2015年5月31日 〈コンポージアム2015〉武満徹作曲賞 本選演奏会 / カイヤ・サーリアホ審査員 at 東京オペラシティ ★★★

Kaija Saariahoを迎えて東京オペラシティでのコンポージアム2015。4日間に3回のサーリアホ関連コンサート最終日は、武満徹作曲賞本選演奏会で再び初台の東京オペラシティへ行ってきました。
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本選に選ばれた四人の作曲家各自のコンセプトがわかるのは嬉しいです。現代音楽は聴いてなんぼ?!というわけには行きませんよね、作曲や演奏の技法、創造の源を知る事は大切ですね。
譜面を確認する事も可能です。おかげで四曲を楽しめました。^^
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□ セバスチャン・ヒッリ (フィンランド Sebastian Hilli, 1990/5/20 - ) :リーチングス Reachings for orchestra
 展開に重点を置かれた綿密な楽譜で、"次ぎに来る音楽を形作る音楽"を意識し その繋がり・展開を目的地を目指す旅に例えているそうです。
楽曲は弦楽曲様相の長音の空間音響からシェーンベルクの前期の様に変化し、最後はポリリズムそしてポリフォニーの混沌にクレシェンドします。ラストは消え入る様に終わります。完成されている感じですね。

□ ファビア・サントコフスキー (スペイン Fabià Santcovsky, 1989/4/4 - ):存在の絵 cuadro de presencia for orchestra
 技法的には微分音で静音の旋律です。本人曰く、 新たに創作される次元(音楽)の始り・繋がり部分は無からであり残響は記憶、自分の内部に聴こえて来る"その元"を知る事とあります。
静けさの中に楽器の呟きの様な音色が響く前半。停止と動きの繰り返しには素晴らしい緊張感がありました。後半の徹底的な反復からの騒音展開も面白かったですね。気に入りました。

□ イーイト・コラット (トルコ Yiğit Kolat, 1984/1/9 - ):[difeʁãs][difeʁãs] for orchestra
 超スローと静寂で、フランスの哲学者ジャック・デリダの"差延defference"の意味を「露地」「草庵」と言う2セクションに展開。技法的にはforcesと呼ばれる9個の短いイベントを関連づけて"差延"を表現。表題は日本の茶会に出席する経路をイメージしているそうです。
特殊奏法のピアノと打楽器に対して管弦楽の変奏、強烈な変拍子。一番印象的な始めと終わりの静けさは細川俊夫や武満徹の和を感じました。
譜面は一番きれいで、独特な和声で良かったですね。

□ トーマス・ヴァリー (オーストリア Thomas Wally, 1981/7/26 - ) :ループ・ファンタジー loop-fantasy for orchestra
 限界的なハイテンポで、技法的にはループというセルの反復を楽譜の水平・垂直に瞬間的に展開する事でファンタジーに鳴り響く作品を作り出すそうです。
一言で言うならディナーミクとアゴーギクの権化の様なクラスターの楽曲です。完成度は高いのですが、個性的と言うわけでもない感じでしょうか。同じオーストリアのBernhard Ganderが浮かびましたね。

個人的には三番目のYiğit Kolat の[difeʁãs]と二番目のFabià Santcovsky, 存在の絵 が良かったです。^^v
楽曲はサーリアホが審査員とわかって応募されたものなので、ポップなものや極端な前衛系のものは少なかったと想像されます。全体的に好みの方向性でした。

本選結果は、3, 4位が無く1, 2位二人づつの分け合いでした。
■ 1位:Sebastian Hilli, リーチングス、Yiğit Kolat, [difeʁãs]
■ 2位:Fabià Santcovsky, 存在の絵、Thomas Wally, ループ・ファンタジー
でした。
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現代音楽のこれからを垣間みる事が出来るのは嬉しい事です。
楽しい週末でしたね。^^v

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

2015年5月29日 ダウスゴー / 都響 の サーリアホ:D'OM LE VRAI SENS, ニールセン:交響曲第3番 at サントリーホール ★★☆

サーリアホweek(笑)の二日目を楽しむ為に六本木のサントリーホールに行って来ました。
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素晴らしかった昨日の「遥かなる愛」に続いて、クラリネット協奏曲「D'OM LE VRAI SENS」をSaariaho本人を迎えてのプレトーク付きです。後半は今年生誕150周年を迎えるニールセンの「交響曲第3番」です。
期待を裏切らないダウスゴー(Thomas Dausgaard)と都響がどのようにやってくれるのかとても楽しみでした。

サーリアホ:クラリネット協奏曲《D'OM LE VRAI SENS》
 クラリネット(cl)が、この曲を献呈されたカリ・クリーク(Kari Kriikku)本人と言うのが嬉しいですね。まぁ、殆どこのパターンではありますが...
この曲がどういう風に演奏されるのかはもちろん以前から知っていました。

part1でまず気が付いたのは、ダウスゴーのとったオケ都響の間ですね。空間音響の生きるいい感じの間だと思いました。
歩き回るクリークの超絶技巧clは、part4, 5 でテクを見せパフォーマンスを上回りましたね。ラストpart6 のコーダは特徴的でclの狂気的な演奏の後 静かに収束するのはサーリアホらしい締めと言った感じが伝わりました。
そのパフォーマンスに惑わされ気味の曲なのですが、都響とダウスゴーの息の通じた演奏は実に見事でした。コントロールの効いた一体感ある演奏はサーリアホの空間音響には必須だと思いますが、それを見事に奏でてくれたのが良かったです。多少抑えすぎの感もありましたが。
CDはもちろん、YouTubeでもこの曲は楽しめるのですが、今回が一番スペクトル楽派風に冴えてた⁉︎
パフォーマンスはある程度の自由が考慮されているのですが、ラストのvnの退場者?が少し多かったくらいで大体同じですね。
ライブで楽しむ事が出来たのが何と言っても最高でした。最後はサーリアホもステージに呼ばれ、もちろん大喝采でしたね。

ニールセン:交響曲第3番 op.27 《広がりの交響曲》
 Nielsenと同じデンマーク人のダウスゴー、個性が光るのはこちらの方でしょう。ニールセン和声とでも言う特徴的な調性感の一楽章、緩徐楽章のニ楽章はジャングル大帝レオの様なヴォーカリーズ(笑)、今ひとつ不明の三楽章、主題の美しい最終楽章。と言ったイメージなのですが、ダウスゴーは三楽章こそがこの曲の主体だと話していました。

結果、派手な第3番でした。ディナーミクの効いた、強音パートの切れ味鋭い構成ですね。一楽章と最終楽章は、それが物の見事に決まりました。緩徐楽章の二楽章でさえ、切れ味展開が引き立ちました。ソプラノはちょっとキンキン気味でしたが。
第三楽章はなるほど、の彩りと表情豊かな演奏になり見通しの良さがありましたね。
当然オーディエンスは大喜び‼︎
でも個人的に聴きたかったのは、静音も含めて微妙な響きのニールセンらしさだった気がします。一番近かったのは丁寧に構成された第三楽章かもしれません。
全然悪くは無いのですが、大迫力の広大さでしたから...今回は個人的な嗜好とちょっと違っただけの事。都響も適度な興奮も見せて盛り上げました。


ちなみにサーリアホ/クリーク「D'OM LE VRAI SENS」は各国で演奏されて、本年2015年はこれで3公演目になります。
2015-4/17 at Utrecht, Holland
     ・Radio Filharmonisch Orkest
      [Conductor] Elts

2015-4/23 at Zagreb, Croatia
     ・Croatian Radio Television Symphony Orchestra
      [Conductor] Davorin Brozic, Johannes Kalitzke
ヨハネス・カリツケの指揮! 見たかったですねぇ。

今日は一つだけ残念な事が。P席のお客さんが大声でもめ事を起こしていました。みんなが静かに楽しみに来ている場所ですからねぇ。


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2015年5月28日 〈コンポージアム2015〉カイヤ・サーリアホのオペラ「遥かなる愛」/ 東京交響楽団 at 東京オペラシティ ★★☆

今日5/28(木)、と5/31(日)武満徹作曲賞 はKaija Saariahoを迎えて東京オペラシティでのコンポージアム2015。そして明日(金)サントリーホールと、4日間に3回のサーリアホ関連コンサートです。ファンとしては全部行くしかありませんw
と言う訳で初台の東京オペラシティへ行ってきました。
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Kaija Saariaho のオペラにして代表作の「遥かなる愛 L'Amour de loin」、演奏会形式ではジャン=バティスト・バリエール(Jean-Baptiste Barrière)、サーリアホも関係深いIRCAMの教育・製作ディレクターを務めた、演出の映像が付くのもポイントですね。ちなみにバリエールはサーリアホのご主人ですね。
ホールの設定もスペクトル楽派の音楽らしく、スピーカーやPAを配置していました。
所有CDの試聴やYouTubeで同構成コンサートも確認しておきましたが、期待は裏切られませんでした。

音の響きを全てで感じさせてくれました。陰的で緩やかな流れの中に強音パートが時にクラスター的に、時にポリフォニー的にホールに鳴り響きました。派手なのですが全体としてはモノトーニカルで変容が少なく感じる この手のスペクトル楽派の楽曲らしさが肌で感じられて良かったです。
東響も破綻なく、良い響きを奏でました。
巡礼の旅人の池田香織は良かったですね。抑え気味ながら表情が感じられるのは役柄通りでしょう。ジョフレ・リュデルのバリトン与那城 敬はややテノール気味でしたが、気持ちが入っていました。
いまひとつ好みではなかったクレマンス林 正子のソプラノですが、最後はきっちりと締めてくれて良かったです。
音と映像にもう少し集中するべきだったと思いますが、演奏会形式とは言えオペラですからどうしても展開に気が取られてしまったのは仕方ないですね。

何はともあれ日本初演[Japan Premiere]となるKaija Saariahoの「L'Amour de loin」に立ち会えたのは良かったです‼︎
照明が落ちて闇になる最後では拍手が鳴り止まず、カーテンコールではサーリアホも出てきて拍手大喝采で終わりました。

今回は東京交響楽団、東京混声合唱団、指揮エルネスト・マルティネス=イスキエルド(Ernest Martinez Izquierdo)でした。かなりの練習を積んだと思われるメンバーの充実感も伝わりましたね。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

サーリアホ Kaija Saariaho の「D'OM LE VRAI SENS」を ダウスゴー / 都響 公演の前に聴いておく

カイヤ・サーリアホ(Kaija Saariaho, 1952/10/14 - )は、フィンランドの女性現代音楽家ですね。
この当時のフィンランドの現代音楽家、というか北欧系現代音楽家、は自国の音楽教育から育つことが多く欧州エクスペリメンタリズムとは距離があると思います。しかし彼女はその本流である独Freiburg(B.Ferneyhough, K.Huber !!)、仏IRCAM(G.Grisey, T.Murail !!!)に習い、バリバリのエクスペリメンタリズムを進んできました。
(スタートはSibelius AcademyでのP. Heininen師事で、現在はパリ在住です)
ダルムシュタットにも登場しポスト・セリエリズムを経ていますが、音列配置的な世界からは逃れて上記IRCAMを主体とした現代音楽スペクトル楽派の一端を推し進めています。
個人的ご贔屓の現代音楽家で、何回か紹介していますね。

今回 武満徹音楽賞の審査員として来日。それに合わせて今週28(thu)代表作「L’amour de loin」, 29(Fri)「 D'om Le Vrai Sens」と本人立会いのコンサートが続き、31(Sun)には同賞審査でオペラシティに登場します。もちろん全て行きます!
そこで、5月29日に演奏される"D'om Le Vrai Sens"が含まれるこのCDを紹介です。

スペクトル楽派らしい音響系管弦楽曲が並ぶ、おすすめの一枚です。電子処理からやや距離を置き、長音の響きを主体とした方向性になってからの楽曲ですね。

□ クラリネット協奏曲「D'OM LE VRAI SENS」(2010年)
 6曲構成で、重なり合う長音を基本とする空間音響の音楽ですね。クラリネット協奏曲の一般的イメージ、オケとの競合いやカデンツァ、とは異なります。確かにIV, V ではclがリードするようなパターンではありますが、主体は積み重ねられた音の響きです。様々な打楽器を加えた耽美で官能的な響きの空間が楽しめますね。
この曲を献呈されたクラリネット奏者のカリ・クリーク(Kari Kriikku)もIV, V で超絶的なテクを見せます。ラストVI のコーダが特徴的で、clの狂気的な演奏の後 静かに収束します。そのパフォーマンス(下記)も興味深いです。

インスパイアされたタペストリー(The Lady and the Unicorn)の件はいろいろと書かれている通りです。また6曲について本人の言葉を借りると以下の通り。クラリネット奏者の面白い動きも書いてあります。
 I. L’Ouïe (Hearing):the calmly breathing orchestra
          クラリネッティストは会場内のどこか見えない処で演奏する
 II. La Vue (Sight):opens up a more mobile landscape
         クラリネッティストがステージに上がる
 III.L’Odorat (Smell):colour music
          オケの後ろで演奏する。指揮台でも良い
 IV. Le Toucher (Touch):the soloist arouses each instrumental section
            ステージ前方に進み出る
 V. Le Goût (Taste):dominated by rough surfaces
          オケの中、前方、指揮台に座る
 VI. A mon seul Désir (According to my desire alone):intimate and timeless dimensionality
          正面に出た後ステージから去る。合わせてvnも立ち去ってよい

その演出も含め、生で観られるのが実に楽しみですよね!

試しにYouTubeで観てみる?
これで当日の様子も予測がつきますね ^^;


□ ラテルナ・マギカ 幻灯機「Laterna Magica」 (2008年)
 Stiftung Berliner Philharmoniker と Lucerne Festivalの委託曲です。副題があるとすれば Ingmar Bergman's memoir という事でしょう。これも書かれている通りです。
官能的な長音の重なり、色彩あふれる響き、その中に変化する強音と揺らぎ、で構成される管弦楽と打楽器の空間音響です。特に、織り込まれる透明感ある打楽器の音色がとてもマッチしていて、サーリアホらしさが出ています。小さな囁きが聞こえるのも特徴的ですね。
楽曲としてはこちらの方が、よりスペクトル楽派的完成度が高いように思えます。というか、好みです。

□ レイノの歌「Leino Songs」 (2007年)
 フィンランドの詩人Eino Leino の四つの歌(I. Sua katselen, II. Sydan, III. Rauha, IV. Iltarukous)をベースにした楽曲で、ソプラノはAnu Komsiになります。
陰的な美しさ、透明感の歌曲です。基本は代表作である「遥かなる愛 (2000年)」と似ていますね。

2010年録音で、演奏はフィンランド放送響(Finnish Radio SO)、指揮は2012年まで首席指揮者だったサカリ・オラモ(Sakari Oramo) のFinnish setです。
今回の来日に関係なく個人的におすすめの "今の時代の" 現代音楽です!



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カーゲルの 5 Stücke der Windrose / Phantasiestück を聴く

冗談好き?の現代音楽家マウリシオ・カーゲル(Mauricio Kagel、1931/12/24 - 2008/9/18) はアルゼンチン生まれのユダヤ系ドイツ人現代音楽界です。劇・映画音楽やハプニング、そして社会的テーマを得意としていますね。
カーゲルといえば指揮者が倒れる"フィナーレ"が有名になっちゃいましたね。他にもティンパニに飛び込むなんていうのもありますが…

このアルバムは後期の室内楽曲で演奏はSchönberg Ensemble, 指揮はその創設者である現代音楽家Reinbert De Leeuw(1938/9/8 - ) になります。

1) 5 Compass Pieces For Salon Orch. (1988-1991)
 The Compass Pieces とある様に、地理的優位性・見方をテーマに作られています。地球規模で考えた気候の差や文化を語っています。曲は近代和声ではなく民族音楽をベースにした無調作品ですね。独特なリズム感です。カーゲルの楽しさを味わえると思います。
 -1. East:アラビアの様な和声とリズムに終始する奇妙な楽曲で、多少の不協和音はあってもここでは基本的な和声は成立していますね。
 -2. South:ここでは無調になり、Eastに似た和声をベースにスタートしますが調性からかなり外れて行きます。またリズムも変拍子になって来ますね。
 -3. North-East:ここでも得意なリズム感と不協和音的、範疇?、の無調の展開です。より調性感は薄くなり民族音楽的和声も微妙です。
 -4. North-West:静的展開を見せながら、ノイズ系の音も入ります。そして途中からはポリリズム化して大きく変化しています。
 -5. South-East:小走りする様なリズムとその変異、そして混沌です。不思議な美しさを持つ楽曲になりますね。個人的にはこれが一番興味深いです。

2) Phantasiestuck (1989)
 Govert Jurriaanse のフルートと、Marja Bon のピアノが小刻みな音を刻む様にリードしていく無調の室内協奏曲的な楽曲です。管楽器、弦楽器共に特殊技法・奏法とまでは行きませんが、時折微妙な音を使って来ます。ただ楽曲全体では特別な作曲技法を凝らしたものではなく、無調の室内楽として完成度が高いと思いますね。
試しにYouTubeで観てみる?

シニカルなカーゲルらしい一曲目、無調の室内楽の二曲目、いずれコンサートで聴いてみたいです。



なぜかamazonではジャケット写真が無い事や、不自然に価格が高い事が多々ありますね。
MauricioKagel-5StückeDerWindrose
この手のCDを取り扱っているお店なら、在庫が今でもあればもっと安く普通の金額で変えますw

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2015年5月22日 リンドバーグ / 都響 の ステーンハンマル, サンドストレーム, ベートーヴェン at サントリーホール ★★

いい陽気でコンサート日和の週末金曜日。六本木一丁目までコンサートに行って来ました。そして最近、個人的に何だか肩の力も抜けてとても良い感じです。今回は久しぶりのリンドバーグですね。
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個人的には クリスティアン・リンドベルイ(Christian Lindberg)の方がピンと来ます。スウェーデンのスーパー・トロンボニストで現代音楽家 & 指揮者としてもCDも出し、今回は二役(tb, cond.)を楽しめます。ファンとしては嬉しい限りです。
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■ ステーンハンマル:序曲「エクセルシオール!」 作品13
 前半にスウェーデン人作曲家二人、Stenhammar と Sandström を持って来てくれました。これは初期のステーンハンマル作品でドイツ系古典的色合いなのですが、管楽器を抑え目にして全体を北欧を思わせる様な清々しい様相に指揮していました。
感じとしては助走的なイメージでしょうか。

■ サンドストレーム:永遠のエコー(2本のトロンボーンと管弦楽)<日本初演>
 リンドベルイと同郷で朋友のJan Sandströmを日本初演してくれるのは格別です。サンドストレムの「モーターバイク協奏曲」のトローンボーンで若きリンドベルイは名声を得ている訳ですから。
期待通りこれが最高でした! 現代音楽とは言え大きく調性から外れる事も無く、聴き易いヴァレーズ的派手さと色どりの強いこの楽曲を思い切りドライブさせました。
サイレン他のミュージックコンクレートや、入りは指揮者無しのまま出てリンドベルイが左、桒田 晃が右の舞台裏からブラインドでtb演奏、エンディングは桒田 晃のtbにリンドベルイがミュートを被せて終わるとか、それっぽさもうまく演出されました。
ここでのリンドベルイはtbと指揮者の吹き振りですが、ちょっと窮屈そうでしたね。
でもメンバーの充実感は例によって足踏みでわかりました。
兎に角素晴らしかったのは、演奏の完成度の高さ。意思の疎通と練習の成果が出たのでしょう。一体感、演奏の充実感、迫力、いずれも素晴らしかったです。

■ ベートーヴェン:交響曲 第7番 イ長調 作品92
 さて、この古典で派手でコンサート受けする楽曲をどう味付けするのか楽しみでした。ヒントは、CDチャイコフスキーの交響曲第5番。重厚さと過度の盛上りを避けて管楽器群の明瞭さを表に…といった予測でした。
が、三楽章までは何か変??。破綻をきたすわけでもなく、意味不明でもなく。でも、よそよそしいんですw
演奏は悪くないけど、超平凡です。でも一気に表情が変わったのは唯一アタッカで入った第四楽章。いきなりのハイペース‼︎ リンドベルイも読響メンバーも動きが全く違います。抑揚や重厚を排したスピード感が凄い。そのままフィニッシュまで突っ走りました。お見事!
この楽章だけ、リンドベルイが実際にオケと調整したのではないでしょうか。
二曲目とこの楽章なら★★★です‼︎

震災復興ソロのクリスチャン・リンドバーグの心意気を忘れる人はいないでしょう。もちろんこのコンサートに来ない理由など見つかりませんでした。
今回は、指揮者としてのリンドベルイを楽しめました。けっこうやるなって感じですね。それにしてもリンドベルイ、相変わらず派手ですね。お色直しは赤→白→黒でしたw

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ジャンル : 音楽

現在進行形の現代音楽:Afiara Quartet の Spin Cycle を聴く

Afiara Quartet の Spin Cycleが5/12に配信開始されたのでさっそく聴いてみました。
作曲者(Kevin Lau, Laura Silberberg, Rob Teehan, Dinuk Wijeratne)、演奏者Afiara Quartet、リミックスのDJ, Skratch Bastidが役割分担をするコンセプト作品で、全カナダ編成のクラシカル&ポップ系現代音楽です。

各曲 [1.String Quartets]-[2.Remixes]-[3.Composer Responses] という3ステージになります。
[1.String Quartets] 原曲の弦楽四重奏曲(二・三曲構成)でカナダの若手現代音楽家四人に委託しています。inspired by popular themes とあり 前衛ではなく機能和声です。
[2.Remixes] DJ スクラッチ・バスティッドによるリミックスです。皿回し,打楽器(ドラムsynth.?)&電子処理で一気にラップ&ポップなDJ.Quintetに化けます。
[3.Composer Responses] 作曲者がそれを受け、弦楽のadditional対応して完成度を上げます。ここでDJとAfiara Quartetの実演DJ.Quintetになりますね。

1) Two Pop Songs on Antique Poems [Dinuk Wijeratne]
 ディヌク・ウィジェラトネは指揮者・ピアニストとしても活躍するスリランカ生まれの現代音楽家です。
S.Q.はメランコリックでちょっとマリピエロを思わせるような処もあり、特に一曲目は楽しいです。アフィアラ弦楽四重奏団の演奏も悪くありません。初めて聴くとRemixの変化が大きく、Responseは単に延長上に感じます。

2) Transcendence [Laura Silberberg]
 トロント大で作曲の博士号(Ph.D.)を取得した女性現代音楽家ローラ・シルバーベルグの作品です。
S.Q.はロマン派風な情感ある楽曲で一曲目は美しい弦楽四重奏曲です。Remixは二曲目のコーダに被せる様に入って繋がり感があります。これが基本の様です。Responseは弦楽とのバランスが良くなりますね。スクラッチも効果的です。

3) Infinite Streams II [Rob Teehan (1983 - )]
 ロブ・ティーハンはカナダJuno Awardsに最年少27歳でノミネートされ、Composer for Film and Televisionと評価される現代音楽家ですね。
ピチカート主体の一曲目、美しい緩徐的二曲目、ポップな三曲目、民族音楽和声も交え特徴が出ています。Remixは三曲目のメロディラインを生かしたスクラッチの効いたポップ系で面白く、Responseでティーハンが弦楽に力感を加えて更にワンアップしています。

4) String Quartet No.3 [Kevin Lau (1982 - )]
 ピアニストとしても活躍する中国系カナダ人現代音楽家ケヴィン・ラウによる作品です。
このS.Q.は切れ味があり、一部調性感の薄さや奏法の色付けで現代音楽らしさも見せます。これは生のS.Q.で聴いてみたいですね。Remixは原曲の複雑さを生かしきれていませんが、Responseでラウが弦楽主導の刺激的な味付けに作り上げます。

個人的には 1),2)はありきたりなS.Q.、面白いのは 3),4)です。

3ステージ構成はわかりましたが、DJ起用は今更ですし 似たような四曲を並べる理由も不明です。
でも そこに新しい視線が隠れているのかもしれません。
いずれ 現代の先端音楽の一つをリアルタイムで楽しめるのは嬉しいですね。
試にYouTubeでちょっとだけ覗いてみる?

ちなみに明後日 5/23にトロントのRoyal Conservatory of MusicでSpin Cycle初演予定です。

実はこれには4th stageが控えています。来年2016年3月、Kevin Lauの楽曲をトロント響と声楽5人がDJ & Afiara Quartetと共演します。このプロジェクトがどこへ向かっているのか興味深いですね。



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ジャンル : 音楽

ポップな現代音楽:マルティンセン Marthinsen の Snapshot Symphony を聴く

ニールス・マルティンセン(Niels Marthinsen 1963 - ) はデンマークの現代音楽家で、 このBlogでもお馴染みのペア・ノアゴー(Per Nørgård, 1932/7/13/ - ) に師事しています。ドイツやフランスではなく自国から育つ、その辺が北欧系の現代音楽家らしいです。
漫画世代の音楽家でスーパーヒーローとSFで育った影響が大きく、それらをモチーフにした作品も多く作られています。米国ポップ系の現代音楽に近い感じもしますね。

前衛ではなく、マニエリスムで明るくわかり易い展開です。

Symphony No.2, "Snapshot Symphony" (2009年)
 ディズニーのアラジン等のポップカルチャーイメージからメキシコ、アラブ、中国といった三楽章に展開しています。前衛とは真逆、明瞭そのものの楽しさです。引用等を使い華々しく、まさにポップ! メキシコ風、アラブ風、中国風、あくまで"風"の味付けは有っても基本は西洋和声です。
吉松 隆"風"?? コンサートでわざわざ聴きたいとは思いませんがw
Concerto for Three Trombones and Orchestra, "In the Shadow of the Bat" (2009年)
 三本のトロンボーンコンチェルトです。指揮がSuperTrombonistリンドベルイですからね。The Bat とはもちろんバットマンです。そして敵であるジョーカー(alt tb)とトゥーフェイス(tenor tb), ペンギン(bass tb)、その三人をそれぞれのトロンボーンで表しているそうです。
調性感の薄いやや混沌とした楽風のtbコンチェルトで俄然面白いですね。toy pfなども登場して緊張感のある展開です。静音パートと打楽器を使った強音パートの出し入れ、その中にtbのテクニカルな響きが効いています。リンドバーグの指揮も当然ながら効果的でしょう。
Snow White's Mirror - Opera Trailer (2010年)
 白雪姫をベースとした三楽章形式の作品ですが、特に意識する必要は感じませんw 機能和声の楽曲で、二楽章では調性感を薄くして和声の拡張も見られます。二三楽章の展開は悪くありません。
The King of Utopiaville Demo (2009年)
 新自由主義を標榜する市長Brixtofteのワインの金遣いの荒さをネタにした楽曲だそうです。リズム感の強い派手で明瞭な楽曲で、オペラのデモ曲になります。ドンシャン的で旋律の明確な展開はELPあたりがやりそうな気配といったらわかってもらえるでしょうか。楽しい事は楽しいですが、それだけ…的な感じです。

演奏はデンマークのローカル、オーフス交響楽団(Aarhus SO)、指揮はkokotonPAPA大ご贔屓のクリスティアン・リンドベルイ(Christian Lindberg)です。
もちろんこのアルバムの購入のきっかけもリンドベルイが指揮とtbの協奏曲があったからですね。そこは期待を裏切りませんでした。
今週22日(金)のリンドベルイのコンサートは楽しみです。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

播州一献 と 祐村 を飲む:発泡系日本酒で大騒ぎ

毎日気持ちの良い気候で清々しいですね。そんな季節はやっぱりお酒、日本酒です。
今回は大騒ぎになった 播州一献の発泡酒です。(笑)

◆播州一献 限定 純米無濾過 澱絡み生
 兵庫県宍粟市山崎町 山陽盃酒造
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まるでスパークリング・ワイン(シャンパン)! 栓を開けるなり、吹き上げて1/3は床にw  みんなで大騒ぎでした。
ほどほどな甘口、強炭酸。驚き! 注いでも、濁りの白さも発泡も凄いです。フルーティで発砲!ワインの様でした。

(実は開封前に、濁り具合を見せてくれる為に一度ボトルを横にして起こす動作を…で、ポンッ! ブッシュ〜シュワッ〜)


◆祐村 無濾過特別純米生詰酒
 新潟県新潟市舟戸 村祐酒造
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上品な甘口イメージの「村祐」で有名な村祐酒造さんの、赤ラベルに逆文字の「祐村」。久しぶりですね。辛口に仕上げているのでラベルが違うのは有名な話ですね。
例によってピシッと辛口、サラッと水の如し。美味し!

飲むのも楽し、初体験も楽し、お酒は何やっても楽しいです。^^v

テーマ : 日本酒
ジャンル : グルメ

Bang On A Can All-Stars の Big Beautiful Dark and Scary を聴く

Bang on a Can の話が出たところで、そのバンドである Bang on a Can All Stars です。BOACから1992年に生まれた今の時代の現代音楽の演奏ユニットで、前衛クラシックのみならず、ジャズ・ポップ・ロック・実験音楽・等々ジャンルレスのsextetです。
編成はvc, b, pf, perc, g, cl の6楽器で もちろんBOAC設立の3人、Michael Gordon(マイケル・ゴードン)、 David Lang(デイヴィッド・ラング)、Julia Wolfe(ジュリア・ウルフ)、の楽曲も演奏しています。

2CDを作曲者ベースで紹介します。

01. Julia Wolfe - Big Beautiful Dark and Scary
 まずはBOAC創設者3人が並びます。ウルフによる表題曲は弦楽トレモロがリードするハイテンポな定リズム曲ですね。ポストミニマルでクロノスあたりが得意としそうな楽曲です。もちろん楽器編成は異なりますが。

02. David Lang - Sunray
 雨音の様な弦のピッチカートと単音の組合せで終始するラングらしい明瞭感のある楽曲です。時折ボウイングによる強音パートが現れるのも特徴的。

03. Michael Gordon - For Madeline
 pfの高速ミニマルを底流にドローン系の音を組み合わせてあり、ほとんどがそのリズムで展開されるゴードンの曲です。最後にpfが強音の旋律になって現れて展開を見せてくれます。
試しにYouTubeで観てみる?

04. Evan Ziporyn - Shadowbang
 エヴァン・ジポリン(1959/12/14 - )はクラリネッティストでオリジナルBOACマラソンメンバーでもあり、All-Stars創設メンバーですね。Shadowbangは同名アルバムから三曲のpicupで、[I.Angkat]はミニマルで入り、ジャズのフュージョン系と言った楽風に変化します。後半はフュージョンそのものといってもいい感じです。[II.Ocean]は一転してラング的な音の並びに静的で音数の少ないミニマル系、続く[III.Meditasi, Head]でやや厚めの音になりながら、最後はロック風に大きく変化していますね。ジポリンらしい幅広い楽風の曲で、ミニマルの音色と緩いリズムの中にバリ/ガムランの傾倒も感じられます。ちなみにジェラール・グリゼー(Gérard Grisey)にも師事していますね。

05. David Longstreth - Instructional Video, Matt Damon, Breakfast at J&M
 Dirty ProjectorsのギタリストDavid Longstrethによる小曲3曲です。ポップミニマルでとてもわかり易い[Instructional Video]、ベースとチェロのスローなボウイングが響く中にピアノ、打楽器が入ってアンサンブルになる面白い楽曲[Matt Damon]、一二曲の中間とでもいう楽風の[Breakfast at J&M]です。
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06. Conlon Nancarrow - Four Player Piano Studies(arranged by Ziporyn)
 このブログでもおなじみのコンロン・ナンカロウ(Conlon Nancarrow、1912/10/27 - 1997/8/10) のプレイヤーズピアノ曲Study 2a, 3a, 3c, 11, の四曲を前記ジポリンが編曲した楽曲です。
全てジャジーなピアノ曲なのをsextet版にした訳ですから驚きですが、これもあり的な楽曲になっています。
Study 2aはデキシー、Study 3aはブギウギ、Study 3cは変則4ビート、そしてStudy 11は8ビートのフリージャズ、です。下記YouTubeでオリジナルと聴き比べてもらえば、これがBOACの楽しさの一つと思えるのではないかと… 
試しにYouTubeで観てみる?
ちなみに強烈なブギウギplayer pianoのNancarrowオリジナルStudy 3aもどうぞ!


07. Louis Andriessen - Life - Part I~IV
 ルイ・アンドリーセン(1939/6/6 - )はオランダ人現代音楽家で、セリエルから始まりジャズやミニマル等の激しい変移を見せますね。ライフは4パートからなりますね。
[Part I: Wind] はポストミニマルの前衛で、ジャズとクラシックの中間的立ち位置。[Part II: Couple] は、音数の少ない不協和音単音点描的なミニマル。[Part III: In the distance] は、打楽器ノイズ系ミニマル? そして[Part IV: Light] は、静的な中にギターが際立つフリーインプロビゼーション的で徐々にクレシェンド、と顔つきが異なる4つのポストミニマルが並ぶ楽曲です。

08. Kate Moore - Ridgeway
 オランダ在住のオーストラリア人現代音楽家のケイト・ムーア(1979 - )は、上記Wolfe, Lang, Gordon, Andriessen, に師事しています。まさにBOAC向き!?音楽家ですね。
強烈な反復からミニマルへ、そして美しい旋律とクラスターの混在。ポップベースの前衛ミニマルで、BOACの魅力全開。興味深いケート・ムーアですね。

米現代音楽を聴く時に欠かせない前衛系ポストミニマルの世界を見るなら必須のBOAC all-starsですね。




テーマ : クラシック
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