シェーンベルクSchoenberg「月に憑かれたピエロ Pierrot Lunaire」の聴き比べ #4

2014年最後の投稿は、シェーンベルク (Arnold Schönberg, 1874/9/13 - 1951/7/13) の「月に憑かれたピエロ Pierrot Lunaire, Op.21」です。昨年の最後の投稿も この曲でしたので、今年もそうしてみましたw

今までに三回15CDを紹介して来ました。今回は5CD聴き比べで合計20CDになりますね。

ブーレーズで聴く「月に憑かれたピエロ Pierrrot Lunaire」3CDs
「月に憑かれたピエロ Pierrot Lunaire」の聴き比べ #2 6CDs
「月に憑かれたピエロ Pierrot Lunaire」の聴き比べ #3 6CDs

この無調の名作は、いろいろな演奏を聴く事でますます楽しみが増えると思いますね。以前も書きましたが… ^^ゞ


◆指揮:Pavel Hůla、ソプラノ:Alda Caiello 2011年
 近年はこの曲の新たな録音が出ないのですが、現代音楽を得意とするアルダ・カイエッロのシュプレッヒゲザングで楽しめます。演奏はプラジャーク弦楽四重奏団(Pražák Quartet & friends) になりますね。
やや遅めのPart 1 は透明感のある夢の中のお話といった感じがします。 狂気が見え始めるPart 2では、小劇場的な表現が顕著で演奏もコントラストが強くなりますね。Part 3でも同様で、シュプレッヒゲサングと演奏は対等な流れを見せる演奏です。まとまり過ぎて今ひとつ物足りなさを感じてしまいますが、狂気性・癖の少ない音の明瞭なPierrot Lunaireならこれが良いかもしれません。ライナーノーツには歌詞がドイツ語だけで、せめて英訳は欲しいですね。




◆指揮:Peter Eötvös、ソプラノ:Phyllis Bryn-Julson 1991年
 アンサンブル・モデルン(Ensemble Modern)とジュルソンのシュプレッヒゲサングは、両者の抑揚が強調された展開です。Part 2・3ではアンサンブルも表現力が強調されて一体化された様な感を受けますね。アゴーギクの強い演奏ですね。
フィリス・ブリン-ジュルソンは狂気よりも表現力強調型。Ensemble Modern の演奏が表情豊かで、そこもポイントですね。




◆指揮:Reinbert de Leeuw、ソプラノ:Barbara Sukowa 1988年
 フェードインして入って来る珍しいスタートの、シェーンブルク・アンサンブル(Schoenberg Ensemble)とスコヴァの演奏はとても両者がマッチしています。細く切れ上がるバルバラ・スコヴァのシュプレッヒゲサングは、何だか酔った様な不思議な表現で間を強調しています。アンサンブルもそれに応える様にスピード感溢れる展開です。
アゴーギク、ディナーミクが共に強く、そこから展開されるのは狂気です。9曲目のPierrot!の叫びは短くとても特徴的、ぜひ歌詞を見ながら表現を楽しみたいですね。暗闇を走っては辺りを振り返る、そして叫ぶ!様な展開、演奏も秀逸で強力な Pierrot Lunaire です!




◆指揮:Robert Craft、ソプラノ:Anja Silja 1997年
 Twentieth Century Classics Ensemble と、オペラでも著名なアニャ・シリヤのアルバムです。表情と表現はあるのですが、全編通して変化が類似しています。
Part 2での一種異常性の展開とかを期待するのですが、予想範疇での暴れた展開です。ぜんぜん悪くはないのですが、この曲に個人的に期待する予想を超えたものが感じられませんでした。揺らぎ、アゴーギク?、をもう少し振ってくれると好きなパターンかなぁ…
良くまとまっていますが、なんだか食い足りません。




◆指揮:Mauro Ceccanti、ソプラノ:Sonia Bergamasco 1997年
 いきなり狂気を見せつけるソニア・ベルガマスコのシュプレッヒメンテ、演奏はContempoartensembleになります。
落ち着いてみたり狂ってみたり、全休止があったり走ってみたり、Part 1 から全開です。上記 Anja Silja と同じ年の録音ですが、全編似た感じなら こちらの方が好みと言う事になります。
狂気の歌詞と無調の作品ですから、将にそう感じられるアルバムです。良いですね!



今や現代音楽の古典中の古典でしょう。昔 聴いた頃の強烈な違和感?! が感じられなくなったのが一番寂しいかもしれません。

試しにYouTubeで聴いてみる?
ソプラノ:Jesse Tatum
7曲目-13曲目(全21曲中)、part1からpart2(8曲目から)の一部で約10分です
テイタムはメゾソプラノ的で、演奏と共にやや抑えめの表現です。(英訳付き)

P.S.
Pierrot-Lunaire_at_MITAKA.jpg
そうそう、これは東京都三鷹の駅の近くにあるPierrot Lunaire! どうみても「月に憑かれたピエロ」だよねぇ。コンピューターソフトの会社だとか…

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

今の現代音楽:Donaueschinger Musiktage 2013 / ドナウエッシンゲン音楽祭2013 を聴く

ドナウエッシンゲン音楽祭は今や最先端の前衛・新人の登竜門 とは言いづらく、その開催が問われる状況が寂しいですね。それでも今の現代音楽を感じられる事に違いはありませんし、毎年発売される本シリーズはやっぱり楽しみです。そのうち2年に一度になっちゃうかも…
これは先月末(2014年11月)発売になった2013年度のCD(4枚セット)になります。
試しにYouTubeでDonaueschinger Musiktage 2013の様子を見てみる?


Speicher I-VI / Enno Poppe(1969/12/30 - ) 早くからダルムシュタットの教壇に上がる等、電子音楽をベースにした現代を代表するドイツ人音楽家ですね。個人的にはこの辺り、次のベルンハルト・ラングとか、が今の時代のclassicalで良いのではないかと思いますが。
2008年から作られている Speicher 。全体は Storage system で、本人の長い work process から変化に飛んだアイディア が 呼び出されて large-scall form になる、と言っています。どうも form という言葉にヒントがありそうですね。
I はヴィオラの特殊技法からフリージャズの様に、II では忙しないくらいに細かな音の組合せの小曲、III は2本のバス・フルートの音色と弦のグリッサンドで全体にスロー、IV は管楽器の対位法、フーガでありポリフォニー、V は IV と似た展開ですが、管楽器主体構成から pf, sax 等が入ってより楽譜的にも複雑性の様相を見せる様になっています。そして最後の VI ですが、単純な音程の反復が執拗に かつ微妙に変化しながら"うねり"の様な流れを作っています。
即興的なポリフォニーが主構成ですが、音列配置的ではありませんし極端な強音弱音の出し入れでも点描的でもありません。上記の様に楽器や流れも変化していますね。興味深いのは今回の VI の反復性でしょう。新しい form を感じます。
エンノ・ポッペ曰く「form は旋律やサウンドと同じくアイディア」だそうで、このシリーズはまだ続くらしいですね。
試しにYouTubeでSpeicher III, IV et Vを見てみる?
 (Donaueschinger Musiktage 2013 ではありませんが)


Monadologie XIII "The Saucy Maid" / Bernhard Lang(1957/2/24 - ) ジャズをベースとして、ターンテーブルを使った電子音楽が特徴のオーストリアの音楽家です。反復を多用する技法はダルムシュタットでも有名ですね。
この楽曲も徹底反復の四楽章管弦楽曲ですw 基本は多様性で、不協和音的な和声の中 調性感のある動機やが多々現れます。それが反復されて構成されますね。
このMonadologieはワークス・イン・プログレス的で、今回のXIIIでは大編成交響曲に書いているそうです。特にブルックナーの交響曲第1番の反復を参考にしているとの事、確かにブルックナーは最後の交響曲まで執拗な繰り返しを使いましたね。ベルンハルト・ラングはライナーノーツの中でブルックナーの反復について熱く語っています。
直接ブルックナーと比較しても埒が開きませんが、第三楽章の強弱の繰り返しの部分などは確かに類似性を感じますね。第四楽章のハイテンポの反復はポリフォニー的でもあり、より陶酔性を感じて面白いです!

Situations / Georges Aperghis(1945/12/23 - ) クセナキスに師事したフランス在住のギリシャ人音楽家です。Kagelに影響された大編成劇場音楽を作っていますが、実験的な電子音楽になりますね。
この楽曲は4部構成の23人編成室内楽になります。無調なのかセリエルなのか点描の音配置で各楽器と声楽(ソプラノとバリトン)が即興的に速いテンポで展開されて行きます。時折緩くなり、クラスター的に、またポリフォニー的にもなりますが。トーキングに室内楽がかぶったりもします。小劇場的で、その辺りは現在のジョージ・アペルギスのスタンスでしょう、楽しいですね。(独語歌詞がないのは辛いですが…)
でも、点描的な楽器展開のpartはいずれ古さを感じてしまいますね、個人的には。

Kerguelen / Alberto Posadas(1967 - ) スペインの音楽家です。フラクタル技法を用いた音響空間系音楽で、IRCAMでも電子音楽を学んでいます。数学を基本としていてトポロジー変換の様な変移性の音楽なども手掛けていますね。
この楽曲は電子音処理した木管三楽器(fl, Ob, Cl)とオケのトリプルコンチェルトになります。アルベルト・ポサダスらしい電子環境音楽で、基本はスローで単音の響きを強調しますね。木管は特殊技法とは言わないまでも?音響効果を狙う音色を出しています。うねる様な音の、音響?の、時にトーン・クラスター的な凶暴さが展開され引込まれてしまいます。スペクトル楽派らしさギラギラですね。

Suave Mari Magno・Clinamen I-VI / Walter Zimmermann(1949/4/15 - ) ドイツの音楽家です。ミニマルや米国音楽からの影響、故郷フランケン地方の印象からの電子音楽で、激情的な展開を徹底否定しているのが特徴です。ヴァルター・ツィンマーマンは親日家でもあり、竜安寺からインスピレーションされた作品も演奏しているそうです。
これはClinamenの完結編になるそうです。管弦楽ですが、音数は少なく展開します。管楽器がフーガの様な反復の流れを作るのはミニマルの影響でしょうか。スローで冷たく不安感漂う穏やかな環境音楽です。気持ちが凹んだ時なんかにマッチするかも?! 但し、最終のpart VI はテンポも速く点描的で反復の強いカラフルな展開、曲の色合いが異なりますね。

In situ / Philippe Manoury(1952/6/19 - ) 初期はシュトックハウゼンやクセナキスの高密集点描のセリエルに影響を受け、その後IRCAMやUCSDで電子音楽を学んだフランス人音楽家です。フィリップ・マヌリは近年オペラを多く書いていますね。
この曲もかけた瞬間からクラスター的強音世界が展開される管弦楽で、クセナキスを感じますね。瞬間的に強音と弱音が入れ替わるコントラストの強い音楽です。目新しさはありませんが…



今回はベテラン揃いで出来上がった作品が多いですね。へ〜ぇ??っていう感じの驚き・新鮮さは少ない感じです。

PS:2012年のDonaueschinger Musiktage はこちらです

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

ナンカロウ Nancarrow の Late & Unknown - Works on Rolls を聴く

コンロン・ナンカロウ(Conlon Nancarrow、1912/10/27 - 1997/8/10) と言えば何と言っても自動ピアノが思い浮かぶ現代音楽家ですね。有名にしたのはリゲティの影響とも言われていますが、リゲティ自身が自分の作品に影響を与えたと言っていますし周囲からもそう評価されていますから、その通りなのでしょう。
ナンカロウはアメリカ生まれのメキシコ人(亡命…政治的な経緯はググって下さいね)です。

その自動ピアノ(Player Piano)での後期作と得意とするカノン、そして一部ナンカロウ自身が所有していた改造Player Piano(ハンマー部に金具を入れていた)での演奏が入っているのが、このアルバムになりますね。

ジャジーでジャイブな1.for ligeti、Ursula Oppensに献呈された難解なカノン2-4.three canons for ursula(特に4.は秀逸!)、自動ピアノならではのウルトラ超絶性の各study for player piano nos.18,48,46,45d,47(特に48.のラストは狂喜できます)、世界初録音となる複雑な9.unnumbered study(canon 3:4:5:6)、等で全て自動ピアノでの楽曲です。
いずれも音列配置的な点描的演奏が多いのですが、旋律があって楽しさが感じられます。人間では弾けそうも無い技巧は感心するというよりも笑えるかもしれませんw
試しにYouTubeでStudy for Player Piano No. 47を聴いてみる?




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

マーンコプフの Pegasos・Kammerkonzert・他を聴く

ドイツの現代音楽家 クラウス・シュテファン・マーンコプフ(Claus-Steffen Mahnkopf、1962/10/22 - ) はポスト・ファーニホウとして名前が出て来ますね。
フライブルク音楽大学でファーニホウだけでなく、クラウス・フーバーにも師事していますね。フライブルク楽派と言われるメンバーを代表する一人で、30代前半でダルムシュタット夏期講習会の講師を務めています。
このアルバムは20世紀後半の現代音楽になりますね。

Pegasos [für cembalo](1991) は題名通りのチェンバロのソロです。音列的な音でありマニエリスムではないですね。また楽器から言ってもトータルセリエルではないでしょう。先鋭的なのはファーニホウ的です。
Kammerkonzert [für Klavier und Kammerensemble](1995/96) ライナーノートに Kammerkonzert の楽譜の一ページが載っているのですが、これを見ると将に"新しい複雑性"ですね。ピアノ符が三段になっている時点でで着いて行けませんw。言われている事ですが、ファーニホウとの類似性を曲とともに感じる強力なピアノと室内楽の楽曲です。
Il faut continuer [für Kammerensemble](1989/90) 室内楽で上記Kammerkonzertよりも複雑性は低いですが、音数やリズム変化があり抑揚を感じます。
Trema I [für Schlagzeug](1994) 1分半の短い曲で、パルス的に細かい打楽器音が並びます。Schlagzeugとはドラムセットの事ですが、いわゆるJazzやRockのセットとは違い打楽器セットですね。
試しにYouTubeで Trema I を見る?
5 kleine Lakunaritäten 1 -5[für Klavier](1994/95) は五つの小曲からなるピアノソロ曲です。打音的な展開も見せますが、基本的に音列的な楽譜配置を強く感じます。たしかに解説でも電子音楽で使われるフラクタル展開等とは異なるとありますね。
Medusa [für Oboe und Kammerorchester](1990-92) はピーター・ヴィール(Peter Veale)のオーボエが自在に飛翔する室内楽コンチェルトです。即興性を感じるオーボエと渦巻く流れの様なアンサンブルとの絡みでスリリングですね。コーダは強烈、ラストは一瞬にして消え入ります。オーボエの技量を問われそうです。
Trema II [für Schlagzeug](1994) Iに続く短い打楽器曲です。
memor sum [für Viola](1989) ボド・フリードリヒ(Bodo Friedrich) のヴィオラをフィーチャーしたソロ曲です。静的な特殊技巧?から入りますが、音は少なく微妙な和声が残るので不気味さを感じます。最後まで強音多音パートはありません。
Trema III [für Schlagzeug](1994) I, II, に続く短い打楽器曲。同じ様に一瞬の打音から入ります。

オーボエとのMedusaや、ヴィオラのmemor sumが好きですね。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

サーリアホSaariaho の Du Cristal, ...à la Fumée, Nymphea を聴く

オペラでも有名なフィンランドの現代音楽家 カイヤ・サーリアホ(Kaija Saariaho, 1952/10/14 - ) は、スイスの現代音楽家 クラウス・フーバー(Klaus Huber)に師事しています。同じフィンランドの現代音楽家 いつも紹介するノルドグレンやアホといった調性や無調・セリエルからの多様性と言った音楽ではなく、"前衛"ポスト・セリエリズムになります。(現代音楽とは? の個人的な意見ですw)

アコースティック楽器と電子音楽ライヴ・エレクトロニクスの音響を有効的に使ったスペクトル楽派の方法論を展開しているのが特徴ですね。フランス国立音響音楽研究所のイルカムIRCAM( Institut de Recherche et Coordination Acoustique/Musique)で学び、1980年代から活躍しています。
従って、"前衛の停滞" 以降の現代音楽家であり、音楽ではなく音の展開と言う事になりますね。

演奏は豪華メンバーで、一・二曲目はEsa-Pekka Salonen指揮 LosAngels PO。三曲目は Kronos Quartet です。

Du cristal (1989年) はライブ・エレクトロニクスを使った作品で、16'40"の音空間を味わえます。静的で連続的な音が空間を支配して、その中にオケの各楽器が絡みます。その音達は時にミクロポリフォニックの様な密集を魅せてくれます。全体的にはアンビエント、ドローン系の世界に近いですね。
...à la Fumée (1990年) はサーリアホがよく使うフルート(アルト)をフィーチャーしたオケによる音響系の楽曲です。連続音が支配するのは同じですが、こちらの方が各楽器の音色と存在がはっきりしています。電子音楽でなくても十分聴けると思いますが、"らしい"感じは残りますね。チェロとフルートによる協奏曲で、時にオケが打楽器を主体に強音で対応するのが "古い現代音楽" を感じます。声楽が入ったらもっと楽しそうですね。
Nymphéa(睡蓮, 1987年)は、ライブ・エレクトロニクスを使った代表曲になります。いきなり怪しげなヴァイオリンの唸りで入るので、クロノス弦楽四重奏団だとわかりますね。(笑)
曲想は ...à la Fumée に近いと思いますが、強音展開は String Quartet による演奏の方が個人的に好みです。ただ、この録音では エレクトロニクス処理が弱く感じるので違和感が少ないですが、出来ればもっと明瞭に効果を感じたかったですね。これはライヴで聴いてみたいです。表題の睡蓮はどこから来ているのか不思議ですが...
試しにYouTubeで聴いてみる?




来年2015年の5月29日に、T.ダウスゴー / 都響によるサーリアホのクラリネット協奏曲の日本初演があるので行かなければなりませんね。^^v


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

2014年12月12日 キエフ・オペラ~ウクライナ国立歌劇場オペラ~ プッチーニ『トゥーランドット』at 府中の森芸術劇場どりーむホール ★★★

会社帰りにオペラというのも一興でしょう。演目はプッチーニの最後のオペラ、トゥーランドットです。プッチーニですと「ラ・ボエーム」「トスカ」は好きですが、「蝶々夫人」「トゥーランドット」はあまり得意ではありません。
でも上演は三幕約2時間だし金曜日、それも府中なら見に行かない理由はありませんね。
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ウクライナ国立歌劇場(キエフ・オペラ)、悪くありませんでしたよ!
カラフのオレクサンドル・フレツはプロポーションが今ひとつですが、テノールは聴かせてくれましたね。声量も出て良く伸びていました。
トゥーランドットのオクサナ・クラマレヴァも役柄らしいキレのあるソプラノでした。

お馴染み第二幕冒頭のピン、パン、ポンの掛け合いも約束通り楽しめましたね。

リュウのフレヴツォヴァのソプラノはやや太め、もう少しリリコの感じが好みです。
とはいえ第三幕のアリア「心に秘めた大きな愛です」と「氷のような姫君の心も」は感激的です。
リュウの死の後の老王ティムール、セルヒイ・コヴニルも光るものがありました。

最近の演出はアヴァンギャルドな傾向が強いのですが、キエフの舞台は荘厳さがあり衣装もそれらしい派手な出で立ちです。
紫禁城公演のイメージがあるとステージがやや狭い感じが否めませんが、それでもオケも迫力を見せ十分に魅せました。
このオペラらしい大音響、スペクタクルの楽しさが伝わりましたね。

こんな金曜日は悪くないのですが、隣席の中年夫婦の男性がお喋りでうるさくて参りました。困ったものです。
仕方ないので、第三幕では空いている近くの席に移動しました。もちろん係りにお断りしてね。
せっかく楽しい時間なのにねぇ。

コストパフォーマンスのとても高い公演でした〜 ^_^v

 ・指 揮:ミコラ・ジャジューラ(音楽監督)
 ・管弦楽:ウクライナ国立歌劇場管弦楽団
 ・演出 :M.コラッジ

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そう言えば、光藍社のパンフレットの解説にはミスがあり、王子がティムールとなっていますね。おまけに、上演時間も3時間になってます。これを書いた人はトゥーランドットを知らなかったのかもw

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

クルト・シュヴィッタースの音響詩 What a Beauty / Lautgedichte / Ursonate を聴く?

音響詩、これを現代音楽に入れると話はまたもや飛んだ方向に行くでしょう。(笑)
クルト・シュヴィッタース(Kurt Schwitters, 1887/6/20 - 1948/1/8) は、ドイツの芸術家です。主に画家ですが、彫刻、グラフィック、等 多彩です。そのうちの一つが音響詩と言う事になりますね。

音響詩(Sound Poetry)とは、音が主体となっている詩、とでも言えば良いでしょうか。前衛としての音響詩は言語を意味から解放する事で、1950年代くらいから台頭しているようです。このブログで言う現代音楽の将に"前衛の時代"ですね。
シュヴィッタース本人もそうですが、ダダイズムとの関連が強いそうです。そうなると何でもあり、の気配がしますよね。

演奏?はシュヴィンドリンゲ(Die Schwindlinge)の3人、ジルケ・エーゲラー=ヴィットマン(Silke Egeler Wittemann)/マルティン・エーベルト(Martin Ebelt)/トルステン・ギーツ(Thrsten Gietz)です。

とにかく三人のヴォイス、例えば What a b what a b what a Beauty を繰り返し唄う?スタートから始まり、その手の唄いとドイツ語の詩の語りの組合せ。もちろん楽器のないアカペラ?です。歌詞がわからないのはいずれにしても辛いです。
唄いの部分は音程があるのですが、一味違った表現かもしれないけど無調でもないしそれなりの和声だし…

興味がわくのは21.booあたりから。無意味な言葉の羅列で音列があります。
聴き処はやっぱり Ulsonate (ウルソナタ)でしょう。長い一部(序章)で始り二部から四部までのソナタ形式、独語なのですが無意味に聴こえてしまうヴァーズィー・ヴィヴィーの様な音(声)で展開されます。違和感の無い和声も存在します。これは面白いかも。

音響詩もシュヴィッタースもダダイズムの範疇ですから、常識の否定・破壊と言う意味から言えば こんな世界もあるのかと思えます。そんな感じ。でも"詩"なのかヴォーカリーズなのか…
疑念を持った時点で、ダダイズムから行けばどっちでも同じ事!?w

試しにYouTubeでUlsonateを見てみる?








テーマ : お気に入り&好きな音楽
ジャンル : 音楽

エディソン・デニソフ の Works for chamber orchestra を聴く

旧ソ連出身で、後年亡命した 現代音楽家 エディソーン・ヴァシーリイェヴィチ・デニーソフ(Edison Vasilievich Denisov, 1929/4/6 - 1996/11/24) は、ソ連時代にヴーレーズ, シュトックハウゼン, を研究し反体制派と目されました。その作品はダルムシュタットにも紹介されていますね。
このCDでは1980年代の作品が集められて 時代背景から言えば前衛の衰退以降ですが、打撃的な強音やエレクトリック処理はありません。前衛というよりもセリエルの延長系多様性で、音の組合せから旋律は存在していますので安心して楽しめます。

1. Concerto For Two Violas, Harpsichord And String Orchestra(1984) は、表題通り室内楽になります。
本人曰く"The music of this piece is slow and gentle, melodic in conception and free in development" と紹介していますので、この文にある通りの楽曲です。ただ、slow and gentle かと言えば、そう単純ではありません。ヴィオラ二基は激しいバトルを繰り広げますし、時にスローというよりも飛翔といった感じもします。それは一部グリッサンドの弦楽器の絡みがワルキューレを思わせるからかもしれません。
キーはDと言っていますが、調性感は薄い楽曲です。全体的に不安感、幽玄、流麗なこの曲が一番良いですね。

2. Chamber Music For Viola, Harpsichord And Strings(1982) は、独特の和声でC-minorを基調に転調を繰り返します。本人は dodecaphonically (十二音技法的) と紹介していますね。流れは上記と同じく、緩やかさをベースに時に強音パートが現れます。打音的な展開はありません。

3. Variations On The Theme Of Bach's Chorale 'Es Ist Genug' (1986) はお馴染みのチェリスト:バシュメット(Yuri Bashmet) の依頼で書かれたピアノとヴィオラ曲を、室内楽に改編したヴァージョンです。ベルクのヴァイオリン協奏曲にも引用されたバッハのコラールがベースになっていますが、不協和音が挟まれて不安定さが強調されています。中半は調性感は薄く、その主題は消えて転調を繰り返している様ですね。後半で再び変調されたバッハの主題が戻ります。高揚感の無い新バロックとでもいうべき楽曲です。

4. Epitaph For Chamber Orchestra(1983) は一転して、管楽器と打楽器の対比になります。無調の管楽器群が陰的音階を絡みながら演奏し、ピアノと打楽器がインパクト的に交わります。1960-70年代に逆行したかの様な展開で、逆に古さを感じますね。



1. 2. 3 曲目のヴィオラには今井信子さんが入っています。


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

今の時代の現代音楽 Donaueschinger Musiktage 2012 / ドナウエッシンゲン音楽祭2012 を聴く

ヨーロッパの現代音楽、エクスペリメンタリズム系の前衛音楽の動向は、毎年開催されるドナウエッシンゲン音楽祭(Donaueschinger Musiktage)で楽しむことができますね。例年ほぼその前年度の音楽祭CDが発売されます。これは昨年13年に発行された2012年の物になります。
(写真にはまだ聴いていない今年発売の2013年度盤も一緒です)
DonaueschingerMusiktage2012-2013.jpg
楽曲を聴くというよりも、作曲者別に楽しむといった感じでしょうか。ダルムシュタットの常連も多く、その時代を感じられます。(もちろん全曲 World Premiere Rec. 世界初録音になります)
2曲ほどYouTubeで見られますよ ↓

【CD1】・・・40~50代バリバリ現役の調性回帰を感じる管弦楽作品
◇我が「我が祖国」/ マルティン・スモルカ
 My My Country / Martin Smolka (1959/8/11- ) はプラハ生まれチェコの現代音楽家で、本国ではオペラ"Nagano"が有名です。ヴェーベルンやミニマル、米実験音楽の影響を受け、micro-intervals が特徴と言われていますね。
ここでは三楽章形式をとっていて調性感の強い音楽です。明確な主題が存在して変則的なソナタ形式を感じさせてくれます。不協和音程度というとわかってもらえるか
もしれない空間系音響ですね。どちらかというと新ロマン主義、将に「我が祖国」の現代版?

◇燃え尽きた仕事 / アルヌルフ・ヘルマン
 durchbrochene Arbeit / Arnulf Herrmann (1968/12/12 - ) はグリゼーに指導を受け、IRCAMでも学んでいるドイツ人現代音楽家です。
クラスターやミニマル、反復の復活等々を展開した電子音楽になりますね。全体としてはセリエルの影響は感じず、調性感を残しながら技法を展開していますので聴きやすいですね。

◇フクル / ベルンハルト・ガンダー
 hukl / Bernhard Gander (1969 - ) はオーストリアの現代音楽家です。 最後に紹介するBeat Furrerに師事し電子音響音楽を学んでています。
超人ハルクをもじった楽曲とか。という事は標題音楽ですね。ハルクのストーリーイメージは湧きませんが、とにかく強烈な反復です。あらゆる動機、調性感の薄いものから明らかなテーマまで、が初めから終わりまで通して繰り返しで構成されています。それは見事に徹底されています。弦楽器、管楽器と打楽器が区分されて全体はゆっくりながらアッチェレランドしていきます。打楽器が現れるとパルス的な展開で後半はパワーサウンドに。そこには音列配置の気配もありません。

◇それ自体 / フランク・ペドロシアン
 Itself / Franck Bedrossian (1971/2/3 - ) はフランスの現代音楽家です。IRCAMでファーニホウやミュライユに習い、ラッヘンマンにも師事しています。
特殊技法、ポリフォニック、複雑性、クラスター、といった技法が組み合わされていますね。全体は静音と強音のコントラストが強い音楽になります。打楽器主導の音響音楽ですね。

【CD2】・・・若手音楽家による前衛なアンサンブル
◇ジェネレーション・キル / ステファン・プランス
 Generation Kill / Stefan Prins (1979 - ) はベルギー人の現代音楽家。ハーバード大でPhDを取得後、ダルムシュタット等で活躍しています。作品はヨーロッパ・アメリカ・ロシア・等世界で演奏されていますね。
前衛ですね。エレキギターとゲームのコントローラーがフィーチャーされた室内楽?で、特殊技法バリバリの雑音系音楽です。グリグリ・ギロギロといった音の繋がり、ビデオ・プロジェクションとライヴ・エレクトロニクスが被ります。ライブは面白そうですが、例によって"音"であり音楽ではありません。

◇ミンシャク / ヨアフ・パソフスキー
 Mimshak / Yoav Pasovsky (1980 - ) はイスラエル生まれで、2003年からはドイツ・ベルリンで活動しています。電子音響の音楽になりますね。
特殊技法主体のスローな静音音響で、もちろん電子処理されています。瞑想的アンビエントですね。インドや東南アジアの影響を感じますね。

◇絶望の道(ヘーゲル)はクロマティックである / ヨハネス・クライドラー
 Der “Weg der Verzweiflung” [Hegel] ist der chromatische. / Johannes Kreidler (1980 - )、かのフライブルクで学んだドイツ人現代音楽家で、ドナウエッシンゲンだけでなくダルムシュタット等・様々な音楽祭・他でそのコンピューターを使った電子音楽が取り上げられていますね。
アンサンブルにホワイトノイズ?、ビデオやオーディオのプレイが引用の様にラップします。パッチワークみたいに繋ぎ合わせれた音楽です。メインストリームで流れるているのもオモチャの音楽みたいなツギハギ。やんちゃで面白い。無音に近い低音ノイズパートも後半現れます。
試しにYouTubeで見る?

◇自殺執行人II~脳内への壁を通って~ / クラウス・シェドル
 Selbsthenker II – durch die Wand ins Gehirn / Klaus Schedl (1966/1/4 - )、ドイツ人現代音楽家でIRCAMで勉強しています。
ヴァンデルヴァイザー楽派の様な小音の唸りからゆっくりと立ち上がる音響音楽です。スローで地を這う様なおどろおどろしさに呪いの如くヴォイスが入ります。ペッテションの現代音楽版の様な絶望的な音楽です。

【CD3】・・・中堅〜ベテラン音楽家の前衛室内楽
◇悲歌 / クレメンス・ガーデンシュテッタ一
 SAD SONGS / Clemens Gadenstatter (1966/7/26 - ) はオーストリア生まれで、ラッヘンマンに師事しています。ドナウエッシンゲンには2001・2005年に続く登場です。
サックス・エレキギター・打楽器・ピアノによる即興的な音楽です。E/Gは特殊技法を多用しているようです。いかにもポスト・セリエリズム的な古臭い感じがする気がしますが、PART3後半の興奮は少し面白いかも。

◇コブシ・ブルイ(拳ぶるい) / マーリン・ボング
 kobushi burui / Malin Bång (1974/6/15 - ) は現在注目のスウェーデン人女性現代音楽家です。近年はドイツに活動拠点を置き、室内楽・オーケストラ・電子音楽・等々の幅広い音楽を網羅しています。個人的には今回一番の注目です。
サックス、打楽器、ピアノ、エレキ・ギターと指と爪・小道具を使った小編成の打楽器音楽です。音階的な流れはなく、リズムの渦で構成されます。不思議な陶酔感。実験音楽に近いのかもしれませんが、なかなか。途中で電気掃除機が登場し、サックスとのデュオを演じます。(笑)
ちなみにコブシ・ブルイの"ふるい"は武者震いの"震い"だそうです。

◇アフター・キャロル(ジャバウォック) / ゲオルク・カッツァー
 after Carroll [Jabberwocky] / Georg Katzer (1935/1/10 - ) はベテランですね。ヤナチェックやアイスラーに師事し、後年電子音楽を手掛けています。作品は室内楽、管弦楽からオペラまで幅広く活躍しています。
舌鼓とソプラノ、小編成アンサンブルによる即興的楽曲です。声楽が入ると俄然面白いのですが、この手の即興クラスター的ドンガラ・チャカポコ音の無調?演奏はどうも古臭く感じます。

◇地平線 / ベアト・フラー
 linea dell’orizzonte / Beat Furrer (1954/12/6 - ) はスイス生まれのオーストリア人現代音楽家、指揮者です。ラッヘンマンの作風から始まり、穏健な特殊技法を使った空間音楽作品がKAIROSから定期発行されています。今の時代を代表する現代音楽家の一人でしょう。
各楽器が個別の音世界を空間に埋める様な音響音楽です。時に無関係に、時には対位法のごとく、各楽器がリズミカルながら冷めた関係で繋がります。音階を感じますし、一部にややミニマル的な処があるかもしれません。クール&スマートな音空間です。
試しにYouTubeで見る?




この年は3CDセットだったのですが、今年出た2013年盤は4CDセットで聴くのに気合いが必要ですw 1CDが何枚か出たりとか、年によって違います。でも毎年聴くとトレンドがわかって楽しいですね。

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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。





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