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ヘンリク・グレツキ Górecki の交響曲第一・三番を聴く

ヘンリク・グレツキ(Henryk Mikołaj Gorecki, 1933/12/6 - 2010/11/12) は前回紹介したペンデレツキと同じポーランドの現代音楽家、同年生まれです。印象も似ていて、前衛からカトリック信仰を背景とした機能和声へとの展開イメージです。

初期の前衛時代はセリエルで、ヴェーベルンやメシアンらの音楽との出会いと言われている様です。そして'60〜'70年代の前衛の衰退時期には音列配置から離れて行きます。ペンデレツキの荘厳な宗教色に対して グレツキは美的な宗教色といった感じでしょうか。
スタイルはホーリー・ミニマリズムHoly minimalism。簡単に言ってしまえば全音階(宗教的ドレミファ…)の宗教的ヒーリング、ペルトとペンデレツキの中間くらい、なんて言うとまた怒られるかも。^^;
と言う事で今回はグレツキの前衛時代の交響曲第一番と、代表作であり有名な交響曲第三番を聴いてみましょう。

交響曲第1番『1959』(1959年) Op.14

 弦楽オーケストラと打楽器のための交響曲です。
打楽器パートと弦楽パートが別れては絡む楽曲で、弦楽は音列配置であり打楽器は衝撃音です。クラスター的なこの時代らしい響きを感じる事が出来ます。
作曲年を標題音楽としてつけていますが、聴いた感じで行けば絶対音楽ですね。
弦楽には反復もあり第一楽章は刺激的、第二楽章は緩徐的から刺激的に、第三楽章では瞑想的な空間を感じます。

特徴的ではありませんが、悪くありません、後の空間音響系に通じる物を感じますね。
演奏はRoland Bader指揮Krakow Philharmonic Orchestraになります。
試しにYouTubeで聴いてみる?


交響曲第3番『悲歌のシンフォニー Symphony of Sorrowful Songs (Symfonia pieśni żałosnych)』(1976年) Op.36

 有名な三楽章の歌曲が入る交響曲です。
第一楽章は低音弦楽をベースに響かせる教会音楽風、第二楽章は暗い美しさの緩徐楽章、第三楽章はポーランド民謡からとられているという歌が多く入り表題のイメージを感じます。

個人的には交響曲と言うよりも、やはり宗教曲。と言う事で例によって聴いた印象だけです。

演奏はAntoni Wit指揮、Polish National Radio SO、SopはZofia Kilanowiczになります。





テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





2015年11月29日 オッコ・カム指揮 ラハティ響 / シベリウス交響曲第五・六・七番 at 東京オペラシティー ★☆

今年終盤のコンサートはやっぱりシベリウス生誕150年記念のイベントですね。今日のオッコ・カム指揮フィンランド・ラハティ交響楽団と、今週金曜日(12/4)のオスモ・ヴァンスカ指揮 読響に行く予定です。演目は同じ交響曲第五・六・七番。
と言う訳で今日は近くて楽な初台の東京オペラシティです。
20151129TokyoOperaCity01.jpg 20151129TokyoOperaCity02.jpg

さて事前にシベリウス第五・六・七番の聴き比べをしておきました。ラハティ響のヴァンスカとカム+αです。(比べると個々の演奏の印象は鮮明ですが、単独で聴いたイメージと異なってしまう事もありますよね。そこが比較の懸念ですが)
http:// シベリウス交響曲第五・六・七番聴き比べ / カム、ヴァンスカ, with ラハティ響
細かな表情に主体を当てた緩い流れの構成をどうみるか、透明感のある美しさなのか締まりに欠けるのか、を実際に聴いてみました。

開演時オケは全員揃って登場し、起立でコンマス待ち。ヨーロッパのオケらしいですね。カムは着席して指揮です。

□ 交響曲 第5番 変ホ長調 op.82
 いきなり感じた入りの速さ、そして管楽器の音の乱れ。第二楽章のフラットさは退屈、最終楽章フィニッシュでは音が揃わず...
荒々しくと言うのとは違う弦五部の揃いの悪さ、そして各パートのまとまりのなさ。これがシベリウスで名を馳せたラハティ⁈
いったいどうしたのでしょうって感じです。でもオーディエンスは狂喜の拍手! 結局わかってないのは自分だけ?! 駄耳の証明でしょうかw

□ 交響曲 第6番 ニ短調 Op.104
 休憩を挟んで第六番。個人的にシベリウスらしさを感じる曲ですが、スタートは同じく速くてまとまりのないフラット。確かに演奏は揃って来ましたが、ダメかなぁと思ったら 何と第三楽章から不思議なくらい持ち直しました。驚きです‼︎
最終楽章ラストではこの曲らしい美しい広がりも感じられましたね。

□ 交響曲 第7番ハ長調 Op.105
 シベリウスの交響曲の中では一番好きな七番。叙情性の強いこの曲、CDで感じた「情景的でスケルツォ部では優美に、その後の展開も色彩感豊か…」をディナーミクを強く演奏しました。演奏レベルは大きく変わり、明らかにこれが本当の実力と感じましたね。

とは言え結果は一曲目第五番の乱れの印象が強すぎなのと、いずれにしてもあまり好みのシベリウスではない事に変わりはありませんでした。
アンコールも3曲やってくれましたが、その最後にフィンランディアを持ってきたら違反でしょw 確かに弾ける様なこの曲に見合った素晴らしい演奏で、当然の大受けでした。(これだけなら★★★ w)
こんな事やったら交響曲三曲の印象がかすれますよねぇ。でも これで気持ちは救われましたね。

さて、金曜日のヴァンスカ読響はどうでしょう?! 気になりますね。


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





クシシュトフ・ペンデレツキ(Krzysztof Penderecki) の 交響曲全集『Complete Symphonies』を聴く


今更のクシシュトフ・ペンデレツキ(Krzysztof Penderecki, 1933/11/23 - )ですが、ポーランドの現代音楽ビッグネームですね。

特殊奏法、クラスター、引用、と言った技法をベースに無調作品を作るのですが 時代とともに前衛から離れて行きます。個人的には重厚刺激的な音楽と言う印象を持ち続けていますね。

先日、本人指揮の交響曲全集(5CDset)を手にしたので一気に聴いてみました。これで年代を追っての変化を"おさらい"できるのではないかと思います。



交響曲第一番 (1973年)
 四楽章形式(Arche I, Dynamis I, Dynamis II, Arche II)です。特殊奏法とクラスター、そして反復を基本にしていますね。弦楽器主体の特殊奏法パート、もしくは微分音? トリル?はノイズ、それをクラスター的に演奏したりもします。打楽器と管楽器主体のクラスターも現れます。無調ですが、全体としてはリズムや大きな流れはあるので聴き易いです。この辺りは前衛の衰退時期として普通ですね。どこかで聴いた様な…みたいな。

 試しにYouTubeで聴いてみる?


交響曲第二番 クリスマス・イヴ (1980年)
 一楽章形式で引用を用いた交響曲です。終始暗く重厚な楽曲で、前衛から一転して機能和声の展開です。新ロマン主義といっても良いのではないかという作風ですね。どこがクリスマスなのか、引用なのかよくわかりません。それに長く感じます。^^ゞ
一部ストラヴィンスキー風も感じたりして楽曲としてはけっこう好きかもしれませんが、どうしてこう変わるの?! といった気分になりますよね。


交響曲第三番 (1988-95年)
 五楽章で I.Andante - II.Allegro - III.Adagio - IV.Allegro moderato - V.Scherzo Vivace と構成は古典回帰です。全体的な暗さは第二番の路線ですが、メリハリがあり一層の調性回帰。アダージョでは暗く冷たい音が流れますが、四楽章では重厚さも出現します。第五楽章もスケルツォらしいリズムが明確でロマン的な香りよりも古典、新古典主義気配です。
悪くはありませんが、個人的には20世紀後半に聴きたいとは…


交響曲第四番 アダージョ (1989年)
 第三番とほぼ同時期に作られた五楽章構成の標題音楽です。'80年代で前衛から新ロマン的路線に変更された楽風は、'90年代前後から明確は調性回帰路線になっています。
当然ながら第三番とほぼ似た構成で、陰鬱とメリハリの効いた重厚さの組合せです。フランス政府から委嘱曲になります。フランス革命200周年なので、切れ味の良さはそこを見越してでしょうか。


交響曲第五番 Korean (1992年)
 一楽章形式です。楽風は変わらずに重厚陰的展開です。第二番で調性回帰してからは同傾向の作風になっています。対位法、フーガ、反復、クラスターといった技法で出し入れの強い作品です。この第五番では勇壮さが増し、トリルを使ってちょっと前衛時代を彷彿させるパートもありますね。


■ ここまで聴いて再確認出来たのは、調性回帰してからは新ロマン主義の作風で続いていると言う事ですね。その方向性が好きな方にとっては19世紀のクラシック本流回帰であり、そこに若干の不協和音や陰的重厚といった現代的スパイスが加味されていると思います。このブログでは前衛現代音楽を聴いているのでややフィットしづらいですが。



交響曲第七番 エルサレムの7つの門 (1996年)
 オラトリオとして書かれたものでエルサレム建都3000年でイスラエルの委託曲で、7つの門に対応する7楽章形式です。宗教曲の多いカトリック教徒ペンデレツキにとって当然のオラトリオでしょう、宗教色を荘厳さで彩った訳で交響曲とは思えない作品です。重厚な宗教曲なのですが、それまでの交響曲よりも色彩が豊ですね。あえて宗教を鑒みずに言えば悪くありません。

 試しにYouTubeで聴いてみる?


交響曲第八番 はかなさの歌 (2005-07年)
 第七番に続き歌曲の交響曲で、2007年に三楽章分が追加されて15楽章形式になります。歌詞はヘッセやリルケと言った詩人の作品を用いて、交響曲の一部に歌が入るのではなく全体として歌曲です。合唱パートは宗教曲風に感じますが、ソロパートは今の時代の歌曲で悪くありません。
陰湿重厚さから ここへ来て俄然興味深い音楽になっている気がします。間違いなくこの曲が一番面白いですね。
2001年には合唱曲でグラミー賞を受賞していますから、得意分野を広げていると言う事でしょう。


■ 歌曲が入ると新ロマン主義が一層の迫力を増しますね。宗教合唱曲での実力が一番の聴き処だと思いますが、それ以外でも作風からいって近年の作品は面白いかもしれませんね。現在はオペラと交響曲第九番を作成している様なので楽しみです。


尚、第六番*は欠番になります。
指揮はペンデレツキ本人、演奏は ポーランド青年交響楽団 (The Polish Sinfonia Iuventus Orchestra) です。


*【後日記】2017年に完成して初録音盤が2020年に発売されました。(同年3月に亡くなられました)

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





Weather Report の The Legendary Live Tapes: 1978-1981 を聴く

届きました! 懐かしいウェザー・リポート(以降W.R.)のライヴ 4CDsetです。今はW.R.を聴く事は殆どありませんが、それでも iPod classic の中にはHeavy Weather, Black Market が入っていて時折なぜか聴きたくなります。

全盛の時代にニュー・リリースを待ちながら聴いていて本当に良かったと 今 感じます。中野サンプラザの公演では、開演に合わせてラヴェルのボレロが流されて凄く盛上がってスタートした事なんか思い出しますね。個人的には厚生年金会館よりも印象が強いです。

今聴いてもやっぱり素晴らしい!
当時のメンバーの経歴や In a silent way, マイルスとの関係など、そんな事をここで書いて仕方ないでしょう。
マイルスにも3回行く事が出来ましたが、新宿西口の淀橋浄水場跡ではその姿に悲しみさえ覚えました。もちろんジャンルに関係なくマイルスの凄さは言うに及ばずです。

W.R.もマイルスなくして存在無しでしょうしね。もちろんCD4枚、いっきに聴いちゃいました。
Sightseeing でのショーターとジャコの演奏、アースキンのリズムはやっぱり凄い。ザヴィヌルらしいサウンドを見せる Forlon。ライヴの楽しさと各パートのテクを見せてくれる Badia / Boogie Woogie WaltzJaco Solo(2takeあり) のベースは得意のブラックバードも入れたりハーモニックスを効かせたり。ザヴィヌルのクラシック畑出身者らしさと、ジャズ色、W.R.の本質と多彩さを見せる Joe and Wayne Duet。お約束の Birdland はシャッフルじゃないver.で後半のノリがいいです。A Remark You Made, Continuum/River People の完成度の高さはグッときますね。Fast City はウェイン全開、ニュー・ハードバップVSOP風で楽しい。W.R.らしい Dream Clock。そして好きな Black Market は楽器間のバランスがライヴとしては申し分ありません。ラストの Directions では全員がソロのテクを見せつけます。
楽しいけど、さすがにCD4枚は多いんじゃないかな?!

全体に少し録音レベルの差がありますね。Continuum/River People はオーディエンスの録音らしいですが、悪くありません。オーディエンス録音といってもラピンスキーとかのレベルじゃないですか?!

演奏能力だけでなく作曲能力も含めて凄いグループでした。でもすでにジャコとザヴィヌルは他界、時代は過ぎ行くと実感しますね。
あっ、やっぱり思い出話になっちゃったか… ^^ゞ


テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽





キーリル・マカン Keeril Makan の In Sound を聴く


 マカン(Keeril Makan, 1972/3/14 - ) はニュージャージー州生まれの米現代音楽家です。UCバークレーやヘルシンキ、パリで学んでいます。米国のみならず、欧州でも活躍の場を得ていますね。今はマサチューセッツ在住で Associate Professor of Music at MIT を務めています。
委託曲も多く、このアルバムの演奏者以外にもkokotonPAPAご贔屓の Bang On a Can All-stars にも楽曲を提供していますね。その状況で音楽の方向性はわかるのではないかと思います。
一言でいうならミニマルベースのアブストラクト電子音楽です。
名前はマカンではなく多分メイカンと読む方が近いかな、米人ですからね。


The Noise Between Thoughts (2003年) / Kronos Quartet
 クロノスの楽器にはスチール弦が張られているようです。いかにも米現代音楽的な発想ですね。そして表題の通りの典型的な弦楽ノイズ音楽です。ギーギー・キーキー・グギギィ・みたいな。そして時に強烈にトリルで協奏的になり、時に長音で瞑想的になります。単にノイズ音楽を超えてはいない様な…

Threads (2002年) / Paul Dresher Ensemble Electro-Acoustic Band
 演奏はポール・ドレッシャー・アンサンブルの現代音楽演奏集団エレクトロ・アコースティック バンドで、米現代音楽集団を代表する一つになりますね。
ドローン系の電子音とノイズの組合せで面白いです。ドローンは複雑な音響処理、楽器群のデジタルモディファイされた音とディストーションされたE-ギター、そして弦楽器のボウイングからなっているようです。
垂れ込めた黒い雲と、その雲の中に煌めき閃光する稲妻の様な音楽です。稲妻はvnのボウイングとバスクラでしょう。
好きなパターンですね。
 ちなみにメンバーは
 ・Paul Dresher: Electric Guitar
 ・Joel Davel: Maribma Lumina
 ・Peter Josheff: Bass Clarinet
 ・Marja Mutru: Keyboard
 ・Karen Bentley Pollick: Violin
 ・Gene Refkin: Electronic Drum Set
 の編成ですが、他に2人のサウンド・エンジニアが居る様ですね。メンバーも変化しています。


Washed By Fire (2007年) / Kronos Quartet
 まず特徴的なのは、弦楽四重奏なのですが長音の旋律が木管楽器の様な印象を与えます。基本は反復です。ロングボウイングの旋律が変奏されながら間(短い全休)を置く様にしてゆっくりと繰り返されて行きます。とても瞑想的です。
そしてトリルを使ったミニマル的な細かいハイピッチな演奏に変化し、そこにはトレモロとロングボウイングによる緊張感のある展開も含まれますね。スロー化すると和声(モード)が東洋的な、中東的な、と様々な展開も見せます。
リズム、メロディー、そしてモードの再構築とありますが、基本はミニマルでしょう。全部ゴチャ混ぜでやってくれた方が面白かったかも。
 ★試しにYouTubeで観てみる?
  残念ながらクロノスではありません。少し感じが異なりますかね…


二三曲目は好きな米現代音楽に違いありませんね。^^v

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





2015年11月22日 J・ノット / 東響 の リゲティ「100台のメトロノーム」とショスタコーヴィチ「交響曲 第15番」at サントリーホール ★★☆

J・ノット(Jonathan Nott)の東京交響楽団は実は初めて。朝夕の寒さが増した東京、今日は三連休の中日、そして どんより曇り空の中、六本木のサントリーホールまで行って来ました。
20151122_SuntoryHall-JonathanNott-TSO.jpg リゲティ 100台のメトロノーム
まずはステージ前列に並んだ100台のメトロノーム。これが観たかったんですよね。

リゲティ:ポエム・サンフォニック =100台のメトロノームのための=
 今回の目的の一つはこれ。前衛系の現代音楽、不確定性の音楽の一つですね。100台のメトロノームが徐々に止まって来て最後に3, 4台になると面白いリズムが出て来て"なるほど"なんて思うのですが、今回は今ひとつ面白いリズムにならなかったかも。でもタイミング等の演出は効果的でしたね。


□ J.S.バッハ/ストコフスキー編:甘き死よ来たれ BWV478
 短いこの曲を挟まずにブルレスケのティンパニにつながった方が面白かったのでは、と思いますね。確かにメトロノームが静音の中で鳴り終えた直後は良かったこですが、それだけかも。(時間構成上の問題?!)

リヒャルト・シュトラウス:ブルレスケ ニ短調 =ピアノと管弦楽のための=
 ピアノのエマニュエル・アックス(Emanuel Ax)の選択でしょうか。超絶技巧で派手なこの曲は楽しみでした。
Axのピアノは全体的にマイルド。後半の嵐の様なカデンツァは技巧をクールに披露してくれましたが、強烈という印象ではありませんでした。
難曲でオケもティンパニや各管楽器のソロを始めとして実力を問われるのですが、東響はまとまり良く聴かせてくれましたね。ただディナーミクを抑えた展開はpfと合わせて、この曲の楽しみの一つ、派手でヴィルトゥオーゾな展開にやや欠けた気がします。
でも考えたら、シュトラウスですし協奏曲ですから、これが良かったのかもしれません。

ここまでを切れ間なく続けます。東響のHPには事前にその件が書いてあり、拍手はするなとあります。それに例の「開場での録音…、補聴器の…」が延々と書いてあります。その放送もありませんでしたね。

ショスタコーヴィチ:交響曲 第15番 イ長調 作品141
 事前の聴き比べをしてきました。
とにかく第一楽章がまず良かったです。出し入れの明確なシャープな展開は実に色彩感がありました。ウィリアム・テルの引用もうまく挟まれて適度な休息感を出していましたね。ともすると締まりに欠ける心配があるのですが、先が楽しみに感じる展開でスタートしました。
第二楽章は葬送感と言うよりも、好きな幽玄さです。音列配置のソロ楽器群さえも生かしていましたね。そして中盤のクライマックスは激情的に盛り上げました。特に普段はそれなりでも何とかなる五絃群も情熱を感じる演奏でした。
このまま行くと凄い第15番かと思いきや、判断が分かれる後半が待っていましたね。
第三楽章はスケルツォらしさや奇怪さをあまり表に出しません。"んっ?!"ていう感じ。引用の違いを考慮しても、第四楽章は第二楽章と似た傾向にあります。ここでは延々とフラット。山場も激情を避けていました。
それを避ける展開なのかわかりませんが、盛り上がりには欠ける後半二つの楽章。でも演奏は全く悪くありません。J・ノットの解釈でしょう。
でも地味なラストをチェレスタを含め打楽器が見事な緊迫感を沈黙の中に演じてくれました。これは良かったですね。一気に締まりました。御見事。

バッハ以外は聴きたい曲が並んだ今回のコンサート、結果的には期待以上に楽しめました。


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





ザルツブルク音楽祭2005 歌劇「椿姫」をNHKプレミアムシアターで観る

10年前のSalzburger Festspiele 2005 から、ヴェルディのオペラ代表作の一つ「椿姫 La traviata」ですね。ヴェルディ作品は音が派手過ぎであまり好みではありませんが。

初めに放送された本年度2015ザルツブルク音楽祭のアンネ・ゾフィー・ムターですが、痩せて老けましたねぇ。(近年の日本公演には行っていませんでしたので驚きました)
でもvnは相変わらずトゲトゲしくムターらしかったです。ムーティとVPOも情感の強い演奏で応えていましたね。好みではありませんが、良かったです。


番組としては多少今更感の10年前「椿姫」です。
ザルツブルク音楽祭2005 歌劇「椿姫」

ポイントは、今を代表する歌姫アンナ・ネトレプコ(Anna Netrebko)34才の若き美しい処が見られる事でしょうね。
舞台のシンプルさがまず目に付きますね。左右に広がった飾り気のないステージに小物を配置するだけです。全幕ともにこのパターンで通されています。
衣装は現代風でスーツとドレス、ガウン。第一幕のネトレプコの赤いドレスと白い椿の花は印象的です。
演出は大胆淫らな?ヴィオレッタのポーズもあったりしますが今の時代の演出の範囲を超える特殊性やアヴァンギャルドさはありません。流れは今ひとつ。最後はちゃんとヴィオレッタは亡くなってくれますw
唯一グランヴィルくらいでしょうか。

配役では主役二人でしょう。アルフレードのロランド・ビリャソン(Rolando Villazon)は第一幕は冴えませんでしたが、二、三幕では実力を見せ付けて素晴らしい高音の伸びを見せてくれました。そして何と言ってもヴィオレッタのネトレプコ。コロラトゥーラも見事にこなして伸びのあるソプラノを随所に聴かせてくれますね。この頃はプロポーションも美しく美貌が光りますね。まぁ今の方が肉体共々艶があるとは思いますが。ヾ^^;
他では出番はそれなりにあったアルフレードの父ジェルモンのトマス・ハンプソン(Thomas Hampson)も、添え物的にそれなりでした。

有名な「乾杯の歌」では二人ともこの曲らしさに欠ける気がしましたが、カーテンコールではネトレプコに対して観客総立ちスタンディング・オベーションでした。
まさにネトレプコの為のザルツブルク音楽祭2005 椿姫ですね。それ以上でもそれ以下でもない様な…

<出 演>
 ヴィオレッタ: アンナ・ネトレプコ
 フローラ: ヘレン・シュナイダーマン
 アンニーナ(ヴィオレッタの女中): ダイアン・ピルチャー
 アルフレード: ロランド・ビリャソン
 ジョルジョ・ジェルモン(アルフレードの父): トマス・ハンプソン
 ガストン子爵: サルヴァトーレ・コルデルラ
 ドゥフォール男爵: ポール・ゲー
 ドビニー侯爵: ヘルマン・ヴァレーン
 グランヴィル(医師): ルイージ・ローニ

<合 唱> ウィーン国立歌劇場合唱団
<管弦楽> ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
<指 揮> カルロ・リッツィ

<美 術> ウォルフガング・グスマン
<演 出> ウィリー・デッカー


2005年8月7日 ザルツブルク祝祭大劇場(オーストリア)

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