、現代音楽家?じゃないでしょうねぇ。サックス奏者の顔を持つマルチタレント音楽家かな??
いたって普通の無調の弦楽四重奏なのですが、ソプラノ(Sarah Maria Sun)が入る事で生き生きとして来ますね。sopはシュプレッヒゲサングの傾向が感じられ表情豊かです。歌詞はゾーンによるドイツ語になり、英訳を見ると散文と言うよりも単語の羅列になります。嵐やフクロウ、闇からの光、と言った "それっぽい言葉"の並びになります。

現代音楽と言うからには やっぱり21世紀、出来れば近年の作品を聴きたいものです。そういった意味でも聴く価値がありますね。

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ジャンル : 音楽

ザド・ムルタカ Moultaka の Où en est la nuit を聴く

レバノン生まれの現代音楽家ザド・ムルタカ(Zad Moultaka, 1967/6/4 - ) はベイルート国立音楽学校の後 パリ国立高等音楽院(CNSMP)でアルド・チッコリーニらに習い、現在はベイルートやパリ、マルセイユ等で活躍中です。

ムルタカは西洋現代音楽をベースにアラブの民族音楽との融合を進めて来たそうです。興味深いのはアンサンブルや合唱といった形式の他にも、電子音響をベースに現代美術に近い sound installations も範疇に入れている事でしょう。(もちろんIRCAMとの関係も持っています)
今の現代音楽の流れで電子音響のインスタレーション系(勝手に呼んでいるだけで正式には不明ですw)の統合的な芸術方向は一つの大きな潮流であり楽しい限りです。残念ながら音だけでは意味をなさない可能性が大きいですが。

このアルバムではアンサンブルの音楽が並びます。


Où en est la nuit (2013) pour ensemble
 打楽器や特殊奏法を用いた空間音響系の音楽です。今やフランスに限らない訳ですが、やっぱりこの手の楽曲はIRCAM等のベースがあるフランスらしいと感じるのは私だけではないでしょう。クラスターの様な音密度の高さではなく、静的な中の個別の音の響きが主役です。低く連打される太鼓の響きなど、ちょっとブーレーズを思わせますね。(ブーレーズ逝去前に聴いた感想です)

Fanàriki (2004) concerto pour cymbalum & ensemble
 7つの小曲からなる、Alexandru Sura(cymbalum: ツィンバロム*)をフィーチャーしたツィンバロム協奏曲です。ツィンバロムとは琴の様なスティック使用のイスラム圏の打弦楽器です。空間音響音楽ですが、語りの様な声楽が入ります。詩は散文的で尖った内容です。
構成的には響きだけでなく、中近東音楽を折り込みながら民族音楽和声を浮き立たせた感じです。音数も増えていて時折ディナーミクが大きく振られるパートが出て来ますね。他に二曲に比べると少し古い作品になります。
 *ハンガリーの民族楽器ツィンバロン(cimbalom)との違いはよくわかりません(汗) チェンバロ→ピアノの元とも言われているようですが

Hanbleceya (2012) concerto pour guitare & ensemble
 ギター協奏曲でギターはPablo Màrquezです。ギターの単音にアンサンブルが同期する様に響かせる音楽ですね。細かく刻んだ音を小さく背後に置く手法はムルタカの特徴の様です。共鳴を主体とした空間音響系音楽ですね。どの程度の倍音なのか不明ですがスペクトル楽派と言っても間違いではない様な響きです。強音パートが多くなりクラスター的です。

演奏は ロレーヌ・ヴァイアンクールLorraine Vaillancourt指揮、Nouvel Ensemble Moderne で他にもムルタカの楽曲を演奏している様です。

三曲共に同傾向ですが、顔つきが異なります。今の時代の前衛現代音楽で、楽しい一枚ですね。お勧めです。


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ジャンル : 音楽

R.I.P. Pierre Boulez / ピエール・ブーレーズ氏、逝去… 新年早々に悲報が T_T


たった今訃報を知りました。5日,逝去されました。
個人的に最も思い入れある前衛現代音楽家でした。
指揮者としての方が日本では著名でしたでしょう。
でも、何と言ってもブーレーズの音楽は素晴らしい
響きを持っていました。
現代音楽の市場を仕切ると言ったあまり良くない
評判もあるにせよ、IRCAMを始めとする今の時代
の現代音学を創世した一人に違いないでしょう。

P.S.
このBlogではブーレーズ作品の紹介がありません。
全体像を見てこそと思っているので簡単にはアップ
できないと、いつも思ってしまいます。
それを味わえるアルバムが数年前に発売になって
います。これは年代順に作品を並べてあります。
曲ごとに言えばより素晴らしい演奏がありますが、
とても見晴らしよく全体像を味わえます。

    Pierre Boulez - Complete Works
     ピエール・ブーレーズ 逝去

落ち着いたらまたじっくりと聴く事にしましょう。
ご逝去にあたり、心よりご冥福をお祈り致します。




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.
    




・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。

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