マックス・レーガーReger の Orchestral Works を聴く

ドイツ人音楽家マックス・レーガー(Johann Baptist Joseph Maximilian Reger, 1873/3/19 - 1916/5/11) のイメージはフーガをはじめとする対位法を活用した変奏曲ですね。
レーガーは後期ロマン派の重厚な作風を元に、バッハから続く主題の変形操作やフーガ等の対位法技巧展開、そこからの管弦楽が楽しめますね。
また、新ウィーン楽派やシマノフスキ、プロコフィエフらに影響を与えていると言われています。(どの辺りが?)
もちろん年代から言っても所謂(いわゆる)現代音楽家という時代ではないのですが、世紀を跨ぐ機能調性の変化に生きた時代の曲想が楽しめるはずですね。まぁ個人的には今ひとつ…

本アルバムはセーゲルダム指揮によるレーガーの管弦楽作品3CDがセットになったので買ったものです。

[Disc 1]
◇モーツァルトの主題による変奏曲とフーガOp.132 (1914年)
 ピアノソナタ第11番「トルコ行進曲付き」第1楽章の主題を用いた10の変奏曲ですね。第1曲はテーマ、第2曲はそれに弦楽パッセージを加えたくらいなので個人的には退屈…^^; でもその後は変調や逆行形と言った施行を凝らした変化が楽しめます。最後の二曲、第9変奏曲と最後の第10フーガは素晴らしく、特にフーガはレーガーの持ち味が存分に感じられます。
ベースは古典ですが、一曲一曲の短い変奏の変化は洒脱です。
試しにYouTubeで聴いてみる?

◇ある悲劇のための交響的プロローグOp.108 (1908年)
 当時の大指揮者ニキシュに献呈された曲で当初は 'Symphonic Fantasy' のOvertureでした。
ブルックナーやマーラーを思わせるとライナーノーツにはありますが、実際にはワグナーを思わせるような30分を超える重厚な後期ロマン派管弦楽です。アゴーギクとディナーミクを大きく振っていかにも劇場的で、将に楽劇の幕が上がる前の前奏曲といった感じです。でもこの手を聴くなら何もレーガーでなくてもいいようなw

[Disc 2]
◇ピアノ協奏曲ヘ短調Op.114 (1910年)
 第一楽章は前曲と似た構成でコントラストの強い管弦楽にピアノです。出し入れも明確なのですが、オケとpfの対比に何か楽しみが欲しい様な。第二楽章は緩徐楽章ですが、流れるような…と言う訳ではありません。最終楽章は再び第一楽章に類したパターンに回帰します。構成は古典的であり展開もあるのですが、全体をみるとピアノもオケもパターン化された感じです。特にピアノはワクワクするような技巧パートや魅力的主題があるわけでもなく、ちょっと聴き疲れするかも。
初演は1910年12月にニキシュ指揮、ゲヴァントハウスで行われましたが評価は良くなかったそうです。カデンツァの様なピアニストが引き立つシーンが少ないからとか。

◇組曲 Op.93 (1906pf - 1916orch.)
 だったらこの時代風のバロック第一楽章の方が、古臭い対位法との対比でよっぽど楽しいかもしれません。それをモチーフに楽章変化や変奏するのを期待したら、第二楽章では後期ロマン派に一転しますが第三楽章では一楽章の主題が回帰します。展開はフーガらしさが強くなり、コーダで打楽器も含めて盛り上げて終わります。適当に美しい中途半端な第二楽章がねぇ…

[Disc 3]
◇ベートーヴェンの主題による変奏曲とフーガOp.86 (1915年)
 Beethoven の「11のバガテル Op.119 (11 Bagatelles)」の主題による変奏で、ピアノ連弾曲(1904年)をオーケストラ版にしたものですね。バガテルはピアノ小曲ですから変奏にはピッタリで、全10曲の1番が古典で退屈なテーマ、2番がレーガーらしい出し入れの強い後期ロマン派的変奏になります。この展開がレーガーらしさで、後は"モーツァルト"の方が面白いですね。最後の10番がフーガですが、その感はやや弱くコーダが設定されてあるのはお約束。

◇バレエ組曲Op.130 (1913年)
 6楽章からなる 'infinitely graceful' を狙って作られて楽曲です。1〜3曲はただの緩徐楽章ですが、以降はバレエ曲らしい変化が感じられます。特に4曲目などはストラヴィンスキー的和声をかんじますし、続くワルツと最終6曲目の流れは良いですよね。

◇4つのベックリンによる音の絵Op.128 (1913年)
 1911-14年は指揮者としての活躍期でした。その最盛期に色彩音楽、世紀末画家アルノルト・ベックリン(Arnold Böcklin)の絵画、を目指した四楽章作品です。機能調性から大きく逸脱はないのですが1曲目の和声に魅かれます。この曲のバリエーションが一番楽しめますね、最終楽章の入りはカヴァレフスキーっぽくもあったりしますね。

演奏は現代音楽家にして指揮者のレイフ・セーゲルスタム(Leif Segerstam)とノールショピング響(Norrköping SO)。ピアノはルーヴェ・デルウィンガー(Love Derwinger)になります。

マックス・レーガーというと同時代のブゾーニを浮かべますが、ブゾーニほどの洒脱な楽しさはやっぱりありませんね。
いずれ鬱陶しいほどの重厚さから逃れられない後期ロマン派と言うか、ドイツロマン派の時代的限界を感じます。大袈裟かな ヾ^ ^;



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2015年1月29日 井上道義 / 新日本フィル のオール現代音楽、クセナキス、武満徹、リゲティ at サントリーホール ★★


寒い中、2015年初のコンサートはサントリーホールでした。

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ミッキーのクセナキスとなれば、すぐに思い出すのはpf大井浩明と組んだ伝説?のシナファイですね。
今回はそのクセナキスの「ノモス・ガンマ」、武満徹「地平線のドーリア」、リゲティ「ロンターノ」、いずれすぐにイメージが脳裏に浮かぶ楽曲です。
ビッグネームで目新しさには欠ける作品群ではありますが、全曲現代音楽となれば行かない理由は見当たらないコンサートですw
当然井上道義得意のノモス・ガンマがメインな訳ですが、その並び順に思わずニヤッとしてしまいますね。
さて、その個人的思惑と結果はどうだったかと言えば...

『地平線のドーリア』は、CD"ノベンバーステップ"に入っているので通勤時などによく聴いています。コンサートでは前に8人、離れて後ろ9人の弦楽編成で奏でられる静的幽玄な楽曲です。コントラバス3人以外の後ろ6人はポリフォニーで、それが深淵さを強調しますね。そう、地平線のドーリア、です。
この曲で見せる緩く流れる様な美しさはまさに井上道義真骨頂。この曲がこんなに美しいと思ったのは初めてです。

『トロンボーン協奏曲・オリオン・マシーン op.55』はマニエリスム系、古典回帰ではなく調性回帰、の吉松隆作品で唯一興味が薄い現代音楽なのですがハードドライブあり、メランコリックあり、楽しさいっぱいのカデンツァありで楽しませてくれました。吉松さん本人もオーディエンスで列席して盛り上がりましたね。
トロンボーンが当初予定の箱山芳樹から山本浩一郎に変更されたのが少し残念。かと思ったらそんな事ありませんでした。この曲は箱山さんの為に書かれた物なので。 
でもこの曲は今回必要だったのかなぁ、なんて個人的には思いました。

『ロンターノ』は、普段のコンサートでも時折採用される静的人気曲です。しかし中身はとても技巧的で数多くの声部が織りなす大編成ミクロポリフォニーですね。
ここでは美しさよりも静かに息づく生き物の様でした。マエストロ曰く、絵を見ている様な、との事。
個人的には、各楽器が個々に異なる動きを見せてくれる姿も印象的でした。

『ノモス・ガンマ』は個人的にも好きな楽曲で、まずはその特徴的な楽器配置。
ステージ中央に指揮者、それを中心に同心円を描きます。その同心円上に演奏者が配置される現代音楽ならではの構成で、溢れる程の大編成です。正面の席からは、指揮者は勿論、外周の演奏者の背中しか見えません。
派手な打楽器群協奏曲風ですが、その響き渡る打楽器群は最外周列に配されます。
管弦楽は「地平線のドーリア」の様な静的幽玄さを所々で感じさせてくれるはず(つもり)だったのですが、マエストロは全面音の大洪水パターンでした。これはこれで強烈な演奏でしたね。
エンディングと同時に指揮者自らの拍手で一気に拍手の渦。これはお約束ながら、大喝采!

何はともあれ井上道義氏の復活した姿が見られて良かったですねぇ。流石に痩せていましたが、相変わらずお喋りも絶好調でした。

個人的目論見通りに現代音楽らしい編成の妙が楽しめました。その意味で今回の席はとてもGoodな選択でしたね。
静的な一・三曲目の後に強烈なノモス・ガンマは予定通りだったのですが、二曲目が...
まぁそれは仕方ないですね。

今年初のコンサート、とても素敵な夜でした。


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岸野 末利加 の Irisation を聴く

日本人スペクトル楽派のアルバムです。ドイツ在住の現代音楽家 Malika Kishino(1971年 - ) はフランス電子音楽をベースにした空間音響で注目の活躍ですね。
かのIRCAMを初め、フライブルク・ SWRエクスペリメンタルスタジオ 等々の電子音楽研究所や、ヨーロッパの現代音楽祭での楽曲採用されています。

作風は空間音響で明瞭な楽器の音色や旋律、和声は存在しません。唸りや残響が空間に広がる音響世界で、基本はドローンです。
◇ Rayons Crépusculaires (2007-08)
大太鼓と三群14人の奏者と8chのライヴエレクトロニクス作品です。特殊技法による音と電子効果音が広がり、大太鼓の打音が響きます。
◇ Monochromer Garten II (2011)
バスクラリネット、バリトンサックス、そしてトロンボーンのトリオですが、うねりの中に単純音階が飛び交います。そこでは対位法的な、機能和声ではもちろんありませんが、楽器の組合せも使われます。この辺りの楽器は現代音楽で採用される機会が多いですね。
◇ Sensitive Chaos (2010)
トランペット、トロンボーン、2セットのドラム、ピアノ、チェロ、そしてエレキギターによる構成で音色が変化しますが基本的な音響構成は上記曲と同じです。ドローン的な背景音に各楽器の音階が交錯したうねりです。太鼓が入る事で音の広がりが大きく感じますね。
◇ Prayer / Inori (2011)
東京フィル合唱団のアカペラです。東日本大震災(Fukushima)の追悼として書かれ、日本題で"祈り"をわざわざ付けています。唯一ここではレクイエムと言っても良い様な和声を感じます。
コンサートで開催される事があれば、ぜひ行ってみたいと思います。
試しにYouTubeでこの作品のインタビューを見てみる?
◇ Du Firmament (2001-02)
pfも入った管弦楽曲で、音数が増えると印象も少々変わりますね。ディナーミクは弱いと入っても編成が大きいのでメリハリが付き、表情があります。年代的に他の曲よりも古いので楽風の変化かもしれません。もう少し他の作品も聴いてみないとなりませんね。

作曲方法がどの様な手法なのか、まだ詳細にライナーノーツを読んでいませんがとても気になります。
またここまで明白な空間音響と言う事になると、やっぱりライヴで聴いてみたいですよね。もう少し特徴的な展開があると、もっと素晴らしいでしょう。




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ソラブジSorabjiの「100の超絶技巧練習曲Transcendental Studies (第1-25番)」を聴く

以前も書きましたが、そもそもkokotonPAPAの現代音楽の元はピアノの超絶技巧曲でした。現代音楽それも前衛系は、過去の超絶系演奏家の作曲と通ずる事があると思いますね。
英国人カイホスルー・ソラブジ(Kaikhosru Shapurji Sorabji, 1892/8/14 - 1988/10/15) はピアノの技巧曲で知られる現代音楽家。シェーンベルクやベルクより少し若く、プロコフィエフとほぼ同年代です。
ピアノ超絶技巧曲、その超大肥大化で有名ですが、代表曲の一つがこの 100 Transcendental Studies for piano です。全曲で楽譜400ページ超、演奏8時間にも及び、これはその1番から25番までになります。

ライナーノーツには、エチュードは リスト、スクリャービン、ブゾーニ、ゴドフスキーに影響を受けているとあります。将にお馴染み、なるほどという顔ぶれですよね。そして影響を与えているのがリゲティ、ファーニホウとなれば、後者は前衛「新しい複雑性」の旗手になるわけです。そう言えば、同じ現代音楽未開の地 英国ですねw

ピアノ練習曲なので各曲毎に演奏する意図が書かれていますが、ショパンのエチュードの様な主題が明確に存在し 技巧展開する楽曲ではありません。(20とかが少しそれっぽいですが…) 抑揚を押さえる様にディナーミク・アゴーギクの振りは弱く、とにかく技巧全面押し出しです。
とは言え聴く方(の人なの)で面白いと思われるのは 7, 10, 14, 18, 20 あたりでしょうか。18などはスクリャービンやシマノフスキの先を感じますね、勝手ながらw

pf はスウェーデンのフレドリク・ウレーン(Fredrik Ullén) になります。演奏家の技術は年を追うごとに向上して、かつては演奏出来なかった曲が演奏出来る様になりますね。

個人的にソラブジの音を知ったのは遅く、マルカンドレ・アムランのアルバムでした。他人の演奏を許可しなかったとか、逸話は様々ありますので興味のある方はググってみて下さいね。
ピアノソナタNo.1、Piano Music and Transcriptions 等、他にもまだ持っていますのでいずれまた。

試しにYouTubeでNo.71をUllénのpfで聴いてみる?
 (怪し気な美しさです)





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John Adams の Violin Concerto を Chad Hoopes で聴く

米国新進気鋭のヴァイオリニスト チャド・フープスのファーストアルバムです。
メインは超有名曲のメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲第2番なんですが、個人的に聴きたかったのはアダムズの方ですね。米国現代音楽も楽しいです。

米現代音楽家ジョン・アダムズ(John Coolidge Adams、1947/2/15 - ) はポストミニマルで有名ですね。1993年の本作品ヴァイオリン協奏曲もミニマルからの脱却後の作品になります。Mendelssohnを聴いた後では変な和声を強く感じますが、調性感の強い現代音楽です。ポストミニマルですが要は多様性で、機能和声をベースに調性からの脱却で自由度を広げている感じですね。

第一楽章は緩い定拍パルス的な弦楽団のピチカートをバックにフープスの不協和音的なvnが自由に勇躍する感じです。微妙な不安定感が良い感じですね。途中からそのリズムが変化し、崩れて行く展開も面白いです。
切れ目なく続く第二楽章は緩徐楽章になります。ここでも弦楽団の暗く重いスローな流れの中でHoopesのvnが調性薄く奏でられます。複調多調といった感じの和声で、美しさを感じます。
第三楽章はtoccareと表示がありトッカータです。ミニマルを思わせる様にvnが小刻みな早いテンポを刻んで行きます。調性感はとても強く祭典的な楽章ですね。
民族音楽的な和声も途中で見せたり、いかにもJohn Adamsらしい楽曲で楽しめますよ。個人的には機能和声の縛りから脱却した和声の音楽が好きですね。前衛だけが現代音楽ではありませんね。

指揮はクリスチャン・ヤルヴィ(Kristjan Järvi)、お父さんはネーメ(指揮者)でお兄さんがパーヴォ(今年からN響首席指揮者)、でオケは音楽監督を務めるMDR ライプチヒ放送響になります。



ちなみにメンデルスゾーンの方は有名すぎて何ともコメントしようがありません。ここ10年以上聴いていませんでしたね。でもChad Hoopesのvnの音色はやや寒色系で細めの繊細さ、好みの方向性ですね。野太く暖色系の音色は得意ではありません。
ライヴで聴いたら楽しそうです。


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クリスチャン・リンドバーグで聴く チャイコフスキー : 交響曲第5番

前回に続いてkokotonPAPAご贔屓のクリスティアン・リンドベルイ(Christian Lindberg, 1958年 - )。その指揮者としての作品です。どうもリンドバーグという呼び方にピンと来ませんが…

この曲は頭の中に明瞭なイメージがありますね。言わずと知れたムラヴィンスキーの1960年DG盤です。レコード時代からこの演奏が標準です。他にはストコフスキーとチェリビダッケくらい。
でも曲が良いですから、コンサートでも見に行きますし安心して聞ける楽曲です。ちなみにkokotonPAPAはチャイコ好きです。世界一のメロディーメイカーだと思いますね。^^v

第一楽章、全体に明るいです。入りのスローさはありましたが、"運命の主題"に重さはなく明るさと広さを感じますね。もちろん情熱的である事は言うに及びません。
第二楽章も入りはスローで夜明けの日が射す様に見晴らしが良くなり、緩い穏やかさが漂いますね。中盤はややペースを上げますがすぐに穏やかな"運命の主題"に戻ります。
第三楽章のワルツも薄味で流れ、独特の和声感じます。楽譜は同じなのですがw
最終楽章でも展開は同じで、穏やかな広がりです。途中のマーチも穏やかさが勝ちます。本来はここで一気に盛上がるのですが、過度の盛上りを押さえていますね。全休止以降はリンドベルイの展開らしさが一気に放たれて明るく勝利を祝う様な見事なコーダになります。

現代的解釈のチャイコフスキー交響曲第5番でしょう。全体を通して重厚さを排除し、北欧的な?独自の和声感を持っています。明るさを感じるのは管楽器の明瞭さでしょうか、トロンボニストならではかな。
これもありでしょう、贔屓目も含めてw

演奏は、ノルウェーのアークティック・フィルハーモニー管弦楽団 (Arctic Philharmonic Orchestra)になります。
また、このCDには白鳥の湖の組曲がカップリングされています。



5/22(金)、サントリーホールでリンドベルイのトロンボーンとベートーベン第7番の指揮が予定されていますね。行くしかありません。

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リンドベルイの A Composer's Portrait を聴く

スーパートロンボニスト、指揮者、そして作曲家として活躍中のクリスティアン・リンドベルイ(Christian Lindberg, 1958/2/15 - )、その作曲家としての のCDになります。今までも何回か紹介しているkokotonPAPAご贔屓の現代音楽家ですね。
クリスチャン・リンドバーグの表記はどうもシックリ来ませんねぇ、5/22(金)来日公演の案内にはそうなっていますがw

Helikon Wasp (2003) はトロンボーン協奏曲とでもいう感じですが、リンドベルイの掛け声が処々で "Hlikon Wasp!" 他(歌詞はリンドベルイ作)がファルセットヴォイスで入ります。曲調は調性内でコケティッシュな感じで洒落が聴いている感じ、とでも言うとわかってもらえるでしょうか。ここでも超絶的なタンギングのトロンボーンを聴かせてくれています。
The World of Montuagretta (2001-02) はフルートと室内管弦楽の5楽章の協奏曲です。フルートは技巧的で、曲調は調性内で静と動 スローとスピードの出し入れのメリハリがある美しい楽曲です。リズムはストラヴィンスキー風に感じる事もありますね。フルートは Sharon Bezaly になります。
実はこの曲は 彼女のフルートのアルバムNordic Spellで以前紹介済みです。
Condor Canyon (2000) も美しい旋律をもつトロンボーンと管楽五重奏曲になります。トロンボニストだけあって管楽器同士の音の組合せがとても心地良く響きますね。
試しにYouTubeで見てみる?

'…Ty Solen är uppe!' (1999) はトロンボーンと男声合唱の作品です。詩は August Strindberg の '…For The Sun is arisen!' になり、英訳付きです。英題で何となくわかるでしょ。俗語オラトリオ風な楽曲ですね。
Behac Munroh (2004) このアルバムの中では最も新しい作品で、tp & tb orch. の楽曲です。ここでは重厚感が強く、僅かながら調性の薄さを感じさせてくれる様になります。一部ラテン系の旋律も感じますね。方向性は違いますが、リンドベルイが指揮で録音を進めているA.ペッテションを彷彿とさせる気がします。とは言え技巧的には tpとtbの演奏が光る楽曲でもあります。

リンドベルイの楽曲は新ロマン主義的な傾向から進化しつつある様ですが、次のアルバム Composer's Portrait II ではどうなっているのでしょうか? まだ入手していませんが、聴いてみたいですね。




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マリピエロMalipiero の Complete String Quartet を聴く

以前も紹介しているイタリアの現代音楽家 ジャン・フランチェスコ・マリピエーロ(Gian Francesco Malipiero, 1882/3/18/ - 1973/8/1) は、マデルナやダラピッコラが師事してますが前衛的な方向性は強くありません。
イタリア的な旋律を残した機能和声、ドビュッシーの影響から独自の和声、そして無調へと変化しますが、聴き易いと思います。

その中でも、この弦楽四重奏曲は個人的にもお薦めです。上記の楽風変化が如実に聴いてわかるのも楽しみです。

□ String Quartet No.1 (1920) は機能和声の楽曲でモンテヴェルディとヴィヴァルディ校訂者のイメージの楽曲です。情熱と悲しみ、美しさと冷たさを持ち合わせたイタリア的な美しい楽曲で、個人的お気に入りの一曲になります。
この曲の演奏は以前紹介したブルネロの方が良いと思いますね。
□ String Quartet No.2 (1923) は一番の延長線にある様な主題と流れです。僅かですが機能和声からの広がりを感じますね。
□ String Quartet No.3 (1931) は調性の広がりを目指し始めている事を感じられます。No.1-2に並ぶ曲風ながら僅かですが新たな和声を展開しています。
□ String Quartet No.4 (1934) からは更に和声の変更が感じられて来ます。主題はマリピエロのもつ美しさですが、展開にはドビュッシーの影響を感じさせる独特の和声展開が見られます。背反的とも感じられる二つの顔が見られますね。
□ String Quartet No.5 (1950) 前作から16年、和声の展開は一つに融け合う様に落ち着きを見せています。そして その中には機能和声からの脱却も見えてきますね。
□ String Quartet No.6 (1947) 入りからいきなり調性感の薄い展開になり、処々でその感が強まっています。年代から行けばNo.5よりも早くの完成なのですが、調性からの脱却感はこちらの方が明らかに高いです。前停止を挟んで曲調を変化させるのも特徴的です。
□ String Quartet No.7 (1950) ここでは年代通りにNo.5に回帰する展開なのですが、楽曲全体がやや混沌として来ている感じがします。調性感の薄いパートはその感が明瞭です。
□ String Quartet No.8 (1963/64) 前作から14年後、完全に無調化された弦楽四重奏曲になります。とは言え十二音技法でもセリエルでもないので、旋律を残しながら調性の自由度を最大限広げた楽曲になります。それまでにあった明確な主題は存在しませんが、美しい流れはそのままです。

演奏は Orpheus String Quartet 。イタリア的でありながら 全曲通して透明感ある冷たさと、エモーショナルなメランコリックさがすばらしく、kokotonPAPAお奨めの弦楽四重奏曲集です!
特に弦楽四重奏第一番は名曲と呼んでいいと思いますね。^^v
試しにYouTubeで聴いてみる?




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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。





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