スカルソープの String Quartets vol.1 を聴く

本年8月に亡くなったオーストラリアの現代音楽家ピーター・スカルソープ(Peter Joshua Sculthorpe, 1929/4/29 – 2014/8/8)の弦楽四重奏曲 第1集です。
スカルソープと言うと、クロノス・カルテットの「紫のけむり」に入っていたり、大好きなマリオ・ブルネロの「Solo Cello and ... 」に入っていたりしての印象が強いです。

無調ですが、時により独特の和声で展開されます。それがスカルソープの音楽ですね。曰く、オーストラリア原住民の民族音楽を追求、曰くアジアや日本の音楽を研究、と言われている様です。

一曲目、Irkanda iV は無調で明確な主題のないスローで陰鬱な楽曲です。ところが二曲目のSmall Townは明朗な主題で、映画音楽の様。この出だしで戸惑いますね。
String Quartet No.6 は三楽章形式で、Irkanda iVと似た無調の陰的な流れです。String Quartet No.7 は一楽章でグリッサンドを使った無調作品ですが、やや起伏があります。この二曲は管弦楽化されて"太陽の音楽"シリーズになっています。
String Quartet No.8 は五楽章になります。陰鬱な無調作品なのですが、バリーションが広がっています。聴いた瞬間にクロノス・カルテットの演奏に向いていると感じる楽曲で、上記の「紫のけむり」に収録されています。そちらの方が、よりメリハリが効いて素晴らしいです。一部、日本の古典和声を取り入れていますね。この展開は面白いです。
String Quartet No.9 は一楽章でピチカートを使ってリズミカルに進みます。ここでも独特の和声で展開されて面白いですね。

演奏は Goldner String Quartet になります。このCDが初めての商用録音とか。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

ブゾーニの Orchestral Works (Vol.1 & 2) を聴く

フェルッチョ・ブゾーニ(Ferruccio Busoni, 1866/4/1 - 1924/7/27) はイタリア生まれのドイツの音楽家ですね。
個人的には何と言ってもピアノのヴィルトゥオーゾでありピアノの難曲の作編曲者としてのブゾーニです。
バッハの曲を難曲にしたりして有名ですが、今までも数回紹介していると思います。ロマン派・新古典主義の様な和声から、完全な無調の現代音楽ではありませんが調性の薄い楽曲まで幅広く網羅しているのも時代の背景を感じますね。

さてここでは管弦楽曲を二枚紹介します。まさに従来和声から現代音楽までカヴァーする、楽しめるアルバムです。

『Orchestral Works』
□Orchestral suite no. 2 'Geharnischte Suite', Op. 34a (1895-99)
 四楽章からなる、新古典派の楽曲です。スピード感のある明瞭な管弦楽ですね。悪くはありませんが、英国音楽の香りがします。大編成オケに向くでしょうね。個人的興味は薄いですが。
□Berceuse elegiaque, Op. 42
 8分弱の単一楽章曲です。亡くなった母への思いから作られていますが、幻想的な楽曲です。調性内の音楽ですが、上の楽曲とは正反対の鬱的陰性な音楽です。現代音楽への階段にある様な気配を感じます。とても面白いです。
□Concertino for clarinet and small orchestra, Op. 48 (1918)
 四楽章のクラリネット協奏曲ですね。ブゾーニらしくクラのパートは技巧系です。楽曲自体は調性内とはいえ、古典的な主題の繰り返しのパターンからは逃れ始めていて古臭さは感じません。半音階が多用されているのも特徴的で、表情豊かな美しい楽曲ですね。
□Sarabande and cortege, Op. 51 (1919)
 二楽章の調性の薄い楽曲です。時代とともに徐々に調性感が無くなって来ているのが明白ですね。Sarabandeは、基本スローな流れも明瞭な優美な楽曲です。一方Cortegeは、ギャロップの様なリズムですが陰的でfパートの少ない不思議な流れです。Op.34aとの対比を感じ、とても今的です。
□Tanzwalzer, Op. 53 (1921)
 五楽章ですが、最大でも4分ほどの小曲のセットです。明確な古典的主題が復活し、調性感が戻って来ているのが不思議な感じですね。旧態然とした楽曲で、なぜ?的流れです。




『Orchestral Works Vol.2』
□Lustspielouverture, Op. 38 (1904)
 いかにもオペラの前奏曲らしい楽曲です。1897年に作曲されましたが、1904年に短縮されて見直されてた版になります。とても"らしく"て楽しいです。ぜんぜん悪くありません、ありですね。
□Indianische Fantasie, Op. 44 (1913-14)
 一楽章形式で23分を超えるピアノ協奏曲です。このCDのメインですね。当然ながらピアノパートは超絶的な技巧曲でブゾーニらしさ全開、カデンツァもたっぷり盛込まれています。曲調は各所にドヴォルジャーク・他の様な調性和声が現れたりする中、調性の極端に薄いパートや陰的な流れが支配して、いかにもこの時代のブゾーニのエンターテイメントが楽しめます。コンサートで聴きたいですね。
ピアノは Nelson Goerner になります。
□Indianisches Tagebuch, Book II: Gesang vom Reigen der Geister, "Elegie No. 4", Op. 47 (1915)
 「弦楽と6つの管楽器、そして1つのドラムの為の練習曲」として作られた楽曲です。調性から逸脱する事はありませんが、微妙な和声の中に緊張感があります。
□Die Brautwahl, Op. 45 (1912)
 オペラ「花嫁選び」からの管弦楽版組曲になります。声楽パートはありませんが、華やかな管弦楽曲です。もちろん調性があるので普通?に楽しめます。ストーリーを知らないと面白くないのは標題音楽ですから当然なので、ググって聴きましょうw



演奏は二枚ともに、ヤルヴィ父(Neeme Jarvi) 指揮の BBC管 になります。
難しく考えずに、とても楽しいお薦めのCDsです。


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

シャロン・ベザリーのフルートで聴く Nordic Spell

美人のテクニシャンでならす Sharon Bezaly(born 1972)は、イスラエル生まれでスウェーデン在住のフルート奏者です。北欧音楽を始め、現代音楽のフルート曲をソリストとして演奏していますね。
ここでは北欧系の三人の現代音楽家のフルート協奏曲を演奏してくれます。三曲共に作曲者からベザリーに献呈されていて、世界初録音にして作曲者も録音に立ち会っているという力の入れようです。
個人的にはフルートがあまり好きではないので、思い入れはないのですが。(コンサートで一番がっかりするのはフルートが多い様な...)

□ Kalevi AHO / Concerto for Flute and Orchestra
 好きな現代音楽の一人で、何回も紹介しているフィンランドのアホです。三楽章からなる協奏曲ですが、一楽章は冷たい荒野を流れる風の様です。第二楽章のフルートは、まるでその中に居る生命の様に表情を付け、躍動しています。第三楽章では再び緩徐的な流れに帰ります。静的な中に、フルートの透明感ある流れが合っています。
協奏曲を得意とするアホの21世紀に入っての曲なので、単純な無調ではない多様性の楽曲で広がりが素晴らしいですね。

□ Haukur TÓMASSON / Flute Concerto No. 2
 ヘイクル・トウマソン(1960/1/9 - )はアイスランドの現代音楽家です。五楽章構成のフルート協奏曲は、明確な主題はありませんが調性感は残ります。構成的には、個性に欠けてややフラット。聴き処は、ベザリーのテクでしょうか。でもフレーズが単調な感じもしてしまいます。はっきり言えば、この楽曲は無い方がアルバムが締まった気がします。

□ Christian LINDBERG / The World of Montuagretta - Concerto for Flute and Chamber Orchestra
 トロンボーニスト、作曲家、指揮者、いずれも素晴らしい活躍の現代音楽家リンドベルイは、それぞれで紹介している通りですね。五楽章の陰影のあるコンチェルトでは室内管とのコントラストの良い演奏が楽しめます。トウマソンのフルートパートよりも より生き生きとした流れは、フルート苦手の人も楽しめると思います。古典調性ではありませんが、調性内の音楽に近いです。
リンドベルイ本人が指揮をしていますね。

一曲目・三曲目の構成なら、なかなか楽しいフルート協奏曲のアルバムですね。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

クルシェネクの「Jonny spielt auf (ジョニーは演奏する)」を聴く

オーストリア出身で、独・米で活躍した現代音楽家 エルンスト・クルシェネク(Ernst Krenek, 1900/8/23 - 1991/12/22) の代表作オペラ「Jonny spielt auf」ですね。先日サッリネンのオペラ「クレルヴォ」を聴いたので、ふとこれを思い出しました。

クルシェネク(クレーネク、クレネク、クシェネク、等々 日本語では様々です)は退廃作曲家として紹介されていますが、その作風は無調からジャズ、新古典主義・他、とにかく色々ですね。
Jonny...はジャズに影響を受けて、と言われますが具体的にジャズ的な和声はありません。

ストーリーは、荒っぽく言うとこうなります。ジャズバンドの黒人フィドル奏者 ジョニーがバイオリニスト・ダニエロのヴァイオリンを盗もうと画策します。それに絡むのが恋の鞘当てです。ジョニーの恋人イヴォンヌ(ホテルのメイド)、作曲家マックスと歌手のアニータ。そしてダニエロ。それぞれの恋愛観と嫉妬が絡む中、ジョニーが盗んだヴァイオリンの行方と全員の人間模様が展開されます。

歌詞は、見開き左右ページにフランス語、ドイツ語、英語、イタリア語が併記されています。歌はもちろん独語になりますね。情景や表情のト書きが入っているので、読みながら聴けばわかり易いです。

アニータは出だしからパワー全開的、はなからマックスとの重唱です。曲調は特に抽象的な現代音楽ではありません。かといって所謂オペラらしい主題や旋律があるわけでもないですね。
パート1シーン2でのピアノが現代音楽らしい調べを流すくらいです。
恋人同士、アニータとマックス、イヴォンヌとジョニー、歌詞は英訳ではベタベタの恋愛ものです。
シーン3の入りではデキシーっぽい演奏が入りますね。ジャズっぽいのは、そこだけです。後はパート1終了で、ガーシュインぽいフレーズがありますが。(ガーシュインは2歳年長ですが、どうでしょう)
イヴォンヌのソプラノは可愛い声ですね。
イヴォンヌはダニエロに、そのダニエロはアニータに惹かれるのがいい男、いい女という基準なのも笑えます。



とまぁ、三文オペラ風な話と掛合いです。
処がパート2になると、ややシリアスになります。入りのパート2シーン1,2のマックスなど、演奏も歌唱も"それらしい"ので良いでしょうね。ソプラノはソプラノらしく、アルトはアルトらしく歌い上げています。シーン5、ダニエロが線路に落ちるまでの展開では熱唱に緊張感と迫力があり、思わず引き込まれてしまいます。パート2の方が遥かに良いですね。パート2だけなら?かなり良い作品の気がします。

しかしながら全体としては、調性を超えるでもなく、ジャジーな風でもなく、息も継げない名アリアがあるでもなく......クルシェネクの代表作にして人気を決定付けた作品の面白さがどこにあるのか、舞台が無いとどうも伝わりません。見方を変えれば、それだからヒットしたのかも。

一般的には新時代と旧時代(マックスやダニエロの死)との対比を背景にこの楽曲を捉えるのが普通でしょう。でも、殊更にそんな事を頭に入れ流れ聴いても自分で感じた音楽にはなりませんよね。適度に頭に入れておけば十分でしょう。
現実には舞台での演出が伴うと大きく変わるでしょう、確かに小沢征爾さんのウィーン歌劇場デビューでもそんな事を表現する様に出来ていたのも事実ですが、それは見せる方としてのスタンスですね。

久しぶりに聴いても結果は同じでした。以前聴いたイメージが残って、先入観になっているかもしれません。やっっぱり機会を見つけて舞台で見たいですね。

CDのジャケットが新しくなりました。


サッリネンの「KULLERVO (クレルヴォ)」、クルシェネクの「Jonny spielt auf (ジョニーは演奏する)」、とくると個人的には コッコネンの「The Last temptations (最後の誘惑)」が当然の様に浮かびますね。どこにあったっけ…


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

2014年9月12日 山田和樹 / 日本フィル のドン・キホーテ、浄められた夜、他 at サントリーホール ★☆

メインはもちろん生誕150周年を迎えたR.シュトラウスの「ドン・キホーテ」ですね。そして、ある意味とても厄介なシェーベルクの「浄められた夜」が組み合わされているのが面白いです。山田和樹と日本フィルハーモニー交響楽団(Japan Philharmonic Orchestra)は、どう聴かせてくれたか。ドン・キホーテは事前に聴き比べて来ました。
20140912suntoryHALL01.jpg 20140912suntoryHALL02.jpg

開演30分前に山田和樹さんのプレトークがありました。おしゃべりは楽しかったですが、内容は特に...って感じでしたね。

◇R.シュトラウス:薔薇の騎士から「ワルツ第1番」
 プレトークで本邦初演のシュトラウス自信による編纂作品との事。この曲のワルツパートだけと言われても あまり興味がないのでわかりませんでした。
残念ながら楽曲、演奏共に今ひとつはっきりしませんでしたね。この曲が頭に残っていないのでなんとも...(笑)
◇A.シェーベルク:浄められた夜
 大編成弦楽団で、というと誰でもが浮かべるカラヤンBPOが頭に存在していますね。CDにしろコンサートにしろ聴くチャンスが多い曲。何回か紹介していますね。
この曲はうねる様な感情と音の流れに身を委ねる快感が素晴らしいのですが、それが全く感じられません。
締まりも体力も、意図も感じられない演奏に終始し、聴く方も集中が切れましたね。カラヤンとの違いどころではありません。全く良いところがありませんでした。

休憩前の二曲は、ブラボーが皆無。こんな事、記憶にありませんねぇ。何にでもブラボーの日本人ですからw
拍手も早々に途切れてしまいました。

◇R.シュトラウス:ドン・キホーテ
 前半は、休憩前の様な演奏でしたが、"木馬"の辺りから吹っ切れた様です。奔放な強音パートから、感情のこもった演奏が出て来ました。
チェロ(ドン・キホーテ)の日フィル 菊池知也さんも、最後の二章は感情の伝わる良い演奏を聴かせてくれました。息絶えてからエンディングまで、約30秒間は弾き切った姿のまま静止。良いですね、気持ちがつたわります。初めは文字通りの手探り状態でした。ハイフレットは音を探している様な感じでしたからねぇ。
ヴィオラ(サンチョ・パンサ)にパルリーネ・ザクセは出番は少なかったものの、表情豊かでしたね。

それにしても 良くなるのが遅きに失しました。
ドンキホーテが★☆、前半二曲は☆です。
2014y9m12d-YamadaKazuki_Japan-Phil.jpg

明日9月13日(土曜日)もあるので、落ち着いて良くなるでしょうね。^^

年明けから、このセットでマーラー・チクルスが始まります。期待していたのですが、ちょっと不安が大きくなりました。最低限のチケットだけにしましょう。


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

サッリネンのオペラ:クレルヴォKULLERVOを聴く

フィンランドの叙事詩「カレワラ(Kalevala)」を元にしたサッリネン(Aulis Sallinen、1935/4/9 - )の『クレルヴォ(KULLERVO)』です。前回は歌曲の Dialogue(対話) を紹介したので、今回は代表作のオペラですね。
今年2014年に再発売になったので、久しぶりに引っ張り出して聴いてみました。CD3枚で2時間半を越える大作です。

[ストーリー]
幼くして一人残されて一家殺害されたカレルヴォ[Matti Salminen]の息子クレルヴォ[ヒュンニネン Jorma Hynninen]は、引き取られた先の仇敵ウンタモ[Juha Kotilainen]への復習を誓います。クレルヴォは鍛冶屋に出されますが、父の形見のナイフを鍛冶屋の妻[Anna-Lisa Jakobsson]が持たせたパンに仕込まれた石で折ってしまいます。クレルヴォは口論の末、そのナイフで鍛冶屋の妻を殺します。
クレルヴォの幼なじみのキンモ[Jorma Silvasti]は、奇跡的に生き延びていた父カレルヴォと母[Eeva-Liisa Saarinen]を見つけ出し、再開させる手立てを探ります。そんなある日クレルヴォは、父カレルヴォと母[Eeva-Liisa Saarinen]の家にたどり着き、そこで両親が生きていた事を知ってしまいます。
夢で妹のアイニッキ[Satu Vihavainen]が行方不明と聞かされたクレルヴォは、ウンタモの家を焼き復讐を果たそうと決心します。ウンタモの家へ向かう途中、キンモから復習をやめる事、そして両親と妹の死を知らされます。怒りに燃えるクレルヴォはウンタモ一家を殺害します。
クレルヴォはキンモに会いますが、急ぎすぎた事とその存在が罪との言葉を受け、自ら燃え盛る火に身を投じます。

歌詞はフィンランド語ですが、英訳が対訳で付いていますから大丈夫。楽曲に調性感の薄さは感じません。キリストが持ち出されている事もあり、コーラスは教会音楽的でもあります。
前半山場は鍛冶屋の妻とクレルヴォの対話です。ヒュンニネンのバリトンとヤコブソンのメゾソプラノの対比は、少々クールでしょうか。ナイフに刺される前に「Slave! Slave!」叫ぶのですが、もっと強烈な方が良いかなとも思います。でも、狂気がありながらクールさがこの作品のポイントかもしれませんね。
中盤でのクレルヴォと家族の出会いも、人殺しの息子クレルヴォとの対話が狂気の世界の歌詞ほどは激しくなく、同じ様な展開です。
エピローグは深遠で特徴的です。

フィンランドの音楽家はシベリウスを始め、以前紹介したクラミらも「カレワラ」をモチーフにしている事が多々あります。シベリウスのクレルヴォ交響曲のストーリーとは展開が少し違いますね。

再発のジャケットはオリジナルを小さくはめ込んだ様になっています。でも、ヒュンニネン演じるクレルヴォのアップが全面にある方が良いと思いますね。

演奏はセーデルブロム(Ulf Söderblom)指揮、フィンランド国立歌劇場(Finnish National Opera O)になります。



ちなみに旧盤はこちら




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

山田和樹/日フィル の コンサートの前に R.シュトラウス のドン・キホーテ を聴き比べておこう

今年はリヒャルト・シュトラウス(Richard Georg Strauss, 1864/6/11 - 1949/9/8)の生誕150周年なので、一回はコンサートに行こうと思っていましたが今ひとつ触手が動きませんでした。でも9月12日(金)に山田和樹指揮で、行く気が起きましたね。

そこで事前に、メインの 交響詩「ドン・キホーテ(Don Quixote) 」を聴き比べておきましょうか。この曲は区切れ目無く構成されているので、ドン・キホーテの物語との展開が聴き分けずらいのが問題です。
思い切り標題音楽ですから、物語そのものです。ドン・キホーテ(チェロvc)、サンチョ・パンサ(ヴィオラva)に役が振ってあります。従って音楽とストーリーを関係付けできないと、何も知らないでオペラを聴く様なもの。これはいけません、絶対音楽じゃないんですからねぇ。
特徴的なパートを覚えているので、コンサートでも大丈夫でしょう。聴き易いのは「英雄の生涯」だとは思いますが。(笑)

■シュトラウス/ バイエルン国立管弦楽団 (1941年) DG
 今年発売になった、本人指揮を集めた7CDsetの#7に入っていますね。この時代の録音としては音も十分で、本人の意図した演奏が聴けるのは何よりです。特にR.シュトラウスは指揮者としての活躍が生涯のメインでしたから。
妙な言い方になりますが、古臭い演奏ではありませんね。特に古い演奏は、録音の問題だけでなく、テンポ(アゴーギクだけでなく、ディナーミクも含め)に違和感を感じる事が多いのですが。
そして当然ながら、交響詩でストーリー性の強調をする為にvcとvaにソロ性を強く持たせています。まるで二人の会話の様です。また、シュトラウスが考案した金管楽器のフラッターは強烈ですし、ラストの終焉も一番"らしい"です。なによりオリジナルが聴けるのは嬉しいですね。




■カラヤン/ BPO (1965年) DG
 言わずと知れたカラヤンです。オケでは管楽器を際立たせて、ヴィオラとチェロを歌わせるのは流石です。テンポもゆったりとして二人の会話にフィットしています。将に標題音楽らしさを見せてくれていますね。特にフルニエのチェロは素晴らしいです。
録音が全体的にシャキシャキとしていて やや疲れますが、重厚壮大さがストーリー性を強く引き出しています。その分、各章の意味合いがとてもわかり易い安心感もありますね。
カラヤンはあまり好きではないのですが、得意とするシュトラウスだけに納得です。
カラヤンは、次のEMI盤の後にもう一度DGで録音を残しています。(未所有です)




■カラヤン/ BPO (1975年) EMI
 ロストロポーヴィチをvcに迎えてのカラヤンBPOの録音です。前出EMI盤よりも洗練された感が強い演奏ですね。重厚壮大ではなく、優美で華やかです。それでも羊のフラッターなどは描写感の強さが伝わったりして楽しいです。
特筆すべきは、言われる通り ロストロポーヴィチのチェロでしょうか。陰影強く朗々と響き渡る迫真の演奏で、まるでチェロ協奏曲の様です。BPOの演奏もそれに応えて切れ味の演奏ですね。ロストロポーヴィチは最終Finaleで、まるでドン・キホーテである様な見事な切れ味を見せてくれます。
上記DG盤が圧倒的な標題音楽強調型なら、EMI盤はやや音楽性強調になっているのでしょう。個人的には、こちらの方が好みです。




■ダーリントン/ デュースブルク管 (2009年) ACOUSENCE records
 kokotonPAPA 強烈お薦めのユニット、Jonathan Darlington(con.), Duisburger PO [ACOUSENCE classics]です。標題音楽性は、これが一番薄いです。この手の楽曲は、マーラーなんかもそうですが、録音が良いとますます冴え渡ります。そして例によって、メリハリの強さはこの楽曲にはピッタリですしね。
ただ、vcとvaは然程前面には出て来ません、というよりもそれ以上にオケが強いので好き嫌いが出るかもしれません。とは言え、パルダル(Friedemann Pardall)のvcは円やかでシックな音で奏でています。個人的にはこれが一番ですね。



さて、当日はどうでしょうか。楽しみですね。


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

コッコネンKokkonen の レクイエムRequiemを聴く

フィンランドの ヨーナス・コッコネン(Joonas Kokkonen 1921/11/13 - 1996/10/2) は好きな現代音楽家の一人で、交響曲全集を始めとして所有しているのですが今まで二回しか紹介していなかったなんて自分でも驚きです。^^ゞ

そこで今回はRequiemを二つの演奏で紹介しますね。このレクイエムは先立った妻 Maija Kokkonen に捧げられています。以前もどこかで書きましたが、日本語訳の「鎮魂」とは本来異なり 死者が天国へ導かれる為のカトリックのミサです。宗教音楽はその宗教を理解せずに本質はわからないと思いますので、ここでは楽曲として楽しむ事をお断わりしておく必要がありますね。m(_ _)m

ちなみに典礼の中から7曲と、出棺時に使われる「楽園へ In Paradisum」と、最後に「永遠の光 Lux Aeterna」を入れた9曲構成がコッコネンのレクイエムになります。三大レクイエムもそれぞれ典礼からの選択が異なりますね。

聴き比べると 7曲目の「平和の賛歌 Agnus Dei」、9曲目の「永遠の光 Lux Aeterna」が、特徴的でしょうか。ヘルシンキ管盤では宗教曲らしさが薄く感じ、ラハティ響盤では宗教曲らしさを強く感じます。

◇Ulf Söderblom 指揮、Helsinki PO [Finlandia] 1986?
 世界初演を演奏したHelsinki POによる録音です。全体として荘厳なミサの感じを強く感じます。より宗教曲の色合いが強いのがこちらのアルバムでしょう。フィンランドを代表するバリトン、ヒュンニネン(Hynninen))の方が声が落ち着いている感じですね。
教会音楽に身を置く様な気分が味わえる、と言ったらわかってもらえるかなぁ...




◇Ulf Söderblom 指揮、Lahti SO [BIS] 1991
 実は以前このアルバム全体を紹介していますが、レクイエムはあっさりと流しました。
でも、その時と同じイメージには変わりありません。こちらの方がオケの演奏が重視されている様に感じますね。その分楽曲の繊細さが際立っています。2曲目の「キリエ・エレイソン Kyrie Eleison」等は、よりその差を感じられますね。
ソプラノのイソコスキ(Isokoski)はより自由度の高い歌いで、バリトンのグロンローズ (Grönroos)はアルトにちかい詠唱です。宗教曲ではあるのですが、こちらの方が音楽として楽しめます。
録音もこちらの方が良いですね。

同じ曲を同じ指揮者で、この違い。もしかしたら、前者の方がコッコネンの意図に近いのかも知れません。



 

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

Nordgren の Concertos を聴く

日本に馴染みが深く、人気もあるフィンランドの現代音楽家 ペール・ヘンリク・ノルドグレン(Pehr Henrik Nordgren, 1944/1/19 - 2008/8/25)の作品は何回も紹介して来た通りで、好きな作曲家ですねぇ。
コッコネンやショスタコに関する件はもう記する必要も無いでしょう。

これは Concertos [交響曲集] と題された1999年のアルバムですが、協奏曲を得意としたノルドグレンですから協奏曲のCDは他にも多く出ていますね。盟友ユハ・カンガス(Juha Kangas)の指揮で、彼が組織したオストロボスニア室内管弦楽団(Ostrobothnian Chamber Orchestra)の演奏です。これもお馴染みですね。

ここでも旋律を残しながら自由度の広い調性を見事に展開していて、ダイナミックな楽曲が並びます。そこがイイんですよね。

◇チェロ協奏曲第3番 Op.82
 チェリストのイッサーリスに献呈された曲になります。四楽章ですが、当初は五楽章で書かれていたのを四五楽章を一つにしています。第三楽章に緩徐楽章を持って来てメロディアスなチェロを聴かせているのが意表です。チェリストはユロネン(Marko Ylönen)で、演奏も情感深くとてもマッチしています。
最終楽章のショスタコの件も気にしなくても良いと思います。奥行きのある素晴らしい楽曲ですね。

◇アルト・サクソフォーン協奏曲 Op.92
 献呈された John-Edward Kelly の演奏になります。いつもながら管楽器の協奏曲は現代音楽と実によく合うと思います。ここでもアルト・サックスの可能性を全て使っての演奏で、常軌を逸したかのような音列は強烈そのもの。それを引き立てる弦楽群とのマッチも良いですね。後半は美しい流れになり、展開も良いですよね。

◇ホルン協奏曲 Op.95
 入りのホルンの主題は無調というよりも一部半音階を使った和声の様です。ホルンが縦横無尽に、というよりも叙情的な演奏になりますね。ここでも主役の立場は同じですが、落ち着いた役割になります。ホルンが投げた旋律に弦楽団が対位する様な楽曲です。その中にある緊張感がたまらないですね。
演奏するヘルマンソン(Soren Hermansson)と、彼の属するノルウェー音楽審議会NOMUS委嘱による作品です。

いずれも聴いていてワクワクする流れがあり とっても良い感じ。^^v




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

プロフィール

kokotonPAPA

Author:kokotonPAPA
.
    




・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。





カレンダー
08 | 2014/09 | 10
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 - - - -
ようこそ
カテゴリ
ありがとう