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シェルシScelsiの「山羊座の歌」を平山美智子で聴く

スペクトル楽派の主要メンバーが師事していたジャチント・シェルシ(Giacinto Scelsi, 1905/1/8 - 1988/8/9) はイタリアの現代音楽家です。ベースはセリエルですが、倍音の音響を重視した作風は、グリゼーやミュライユに影響を与えた事で有名になったかもしれません。

これは未完成に終わった歌曲「山羊座の歌 (Canti del Capricorno)」になります。シェルシが平山美智子さんの為に作った曲ですね。もちろん歌はシェルシとの交流もあった平山美智子さん本人になります。録音時(2006/5)は83歳という驚きで、part 1 ではゴングをpart 20 ではリコーダーも演奏しています。
実はこれは再録音盤で、旧盤も同じWERGOから出ています。(所有していませんが)


(右は旧録音盤です)


楽曲は殆どが歌だけです。肉声ソロ曲ですね。数曲にコントラバス、サックス、パーカッション、が入ります。part 16 は歌にライヴ・エレクトロニクスが採用されます。

全曲が2〜3分の小曲でpart 20 までの58分ほどの構成になりますが、歌詞はありません。意味を持たないヴォイスが楽器の音の様に流れを作ります。パルス的ではありませんし、通常の肉声を越える様な特殊技巧的なパターンもpart 12 以降の一部しかありません。声色等の感情表現もライヴ・エレクトロニクスの part 16 以外では殆ど表しませんね。
人間の声なので和声の存在を感じてしまいますが、調性はもちろんありません。音響処理がどの適度適応されているのかは記述がありませんが、やや反響音を強くとっています。
part 16 のライヴ・エレクトロニクスは、いっそうのエコー処理はわかりますがディレイ・ループ等の処理は感じられません。

part 15 は打楽器が入って面白いです。打楽器との二重奏(唱)であったらまた違った面白さを味わえた様な気がしますね。シェルシは打楽器奏者だ、と平山さんも言っていらっしゃいますから。

その音響の為もあるのでしょう、聴き続けるほどに楽器のソロとは異なる音世界を感じます。通して聴けば、一つの世界が味わえます

試しにYouTubeで聴いてみる?

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シュトックハウゼンStockhausen の Gruppen/Carre を聴く

ドイツの現代音楽家カールハインツ・シュトックハウゼン(Karlheinz Stockhausen, 1928/8/22 - 2007/12/5)ですね。
実はシュトックハウゼン、ブーレーズ、ノーノ、クセナキス、と言ったビッグネームはこのブログではあまりインプレしていません。専門家の先生方のレビューが数多いですからw
現在の現代音楽の流れを作った一人で技法、楽器構成、等々で欧州現代音楽は今でも その延長線上にある訳ですね。
ダルムシュタット等の話については、このBlogでいう現代音楽について別記(excuse)していますので、ここでは省略です m(_ _)m

自分の音楽に対するこだわりは有名で、CDもオリジナルレーベルから100枚以上が出版していますが とても高くて基本はドイツからの直接購入です。もちろん通常のレーベルからも数多く出ていますので問題はないのですけど。

これはそのStockhausen Verlagレーベルから出ている一枚でシュトックハウゼンの第一期、技法が「群作法」から「モメント形式」へ移る時期の作品二曲になっています。もちろん基本はセリエリズムで、ジャケット裏面にはグルッペンのセリエル風の楽譜が載っています。

グルッペンGruppen(1955-57)
"for 3 orchestras"とあり、シュトックハウゼンの大編成オーケストラ作品になります。技術的にはセリエルに群作法を適用していますが、楽風は打楽器の打音展開を中心として管弦楽器が縦横無尽に鳴り響きます。
楽器群は正面と左右に位置しています。ちなみに配置は《左 group I 》がStockhausen指揮 WDR Orchestra、《中央 group II》Bruno Maderna指揮 同オケ、《右 group III》Michael Gielen指揮 同オケとなります。左37人、中36人、右36人の大編成です。
特にこのVerlag盤では位相空間が良くコントロールされて録音されているため位置関係がとても明瞭で、このパルス的でインパクトの強い楽曲の広がり感を強く感じさせてくれます。
こういう部分をこだわってオリジナル レコーディングしているそうですが…
試しにYouTubeで見てみる?

カレCarré(1959-60)
"四群のオーケストラと四群の合唱のための"とあります。グルッペンの後に出来た作品で電子音楽は使われていません。音は点描と流れの組合せに変わります。シュトックハウゼン第一期後半の作品なので技法的には有名なコンタクテと同じく、モメント形式が使われています。従ってモメンテ群の組合せで、管弦楽器が声楽と一体化して音の塊を作ります。楽器群ではグルッペンで主役だった打楽器がやや落ち着き、声楽(歌詞はありません)が緩く参加しています。

両方の楽曲共に1分未満の小曲の集合体で出来上がっていますね。

CDの購入は専用サイト
 Gruppen/Carre
から出来ます。
大手CD取扱店では一部が在庫されていますね。







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クラウス・フーバーの Fragmente aus Frühling, Auf die ruhige Nachtzeit, 他を聴く

スイスの現代音楽家クラウス・フーバー(Klaus Huber, 1924/11/30 - ) は、フライブルク派の創世記を作り門下にファーニホウ、リーム、細川俊夫、サーリアホ 等がいますね。ポストセリエルの名だたるメンバーを教えながら、自らの評価が遅れた事で有名かもしれません。
後期にはライヴ・エレクトロニクスも手がけていますね。

本アルバムは室内楽のセットになります。構成は初期から後期に渡り、個性的でそのぶん聴き易いでしょう。内容はフーバーのセリエルからの変容が見渡せて楽しみがありますね。

Auf die ruhige Nachtzeit(静かな夜間上で/1958) は7partsの初期作品です。フルート、ヴィオラ、チェロの楽曲です。ソプラノが入る音列系の美しい楽曲ですね。激しい打音やパルスの表現は少なく、セリエル時代の流れを強く感じます。
Ascensus I&II(1969) はフルート、チェロ、ピアノの楽曲です。静音と打音の組合せで構成されています。特徴的なものは薄いかもしれませんが将に前衛の衰退が叫ばれた時代です。
transpositio ad infinitum(1976) は無伴奏チェロの技巧曲になりますね。極端に強弱の強い典型的な現代音楽ですが技巧性が際立ちます。楽譜は見ていませんが、新しい複雑性を感じます (見ればわかるは別ですがw)。その分コンサートで聴きたくなる楽曲ですね。
Schattenblätter(陰葉/1975) はバスクラリネットをフィーチャー、チェロとピアノの楽曲です。曲調は前のチェロソロに近いのですが、技巧性に代わり 神聖とも感じる静音パート部分が大半を占めながらスローに展開されます。僅かですが、処々で特殊技巧が適用されています。
Fragmente aus Frühling(春の破片/1987) はシマノフスキとブルーノ・シュルツを追悼した声楽曲になります。ヴィオラとピアノの伴奏ですが、セリエル的?で新しさを感じられる事は無い気がします。
Des Dichters Pflug(詩人の鍬/1989) が一番特徴的でしょう。弦楽三重奏曲で、特殊技法が使われて全面静的に緩い流れで、パルスで弦のピチカートとロシア語のヴォイスが絡みます。ポスト構造主義の展開が見える様な演奏になりますが、ラストは音が消滅しているかの様です。

お奨めはSchattenblätterと最後のDes Dichters Pflugでしょう。
それにしても門下のメンバーが有名で、その紹介に名前が出て来る事の方が多い様な気がしますね。

このCDがネットでは見つかりませんねぇ。

☆試しに Ascensus I を YouTubeで見る?



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トリスタン・ミュライユ(Tristan Murail)の「Serendib, L'esprit des dunes, Désintégrations」を聴く

フランスの現代音楽家トリスタン・ミュライユ(Tristan Murail, 1947/3/11 - ) は、何と言っても今の時代の現代音楽に繋がるスペクトル楽派の創始者の一人として有名でしょう。
この手の現代音楽は今までブログにアップするのを躊躇っていたのは先回書いた通りです。




このアルバムはミュライユがIRCAMにおいて行われた情報理論の研修を受けた第二期の作品になり、IRCAMが制作に協力しています。この頃、ダルムシュタットにも参加して本格的な活躍を見せる様になりましたね。

Serendib(1991-1992) は音数の変化が大きいスローな空間音楽です。無音状態は無く、なんらかの反響音が残る中を静音とクラスターの様な密集音が繰り返しやってきます。偶然性や即興性はわりと低いので聴き易いですね。

L'esprit des dunes(1993-1994) はこの作例の進化を見せるのですが、結果はポストセリエルらしい衝撃音的な強音の組合せで残響音は少なくなります。もちろん流れはスローと間です。時折明確な拍子が現れるのも興味深いです。

Désintégrations:崩壊(1982-1983) は情報理論を使って楽器音響と音響合成を行った初期作品です。収録順が逆ですが。個人的にはこの曲が残響音が一番強調されていて"らしさ"が楽しめます。一打一打の残響が渦巻く様な感じですね。パターンの変化が大きいのが聴き易さでしょうが、それが研ぎすまされて行ったのが上の二曲になるのでしょう。


・・・・・・・


音響と理論解析からの作曲や、リアルタイムのエレクトロニクス処理等の技術は現在の魁けですが、聴く方にとっては然程の音楽変化には感じられないのが残念な気がしますね。
演奏は当然の事ながらアンサンブル・アンテルコンタンポラン(Ensemble Intercontemporain)で、指揮は録音当時の音楽監督デイヴィッド・ロバートソン(David Robertson)になります。

ミュライユは他にも数枚所有がありますが、楽曲のダブリも多いです。でも、所謂(いわゆる)クラシック楽曲の様に指揮者・演奏家による聴き比べはしない予定です。

 ☆YouTubeで La Barque mystique (1993) を見てみる?

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ヘルムート・ラッヘンマン の Accanto Consolation I Kontrakadenz を聴く

昨日はファーニホウを出したので、そうなるとやっぱりラッヘンマン(Helmut Friedrich Lachenmann, 1935/11/27/ - ) の紹介になりますね。前衛の衰退 ポストセリエル以降を代表するドイツの現代音楽家で、ルイジ・ノーノに師事し、ダルムシュタットで頭角を現した「ポスト構造主義」の旗手として著名でしょう。古い話ですねw
面倒なこのあたりの現代音楽の流れと、このブログの現代音楽に付いては以前書きましたので参考にして下さい。

特殊技法とパルス音を駆使した楽曲が何と言っても特徴になります。将に前衛の衰退が叫び始められた年代の作品ですね。
accanto(1975/76) は代表作の一つで、"クラリネットとオーケストラの為の"とありますね。静音単音の音を置きながらスタートしますが、どの楽器も普通の使用方の音ではありません。静かな環境で聴くと息だとか、フレットと弦の当たる音とかもわかりますね。突然クラリネットが流れる様に入り込んで来て、そこからは騒音的に特殊技法音の嵐が絡みながら定拍子のリズム(等拍パルス?)で推移していきます。陶酔的な流れを感じますね。この後も各楽器の不思議な音の羅列です。音楽の調性を逸脱したのが現代音楽の和声なら、楽器の演奏を覆したのが特殊技法なのかもしれません。
モーツァルトのクラリネット協奏曲のパロディだと言っていますね。その通り、途中で一瞬その旋律が現れます。トーマス・マンの言葉を引用して説明していますが、よくわかりません。
明確な変化があるので"へんな音"を楽しみ易いですねw
基本的に音であり、音列を感じる事はありません。

consolation I(1967) は声楽が入ります。流石に声は特殊技法の様な異常以上?のものは出せない様ですが。衝撃音の中を男女数人の声が響きますが、これもパルス的で歌詞ではありません。
accantoに比べると新しさや前衛性は感じられない気がします。

kontrkadenz(1970/71) は上記二曲の中間期に作られたオーケストラの為の作品です。演奏は ギーレン(Michael Gielen)指揮、現代音楽を得意とするシュトゥットガルト放送交響楽団(Radio-Sinfonieorchester Stuttgart des SWR) になります。
オケの凝縮された音塊と静寂にパルス音が特徴の作品です。一部に声楽も絡みますね。静寂の中には微妙な弦楽器の音が潜みますからダイナミックレンジの広い音を聴き分けられる環境が必要でしょう。音は基本的にパルスで、全体はダイナミックです。
途中 水音が聴こえるのは不思議。

まずは「ポスト構造主義」って? と思って聴くならお奨めです。



ラッヘンマンは、この後作られた"マッチ売りの少女"が 素晴らしいですね。また紹介しますね。

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ブライアン・ファーニホウ の Fourth String Quartet; Kurze Schatten II; Trittico per g.s.; Terrain を聴く

イギリスの ファーニホウ(Brian Ferneyhough, 1943/1/16 - ) は、言わずと知れたポスト・セリエルを代表する現代音楽家ですね。このブログの現代音楽でいう"わからない音楽"の代表選手の一人でしょう。

今更ですが「新しい複雑性」を代表する音楽家であり、ダルムシュタット夏季現代音楽講習会との関連が強い事、現在はポスト・ファーニホウといった世代を生み出している事は有名ですね。

このアルバムはファーニホウの第二期、プログラムを使う前の作品で 技巧を凝らした難曲を残した、の作品になりますね。トータル・セリエリズムをから発展、複雑性ベースにした鋭い硬派の楽曲が特徴です。

Fourth String Quartet:弦楽四重奏曲第4 番(1990年) は弦楽四重奏曲にソプラノの四楽章形式、楽章を残しているのが面白い、です。鋭い音の構成でシャープそのものです。そこにソプラノのブレンダ・ミッチェル(Brenda Mitchell)が被ります。ミッチェルの声も鋭いですが、やっぱり人間の声は素晴らしいです、特に現代音楽では。演奏はアルディッティ弦楽四重奏団(Arditti String Quartet)で、"Complete Works for String Quartet"もCDに残しています。実はこれが素晴らしいので、後日また。

Kurze Schatten II:短い影Ⅱ(1989年) は七つのパートからなるギターのソロの曲です。本CD中 一番の作品になりますね。この曲を聴く為に購入しています。通常のギター曲とは全く異なり、現代音楽にこれほどギターが合うとは思いませんでした。曲調は上記同様に鋭利でテクニカルな音を並べます。単音の組合せで強烈なピチカート、摘まみ上げてフレットに当てる様な、等の弦の弾き方から刺激的です。胴の共鳴もうまく使われていますね。基本的には弦楽四重奏曲の第1番に近いスタンスです。ギターはマグヌス・アンデション(Magnus Andersson)です。

Trittico per g.s.:Gertrude Steinのための三部作(1989年) はコントラバスのソロ。楽器が楽器なので、切れ上がる様な鋭さは控えめですが、自由度が広がる気がしますね。コントラバスはステファノ・スコダニッビオ(Stefano Scodanibbio)になります。

Terrain:地形(1992年) は弦楽四重奏曲は、for violin and wind octet とあります。曲調は同じですが、それだったら弦楽四重奏の方が良いかもしれません。ジョナサン・ノット(Jonathan Nott)指揮、ASKOアンサンブル(Asko Ensemble)に vn アーヴィン・アルディッティ(Irvine Arditti)が入ります。




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現代音楽とは《いったい何が楽しいの?!》


このブログでは、近代も含めて"よくわかんないクラシック系の音楽"、欧州前衛現代音楽をメインとしています。そして、どんな風に楽しんでいるかですね。
(まずは試しに月に憑かれたピエロ on YouTubeで見る)

学者でも音楽家でもないので、ちゃんと理解したい方・していらっしゃる方は読んでもムダですねw
最先端の学問、現代音楽→現代音学、が素人にわかるわけがない!というご意見もあるようですから…
(2019-8 見直しあり)  




① まずは前衛現代音楽の流れですね


【1】ドレミファの調性から脱出 

 シェーンベルクら新ウィーン楽派による無調(1910年頃)から始まり十二音技法、トータルセリエリズム(総音列主義)が構築されて一つの時代。
調性から逃れ無調で自由(無法地帯)になった楽譜、そこに技法の約束事で縛りをつけました。結局とても窮屈になるのですが。(YouTubeで見る)
  ↓
  ↓
  ◆不協和音いっぱいばかりの、わかんない音楽ですね。
   (機能和声でも平均律や純正律の様に込み入った話が出ますが…)




【2】行き詰まりと新技法乱立 

 続くポストセリエル、行き詰まりを見せるセリ―理論・技法を飛び越えた世界の模索です。偶然性の音楽~米実験的音楽、ミュージック・コンクレート、密集音塊のトーンクラスター、音群作法、微分音*、特殊技法、引用、ワークス・イン・プログレス、等々の技法・理論が百花繚乱犇めき合う1960年代までの前衛の時代。
有名な J.ケージの4'33" (YouTubeで見る) の様に何もやらない技法とか、雑音(ノイズ技法)とかも現れます。
  ↓
  ↓
  ◆この辺から一気にわかんなくなりますね。
   聴くよりも音楽や音の理論優先時代です。




【3】前衛の停滞 

 そして1970年代以降(1968年以降とも言われます)が前衛の停滞に入ります。色々な技法・理論、そのごちゃ混ぜの多様性展開されるもブレークスルーするものはなく、停滞しっぱなし?で今まで続くわけですw
  ↓
  ↓
  ◆何が新しいのか前衛なのか? それが問題。それこそ前衛?


この流れを作ったとも言える「ダルムシュタット夏季現代音楽講習会」の歴代ピアノ曲で一望出来るアルバムがあります ➡️ こちら


* 微分音(microtone)は音程を細かく細分化した音で、数学の微分(differential)ではありませんね。そちらもありそうですけど。





② 個人的時代背景と楽しみ

学生時代に現代音楽はピークを迎え、レコードでもコンサートでも花盛りでした。ジャズの雑誌にも時折実験的音楽が紹介されていました。当時はジャズだったので、たまに購入してはみんなで大笑いしていましたね。
音楽として聴いた事はなかったです。とは言え、ジャズでもオーネット・コールマンとかフリー系が好きでしたがw


音楽と前衛、その楽しみ方

個人的には、北欧系の現代音楽の様に無調や十二音技法・等を生かして調性感を広げた主題・動機の存在する現代音楽は割と自然に入れる気がします。調性感のある旋律が存在する事が "音楽 " かな…と思っていますから。多様性、違う意味でも使われてしまいますが、の音楽になりますね。

前衛、例えばケージの米実験的音楽などは音楽を拒否して音を対象としていますから、個人的には"聴く"というのは難しくなりますね。そうなるとポストセリエル以降でもポイントは同じ、その音を"理解する"とか"わかる"とかいった観念を捨てると楽しく味わえる?ようになります。どんな技法や理論なのかも味わう…「なるほどね!?」って感じで。


マーラーの交響曲第5番と同じように味わえって
いわれてもそりゃ無理!!
っていうものです。(笑)


というわけで、理論も知ろうとした方が楽しめるかもしれませんね。十二音技法がどういう仕組みだとか、スペクトルや倍音が何だとかは、いろいろ読めば頭に入るでしょう。楽器が弾ければ譜面から より実感がわきます。また特殊奏法はどの様なパターンかはYouTubeなどでもわかります。
現代音楽はどの様な技法や理論で構成されているかが軸足になるので、個人的にはそこが楽しみです。





③ 技法や理論

今の現代音楽の流れは、前衛の停滞以降になります。停滞以降、現代音楽はそれまでの反動で調性への回帰を目指す勢力(マニエリスム、新しい単純性、新ロマン主義、などと呼ばれています)が台頭し、それに反目するように前衛性は進化して「エクスペリメンタリズム」の音楽『新しい複雑性』『ポスト構造主義』『スペクトル楽派』といった形態が出てきます。わかりやすい音楽 vs わかんない音楽です。
このブログでいうのは当然ながら後者になりますねw。共通しているのは、頭でっかち度が高かそうな事です。例えば次の様な流れがあります。もう過去の話かもしれませんが、とりあえず。



新しい複雑性(New Complexity)

 ポストセリエルの"新しい単純性"の音楽の正反対で、複雑な譜面を展開する現代音楽です。代表格が、ブライアン・ファーニホウですね。(YouTubeで見る) もっとも複雑性は、機能和声時代からの超絶技巧と相通じるものがあると思いますね。演奏技巧の超絶化を目指せば、和声を崩していくことになるのは当時の曲でもわかります。読譜の複雑性は、説明とその楽譜を一部でも良いので見ないと意味不明ですね。(笑)
「新しい複雑性」はこの後もいろいろな意見があり、後述のラッヘンマンはファーニホウが限界で"音楽は死んだ"と言い、クラウス・フーバーは時代の要求で音楽の複雑性は自然だと言っています。



ポスト構造主義(Post-structuralism)

 特殊技法をより発展・拡大させた技法ですね。代表する一人が、ヘルムート・ラッヘンマンになりますね。(YouTubeで見る)
フランス思想活動の総称によるこの言葉の音楽定義は、ポストモダンとの区別も含めて良くわかりません。ラッヘンマンの楽曲では特殊技法を駆使した音の組立になります。簡単に言うと楽器を本来の弾き方とは違う方法で弾く技法です。一般的に、この姿と音が現代音楽を象徴している一つのイメージでしょうか。現在でも主流の流れの一つになりますね。
それにしても名前が厄介難解! 哲学的には現代はポスト構造主義だそうですが…



これらは、ダルムシュタット夏季現代音楽講習会 (YouTubeで見る) をベースに出来上がってきました。前者をフライブルク楽派、後者をシュツットガルト楽派という事もあります。この流れが現在の欧現代音楽の元になっています。
ダルムシュタットの初期では、ブーレーズ、シュトックハウゼン、ノーノといった顔ぶれがポストセリエルを模索しており、現代音楽の方向性を決めてきた一つの担い手である事は今も同じですね。
今の欧州現代音楽を楽しむなら、ドナウエッシンゲン音楽祭がいいですね。毎年アルバムが出ています。
米近現代音楽はまた違いますね。



スペクトル楽派(Spectral Music)

 ブーレーズの設立したイルカム(IRCAM:フランス国立音響音楽研究所) (YouTubeで見る) を起点として、音響のスペクトル解析で倍音構築する手法を元とする音楽です。今では現代音楽と電子音の関係性はその基本となり、IRCAM出身の音楽家が世界中の国で独自の展開していますね。
スペクトル楽派ではないエレクトロニクスのアプローチも当然あり、例えばクセナキスはUPICを開発してペンとタブレットでの作曲技法も実現しています。それらやライヴ・エレクトロニクスも含めて空間音響系の元であり、現状最もベーシックな現代音楽の技法かもしれません。



ヴァンデルヴァイザー楽派(Wandelweiser)・他

 音を聴く事に主眼を置いた即興性?に繋がる技法になります。もう音楽ではありません。単純微音化された音を感じるとでもいう様です。CDで聴くならば、そのボリュームをどうするかが問題になりますね。(YouTubeで見る)

音響詩(Sound Poetry)』などという意味のない声を唸るのも現代音楽に入るのなら、これまたますます"わかんない"音楽ですね。
また何にでも命名したがる人はいるわけで、今はスペクトル楽派を元に音の飽和(Saturation)と歪みにした音楽?を『サチュラシオン楽派』と呼ぶ人も出てきています。

他方、エクスペリメンタリズムから距離をとった英現代音楽界には『マンチェスター楽派』と呼ばれる技巧やポリテンポを展開しながらも、旋律・反復・調性感と言った排他的方向を重視した流れも存在しました。



いずれも古い区分ですが "よくわかんない"のがこれからも前衛現代音楽の流れである事に変わりなく、特徴的な曲でない限り聴いただけでどの理論・技法なのか簡単単純にわかるものではないと思います。十二音技法でさえ聴いただけでただの無調なのかの判断が出来る人は殆どいないでしょうね。今や古典の現代音楽クセナキスでさえ数学楽譜でクラスターでもあり、エレクトロニクス他も使った音楽です。
という事で百花繚乱の"多様性"の現代音楽になったわけですね。





④ 欧州以外では


米前衛系現代音楽

先駆者の一人、ニューヨーク育ちのチャールス・アイヴスはヨーロッパの前衛に先んじて無調やポリリズムの採用をしていますし、フェルドマンによる世界初の図形楽譜や、ミルトン・バビットによるトータル・セリエリズム構築と言った前衛の先進性があるにも関わらず、それら技法が米国ではなくヨーロッパで大きく展開されているのが不思議です。

その始りは東海岸からで、戦後移り住んだヴァレーズからバビットらの"音学"的構想「最先端の音楽は数学と同じく、その世界に関わる者にしか理解はできない」と言った風潮、一部ではコロンビア楽派と呼ばれたようです、が源の様です。今でも東部ではその様な主張を支持する傾向があるそうです。

その後同じ東海岸でもジョン・ケージら「ニューヨーク楽派」の出現で米現代音楽の大きなポイントを見せますね。J.ケージ「偶然性の音楽」の強烈な影響力です。その影響は絶大で、欧州前衛の拠点ダルムシュタットでも成功を納め、それ機に前衛の広がりを見せる様になりました。

60年代以降の前衛の停滞に入るとアメリカらしいミニマルが認知され前衛の後退が見られたものの、20世紀後期にはそこからの発展系やヨーロッパの前衛系の各流れも普及して現在に至っていますね。
ポストミニマルで民族音楽やポップをベースにした音楽は今の主流の一つでしょうし、もはやクラシック範疇にはとどまらないClassical-Clossoverの存在も興味深いですね。

Bang On a Cans All-Stars, Eighth Blackbird, Paul Dresher Ensemble Electro-Acoustic Band, と言った米前衛系現代音楽らしい演奏集団の活躍もあって、とても楽しいですね。


◇他にも欧州にあって独自の北欧現代音楽や、ロシア現代音楽、そして日本の現代音楽も面白いですよね。





⑤ そして現在は


インスタレーション

音の世界から近代美術『Installation Art』のに突入、 "よくわかんない" 音楽と "よくわかんない" 映像や空間構造へのコラボレーションの流れがどんどん進んでいます。究極の多様性?!

CDの様な音媒体では表現出来なくなって来て所謂(いわゆる)音楽という壁を超えて "ますますわかんない世界" の扉を開けようとしているのかもしれません。

いずれ新しい流れは留まりませんから、何が見えて来るのか楽しみですね。



そんな時代の流れと技法・理論の変遷をを頭に入れながら現代音楽に浸れば自分勝手に"ふ~ん"って思えるかも。
 ・現代音楽隆盛期のシュトックハウゼンらの年代は作風変化が明確に味わえます
 ・今の時代の音楽家は誰に師事したか等、その楽風・技法の推測が楽しいです
 ・そのうちに好きなパターンの現代音楽が見つかり、楽しみが増します


わからない・難しいってスルーするよりも、何か味わえればその分美味く得した気分でしょ。^^v

難しい事はわかりませんから、そんな味わい方ですね。



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