シュトックハウゼンの Welt-Parlament(世界会議) を聴く


シュトックハウゼン 世界会議カールハインツ・シュトックハウゼン(Karlheinz Stockhausen, 1928/8/22 - 2007/12/5) については紹介を割愛です。

これは「光(Licht)」(1977-2003年)の一部分「光の水曜日(Mittwoch aus Licht)」(1995-1997年)の第一場面「ヴェルト・パーラメント(世界会議) 」(1995年)ですね。

「光」が一週間の各曜日、全7部で構成される28時間のオペラである事は知っての通りだと思いますが、「光の水曜日」は全五場面からなっていて、第三場面が かのヘリコプター弦楽四重奏曲になります。
残念(当然?)ながら「光」全ては所有していません。

個人的に全体像が掴みづらいシュトックハウゼンですから、いつも困ります。これを聴こうと思ったのは、シュティムング(1968年)のコンサートがこの8月29日にあったからですね。それ以上ではありません。

と言う事でアカペラの合唱曲です。「世界議会議員は12のグループにわかれ、未知の言語を使って、全員が異なったリズムで歌います」と本人の日本語公認ページ「シュトックハウゼン音楽情報」の「ライナーノート:CD51」にありますので、ぜひご覧下さい。歌詞も同ページにあります。

始めはメンバーの愛についての語りが重なる様に続きます。その際に議長は木槌を打ちますね。言葉の嵐の中に時折のチューブラーベルとプツプツとメトロノームの電子音。もちろん電子処理とスピーカーで増幅されます。
そして歌が、例によって意味不明の言語?で、始まります。基本はもちろん倍音音響ですが、シュティムングとは違い、メンバーも規模が大きく それだけに集約されている訳ではありません。倍音の空間音響シュティムングの進化系で、まさに合唱曲。

この時代はすでに空間音響系ですとスペクトル楽派が一つの世界を作っていた訳ですが、やっぱりシュトックハウゼンはそれ以前に作った倍音の世界が明確にあるので独自性が強いですね。そしてシュトックハウゼンの音楽(学)性の高さを感じます。ちなみにこの曲はフォルメル技法で書かれてますね。乱暴に言うとフラクタルと同じ様に極小部(パート)と極大部(パート)の類似性を音楽に取り入れた様なものでしょう。
一度コンサートで聴いてみたいものですね。
試しにYouTubeで聴いてみる?

所有CDは Stockhausen のオリジナル・レーベル Stockhausen-Verlag のシュトックハウゼン全集 CD51 になります。入手が面倒で高価な事で知られるVerlagは数枚しか所有していません。これは随分以前に大手CD店取り扱いで購入した物ですね。もちろんダイレクトに個人輸入でも購入出来ます。


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

ミヨー、プーランク、カサドシュの French Concertos for Two Pianos を聴く


前回のCDインプレでミヨーを久しぶりに紹介したので、ふとフランスの20世紀の作曲家のピアノデュオ曲集(協奏曲)があったのを思い出しました。

ミヨー(Darius Milhaud, 1892/9/4 - 1974/6/22)、プーランク(Francis Poulenc, 1899/1/7 -1963/1/30)、カサドシュ(Robert Casadesus, 1899/4/7 - 1972/9/19) 、現代音楽の夜明けの時代に生きた微妙な作曲家達の作品で興味深いですよね。

ちなみにkokotonPAPAはフランス系の現代音楽に至る流れは好きです。^^v

フランシス・プーランク
Concerto for Two Pianos & Orchestra in D minor (1932年)
 ミヨーと共にフランス6人組と称される一人ですね。様々な楽器の組合せ等で粋なパリジャンで洒脱な音楽、それがプーランクですね。
三楽章の曲はリズミカルで歯切れの良さで、多少の民族音楽風の和声はありますが新古典主義っぽくFilmMusic的な感じもします。そして特徴的な静音パートではシャブリエ〜ラヴェルとからの系譜を感じますね。このバランスがプーランクでしょう。
殊更にピアノ・デュオと言った事を表現している感じはありません。
 ★試しにYouTubeで観てみる?
 pfはアルゲリッチ、アンジェリックの二人で強烈です。アルゲリッチはルガーノでガーニングともやっていますね。


ダリウス・ミヨー
Concerto for Two Pianos & Orchestara (1942年)
 今更の紹介は割愛です。
多調なのか細かな転調なのか、微妙な音階が際立つミヨーらしい協奏曲ですね。二台のpfが両チャンネルで協奏する、時に古典的なフーガであり対位的であり、楽しさが味わえます。リズミカルな第一楽章、暗く混沌の第二楽章、回帰的な第三楽章です。
プーランクとの類似点が民族音楽和声で感じられる処が面白いですね。調性感は より薄いです。

ロベール・カサドシュ
Concerto for Two Pianos & Orchestra Op.17 (1933年)
 ピアノストとしての印象が圧倒的に強いでしょうね。個人的にも作曲家の印象はありません。
2台のピアノが交錯する様な流れのロマン派的な印象です。新ロマン主義と言って良いのでしょうか?! 調性内の音楽で、小気味の良い音とリズムの第一・三楽章、そこに挟まれる典型的な緩徐楽章となる美しい第二楽章です。
気持ちの良い楽曲ですが、それ以上でも以下でもないかもしれません。コンサートには向きそうですね。

洒脱なプーランク、浮遊的調性のミヨー、やっぱり時代を画した音楽家の作品は楽しいですね。
演奏は Genova & Dimitrov(pf), Alun Francis(cond.), SWR Rundfunkorchester Kaiserslautern になります。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

バイロイト音楽祭2015 楽劇「トリスタンとイゾルデ」をNHKプレミアムシアターで観る

同曲のバイロイトでは唯一の日本人指揮者として2005年に大植英次が登場していますね。苦い記憶ももう10年前なんですねぇ。

今回注目の新演出はリヒャルト・ワーグナーのひ孫, 祝祭劇場監督のカタリーナ・ワーグナー(Katharina Wagner) 。またもや刺激の強い演出で楽しませてくれたのでしょうか。指揮もバイロイトの雄クリスティアン・ティーレマンですし興味は尽きませんね。
バイロイト音楽祭 2015年 トリスタンとイゾルデ

演出の結果はもちろん期待を裏切ることなく、二人は媚薬を飲まずに ラストはイゾルデが王に連れ去られるという驚きの設定です。
確かに心に秘められた恋なのですが、第一幕の最後で出会った処からすでに抱き合いキスシーンです。誰も知っての通り、相手を殺し自分も死ぬ為の毒薬、実はそれが媚薬と言うのが本来ですが、飲まずに二人でこぼして愛に燃えるという設定です。終盤 飲んでいない事にやや違和感がある展開には感じますが…
そしてラスト。死して横たわるトリスタンを残してマルケ王がイゾルデを連れて舞台から去るという驚き!
今や古典的な舞台や衣装ではバイロイト音楽祭らしくないと感じるようになりましたね。
そのうち楽曲も大きく編曲するんじゃないか、なんて思うぐらいです。

舞台は全体的に無機質でシンプルです。第一幕が柱と階段構築、船とは思えませんね。第二幕はパイプの柵の様なセットとテントの様な布を使っています。二人は密会のはずなのにメロート達が監視する中で長い「愛の二重唱」を歌います。罠の意味でしょうか。そして夜を讃えるシーンは暗い舞台のシルエットが続きますね。なぜか二人は徐々に血にまみれて行きます。
第三幕では椅子と配役、昼を象徴する光の縁取る三角形。それにイゾルデの仮面幻影です。ここではややアヴァンギャルドさが光りましたね。

衣装はやや現代風にはなりますが特殊性は低いです。キャラクターごとに単一色を基本とした面白い設定です。トリスタンとイゾルデが濃いブルーで従者の二人が茶緑、マルケ王やメロート達は黄土色といった風になっています。

配役では突出して印象深い事はありませんでした。イゾルデ(Evelyn Herlitzius)が通して熱唱系です。中盤以降 陰湿な気配を漂わせる方が気配ですが、バリバリでした。トリスタン(Stephen Gould)は第三幕の熱唱はあるもののヘルデンテノールっぽさ、伸びやかな高音、が今ひとつかなぁって感じでしょうか。スティーヴン・グールドは日本でもヘルデンテノールとしても登場しているのですが、好みの問題でしょう。
声はマルケ王(Georg Zeppenfeld)が好きでしたね。バスの重さを控えめに唄う第二幕後半は独壇場に思えましたね。

指揮のティーレマンもアゴーギクを強めに振るのが特長的で、舞台向きでしたね。有名な第一幕の前奏曲でも強く感じました。

何かと物議をかもしだしてこそバイロイト。今年観られたこの一本もそういう意味で充分楽しめました。(笑)

<出 演>
 トリスタン(マルケ王のおい): スティーヴン・グールド
 イゾルデ(アイルランドの王女): エヴェリン・ヘルリツィウス
 国王マルケ: ゲオルク・ツェッペンフェルト
 クルヴェナール(トリスタンの従者): イアン・パターソン
 メロート(マルケ王の臣): ライムント・ノルテ
 ブランゲーネ(イゾルデの侍女): クリスタ・マイア
 牧童/若い水夫: タンセル・アクゼイベク
 かじとり: カイ・シュティーファーマン

<合 唱> バイロイト祝祭合唱団
<合唱指揮> エバハルト・フリードリヒ
<管弦楽> バイロイト祝祭管弦楽団
<指 揮> クリスティアン・ティーレマン

<美 術> フランク・フィリップ・シュレスマン、マティアス・リッパート
<衣 装> トーマス・カイザー
<照 明> ラインハルト・トラウプ
<演 出> カタリーナ・ワーグナー


カタリーナ・ワーグナーには賛否両論あるのでしょうが、少なくとも彼女がいたので近年TVで楽しめる様になったのは事実でしょうね。

収録:2015年8月7日 バイロイト祝祭大劇場(ドイツ)

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

2015年10月25日 小曽根 真×ブランフォード・マルサリス “Jazz meets Classic” with 東京都交響楽団 at オリンパスホール八王子 ★☆

このホールは普通のコンサートホールとちょっと違い、開演時の偉そうな諸注意なし、休憩時間には電波も入りますね。とてもCSを意識して素晴らしいと思いました。ローカルのホールとしては規模も充分なサイズです。
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□バーンスタイン:「オン・ザ・タウン」より “3つのダンス・エピソード”
 ジャジーでジャイブな一・三曲目と、それに挟まれた緩徐な二曲目で構成されて聴き易くなっていますね。都響の演奏も締まりがあってスキ無しって感じでした。でも、ちょっと見事過ぎでした。出来ればこの曲らしく、どこかハジけた処が欲しい感じがしましたね。

□ジョン・アダムズ:サクソフォン協奏曲
 二楽章構成に感じられました。広い草原の昼、夕暮れ、夜の様な一楽章、そこを疾駆する様な二楽章。いずれにしても主題の変奏で組み立てられているので曲はフラット。作風はますますストイックになっている感じです。
ラストのみ締まりがありました。曲自体の主張が強くマルサリスがどうのといった問題ではないですね。悪くはないのですが、ミニマル系の進化の限界を感じました。

□プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番 ハ長調 op.26
 超有名曲ですが、なんともクセの強い演奏でしたねぇ。小曽根さんのpfは音が硬く、ピアノらしく鳴っていませんねぇ。協奏曲というよりも、オケはオケ、pfはpfといった感じでした。この曲らしい流麗な中のヴィルトゥオーゾではありませんね。
驚いたのは、一楽章終了時の拍手。これは海外並み⁈ w

終了後に小曽根さんのトーキングがあり、楽しかったですね。その後でマルサリスとのデュオでジャズを二曲。サックスは朗々と鳴り、ピアノはハジけてました。「良かったら残ってね」との小曽根さんの言葉でも、オケメンバーは殆ど退席。二人が演奏時にキーはB♭だって言ってたからオケメンバーも参加すればいいのにと思ったりしましたね。
楽しいけど、何が伝えたいコンサートだったのかなぁ?
だったらオケ相手じゃなくてカルテットの方がいいかな。以前TVで見たけど、その方がジャズと現代曲が絡んで楽しいパフォーマンスが出来るかも。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

2015年10月21日 ギドン・クレーメル&クレメラータ・バルティカ "ニュー・シーズンズ” at サントリーホール ★★☆

11時間のフライトで昨日夜帰国したけど、いつもの通り時差ボケ無しなので大丈夫。秋の空気のサントリーホールへ行って来ました。
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今年リリースしたアルバム New Seasons に絡めてのツアーです。商売上手と言ってしまえばそれまでですが、そこはやっぱりクレーメルですから釣られても良いかなとw
と言う訳で『四季』と言う曲目並びです。

□ラスカトフ:『四季 (チャイコフスキー Op.37a)』からのダイジェスト
 クレーメルがラスカトフに編曲を委託した曲で、水鏡の様なとても美しい演奏でした。彩りに電子ピアノや一部 特殊技法や不協和音が取り入れられていて、最後は冒頭の"一月"のテープ(録音:電子処理)音で終わります。エレピの横にPCがありましたね。
この曲はクレメラータ・バルティカの演奏になります。

□グラス: ヴァイオリン協奏曲第2番『アメリカの四季』
 アルバム「New Seasons」に入っていました。
45分もの長い曲で そもそもがコンサート向きでしたから期待は大きかったのですが、静的展開が強く感じられてCDとはかなりの違いがありましたね。
ここからクレーメルが加わり、過剰なディナーミクを排したクレメラータ・バルティカの中に細く研ぎ澄まされたvnの音色を聴かせてくれました。ミニマルベースのグラスを静的に展開した透明感、まさにクレーメルの音楽でした。このセットの新しいSTDになりそうです。ただ少々長いかな、やっぱりw

□梅林茂: 日本の四季<委嘱新作>
 前半二曲から一転して情感的な展開の後半です。アルバムにも梅林さんの「夢二のテーマ」が入っていましたが、本邦初演のこの曲も当然マニエリスムの楽曲でした。特徴が薄く個人的には今ひとつかな...

□ピアソラ: ブエノス・アイレスの四季
 やっぱりこれですね。まさにツボです。ピアソラの楽曲の楽しさとクレーメルの技巧vnを余す所なく味わえました。クレメラータ・バルティカの早いリズムの切替や激情的な演奏もバッチリで、もちろんユニット全員の呼吸もぴったりでした。

アンコール二曲もサービス溢れる楽曲で楽しませてくれました。
でも会場の入りは6〜7割くらいと寂しい限り。後方席はスカスカでした。やや価格が高めなのですが、若い方達には旬の内にクレーメルを観ておく事をお勧めしますね。

今回は後半二曲でのvc(Janis Rinkulis でしょうか…)との掛け合いは一つのポイントでしたね。
演奏や構成、全体的に少々熟(こなれ)すぎた感は拭えませんが、楽しいコンサートでした。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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2015年10月3日 「月に憑かれたピエロ」エカテリーナ・レヴェンタール & アンサンブル・ノマド at 東京オペラシティ ★

爆弾低気圧が去り 秋らしさが出て来た10月の東京。今日はアンサンブル・ノマド 第54回定期演奏会に京王線・初台へ行って来ました。東京オペラシティは近くて助かりますね。今回はリサイタルホール(小ホール)です。
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近年コンサートでの機会が減ったシェーンベルクの「月に憑かれたピエロ (Arnold Schönberg / Pierrot Lunaire)」、無調の代表作で前衛現代音楽の原点でもあり表現主義の極みですね。この曲は数多くの演奏バリエーションを聴く事で 楽しさが倍増すると思っています。
CDインプレでも今までにレコード時代から含めて20CDの聴き比べを紹介していますが表現は様々で楽しいですね。
http:// シェーンベルク 月に憑かれたピエロ 聴き比べ

今回はシュプレッヒゲザング(Sprechgesang)と演技?!をウズペキスタン生まれでオランダで活躍中の エカテリーナ・レヴェンタール(Ekaterina Levental) 、演奏がアンサンブル・ノマド(Ensemble Nomad) になります。このセットはオランダでも活動実績がある様です。
同じオランダ人のビデオ&アニメーターのクリス・コルメス(Chris Koolmees)による映像付きです。

でも感想を一言で言うと、演技と映像と言う要らない事をやって本質を逃がしてしまったピエロに思えました。
演技に集中してか終始トーキングレベルから変化のない平板なシュプレッヒゲサングは残念としか言いようがありません。

第一部の後半から狂気が現れて来るパターンが多いのですが、演奏もディナーミク不足でシュプレッヒゲサングとの一体感も不足気味でした。弱音パートをもっと強調して強音での切れ味を引き立てて欲しかったですね。
第二部のNo.9「ピエロへの祈り Gebet an Pierrot」の冒頭で "ピエロ!" を叫びます。いつもこれを一つのキーにして聴いていますが、何ともあっさり。ここから詩は異常性を強くして行くのですが、そこからの変化も見えませんでした。
第三部は詩が一番おぞましくなります。そこをあっさりと流されては、この曲と詩の異常性が伝わりませんね。

そして映像です。必要だったのでしょうか。モノクロに赤を交えた月のアニメチック表現に終始します。この映像がI〜XXIの曲の区切りを出していたのにも驚きです。なぜ⁇
赤とモノクロは、衣装にも反映されていて何らかのテーマだったのかもしれませんが。衣装と演技に付いてはよくわからないのでノーコメントです。

映像と演技を排して、本来のこの曲と詩の持つ狂気や異常性を、演奏と一体となった肉声から味わいたかったですね。

<アンサンブル・ノマド>
 木ノ脇道元(fl & picc)
 菊地秀夫(cl & b.cl)
 甲斐史子(vn & va)
 松本卓似(vc)
 稲垣 聡(pf)
 佐藤紀雄(cond)


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パンフレットに歌詞の訳文が付いていました。各パート冒頭部だけですが、狂気は伝わるので嬉しい配慮ですね。ただ、全文ではないので第三部のベルガモへの郷愁が書かれた部分が欠けて、背景にあるものが少々失われています。

ブラボーなし、拍手も早々に途切れました…


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

アンドレ・ジョリヴェの「赤道コンチェルト」とダリウス・ミヨーの「世界の創造」を本人の指揮とアントルモンのpfで聴く


CD化されたのを機に購入したまま数年、CD棚でふと目に留まったので聴いてみましょう。
購入のターゲットは「赤道コンチェルト」ですね。

ポイントはフランス現代音楽家二人 ジョリヴェとミヨー 本人指揮による録音だと言う事ですね。

1960年代ですから不思議でもなんでもありませんが、つい本人指揮がオリジナルだろう!?と勝手に思うわけですw

もう一つはピアノのフィリップ・アントルモン(Philippe Entremont)の激烈先鋭さですね。


アンドレ・ジョリヴェ(André Jolivet, 1905/8/8 - 1974/12/20) はフランスの現代音楽家、メシアン(1908年)と同年代になります。ヴァレーズに師事していて、この時代の十二音技法・クラスタと言った現代音楽技法だけでなく、ヴァレーズの音展開を感じます。ただ全体の作風は現代音楽技法を展開するだけではなく、機能和声を含め 何でも来い! 的な色合いですね。
メシアンからの依頼?で「若きフランス(La Jeune France)」を立ち上げて、新古典主義を否定してベルリオーズを目指す活動をしています。ベルリオーズは古典時代にあって調性不明の展開をした寵児でしたわけですが、興味の範疇外です。

赤道コンチェルト [ピアノ協奏曲(1950年)]
ジョリヴェの代表作ですね。以前ダーリントン指揮デュースブルク管(pf:Pascal Gallet)で紹介しています。

フランス植民地をテーマにしたフランス国立放送からの委嘱曲で、そのイメージから一時期"赤道コンチェルト"と呼ばれた様ですが、今はあまり使われませんね。ダーリントン盤にはそのクレジットはありません。またフランス初演で大混乱をきたした事は良く知られて、"春祭"以来と書かれる事が多々ありますね。
 打楽器的なピアノと機能和声と民族音楽の融合された情熱的な楽曲は以前の紹介通りで、篝火(かがりび)を前に槍をもって踊る様な印象の曲です。pfは調性の薄い展開をするのですが、オケが上記の様な和声なので無調の響きを気にする事はないでしょう。第二楽章には緩徐展開も微妙な和声で挟まれていて楽しませてくれますが、全体は爆裂的騒音音楽です。アントルモンのpfは狂気を感じて素晴らしいですね。
機能和声からの脱却を求めた音楽ですね。ヴァレーズのファンやクセナキスを聴き易くした方向が好みの方なら最高でしょう。演奏の充実ならダーリントン盤ですが、作曲者本人の情熱・狂気なら俄然本盤です! ジョリヴェの指揮も見事だからでしょう。
 ★試しにYouTubeで観てみる?
 ピアノはパスカル・ギャレ(Pascal Gallet)です。協奏曲なのに譜めくりがいます?!
 アントルモンに比べるとジェントルですね


ダリウス・ミヨー(Darius Milhaud, 1892/9/4 - 1974/6/22)も聴いておきましょう。これもミヨー本人の指揮になります。フランス6人組の一人ミヨーについては以前から書いていますし、著名作曲家なので紹介割愛です。

ピアノ協奏曲 第1番 (1933年)
 以前ミヒャエル・コルスティック(Michael Korstick)のピアノで協奏曲全集(cpo盤)を紹介しています。ミヨーらしさを感じさてくれるのは第二楽章でしょう。細かい転調は機能和声をベースにしているとは思えませんね。聴き処はそれとフィリップ・アントルモン(Philippe Entremont)のpfで、各楽章で奔放で強烈な音展開の演奏を展開してくれますね。

世界の創造 La Création du monde [ピアノ五重奏版] (1923年)
 五楽章からなる室内楽ピアノ協奏曲です。この曲はサックスを含んだヴァリエーションの方がよりミヨーの斬新さが感じられると思いますね。特に第一楽章以外のジャズ展開では。
翌年「ラプソディ・イン・ブルー (ガーシュウィン 1924年) 」が出る訳ですが、ピアノのパートがとても似ていますね。

作曲者の意図がわかるのが嬉しい事、そしてアントルモンのピアノの切れ味が楽しめる一枚です。もちろん前衛現代音楽ではありません。
演奏はパリ音楽院管弦楽団です。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

プロフィール

kokotonPAPA

Author:kokotonPAPA
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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。





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